特許第6736064号(P6736064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6736064
(24)【登録日】2020年7月17日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】薬剤フィーダ
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20200728BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   A61J3/00 310K
   B65G47/14 102B
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-159(P2017-159)
(22)【出願日】2017年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-108277(P2018-108277A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/013553(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/002650(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/099189(WO,A1)
【文献】 特開2015−023969(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/041220(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直線を中心として軸回転可能な外側の環状回転体と、鉛直から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で前記環状回転体の内側に装備されて前記環状回転体の中空を塞ぐ傾斜回転体と、前記傾斜回転体の回転によってその上から前記環状回転体の上端周縁部の上に運ばれた固形の薬剤を前記環状回転体の回転時に整列させる規制部材とを備えた薬剤フィーダであって、
前記環状回転体と前記傾斜回転体が乗せられるとそれらを固定位置に保持する複数の支承部材と、前記の複数の支承部材の何れかであって前記環状回転体と前記傾斜回転体に対して摩擦伝動にて回転運動を伝達する回転伝動部材とを具備しており、
前記回転伝動部材のうち前記環状回転体に係る部分が大径部に外装され且つ前記回転伝動部材のうち前記傾斜回転体に係る部分が小径部に外装された回転駆動部材を具備している、ことを特徴とする薬剤フィーダ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するために、錠剤やアンプル剤といった粒状固形物の薬剤を自動供給するようになった薬剤フィーダに関し、詳しくは、形状の同じ多数の薬剤をランダム収容するとともに、それらの薬剤を回転体で整列させることで、それらの薬剤を一つずつ送り出す逐次送出・順次排出を行う薬剤フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
同一形状の錠剤等(薬剤)を一列に整列しながら搬送する整列供給装置(薬剤フィーダ)として、定速回転するターンテーブルと、前記ターンテーブルの外周に沿って設けられた固定の外壁と、前記ターンテーブルの上面で運ばれて来て当接した物を径方向外側へ案内する固定の整流ガイドと、前記外壁を貫く形で設けられていて前記外壁に沿って前記ターンテーブルの上面で運ばれて来た物を前記ターンテーブルの上から外へ導く導出部と、前記導出部に具備された内外対向部材の間隙にて導出物の幅を規制する幅規制手段と、前記導出部の手前で導出物の高さを規制する高さ規制部材とを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、そのような平らな円板状のターンテーブルを用いるよりも多数の物品を収容することができるよう、回転体に、央部が下に凹んでボール状・逆円錐形状になるとともに上端の周縁部がフランジ状になっている謂わばフランジ付き回転容器を採用したものもある(例えば特許文献2参照)。そして、このフランジ付き回転容器を具備したロータリ・パーツフィーダとして、固定の整流ガイドを平坦なターンテーブル上面対応形状から形状変更にてフランジ付き回転容器の凹部の内側の曲面に適合させた装置と(例えば特許文献2の実施例等を参照)、固定の整流ガイドではなく、もう一つ別の回転体を導入し、これを傾斜させて水平なフランジ付き回転容器の中に収めた装置との2タイプが知られている(例えば特許文献2の従来技術を参照)。
【0004】
