特許第6736472号(P6736472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6736472多層配線基板および表示装置、並びに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6736472
(24)【登録日】2020年7月17日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】多層配線基板および表示装置、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20200728BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20200728BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20200728BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20200728BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20200728BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20200728BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   G01N21/956 B
   H05K3/00 Q
   H05K1/02 J
   H05K1/02 Z
   H01L31/02 B
   H01L33/62
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 S
   H05K3/46 V
   H05K3/46 Z
   G09F9/00 348Z
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-562363(P2016-562363)
(86)(22)【出願日】2015年11月11日
(86)【国際出願番号】JP2015081717
(87)【国際公開番号】WO2016088522
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-247066(P2014-247066)
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 秋彦
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−091753(JP,A)
【文献】 特開2000−009657(JP,A)
【文献】 特開2008−172151(JP,A)
【文献】 特開2002−47594(JP,A)
【文献】 特開2009−111307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G09F 9/00
H01L 31/02
H01L 33/62
H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、前記絶縁層の下層側に設けられた第1配線および前記絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを備え、
前記第1配線は表面処理されていると共に、前記第2配線よりも大きな配線ピッチを有している
多層配線基板。
【請求項2】
前記表面処理は、黒化処理、黒化代替粗化処理、エッチング処理、メッキ処理のうちのいずれかである、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記第1配線は、前記第1配線を構成する材料よりも反射率の低い、前記第1配線とは異なる金属材料によって被覆されている、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記金属材料は、前記第1配線を構成する材料よりも電界印加によるイオン遊離性が低い、請求項3に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記第1配線および前記第2配線は、同一材料によって形成されている、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記第1配線および前記第2配線は、銅(Cu)またはニッケル(Ni)によって形成されている、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記第1配線および前記第2配線は、メッキによって形成されている、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記金属材料は、ニッケル(Ni),パラジウム(Pd),金(Au),スズ(Sn),タングステン(W)またはチタン(Ti)あるいはこれら金属のいずれかを含む合金である、請求項3に記載の多層配線基板。
【請求項9】
多層配線基板上に設けられた複数の発光素子を備え、
前記多層配線基板は、
基板と、
