(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記洗浄液体が口腔に送達される頻度である洗浄送達頻度、前記口腔の洗浄が実行される持続時間である洗浄持続時間、前記洗浄液体が送達される圧力である洗浄圧力、吸引印加頻度、および吸引圧力のうちの1つまたは複数を含むユーザによって選択された制御情報を受け取るように構成されている入力部をさらに備え、前記ユーザによって選択された制御情報に基づいて、前記コントローラは、前記ポンプを用いて洗浄液体を送達し、流体を除去するために前記吸引機構から陰圧を印加するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記コントローラは、ディスプレイをさらに備え、前記コントローラは、前記流体管路内の前記流量センサーによって検出された流体の流量を含むデータを第1、第2、および第3の流体管路のうちの1つまたは複数について表示するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記コントローラは、前記ポンプを用いて陽圧を印加して前記洗浄送達流体管路を通して前記洗浄液体を送達し、前記複数の流体管路のうちの1つまたは複数の流体管路に陰圧を印加して前記洗浄液体を取り除くように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記複数の流体管路は、第1、第2、および第3の流体管路を備え、前記コントローラは、前記第1、第2、および第3の流体管路の各々を通して陰圧を独立して印加するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記複数の流体管路は、第1、第2、第3、および第4の流体管路を備え、前記コントローラは、前記第1、第2、第3、および第4の流体管路の各々を通して陰圧を独立して印加するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記コントローラは、閉塞を除去するために、閉塞が検出された流体管路を通して洗浄液体を送達するために前記ポンプを用いて陽圧を印加するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、流体を回収する最もあり得そうな呼吸挿入デバイス(たとえば、チューブ)に沿った3つまたはそれ以上の領域で貯留した流体を定期的に(および自動的に)取り除くための装置(システムおよびデバイスを含む)ならびに方法に関するものである。これらの装置は、流体管路をフラッシングし、および/または患者の洗浄を行うようにも構成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
呼吸挿入デバイス(本明細書では便宜上「気管チューブ」と称され得る、気管内チューブ、気管切開チューブなど)に沿ったいくつかの領域(患者の解剖学的構造に対応する)は、30度傾斜された/水平の位置で患者体内に挿入されたときに流体を集める傾向が高い。3つの識別された領域は、膨張可能なバルーンまたはカフの真上の声門下部、口腔を通過して位置する口腔咽頭腔、および口腔内を含む。これら3つの領域内の蓄積流体を取り除くことができると、挿管された患者のVAPの発症確率を著しく下げる。
【0012】
本明細書で説明されている流体管理装置は、患者の呼吸管の複数の領域から流体を自動的に取り除くことができる。いくつかの変更形態において、流体管理装置(たとえば、システム)は、気管チューブに沿った異なる領域から流体を取り除くように手動で設定され得る。また本明細書で説明されているのは、流体管理システムに取り付けることができる呼吸挿入デバイスであるけれども、本明細書で説明されている流体管理装置は、既存の市販されている呼吸挿入デバイス(たとえば、気管内チューブおよび気管切開チューブ)とともに動作するようにも構成され得る。
【0013】
流体管理システムは、洗浄送達頻度、洗浄持続時間、洗浄圧力、吸引印加頻度、および吸引圧力などのユーザによって選択された制御情報を受け取ることができる入力部(たとえば、ボタン、タッチスクリーン、ダイアル、スイッチ、など)を備え得る。いくつかの変更形態において、使用者は、呼吸挿入デバイスに接続されている流体管路内に閉塞があるかどうかを決定するための圧力閾値を設定することができる。閾値は、予め設定されていてもよい。たとえば、プリセット値は、メーカーによって設定されてもよい。圧力に対する閾値は、個別の管路の各々について同じであってもよいが、いくつかの変更形態では、異なる管路に対する異なる圧力値が選択され得る。
【0014】