さらに、給電や制御のために薬剤分包機の引出棚などに固定して列設される駆動部と、薬剤補充作業の容易化などのため駆動部に対して着脱自在になっている薬剤カセットとからなり、多数の薬剤を薬剤カセットにランダム収納しておき、必要に応じて駆動部を間欠動作や連続動作させて薬剤カセットから薬剤を一つずつ送り出すようになっている薬剤フィーダも知られている(例えば特許文献3参照)。その薬剤カセットは、多数の固形薬剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部の中に設けられた整列盤と、前記整列盤の外周面に多数形成されていて前記容器部と前記整列盤との環状間隙を等ピッチで多数の区画室に区切る羽根状の隔壁と、前記容器部の底部のうち前記環状間隙の下面をなす部分の一部に形成された排出口に対向させて設けられ前記環状間隙の一部を仕切る仕切板とを備えていて、前記区画室の中に入った薬剤を駆動部の回転駆動による前記整列盤の軸回転にて前記排出口から一つずつ落下させるようになっている。
【0005】
このような従来の薬剤フィーダ等の場合、上面の平坦なターンテーブルを回転体に採用した謂わば円板回転タイプと(例えば特許文献1参照)、フランジ付き回転容器を回転体に採用した謂わばフランジ回転タイプと(例えば特許文献2参照)、外周に隔壁が列設されている整列盤を回転体に採用した謂わば整列盤回転タイプとを(例えば特許文献3参照)、同じようなサイズのもので比較すると、薬剤等の収容量については、円板回転タイプが最も少なく、整列盤回転タイプが最も多く、フランジ回転タイプが両者の中間である。収容量が多ければ、薬剤を停止時に補充しておき逐次送出時は補充しない運用でも使い易いが、収容量が少ないと、薬剤を随時投入する運用の方が使い勝手が良い。
【0006】
このような収容量の多寡等から、多種の薬剤を取り扱うため庫部に多数の薬剤フィーダが配設されるので各フィーダへ個別に随時投入するのが難しい薬剤分包機等には、整列盤回転タイプ(例えば特許文献3参照)が多用されてきた。
もっとも、整列盤回転タイプでは、整列盤の外周の隔壁の形状やピッチを、製造後に変更調整するのが困難なうえ、できるだけ薬剤の外形に適合させることが求められることから、特定薬剤への専用化の傾向が強くて、同じ薬剤フィーダに共用しうる薬剤の形状の範囲が狭いうえ、使用に先立って設計や製造に時間を要することが間々ある。
【0007】
そのため、近年の薬剤の種類の増加に伴う固形の粒状薬剤の多様化に対して、薬剤形状の共用範囲を広げることで対処するべく、薬剤の幅や高さを規制可能なタイプのうちでは薬剤収容量の多いフランジ回転タイプを改良して、種々の形状やサイズの薬剤に対する共用範囲が広い小形の薬剤フィーダが開発されている(例えば特許文献4参照)。
これは、央部が下に凹んでボール状・逆円錐形状になるとともに上端の周縁部がフランジ状になっている謂わばフランジ付き回転容器を回転体に採用した薬剤フィーダであり、上述したフランジ回転タイプのうち、固定の整流ガイドを平坦なターンテーブル上面対応形状から形状変更にてフランジ付き回転容器の凹部の内側の曲面に適合させた装置(例えば特許文献2の実施例等を参照)に、概要構成が類似している。
【0008】
具体的には(特許文献4参照)、央部が固形の薬剤をランダム収容しうるように凹んでおり且つ周縁部が前記薬剤を円弧状に並べて置けるようにフランジ状になっている軸回転可能な回転容器と、前記回転容器の外周に沿って設けられた固定の外壁と、前記回転容器の中の前記薬剤を前記央部から前記周縁部へ案内する整流案内部材と、前記外壁を貫く形で設けられていて前記外壁に沿って前記回転容器の前記周縁部の上面で運ばれて来た前記薬剤を導出物として前記周縁部の上から外へ導く導出部と、前記導出部の手前で前記導出物の高さを規制する高さ規制部材と、前記導出部に具備された内外対向部材のうち外周側に配された揺動部材からなり揺動にて前記回転容器の前記周縁部の上面の空き幅を拡縮することにより前記導出物の幅を規制する幅規制部材と、前記内外対向部材のうち内周側に配されたベルト送り機構からなり前記回転容器の前記周縁部の内側に至っていて前記導出物を前記幅規制部材とで挟持して前記回転容器の回転時の前記周縁部よりも高速で送る挟持送出機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平02−193809号公報
【特許文献2】実開平06−061832号公報
【特許文献3】特開2002−153541号公報
【特許文献4】特開2015−023969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような改良フランジ回転タイプ薬剤フィーダとも呼べる薬剤フィーダは(特許文献4参照)、錠剤分包機に搭載された多数の整列盤回転タイプ薬剤フィーダのうち一部のものを代替したり、薬剤フィーダを一個か少数個しか搭載しない錠剤分割器などに搭載したりして、実用に供され、好評を博している。
そして、薬瓶へ錠剤等の薬剤を充填する装置などにおいて逐次送出した薬剤の個数を数え上げる錠剤カウンタ(薬剤カウンタ)についても、整列盤回転タイプ薬剤フィーダに代えて、改良フランジ回転タイプ薬剤フィーダを搭載したところ、種々の形状やサイズの薬剤に共用することができた。
【0011】
ところが、改良フランジ回転タイプ薬剤フィーダを薬剤カウンタに対して前置した場合、一個の薬剤フィーダで取り扱う薬剤の個数が短時間でも極めて多数に上る事態がしばしば生じるため、薬剤フィーダの各部材について、そのうちでも薬剤の送り経路に臨む部材については特に、清掃を要する頻度が大きくなる。しかも、改良フランジ回転タイプ薬剤フィーダでは、回転容器の内側に繊細な整流案内部材が配置されているため、回転容器の上の規制部材などを取り外しても直ちに回転容器の内側を気楽に清掃できる訳ではない。また、部材の丸洗い等のために整流案内部材や回転容器を取り外す場合にも、繊細な整流案内部材の着脱には細心の注意と手間を掛けなければならないので、作業負担が重い。
