(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図23を参照して説明する。
【0008】
スロットマシン1は、遊技機の一例であり、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0009】
具体的には、スロットマシン1は、
図1〜3に示すように、筐体1bと、筐体1b前面側を覆う前扉1aとから構成されている。
前扉1aは、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前面側には、遊技者に操作される複数の操作部などが設けられている。
【0010】
例えば、操作部として、機内にメダルを投入するためのメダル投入口2が設けられ、所定数(例えば、3枚)のメダルがメダル投入口2から投入されることで、メダル投入口2と連通するメダルセレクタ2bによってメダルが検出され、ゲーム開始可能な状態となる。
【0011】
また、押下操作可能なベットボタン2a(例えば、マックスベットボタン)が設けられ、操作に応じて内部的に記憶したクレジットメダルからデータ形式のメダルをゲームに投入することもできる。
【0012】
また、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、ゲーム開始可能な状態において遊技者により操作されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転を開始する。
【0013】
また、各リール41に対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられており、遊技者により各停止ボタン5が押下操作されることで、回転している各リール41を停止させることができる。
【0014】
また、前扉1aには、操作部の他にも様々な装置が設けられ、例えば、停止状態にある各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄が視認可能な表示窓6、メダルが払い出されるメダル払出口7b、前扉1bを施錠するための錠前13、メダルを載置可能な受け皿15などが設けられている。
また、内蔵される発光手段(例えばLED)の発光態様により所定の発光演出を行うセンターランプユニット8及びサイドランプユニット9が設けられている。
さらに、前扉1aには、所定音を出力可能な音出力手段としてスピーカ14が複数(例えば3個)設けられている。
【0015】
一方、筐体1bは、筐体構造を有し、スロットマシン遊技に必要な様々な機械、装置などが収納されている。
【0016】
例えば、リール41a,41b,41c、各リール41を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサなどを備えるドラムユニット4が設けられている。
また、メダルの貯留・払い出し行うメダル払出装置7が設けられ、払い出されたメダルはメダル払出口7bを介して遊技者に提供される。
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルがメダルセレクタ2bを介してホッパー7aに誘導される。
【0017】
また、筐体1bには、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作部からの操作信号に基づいて、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することでスロットマシン遊技を実行可能な主制御部10が設けられている(
図3、4参照)。
主制御部10は、CPUなどを備えるコンピュータとして構成され、例えば、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー3に対する操作を検知すると、各リール41の回転を開始させる。
また、これと同時に、再遊技役、小役、ボーナスなどの当選役を抽選により決定する内部抽選処理を実行し、各リール41の回転中において、各停止ボタン5に対する押下操作を検知すると、抽選結果に対応した図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41の停止制御を行う。
また、主制御部10は、停止した各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せを判定し、小役に対応する図柄の組合せでの停止を判定したときには、所定数のメダルを払い出すようにメダル払出装置7を制御する。
【0018】
また、筐体1bには、スロットマシン遊技に同期した演出を実行可能な副制御部20が設けられている。
副制御部20は、主制御部10と同様にCPUなどを備えるコンピュータとして構成され、主制御部10から送信される制御コマンドに基づいてセンターランプユニット8、サイドランプユニット9、スピーカ14などの演出用出力手段を制御して(
