特許第6736070号(P6736070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6736070
(24)【登録日】2020年7月17日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20200728BHJP
【FI】
   A63H1/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-127662(P2019-127662)
(22)【出願日】2019年7月9日
【審査請求日】2019年11月21日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 誠
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6431629(JP,B1)
【文献】 特許第6491780(JP,B1)
【文献】 特許第6111365(JP,B1)
【文献】 特表2016−530055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と、軸部と、前記胴体と前記軸部との結合部品である回転部品とを備えたコマ玩具であって、前記回転部品は、前記胴体に前記コマ玩具の中心軸を中心に回転自在に付設され、前記回転部品には第1の爪が設けられ、前記軸部に第2の爪が設けられ、前記胴体と前記軸部とは、前記回転部品と前記軸部とを上下方向から互いに突き合わせて前記中心軸を中心に所定角度相対回転させることで前記第1の爪と前記第2の爪とが係合されることによって互いに結合され、結合状態では、前記回転部品は、前記回転部品と前記軸部との間に生じる摺接抵抗によって前記軸部と共回りするように構成され、
前記胴体には、前記回転部品の他に、前記回転部品の前記胴体に対する回転をロックするロック位置とロックを解除するロック解除位置との間で動作可能なロック部品が設けられていることを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記ロック部品は、前記コマ玩具の回転によって前記ロック部品に作用する遠心力によりロックを解除することを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記ロック部品は、ロック部が前記コマ玩具の半径方向に動作するように構成され、前記回転部品の前記胴体に対する所定の回転位置で、前記ロック部品に前記ロック部を前記コマ玩具の半径方向内方へ動作させる外部衝撃が作用した際に前記回転部品の前記胴体に対する回転をロックすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記胴体には、前記ロック部品をロック解除位置に固定する第1の位置と前記ロック部品の動作を自由とする第2の位置との間で動作可能に構成され、前記第1の位置で前記ロック部品をロック解除位置に固定し、外部衝撃が作用した際に前記第2の位置まで動作する可動規制部品が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記可動規制部品はリング部品であり、前記中心軸を中心に前記胴体に対して相対回転可能に構成され、相対回転によって前記第1の位置と前記第2の位置を取るようにされていることを特徴とする請求項4に記載のコマ玩具。
【請求項6】
前記可動規制部品はリング部品であり、前記中心軸を中心に前記胴体に対して相対回転可能に構成され、前記第2の位置で前記胴体から離脱するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コマ玩具として、爪(胴体側爪)が形成された胴体と、爪(軸部側爪)が形成された軸部とを備え、胴体と軸部とを中心軸を合致させて互いに突き合わせて前記中心軸を中心に一方向に相対回転させ、胴体側爪の上面と軸部側爪の下面とを当接させることで胴体と軸部とを結合させておき、胴体に外部衝撃が作用した際に胴体と軸部とが前記一方向とは反対の方向に相対回転して分解される構造を持つものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6377211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コマ玩具では、胴体側爪は胴体に固定され、また、軸部側爪は軸部に固定されているため、胴体と軸部とを相対回転させるような外部衝撃が作用したときには、胴体側爪と軸部側爪とが中心軸を中心に必然的に相対回転して胴体側爪と軸部側爪とが外れる。
この胴体側爪と軸部側爪とが外れるまでの時間は、バトルの状況や初速などに依存するが、バトルの様をできるだけ長く楽しめることが好ましい。