【0012】
そのため、改良フランジ回転タイプ薬剤フィーダと同じく、薬剤の幅などを規制可能なタイプのうちでは薬剤収容量が多いうえ種々の形状やサイズの薬剤に対する共用範囲も広いが、回転体が内外二重になっていて回転体の中に固定の整流ガイドを設ける必要がない謂わば二重回転タイプ薬剤フィーダ(例えば特許文献2の従来技術を参照)を採用することが思い浮かぶ。
【0013】
しかしながら、それだけでは、繊細な部材が減った分だけ作業者の気が楽になる程度にすぎない。比較的大きな回転容器が一つから二つに増加したことにより、脱着作業の負担が増えるので清掃性が大きく改善するのを期待することができないうえ、容器を回転させる駆動源や脱着式伝動機構などが二系統になるため、部品点数の増加や構造の複雑化を招来し、ひいては不所望なコストの増加やメンテナンス性の低下をも招きかねない。
そこで、二重回転タイプ薬剤フィーダを踏襲しつつも構造が簡素で清掃もしやすい薬剤フィーダを実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の薬剤フィーダは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、鉛直線を中心として軸回転可能な外側の環状回転体と、鉛直から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で前記環状回転体の内側に装備されて前記環状回転体の中空を塞ぐ傾斜回転体と、前記傾斜回転体の回転によってその上から前記環状回転体の上端周縁部の上に運ばれた固形の薬剤を前記環状回転体の回転時に整列させる規制部材とを備えた薬剤フィーダであって、前記環状回転体と前記傾斜回転体が乗せられるとそれらを固定位置に保持する複数の支承部材と、前記の複数の支承部材の何れかであって前記環状回転体と前記傾斜回転体に対して摩擦伝動にて回転運動を伝達する回転伝動部材とを具備していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の薬剤フィーダは(解決手段2)、上記解決手段1の薬剤フィーダであって、前記回転伝動部材のうち前記環状回転体に係る部分が大径部に外装され且つ前記回転伝動部材のうち前記傾斜回転体に係る部分が小径部に外装された回転駆動部材を具備していることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の薬剤フィーダは(解決手段3)、上記解決手段1,2の薬剤フィーダであって、前記傾斜回転体の上面は央部が凹んでおり周縁部が外側ほど下がっていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の薬剤フィーダは(解決手段4)、上記解決手段3の薬剤フィーダであって、前記傾斜回転体の前記周縁部の上方に薬剤当接部位を位置させていて当接薬剤を前記傾斜回転体の前記央部へ向けて付勢する仕分け部材を具備していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の薬剤フィーダは(解決手段5)、上記解決手段4の薬剤フィーダであって、前記規制部材が前記環状回転体の上端周縁部の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭めるものであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の薬剤フィーダは(解決手段6)、上記解決手段5の薬剤フィーダであって、前記規制部材が前記薬剤搬送経路幅の狭め量を可変調整しうるものであって複数設けられており、それら複数の規制部材の調整量を連動させるリンク機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段1)、二重回転タイプ薬剤フィーダを基本にしたことにより、すなわち、回転容器を内外二重化してそれらの回転にて内側の傾斜回転体から外側の環状回転体の上端周縁部の上に固形薬剤を運び更にその固形薬剤を規制部材にて整列させるようにしたことにより、薬剤幅等の規制可能タイプのうちでは薬剤収容量が多いうえ、種々の形状やサイズの薬剤に対する共用範囲が広いものとなっており、回転体の中に固定の整流ガイドを設ける必要もない。
【0021】
しかも、それに加え、両回転体すなわち環状回転体と傾斜回転体が複数の支承部材に乗せられて固定位置に保持されるとともに、それらの複数の支承部材のうち何れかが摩擦伝動にて両回転体を軸回転させるようにもしたことにより、両回転体と回転駆動部との間に介在する伝動部の構造が簡素化されるばかりか、両回転体を支承部材に載せ置けば、その重みで摩擦伝動可能状態が確立されるため、回転伝動部の連結確立のためにギヤ嵌合といった面倒な調整作業を行う必要がない。また、支承部材に載せ置かれている両回転体を持ち上げれば、両回転体が支承部材から離れて自由状態になるため、丸洗い等の清掃作業も、修理交換等の保守作業も、容易に行う行うことができる。
したがって、この発明によれば、二重回転タイプ薬剤フィーダを踏襲しつつも構造が簡素で清掃もしやすい薬剤フィーダを実現することができる。
