【文献】
「パチスロ キン肉マン 〜キン肉星王位争奪戦〜」,パチスロ必勝ガイドMAX2012年12月号増刊,株式会社ガイドワークス,2012年12月 1日,p.8-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図10を参照して説明する。
【0009】
[スロットマシン]
スロットマシン1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であり、公知のスロットマシンと同様の構成となっており、前面に開口部を有する筐体1bと、開口部を開閉可能に覆う前扉1aとを備えている。
前扉1aは、複数のリール41a〜41cのそれぞれに表された連続する3つの図柄(識別情報)を機外から識別可能に構成されるとともに、遊技者により操作される複数の操作手段(2a、3、5)を備えている。筐体1bは、リール41a〜41cを回転駆動させるドラムユニット4、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7などの複数の装置、コンピュータとして動作する主制御部10、副制御部20などを備えている。
【0010】
このようなスロットマシン1は、主制御部10が事前決定手段、導出制御手段、遊技価値付与手段、遊技状態制御手段、出力手段などとして動作することにより、以下のようなスロットマシン遊技を実行可能に構成されている。
スロットマシン遊技では、ゲームの開始にあたり、メダル(クレジットメダルも含む)を用いて掛け数の設定が行われる。
掛け数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押下操作して設定する方法とがある。
【0011】
メダル投入口2からメダルを投入して掛け数を設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2b(メダル検出手段)によって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応する掛け数(ただし、メダル3枚に対応する掛け数「3」が上限)が設定されることになる。
なお、掛け数の上限は、「1」、「2」、又は「4」以上でもよい。
【0012】
ベットボタン2aは、掛け数の設定に係る遊技者の操作を受け付け可能な操作手段の一例であり、これが押下操作されると、内部的にデータとして記憶されたクレジットメダルから、所定数(例えば、3枚)のメダル数が減算され、減算された分が掛け数として設定されることになる。
なお、ベットボタンは、ベットボタン2aのみに限らず、設定される掛け数のそれぞれ異なるベットボタンを複数設けることもできる。また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により加算され、例えば、メダル50枚までクレジット(記憶)することができる。
【0013】
このように、メダル投入口2からの直接投入やベットボタン2aの押下操作により設定された掛け数は、主制御部10に備えるRAMなどの記憶手段に記憶される。
そして、掛け数が所定数(例えば、3枚)になったときに、1回の遊技を実行可能な権利を保有するゲーム開始可能な状態となる。
【0014】
このゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効状態となる。
この有効状態になっているときに、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームが開始され、複数の図柄の表されたリール41a〜41cが変動(以下、回転ということもある)を開始するとともに、リプレイ(再遊技)、小役、ボーナスなどの複数の当選役(はずれを含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される(事前決定手段)。
【0015】
内部抽選処理では、例えば、複数の当選役(例えば「通常リプレイ」、「チェリー1」、「チェリー2」など)の中から今回ゲームの当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する抽選処理が実行される。また、複数の当選役の中には、例えば「BIGボーナス」、「REGボーナス」などのボーナス役、「押し順ベル」、「押し順リプレイ」、「はずれ」などもある。
なお、本実施形態では、内部抽選処理は、後述するリール41a〜41cが定常回転に達する前に完了するものであるが、リール41a〜41cが回転を開始する前に完了するようにしてもよい。
【0016】
各リール41a〜41cは、表示手段の一例であり、各リール41a〜41cの周面には、識別情報となる複数(通常21個)の図柄が表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a〜41cに対応して設けられた停止ボタン5a〜5cが押下操作可能な状態(停止ボタン5操作の有効化)となる。
【0017】
停止ボタン5a〜5cは、操作手段の一例であり、例えば、停止ボタン5a〜5cに内蔵されたLED等の発光手段が点灯することにより押下操作可能な状態となり、このような状態において各停止ボタン5が押下操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止するように、各リール41a〜41cが停止制御される(導出制御手段)。
【0018】
停止状態では、リール41a〜41cのそれぞれに表された上下方向に連続する3つの図柄が表示窓6から機外に臨むように停止し、このときの停止態様に基づいて入賞の有無が判定される。
入賞の判定は、所定の入賞ライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定され、例えば、上・中・下段3つのラインと斜め2つのラインの計5ラインいずれかの入賞ライン上に停止表示された図柄の組合せに基づいて判定される。
【0019】
そして、入賞ライン上に停止した図柄の組合せを判定した結果、図柄の組合せが小役などに対応する特定表示結果であるときに、図柄の組合せに応じた遊技価値が付与される(遊技価値付与手段)。
例えば、小役に対応する図柄の組合せの停止表示(以下、導出ともいう)により、入賞が判定され、メダル払出装置7が駆動制御されることにより、メダルの貯留されたホッパー7aからメダル払出口7bを介して所定数のメダルが払い出され、具体的には、「ベル」、「押し順ベル」に対応する図柄の組合せの停止表示により8枚のメダルが払い出され、「チェリー1」、「チェリー2」に対応する図柄の組合せの停止表示により1枚のメダルが払い出される。
【0020】
なお、メダルの払い出しは、クレジットメダルの上限数を超える分のみが払い出されるように構成することもできるが、図示しない所定の設定ボタンを事前に操作することにより、入賞が発生するごとに、入賞に対応するメダルが払い出されるように構成することもできる。
また、リプレイ(例えば通常リプレイ、特殊リプレイ1〜3、押し順リプレイを含む)に対応する図柄の組合せの停止表示により、入賞が判定され、次回ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく遊技可能な状態となる。