前記基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、前記絶縁層の下層側に設けられた第1配線および前記絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを有し、
前記第1配線は表面処理されていると共に、前記第2配線よりも大きな配線ピッチを有している
表示装置。
【請求項10】
多層配線基板上に設けられた複数の電子デバイスを備え、
前記多層配線基板は、
基板と、
前記基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、前記絶縁層の下層側に設けられた第1配線および前記絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを有し、
前記第1配線は表面処理されていると共に、前記第2配線よりも大きな配線ピッチを有している
電子機器。
【請求項11】
前記電子デバイスは、受光素子である、請求項10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光透過性を有する絶縁層を間に複数の配線が積層された多層配線基板およびこれを備えた表示装置、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
輝度の高い表示装置では、周辺部材は直接あるいは間接的に強度の高い光に曝露される。このため、例えば、発光素子の直上、あるいは直下の絶縁層には、紫外線領域に対する耐光性が求められており、例えば、紫外線を含む可視光領域の光に対して透過率の高い材料が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、電子デバイスは、その性能を向上させるために配線の本数が増加され、回路が複雑になっている。特に、表示装置等では、薄膜トランジスタ(thin film transistor;TFT)の数や配線回路の本数が多く、また、容量素子を大面積化すること等によって回路がより複雑になっている。更に、高精細化した場合には、画素数の増加に伴い駆動用の配線や信号線を形成する配線層の高密度化が進み、短絡が増加して製造歩留まりが低下する。この問題を解決するために、駆動用の配線や信号線を形成する配線層は絶縁層を介して積層された、いわゆる多層配線構造が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−270898号公報
【特許文献2】特開2003−115613号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、多層配線構造において各配線の間に設けられた絶縁層を、上記のような、紫外線を含む可視光領域の光に対して透過率の高い材料(例えば、透明絶縁材料)を用いて形成した場合、上層の配線の欠陥を外観検査する際に、下層の配線が同時に認識されてしまう。これによって、下層の配線が上層配線検査のノイズとなって検査精度が低下し、製造歩留まりおよび信頼性の向上の妨げとなっていた。
【0006】
従って、製造歩留まりおよび信頼性を向上させることが可能な多層配線基板および表示装置、並びに電子機器を提供することが望ましい。
【0007】
本技術の一実施形態の多層配線基板は、基板と、基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、絶縁層の下層側に設けられた第1配線および絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを備えたものであり、第1配線は表面処理されていると共に、第2配線よりも大きな配線ピッチを有している
【0008】
本技術の一実施形態の表示装置は、上記本技術の多層配線基板に発光素子を備えたものである。
【0009】
本技術の一実施形態の電子機器は、上記本技術の多層配線基板に電子デバイスを備えたものである。
【0010】
本技術の一実施形態の多層配線基板および表示装置、並びに電子機器では、光透過性を有する絶縁層を間に配設された第1配線および第2配線のうち、少なくとも一方に表面処理を施すことにより、光学的なS/N比が高まり、検査精度が向上する。
【0011】
本技術の一実施形態の多層配線基板および表示装置、並びに電子機器によれば、光透過性を有する絶縁層を間に配設された第1配線および第2配線のうち、少なくとも一方に表面処理を施すようにしたので、光学的なS/N比が高まり、検査精度が向上する。よって、製造歩留まりが向上すると共に、高い信頼性を有する多層配線基板を備えた表示装置および電子機器を提供することが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施の形態に係る多層配線基板の断面図である。
図2A図1に示した多層配線基板の平面模式図である。
図2B】比較例としての多層配線基板の平面模式図である。
図3図1に示した多層配線基板の断面模式図である。
図4図1に示した多層配線基板を用いた表示装置の全体構成を表す図である。
図5A】バックプレーンの構成を説明するための平面模式図である。
図5B】バックプレーンの構成を説明するための平面模式図である。