図4参照)、スロットマシン遊技に同期した演出を行わせる。例えば、主制御部10からボーナス遊技開始を示す制御コマンドを受信すると、センターランプユニット8及びサイドランプユニット9を制御して内蔵する発光手段を所定の態様で発光させる。
スロットマシン1は、このような一般的なスロットマシンが備える構成に加え、さらに以下に示すような特徴的な構成を備えている。
【0019】
[保護カバー]
スロットマシン1は、機外から異物を挿入して筐体1b内に侵入させる不正行為の対策として、侵入防止手段を備えている。
例えば、表示窓6の左右両端部から異物を挿入して筐体1b内に侵入させる対策として、
図3、
図5(
図1のA−A断面)に示すように、保護カバー16(16a,16b)を備えている。
保護カバー16a,16bは、前扉1aの裏面側において、表示窓6の左右両端側にそれぞれ配置されており、
図5に示すように、壁部161a,161bと返し部162a,162bとをそれぞれ有する。
壁部161a,161bは異物の侵入を阻止する障壁として作用し、返し部162a,162bは侵入した異物を表示窓6側に戻す「返し」として作用する。これにより、表示窓6の左右両端部61から保護カバー16a,16bを超えてさらに筐体1b内部に異物を侵入させようとする不正行為からスロットマシン1を保護することができる。
【0020】
[前扉分離構造]
また、スロットマシン1は、前扉1aが上下方向に分離可能に構成されている。
例えば、前扉1aは、
図6に示すように、上側扉部11と下側扉部12とに分離することができる。
上側扉部11は、当該スロットマシン1の属する機種(所定の機種名)のみに設けられる、例えば、センターランプユニット8及びサイドランプユニット9などの専用部材を備えている。
一方、下側扉部12は、下パネル部123の一部に機種専用の絵柄シート(比較的安価な部品)を備えるものの、その他は複数の機種に共通して設けられる、例えば、メダル投入口2、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作部、その他の比較的高価な部品を備えている。
これにより、前扉1aを製造するにあたり、下側扉部12を共通部品として流用しつつ、上側扉部11のみを違えることにより複数の機種に対応可能となり、前扉1aのすべてを機種ごとに製造する必要がないことから、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0021】
[連結部材]
このように上下方向に分離可能に構成された前扉1aは、
図6に示すように、上側扉部11の支柱部111において、上側扉部11と下側扉部12とが連結する。
支柱部111は、上側扉部11の左右方向端部に配置されるとともに、上側扉部11から下側扉部12に向けて延設され、表示窓6の窓枠として機能する部分である。このような支柱部111は、上側扉部11全体を支える部分であり、所定部材91,112により補強されるものの、単に支柱部111をネジ等を介して下側扉部12に固定するだけでは、前扉1a全体の強度が不足するおそれがある。
【0022】
そこで、骨体として作用するように支柱部111及び下側扉部12に係入されるとともに、上側扉部11と下側扉部12の間に架け渡される連結部材17,18を備えている。
連結部材17,18は、
図8及び9に示すように、それぞれ形状の異なる右側連結部材17と左側連結部材18とを備えている。
【0023】
各連結部材17,18は、支柱部111に係入固定される上側固定部171,181と、下側扉部12に係入固定される下側固定部172,182を備え、また、支柱部111側に螺入されるネジの孔を有するネジ固定部171a,181aと、下側扉部12側に螺入されるネジの孔を有するネジ固定部172a,182aとを備えている。
このような構成により、上側扉部11と下側扉部12を直接ネジ固定することに加え又は代えて、これらの連結部材17,18が、
図7に示すように、前扉1aの裏面側において、上側扉部11と下側扉部12の間に架け渡されるとともに、それぞれにネジ固定され、上側扉部11と下側扉部12とを強固に連結させる。また、連結部材17,18が、支柱部111の強度を補強する役割も果たす。
【0024】
このような連結部材17,18は、単に上側扉部11と下側扉部12とを連結させる役割を担うだけでなく、機外から筐体1b内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を備えている。
前扉1aには、例えば、錠前13(シリンダ錠)とこの鍵穴を機外に臨ませる錠前用開口部との間に形成される隙間S1(
図1参照)、天板2cと操作板2dとの間に形成される隙間S2(
図2参照)などがあり、このような隙間から筐体1b内に異物が侵入され、メダルを過剰に払い出させるなどの不正な操作が行われるおそれがある。
【0025】
そこで、連結部材17,18は、このような錠前13の周辺や、ベットボタン2a、スタートレバー3などの操作部の周辺に形成される隙間S1,S2から、筐体1b内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を備えている。