従来は、そのための工夫として、胴体側爪と軸部側爪とが外れるまでの時間を長くするため、胴体側爪及び軸部側爪の他に、胴体及び軸部の双方に突起や起伏部といった摺接抵抗を設けたりしていた。摺接抵抗を設ければ、胴体と軸部とを相対回転させるような外部衝撃が作用しても、胴体と軸部とが相対回転し難くなるからである。
本発明は、それとは異なる構造で、胴体側爪と軸部側爪とが外れるまでの時間を長くすることができる構造を持つコマ玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
胴体と、軸部と、前記胴体と前記軸部との結合部品である回転部品とを備えたコマ玩具であって、前記回転部品は、前記胴体に前記コマ玩具の中心軸を中心に回転自在に付設され、前記回転部品には第1の爪が設けられ、前記軸部に第2の爪が設けられ、前記胴体と前記軸部とは、前記回転部品と前記軸部とを上下方向から互いに突き合わせて前記中心軸を中心に所定角度相対回転させることで前記第1の爪と前記第2の爪とが係合されることによって互いに結合され、結合状態では、前記回転部品は、前記回転部品と前記軸部との間に生じる摺接抵抗によって前記軸部と共回りするように構成され
前記胴体には、前記回転部品の他に、前記回転部品の前記胴体に対する回転をロックするロック位置とロックを解除するロック解除位置との間で動作可能なロック部品が設けられていることを特徴とする。つまり、回転部品と軸部との間に生じる摺接抵抗は、回転部品と胴体との間の摺接抵抗よりも大きくなっている。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記ロック部品は、前記コマ玩具の回転によって前記ロック部品に作用する遠心力によりロックを解除することを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって前記ロック部品は、ロック部が前記コマ玩具の半径方向に動作するように構成され、前記回転部品の前記胴体に対する所定の回転位置で、前記ロック部品に前記ロック部を前記コマ玩具の半径方向内方へ動作させる外部衝撃が作用した際に前記回転部品の前記胴体に対する回転をロックすることを特徴とする
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、前記胴体には、前記ロック部品をロック解除位置に固定する第1の位置と前記ロック部品の動作を自由とする第2の位置との間で動作可能に構成され、前記第1の位置で前記ロック部品をロック解除位置に固定し、外部衝撃が作用した際に前記第2の位置まで動作する可動規制部品が設けられていることを特徴とする
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、前記可動規制部品はリング部品であり、前記中心軸を中心に前記胴体に対して相対回転可能に構成され、相対回転によって前記第1の位置と前記第2の位置を取るようにされていることを特徴とする
【0010】
第6の手段は、第の手段であって、前記可動規制部品はリング部品であり、前記中心軸を中心に前記胴体に対して相対回転可能に構成され、前記第2の位置で前記胴体から離脱するように構成されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、胴体に回転自在に付設された回転部品の第1の爪と、前記軸部に設けられた第2の爪とを係合させることで、胴体と軸部とを結合させ、結合状態では、回転部品は、軸部と共回りするので、胴体と軸部とが外れ難くなる。
【0013】
また、ロック部品で回転部品の胴体に対する回転がロックされた状態、又はロック解除された状態にして、遊びを楽しむことができる。
【0014】
の手段によれば、自動的にロックが解除されるので、ロックをわざわざ解除するという面倒がなくなる。
【0015】
の手段によれば、回転部品が所定の回転位置以外の回転位置にあるときには回転部品が胴体に対して空回りし易く、回転部品が所定の回転位置にあるときに相手方のコマ玩具がロック部品に衝突すると回転部品が胴体に対して固定されるので、遊びに変化を生じさせることができる。
【0016】
の手段によれば、ロック部品を第1の位置としたときには回転部品が胴体に対して空回りし易くなるので、防御力を向上させることができる。
【0017】
の手段によれば、可動規制部品は胴体に装着された状態で相対回転によって第1の位置と第2の位置を取ることができる。
【0018】
第6の手段によれば、リング部品が胴体から離脱するまでは胴体と軸部とが結合解除され難く、リング部品が胴体から離脱した後に胴体と軸部とが結合解除され易くなることから、分解が2段階に行われ、その過程を十分に楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態のコマ玩具の斜視図である。