【0022】
また、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段2)、回転駆動部材が両回転体の何れにも連結されるようにしたことにより、電動モータといった回転駆動源の個数が回転体の個数より少なくて済むので、コストダウンが図れる。しかも、内側の傾斜回転体より外側の環状回転体を速く回転させるのが望まれるところ、それら両回転体と回転駆動部材との接触係合を介添えする二つの回転伝動部材を回転駆動部材の異径部に分けて配設したことにより、回転駆動部材が丸棒状部材等で足り、回転伝動部材が円輪状部材等でも足りるので、回転駆動部材も回転伝動部材も簡素で安価なもので済ませることができる。
【0023】
さらに、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段3)、傾斜回転体の上面の央部を凹ませたことにより、薬剤の収容量が更に多くなる。しかも、傾斜回転体の上面の周縁部を傾斜させて外側ほど下がるようにもしたことにより、内側の傾斜回転体から外側の環状回転体の上端周縁部の上への固形薬剤の移載について、傾斜回転体の上面の周縁部の傾きに基づいて個々の薬剤の移動が迅速かつ円滑になされるとともに、傾斜回転体の上面の周縁部の幅などに基づいて移動薬剤の横並び可能個数が制限される。
そのため、傾斜回転体の上面央部を凹ませて薬剤の収容量を増加せても、そしてそれに伴って傾斜回転体から環状回転体への薬剤移載量も増加しかけたとしても、簡便に薬剤の移動量が過量になるのを抑制することができる。
【0024】
また、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段4)、傾斜回転体を上述のようにしたうえで、環状回転体の上端周縁部の上の薬剤に作用する規制部材の他に、傾斜回転体の上面の傾斜周縁部の上の薬剤に作用する仕分け部材をも導入して、この仕分け部材によって、環状回転体の上端周縁部の上に薬剤が満ちている等の理由で傾斜回転体から環状回転体へ乗り移れずに傾斜回転体の上端周縁部の上に残っていた薬剤が、傾斜回転体の央部へ向けて付勢されて速やかに央部へ戻るようにもしたことにより、傾斜回転体の上面の周縁部が傾斜していても、そこから環状回転体の上端周縁部の上への固形薬剤の乗り移り量が環状回転体の上端周縁部の幅に応じた適量に調整されることから、その後の規制部材の負担が軽減されるので、規制部材が例えば高さを規制せず幅・横方向を規制するだけの簡便なものであったとしても、環状回転体の上に薬剤をきちんと整列させることができる。
【0025】
また、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段5)、上述のような仕分け部材による傾斜回転体から環状回転体への薬剤移載に係る適量化を前提として、環状回転体の上端周縁部の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭めるという簡素な部材を規制部材に採用したことにより、規制部材が高さ規制の不要な簡素なもので足りるので、コストダウンが図れるばかりか、両回転体の脱着に際してその前後に行う規制部材の脱着も容易になる。
【0026】
また、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段6)、上述のような簡素な規制部材であっても、薬剤搬送経路幅の狭め量を可変調整しうるものが採用されたことにより、種々の形状やサイズの薬剤に対する適応性や共用性が高く維持されるとともに、規制部材が複数化されたことにより、整列機能が強化されている。しかも、それらに加え、リンク機構も設けて、複数の規制部材の調整量が連動するようにもしたことにより、幅規制の調整作業は、複数の規制部材に係る作業を纏めて行えるので、規制部材が複数化されても簡便かつ迅速に済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例1について、薬剤フィーダの構造を示し、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。
図2】(a)がリンク機構や周壁上層部を取り外したところの平面図、(b)が周壁も取り外したところの平面図である。
図3】(a)が仕分け部材の正面図と右側面図と右側面図であり、(b)がフィーダ要部の展開図であって周壁等と回転容器は縦断面を図示し回転駆動機構と回転伝動部材は外観を図示している。
図4】(a)が回転容器の縦断面の展開図、(b)が回転駆動部材とそれに外装される大小二つの回転伝動部材とに係る展開図である。
図5】収容した薬剤を整列させ始めたところの薬剤フィーダの動作状態を示し、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。
図6】整列させた薬剤を落下排出口へ送り出しているところの薬剤フィーダの動作状態を示し、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。
図7】回転容器を筐体から取り出したときの状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
