【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
【0036】
[実施例1]SQ−ETの合成
(i)(2−エチル−1−ヘキシル)(2−トリフェニレリル)アミンの合成
2−エチルヘキシルアミン1.55g(12mmol)及び2−ブロモトリフェニレン2.45g(8mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)8mlに溶解させた溶液中に、ヨウ化銅(I)228mg(1.2mmol)、炭酸カリウム2.21g(16mmol)及びL−プロリン230mg(2mmol)を添加して、90℃で21時間攪拌し、さらに温度を上げて140℃で18時間攪拌した。
得られた粗生成物を分液漏斗に移し酢酸エチル100mlを加えて希釈し、イオン交換水を100mlを加え洗浄した。次に飽和食塩水を用いて同様の操作を2回行い洗浄した。その後、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、溶媒を減圧除去した。最後に、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン:トルエン=3:1)で精製をすることにより、収率53%でN−(2−エチルヘキシル)トリフェニレリル−2−アミンを得た。
(ii)SQ−ETの合成
1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン1.39g(6.4mmol)及びN−(2−エチルヘキシル)トリフェニレリル−2−アミン1.52g(4.29mmol)をキシレン30mlに溶解させた溶液中に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)36mg(0.04mmol)、カリウム−t−ブトキシド481mg(4.3mmol)、トリブチルホスフィン49mg(0.24mmol)を添加して、21時間加熱還流することにより、N−(2−エチルヘキシル)−N−(3,5−ジメトキシフェニル)トリフェニレン−2−アミンを得た。
ここに、三臭化ホウ素2.3g(9.2mmol)を塩化メチレン9.2mlに溶解させた溶液を添加し、室温で23時間攪拌することにより、5−(N−(2−エチルヘキシル)−N−(トリフェニレニル)アミノ)ベンゼン−1,3−ジオールを得た。
ここに、スクアリン酸166mg(1.45mmol)をトルエン45ml及びブタノール15mlに溶解させた溶液を添加し、18時間加熱還流することにより、収率102%でSQ−ETを得た。
【化6】
1H−NMR、MS及び元素分析により、SQ−ETの生成を確認した。
結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.97 (s, 4H), 8.74-8.63 (m, 8H), 8.53 (d, 2H, J=7.6 Hz), 8.45 (d,2H J=2.8Hz), 7.73-7.65 (m, 8H), 7.49 (d, 2H, J=9.2 Hz), 5.86 (s,4H), 3.84 (d, 4H, J=7.2 Hz), 1.85-1.78 (m, 2H), 1.42-1.22 (m, 16H),0.88-0.81 (m, 12H) ppm
MS: m/z n.d. [M]
+
Anal. Calcd for C
68H
64N
2O
6:C, 81.25; H, 6.42; N, 2.79%. Found: C, 81.25; H, 6.52; N, 2.70%.
【0037】
[実施例2]SQ−EPの合成
(i)N−(2−エチルヘキシル)ベンゼンアミンの合成
2−エチルヘキシルアミン5.81g(45mmol)及びブロモベンゼン2.36g(15mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)15mlに溶解させた溶液中に、ヨウ化銅(I)571mg(3mmol)、炭酸カリウム5.52g(40mol)及びL−プロリン575mg(5mmol)を添加して、90℃で16時間攪拌し、さらに温度を上げて120℃で8時間攪拌した。
得られた粗生成物を分液漏斗に移し酢酸エチル100ml加えて希釈し、イオン交換水を100mlを加え洗浄した。次に飽和食塩水を用いて同様の操作を2回行い洗浄した。その後、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、溶媒を減圧除去した。最後に、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン:トルエン=1:1)で精製することにより、収率66%でN−(2−エチルヘキシル)ベンゼンアミンを得た。
【化7】
(ii)SQ−EPの合成
1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン3.36g(15.5mmol)及びN−(2−エチル−1−ヘキシル)アニリン1.59g(7.73mmol)をキシレン80mlに溶解させた溶液中に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)91mg(0.1mmol)、カリウム−t−ブトキシド3.7mg(33mmol)、トリブチルホスフィン82mg(0.4mmol)を添加して、25時間加熱還流することにより、N−(2−エチルヘキシル)−3,5−ジメトキシ−N−フェニルベンゼンアミンを得た。
ここに、三臭化ホウ素4.0g(16mmol)を塩化メチレン16mlに溶解させた溶液を添加し、室温で21時間攪拌することにより、5−(N−(2−エチルヘキシル)−N−フェニルアミノ)ベンゼン−1,3−ジオールを得た。
ここに、スクアリン酸167mg(1.47mmol)をトルエン45ml及びブタノール15mlに溶解させた溶液を添加し、24時間加熱還流することにより、収率83%でSQ−EPを得た。
【化8】
1H−NMR、MS及び元素分析により、SQ−EPの生成を確認した。
結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.94 (s, 4H), 7.45 (t, 4H, J=7.2 Hz), 7.89 (t, 2H, J=7.2 Hz), 7.18(d, 4H J=7.2 Hz), 5.74 (s, 4H), 3.66 (d, 4H, J=7.2 Hz), 1.73-1.67 (m,2H), 1.43-1.16 (m, 16H), 0.87-0.80 (m, 12H) ppm
MS: m/z 706 [M]
+
Anal. Calcd for C
44H
52N
2O
6:C, 74.97; H, 7.44; N, 3.97%. Found: C, 75.04; H, 7.35; N, 3.92%.