図6】適用例1の外観を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示における実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(多層配線のうち、下層配線を表面処理した例)
1−1.基本構成
1−2.表示装置の構成
1−3.作用・効果
2.適用例(電子デバイスを備えた電子機器の例)
【0014】
<1.実施の形態>
(1−1.基本構成)
図1は、本開示の一実施の形態に係る多層配線基板(多層配線基板1)の断面構成を斜視したものである。この多層配線基板1は、例えば、図4に示したようなタイリングディスプレイ等の表示装置を構成する表示パネルの基板として用いられるものである。多層配線基板1は、基材11の表面および裏面に複数の配線(配線12A,12B,15A,15B)等が配設された基板10上に、さらに光透過性を有する絶縁層21を介して配線22および、電子デバイスとして、例えば、発光素子31等が形成された構成を有する。本実施の形態では、基板10の表面に設けられた配線12B(第1配線)は表面処理が施され、絶縁層21上に設けられた配線22(第2配線)とは、例えば、可視光領域における反射率が互いに異なるようになっている。
【0015】
基板10は、例えば、図1に示したように、基材11と、基材11の表面に絶縁層13を介して積層された配線12Aおよび12Bと、基材11の裏面に絶縁層16を介して積層された配線15Aおよび配線15Bとを有する。配線12Aおよび配線12Bは、絶縁層13を貫通するバンプ14によって互いに電気的に接続され、配線15Aおよび15Bは、絶縁層16を貫通するバンプ17によって互いに電気的に接続されている。配線12Aおよび配線15Aは、基材11を貫通する貫通電極18を介して電気的に接続されている。また、基材11の裏面側に設けられた配線15B上には、保護膜として絶縁層19が設けられている。絶縁層19には任意の位置に、例えば、配線15Bと外部回路(図示せず)とを接続するための開口19Aが設けられている。
【0016】
基材11は、例えば、ガラス基板の他、ポリエーテルサルフォン,ポリカーボネート,ポリイミド類,ポリアミド類,ポリアセタール類,ポリエチレンテレフタラート,ポリエチレンナフタレート,ポリエーテルエーテルケトンポリオレフィン類等のプラスチック基板、表面に絶縁処理がされたアルミニウム(Al),ニッケル(Ni),銅(Cu),ステンレス等の金属箔基板または紙等を用いることができる。この他、Al等のメタルベース基板の表面にポリイミドやエポキシ系等の絶縁性樹脂層が形成され、この絶縁性樹脂層上に上記反射性材質の配線パターンを印刷したものを用いてもよい。また、FR4(ガラスエポキシ樹脂)やCEM3(ガラスコンポジット樹脂)等のガラス含有樹脂からなるフィルム基材でもよい。
【0017】
配線12A,12B,15A,15Bは、基材11上の選択的な領域に設けられ、例えば銅(Cu),白金(Pt),チタン(Ti),ルテニウム(Ru),モリブデン(Mo),Cu,タングステン(W),Ni,Alおよびタンタル(Ta)等の金属単体または合金により構成されている。特に、抵抗率が低く、配線遅延時間を低減し高速化が可能なCuを用いることが好ましい。また、これらのうちの2種以上を積層させて用いるようにしてもよい。バンプ14,17および貫通電極18についても、配線12A,12B,15A,15Bと同様の材料を用いることができる。
【0018】
本実施の形態では、光透過性を有する絶縁層を間に積層された2種類の配線のうちの一方に表面処理が施されている。具体的には、配線12Bと、絶縁層21を間に配線12Bの上に形成された配線22ののうち、絶縁層21の下層に設けられた配線12Bに表面処理が施されている。表面処理は、例えば、配線12Bと配線22との可視光領域における反射率が互いに異なるようになればよい。具体的には、配線12Bの表面を粗化するエッチング処理や、特にCuを用いる場合の黒化処理が挙げられる。なお、ここで黒化処理とは、いわゆる酸化銅を生成させる黒化処理および黒化代替としての粗化黒化処理(黒化代替粗化処理)を含む。また、表面処理する配線は、上層側の配線および下層側の配線のどちらでもよいが、後述する絶縁層との密着性や短絡欠陥を検出する外観検査のしやすさから、下層側の配線に施すことが好ましい。
【0019】
図2Aは、図1に示した多層配線基板1の配線12B,22および絶縁層21の積層構造の一部の平面構成を模式的に表したものである。図2Bは、多層配線基板1と同様に、光透過性を有する絶縁層1210を間に積層された配線1120,1220の平面構成を模式的に表したものである。下層の配線(配線1120)が黒化処理されていない多層配線基板1000と比較して、本実施の形態の多層配線基板1では、上層配線(配線22)と下層配線(配線12B)とのコントラストが高くなる。即ち、短絡欠陥を検出する外観検査における検査精度が向上する。
【0020】