また、「BIGボーナス」、「REGボーナス」に対応するボーナス図柄の組合せの停止表示により、所定の小役に高確率で当選するボーナス遊技に移行する。
【0021】
[主制御部・副制御部]
このような一連の動作を1回の遊技とするスロットマシン遊技は、
図3に示すように、主制御部10が、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作手段やメダルセレクタ2bなどの入力手段からの入力情報に基づいて、リール41a〜41cやこれらを回転駆動させるパルスモータなどを備えるドラムユニット4、メダル払出装置7などの出力手段を制御することにより実現される。
【0022】
また、スロットマシン1では、このようなスロットマシン遊技に同期した遊技演出も行われる。
例えば、ボーナス遊技やART遊技への移行を示す画像演出、ファンファーレ音、及びランプ演出などがそれぞれ、液晶TVなどの表示器8、スピーカ9、及びLED等の発光手段を備えるランプ11などの報知手段を介して出力される。
【0023】
そして、本実施形態では、後述する演出制御により、上記のようなART遊技中に実行される演出として、ART中にスピーカ9から出力されるBGMを選択・設定することができるようになっており(BGM選択機能)、また、ART中における上乗せ抽選処理によって上乗せが決定されると、スピーカ9を介して所定の演出(ストック示唆演出)が実行可能になっている(ストック示唆機能)。
また、そのようにART中に出力されるBGMの選択・設定は、表示器8の表示内容に従って、遊技者がスタートレバー3や停止ボタン5等を操作することで行うことができる(操作受付手段)。
【0024】
このような報知手段・演出制御は、副制御部20により制御される。また、副制御部20は、主制御部10から所定の遊技タイミングごとに受信する制御コマンドに基づいてこれらを制御する。
そして、本実施形態では、この副制御部20が、演出制御手段として機能・動作することにより、本発明に係る第1演出状態・第2演出状態の演出が実行・制御されるようになっている。
【0025】
副制御部20は、演出制御手段の一例であり、主制御部10からの指令に従った動作を実行可能に構成される。
例えば、副制御部20は、主制御部10に設けられた出力ポートなどの送信手段から所定の遊技タイミングごとに送信される制御コマンドを、当該副制御部20に備える入力ポートなどの受信手段を介して受信するとともに、受信した制御コマンドを解読し、制御コマンドに応じた演出を行うように表示器8などの報知手段を制御する。
副制御部20で制御・実行される演出制御の詳細については、
図6〜10を参照しつつ後述する。
【0026】
スロットマシン1は、このような通常のスロットマシンと同様の構成に加えて、以下のような特徴的な構成を備えている。
【0027】
[遊技状態(有利状態)]
スロットマシン1は、
図4に示すように、主制御部10により移行可能に制御される複数の遊技状態を有している。
大別すると、通常状態と有利状態があり、
図5における「遊技媒体増加区間」の項目に示すように、通常状態はメダルの減少し易い区間(図中の「×」は減少を示す)であり、遊技者に不利な遊技状態となっており、有利状態はメダルの増加し易い区間(図中の「○」は増加を示す)であり、通常状態よりも遊技者に有利な遊技状態となっている。
これにより、主制御部10によって、本発明に係る有利状態制御手段が構成・実行されるようになっている。
【0028】
本実施形態の有利状態は、さらに、ボーナスとARTとに大別される。
ボーナスは、遊技価値として付与される特定遊技価値の一例であり、所定の小役に高確率で当選するゲームが所定のメダル獲得数まで継続する有利な状態であり、「BIGボーナス」、「REGボーナス」などのボーナス役に当選するとともにこれらに対応するボーナス図柄の組合せの導出後に移行する。
ボーナスには、例えば、メダル獲得数の多い「BIGボーナス」と、メダル獲得数の少ない「REGボーナス」とがある。
【0029】
ARTは、特定遊技価値の一例であり、ATとRTの二つの状態が組み合わされた有利な状態である。
ATは、アシスト・タイムの略称であり、各停止ボタン5に対する操作順序や、目押しの目安となる図柄等を報知することにより、内部抽選処理の抽選結果に対応する図柄の組合せの導出をアシストする遊技状態である。
例えば、内部抽選処理において抽選される小役や再遊技の中には、対応する図柄の組合せが停止ボタン5a〜5cに対して行う6通りの操作順序それぞれに対応して導出可能な押し順指定の当選役があり、ATでは、これらの小役や再遊技に当選したときに、遊技者にとって有利な遊技結果が得られるように、それぞれに対応する押し順を表示器8などの報知手段を介して報知する。
【0030】
具体的には、例えば「押し順リプレイ」、「押し順ベル」、「特殊リプレイ1」〜「特殊リプレイ3」等の押し順指定の当選役があり、それぞれ6通りの操作順序に対応する停止表示の組合せがある。各押し順指定の当選役に当選したときに、それぞれに対応する押し順をスピーカ9や表示器8などの報知手段を介して画像、発光態様、音声等により報知し、遊技者がこの報知に従った順序で停止ボタン5a〜5cを操作することにより、押し順指定の当選役に入賞することになる。
また、このような押し順の報知に代えて又は加えて、小役や再遊技に当選したときに、これらに対応する図柄をスピーカ9、表示器8などの出力手段を介して報知することにより、目押しをアシストすることもできる。
【0031】
RTは、リプレイ・タイムの略称であり、内部抽選処理において抽選される通常リプレイの当選確率が、通常状態よりも高い有利な遊技状態である。
ARTは、このようなATとRTとが組み合わされた遊技状態であり、再遊技に高確率で当選しつつ、停止ボタン5に対する操作のアシストにより小役入賞が得られることから、手持ちのメダルが増加し易い遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0032】
このようなARTは、始期及び終期を有している。
ARTの始期は、例えば、通常状態において、所定の小役(例えば、チェリー1、2などのレア小役)に当選すること、かつ、この当選時に行われるART(AT)抽選処理において当選すること、さらに、RTの開始に係る図柄の組合せが導出することなどを始期することができる。RTの開始に係る図柄の組合せは、例えば、特殊リプレイ2又は3に当選したときに導出可能な図柄の組合せ(例えば、「リプレイ・リプレイ・ベル」、「ベル・ベル・リプレイ」)とすることができる。
【0033】
なお、ボーナス中における所定の条件成立(所定小役の当選など)によっても、ATに当選することもあり、この場合、ボーナス終了後、RTの開始に係る図柄の組合せの導出等によりRT開始となり、ARTに移行することもある。
ARTの終期は、例えば、所定ゲーム数の消化、所定数のメダル獲得、所定小役の所定回数当選などを終期とすることができる。
そして、このような始期と終期とにより規定される期間をARTの継続期間という。
【0034】
このようなARTは、さらに、複数の状態に細分化される。