本明細書で説明されている流体管理装置は、他の制御および感知コンポーネントも有し得る。これは、センサーおよび吸引機構と流体的に連通している吸引弁を備えてもよい。弁は、流体管路内の流体の流れを制御することができる。これらの装置は、特定の管路内の流体の存在、および/または流体管路内の閉塞のいずれか、または両方を検出し、さらには特定の領域から流体がすべていつ取り出されたかを監視する流量および圧力センサーも備え得る。システムは、1つまたは複数の流体管路に接続されているか、または接続可能である弁およびセンサーの前および/または後にフィルタを備えることもできる。フィルタは、弁およびセンサーに到達する汚染を最小限度に抑え得る。
【0015】
本明細書で説明されている装置は、呼吸管に沿った複数の領域から流体を自動的に取り除くことができる。システムは、呼吸管の口腔部分を洗浄するようにも構成され得る。いくつかの変更形態において、システムは、コントローラ回路、ディスプレイ、および空気圧力源に結合するように構成されている1つまたは複数の弁を備える。システムは、また、第1、第2、および第3の流体管路も備えることができ、第1、第2、および第3の流体管路は、コントローラの1つまたは複数の弁と結合し、コントローラは、第1、第2、または第3の流体管路の各々を通して陽圧または陰圧を独立して印加するように構成される。第1の流体管路は、第1の流量センサーおよび第1の圧力センサーに結合することができ、第2の流体管路は、第2の流量センサーおよび第2の圧力センサーに結合することができ、第3の流体管路は、第3の流量センサーおよび第3の圧力センサーに結合することができる。流量センサーは、それぞれの流体管路の外にあり得る。いくつかの変更形態において、流体管路は4つあり、追加の流体管路さらには上で述べた3つの(口腔、中咽頭、および声門下)管路を備える。追加の流体管路は、閉鎖吸引カテーテルを使用するか、または内を向いている遠位端のところに追加の内腔を有する修正された呼吸挿入デバイスを使用して呼吸挿入デバイス(たとえば、気管内チューブ)の内側から分泌物を取り除くことによって呼吸挿入デバイス(たとえば、気管内チューブ)の内側から分泌物を取り除くものとしてよい。
【0016】
流体管理システムのコントローラ回路は、定期的に、自動的に、および独立して陰圧を第1、第2、および第3の流体管路(およびいくつかの変更形態では、第4の、または気管の、流体管路などの追加の流体管路)に印加し、第1、第2、または第3の流体管路内の流体流量が第1の流量閾値よりも低くなったとき、およびその流体管路内の圧力が第1の圧力閾値よりも高くなったときに第1、第2、または第3の流体管路内で陰圧を印加するのを停止するように構成され得る。コントローラ回路は、また、流体流量が陰圧を印加しているときに第1の流量閾値よりも低くなり、圧力が第1、第2、または第3の流体管路内の第2の圧力閾値よりも低くなったときに第1、第2、または第3の流体管路に陽圧を印加することもできる。最後に、コントローラ回路は、流体管路内の分泌物の流量、流体管路内の分泌物の厚さ、流体管路内の分泌物の体積、または流体管路内の分泌物の色のうちの1つまたは複数を含むデータを第1、第2、および第3の流体管路のうちの1つまたは複数について表示するように構成され得る。
【0017】
流体管理システムは、洗浄システム(またはサブシステム)も備え得る。洗浄システム(サブシステム)は、流体管路(たとえば、口腔内の呼吸挿入デバイスの領域に接続されている管路)のうちの1つを通して洗浄流体を送達するために陽圧を印加し、洗浄流体を取り除くために流体管路のうちの他の1つまたは複数に陰圧を印加し得る。ポンプは、コントローラおよび洗浄流体源と連通するものとしてよく、陽圧を流体管路に送るように信号を発することができる。システムは、洗浄液体源に直接接続する(または個別の1つまたは複数の洗浄送達流体管路を介して接続され得る)複数の流体管路を備え得る。コントローラは、陽圧を1つまたは複数の洗浄送達流体管路に印加して洗浄流体を送達するように洗浄ポンプに信号を送ることができる。これらの装置のうちのどれもが、戻って来る洗浄流体を保持するための1つまたは複数の貯蔵容器も備え得る。
【0018】
したがって、これらのシステムはどれも、洗浄流体源(たとえば、抗菌性口内洗浄薬など)も備えることができ、コントローラは、洗浄液体を洗浄送達頻度で送達するために陽圧を自動的に印加するように構成され、第1の回収容器は第1の流体管路から流体を回収するために第1の流体管路に結合され、第2の回収容器は第2の流体管路から流体を回収するために第2の流体管路に結合され、第3の回収容器は第3の流体管路から流体を回収するために第3の流体管路に結合される。
【0019】
上で述べたように、これらの装置は、吸引および/または洗浄に関する制御情報を含み得る(またはそれに制限され得る)、ユーザによって選択された制御情報を受け取るように構成されている入力部も備えることができ、この情報は洗浄送達頻度、洗浄持続時間、洗浄圧力、吸引印加頻度、吸引持続時間、および吸引圧力を含む。
【0020】
一般に、これらの装置はどれも、1つまたは複数のフィルタを備えることができ、1つまたは複数の弁が1つまたは複数のフィルタを通して流体管路と連通している。弁は、吸引弁であってよく、第1の吸引弁は、第1の流体管路と空気圧力源との間にあり、第2の吸引弁は、第2の流体管路と空気圧力源との間にあり、第3の吸引弁は、第3の流体管路と空気圧力源との間にある。