この他、配線12Bと配線22とが異なる色調となるように、一方をメッキ処理してもよい。具体的には、配線12Bおよび配線22を、例えば、Cuを用いて形成する場合には、例えば、配線12Bを、Ni,スズ(Sn),亜鉛(Zn),銀(Ag)あるいは金(Au)を用いた無電解メッキを行うようにしてもよい。これにより、エッチング処理や黒化処理と同様に、光学検査等の短絡欠陥検査における検査精度が向上する。更に、配線12Bを被覆することになるめっき金属は、配線12Bを構成する金属(例えば、Cu)よりも電界印加時におけるイオン遊離性が低い金属(例えば、Ni)を用いることにより、イオンマイグレーションに対する耐性が向上する。
【0021】
なお、光透過性を有する絶縁層21を間に積層された配線12Bおよび配線22の配設ピッチは、図3に示したように、下層側の配線(配線12B)を大きくすることが好ましい。配線12Bの表面が粗化されると、アンカー効果によって配線12Bと絶縁層21との密着性が向上するからである。また、下層側の配線(配線12B)は、上層側の配線(配線22)と比較して短絡欠陥検査が確認しにくく、また、短絡部の切断・修復がしにくい。このため、配線12Bの配線ピッチを大きく、即ち、デザインルールを緩和することによって、配線12Bにおける短絡の発生が低減される。また、場合によっては、下層配線の外観検査が不要となる。配線12Bおよび配線22のピッチ幅としては、例えば、配線22のピッチ幅が150μm未満であるのに対して、配線12Bのピッチ幅は、例えば150μm以上とすることが好ましい。
【0022】
絶縁層13,16,19は、例えばシリコン酸化物(SiO),シリコン窒化物(SiN),シリコン酸窒化物(SiON),ハフニウム酸化物(HfO),アルミニウム酸化物(AlO),アルミニウム窒化物(AlN),タンタル酸化物(TaO),ジルコニウム酸化物(ZrO),ハフニウム酸窒化物,ハフニウムシリコン酸窒化物,アルミニウム酸窒化物,タンタル酸窒化物およびジルコニウム酸窒化物のうちの少なくとも1種を含む材料により形成される。絶縁層13,16,19は単層構造としてもよく、または、例えばSiN膜およびSiO膜等の2種類以上の材料を用いた積層構造としてしてもよい。絶縁層13,16,19は、塗布形成後にエッチングによって所定の形状にパターニングされるが、材料によっては、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等の印刷技術によってパターン形成してもよい。
【0023】
基板10上には、光透過性を有する絶縁層21を介して配線22、発光素子31およびドライバIC(integrated circuit)32が形成されている。
【0024】
絶縁層21は、配線12Bと配線22との間の短絡を防ぐためのものである。絶縁層21の材料としては、後述する発光素子31から射出される光に曝露されることによる劣化を抑えるため、耐光性を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、シリコーン系、ポリイミド系,ポリアクリレート系,エポキシ系,クレゾールノボラック系あるいはポリスチレン系,ポリアミド系,フッ素系等の有機絶縁材料が挙げられる。なお、絶縁層21に用いられる材料は有機絶縁材料に限定されず、例えば上記絶縁層13,16,19において挙げた無機絶縁材料を用いてもよい。
【0025】
配線22は、上記配線12A,12B,15A,15Bにおいて挙げた材料を用いることができる。配線22は、12A,12B,15A,15Bと同一の材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。特にCuを用いることが好ましい。なお、配線12A,12B,15A,15Bおよび配線22は、例えば、メッキや各種蒸着法、あるいはスパッタリングによって形成することができる。
【0026】
発光素子31は、例えばP型半導体とn型半導体との接合面に順方向に電流を注入した時にキャリアである電子と正孔とが再結合して発光する発光ダイオード(light emitting
diode;LED)が挙げられる。発光素子31の材料は特に限定されないが、例えば、青色に発光する窒化ガリウム(GaN)、緑色に発光するリン化ガリウム(GaP)、赤色に発光するヒ化リン化ガリウム(GaAsP),ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)等のガリウム系の化合物半導体が挙げられる。
【0027】
ドライバIC32は、例えば、半導体基板(Si基板)の表面に半導体回路形成技術を利用して回路を形成してなる半導体素子である。
【0028】
発光素子31およびドライバIC32は、それぞれ素子単体であってもよいし、パッケージに収容されたり、あるいは樹脂等によってモールドされ、チップ部品化されていてもよい。
【0029】
なお、発光素子31は、上記赤色に発光する材料、緑色に発光する材料および青色に発光する材料をそれぞれ用いて赤色(R),緑色(G)および青色(B)を発する発光素子31(31R,31G,31B、それぞれ図示せず)を組み合わせて画素を構成することで、輝度の高い表示装置(表示装置2)を構成することができる。以下に、表示装置2の構成を説明する。
【0030】
(1−2.表示装置の構成)