【0038】
[実施例3]SQ−ENの合成
(i)N−(2−エチルヘキシル)ナフタレン−2−アミンの合成
2−エチルヘキシルアミン2.33g(18mmol)及び2−ブロモナフタレン2.48g(12mol)をジメチルスルホキシド(DMSO)6mlに溶解させた溶液中に、ヨウ化銅(I)228mg(1.8mmol)、炭酸カリウム2.21g(24mmol)、L−プロリン230mg(3mmol)を添加して、90℃で11時間攪拌し、さらに温度を上げて120℃で23時間攪拌した。
得られた粗生成物を分液漏斗に移し酢酸エチル100ml加えて希釈し、イオン交換水を100mlを加え洗浄した。次に飽和食塩水を用いて同様の操作を2回行い洗浄した。その後、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、溶媒を減圧除去した。最後に、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン:トルエン=2:1)で精製することにより、収率68%でN−(2−エチルヘキシル)ナフタレン−2−アミンを得た。
【化9】
(ii)SQ−ENの合成
1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン2.54g(11.7mmol)及びN−(2−エチルヘキシル)ナフタレン−2−アミン2.01g(7.86mmol)をキシレン50mlに溶解させた溶液中に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)91mg(0.1mmol)、カリウム−t−ブトキシド897mg(8mmol)、トリブチルホスフィン82mg(0.4mmol)を添加して、25時間加熱還流することにより、N−(2−エチルヘキシル)−N−(3,5−ジメトキシフェニル)ナフタレン−2−アミンを得た。
ここに、三臭化ホウ素3.75g(15mmol)を塩化メチレン15mlに溶解させた溶液を添加し、室温で20時間攪拌することにより、5−(N−(2−エチルヘキシル)−N−(ナフタレニル)アミノ)ベンゼン−1,3−ジオールを得た。
ここに、スクアリン酸244mg(2.15mmol)をトルエン45ml及びブタノール15mlに溶解させた溶液を添加し、22時間加熱還流することにより、収率85%でSQ−ENを得た。
【化10】
1H−NMR、MS及び元素分析により、SQ−ENの生成を確認した。
結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.96 (s, 4H), 7.92 (d, 2H, J=8.0 Hz), 7.89-7.87 (m, 2H),7.83-7.8 (m, 2H), 7.66 (d, 2H, J=1.2 Hz), 7.56-7.52 (m, 4H), 7.28 (d,2H, J=8.6 Hz), 5.79 (s, 4H), 3.78 (d, 4H, J=7.2 Hz), 1.78-1.70 (m,2H), 1.50-1.18 (m, 16H), 0.85-0.81 (m, 12H) ppm
MS: m/z 806 [M]
+
Anal. Calcd for C
52H
56N
2O
6:C, 77.58; H, 7.01; N, 3.48%. Found: C, 77.48; H, 6.85; N, 3.46%.