【0021】
述べたように、装置は、洗浄液体源に接続されている1つまたは複数の洗浄送達流体管路も備えることができ、コントローラは、陽圧を1つまたは複数の洗浄送達流体管路に印加して洗浄流体を送達するように構成されている。装置は、陽圧を印加するように構成されているポンプも備えるものとしてよく、ポンプは、コントローラおよび洗浄流体源と連通している。したがって、コントローラは、陽圧を印加して第1の流体管路を通して洗浄流体を送達し、第1、第2、および第3の流体管路に陰圧を印加して洗浄流体を取り除くように構成され得る。最後に、装置は、使用済みの洗浄流体を回収するための容器を備え得る。
【0022】
本明細書で説明されている流体管理システムは、ディスプレイ(たとえば、画面、モニタなど)の出力も備えることができ、第1、第2、およびいくつかの変更形態では、第3、第4、または追加の流体管路に関するデータが示されている。データは、流体管路内の分泌物の流量、流体管路内の分泌物の厚さ、流体管路内の分泌物の体積、または流体管路内の分泌物の色を含むことができる。
【0023】
これらの装置はどれも、回収容器を備え得る。1つまたは複数の、たとえば、第1、第2、および第3(ならびにいくつかの変更形態では、第4)の回収容器は、第1、第2、および第3の流体管路に接続されるものとしてよく、各々、1つまたは複数の弁のうちの1つの弁および空気圧力源に接続される。
【0024】
呼吸挿入デバイスは、その主軸に沿って遠位に延在する。呼吸挿入デバイスは、第1および第2の内腔を備え、第1および第2の内腔は、それぞれ、第1および第2の内腔と流体的に接続する第1および第2の開口部を備える。第1および第2の開口部は、流体を貯留する傾向のある気管チューブに沿った2つの領域が、第1および第2の開口部の部位に対応するように、気管チューブに沿って互いに離間されて配設されている。いくつかの場合において、第1および第2の開口部は、互いから少なくとも0.4インチ離れている。他の例では、対応する第3の開口部を有する第3の内腔は、第1および第2の内腔の第1および第2の開口部の部位から離れている領域内にあり、その部位に対応する領域内にない気管チューブに沿っても配設されている。
【0025】
第1、第2、および潜在的には第3の内腔はすべて、それぞれの開口部から対向する末端において対応する流体管路に流体的に接続するための手段を備える。流体管路は、第1、第2、および第3の開口部と関連する領域から流体を引き離すことができる、ポンプなどの吸引装置に結合される。第1、第2、および第3の内腔に接続する別々の流体管路があり得るか、または適切なコネクタを使用して存在するすべての内腔から流体を取り除く働きをする1つの流体管路があってよい。
【0026】
流体管理システムは、センサー、1つまたは複数のポンプ、弁、および他のコンポーネントと電気的に連通しているコントローラも備える。コントローラは、気管チューブの異なる領域に対応する異なる内腔内に流体または粘液閉塞がないか検査する。閉塞が検出された場合、コントローラは、陽圧を、次いで陰圧を印加して、流体および粘液を除去することをポンプに通知する。
【0027】
一般に、気管チューブは、患者気道を確保し、維持することを主な目的とし、また酸素と二酸化炭素との適切な交換を確実にするために気管内に挿入されるカテーテルである。多くの異なる種類の気管チューブが利用可能であり、異なる特定の用途に適しており、これは気管内チューブおよび気管切開チューブを含む。たとえば、気管内チューブ(ET)は、典型的には、口(経口気管)または鼻(経鼻気管)を通してほぼ常に挿入される特定の種類の気管チューブである。気管切開チューブは、別の種類の気管チューブであり、これはたとえば長さ2〜3インチの湾曲した金属またはプラスチックチューブであってよく、開存性内腔を維持するために(気管切開術の後に)気管切開瘻孔内に挿入され得る。本明細書で説明されている呼吸(またはいくつかの変更形態では、呼吸器官内)挿入デバイスは、気管チューブであり得るか、または以下でより詳しく説明されているように、気管チューブとともに使用するように適合され得る。
【0028】
システムは、呼吸挿入デバイス(呼吸挿入本体部とも称され得る)に結合することができ、呼吸挿入デバイスは細長い軸線において遠位に延在し、呼吸挿入デバイスは、細長い軸線においてに延在する複数の内腔、および複数の開口部を備えるものとしてよく、各内腔は、開口部と流体的に接続しており、異なる内腔に対する開口部は、少なくとも0.4インチだけ細長い軸線に沿って隔てられている。一般に、複数の内腔における内腔の各々は、第1、第2、または第3の流体管路のうちの1つと流体的に接続するように構成される。以下で詳しく説明されているように、いくつかの変更形態において、本明細書で説明されているシステムは、追加の流体管路、および特に、気管チューブの中心および/または主内腔内から流体を取り除くために接続され得る気管デバイス内の内腔に取り付けるように構成されている第4の流体管路を備え得る。これは、気管管路と称され得る。
