特許第6736273号(P6736273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6736273
(24)【登録日】2020年7月17日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】温度管理設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20200728BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20200728BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20200728BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20200728BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20200728BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20200728BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20200728BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M10/613
   H01M10/615
   H01M10/6556
   H01M10/6561
   H01M10/6568
   H01M10/625
   H01M2/10 S
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-153194(P2015-153194)
(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公開番号】特開2016-35917(P2016-35917A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】1457586
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】アラン、プーマラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クリストフ、プレボ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ、トリンダデ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、シュバリエ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ビロー
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02602141(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00738852(EP,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02463896(GB,A)
【文献】 特開2015−96416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6561
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護ボックスに配置されたバッテリシステム(100)の温度管理設備であって、接続分配装置(1)を備える温度管理設備において、
前記接続分配装置(1)は、
−ベース(3)と、
−前記ベース(3)の面に配置された熱交換流体入口コネクタ(5)と熱交換流体出口コネクタ(7)であって、前記ベース(3)を貫通する熱交換流体通流路(50、70)をそれぞれ備えた、熱交換流体入口コネクタ(5)と熱交換流体出口コネクタ(7)と、
−前記入口コネクタ(5)及び前記出口コネクタ(7)を保持する前記ベース(3)の前記面から離間した面に設けられた、前記各通流路の出口オリフィス(52、72)と、
−前記入口コネクタ(5)の前記通流路(50)の前記出口オリフィス(52)にシール状態で挿入され固定された注入カプラ(54)であって、前記注入カプラ(54)はその内部を貫通する通流路(540)を有し、バッテリ接触状態に配置された熱交換器(110)に通じる少なくとも2つの分岐(56、58)を備えている注入カプラ(54)と、−前記出口コネクタ(7)の前記通流路(70)の前記出口オリフィス(72)にシール状態で挿入され固定された排出カプラ(74)であって、前記排出カプラ(74)はバッテリ接触状態に配置された前記熱交換器(110)に接続された少なくとも1つの流路を備えている排出カプラ(74)と、
を備え、
前記注入カプラ(54)は、前記注入カプラ(54)を貫通する前記通流路(540)が前記少なくとも2つの分岐(56、58)に分割される部分の上流側において、前記通流路(540)の直径の縮小部(542)を有している、温度管理設備。
【請求項2】
前記ベース(3)は、膨張弁固定手段(32)を、前記熱交換流体入口コネクタ(5)と前記熱交換流体出口コネクタ(7)とを備えた前記面において有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度管理設備。
【請求項3】
前記ベース(3)は、更に拡大部(34)を有し、前記拡大部(34)は、前記接続装置(1)を前記保護ボックスの壁(112)に固定するための手段(36)を有し、前記ベース(3)は前記壁(112)を貫通することが意図されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の温度管理設備。
【請求項4】
前記拡大部(34)は、その外周に、前記拡大部(34)と前記保護ボックスの前記壁(112)との間にシールを配置するためのハウジング(38)を有している、