【0039】
[実施例4]SQ−EBの合成
(i)N−(2−エチルヘキシル)−4−ビフェニルアミンの合成
2−エチルヘキシルアミン1.55g(12mmol)及び4−ブロモビフェニル1.86g(8mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)8mlに溶解させた溶液中に、ヨウ化銅(I)228mg、炭酸カリウム2.21g、L−プロリン230mgを添加して、90℃で18時間攪拌した。
得られた粗生成物を分液漏斗に移し酢酸エチル100ml加えて希釈し、イオン交換水を100mlを加え洗浄した。次に飽和食塩水を用いて同様の操作を2回行い洗浄した。その後、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、溶媒を減圧除去した。最後に、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン:トルエン=2:1)で精製することにより、収率39%でN−(2−エチルヘキシル)−4−ビフェニルアミンを得た。
【化11】
(ii)SQ−EBの合成
1−ブロモ−3,5−ジメトキシベンゼン1.01g(4.63mmol)及び4−(N−(2−エチルヘキシル)アミノ)ビフェニル868mg(3.08mmol)をキシレン30mlに溶解させた溶液中に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)27mg(0.03mmol)、カリウム−t−ブトキシド348mg(3.1mmol)、トリブチルホスフィン33mg(0.17mol)を添加して、20時間加熱還流することにより、N−(2−エチルヘキシル)−N−(3,5−ジメトキシフェニル)−4−ビフェニルアミンを得た。
ここに、三臭化ホウ素1.5g(6mmol)を塩化メチレン6mlに溶解させた溶液を添加し、室温で16時間攪拌することにより、5−(N−(2−エチルヘキシル)−N−(4−ビフェニルアミノ)ベンゼン−1,3−ジオールを得た。
ここに、スクアリン酸108mg(0.95mmol)をトルエン45ml及びブタノール15mlに溶解させた溶液を添加し、25時間加熱還流することにより、収率77%でSQ−EBを得た。
【化12】
1H−NMR、MS及び元素分析により、SQ−ETPA及びSQ−EFの生成を確認した。
結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.97 (s, 4H), 7.64 (d, 4H, J=8.8Hz), 7.61 (d, 4H, J=7.6 Hz), 7.47 (t, 4H, J=7.8 Hz), 7.38 (t, 2H,J=7.4 Hz), 7.25 (d, 4H, J=6.8 Hz), 5.81 (s, 4H), 3.70 (d, 4H, J=7.2Hz), 1.7-1.72 (m, 2H), 1.48-1.22 (m, 16H), 0.87-0.83 (m, 12H) ppm
MS: m/z 856 [M]
+
Anal. Calcd for C
56H
60N
2O
6:C, 78.48; H, 7.06; N, 3.27%. Found: C, 78.60; H, 7.20; N, 3.22%.
[実施例5、6]
下記構造式で表されるSQ−ETPA(実施例5)及びSQ−EF(実施例6)を、実施例1〜4と同様の手順で合成した。
【化13】
合成スキームは以下のとおりである。
【化14】
1H−NMR、MS及び元素分析により、SQ−ETPA及びSQ−EFの生成を確認した。
結果を以下に示す。
(1)SQ−ETPA
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.98 (s, 4H), 7.30 (t, 8H, J=8.0 Hz), 7.14 (d, 8H, J=8.8Hz), 7.08 (t, 8H, J=6.6 Hz), 6.99 (d, 4H, J=6.4 Hz), 5.80 (s, 4H), 3.63 (d, 4H,J=7.6 Hz), 1.77-1.73 (m, 2H), 1.46-1.21 (m, 16H), 0.89-0.82 (m, 12H) ppm
MS: m/z n.d. [M]
+
Anal. Calcd for C
68H
70N
4O
6:C, 78.58; H, 6.79; N, 5.31%. Found: C, 78.50; H, 6.89; N, 5.31%.
(2)SQ−EF
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.95 (s, 4H), 7.76 (d, 2H, J=8.0 Hz), 7.73 (d, 2H, J=6.0 Hz), 7.45(d, 2H, J=6.0 Hz), 7.39-7.33 (m, 4H), 7.24 (d, 2H, J=2.0 Hz),7.14 (d, 2H, J=8.4 Hz), 5.82 (s, 4H), 3.70 (d, 4H, J=7.6 Hz), 1.75-1.68 (m,2H), 1.49 (s, 12H), 1.45-1.15 (m, 16H), 0.85-0.80 (m, 12H) ppm
MS: m/z 937 [M]
+
Anal. Calcd for C
62H
68N
2O
6:C, 79.46; H, 7.31; N, 2.99%. Found: C, 79.39; H, 7.35; N, 2.97%.
[実施例6]
下記構造式で表されるSQ−ESを以下の合成スキームに従って合成した。
【化15】
【化16】
1H−NMR、MS及び元素分析により、SQ−ESの生成を確認した。
結果を以下に示す。
1H NMR(400 MHz, CDCl
3): δ 10.84 (s, 4H), 7.88-7.81 (m, 8H), 7.40-7.34 (m, 6H), 7.18-7.10 (m,8H), 7.75 (t, 6H, J=7.6 Hz), 7.53 (s, 2H), 5.66 (s, 4H), 3.45 (d, 4H, J=7.2 Hz),1.49-1.40 (m, 2H), 1.17-0.98 (m, 16H), 0.76 (t, 6H, J=6.8 Hz), 0.61 (t, 6H,J=6.8 Hz) ppm
MS: m/z n.d. [M]
+
Anal. Calcd for C
82H
72N
2O
6:C, 83.36; H, 6.14; N, 2.37%. Found: C, 83.33; H, 6.36; N, 2.36%.