図2】軸部及び性能可変リングの半部の斜視図である。
図3】胴体の平面図である。
図4】胴体を下方から見た斜視図である。
図5】胴主体を上方から見た斜視図である。
図6】胴主体に組み付けられる部品を上方から見た分解斜視図である。
図7】胴主体に組み付けられる部品を下方から見た分解斜視図である。
図8】ランチャの斜視図である。
図9】リング部品を装着したときのロック部品と回転部品との関係を示した平面図である。
図10】ロック部品により回転部品を回転ロックした状態を示した平面図である。
図11】ロック部品及び回転部品の周辺を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、本実施形態のコマ玩具1を示した斜視図である。
このコマ玩具1は、いわゆるバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。このコマ玩具1は、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を複数の要素に分解させて勝利とするようなバトルゲームに使用できる。
このコマ玩具1は、大別すると、軸部10と、性能可変リング30(図2参照)と、胴体40とを備えている。
【0022】
(細部)
1.軸部10
図2は軸部10及び性能可変リング30の半部を示した分解斜視図である。軸部10及び性能可変リング30の残りの半部は対称形状となっている。
軸部10は、下部に回転軸11と、中間部に鍔12と、上部に円筒部13とを備えている。回転軸11、鍔12及び円筒部13は合成樹脂で形成されている。勿論、材料は合成樹脂に限定されず、全部又は一部が金属やゴムその他の材料で形成されていてもよい。
軸部10の鍔12の下方部分は、当該鍔12から回転軸11の下端に向けて段階的に窄んだ形状となっており、全体として略逆円錐台状に形成されている。
鍔12及び円筒部13の前後には鍔12及び円筒部13に亘る孔15が1つずつ形成されている。また、鍔12の左右には突出部16が1つずつ形成されている。この突出部16の外面は鍔12の外周面と面一となっている。
また、円筒部13の内側には円柱体14が立設されている。この円柱体14の上端は特に限定はされないが円筒部13の上端よりも僅かに高い位置に設定されている。この円柱体14の上端部の前後には半径方向外側に張り出す爪(第2の爪)17が1つずつ形成されている。
【0023】
また、軸部10は、円筒部13の内側で上記円柱体14の上部外周を取り囲む円筒状の可動部材18を備えている。可動部材18の下端部の前後には半径方向外側に張り出す突出片18aが1つずつ形成されている。各突出片18aは、上記孔15に挿入されている。可動部材18は上下方向に移動可能となっている。そして、可動部材18は、円柱体14の周囲に巻回させたコイルスプリング19によって上方へ付勢され、常態では、突出片18aの上面が孔15の上縁に当接している。
この可動部材18の上面18bの左右には、半径方向に延びる凸条(抵抗要素)20が1つずつ形成されている。
【0024】
2.性能可変リング30
本実施形態では、性能可変リング30として例えば金属製のフライホイールが用いられている。性能可変リング30の底面には軸部10の鍔12を下方から収容可能な環状段部30aが形成されている。また、性能可変リング30の上面の左右には、上方に向けて張り出す逆U字状の突出部31が1つずつ形成されている。各突出部31の下側部分には、軸部10の突出部16を下方から収容可能な凹部32が形成されている。一方、性能可変リング30の上面には、各突出部31の直ぐ外側に上方に突出する舌片33が形成されている。
【0025】
3.胴体40
図3は胴体40の平面図、図4は胴体40を下方から見た斜視図、図5は胴主体41の斜視図、図6は胴主体41に組み付けられる部品の上方斜視図、図7は胴主体41に組み付けられる部品の下方斜視図である。
胴体40は図5に示す胴主体41を備えている。胴体40は、この胴主体41に回転部品42、円板43、ロック部品44、表装部品45、弧状部品46、ウエイト47及びリング部品48を組み付けることによって構成されている。
【0026】
図5に示すように、胴主体41は、外枠を構成する環状枠41aと、中央部を構成し環状枠41aの前後に各1対のブリッジ41b,ブリッジ41bを介して連結された浅底円筒部41cとを備えている。
中央の浅底円筒部41cの底には浅底円筒部41cの内径よりも径の小さい円形孔41dが形成され、その縁は環状の内向きフランジ41eを形成している。
【0027】
また、胴主体41の左右には、環状枠41aと浅底円筒部41cとの間に上下に貫通する開口41fが1つずつ形成されている。さらに、胴主体41には、対をなす2つのブリッジ41b,41bの間には上下に貫通する矩形孔41gが1つずつ形成されている。矩形孔41gはブリッジ41bの下で開口41fと繋がっている。また、胴主体41には、後述のロック部品44の尖頭部44bを収容可能な収容部41hが前後に1つずつ形成されている。