図4は、本開示の多層配線基板1を用いた表示装置2の全体構成を表したものである。この表示装置2は、いわゆるタイリングディスプレイであり、複数の表示パネル(ここでは計4枚の表示パネル1A,1B,1C,1D)を備える。これらの表示パネル1A〜1Dは、上記多層配線基板1を用いたものであり、多層配線基板1上に、例えば、接着層を介して対向基板が貼り合わされた構成を有する(いずれも図示せず)。表示パネル1A〜1Dは、例えば2×2の領域に2次元配置され、これらの表示パネル1A〜1Dの各表示領域を組み合わせて映像を表示することが可能なものである。なお、図4中の「A」「B」とその向きは、用いられるバックプレーンの種類と配置状態を模式的に表したものである。表示パネル1A〜1Dにおいて用いられるバックプレーンの種類とレイアウトについては後述する。
【0031】
この表示装置2では、表示パネル1A〜1Dのそれぞれに対して、例えば、表示駆動用のドライバIC32が接続されている。具体的には、表示パネル1Aには、例えば、信号線駆動回路120Aと走査線駆動回路130Aとが、例えばCOF(Chip on film)140により実装されている。なお、これらのドライバIC32は、図1に示したように、表示パネル1Aに直に形成されて(内蔵されて)いてもよいし、他の手法、例えばCOG(Chipon glass)により実装されていてもよい。また、表示素子として、上記発光素子31を用いる場合には、表示パネル1Aには、更に電源線駆動回路(図示せず)が接続される。表示パネル1Bについても、表示パネル1Aと同様に、例えば信号線駆動回路120Bと走査線駆動回路130BとがCOF140を介して接続されている。同様に、表示パネル1Cには、例えば信号線駆動回路120Cと走査線駆動回路130CとがCOF140を介して接続され、表示パネル1Dには、例えば信号線駆動回路120Dと走査線駆動回路130DとがCOF140を介して接続されている。
【0032】
信号線駆動回路120A〜120Dと、走査線駆動回路130A〜130Dとはいずれも、駆動制御部110に接続されている。外部から入力された映像信号Dinに基づいて、表示パネル1A〜1Dのそれぞれにおいて独立した表示駆動制御が可能となっている。駆動制御部110は、例えばタイミングコントローラ111と、ガンマ調整部112a〜112dとを含む。
【0033】
表示パネル1A〜1Dはそれぞれ、マトリクス状に配置された複数の画素Pを有する。表示パネル1A〜1Dは、信号線駆動回路120A〜120Dと、走査線駆動回路130A〜130Dとによる表示駆動により、各画素Pがアクティブマトリクス駆動され、これにより、外部から入力された映像信号Dinに基づく映像表示を行うものである。なお、各図において、画素Pおよび後述の端子部130の個数やピッチ、サイズなどは説明上簡略化して示したものであり、実際のものとは異なっている。
【0034】
これらの表示パネル1A〜1Dの各面形状は、例えば矩形状または方形状(ここでは矩形状)である。表示パネル1A〜1Dは、全体として田の字状となるように隣接して配置されている。詳細には、表示パネル1A〜1Dは、例えば図示しない筐体あるいは基板などの上に、敷き詰めて配置されている。これらの表示パネル1A〜1Dの各表示領域を組み合わせてなる領域が、表示装置の表示領域(表示領域100)となっている。なお、以下では、表示パネル1A〜1Dを特に区別しない場合には、代表して表示パネル1Aを例に挙げて説明を行う。
【0035】
図5Aは、バックプレーン41Aの構成を、図5Bはバックプレーン41Bの構成をそれぞれ表したものである。図5Aに示したように、バックプレーン41Aは、表示領域100の一部に相当する領域(領域10A)に画素P毎に画素回路150を有している。換言すると、バックプレーン41Aには、複数の画素回路150が2次元配置されている。この画素回路150の形成領域(即ち領域10A)の周辺領域のうちの矩形状の2辺に沿った領域X1,Y1に、実装用の端子部130が配置されている。具体的には、矩形状の左右上下に配置された4辺のうち左側と上側の2辺に沿って、端子部130が複数配置されている。この端子部130は、上述の信号線駆動回路120A〜120Dあるいは走査線駆動回路130A〜130Dなどと配線接続するためのパッドである。一方、図5Bに示したように、バックプレーン41Bは、表示領域100の一部に相当する領域(領域10B)に画素P毎に画素回路150を有している(バックプレーン41Bには、複数の画素回路150が2次元配置されている)。この画素回路150の形成領域(即ち領域10B)の周辺領域のうちの矩形状の2辺に沿った領域X2,Y2に、実装用の端子部130が配置されている。具体的には、例えば矩形状の左右上下の4辺のうち左側と下側の2辺に沿って、端子部130が複数配置されている。このように、バックプレーン41A,41Bでは、例えば端子部130のレイアウト(例えば位置)が異なっている。
【0036】
これらのバックプレーン41A,41Bのうちバックプレーン41Aが、例えば、表示パネル1A,1Dに配置され、バックプレーン41Bが、表示パネル1B,1Cに配置されている。即ち、表示パネル1A,1Dの組には、互いに同じ種類のバックプレーンとしてバックプレーン41Aが用いられ、表示パネル1B,1Cの組には、互いに同じ種類のバックプレーンとしてバックプレーン41Bが用いられている。なお、バックプレーンの「種類」は、例えば画素回路150および端子部130のレイアウトによって区別され、「同じ種類」とは、例えば画素回路150および端子部130のレイアウトが略同一であることを意味するものとする。即ち、画素回路150および端子部130の位置や形状、個数などが概ね等しいものであればよく、設計上多少の誤差が生じていてもよいし、局部的なレイアウト変更がなされたものなども含むものとする。