【0040】
[試験例1]紫外・可視分光分析(UV−vis)
実施例1〜7で得られたSQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、及びSQ−ESを2mgずつ秤量し、それぞれクロロホルム1mlに溶解させ、2mg/ml溶液を調製した。
SQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EBのそれぞれについて、クロロホルム溶液を石英ガラスに入れて測定した場合(- - -)、キャストフィルムにして測定した場合(―■―)、キャストフィルムに熱アニール処理(70℃、10分)を施した後に測定した場合(―◆―)、キャストフィルムに熱アニール処理(120℃、10分)を施した後に測定した場合(―▲―)のUV−Vis吸収スペクトルを測定した。SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESについては、キャストフィルムにして測定した場合(―●―)、キャストフィルムに熱アニール処理(70℃、10分)を施した後に測定した場合(―■―)、キャストフィルムに熱アニール処理(120℃、10分)を施した後に測定した場合(―◆―)のUV−Vis吸収スペクトルを測定した。
UV−Vis吸収スペクトルでは、SQ−EP<SQ−EB<SQ−EN<SQ−ETの順に長波長化しているが、そのエネルギー差はわずか0.03eV程度であることがわかった。
結果を表1及び
図2に示す。
【0041】
[試験例2]示差走査熱量測定(DSC)及び示差熱分析(TGA)
実施例1〜7で得られたSQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESをそれぞれ5mgずつアルミニウムパンに入れてDSC、TGAを測定した。
結果を表1に示す。SQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESのガラス転位温度(Tg)は観測されず、融点(Tm)は164〜285℃であり、5%重量減少温度(Td)は305〜343℃であった。SQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESのいずれも芳香族炭化水素基を有するため、剛直な構造であり、高い熱安定性を有することがわかった。
【0042】
[試験例3]サイクリックボルタンメトリー(CV)
実施例1〜4で得られたSQ−EPを2.11mg、SQ−ENを2.41mg、SQ−EBを2.57mg秤量し、それぞれ塩化メチレン6mlに溶解させ、0.5mM溶液を調製し、CV測定を行った。SQ−ETは1mg秤量し、塩化メチレン6mlでも完全溶解していなかったが、それ(0.17mM以下の溶液)を用いてCV測定を行った。
実施例5〜7で得られたSQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESについても同様に、CV測定を行った。
結果を表1に示す。SQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESについて、芳香族炭化水素基の違いによるエネルギー準位の差はほとんど認められなかった。
【0043】
【表1】
【0044】
[試験例4]溶解性試験
実施例1〜7で得られたSQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESを、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、クロロベンゼン(CB;120℃)及びo−ジクロロベンゼン(ODCB)に溶解させて、溶解性の評価を行った。
芳香族炭化水素基に2−ナフチル基、2−トリフェニレニル基を導入したSQ−EN及びSQ−ETは溶解性が低いことがわかった。
結果を表2に示す。
【表2】
【0045】
[試験例5]太陽電池特性評価
陽極として、ガラス基板の全面に酸化インジウムスズ(ITO)膜が塗布されたITO基板を準備し、ITO電極の上に、正孔輸送層として、6nm厚の酸化モリブデン(VI)(MoO
3)層を積層させ、その上に活性層として、ドナー材料に、実施例1〜7で得られたSQ−ET、SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、SQ−ESと、アクセプター材料にフェニルC71酪酸メチル(PC
70BM)とを所定の質量比で混合したものを70〜100nm厚となるように塗布し、その上に電子輸送層として、10nm厚の2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を積層し、陰極として100nm厚のアルミニウム板を積層させて、BHJ型太陽電池の素子を作製し、特性評価を行った。
【化17】
SQ−EP、SQ−EN、SQ−EB、SQ−ETPA、SQ−EF、及びSQ−ESのそれぞれの素子特性結果を表3及び
図3〜5に示す。
【0046】
【表3】
SQ−EP及びSQ−EBを用いた太陽電池素子において、熱アニールすることで、V
OC(開放電圧)、J
SC(短絡電流密度)及びFF(曲線因子)のすべての値が低下し、PCEが低下する傾向が確認できた。一方、SQ−ENを用いた太陽電池素子では、熱アニールによる変化がみられなかった。
SQ−EP:PC
70BM=1:1.7(SQ 46.2%)の質量比で太陽電池素子を作製した結果、V
OC=1.00V、J
SC=11.68mA/cm
-2、FF=0.48であり、PCEが5.53%と比較的高い効率を示した。そこで、SQ−EPの割合を多くした素子を作成し、素子の最適化をすれば、より高い効率を得られることが期待できる。しかしながら、SQ−EBについては、分子の平面性の観点から、効率の向上が期待できると考えられたが、SQの割合を多くするほどJ
SCの低下がみられ、SQ−EPと比べて効率が劣っていた。