ことを特徴とする請求項3に記載の温度管理設備。
【請求項5】
前記注入カプラ(54)、前記排出カプラ(74)及び前記ベース(3)は、金属から構成され、前記注入カプラ(54)及び前記排出カプラ(74)は、ろう付けにより前記ベース(3)に対してシール状態で固定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の温度管理設備。
【請求項6】
前記注入カプラ(54)及び前記排出カプラ(74)は、前記バッテリシステム(100)における熱交換流体接続の機能及び通流内部構成として選択された多数の分岐(56、58)を有している、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の温度管理設備。
【請求項7】
前記入口コネクタ(5)及び前記出口コネクタ(7)は、異なる分岐構成を有している、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の温度管理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ温度制御に関し、より具体的には、バッテリパック又はバッテリシステム温度管理回路のための接続分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に自動車の分野において、更に具体的には電気自動車やハイブリッド自動車の分野において、バッテリ温度制御は重要である。なぜならば、バッテリが過度に低い温度にさらされた場合、その自律性が著しく低下する一方、過度に高い温度にさらされた場合、バッテリの破壊をも招き得る熱暴走の危険性が生じるからである。
【0003】
バッテリの温度を制御するために、バッテリモジュール温度制御装置を追加することが知られている。通常、このような装置は、特にバッテリに直接的に接触する熱交換プレートの下方又はその内部を通る管回路内を、例えばポンプによって通流する熱交換流体を利用している。
【0004】
したがって、熱交換流体は、1つ又は複数のバッテリから放出される熱を吸収することにより、これ(これら)を冷却しつつ、例えばヒートシンク又は冷媒等の1つ又は複数の熱交換器を介してその熱を排出することが可能である。例えばバッテリが正温度係数(PTC)電気要素又はヒータに接続されている場合、熱交換流体は、必要であれば、バッテリに熱を供給してこれを加熱し得る。
【0005】
通常使用される熱交換流体は、例えば、外気又は水等の液体である。液体は気体よりも優れた熱の導体であるから、より効果的であるため、液体の方が好適である。
【0006】
しかしながら、特別な接続及び冷却要件を有する様々な内的構造を有する多種多様なバッテリパック又はバッテリシステムが存在する。このため、バッテリパック又はバッテリシステムとバッテリ温度管理設備の他の部分との間の接続を標準化することが困難である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的の1つは、バッテリパック又はバッテリシステム温度管理回路のための改良されたモジュラー接続分配装置を提供することである。
【0008】
したがって、本発明は、保護ボックスに配置されたバッテリパック又はバッテリシステムの温度管理回路のための接続分配装置であって、
−ベースと、
−前記ベースの面に配置された熱交換流体入口コネクタと熱交換流体出口コネクタであって、前記ベースを貫通する熱交換流体通流路をそれぞれ備えた、熱交換流体入口コネクタと熱交換流体出口コネクタと、
−前記入口コネクタ及び前記出口コネクタを保持する前記ベースの前記面から離間した面に設けられた、前記各通流路の出口オリフィス(出口開口部)と、
−前記入口コネクタの前記通流路の前記出口オリフィスにシール状態で挿入され固定された注入カプラであって、前記注入カプラはその内部を貫通する通流路を有し、バッテリ接触状態に配置された熱交換器にフィードする(通じる)ことが意図された少なくとも2つの分岐を備えている注入カプラと、
−前記出口コネクタの前記通流路の前記出口オリフィスにシール状態で挿入され固定された排出カプラであって、前記排出カプラはバッテリ接触状態に配置された前記熱交換器に接続された少なくとも1つの分岐を備えている排出カプラと、
を備える接続分配装置に、関する。
【0009】
接続分配装置のこのような構成により、種々のタイプのバッテリパック又はバッテリシステム構造に対する適合性の改良が可能とされる。実際に、バッテリパック又はバッテリシステムの内部の通流回路への適合のために、対応する排出又は注入カプラを製造工程において選択し、それをベースに対してシール状態で固定すれば十分である。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記ベースは、膨張弁固定手段を、前記熱交換流体入口コネクタと前記熱交換流体出口コネクタとを備えた前記面において有している。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、前記ベースは、更に拡大部を有し、前記拡大部は、前記接続装置を前記保護ボックスの壁に固定するための手段を有し、前記ベースは前記壁を貫通することが意図されている。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、前記拡大部は、その外周に、前記拡大部と前記保護ボックスの前記壁との間のシールの配置のためのハウジングを有している。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、前記注入カプラは、前記注入カプラを貫通する前記通流路が前記少なくとも2つの分岐に分割される部分の上流側において、前記通流路の直径の縮小部を有している。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、前記注入カプラ及び前記排出カプラ並びに前記ベースは、金属から構成され、前記注入カプラ及び前記排出カプラは、ろう付けにより前記ベースに対してシール状態で固定されている。