なお、胴体40と軸部10とが相対回転し、回転部品42が軸部10と一体的に回転するときには、性能可変リング30の舌片33はブリッジ41bの下側で回転するので、軸部10の回転が妨げられることはない。
【0028】
なお、図5において符号41iは表装部品45のボス45aが嵌合するボス孔、符号41jは弧状部品46の端部が乗る段部、符号41kは弧状部品46のボス46aが嵌合するボス孔、符号41lはロック部品44の半径方向の移動範囲を規制する凸条である(図11参照)。
【0029】
図6及び図7に示すように、回転部品42は、上端に外向きフランジ42aを有する円筒体によって構成されている。
この回転部品42の外向きフランジ42a下の円筒部42bは、胴主体41の円形孔41dに上方から差し込まれ、その際に、外向きフランジ42aは内向きフランジ41eの上に着座する。回転部品42の円筒部42bには、軸心を挟んで対向する位置に壁の内面側下端に内向き弧状の爪42c(第1の爪)が1つずつ形成されている。また、回転部品42のフランジ42aには、軸心を挟んで対向する位置に切欠き42dが1つずつ形成されている。さらに、回転部品42のフランジ42aには、軸心を挟んで対向する位置に弧状スリット42fが1つずつ形成されている。
【0030】
図6及び図7に示すように、円板43の縁には、軸心を挟んで対向する位置に下方に突出する弧状差込片43aが1つずつ形成されている。円板43は、弧状差込片43aを回転部品42の弧状スリット42fに差し込むことによって回転部品42に取り付けられる。
【0031】
図6及び図7に示すように、ロック部品44は、基端部を構成する棒状部44aと、先端部を構成する尖頭部44bとから構成されている。尖頭部44bは相手方のコマ玩具と衝突するブレードを構成する。ロック部品44の上面には、棒状部44aと尖頭部44bとの間には段部が形成され、棒状部44aの上面よりも尖頭部44bの上面の方が高くなっている。棒状部44aには、側方及び下方に開口するコ字状の切欠き44cが形成されている。そして、図11に示すように、この切欠き44cには上記凸条41lが臨入されている。すなわち、ロック部品44は切欠き44cの箇所で凸条41lを跨いでいる。これによって、ロック部品44は、胴体40の半径方向の動きを制限される。すなわち、ロック部品44は、尖頭部44bが胴主体41の外縁から外方に突出する位置と、尖頭部44bが胴主体41の外縁の内方に没する位置との間で移動可能となっている。
【0032】
表装部品45は、胴主体41に取り付けられるもので、胴主体41に組み付けられた回転部品42、円板43及びロック部品44を上方から被覆する。表装部品45の胴主体41への取付けは、表装部品45のボス45a(図7参照)をボス孔41iに嵌合させ、ボス45aに形成された雌ネジに胴主体41の下側から雄ネジを螺合することによってなされる。
【0033】
弧状部品46は、胴主体41に取り付けられるもので、胴主体41との間で後述のランチャ60のフォーク63が差し込まれる弧状スリット40a(図1参照)を画成する。この弧状部品46の端部は上記段部41jに嵌合される。この弧状部品46はカシメ留めによって胴主体41に取り付けられる。なお、弧状部品46のボス46a(図7参照)に形成された雌ネジに胴主体41の下側から雄ネジを螺合することによって、弧状部品46は胴主体41に取り付けてもよい。
なお、各弧状部品46の長手方向中間部には外側に張り出す爪46bが設けられている。
【0034】
ウエイト47は、表装部品45に胴主体41を組み付ける際に同じ雄ネジにて取り付けられる。
【0035】
リング部品48は、胴主体41に取り付けられるもので可動規制部品を構成し、取付け時には、ロック部品44の棒状部44aと尖頭部44bとの段部に係合し、ロック部品44をロック解除状態に固定する。リング部品48は、胴体40に対する所定回転位置で軸線方向から胴体40に突き合わされ、この状態で、リング部品48を胴体40に対して所定方向に相対回転させると、図9に示すように。リング部品48の爪48aが弧状部品46の弧状部品46の爪46b下に潜り込むことによって胴体40に取り付けられる。この取付け状態からリング部品48が胴主体41に対して反対に相対回転すると、リング部品48の爪48aが弧状部品46の爪46bとの係合を解除し、胴体40から離脱可能な状態となる。
なお、このリング部品48の外周の一部が外方に張り出し相手方のコマ玩具に衝突するブレード48bを構成している。
【0036】
4.コマ玩具1の組立方法