例えば、右側連結部材17は、
図8及び
図10(
図6(a)のB−B断面)に示すように、円筒形の錠前13周辺を囲む筒状部173を備えており、隙間S1からの異物の侵入範囲を筒内に制限する。また、筒状部173の後端部側は所定部品に当接され、所定部品を超える異物の侵入を阻止する。
また、左側連結部材18は、
図9及び
図11(
図6(a)のC−C断面)に示すように、袋小路状の空間をなす囲い部183を備えており、隙間S2からの異物の侵入範囲を囲い部183内に制限する。また、囲い部183の後端部側は所定部品に当接され、所定部品を超える異物の侵入を阻止する。
このように、各連結部材17,18が上側扉部11と下側扉部12とを連結させる役割を担うだけでなく、機外から筐体1b内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を備えることで、部品の有効利用を図ることができる。
【0026】
[カバー部材]
また、前扉1aは、
図6に示すように、メダルを載置可能な受け皿15を備えている。
受け皿15は前扉1aの前面側に固定可能に構成され、
図12に示すように、固定手段として、ネジ穴151と、爪部152を複数備えている。
ネジ穴151は、前扉1aの裏面側から螺入されるネジの穴であり、爪部152は、前扉1aの裏面側に係止可能に鈎状に形成された係止手段である。
これらの固定手段に対応して、前扉1aには、爪部152が挿入されて係止される係入孔121、ネジ穴151と挿通可能な挿通孔122が複数穿設されている(
図6(b)参照)。
【0027】
このような構成により、受け皿15は、爪部152を係入孔121に係止させるとともに、前扉1aの裏面側からネジ穴151にネジを螺入させることで取り付けることができる。しかしながら、爪部152と係入孔121との間等には少なからず隙間が形成されることから、この隙間を介してスロットマシン前方から筐体1b内に異物が挿入され、メダルを過剰に払い出させるなどの不正な操作が行われるおそれがある。
【0028】
そこで、複数の爪部152及び係入孔121それぞれを前扉1aの裏面側から覆うカバー部材19を備えている。
カバー部材19は、
図7及び
図13に示すように、前扉1b裏面左右両端部に位置する二つの爪部152及び係入孔121それぞれを覆うように前扉1aの裏面側に取り付けられるカバー体である。
このカバー部材19は、操作不能に爪部152を遮蔽するとともに係入孔121全体を遮蔽するものの、爪部152を外部に臨ませるための開口部191を有している。
【0029】
また、カバー部材19は、第1位置と第2位置の一方から他方に、他方から一方に相互にスライド移動可能に構成されている。
例えば、カバー部材19は、前扉1aの裏面側に取り付けられた状態においては、水平方向の移動が規制されるものの、鉛直方向には、前扉1aの裏面に沿ってスライド移動可能に構成されている。
【0030】
第1位置は、
図14(a)に示すように、カバー部材19が自重によって最下部まで降下したときの位置であり、第2位置は、
図14(b)に示すように、カバー部材19が重力に抗して最上部まで上昇したときの位置である。
そして、カバー部材19は、第1位置では爪部152を操作不能に遮蔽するとともに係入孔121全体を遮蔽し、第2位置では開口部191を介して爪部152を操作可能に外部に臨ませる。
このような構成により、第1位置では、爪部152と係入孔121の間の隙間からの異物の侵入がカバー部材19により阻止されることになる。
一方、メンテナンス等の目的で受け皿15を取り外すときには、カバー部材19を重力に抗して第2位置まで持ち上げ、その状態を維持ししたまま、開口部191を介して爪部152にアクセスし、その係止状態を解除することにより簡単に取り外すことができる。
このように、カバー部材19を備えることにより、前扉1aの裏面側からの受け皿15の取り外しを容易としながらも、前扉1aの表面側からの異物の侵入を阻止することができる。
なお、カバー部材19のスライド移動方向は鉛直方向に限らず水平方向でもよい。
【0031】
[センターランプユニット]
また、スロットマシン1は、内蔵される発光手段(例えばLED)の発光態様により所定の発光演出を行うセンターランプユニット8及びサイドランプユニット9を備えている。
図15に示すように、センターランプユニット8及びサイドランプユニット9は、例えば、前扉1bの裏面側から螺入されるネジを介して前扉1aの前面側に固定される。
【0032】
センターランプユニット8は、アーチ状に発光する発光体であり、
図16、
図17に示すように、複数の部材から構成され、例えば、前方被照射部材81、後方被照射部材82、光誘導部材83、導光部材84、出射範囲区画部材85、装飾部材86、LED基板87、スピーカ14(
図1における前扉1a左上のスピーカ)などを備えている。
なお、
図1,2,15に示すセンターランプユニット8と、
図16,17に示すセンターランプユニット8は、外形がそれぞれ異なるものの、部品構成は同等なものとなっている。