【0029】
述べたように、本明細書で説明されている呼吸挿入デバイスは、気管チューブであり得るか、または既存の気管チューブに接続し得る。前者の場合、気管チューブは流体管理特徴部を組み込んであり、呼吸挿入デバイスは、主気管チューブ通路に沿って3つまたはそれ以上の(たとえば、4つの)一体化された内腔、たとえば、すでに述べられている部位に対する3つの内腔、および主気管チューブの内側から分泌物を取り除くための第4の内腔を有するものとしてよい。すでに述べたように、気管チューブ経路に沿った事前決定された領域の吸引は、呼吸挿入デバイスに沿って開口部を通して行われる。後者の場合、呼吸挿入デバイスは、既存の気管内チューブに取り付けられている場合に、いくつかの例が本明細書で説明されている。一例では、呼吸挿入デバイスは、既存の気管内チューブ上にクリップで留めることができ、気管チューブの長さに沿って下へ摺動し得る。呼吸挿入デバイスクリップは、気管チューブに沿って事前決定された領域と接触する対応する開口部を有する分離している内腔を備える。呼吸挿入デバイスのいくつかの変更形態では、呼吸挿入デバイスの留置がしやすくなるようにクリップがヒンジを有するものとしてよい。
【0030】
呼吸挿入本体部は、呼吸管の複数の領域から流体を独立して取り除くことができる。呼吸挿入本体部は、近位から遠位に延在する細長い軸線を有するものとしてよく、第1の内腔は第1の内腔近位端および第1の内腔遠位端を有する細長い本体部に沿って配設され、第2の内腔は第2の内腔近位端および第2の内腔遠位端を有する細長い本体部に沿って配設され、第3の内腔は第3の内腔近位端および第3の内腔遠位端を有する細長い本体部に沿って配設される。いくつかの変更形態において、装置は、第1、第2、および第3の内腔遠位端上にそれぞれ配設されている第1、第2、および第3の開口部を備え得る。第1、第2、および第3の開口部は、第1、第2、および第3の開口部が細長い軸線に沿って少なくとも0.4インチだけ互いから隔てられるように細長い本体部に沿って位置決めされ得る。呼吸挿入本体部内の第1の開口部は、使用者の口腔内に位置決めされるように構成されるものとしてよく、第2の開口部は、使用者の中咽頭領域に位置決めされるように構成され、気管内挿入本体部を貫通する第3の開口部は、気管内挿入本体部が使用者の喉に挿入し通されるときに使用者の声門下部に位置決めされるように構成される。いくつかの例では、細長い本体部は、気管内挿入本体部の近位端および遠位端のところに中心気管チューブ内腔開口部を有するチューブ状本体部を備える。他の例では、細長い本体部は、気管内チューブ上で接続するように構成されているシースを備える。細長い本体部は、気管内チューブ上で接続するように構成されている螺旋状シースであってもよい。いくつかの場合において、一連のクリップ/アタッチメントが気管内チューブに被さるように取り付けることができる。一般に、第1の内腔近位端、第2の内腔近位端、および第3の内腔近位端は各々、流体管路に取り付けるように構成されている流体管路連結器を備える。最後に、第1の開口部は、第3の開口部から約3cmと14cmとの間にあり、さらに、第2の開口部は、第3の開口部から約2cmと10cmとの間にある。
【0031】
本明細書で説明されている呼吸挿入デバイスのうちのいくつかは、気管切開チューブに結合するためのものであるか、または気管切開チューブを組み込み得る。一事例では、挿入デバイスは、第1のアームおよび第2のアームを有する分岐した細長い本体部を有し、本体部は近位から遠位に延在する細長い軸線を有する。第1のアームは、気管チューブの内腔を貫通するように構成され、気管切開チューブの遠位端から外に延在し、気管チューブの遠位端の周りに巻き付き、気管チューブの上へ近位に延在するように構成されている曲がった遠位端領域を備える。第2のアームは、気管チューブの外側に沿って遠位に延在するように構成される。第1および第2の開口部が、細長い本体部の第1のアーム内に配設される。第1の開口部は、第1のアームの曲がった遠位端領域の近位に配設され、気管チューブの内腔内に置かれるように構成される。第2の開口部は、曲がった遠位端領域の遠位に配設され、気管チューブの遠位端領域の外側に置かれるように構成され得る。第3の開口部は、第2のアーム内の第3の内腔上に配設されるものとしてよく、第3の開口部は第2のアームの遠位端の近くに配設される。第1の内腔の近位端は、第1の流体管路に取り付けるように構成されている第1の流体管路連結器を備えるものとしてよく、第2の内腔の近位端は、第2の流体管路に取り付けるように構成されている第2の流体管路連結器を備え、第3の内腔の近位端は、第3の流体管路に取り付けるように構成されている第3の流体管路連結器を備える。
【0032】