【0015】
本発明の他の一態様によれば、前記注入カプラ及び前記排出カプラは、前記バッテリパック又は前記バッテリシステムにおける熱交換流体接続の機能及び通流内部構成として選択された多数の分岐を有している。
【0016】
本発明の他の一態様によれば、前記入口コネクタ及び前記出口コネクタは、異なる分岐構成を有している。
【0017】
また、本発明は、上記の接続装置を有する、バッテリパック又はバッテリシステムの温度管理設備に関する。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として示される以下の説明を読み且つ添付図面を参照することでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明による接続装置を下方から見た概略斜視図である。
図2図2は、図1の接続装置を上方から見た概略斜視図である。
図3図3は、図1及び2の接続装置の概略断面正面図である。
図4図4は、異なる構成を有するバッテリパックの温度管理設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
異なる図面において同一の要素には、同じ参照符号を付している。
【0021】
図1乃至3は、熱交換流体接続分配装置1の、それぞれ下方、上方及び側方からみた概略図である。この接続分配装置1は、温度管理設備に関連して、温度管理回路と、保護ボックスに配置されたバッテリパック100又はバッテリシステム100との間の接続を可能とすることが意図されている。
特に、接続分配装置1は、
−ベース3と、
−温度管理回路からの入口である熱交換流体入口コネクタ5と、温度管理回路への出口である熱交換流体出口コネクタ7であって、入口コネクタ5と出口コネクタ7は、ベースの面に配置されるとともに、ベース3を貫通する熱交換流体通流路50、70(図3の断面図に図示)をそれぞれ備え、特に入口コネクタ5は、温度管理回路の膨張弁の下流側に配置されることが位置されている、熱交換流体入口コネクタ5と熱交換流体出口コネクタ7と、
−各通流路の出口オリフィス52、72であって、入口コネクタ5及び出口コネクタ7を保持するベース3の面とは異なる面、例えば、対向面又は側面に設けられた出口オリフィス52、72(出口開口部52、72)と、
−入口コネクタ5の通流路50の出口オリフィス52にシール状態で挿入され固定された注入カプラ54であって、注入カプラ54はその内部を貫通する通流路540を有し、バッテリ接触状態に配置された熱交換器110にフィードする(通じる)ことが意図された少なくとも2つの分岐56、58を備えている注入カプラ54と、
−出口コネクタ7の通流路70の出口オリフィス72にシール状態で挿入され固定された排出カプラ74であって、排出カプラ74はバッテリ接触状態に配置された熱交換器110に接続された少なくとも1つの分岐を備えている排出カプラ74と、
を有している。
【0022】
接続分配装置1のこのような構成により、バッテリパック100又はバッテリシステム100の様々な構成タイプに対する接続分配装置1の適合性の改良が可能とされる。実際に、バッテリパック100又はバッテリシステム100の内部の通流回路への適合のために、対応する排出カプラ74又は注入カプラ54を製造工程において選択し、それをベース3に対してシール状態で固定すれば十分である。
【0023】
したがって、注入カプラ54及び排出カプラ74は、図4に示すようなバッテリパック100又はバッテリシステム100における熱交換流体接続の機能及び通流内部構成として選択された多数の分岐56、58を有している。
【0024】
注入カプラ54及び排出カプラ74並びにベース3は、金属から構成され得る。したがって、注入カプラ54及び排出カプラ74のベース3に対するシール状態での固定は、ろう付けにより実施され得る。例えば、図3に示すように、注入カプラ54と排出カプラ74と出口オリフィス52、72とに接触配置されたろう付けリングによって固定され得る。
【0025】
しかしながら、ねじ止め、圧力ばめ、又は単なる溶接ビード等の他のタイプのシールされた固定を想定することが完全に可能である。
【0026】
注入カプラ54は、注入カプラ54を貫通する通流路540が少なくとも2つの分岐56、58に分割される部分の上流側において、通流路540の直径の縮小部542を有し得る。通流路において、この縮径部542は、数個の分岐56、58における熱交換流体の均質な流れを可能にするベンチュリ効果を生じる。
【0027】
また、ベース3は、膨張弁を固定するための手段32を、熱交換流体入口コネクタ5と熱交換流体出口コネクタ7とを備えた面において有し得る。図1に示すように、例えば、この固定手段32は、ねじ切りされたオリフィスであり得る。
【0028】
入口コネクタ5及び出口コネクタ7は、異なる分岐構成を有し得る。例えば、図1乃至3に示すように、入口コネクタ5及び出口コネクタ7は異なる直径を有する円形形状であり得る。入口コネクタ5と出口コネクタ7との差異は、ポカヨケとしての機能を果たし、従って、温度管理回路の他の部分への、特には膨張弁への誤接続が防止される。
【0029】
ベース3は、更に拡大部34を有し得る。より具体的には、この拡大部34は、接続装置1をバッテリパック100又はバッテリシステム100を保護しているボックスの壁112に固定するための手段36を有している。そして、拡大部34は保護ボックスの112の内面に接触するとともに、ベース3が壁112を貫通して温度管理回路の他の部分への接続が可能とされている。
【0030】
アセンブリに優れたシール性を提供するために、拡大部34の外周は、シールを配置するためのハウジング38を有している。このシールは、拡大部34と保護ボックスの壁112との間に配置される。
【0031】
その特異な構成により、本発明による接続分配装置は、種々のタイプのバッテリパック又はバッテリシステムに対する適合性の改良を可能にするということが明らかである。
図1
図2
図3
図4