【0037】
図4に示したように、駆動制御部110のタイミングコントローラ111は、例えば信号線駆動回路120A〜120Dおよび走査線駆動回路130A〜130Dの各回路が連動して動作するように制御するものである。このタイミングコントローラ111は、例えば、外部から入力された映像信号Dinに応じて、上述した各回路に対して制御信号を出力するものである。
【0038】
ガンマ調整部112a〜112dは、表示パネル1A〜1Dのそれぞれに対して個別に設けられており、例えば、外部から入力されたデジタルの映像信号Dinに対してガンマ調整(ガンマ補正)を行い、それにより得られた映像信号を信号線駆動回路120A〜120Dに出力するものである。具体的には、ガンマ調整部112aは表示パネル1Aのガンマ調整を行い、ガンマ調整部112bは表示パネル1Bのガンマ調整を行い、ガンマ調整部112cは表示パネル1Cのガンマ調整を行い、ガンマ調整部112dは表示パネル1Dのガンマ調整を行うものである。なお、駆動制御部110では、このガンマ調整の他にも他の信号処理、例えばオーバードライブ補正などが行われてもよい。
【0039】
信号線駆動回路120A〜120Dは、例えば、タイミングコントローラ111からの制御信号に応じて、ガンマ調整部112a〜112dから入力された映像信号に対応するアナログの信号電圧を、各信号線DTLに印加するものである。
【0040】
走査線駆動回路130A〜130Dは、例えば、タイミングコントローラ111からの制御信号に応じて、複数の走査線WSLを所定の単位ごとに順次選択するものである。走査線駆動回路130A〜130Dは、例えば、1または複数の走査線WSLを所定のシーケンスで選択することにより、Vth補正や信号電圧の書き込み、μ補正などを所望の順番で実行させるものである。ここで、Vth補正とは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間電圧Vgsを駆動トランジスタの閾値電圧に近づける補正動作を指している。信号電圧の書き込みとは、駆動トランジスタTr1のゲートに対して、信号電圧を、書込トランジスタTr2を介して書き込む動作を指している。μ補正とは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に保持される電圧Vgsを、駆動トランジスタTr1の移動度μの大きさに応じて補正する動作を指している。
【0041】
(1−3.作用・効果)
前述したように、電子デバイスでは、その性能を向上させるための配線の本数が増加され、回路が複雑になっている。例えば、図1に示した多層配線基板1の配線22のように、絶縁層を間に複数の配線が積層されると共に、1つの層にも複数の配線が設けられて高密度化された場合、成膜工程の不良により、配線間において短絡が生じやすくなる。この短絡は、配線間を電気的に短絡させ、回路異常を引き起こす原因となる。このため、短絡欠陥を検出する外観検査によって短絡部の有無を検査し、これによって検出される短絡部を切断・修復、あるいは除去することが必要となる。
【0042】
しかしながら、図4に示したように、例えば、発光素子としてLEDを用いた輝度の高い表示装置2では、周辺部材は直接あるいは間接的に強度の高い光に曝露されため、発光素子直下の絶縁層(例えば、図1における絶縁層21)には、光透過性を有する絶縁材料が用いられる。このため、絶縁層21上に形成された配線22の短絡欠陥検査を行った場合、絶縁層21の下層に設けられた配線(例えば、配線12B)がノイズとなって検査精度が低下し、製造歩留まりおよび信頼性が低下する虞があった。
【0043】
これに対して、本実施の形態の多層配線基板1では、光透過性を有する絶縁層21の下層に配設された配線12Bに表面処理を施し、配線12Bと配線22との、例えば、可視光領域における反射率が異なるようにした。これにより、配線12Bと配線22との光学的なS/N比が高くなり、光学検査等の短絡欠陥検査(外観検査)における検査精度が向上する。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、光透過性を有する絶縁層を間に積層された2種類の配線のうちの一方、例えば、絶縁層21の下層に配設された配線12Bに表面処理を施すようにした。これにより、配線12Bと配線22との、例えば、可視光領域における反射率が異なるようになり、配線12Bと配線22との光学的なS/N比が高くなる。よって、短絡欠陥を検出する外観検査の検査精度が向上し、多層配線基板1の製造歩留まりが向上すると共に、高い信頼性を有する表示装置、並びに電子機器を提供することが可能となる。
【0045】
特に、表面処理として、下層側の配線12Bの表面にエッチング処理あるいは黒化処理のような粗化処理を行うことによって、光学的なS/N比の向上に加えて、配線12Bと絶縁層21との密着性が向上し、膜剥れ等の発生が低減される。よって、多層配線基板1およびこれを備えた表示装置、並びに電子機器の信頼性をより向上させることができる。