また、
図17において、前方被照射部材81は、特に図示しないが、後方被照射部材82の前方に配置されているものとする。
【0033】
前方被照射部材81は、前面側に膨出した断面円弧状に形成され、後方被照射部材82を覆う透明な樹脂製のカバー体である(
図15参照)。
また、スピーカ14からの音を機外に出力するための挿通孔811が複数穿設されている(
図1参照)。
後方被照射部材82は、被照射部の一例であり、断面三角状の凹凸を有する表面82aと、平らな裏面82bとを有し、半透明(例えば乳白色)な樹脂製のカバー体である。
これらの被照射部材81,82は、LED基板87に備える複数のLED872により照射されるとともに、自身の有する透光性により照射された光をスロットマシン前方に向けて出射する。
【0034】
LED基板87は、基板本体871、複数(例えば30個)のLED872(例えばフルカラーLED)などを備え、所定のコネクタやケーブルを介して副制御部20に接続されている。
複数のLED872は、それぞれが発光手段の一例であり、被照射部材81,82のアーチ形状に沿って配置されるとともに、スロットマシン1前方側が光の出射方向となるように一の基板本体871に実装されている。また、各LED872はそれぞれ独立して点灯(点滅も含む、以下同じ)制御可能に構成され、例えば、左から右へ、右から左へ、上から下へ、下から上へというように光が流れるような態様で点灯制御される。また、各LED872の発光強度は同等となっている。
このようなLED872から出射される出射光は、以下の構成により、後方被照射部材82を均一に照射する。
【0035】
LED基板87の前方には、出射範囲区画部材85が配置されている。
出射範囲区画部材85は、光を反射可能な部材(例えば白色樹脂)から構成され、部材内を格子状に仕切るように、左右方向に延びる複数(例えば3つ)の横仕切り部851と、縦方向に延びる複数(例えば7つ)の縦仕切り部852とを備えている。
横仕切り部851はスロットマシン1前方側に向けて約30mm突設されたリブとして形成され、縦仕切り部852はスロットマシン1前方側に向けて約2mm突設されたリブとして形成されている。
【0036】
このような横仕切り部851と縦仕切り部852とで区画された複数の領域をそれぞれブロックBといい、各ブロックBはそれぞれスロットマシン1前方側が開口された開口部を備えるとともに、独立して制御可能なLED872(本実施形態では、1つずつ)がそれぞれ配置されている。
ブロックBは、
図16において、B(行、列)により表され、例えば、1行目はB11〜B17までの7つのブロック、2行目はB21〜B27までの7つのブロックというように、それぞれ区画されている。
また、右端部には、横仕切り部851により区画されないブロックB51、B52を有し、これらのブロックにもそれぞれ独立して制御可能なLED872が配置されている。
【0037】
また、ブロックB11、B21、B31、B41からなる1列目のブロックB11〜B41には、光誘導部材83及び導光部材84が設けられており、1列目のブロックB11〜B41からは、これらのブロックBそれぞれに配置されたLED872からの直接光ではなく、導光部材84内を伝播して導光部材84の出射面からの出射光が出射される。
一方、1列目のブロックB11〜B41以外のブロックB(2列目〜7列目、及びB51、B52)からは、それぞれのブロックBに配置されたLED872からの直接光が出射される。
【0038】
このような出射範囲区画部材85の構成により、各ブロックがそれぞれ独立して点灯、消灯、発光色を違えた発光等が可能な発光領域として動作する。特に、横仕切り部851によって複数の行を跨ぐ光の干渉が抑制され、例えば、一の行に対応するLED872をすべて点灯させ、他の行に対応するLED872をすべて消灯させたときには、くっきりと輝く一条の光のアーチを表現することができ、全行に対応するLED872を行ごとにそれぞれ異なる発光色で点灯させたときには、それぞれ色彩の異なる四条の光のアーチを表現することができる。
【0039】
導光部材84は、1列目のブロックB11〜B41にそれぞれ配置された各LED872からの光を出射面から出射させる。
例えば、導光部材84(84a〜84d)は、
図18に示すように、L字状に形成された透明な樹脂(例えばアクリル)からなり、入射部841と、出射部842と、曲折部843とを備え、1列目のブロックB11〜B41それぞれに対応して複数設けられている。
【0040】
入射部841は、LED972からの光が入射する入射面841aと、側面841bと、側面841cとを有する。
出射部842は、導光部材841内を伝播した光が出射する出射面842aと、これに対向する拡散面842bとを有しており、拡散面842bには、光の拡散を促進するための凹凸構造が形成されている。
曲折部843は、入射部841と出射部842の間に位置し、入射面841aに対して約45°傾く反射面843aを有する。
また、導光部材841は、側面841bと側面841cの間と、出射面842aと拡散面842bの間が入射部841から出射部842に向かうにつれて狭くなるように形成されている。