別の例では、呼吸挿入デバイスは、一体化された気管切開チューブを備える。ここで、挿入デバイスは、近位から遠位に延在する細長い軸線を有する、細長い本体部と、細長い本体部の遠位端の近くにある膨張カフと、細長い本体部内の中心内腔と、中心内腔/通路(第1の内腔と気管チューブとして働く中心内腔との間の)の方へ内向きに面する第1の開口部を有する細長い本体部に沿って近位から遠位に延在する第1の内腔と、膨張カフの遠位にある細長い本体部の外側の第2の内腔内への第2の開口部を有する細長い本体部に沿って近位から遠位に延在する第2の内腔と、膨張カフの近位にある細長い本体部の外側の第3の内腔内への第3の開口部を有する細長い本体部に沿って近位から遠位に延在する第3の内腔とを有するものとしてよい。前の例と同様に、第1の内腔の近位端は、第1の流体管路に取り付けるように構成されている第1の流体管路連結器を備えるものとしてよく、第2の内腔の近位端は、第2の流体管路に取り付けるように構成されている第2の流体管路連結器を備えるものとしてよく、第3の内腔の近位端は、第3の流体管路に取り付けるように構成されている第3の流体管路連結器を備えるものとしてよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】矢印が流体蓄積のポケットを示す患者体内に挿入されている従来の気管内チューブ(気管チューブ)を示す図である。
【
図1B】流体が回収され得る異なる領域を示している、気管および気管支領域を示す図である。
【
図1C】患者の声門下部を吸引するだけの従来の流体取り出しセットアップを示す図である。
【
図1D】手動による吸引および声門下分泌物排出を必要とする従来の気管チューブシステムを示す図である。
【
図2】気管チューブに沿って複数の領域から流体を自動的に、定期的に監視し、取り除く呼吸挿入デバイスを伴う、流体管理システムの一例を示す図である。
【
図3】被験者の口(断面が図示されている)を通る自動流体取り出しシステムの呼吸挿入デバイスの一例、および患者の気管内に形成された開口部を示す図である。
【
図4】本明細書で説明されているような一般的な流体管理システムを示す図である。
【
図5】呼吸挿入デバイスの様々な実施形態(右に3つが図示されている)と組み合わせて使用できる流体管理システムの一実施形態を示す図である。
【
図6】感知および制御コンポーネントを備える、流体管理システムの2つの態様を示す図である。
【
図7】様々なコンポーネントに関連してコントローラを示している流体管理システムの一実施形態のブロック図である(気管チューブ、流量センサー、圧力センサー、圧力制御機構、制御弁、真空、洗浄、ディスプレイ、および電源を含む)。
【
図8】外部吸引部を有する気管の3つの領域に対する気管チューブ流体管理システムの代替的一実施形態のブロック図である。
【
図9】組み込み吸引部を有する気管の3つの領域に対する気管チューブ流体管理システムの代替的一実施形態のブロック図である。
【
図10】流体管理システムの一変更形態の回路図である。
【
図11】分泌物回収容器感知ユニットおよび圧力センサーを有し、吸引用の3つの管路および3つの洗浄管路を含む6つの独立した管路を有する流体管理システムの一実施形態のブロック図である。
【
図12】各独立した吸引管路に沿って逆止め弁を有する流体管理システムの別の変更形態のブロック図である。
【
図13】吸引弁およびコントロールの背後に分泌物回収ジャーを有する流体管理システムの代替的一実施形態を示す図である。
【
図14】三方弁を使用する、吸引管路、弁、および洗浄弁の背後に1つの回収ジャーを有する流体管理システムの代替的一実施形態を示す図である。
【
図15】対応するセンサーとともに4つの独立した管路を有する流体管理システムの代替的一実施形態を示す図である。
【
図16A】閉鎖コントローラ、流体管路、および分泌物回収貯槽の絵図である。
【
図16B】マイクロコントローラ、弁、ポンプ、および回路を示すコントローラの拡大図である。
【
図16C】コントロール、吸引弁を有するコントローラ、圧力コントローラ、真空、および流体管路を示すさらに別の拡大図である。
【
図17】3つの独立した吸引管路を有する流体管理システムを示す別の代表的なブロック図である。
【
図18】従来の気管チューブおよびシステムと開示されている流体管理システムおよび挿入本体部との様々な組合せを示す図である。
【
図19A】呼吸挿入デバイスの一変更形態を示す図である。
【
図19B】呼吸挿入デバイスの螺旋状の実施形態を示す図である。
【
図19C-D】
図19Cは、気管チューブとともに使用するための螺旋形状の呼吸挿入デバイスを示す図である。
図19Dは、
図19Aの呼吸挿入デバイスの領域の拡大図である。
【
図20】呼吸挿入デバイスのヒンジ付きの実施形態を示す図である。
【
図21】呼吸挿入デバイスのステントに似た実施形態を示す図である。
【
図22A】吸引内腔を備える呼吸挿入デバイスのリング型の実施形態を示す図である。
【
図22B】
図22Aの吸引内腔を備える呼吸挿入デバイスのリング型の実施形態の代替的な斜視図である。