このような本発明の薬剤フィーダについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜7に示した実施例1は、上述した解決手段1〜6(出願当初の請求項1〜6)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、筐体パネルや,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0029】
本発明の薬剤フィーダの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、薬剤フィーダ10のほぼ全容を示しており、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。また、図2は、(a)が、最上部に配設されたリンク機構73や周壁11の上層部分を取り外したところの平面図、(b)が、それらに加えて周壁11とその装着物60,71,72も取り外したところの平面図である。
【0030】
さらに、図3は、(a)が、仕分け部材60の正面図と右側面図と右側面図であり、(b)は、フィーダ要部の展開図であって、周壁11等と回転容器20+30は縦断面を図示し、回転駆動機構50と回転伝動部材42,43は外観を図示している。
また、図4(a)は、回転容器20+30の展開図であって、環状回転体20と傾斜回転体30は縦断面を図示している。また、図4(b)は、回転駆動部材51とそれに外装される大小二つの回転伝動部材42,43とに係る展開図である。
【0031】
薬剤フィーダ10は、二重回転タイプなので、その基本構成部分を簡潔に述べると、筐体の最上部に位置しており中央部分が円形に刳り抜かれて中空になっている周壁11と、その中空に上端部が遊嵌された状態で設置されている又は周壁11の中空の直下に設置されている環状回転体20と、この環状回転体20の中空内に設置された傾斜回転体30と、この内側の傾斜回転体30とその外側の環状回転体20とを何れも軸回転可能に支持する支承機構40と、それらの回転の駆動を担う回転駆動機構50と、周壁11の上側に設けられた規制機構70とを具えている。
【0032】
しかも、支承機構40によって、環状回転体20は鉛直線を中心として軸回転しうる状態に保たれ、傾斜回転体30は鉛直から傾いた傾斜線を中心として軸回転しうる状態に保たれる。そして、そのような内側の傾斜回転体30と外側の環状回転体20は、薬剤は通さないが回転は許容される僅かな間隙を保って傾斜回転体30が環状回転体20の中空を塞ぐことで、二重回転タイプ薬剤フィーダの回転容器20+30を構成しており、傾斜回転体30の回転によってその上から薬剤を環状回転体20の上端周縁部23の上に運び、環状回転体20の回転によって上端周縁部23の上の薬剤を規制機構70さらには落下排出口14へと運ぶようになっている。また、規制機構70は、環状回転体20の回転によって次々に運ばれてきた上端周縁部23の上の薬剤を整列させるようになっている。
【0033】
薬剤フィーダ10は、そのような基本構成に加えて仕分け部材60を具えるとともに、各部20,30,40,50,70が改良を伴って具体化されている。
環状回転体20は、大別して(図4(a)参照)、中空の径が上側ほど大きい下部21と、中空の径が上側ほど小さい上部22とからなり、下部21の中空に傾斜回転体30を納め、下部21に上部22を載せ、それから両部21,22をボルト等で連結することで、環状回転体20自体が一体的になるとともに(図3(b)参照)、傾斜回転体30とも分離不能になって、傾斜回転体30の軸回転等は許すが、環状回転体20と傾斜回転体30との何れかを持ち上げたりすると両者20,30が恰も一つの回転容器20+30のように一緒に移動するようになっている。
【0034】
傾斜回転体30は(図1図4参照)、その上面が回転容器20+30の内底になるが、その上面の中央に中央突起31が形成されていて、中央突起31を持てば回転容器20+30を纏めて持ち上げることができるようになっている。また、傾斜回転体30の上面は、中央突起31を除く央部32が中央突起31や周縁部33より凹んでいて、回転容器20+30の内部空間を増加させている。さらに、傾斜回転体30の周縁部33の上面は、一周に亘って、薬剤の掬い上げに役立つ緩い鋸歯状波形に加工されているうえ、外側ほど即ち中央から遠くへ離れるほど下がる謂わば外下がりの状態になっている。しかも、この外下がりは、環状回転体20の中に傾斜回転体30が傾斜設置された状態で、周縁部33のどの部位でも、特に外下がりが最も緩くなる最上昇位置で環状回転体20の上端周縁部23より上に来た部位でも、外下がり傾斜が維持されるので、掬い上げた薬剤を傾斜による転がりにて円滑に環状回転体20の上端周縁部23へ送り込むのに役立つ。
【0035】
支承機構40は(図1(a),図3(b),図4参照)、各所に分散して配設された複数の部材41〜43からなり、それには例えばラジアル軸受などを主体とした受動部材41が幾つかと、例えば硬質ゴム製Oリングなどの輪状体・環状体からなる回転伝動部材42,43とが含まれている。受動部材41は、回転体の外周面を環状回転体20の外周面や下面あるいは傾斜回転体30の下面に当接させて、環状回転体20と傾斜回転体30を自転容易状態で固定位置に保持する支承専用のものとなっている。