このような構成により、入射面841aから入射した光は、以下のように、導光部材841内を伝播して出射面842aから出射される。
【0041】
まず、入射面841aから入射した光は、入射部841内を反射面843aに向けて直進する。反射面843aに到達すると、一部の光は反射面843aから出射されるものの、残りの光は反射面843aによって反射され、出射部842に向かう。
出射部842に向かった光は、拡散面842bにより拡散され、一部の光が拡散面842bから出射されるものの、残りの光が出射面842aから出射されることになる。
これにより、1列目のブロックB11〜B41からは、導光部材84内を伝播して導光部材84の出射面842aからの出射光が出射されることになる。
【0042】
さらに、LED872からの光の伝播効率を高めるために、導光部材84の形状に沿って伝播するように光を誘導する光誘導手段を設けてある。
光誘導部材83は、光誘導手段の一例であり、
図19に示すように、複数の導光部材84a〜84dにそれぞれ対応する複数の光誘導部831と、横仕切り部851に接続される接続部833とを備え、導光部材84内を伝播する光の一部が漏出可能な透光性を有している。例えば、光誘導部材83は、基材となる所定の樹脂と、白色の無機顔料と、紫色及び青色の染料と、所定の拡散剤とをそれぞれ所定の配合比率で混合して射出成形した成形品からなり、透光性と遮光性のバランスの取れた光学的特性を有している。
【0043】
光誘導部831は、導光部材84の形状に沿った内側面を有しており、例えば、内側面832aは導光部材84の側面841bに対向する面として、内側面832bは導光部材84の反射面843aに対向する面として、内側面832cは導光部材84の反射面843aに近接する出射面842aの一部に対向する面として形成されている。
これにより、導光部材84の側面841b、反射面843a、及び出射面842aの一部からそれぞれ外部に出射しようとする光が、内側面832a〜832cの各面により遮られることになり、LED872からの光の伝播効率を高められることになる。
一方で、光誘導部材83の有する透光性により、例えば、反射面843aやこれに近接する出射面842aの一部から出射されるスロットマシン1前方に向けて直進する光などは、内側面832b及び内側面832cを透過して出射されることになる(
図20参照)。
【0044】
このような光誘導手段として機能する部材は、光誘導部材83だけではなく、出射範囲区画部材85も光誘導手段として機能する。
例えば、出射範囲区画部材85は、
図17及び
図20(
図16(d)のD−D断面)に示すように、複数の導光部材84a〜84dそれぞれが配置される配置部853a〜853dを備えている。各配置部853は、断面L字状に形成され、各導光部材84の側面841c及び拡散面842bそれぞれに対向する面を有する壁面からなる。
これにより、導光部材84の側面841c及び拡散面842bからそれぞれ外部に出射しようとする光が、配置部853の各面(2面)により遮られることになり、LED872からの光の伝播効率を高められることになる。
なお、配置部853は、光誘導部材83とは異なり、透光性を有することなく、側面841c及び拡散面842bからの光を反射する反射性を有することが好ましい。
【0045】
以上のような構成により、センターランプユニット8は、
図20に示すように、後方被照射部材82の裏面82bにおいて、複数のLED872のうち一部のLED872a,872bからの直接光によりが照射される第1領域821aと、光源をLED872cとしながらも導光部材84内を伝播して出射面842aからの出射光により照射される第2領域821bとを有することになる。
また、LED872a,872bから第1領域821aまでの光路長より、導光部材84を介するLED872cから第2領域821bまでの光路長の方が長いものの、出射面842aを第2領域821bに接近させることにより、光の強度差によるムラの発生が抑制される。
また、透光性を有する光誘導部材83が第1領域821aと第2領域821bとの間に配置されていることから、導光部材84の反射面843aやこれに近接する出射面842aの一部から出射されるスロットマシン1前方側に向けて直進する光の一部が光誘導部材83から漏出して第3領域821cを照射することになる。この第3領域821cにより、第1領域821aと第2領域821bの間に発生する光の不連続性を補うことができる。
【0046】
さらに、第2領域821bの後方には、装飾部材86、スピーカ14が配置されている。
装飾部材86は、スピーカ14が固定されるとともに、出射範囲区画部材85と一体的に結合される部材である。また、所定のメッキ加工(例えばクロームメッキ)が施されるとともに、スピーカ14からの音を出力可能な開口部861を備えている(
図16参照)。
このような装飾部材86に固定されるスピーカ14の前方側は、
図16及び
図20に示すように、第2領域821bによりその一部が覆われている。