【
図22C】吸引内腔を備える呼吸挿入デバイスのリング型の実施形態の一部の拡大図である。
【
図23A】クリップ呼吸挿入デバイスの代替的一実施形態の正面図である。
【
図24A】2つの材料を備えるクリップ呼吸挿入デバイスのさらに別の実施形態のオフセット図である。
【
図24B】C字型支持体を備えるクリップ呼吸挿入デバイスの別の実施形態の側面図である。
【
図25A】洗浄および分泌物取り出しのための5つの流路を有する呼吸挿入デバイスの一実施形態を示す正面斜視図である。
【
図25B】洗浄および分泌物取り出しのための5つの流路を有する呼吸挿入デバイスの一実施形態を示す側面図である。
【
図25C】洗浄および分泌物取り出しのための5つの流路を有する呼吸挿入デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
【
図26A】積層内腔を有するクリップ呼吸挿入デバイスの一実施形態の正面および斜視図である。
【
図26B】積層内腔を有する
図26Aの自由クリップ呼吸挿入デバイスの側面図である。
【
図26C】気管チューブと係合している積層内腔を有するクリップ呼吸挿入デバイスの側面図である。
【
図27A】口腔咽頭気道挿入本体部の側面図である。
【
図27B】口腔咽頭気道挿入本体部の別の図である。
【
図27C】吸引ポートを示す口腔咽頭気道挿入本体部の第3の図である。
【
図28A】第1の吸引領域を示す一体化された呼吸挿入デバイスの側面図である。
【
図28D】
図28Aの一体化された呼吸挿入デバイスの近位端を通る断面の図である。
【
図28F】主要本体部に沿って3つのポートを有する呼吸挿入本体部の別の図である。
【
図28G】気管内チューブの内側を吸引するための内部ポートが図示されている、
図28A〜
図28Fの呼吸挿入本体部を示す断面図である。
【
図29A】気管切開チューブとともに使用するための呼吸挿入デバイスの第1の実施形態の図面である。
【
図29B】気管切開チューブと係合している
図29Aの呼吸挿入デバイスを示す図である。
【
図30】気管切開チューブを備える一体化された呼吸挿入デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書で説明されているのは、気管チューブに沿って不要な流体の回収を管理するためのシステムおよびデバイスである。一般に、流体管理システムは、コントローラ、複数の流体管路、複数の流量のセンサー、複数の圧力センサー、洗浄サブシステム、および少なくとも1つの分泌物回収ジャーを備え得る。いくつかの実施形態において、流体管理システムは、圧力値を示すか、またはサイクル内でシステムが動作中であることを使用者に知らせ続けるためのディスプレイも収容することができる。システムは、分泌物の分析結果を表示するようにも適合され得る。呼吸挿入デバイスは、説明されている流体管理システムのうちのどれかに結合することができる。以下で説明される呼吸挿入デバイスは、気管チューブのいくつかの領域に沿って蓄積した流体を取り除くように一般的に機能し得る。呼吸挿入デバイスは、既存の気管チューブと連携して使用され得るか、または呼吸管に沿った流体回収を管理する働きをすることに加えて気管切開チューブを含む気管チューブの機能を実行し得る。一般に、システムは、コントローラ、電源、ポンプ、弁、吸引デバイス、センサー、流体管路、ディスプレイ、およびスイッチを備えることができる。
【0035】
本明細書で説明されているシステムは、呼吸管に沿った複数の領域から流体を自動的に取り除くことができる。自動的にという言い回しは、独立して(たとえば、使用者からの継続的な入力なしで)動作することができる活動または機能を指すものとしてよい。いくつかの変更形態では、自動的にという言い回しは、ある種のアクションが手動介入なしで実行されることを指示し得る。これは、手動介入がいっさい必要ないということを意味しないが、それは、現在のケースでは、他のすべての点に関して自動的であり得るプロセスをトリガーするか、または設定するために人間の介入が使用され得るからである。特に、使用者は、定められた間隔で、またはいくつかの条件が満たされたときに稼働するようにシステムを設定することができる。
【0036】
流体は、印加される剪断応力の下で流れ、継続的に変形することができる物質を指すものとしてよい。流体は、液体、気体、血漿、およびある種の固体を含み得る。本明細書において該当する場合に、流体という用語は、はっきりと定められた体積を有するが、固定された形状を有しない物質である、液体と同義の語として使用され得る。そのため、流体は、人の口腔および呼吸器系から分泌される生体液体、主に唾液、粘液、胃内容物、および洗浄流体を指すものとしてよい。
【0037】