【0046】
また、配線22とは異なる色調の金属を用いたメッキ処理によって下層側の配線12Bの表面にメッキ膜を形成することによっても、外観検査の検査精度を向上させることができる。特に、配線12Bを構成する金属よりも電界印加時におけるイオン遊離性が低い金属を選択することにより、イオンマイグレーションに対する耐性が向上し、より信頼性を向上させることが可能となる。
【0047】
<2.適用例>
上記実施の形態において説明した多層配線基板1(およびこれを備えた表示装置2)は、例えば、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下にその一例を示す。
【0048】
図6は、上記実施の形態の多層配線基板1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル210およびフィルターガラス220を含む映像表示画面部200を有しており、映像表示画面部200に、上記多層配線基板1が用いられている。
【0049】
以上、実施の形態および適用例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件、あるいは短絡欠陥の切断および修復等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件あるいは切断および修復方法を用いてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、電子デバイスとして発光素子31を用いたが、例えば受光素子を用いてもよい。
【0051】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0052】
なお、本技術は以下のような構成をとることも可能である。
(1)基板と、前記基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、前記絶縁層の下層側に設けられた第1配線および前記絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを備え、前記第1配線は表面処理されていると共に、前記第2配線よりも大きな配線ピッチを有している多層配線基板。
(2)前記表面処理は、黒化処理、黒化代替粗化処理、エッチング処理、メッキ処理のうちのいずれかである、前記(1)に記載の多層配線基板。
(3)前記第1配線は、前記第1配線を構成する材料よりも反射率の低い、前記第1配線とは異なる金属材料によって被覆されている、前記(1)または(2)に記載の多層配線基板。
(4)前記金属材料は、前記第1配線を構成する材料よりも電界印加によるイオン遊離性が低い、前記(3)に記載の多層配線基板。
(5)前記第1配線および前記第2配線は、同一材料によって形成されている、前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の多層配線基板。
(6)前記第1配線および前記第2配線は、銅(Cu)またはニッケル(Ni)によって形成されている、前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の多層配線基板。
(7)前記第1配線および前記第2配線は、メッキによって形成されている、前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の多層配線基板。
(8)前記金属材料は、ニッケル(Ni),パラジウム(Pd),金(Au),スズ(Sn),タングステン(W)またはチタン(Ti)あるいはこれら金属のいずれかを含む合金である、前記(3)乃至(7)のいずれかに記載の多層配線基板。
(9)多層配線基板上に設けられた複数の発光素子を備え、前記多層配線基板は、基板と、前記基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、前記絶縁層の下層側に設けられた第1配線および前記絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを有し、前記第1配線は表面処理されていると共に、前記第2配線よりも大きな配線ピッチを有している表示装置。
(10)多層配線基板上に設けられた複数の電子デバイスを備え、前記多層配線基板は、基板と、前記基板上に設けられ、光透過性を有する絶縁層を間に配設されると共に、前記絶縁層の下層側に設けられた第1配線および前記絶縁層の上層側に設けられた第2配線とを有し、前記第1配線は表面処理されていると共に、前記第2配線よりも大きな配線ピッチを有している電子機器。
(11)前記電子デバイスは、受光素子である、前記(10)に記載の電子機器。
【0053】
本出願は、日本国特許庁において2014年12月5日に出願された日本特許出願番号2014−247066号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願の全ての内容を参照によって本出願に援用する。
【0054】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6