例えば、「通常ART」、「上乗せART」、「ボーナスART」などの3つの状態に細分化することができる。これらは、ARTの継続期間を延長させるための特定結果を導出する確率の異なる状態となっている。
特定結果を導出する確率とは、ARTの継続期間を延長させるための確率であって、例えば、上乗せ抽選処理において当選する上乗せ当選確率のことをいう。
【0035】
上乗せ抽選処理とは、ART中に実行される抽選処理であり、当該ARTの継続期間を延長させるか否かを抽選により決定する処理のことである。この抽選処理は所定条件の成立タイミング(例えば、所定小役の当選タイミングなど)で実行され、これに当選すると、例えば、ARTの残りゲーム数に上乗せ抽選処理により当選した上乗せゲーム数が加算され、又は、ARTの残りメダル獲得数に上乗せ抽選処理により当選したメダル獲得数が加算され、又は、ARTの残り小役当選回数に上乗せ抽選処理により当選した上乗せ小役当選回数が加算されるなどにより、ARTの継続期間が延長されることになる。
【0036】
そして、本実施形態では、後述する演出制御により、上記のようなART中に実行される演出として、ART中に出力されるBGMが、遊技者の操作に応じて選択・設定することができるようになっている(BGM選択機能)。
また、上記のような上乗せ抽選処理が抽選により決定された場合には、ART中の演出として、所定の音声等が出力され、遊技者に対してARTの継続期間が延長されたことが示唆・報知されるようになっている(ストック示唆機能)。
【0037】
なお、上述したART中における3つの状態は、この上乗せ当選率が異なる値に設定されており、例えば、
図5における「上乗せ当選確率」の項目に示すように、「上乗せART」が最も高い値に設定され、これに、「ボーナスART」が続き、「通常ART」が最も低い値に設定されている。このような状態ごとの上乗せ当選率は主制御部10に備えるROMなどの記憶手段に記憶されている。
また、ART中においてボーナス役に当選することもあり、ボーナス役に当選後に移行するボーナス中に上乗せ抽選処理を実行することもでき、この場合、
図5における「上乗せ当選確率」の項目に示すように、「REGボーナス」は「BIGボーナス」よりも上乗せ当選確率を高く設定することが好ましいがこの限りではない。
そして、このような複数のART中において、上記のようなBGM選択機能及びストック示唆機能の演出制御が実行されるようになっている。
【0038】
以上のような有利状態に対して、通常状態は、再遊技の当選確率がRTよりも低く、アシスト対象となる小役や再遊技に当選したとしても対応する押し順や目押し図柄等を報知しないことから、手持ちのメダルが減少し易い遊技者に不利な遊技状態となる。
また、通常状態は、さらに、
図4に示すように複数の状態に細分化される。
【0039】
図4に示すように、通常状態は、例えば「通常モード」、「チャンスモード」などに細分化することができる。
これらのモードの違いはARTへの移行をかけたART(AT)抽選処理における当選(突入)確率の違いである。ART(AT)抽選処理は、例えば、所定の小役に当選したときに実行される抽選処理であり、
図5における「ART突入確率」に示すように、「チャンスモード」が「通常モード」よりも高い値に設定されている。
【0040】
また、通常状態において、ボーナスやボーナスARTに当選することもあり、このようなボーナス中にART(AT)抽選処理を実行することもでき、この場合、
図5における「ART突入確率」の項目に示すように、「BIGボーナス」は「REGボーナス」や「ボーナスART」よりも突入確率を高く設定することが好ましい。
なお、
図5における「遊技媒体増加区間」の項目に示す例では、「チャンスモード」をメダルの減少する区間として説明したが、これらの状態のうちの一部又は全部において、ATなどの遊技者に有利な遊技状態に移行させることもでき、これにより、「チャンスモード」をメダルの減少する「×」の区間ではなく、「○」と「×」の中間を意味する「△」の区間とすることもできる。
【0041】
[遊技状態の移行制御]
以上のような複数の遊技状態間の移行は、遊技状態制御手段として動作する主制御部10により制御される。
例えば、主制御部10は、スロットマシン1への電源供給開始後は、通常状態における「通常モード」に移行させ、その後、所定の小役の当選等を契機に、「チャンスモード」に移行させることができる。
また、通常状態、ボーナス中において、所定の小役に当選したときにART(AT)抽選処理を実行し、この処理において当選したときには、その後、特殊リプレイ2又は3の当選、又はこれらに対応する図柄の組合せ(例えば、「リプレイ・リプレイ・ベル」、「ベル・ベル・リプレイ」)の導出を契機に、ARTに移行させる。
【0042】
ARTに移行後は、例えば、最初に「通常ART」に移行させ、所定の継続期間が終了したときには、通常状態に移行させる。
この「通常ART」中において、所定の小役の当選などを契機に所定ゲーム数に亘り「上乗せART」に移行させる。特に、このような「上乗せART」に移行するときには、特別な演出(例えば、スタート操作を行ってもリールの回転を開始させない所謂フリーズ演出など)を伴うことが好ましい。また、「上乗せART」から「通常ART」への移行は、所定ゲーム数の消化などを契機とすることができる。
【0043】
「通常ART」及び「上乗せART」において、ボーナスART役として機能する「特殊リプレイ1」に当選したときには、所定ゲーム数に亘り「ボーナスART」に移行させる。
「特殊リプレイ1」は、押し順指定の当選役であり、6通りの押し順のうち表示器8などによる報知に従った一の押し順で停止ボタン5a〜5cを操作することに加え、「7」を狙った目押しを行うことにより、「7・7・7」が導出されることになり、当該一の押し順以外の押し順や目押しのミスにより、「リプレイ・7・7」などの他の図柄の組合せが導出される(
図7参照)。本実施形態では、「7・7・7」の導出の有無にかかわらず「ボーナスART」に移行させることとする。
【0044】
「ボーナスART」は、特定遊技価値の一例であり、ARTの継続期間(ゲーム数など)が減ることはなく、ARTが所定期間に亘って継続する状態であり、所定ゲーム数の消化等により、「通常ART」などの直前のART状態に移行する。このような「ボーナスART」として、所定ゲーム数やメダル獲得数がそれぞれ異なる複数の種類の「ボーナスART」を設けることもできる。
また、「通常ART」及び「上乗せART」において、ボーナス役に当選したときには、「BIGボーナス」、「REGボーナス」などの「ボーナス」に移行させる。この「ボーナス」中は、ARTの継続期間(ゲーム数など)が減ることはなく、「ボーナス」終了後、「通常ART」などの直前のART状態に移行する。
そして、以上のようにしてARTに移行すると、上述したBGM選択機能及びストック示唆機能の演出制御が実行され、所定の継続期間が終了して通常状態に移行すると、BGM選択機能及びストック示唆機能の演出制御も終了する。
【0045】
[演出制御(BGM選択機能・ストック示唆機能)]
次に、上記のような構成からなる本実施形態のスロットマシン1で実行・制御される演出制御(BGM選択機能・ストック示唆機能)の詳細については、
図6〜10を参照しつつ説明する。