【0036】
これに対し、回転伝動部材42,43は、何れも、後述する回転駆動部材51に装着されて回転伝動機能を発揮するのに加えて、受動部材41と共に環状回転体20と傾斜回転体30とを支承してそれら20,30を自転容易状態で固定位置に保持する機能も発揮するので、支承部材を兼用するものとなっている。しかも、支承部材41〜43が何れも環状回転体20と傾斜回転体30の下面か外周面に当接するところに配設されているので、支承機構40は、環状回転体20と傾斜回転体30とからなる回転容器20+30を上から下ろして支承部材41〜43の上に乗せることで適切にセットでき、回転容器20+30を持ち上げることで簡便に支承部材41〜43から取り外せるようになっている。
【0037】
回転駆動機構50は、回転容器20+30の下に配置された回転駆動部材51と、この回転駆動部材51を軸回転させる回転駆動モータ54とを具備したものであるが、上述したように支承機構40の回転伝動部材42,43は回転駆動機構50の一部でもある。すなわち、それらのうち、大径部外装回転伝動部材42は、回転駆動部材51の大径部52に形成された環状溝に内側部分を収めた状体で外装されて環状回転体20の支承に加え環状回転体20に対して摩擦伝動による回転伝動機能も担い、小径部外装回転伝動部材43は、回転駆動部材51の小径部53に形成された環状溝に内側部分を収めた状体で外装されて傾斜回転体30の支承に加え傾斜回転体30に対して摩擦伝動による回転伝動機能も担うので、回転駆動部材51の軸回転によって、環状回転体20が比較的高速で軸回転するとともに、傾斜回転体30が比較的低速で軸回転するようになっている。
【0038】
仕分け部材60は(図1図3(a)参照)、揺動支点の基端部61から揺動端の先端部62まで延びた細長い棒材を主体としたものであり、基端部61が支持部63によって周壁11や環状回転体20の上方で支持されており、そこを中心にして先端部62が上下に揺動しうるようになっている。先端部62寄りの部分が少し曲がっており、常態では先端部62が斜め下向きの状態で自重により軽く傾斜回転体30の周縁部33に乗っているので、その周縁部33から環状回転体20の上端周縁部23へ滑り落ちることなく周縁部33に乗ったまま運ばれて来た薬剤の多くが、先端部62に当接するとともに、その反作用の付勢力によって傾斜回転体30の央部32へ戻されるが、それが円滑に行われなければ薬剤破損等の回避のため先端部62が揺動して上方へ逃げるようにもなっている。
【0039】
規制機構70は(図1図2(a)参照)、環状回転体20の上端周縁部23の回転方向を基準として仕分け部材60より進行先に設置された第1規制部材71と、それよりも更に進行先に設置された第2規制部材72と、それら第1規制部材71と第2規制部材72との何れにもピン状の回転許容軸部材等を介して連結されているリンク機構73と、サンプル薬剤を収容しうる型置場74とを具備している。
第1規制部材71も、第2規制部材72も、揺動中心部が周壁11側に位置するとともに、揺動端部が環状回転体20の上端周縁部23の上に位置しているので、その上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭めるものとなっている。
【0040】
しかも、第1規制部材71と第2規制部材72は、何れも揺動にて上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅の狭め量を可変調整しうるものであるが、リンク機構73の長手方向進退に応じて両規制部材71,72が同時かつ同様に揺動するので、両規制部材71,72による薬剤搬送経路幅の狭め量の調整量が連動するものともなっている。さらに、型置場74にサンプル薬剤を収容してから、それに向けてリンク機構73を動かすと、リンク機構73が長手方向に進んで先端をサンプル薬剤に当接させて止められるが、そのときに第1規制部材71の揺動端部と第2規制部材72の揺動端部が何れも上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅をサンプル薬剤に倣って薬剤一個相当分に狭めるようにもなっている。
【0041】
また、そのような規制機構70より更なる進行先では、周壁11に、それを上下に貫通する落下排出口14が形成されており、そこへ環状回転体20の上端周縁部23の上の薬剤を環状回転体20の回転にて送り込むために周壁11には排出ガイド13も設けられている。この排出ガイド13は、落下排出口14の後方の周壁11から始まって、上端周縁部23の上方に延び、更に先端部を傾斜回転体30の周縁部33の上方にまで突き出しているので、環状回転体20の排出ガイド13に乗って運ばれてきた薬剤が、排出ガイド13の側壁に斜めに当接して、それから側壁に沿って斜めに進んで、落下排出口14に至るようになっている。
【0042】
さらに、この排出ガイド13の先端部には、そこより下側に延び且つ先にも延びて最先端となる搬送面ガイド12が形成されている。この搬送面ガイド12は、上面が環状回転体20の上端周縁部23とほぼ同じ高さであって、上端周縁部23の内周側に位置しているので、環状回転体20の上端周縁部23に乗って運ばれてきた薬剤が排出ガイド13に当接したときに反動で傾斜回転体30の方へ落下したり環状回転体20と排出ガイド13とに挟まれたりといった不所望な事態の発生を簡便に防止するものとなっている。