先ず、軸部10の突出部16を下方から性能可変リング30の凹部32に合致させるようにして、軸部10と性能可変リング30とを嵌合状態に組み付ける。これを組付け体というものとする。一方、ロック部品44を胴体40の半径方向内方に移動させ、回転部品42の回転をロックしておく。次に、組付け体を胴体40に対する所定の回転位置で胴体40に下方から近付ける。このときには、軸部10の爪17と胴体40側の第1の爪42cとが上下方向で重なっていない状態、すなわち軸部10側の爪17が胴体40側の爪42c間に位置している。この状態が結合解除状態である。その後、上記組付け体の軸部10を胴体40側に押圧する。すると、まず、性能可変リング30が胴体40の下面に押し当てられる。さらに、軸部10内のコイルスプリング19が撓み、軸部10の爪17が胴体40の爪42cよりも上方に相対的に押し上げられる。そして、軸部10を性能可変リング30と一体的に胴体40に対して所定量回転させる。すると、軸部10側の爪17と胴体40側の爪42cとが上下で重なった状態となる。この状態で軸部10から手を離すと、軸部10内のコイルスプリング19の付勢力によって、軸部10側の爪17の下面と胴体側40の爪42cの上面とが強く当接される。この状態、すなわち軸部10側の爪17の下面と胴体40側の爪42cの上面とが当接された状態が結合状態である。これにより、軸部10と性能可変リング30及び胴体40とが結合され、図1に示すようなコマ玩具1が組み立てられる。なお、ここではコイルスプリング19の付勢力によって軸部10側の爪17の下面と胴体40側の爪42cの上面とが強く当接させているが、コイルスプリング19を用いずに、軸部10側の爪17の下面と胴体40側の爪42cの上面とを当接させてもよい。
【0037】
5.遊び方
続いて、このコマ玩具1を使用しての遊び方の一例を説明する。
この場合、リング部品48を胴体40に装着しておく。この場合には、ロック部品44を胴体40の半径方向外方に移動させた状態でリング部品48を装着する。これによって、ロック部品44による回転部品42のロック解除状態が維持される。なお、リング部品48を装着しなくてもよいが、この場合には、ロック部品44を胴体40の半径方向外方に移動させておかなくてもよい。
【0038】
コマ玩具1の回転力のチャージは、図8に示すようなランチャ60によって行われる。このランチャ60にはコマ玩具1が装着される。すなわち、フォーク63が胴体40の弧状スリット40aに差し込まれる。そして、胴体40の弧状スリット40aの回転方向側の端部の縁に突起63bを係合させる。これによって、コマ玩具1がランチャ60に装着される。
このランチャ60は、ゼンマイ動力によって作動され、紐をハンドル61で引くと、胴体40と性能可変リング30の舌片33がフォーク63によって押され、コマホルダ62が回転されるように構成されている。このコマホルダ62の回転は、下方に突設されたフォーク63によってコマ玩具1に伝達され、コマ玩具1を一の回転方向に回転させる。なお、ランチャ60でコマ玩具1を他の回転方向に回転させるには、ランチャ60の内部歯車の切り替えを行うか、他のランチャ60を用いる。
そして、ランチャ60のハンドル61を引き切ると、コマホルダ62の回転が停止する一方で、コマ玩具1は慣性力によって尚も回転するので、フォーク63の傾斜面63aを倣ってコマ玩具1がコマホルダ62から外れる。
【0039】
この遊び方の一例では、フィールドに放たれたコマ玩具1は時計方向に回転させられる。リング部品48が装着されたコマ玩具1は、最初の状態では、図9に示すように、リング部品48によってロック部品44がロック解除状態、つまりロック部品44が回転部品42から離れた位置にある。したがって、回転部品42は胴体40に対して空回り可能な状態となっているとともに、爪17と爪42cとの摺接抵抗により軸部10と共回りする状態となっている。この状態で、ロック部品44の尖頭部(ブレード)44bに相手方のコマ玩具が当たっても、ロック部品44は半径方向内方へは移動しない。一方、この状態で、リング部品48のブレード48bに相手方のコマ玩具が当たると、胴体40とリング部品48とが相対回転する。リング部品48が胴体40に対する所定の回転位置に至ったときに、リング部品48が胴体40から外れる。
リング部品48が外れると、ロック部品44は半径方向内方への移動が可能な状態となるが、遠心力によって半径方向外方に位置している。この状態でロック部品44の尖頭部(ブレード)44bに相手方のコマ玩具が当たると、ロック部品44が半径方向内方へ移動しようとする。しかし、回転部品42の切欠き42dとロック部品44とが対応位置にない間は、回転部品42の外向きフランジ42aの外周にロック部品44が突き当たるだけで回転ロックはされない。一方、ロック部品44が回転部品42の切欠き42dに対応する位置まで来たときには、ロック部品44の棒状部44aが切欠き42dに係合し(図10の下側のロック部品44参照)、胴体40に対する回転部品42の回転がロックされる。そして、胴体40と回転部品42とが一体となって軸部10に対して相対回転し、やがては、爪42cと爪17との係合が解除され、胴体40、軸部10及び性能可変リング30が分解される。