そして、1列目のブロックB11〜B41に断面L字状の導光部材84a〜84dを設けた理由は、このようなスピーカ14の設置スペースを確保するためであり、その結果、音の出力範囲を確保しながらセンターランプユニット8全体の奥行を薄くすることができるのである(
図16(c)参照)。
【0047】
このように、センターランプユニット8は、LED872からの直接光により照射される第1領域821aと、光源をLED872としながらも導光部材84内を伝播した出射面842aからの出射光により照射される第2領域821bと、を有するものの、出射面842aを第2領域821bに接近させたり、第1領域821aと第2領域821bの間に光誘導部材83からの漏出光により照射される第3領域821cを設けたりすることにより、被照射部材81,82が均一に照射されるので、センターランプユニット8が切れ目なく連続的に発光する一つの発光体として動作する。
また、導光部材84により、ユニット内にスピーカ14の設置スペースが確保されることから、センターランプユニット8全体の奥行を薄く形成しつつ、光の演出領域を拡大させながら音の出力領域を確保することができる。
【0048】
[サイドランプユニット]
サイドランプユニット9は、照明ユニットの一例であり、スロットマシン右側方に配置され、当該ユニットを正面から見たときに(
図21(b)参照)、左右方向それぞれに向けて光を出射可能に構成されている。
サイドランプユニット9は、複数の部材から構成され、例えば、
図21〜
図23に示すように、左側用透光性部材91、左側用LED基板92、左側用導光板93、反射部材94、基板収容ケース95、右側用LED基板96、右側用導光板97、絵柄シート98、右側用透光性部材99、フレーム部材100などを備えている。
なお、
図2,15に示すサイドランプユニット9と、
図21〜
図23に示すサイドランプユニット9は、外形がそれぞれ異なるものの、部品構成は同等なものとなっている。
【0049】
左側用透光性部材91は、断面J字状に形成され、左側用LED基板92、左側用導光板93を覆う有色透明な樹脂製のカバー体である。
左側面91a内側には、光を拡散させるために、例えば、水平方向に延びる横線模様をなす凹凸構造(レンズカット)が形成されている。
前面91b内側には、光を拡散させるために、例えば、約φ2ミリの円形模様をなす凹凸構造(レンズカット)が形成されている。
【0050】
左側用LED基板92は、基板本体921、複数(例えば11個)のLED922(例えば単色LEDやフルカラーLED)などを備え、所定のコネクタやケーブルを介して副制御部20に接続されている。
複数のLED922は、それぞれが発光手段の一例であり、スロットマシン前方側が光の出射方向となるように基板本体921に実装されている。また、各LED922はそれぞれ独立して点灯制御可能に構成され、例えば、上から下へ、下から上へというように光が流れるような態様で点灯制御される。
【0051】
左側用導光板93は、平板状に形成された透明な樹脂(例えばアクリル)からなり、LED922に対向する後端面93cから入射した光を後端面93cと直交する板面となる左側面93a,右側面93bから出射させる。
また、左側面93aには、各側面93a,93bからの出射を促進するために、前述の左側用透光性部材91に形成された横線模様に直交する縦線模様をなす凹凸構造(レンズカット)が形成されている。
【0052】
反射部材94は、例えば、メッキ加工(例えばクロームメッキ)などの表面処理や白色樹脂で成形されるなどの優れた光反射特性を有するとともに、平板状に形成された部材である。
左側面94aは、スロットマシンの中央に向けて光を反射する反射面として機能し、右側面94bは、スロットマシンの右方に向けて光を反射する反射面として機能する。
【0053】
基板収容ケース95は、右側用LED基板96を収容可能な黒色樹脂製のケース体である。
【0054】
右側用LED基板96は、基板本体961、複数(例えば30個)のLED962(例えば単色LEDやフルカラーLED)などを備え、所定のコネクタやケーブルを介して副制御部20に接続されている。
複数のLED962は、それぞれが発光手段の一例であり、スロットマシン前方側が光の出射方向となるように基板本体961に実装されている。また、各LED962は一斉に点灯や消灯するなどの同時点灯制御可能に構成されている。なお、各LED962はそれぞれ独立して点灯制御可能に構成することもでき、例えば、上から下へ、下から上へというように光が流れるような態様で点灯制御することもできる。
【0055】
右側用導光板97は、平板状に形成された透明な樹脂(例えばアクリル)からなり、LED962に対向する後端面97cから入射した光を後端面97cと直交する板面となる左側面97a,右側面97bから出射させる。
【0056】
絵柄シート98は所定の絵柄(例えばバニーガール)の表された有色透明な樹脂シートからなる。
右側用透光性部材91は、平板状に形成され、絵柄シート98を覆う無色透明な樹脂シートであり、絵柄シート98に対向する左側面99a、機外に露出される右側面99bを有する。