本実施形態の演出制御は、遊技者に有利となる有利状態であるART中において所定の演出を実行・制御するものであり、上述した副制御部20によってスピーカ9や表示器8が制御されることで実行される。
【0046】
具体的には、スピーカ9や表示器8は、遊技の進行に関連する演出となる音や楽曲を出力・実行可能な、発明に係る演出実行手段を構成している。
副制御部20は、演出実行手段となるスピーカ9や表示器8を制御可能な、本発明に係る演出制御手段を構成している。
主制御部10は、通常状態よりも遊技者に有利な有利状態となるARTを制御可能な、本発明に係る有利状態制御手段を構成している。
表示機8及びスタートレバー3、停止ボタン5等の操作部は、ART中に出力されるBGMの選択・設定を行う遊技者の操作を受け付け可能な、本発明に係る操作受付手段を構成している。
【0047】
[第1/第2演出状態]
そして、以上のような演出制御手段によって制御される演出制御状態として、本実施形態では、スピーカ9を介して出力・実行させる演出として、スタートレバー3、停止ボタン5等で選択・設定される遊技者の操作に基づいて制御される第1演出状態と、ART状態の制御に関わる所定条件の成立に基づいて制御される第2演出状態とが実行されるようになっている。
【0048】
すなわち、第1演出状態は、ART中に出力・実行されるBGMとして、遊技者により選択されたBGM(音・曲)が演出(演出音・効果音)として出力されるものである(BGM選択機能)。
これによって、遊技者は、ART中には、自らが選択した好みのBGMを聴きながら、楽しみながら、ARTにおける遊技を進行・継続させることができる。
なお、遊技者によるBGMの選択・設定が行われなかった場合には、予め設定された所定のBGM(デフォルトBGM)が出力されるようになる。したがって、遊技者がBGMの選択を行わなかった場合でも、ART中にはBGM演出が実行される。
【0049】
また、第1演出状態であるBGM選択機能で出力される音声等としては、上述したBGMの他、例えば停止ボタン5を操作した際に出力される音声として通常とは異なる音声などを選択・設定可能とすることができる。
また、そのようなBGM選択機能で出力される音声等とともに、あるいは、そのような音等に代えて、例えば表示器8に表示される背景やキャラクタなどの映像として、遊技者が選択・設定した映像等を表示させることもできる。
【0050】
また、第2演出状態は、上述したART中に行われる上乗せ抽選処理によって、上乗せ抽選処理が抽選により決定された場合に、ARTの継続期間が延長されたことを示唆・報知する音声として、通常のART中のBGMとは異なる音や曲などが出力されるものである(ストック示唆機能)。
これによって、遊技者は、ART中において、上乗せ抽選によってARTの継続期間が延長されたことを認識・把握することができるようになる。
【0051】
なお、ストック示唆機能で出力される音声として、上述したART中の演出として出力されるBGMや、例えば停止ボタン5を操作した際に出力される音声として、BGM選択機能の場合とは異なる音声などを設定することも可能である。
また、そのような音声等とともに、あるいは、そのような音等に代えて、例えば表示器8に表示される背景やキャラクタなどの映像として、ARTの継続期間が延長されたことを示唆する映像等を表示させることもできる。
【0052】
このように、第1演出状態に基づいて制御され得る演出と、第2演出状態に基づいて制御され得る演出とは、演出内容(音・曲など)を異ならせることができる。これによって、遊技者に対して、現在ART中であること、そして、そのART中に当該ARTの継続期間が延長されたことを、異なる演出によって明確に認識・把握させることができるようになる。
図6(a)に、本実施形態に係るスロットマシン1の演出制御で設定・実行される演出内容の一例として、BGM選択機能・ストック示唆機能のBGMとして設定可能なBGMの種類と設定対象の対応関係を示す。
【0053】
同図に示す例では、BGM選択機能・ストック示唆機能のBGMとして、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」の5種類のBGM(音声・楽曲等)が用意されている。
これらBGMは、各種類に対応する音源データが、他の音源データや映像データ、描画データとともに、例えば副制御部20の制御により読み出し可能な記憶手段(ROM等)に記憶・格納されている。
【0054】
これら5種類のBGMのうち、BGM選択機能用として、「A」、「B」、「C」の3種類のBGMが割り当てられている。したがって、この「A」、「B」、「C」の3種類のBGMは、遊技者の選択により、ART中に出力されるBGMとして設定することができる。
また、この「A」、「B」、「C」の3種類のBGMのうち、「A」及び「B」は、ストック示唆機能のBGMとしては対象外となっている。したがって、「A」及び「B」は、ストック示唆機能において出力されることはない。
一方、「C」については、ストック示唆機能のBGMとしても対象となっており、後述する所定条件の成立に応じて、ストック示唆機能において出力される場合がある。
【0055】
また、同図に示すように、ストック示唆機能用のBGMとして、「C」、「D」、「E」の3種類のBGMが割り当てられている。したがって、この「C」、「D」、「E」の3種類のBGMは、ART中に上乗せ抽選処理が抽選により決定されると、ARTの継続期間が延長されたことを示唆・報知する演出として、所定のタイミングで出力されることになる。
また、この「C」、「D」、「E」の3種類のBGMのうち、「D」及び「E」は、BGM選択機能のBGMとしては対象外となっている。したがって、「D」及び「E」は、BGM選択機能において選択・出力されることはない。
一方、「C」については、BGM選択機能のBGMとしても対象となっており、遊技者の選択により、ART中に出力されるBGMとして設定することができる。
【0056】
このように、BGM選択機能とストック示唆機能において、共通のBGMを設定・出力可能とすることで、ART中の演出制御として、第2演出状態(ストック示唆機能)においても、第1演出状態(BGM選択機能)において遊技者の操作に基づいて制御される演出のうち、一部(上記BGM「C」参照)を制御可能とすることできる。
このようにすることで、遊技者にとっては、ストック示唆機能に係る演出(BGM)が出力されたか否かの判断を難しくしたり、判断がつかないようにすることができ、ARTの継続期間が延長されたか否かについての可能性や期待感を高揚させることができるようになる。
【0057】
また、以上のような設定によって実行される演出制御は、第1演出状態(BGM選択機能)から移行した第2演出状態(ストック示唆機能)において復帰条件が成立した場合に、第2演出状態から第1演出状態に復帰されるようになる(演出状態復帰手段)。
このような演出状態復帰手段は、第2演出状態から第1演出状態に復帰させた場合に、第2演出状態に移行する前の第1演出状態において遊技者の操作に基づいて制御されていた演出を実行させる。
これによって、遊技者は、第2演出状態においてストック示唆機能が実行された後は、再び第1演出状態に復帰したBGM選択機能により、自らが選択・設定したBGM等によって、継続するART等の有利状態を楽しむことができるようになる。