なお、細かな形状なので図示は割愛したが、薬剤が排出ガイド13によって落下排出口14へ押し出される前に慣性等で落下排出口14へ転げ落ちるのを簡便に防止するために、上端周縁部23の上面は最外周部分が僅かに盛り上がっている。
【0043】
さらに、図示を割愛したが、回転駆動モータ54の動作制御を担うコントローラと、それらに動作電力を供給する電源も、同じ筐体に内蔵して又は筐体の外に設けられている。必須ではないが、大抵、落下排出口14における薬剤の落下を検出するフォトセンサ等も付設されており、その場合、検出信号がコントローラや錠剤カウンタへ送信される。
コントローラの回転制御は、低速回転から始まり、最初の薬剤の排出を検出した後、更に、予め設定された所定数の薬剤の排出を検出すると、高速回転に移行するようになっている。また、予め指定された総排出数と排出済み個数とから残数を算出するとともに、やはり指定された所定数に残数が達すると回転速度を落としたり、薬剤排出完了後に不所望な過剰落下の防止のため逆回転を行わせるようにもなっている。
【0044】
この実施例1の薬剤フィーダについて、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図5も、図6も、(a)が平面図で、(b)が縦断正面図であり、それらのうち図5は、回転容器20+30に収容されている薬剤5を上端周縁部23の上に整列させ始めたところを示し、図6は、整列させた薬剤5を上端周縁部23から落下排出口14へ送り込んでいるところを示している。また、図7は、縦断正面図で、回転容器20+30を筐体から取り出しているときの状態を示している。なお、薬剤5は、夫々の置かれた状況に応じて型用薬剤5a,ランダム収容薬剤5b,整列済み薬剤5cと呼ぶこともある。
【0045】
薬剤フィーダ10を使用して多数の薬剤5を逐次送出するには(図5参照)、それに先だって、薬剤搬送経路幅の規制作業と薬剤のランダム投入とを済ませておく。
そのうち、薬剤搬送経路幅の規制作業は、作業担当者が、多数の薬剤5のうちから適宜な一個を型用薬剤5aに選出して、それを型置場74に収めてから、それにリンク機構73の一端が当接するようにリンク機構73の位置を調整するという簡単なことで、遂行される。
【0046】
その作業が行われると、第1規制部材71と第2規制部材72とが何れもリンク機構73に連動して揺動し、それらの揺動端部によって環状回転体20の上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅が二カ所で型用薬剤5aの直径に対応するところまで狭められる。
また、薬剤のランダム投入は、やはり作業担当者が、文字通り多数の薬剤5を環状回転体20の上部開口から回転容器20+30へランダムに投入すれば良い。
そうすると、投入されたランダム収容薬剤5bは、自然に、傾斜回転体30の上面のうち下側に来ている部分の上に集まる。
【0047】
これで自動動作の準備が調うので、薬剤フィーダ10を例えば単純な連続送出モード等で動作させると、以後はコントローラの制御に従って回転駆動モータ54が適宜な速度で回転する。そうすると、それに応じて回転駆動部材51が軸回転し、その回転運動が、大径部外装回転伝動部材42を介した摩擦伝動にて環状回転体20に伝達されるとともに、小径部外装回転伝動部材43を介した摩擦伝動にて傾斜回転体30にも伝達されて、大径部外装回転伝動部材42と小径部外装回転伝動部材43とが同じ向きに軸回転するが、大径部外装回転伝動部材42の方が小径部外装回転伝動部材43より高速で回転する。
【0048】
傾斜回転体30が軸回転すると、回転容器20+30の内底に溜まっていたランダム収容薬剤5bのうち傾斜回転体30の周縁部33の上に来ていた薬剤5が、鋸歯状の周縁部33の循環運動によって低位置から高位置へ掬い上げられる。
そうして、周縁部33が環状回転体20の上端周縁部23よりも高くなるところまで運ばれた薬剤5は、大部分が周縁部33の傾斜に基づく滑落や転動によって上端周縁部23の上へ乗り移る。
【0049】
これに対し、上端周縁部23の上が先行の他の薬剤5で詰まっていたり、たまたま滑落や転動しなかったといった理由で、傾斜回転体30の周縁部33の上に残っていた薬剤5は、傾斜回転体30の更なる軸回転によって仕分け部材60の先端部62の所へ運ばれ、そこで先端部62に当接し、その当接の反動によって上端周縁部23とは逆の向きに移動させられるため、傾斜回転体30の央部32を傾斜面に沿って滑落する。
こうして、過剰な薬剤5等がランダム収容薬剤5bに戻るので、上端周縁部23の上の薬剤搬送経路には或る程度絞り込まれて適量に近い頻度で薬剤5が送り込まれる。
【0050】
環状回転体20の方が傾斜回転体30より高速で軸回転しているので、上端周縁部23の上の薬剤5は、周縁部33から乗り移ったときに回転速度の差に応じて或る程度はばらけるが、薬剤5が小さめの場合など、縦一列になるものもあれば、真横や斜め横に並ぶものもありうる。そして、それらの薬剤5が、環状回転体20の軸回転によって第1規制部材71の所へ運ばれると、一列の薬剤5はそのまま通過するが、横並びの薬剤5については第1規制部材71との干渉によって内側の薬剤5が上端周縁部23の上から押し出されて傾斜回転体30の上に落下しランダム収容薬剤5bに戻るので、横並びが解消される。