フレーム部材100は、右側用透光性部材99の周縁を囲みながらも右側面99bを機外に露出させるとともに、反射部材94との間で、右側用透光性部材99、絵柄シート98、及び右側用導光板97を挟持する有色透明な枠部材である。
【0057】
このように複数の部材から構成されるサイドランプユニット9は、各部材それぞれが以下のように作用し、左右方向それぞれに向けて光を出射させる。
【0058】
サイドランプユニット9は、例えば、
図23に示すように、左方向に向けて光を出射させるための光源として、左側用LED基板92に実装されたLED922を備えている。
このLED922は、スロットマシン前方に向けて光を出射する。
LED922の発光面は、その一部が左側用導光板93の後端面93cと重なるとともに、発光面の他部が後端面93cとは重ならずに左側用透光性部材91の前面91bを直接照射可能に配置されている。つまり、LED922の発光面は、後端面93cによりすべて覆われることなく、後端面93cから少し(右に)ずれた位置に配置してある。
【0059】
このようにLED922の発光面を左側用導光板93の後端面93cから少しずれた位置に配置したのは、以下の理由による。
後端面93cがLED922の発光面をすべて覆ってしまうと、左側用導光板93の前端面93dと、これに対向する左側用透光性部材91の前面91bの一部のみが発光し、左側用透光性部材91の前面91b全体が発光するように見えず、見栄えが悪いことになる。
一方、
図23に示すように、後端面93cがLED922の発光面をすべて覆わずに一部が重なるように左側用導光板93を配置すると、左側用導光板93の前端面93dと、これに対向する左側用透光性部材91の前面91bの一部が発光することはもちろんのこと、上記の左側用透光性部材91の前面91bを直接照射可能な光の作用により、左側用透光性部材91の前面91b全体が発光するように見え、見栄えがよくなるからである。
【0060】
そして、後端面93cから入射した光は、左側用導光板93内を伝播し、一部が前端面93dから出射し、残りが左側面93a,右側面93bから出射する。
左側面93aから出射する光は、そのまま左側用透光性部材91の左側面91aを透過し、スロットマシン中央に向けて出射される。
一方、右側面93bから出射する光は、一旦、反射部材94の左側面94aに反射し、左側用導光板93及び左側用透光性部材91の左側面91aを透過してから、スロットマシン中央に向けて出射される。
また、これらの出射光は、左側用透光性部材91の左側面91a内側と、左側用導光板93の左側面93aとにそれぞれ形成された横線模様と縦線模様の凹凸構造により、縦横に均一に拡散された光となって、スロットマシン中央に向けて出射される。
【0061】
このように、サイドランプユニット9は、スロットマシン前方側を出射方向とするLED922からの光を後端面93cに入射させ、後端面93cと直交する板面である左側面93a,右側面93bから光を出射させる左側用導光板93を備え、スロットマシン右側方から遊技者の着座する中央(左方)に向けた光を出射することができるようになっている。
【0062】
また、サイドランプユニット9は、右方向に向けて光を出射させるための光源として、右側用LED基板96に実装されたLED962を備えている。
このLED962は、スロットマシン前方に向けて光を出射する。
LED962の発光面は、
図23に示すように、右側用導光板97の後端面97cと対向しており、LED962からの光は、この後端面97cに入射される。
【0063】
後端面97cから入射した光は、右側用導光板97内を伝播し、一部が前端面97dから出射し、残りが左側面97a,右側面97bから出射する。
右側面97bから出射する光は、そのまま絵柄シート98と右側用透光性部材99を透過し、スロットマシン右方に向けて出射される。
一方、左側面97aから出射する光は、一旦、反射部材94の右側面94bに反射し、右側用導光板97、絵柄シート98及び右側用透光性部材99を透過してから、スロットマシン右方に向けて出射される。
また、前端面97dから出射した光は、フレーム部材100を透過してメッキ処理の施された反射部材94により反射して右側用導光板97内に再び入射されるものの、いずれは左側面97a,右側面97bから出射して、スロットマシン右方に向けて出射されることになる。
このような出射光により、絵柄シート98に表された絵柄が発光するように見える。
【0064】
このように、サイドランプユニット9は、スロットマシン前方側を出射方向とするLED962からの光を後端面97cに入射させ、後端面97cと直交する板面である左側面97a,右側面97bから光を出射させる右側用導光板97を備え、スロットマシン右方に向けた光を出射することができるようになっている。