【0058】
また、以上の演出実行手段が実行可能な演出には、第1演出状態において遊技者の操作に基づいて制御されることがない特定演出を含むことができる。このような特定演出を含むことで、演出制御において、ART等の有利状態が継続することによって成立し得る特定条件の成立に基づいて、第1演出状態と第2演出状態とのいずれの演出制御状態であっても、演出実行手段に特定演出を実行させることができる。
ここで、特定演出としては、例えばART中に獲得された遊技媒体(メダル)が所定枚数に達した場合に出力される獲得枚数報知演出や、ART期間の終了を示すエンディング映像などがある。
これにより、上述したBGM選択機能やストック示唆機能に依存・関係しない演出を実行・制御させることができ、遊技者に対して、通常のスロットマシンと同様の特定演出を報知・提供することができる。
【0059】
以上のように、BGM選択機能は、遊技者の自由意思によって演出の内容を選択可能とすることができる機能である。
また、ストック示唆機能は、ARTのストックの有無、数量など、ARTの継続期間が延長されたことをBGMの変化で遊技者に示唆する機能である。
これによって、従来の遊技機にはない、遊技者に新たな興奮や期待感、満足度などを付与することができるようになる。
【0060】
なお、上述したBGM選択機能に応じて、ARTやボーナスゲーム等の遊技状態に応じて選択できるBGMを異ならせたり、選択可能となるまでの条件を設定することもできる。
また、例えばレア小役当選時に選択可能な曲を増加させるようにしてもよい。
また、
図6(a)で示した例では、設定可能な複数のBGMのうち、「A」と「B」はBGM選択機能専用、「D」と「E」はストック示唆機能専用としてあるが、これに限定されるものではない。例えば、BGM選択機能/ストック示唆機能のそれぞれに専用のBGMを設けてもよいが、そのような専用のBGMを設けず、両機能において任意のBGMを選択・設定可能とすることもできる。また、BGM選択機能/ストック示唆機能のいずれか専用のBGMの種類を多く設定可能としてもよい。
【0061】
また、
図6(a)で示した例では、BGM「C」をBGM選択機能/ストック示唆機能の共通としたが、このような両機能共通のBGMを設けないこともできる。また、共通のBGM等の演出を設ける場合に、それを複数種類設けてもよい。
さらに、本実施形態では遊技状態に対応して選択・設定可能なBGM選択機能用のBGMとして、上述した「A」と「B」を想定しているが、その他に、BGM選択機能やストック示唆機能の対象とならないBGM等の演出が用意されていてもよく、そのようなBGM等についても選択可能とすることもできる。
【0062】
[ストック示唆機能の発動条件]
次に、以上のような演出制御手段によって制御される第2演出状態であるストック示唆機能の発動条件について説明する。
本実施形態では、ストック示唆機能の発動・実行される所定条件として、以下のような場合が設定・制御されるようなっている。
すなわち、ストック示唆機能の対象となる有利状態であるARTは、上述のとおり、上乗せ抽選によってARTの継続期間が延長されるようになっており、そのような一の実行権利(ART継続期間の延長)に基づいて、ARTのゲーム数が所定ゲーム数継続するように構成されている。なお、このような実行権利(ART継続期間の延長)の数(ストック数)は、例えば主制御部10のRAMなどの記憶手段に記憶されるようになっている。
【0063】
そして、ストック示唆機能の発動の所定条件として、そのような実行権利が所定数となった場合、すなわち、ART継続期間の延長のストック数が所定数になった場合としてあり、ストック数が所定数になるとストック示唆演出が発動・実行されるようになっている。
また、ストック示唆機能の発動の所定条件として、上記のようなART継続期間が延長されることによって、現在実行中のARTにおける残ゲーム数が所定ゲーム数となった場合とすることもでき、ARTの残ゲーム数が一定ゲーム数以上に増加するとストック示唆演出を発動・実行させるようにすることもできる。
【0064】
このようにストック示唆機能の発動条件を設定することで、ART中において期間延長のストック数が所定数になったり、それによってARTの残ゲーム数が所定数に達した場合に、上述のようなストック示唆演出が実行されるようになる。
これによって、遊技者は、ART中の遊技を行っている所定のタイミングで、ストック数の獲得や増加、残ゲーム数の増加等をストック示唆演出によって認識・把握でき、現在行っているART遊技が一定期間延長されることによる期待や興奮、満足感などが高揚されるようになる。
【0065】
また、本実施形態に係る有利状態には、上述したように、有利度の異なる第1有利状態と第2有利状態とが含まれる場合がある。例えば、上述したようにARTは、「通常ART」、「上乗せART」、「ボーナスART」などの複数の遊技状態があり、それらは、例えばARTの継続期間を延長させるための確率(上乗せ当選確率)が異なるようになっている。
そこで、ストック示唆機能の発動条件として、ART中において上記のようなストック数や残ゲーム数が所定数となった場合でも、第1有利状態(例えば通常ART)においては、演出制御状態を第1演出状態(BGM選択機能)に制御し、第2有利状態(例えばボーナスART)においては、演出制御状態を第2演出状態(ストック示唆機能)に制御することができる。
このようにすると、上乗せ当選確率がより高い有利状態(ボーナスART)においてのみ、ストック示唆演出が実行されるようにすることができ、遊技者の興奮や期待度を更に高めるような演出が可能となる。
【0066】
図6(b)に、本実施形態に係るストック示唆機能の演出の発動条件と演出内容の対応関係の一例を示す。
同図に示す例では、ART継続期間の延長のストック数に応じて、ストック示唆機能として実行・出力されるBGMの種類と選択(発動)確率が設定されている。このようなストック示唆機能のBGMの選択処理は、上述した副制御部20によって実行・制御され、BGMの種類とストック数、それに応じた選択率は、例えば副制御部20の制御により読み出し可能な記憶手段(ROM等)に記憶・格納されている。
【0067】
まず、ストック数が「0」の場合には、ストック示唆機能は発動されず、現在実行中のARTの遊技状態に対応するBGMが出力されたままとなり、BGMの選択率は100%となる。
したがって、この場合には、上述したBGM選択機能で選択・設定されたBGM(
図6(a)参照)や、BGMが選択されていない場合には所定のBGM(デフォルトBGM)が、そのまま実行・出力されることになる。
【0068】
ストック数が「1〜4」となった場合には、ストック示唆機能としてBGM「C」が発動可能であり、その場合の「C」の選択率は30%に設定されている。また、「C」が選択されない場合には、現在実行中のARTの遊技状態に対応するBGMが出力され、その選択率は70%となる。
この場合には、ストック示唆機能が発動・実行される確率は30%となり、ストック示唆機能が実行されたりされなかったりすることになる。
また、この場合、ストック示唆機能として実行されるBGMは、上述したBGM選択機能にも割り当てられているBGM「C」となっており(