【0051】
とはいえ、横並びの薬剤5が多いとき等には、薬剤5同士の押し合い等によって第1規制部材71の先端を巻くようにすり抜ける薬剤5もありうる。そして、そのような場合、第1規制部材71を通過した薬剤5のうち一部のものには斜め横の並び状態が残ったりすることがある。いずれにしろ、第1規制部材71を通過した薬剤5は、その後、環状回転体20の軸回転よって第2規制部材72の所へ運ばれて、再び同様の整列が強制されるため、例え横並び状態が残っていても僅かなものにすぎないうえ程度も斜め横の並びの軽い状態にとどまることから、横並び状態が再度の規制で迅速かつ十分に解消される。
【0052】
このようにして二重の規制をクリアして一列に整列した整列済み薬剤5cは(図6参照)、環状回転体20の軸回転に伴う上端周縁部23の循環運動によって次々に排出ガイド13の所へ運ばれ、上端周縁部23の上の薬剤搬送経路と斜めに交差している排出ガイド13の外側側面に当接する。
そして、整列済み薬剤5cの多くは、直ちに排出ガイド13の当接側面に沿って進み、一列になって落下排出口14に送り込まれる。
【0053】
もっとも、当接状況によっては希に一部の整列済み薬剤5cが内周側へ少しはじかれることもあるが、そのような状況が生じたときでも、整列済み薬剤5cの環状回転体20の上への落下や、上端周縁部23と排出ガイド13との斜交部位への挟み込みは、搬送面ガイド12によって阻止される。
こうして、総ての整列済み薬剤5cが無駄なく一列で落下排出口14に送り込まれる。落下排出口14に送り込まれた薬剤5は重力で加速されて落下速度を増すことから、先後の薬剤5の離隔距離が広がるので、その離隔距離が十分になる所に設置したフォトセンサ等で落下薬剤5を検出するといったことで、的確に、薬剤5を計数することができる。
【0054】
そして、そのような薬剤5の整列と排出とを繰り返して大量の薬剤5の処理が完了したときや、薬剤5の種類が切り替わることになったときなど、薬剤フィーダ10の動作を止めるのに加えて、しばしば回転容器20+30を清掃することも必要になるが、その場合(図7参照)、先ず最上部の周壁11等を取り外してから、例えば傾斜回転体30の中央突起31を手掛かりにして、傾斜回転体30を持ち上げると、回転容器20+30が纏まって筐体から抜け出す。回転容器20+30は、支承機構40によて支承されているだけなので、簡単に取り出すことができ、丸洗い等で手軽に清掃されて綺麗になる。
こうして、使用後の清掃を容易かつ迅速に済ませられるので、後は逆順の作業で元に戻して次の使用に備える。
【0055】
[その他]
上記実施例では、薬剤5の整列が順調に進行する状況を述べたが、仮に薬剤5の欠けらが部材間に詰まったりなどして、不所望に環状回転体20や傾斜回転体30の軸回転が阻害されたとしても、それらの回転体20,30と回転伝動部材42,43との係合箇所が、摩擦伝動用の接触であるため、通常動作に必要な程度を超えた反力には抗えずに滑ることから、各部材20,30,50に掛かる負荷が過大なるおそれはない。
【0056】
上記実施例では、第1規制部材71や第2規制部材72の長さに言及しなかったが、環状回転体20の軸回転速度ひいては上端周縁部23の上の薬剤搬送経路における薬剤5の送り速度が速いほど、さらには薬剤搬送経路に対する規制部材71,72の傾きがきついほど、薬剤5が規制部材71,72に当接したときに薬剤5の進路が横へ不所望に曲がる程度が大きくなるので、規制部材71,72には許容範囲内で長い物が採用される。そして、このような複数の規制部材71,72と仕分け部材60との協働によって大きな整列能力が発揮されるので、規制機構70は薬剤搬送経路の上で高さ規制を行っていない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の薬剤フィーダは、薬剤カウンタに前置することを念頭に開発されたものであるが、薬剤カウンタとの組み合わせが必須な訳でなく、他の機器たとえば錠剤分割器や薬剤分包機などと組み合わせて或いはそれに組み込んで使用することも可能であり、単独で使用することも可能である。
【符号の説明】
【0058】
5…薬剤、5a…型用薬剤、5b…ランダム収容薬剤、5c…整列済み薬剤、
10…薬剤フィーダ、
11…周壁、12…搬送面ガイド、13…排出ガイド、14…落下排出口、
20…環状回転体、
21…下部、22…上部、23…上端周縁部(薬剤搬送経路)、
30…傾斜回転体、
31…中央突起、32…央部、33…周縁部、
20+30…回転容器、
40…支承機構、
41…受動部材(ラジアル軸受,専用支承部材)、
42…大径部外装回転伝動部材(兼用支承部材)、
43…小径部外装回転伝動部材(兼用支承部材)、
50…回転駆動機構、
51…回転駆動部材、52…大径部、53…小径部、54…回転駆動モータ、
60…仕分け部材、
61…基端部、62…先端部(薬剤当接部位)、63…支持部、
70…規制機構、
71…第1規制部材、72…第2規制部材、73…リンク機構、74…型置場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7