これにより、サイドランプユニット9は、反射部材94を境界として左右方向それぞれに向けて光を出射することができる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1は、上側扉部11と下側扉部12とを連結する連結部材17,18を備え、各連結部材17,18は、前扉1aを施錠するための錠前13とベットボタン2aやスタートレバー3などの操作部のうち少なくともいずれか一方の周辺に形成される隙間S1,S2から機内への異物の侵入を防止する侵入防止手段を有することから、前扉1aを分離可能としながらも、不正アクセスにより出玉を過剰に払い出させるなどの不正行為からスロットマシン1を保護することができる。
【0066】
一方、従来のスロットマシンでは、前扉が分離可能に構成されるものの、連結部材自体が機内への異物の侵入を防止する侵入防止手段として機能するものではなく、部品の有効利用が図られなかった。
【0067】
また、本実施形態のスロットマシン1は、センターランプユニット8がLED872からの直接光によりが照射される第1領域821aと、導光部材84内を伝播して出射面842aからの出射光により照射される第2領域821bと、を有し、導光部材84を用いることにより、スピーカ14の設置スペースが確保される。
これにより、スロットマシン前面において、音の出力範囲を確保しながら、光による演出範囲を広げることができ、迫力のある光の演出を行うことができる。また、センターランプユニット8全体の奥行を薄く形成することができる。
また、導光部材84を用いることにより、スピーカ14のみならず他の部品の設置スペースも確保されることから、スロットマシン設計時の自由度を向上させることができる。
【0068】
一方、従来のスロットマシンでは、音の出力範囲と光による演出範囲とを完全に分離させていた。そのためそれぞれの設置スペースを確保しなければならないため、例えば、光による演出範囲が狭くなり、迫力のある光の演出を行うことができなかった。また、音の出力範囲の前方に光による演出範囲を重ねることもできるが、その分奥行が増すことから省スペース化を図ることができなかった。
【0069】
本実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0070】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0071】
例えば、本実施形態の前扉1aは、上側扉部11と下側扉部12に分離可能であるものの、連結部材17,18によって一体をなす一つの扉体として構成したが、連結部材17,18により選択的に連結可能(ラッチ機構の搭載など)とするとともに、上側扉部11と下側扉部12をそれぞれ独立して開閉可能な扉体として構成することもできる。
【0072】
また、センターランプユニット8において、導光部材84の出射部842や、出射範囲区画部材85の設置部853に、スピーカ14からの音が通過可能な孔を穿設することもできる。
また、1列目のブロックB11〜B41にはそれぞれ独立して点灯制御可能なLED872(フルカラーLED)が配置されていることから、各ブロックの発光色を変えることもできる。
【0073】
また、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【0074】
また、以上説明した内容から以下のような特徴を有する遊技機の発明を抽出することもできる。
【0075】
(1)所定の発光手段からの光により照射される被照射部を備える遊技機において、前記発光手段からの光を伝播可能な導光部材を備え、前記被照射部は、 前記発光手段からの直接光により照射される第1領域と、前記導光部材からの出射光により照射される第2領域と、を有することを特徴とする遊技機。
【0076】
(2)前記第1領域と前記第2領域の境界に対応する部分に、前記導光部材の形状に沿って伝播するように光を誘導する光誘導手段を設け、前記光誘導手段は、前記導光部材内を伝播する光の一部が漏出可能な透光性を有することを特徴とする(1)記載の遊技機。
【0077】
(3)前記第2領域は、所定音を出力可能な音出力手段の前方に配置されることを特徴とする(1)又は(2)記載の遊技機。
【0078】
(4)前記第1領域用の発光手段と、前記第2領域用の発光手段を有し、各発光手段は、同一の基板上において、光の出射方向が同じ方向となるように配置されたことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の遊技機。
【0079】
(5)前記第1領域用の発光手段と、前記第2領域用の発光手段をそれぞれ複数備え、複数の各発光手段は、格子状に仕切られるとともに前記出射方向に沿って開口された複数のブロック内にそれぞれ配置されたことを特徴とする(4)記載の遊技機。
【0080】
(6)遊技機側方に配置された照明ユニットを備え、前記照明ユニットは、遊技機前方側を出射方向とする発光手段と、前記発光手段からの光を端面に入射させ、前記端面と直交する板面から光を出射させる導光板と、を備え、遊技機側方から中央に向けた光を出射可能としたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の遊技機。