図6(a)参照)、BGM選択機能で「C」が選択されている場合には、ストック示唆機能が発動されたとしても、現在実行中のARTの遊技状態に対応するBGMと同じであり、遊技者はストック示唆を認識することはできなくなる。
【0069】
ストック数が「5〜9」となった場合には、ストック示唆機能としてBGM「C」又は「D」が発動可能であり、その場合の「C」の選択率、「D」の選択率がともに50%に設定されている。
したがって、この場合には、「C」又は「D」の選択率は100%となり、ストック示唆機能は100%実行・発動されるようになる。
また、この場合、ストック示唆機能として実行されるBGMのうち、「C」はBGM選択機能にも割り当てられているため(
図6(a)参照)、ストック示唆機能として「C」が選択された場合には、BGM選択機能で「C」が選択されていると、ストック示唆機能が発動されても遊技者はストック示唆を認識することはできなくなる。
一方、ストック示唆機能として「D」が選択された場合には、BGM選択機能で「C」が選択されていても、ストック示唆機能が発動されれば、遊技者はストック示唆を明確に認識することが可能となる。
【0070】
ストック数が「10以上」となった場合には、ストック示唆機能としてBGM「E」が発動可能であり、その場合の「E」の選択率は100%に設定されている。
したがって、この場合には、「E」の選択率は100%となり、ストック示唆機能は100%実行・発動されることになる。
また、この場合、ストック示唆機能として実行されるBGM「E」は、BGM選択機能では対象外となっているため(
図6(a)参照)、ストック示唆機能が発動されれば、遊技者はストック示唆を明確に認識することが可能となる。
【0071】
以上のように、ストック示唆機能の発動条件は、ストック数に応じて選択される曲の種類と選択される割合が異なるように設定することできる。
これによって、遊技者に対して、いずれの場合に、どのようなタイミングでストック示唆機能が発動されるかの期待や驚き、満足感などを付与することができ、従来のスロットマシンでは得られない興奮や喜びが得られるようになる。
なお、ストック示唆機能の発動条件は、上記のような
図6(b)に示した場合に限られるものではなく、他の発動条件等を設定することができる。
【0072】
例えば、スロットマシン1に設定されている出玉率の「設定」によって、発動条件を異ならせることもできる。
また、
図6(b)の例では、ストック数「0」、「1〜4」、「5〜9」、「10以上」の4つの場合に、「C」、「D」、「E」の3つのBGMを割り当てていたが、これを、各ストック数に応じて専用の曲等をそれぞれ用意するようにしてもよい。そのようにすると、実行される曲によって、遊技者にストック数を明確に認識・把握させることができるようになる。
さらに、ARTでは、ストックされる対象が複数ゲームのセット(セットストック)だけでなく、ゲーム数単位で上乗せ・ストックが行われる場合があり、その場合には、「セットストック+ゲーム数」に基づく残りゲーム数に応じた曲等が用意されていてもよい。
【0073】
[BGMの選択・設定]
次に、上述した演出制御手段によって制御される第1演出状態であるBGM選択機能を実行させるためのBGM等の選択・設定動作について説明する。
図7は、本実施形態に係るスロットマシン1においてBGM選択機能で設定・出力可能なBGM/効果音の選択・設定操作を説明するための図であり、(a)は選択可能なBGM等とその選択コマンドの対応関係を示す図表であり、(b)及び(c)は選択・設定画面の一例を示す図である。
【0074】
本実施形態では、上述したように、第1演出状態であるBGM選択機能として、複数のBGM「A」、「B」、「C」が選択・設定可能となっている(
図6(a)参照)。また、そのようなBGMの選択を行わないようすることもできるようになっている。
また、BGM選択機能として、上記のBGM(
図6(a)参照)の他に、停止ボタン5を操作した際に出力される音声を通常状態と異ならせる選択・設定可能とすることできる。
【0075】
そこで、
図7(a)に示すように、上記のようなBGM/停止ボタンの操作音として、「A選択:BGMとしてAを選択」、「B選択:BGMとしてBを選択」、「C選択:BGMとしてCを選択」、「選択終了:特定BGMの選択を終了」、「効果音カスタム:ボタン操作音を選択」という5つのBGM選択コマンドが備えられている。
そして、本実施形態では、上記のようなBGM/停止ボタンの操作音について、
図7(b)及び(c)に示すように、スロットマシン1の表示器8に選択・設定画面を表示させ、例えばスタートレバー3や停止ボタン5を選択・決定のための入力手段として、遊技者の操作に応じた選択・設定ができるようになっている。
【0076】
これにより、遊技者は、表示器8の表示画面を参照しつつ、スロットマシン1のスタートレバー3等の各種遊技用ボタンや演出用ボタンを操作して、表示器8に表示された曲名等を順次選択していくことができる(
図7(b)参照)。
また、ボタン操作音などの効果音についても、「X」、「Y」、「Z」の3種類の音を選択・設定することができる(
図7(c)参照)。
また、BGMの選択画面(
図7(b))や効果音の設定画面(
図7(c))において、「選択終了」を選択・入力操作を行うことで、BGM選択機能の使用状態が解除され、遊技状態に応じた曲(デフォルトBGM)や通常のボタン操作音が出力されるようにすることができる。
【0077】
ここで、上記のような「選択終了」を選択・設定できるようにすることで、特に、後述するBGM選択機能が優先される演出制御においては、1度でもBGM選択機能を使用してしまうと、その後別の曲を選択しようとしてもなんらかの「選択」しかできず「未選択」の状態になれないことから、「選択終了」を選択・設定することで、BGM選択を自然な状態(「未選択」状態)に戻すことができる。
また、「選択終了」によって「未選択」状態とすることで、例えば遊技の局面などによって、遊技者が重視したい機能を優先させることができる。
【0078】
以上のようなBGM/停止ボタンの操作音の選択・設定処理は、上述した副制御部20によって実行・制御され、
図7(a)に示すようなコマンドを示すデータ、
図7(b)及び(c)に示す設定画面を示すデータは、例えば副制御部20の制御により読み出し可能な記憶手段(ROM等)に記憶・格納されている。
また、このようなBGM/停止ボタンの操作音の選択・設定処理は、遊技者の所定操作において任意のタイミングで行うことができ、遊技の開始前や、通常状態の遊技中において、また、有利状態であるART中に行うことができる。
なお、上記のようなBGM/効果音の選択・設定処理は、
図7に示す場合に限定されるものではなく、例えば、専用の選択画面や選択ボタン等を別途設けることも可能である。
【0079】
[演出パターン]
次に、以上のような本実施形態に係る第1/第2演出状態(BGM選択機能/ストック示唆機能)の出力・実行パターンについて説明する。
第1/第2演出状態は、以下のようなパターンで実行させることができる。
まず、スロットマシン1において通常状態の遊技が行われ、上述のような所定の条件によってARTが開始すると、演出制御手段となる副制御部20の制御により、第1演出状態が実行され、その第1演出状態において所定条件が成立した場合に、第2演出状態に移行させる制御が実行される。