なお、ロック部品44に作用する遠心力が強い間は、一旦、相手方のコマ玩具や遊戯台との衝突によって半径方向内方に動作したロック部品44は遠心力によって再び半径方向外方に動作する。また、ロック部品44の棒状部44aが切欠き42dから離れている間は、爪17と爪42cとの間で相対移動が生じないわけではなく、外部衝撃を受ける箇所や大きさによって例えば一時的に回転部品42と胴主体41との摺接抵抗が増大した場合などには、相対移動が生じる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0041】
例えば、上記実施形態では、ロック部品44を予め設けておき、軸部10と胴体40とを結合させる際にロック部品44で回転部品42を回転ロックするようにしたが、ロック部品44を胴体40とは別にしておき、軸部10と胴体40とを結合させる際にその別に用意しておいた道具によって回転部品42の回転をロックさせるようにしてもよい。この場合には、例えば、表装部品45を取り外し、道具にて回転部品42の回転を阻止しつつ軸部10と胴体40とを結合させ、その後に、表装部品45を取り付けてもよい。この場合の表装部品45の取付けは、簡単に出来るように、ネジによらず嵌合によって行うようになっていることが好ましい。
【0042】
また、上記実施形態では、胴体40側に回転部品42を付設したが、軸部10側に回転部品42を付設してもよい。この場合、軸部10側の爪をコマ玩具1の中心軸を中心に回転自在に軸部10に付設する必要がある。そして、胴体40側の爪と軸部10側の爪とを係合させるには道具を使用するか、或いは、胴体40側の爪と軸部10側の爪とを係合させた後に、回転部品42を胴体40又は軸部10に組み付ければ足りる。また、この場合、ロック部品44を軸部10に設けておけば、ロック部品44で回転部品42の回転をロックした状態で簡単に胴体40側の爪と軸部10側の爪とを係合させることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、リング部品48は第2の位置で胴体40から離脱するように構成されていたが、単に、中心軸を中心に胴体40に対して相対回転可能に構成され、胴体40に装着された状態で相対回転によって第1の位置と第2の位置を取るように構成されていてもよい。すなわち、リング部品48の所定位置に切欠きを有する壁を設け、第1の位置ではロック部品44の棒状部44aと尖頭部44bとの段部に当該壁が係合してリング部品48によってロック部品44をロック解除位置に固定し、第2の位置ではリング部品48の当該切欠きがロック部品44の箇所に至り、当該切欠きの箇所でロック部品44が通れるようにして、ロック部品44の棒状部44aと回転部品42の切欠き42dが係合可能となるように構成してもよい。
【0044】
また、本発明の範囲ではないが、ロック部品44の棒状部44aを切欠き42dに係合させることによりロックするように構成する代わりに、回転部品42の外周部を摩擦抵抗の高い例えばゴムを設けて、半径方向内方に動作したロック部品44の棒状部44aを当接させることで一時的に回転部品42と胴主体41とを一体化させてもよい。
【0045】
また、ロック部品44の棒状部44aを切欠き42dに係合させることによりロックするように構成する代わりに、回転部品42の外周に突起を設けて、半径方向内方に動作したロック部品44の棒状部44aを当接させることで一時的に回転部品42と胴主体41とを一体化させてもよい。
【0046】
また、軸部10の凸条20に噛み合う起伏部を回転部品42に設けてもよい。この場合には、凸条20と起伏部との間に作用する摺接抵抗がさらに大きくなる。
【符号の説明】
【0047】
1 コマ玩具
10 軸部
17 爪(第2の爪)
40 胴体
41 胴主体
42 回転部品
42c 爪(第1の爪)
44 ロック部品
48 リング部品(可動規制部品)
【要約】
【課題】胴体側爪と軸部側爪とが外れるまでの時間を長くすることができる新しい構造を持つコマ玩具を提供すること。
【解決手段】胴体と、軸部と、回転部品とを備えたコマ玩具であって、回転部品42は、前記胴体40に回転自在に付設され、回転部品42には第1の爪42cが設けられ、軸部10に第2の爪17が設けられ、胴体40と軸部10とは、回転部品42と軸部10とを上下方向から互いに突き合わせて中心軸を中心に所定角度相対回転させることで爪17と爪42cとが係合されることによって互いに結合され、結合状態では、回転部品42は、摺接抵抗によって軸部10と共回りするように構成されている。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11