次に、システムは、呼吸挿入デバイスを流体管理システムと接続する流体管路を備え得る。流体管路は、流体、液体、またはガスを一方の部位から別の部位(たとえば、配管、流路など)に運ぶことができる中空本体部であってよい。流体管路は、金属、ガラス、ゴム、および他の合成または天然材料から形成することができる。流体管路は、呼吸挿入本体部を流体管理システムに結合する流体不浸透性、中空、円筒形の本体部から形成され得る。
【0038】
呼吸管は、哺乳類、特に人間の呼吸に関連する領域を指すものとしてよい。一般に、「呼吸管」は、上部呼吸管および/または下部呼吸管を指すものとしてよい。上部呼吸管は、声門(声帯)の上の呼吸器系の一部を指すものとしてよいが、下部呼吸管は、気管、気管支、細気管支、および肺からなる。呼吸管は、口腔、声門、気管、および気管支の真上の領域を指すものとしてよい。
【0039】
上で説明されているように、気管チューブは、もっぱら患者の気道を確保し、維持するため、また適切な呼吸を確実にするために、患者の気管内に挿入できる中空管を指すものとしてよい。一般に、気管チューブは、気管内チューブおよび気管切開チューブを含み得る。
【0040】
コントローラは、一般的に、周辺コンポーネントとインターフェースし、周辺コンポーネントが互いにどのようにやり取りし、動作するかを管理することができるデバイスを指すものとしてよい。コントローラは、流体管理デバイスとともに存在するコンポーネントにコマンド送信するための回路(たとえば、チップ、チップセット、カード、および同様のもの)を備えることができる。コントローラは、監視および吸引プログラムを実行するためのロジックゲート、ルーチン/サブルーチン、およびデータ記憶装置コンポーネントを収容し得る。コントローラは、また、ディスプレイ、ボタン、およびスイッチなどの外部ユーザインターフェースも備え得る。
【0041】
センサーは、一般的に、それが置かれる環境の特定の特性を検出することができるコンポーネントを指す。特に、本明細書で説明されているのは、流量センサーおよび圧力センサーである。流量センサーは、流体が存在しているか存在していないかを検出するように構成され得る。流量センサーは、圧力差流量計、速度流量計、容積式流量計、質量流量計、または開水路流量計、IRベースのセンサー、容量センサー、およびUVセンサーとすることができる。圧力センサーは、圧力を検出し、限定はしないが、絶対圧力センサー、ゲージ圧力センサー、真空圧力センサー、圧力差センサー、および封止された圧力センサーを含み得る。いくつかの圧力センサーは、圧力がそのエリアに印加されたときに歪みを測定するための力値を収集する、力型センサーであり、圧電抵抗歪みゲージ、容量、電磁気、圧電性、光、および電位差測定を含む。他の非力収集圧力センサーは、共振、熱、およびイオン化型圧力センサーを含み得る。センサーの種類が何であれ、較正は、検出される状態に関連する値を正確に決定するのに有益である。最後に、流量および圧力センサーは、流体管理システムの内部または外部にあり得る。可能な一位置は、流量および圧力センサーがシステムが呼吸挿入デバイスに結合する部位に相対的に近接近しているシステムの流体管路上に留置される部位である。流量および圧力センサーに対する他の潜在的部位は、コントローラユニット本体部内であるものとしてよい。
【0042】
洗浄は、不要な材料を除去するか、または診断目的のために、水または薬剤の入った溶液で体腔をすすぐことを指すものとしてよい。本明細書で説明されているように、洗浄は、呼吸挿入デバイスに沿った様々な事前決定された領域において行われ得る。たとえば、本明細書で説明されている装置は、患者の口腔および中咽頭領域に洗浄を施し得る。
【0043】
流体管理システム
一般に、流体管理システムは、流体管路、センサー、コントローラおよびコントローラ用回路、および洗浄コンポーネントを備え得る。コントローラは、典型的には、流体管理システムコンポーネントの動作を監視する流体管理システムの一部分である。コントローラは、気管チューブに沿った領域から流体を吸引して除去する場合には、流体取り出し、または気管チューブが挿入されている口腔または呼吸管の特定の領域の洗浄の場合には、流体送達を調節するための回路およびマイクロコントロールを含むことができる。コントローラは、呼吸挿入デバイスを流体管理システムの感知、吸引、およびポンプ動作コンポーネントに連結する流体管路を接続し、維持する弁を含み得る。使用時に、コントローラは、感知、吸引、およびポンプ動作サイクルを調整するための回路を含むマイクロコントロールも備え得る。コントローラは、定期的に、自動的に、および独立して、圧力、吸引、または感知を各流体管路に施す。
【0044】
流体管理システムは、呼吸挿入デバイスを流体管理システムの感知、ポンプ動作、および吸引コンポーネントと接続する流体管路も含む。流体管路は、複数の構成で配置構成され得る。いくつかの例では、別々の流体管路が、呼吸挿入デバイス上に含まれるポートの各々に接続している。他の例では、呼吸挿入デバイス上の複数のポートが、マルチポートコンポーネントを介して1つの流体管路に接続され得る。外科用配管、圧力配管、または同様のものなどの流体管路は、可撓性を有しているべきである。本明細書では流体管路の材質に関して優先事項は記載されていないが、流体管路は、配管の壁がつぶれることなく吸引に耐えるか、または印加された圧力から管路破壊を生じることなく圧力に耐えることができることが有益である。