また、第2演出状態において、操作受付手段(例えばスタートレバー3や停止ボタン5等)への遊技者の操作を受け付けた場合に、第2演出状態を終了して第1演出状態に移行させる制御を実行することができる。
【0080】
以下、
図8〜10を参照して、第1/第2演出状態の具体的な実行パターンを説明する。
なお、以下に示す第1/第2演出状態の実行パターンは、上述した副制御部20によって実行・制御され、各パターンを制御するプログラムは、例えば副制御部20の制御により読み出し可能な記憶手段(ROM等)に記憶・格納されている。
また、複数の各実行パターンは、いずれか一つのみを実行させることができ、また、任意の組み合わせにより複数の実行パターンを切り替えて実行させることができる。その場合、複数の実行パターンは、予め設定された所定条件で切り替えることができ、また、例えば所定の選択・設定操作に応じて、遊技場の従業者や遊技者が選択できるようにすることもできる。
【0081】
[パターン1−1:ストック示唆機能優先]
図8(a)に、第1/第2演出状態の具体的な第1の実行パターンとして、ストック示唆機能を優先するパターンを示す。
同図に示すように、このパターンは、ストック示唆機能がBGM選択機能に優先して実行される場合であり、BGM選択機能/ストック示唆機能の設定(
図6参照)に応じて、以下のように実行・制御される。
【0082】
まず、ARTが開始され、ストック示唆機能が「非発動中」の場合、すなわち、上乗せ抽選処理によるART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たしていない場合には、BGM選択機能が実行される。
この場合、遊技者によるBGMの選択・設定が行われていない場合には、BGM選択機能は「非使用中」となり、ART中のBGMとして、例えば予め設定された所定のBGM(デフォルトBGM)など、遊技状態に対応する曲が出力されるようになる。
一方、遊技者によるBGMの選択・設定が行われている場合には、BGM選択機能は「使用中」となり、ART中のBGMとして、遊技者により選択されたBGM、例えばBGM「A」等(
図6(a)参照)が出力されるようになる。
【0083】
その後、ART中に上乗せ抽選処理が実行され、その結果、ART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たした場合には、ストック示唆機能が「発動中」となる。
この場合、BGM選択機能として遊技者によるBGMの選択・設定が行われていな場合には、BGM選択機能は「非使用中」となり、ストック示唆演出として、ストック数に対応するBGM、例えばBGM「D」等(
図6(b)参照)が出力されるようになる。
一方、BGM選択機能として遊技者によるBGMの選択・設定が行われている場合には、BGM選択機能は「使用中」となるが、本パターンではストック示唆機能が優先されるようになっており、ストック示唆演出が実行され、ストック数に対応するBGMが出力される。
【0084】
図8(b)は、上記のストック示唆機能が優先実行される場合を模式的に示している。
このように、本パターンでは、BGM選択機能よりもストック示唆機能が優先して実行されるため、ストック示唆機能の所定条件が成立すると、必ずストック示唆演出が実行されることになる。
したがって、ストック示唆演出専用のBGM(
図6参照)が出力される場合には、遊技者はストック示唆を明確に認識することが可能となる。
但し、ストック示唆演出用のBGMがBGM選択機能で選択されているBGMと共通している場合には(
図6参照)、ストック示唆演出が実行されても遊技者はストック示唆を認識することはできなくなる。
【0085】
[パターン1−2:ストック示唆機能優先・ボタン操作音有効]
図9(a)に、第1/第2演出状態の具体的な第2の実行パターンとして、ストック示唆機能を優先するとともに、ボタン操作音については遊技者が選択した音声を有効とするパターンを示す。
同図に示すように、このパターンは、ストック示唆機能がBGM選択機能に優先して実行され、かつボタン操作音を併用するパターンであり、BGM選択機能/ストック示唆機能の設定(
図6参照)に応じて、以下のように実行・制御される。
【0086】
まず、ARTが開始され、ストック示唆機能が「非発動中」の場合、すなわち、上乗せ抽選処理によるART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たしていない場合には、BGM選択機能が実行される。
この場合、遊技者によるBGMの選択・設定が行われていない場合には、BGM選択機能は「非使用中」となり、ART中のBGMとして、例えば予め設定された所定のBGM(デフォルトBGM)など、遊技状態に対応する曲が出力されるようになる。
一方、遊技者によるBGMの選択・設定が行われている場合には、BGM選択機能は「使用中」となり、ART中のBGMとして、遊技者により選択されたBGM、例えばBGM「A」等(
図6(a)参照)が出力されるようになる。また、この場合、遊技者により選択された停止ボタンの操作音として、BGM選択機能用の効果音が出力される。
【0087】
その後、ART中に上乗せ抽選処理が実行され、その結果、ART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たした場合には、ストック示唆機能が「発動中」となる。
この場合、BGM選択機能として遊技者によるBGMの選択・設定が行われていな場合には、BGM選択機能は「非使用中」となり、ストック示唆演出として、ストック数に対応するBGM、例えばBGM「D」等(
図6(b)参照)が出力されるようになる。
一方、BGM選択機能として遊技者によるBGMの選択・設定が行われている場合には、BGM選択機能は「使用中」となるが、本パターンではストック示唆機能が優先されるようになっており、ストック示唆演出が実行され、ストック数に対応するBGMが出力される。
但し、この場合には、ボタン操作音については遊技者による選択・設定が行われた音声が有効とされ、ストック数に対応するBGMとともに、遊技者により選択されたボタン操作音が出力される。
【0088】
図9(b)は、上記のストック示唆機能が優先実行される場合を模式的に示している。
このように、本パターンでは、BGM選択機能よりもストック示唆機能が優先して実行されるため、ストック示唆機能の所定条件が成立すると、必ずストック示唆演出が実行されることになる。
したがって、ストック示唆演出専用のBGM(
図6参照)が出力される場合には、遊技者はストック示唆を明確に認識することが可能となる。
但し、ストック示唆演出用のBGMがBGM選択機能で選択されているBGMと共通している場合には(
図6参照)、ストック示唆演出が実行されても遊技者はストック示唆を認識することはできなくなる。
また、本パターンでは、ボタン操作音については遊技者による選択・設定が行われた音声が有効とされるため、ストック示唆演出中においても、遊技者が選択・設定したボタン操作音が出力されるようになる。
【0089】
[パターン2:BGM選択機能優先]
図10(a)に、第1/第2演出状態の具体的な第3の実行パターンとして、BGM選択機能を優先するパターンを示す。
同図に示すように、このパターンは、BGM選択機能がストック示唆機能に優先して実行される場合であり、BGM選択機能/ストック示唆機能の設定(
図6参照)に応じて、以下のように実行・制御される。
【0090】
このBGM選択機能が優先されるパターンでは、BGM選択機能の使用/非使用によって、以下のような制御が実行される。
BGM選択機能が「非使用中」の場合、すなわち、遊技者によるBGMの選択・設定が行われていない場合には、まず、上乗せ抽選処理によるART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たしていない場合には、ストック示唆機能は発動されず「非発動中」となり、BGM選択機能が実行される。この場合、遊技者によるBGMの選択・設定が行われていないので、ART中のBGMとしては、デフォルトBGMなどの遊技状態に対応する曲が出力される。
また、ART中に上乗せ抽選処理が実行され、その結果、ART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たした場合には、ストック示唆機能が「発動中」となる。この場合にも、遊技者によるBGMの選択・設定が行われていないので、BGM選択機能は実行されず、ストック示唆演出が実行されて、ストック数に対応するBGMが出力されることになる。
【0091】
一方、BGM選択機能が「使用中」の場合、すなわち、遊技者によるBGMの選択・設定が行われている場合には、まず、上乗せ抽選処理によるART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たしていない場合には、ストック示唆機能は発動されず「非発動中」となり、BGM選択機能が実行される。この場合には、遊技者によるBGMの選択・設定が行われているので、ART中のBGMとしては、遊技者により選択されたBGM、例えばBGM「A」等(
図6(a)参照)が出力されるようになる。
また、ART中に上乗せ抽選処理が実行され、その結果、ART継続期間の延長のストック数が所定条件を満たした場合には、ストック示唆機能が「発動中」となる。しかしながら、この場合に、本パターンではBGM選択機能が優先されるので、ストック示唆演出は実行されず、そのままBGM選択機能が継続して実行され、遊技者により選択されたBGMが出力されることになる。
【0092】
図10(b)は、このようなBGM選択機能が優先実行される場合を模式的に示している。
このように本パターンでは、ストック示唆機能よりもBGM選択機能が優先して実行されるため、ストック示唆機能の所定条件が成立した場合でも、BGM選択機能が非使用中の場合、または、BGM選択機能を「選択終了」させた場合でないと、ストック示唆演出は実行されないことになる。
したがって、例えばストック示唆機能を不要とするような遊技者にとっては、本パターンにおいてBGM選択機能を積極的に選択・利用することで、ストック示唆機能を発動・実行させないようにすることができ、遊技者の多様なニーズや嗜好にきめ細かい対応が可能となる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1では、遊技者が選択したBGMなどの演出制御と、ART等の有利状態に関わる所定条件の成立によって制御される演出制御を、所定の優先順位・実行パターンに従って制御・実行することができる。
これによって、遊技者はストック示唆機能とBGM選択機能の双方を楽しむことができ、従来にはない演出による興奮や期待感、満足度などが得られるようになる。
【0094】
これに対して、例えば、上述した特許文献1に記載の遊技機を含む従来の遊技機では、ARTの残りストック数に応じて、単にBGMが変化するだけであった。
このため、遊技者にとっては、例えばBGMが変わったとしても興趣が高まりきらず、特に、遊技者の所望するBGMに変化するとは限らない点に大きな問題があった。
本実施形態のスロットマシン1によれば、上述のとおり、このような従来の遊技機が改善すべき課題の全部又は一部などを解決することができるものである。
【0095】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0096】
例えば、本実施形態では、ART中はBGM選択機能(第1演出状態)を使用可能とし、所定条件の成立(ストック数所定数以上、ART中の連続演出発生など)で、BGMが自動選択される(第2演出状態)演出制御を例に取って説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、連続演出が開始されるとBGMが変化する機能を備える遊技機においては、そのような連続演出の開始を「所定条件の成立」として、BGMを第1演出状態から第2演出状態に移行させることになるので、そのような場合も、本発明に係る演出制御に該当する。
【0097】
その他、本発明の変形例、応用例としては以下のようなものがある。
(1)第1有利状態(ART)中はストック示唆機能を発動可能とし、第2有利状態(ボーナス)中はBGM選択機能を使用可能としてもよい。
(2)設定差がある第2有利状態(ボーナス)中はストック示唆機能を発動可能とし、設定差がない第2有利状態(ボーナス)中はBGM選択機能を使用可能としてもよい。
(3)有利度が異なる状態によって、BGM選択機能が有効か、ストック示唆機能が有効かを異ならせてもよい。また、選べる演出の選択肢が異なるように制御してもよい(例えば、ART中は曲A〜C、ボーナス中はD、Eなど)。
(4)ストック示唆機能をART中に発動可能とし、BGM選択機能をボーナスARTとした場合に、いずれの場合にも特別BGMや、エンディング的なムービーや、獲得枚数報知演出を実行可能とすることができる。
(5)ストック示唆機能をART中に発動可能とし、BGM選択機能をボーナスARTとした場合に、フリーズが発生した場合にはいずれの場合でも特別な演出を実行することができる。
【0098】
また、上述した本実施形態では、副制御部20を本発明に係る演出制御手段として構成・動作させているが、これに代えて、例えば主制御部10を演出制御手段として動作させることもできる。
また、上述した本実施形態では、主制御部10を遊技状態制御手段などとして動作させたが、これに代えて、副制御部20を遊技状態制御手段などの各種手段として動作させることもできる。
また、本実施形態では、主制御部10がART(AT)抽選処理、上乗せ抽選処理など各種抽選処理を行ったが、内部抽選処理を除いた各種抽選処理を副制御部20が行うこともできる。
【0099】
また、本実施形態では、表示手段としてモータにより駆動制御されるリールを用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の表示手段として用いることもできる。
また、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した例を示したが、遊技機としてパチンコ機や玉スロなど、他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。