【0045】
流体管理システムは、典型的には、システムが流体管路内の分泌物(気管チューブに沿った事前決定された領域から取り出されたと推定される)の存在を(たとえば、流量によって)決定し、および印加される圧力または吸引の量を調節することを可能にするセンサーも含む。流量および吸引センサーは、流れてセンサーを通り過ぎる分泌物の有無を感知するために存在しているものとしてよい。センサーは、アナログ/デジタル信号をコントローラに送るように構成され得る。次いで、流体管理システムは、感知された信号を使用者またはメーカーによって入力された事前プログラムされた値と比較して、分泌物の存在を感知するまでシステムを動作させ続けることができる。
【0046】
コントローラは、流体管理システムのコンポーネントを駆動する電源を組み込んでもよい。電源がコントローラの本体部内に一体化されている場合、ボタンおよびスイッチは、使用者が流体管理システムを制御することを可能にする流体管理システムの本体部上に配置され得る。他の例では、電源は外部で維持され、使用するときに流体管理システムに接続される。流体管理システムは、内部または外部で維持されるポンプ動作および吸引機構も含み得る。
【0047】
次に、流体管理システムは、気管チューブに関連する空領域をすすぐための洗浄機構を備え得る。エリアの洗浄は気管チューブと接触しており、流体または水蒸気は、蓄積するおそれのある有害な微生物の量を減少させるのに役立ち得る。患者の口腔の洗浄は、最も一般的であるが、中咽頭領域または声門下部などの気管チューブに沿った他の領域の洗浄も可能である。流体管理システムは、呼吸挿入デバイスに接続し、空領域から洗浄流体を送達し、その後吸引する流体管路を含む。洗浄用流体は、滅菌水、食塩水、クロルヘキシジン、または他の好適溶液であってよい。
【0048】
流体管理システムは、患者の気管チューブに沿った異なる領域から引き出された流体を検査することができる分析コンポーネントも含み得る。流体管理システムは、いくつかの種類の有害な微生物について引き出された流体を定期的に検査し得る事前プログラムされたサブルーチンを含み得る。検出された場合、流体管理システムは、有害な微生物がないか調べる陽性試験に基づき感染に対する潜在的可能性を医者または介護人に通知するか、または抽出された流体の粘度、体積、および/または色を分析する手段を備え得る。
【0049】
流体管理システムは、1つまたは複数の分泌物回収容器(たとえば、ジャー、チャンバー、カップなど)も備え得る。分泌物回収ジャーは、以下でより詳しく説明されるように流体管理システムの他のコンポーネントに関して異なる部位に留置され得る。さらに、呼吸挿入デバイスに沿った異なる領域からすべての流体を回収する単一の分泌物回収ジャーがあり得るか、または異なる領域からの流体回収に対応する分離している別の流体回収ジャーがあり得る。洗浄流体を受け入れるための分離している流体回収ジャーもあり得る。得られた流体は廃棄されるか、または微生物が存在していないか検査するためにサンプリングされ得る。いくつかの例では、回収ジャーは、液体が特定のレベルにいつ到達したかを検出するための流体レベルセンサーも備え、1つまたは複数の回収ジャーを空にするよう使用者に警告を発することができる。
【0050】
使用時に、システムは、事前定義された期間にサンプル吸引を開始する(これは調整可能であり、患者の臨床判断および状態に基づき医師によって設定され得る)。サンプル吸引時に、制御ユニットは、吸引弁をONにし、最小設定時間(医師またはメーカーによってプリセットされる)の間に吸引が開始する。このサンプル吸引段階において、分泌物流体(唾液、粘液、胃液還流、または他の体液)が、患者の頭部の近くにある感知ユニットまで吸い上げられる。感知ユニットは、流量/流体の存在を感知し、流量/流体/分泌物の存在がプリセットされた値まで減少したことを感知するまで吸引をONのままにする。この流体は、回収ジャー内に回収される。
【0051】
患者の口腔/中咽頭/声門下(カフの上)に、および/または気管チューブ主内腔の内側に、もはや流体/分泌物がないときに、センサーユニットは、配管内に分泌物が存在していないことを感知するものとしてよく、圧力センサーの使用によってポート閉塞がないかチェックする。ポート閉塞の検出後、液体容器からの洗浄液体は、ポンプを使用し、弁を開くことによって閉塞した管路内に注入される。吸引の方向と反対の方向に注入されるこの流体は、ポートの閉塞を取り除く。注入された流体は、他の2つの管路からの吸引を使用することによって、または同じ管路によって、即座に吸い出される。
【0052】
ポートがどれも閉塞していない場合、圧力センサーは、ポート閉塞を感知せず、システムは、もはや分泌物はないと結論する。次いで、サンプル吸引の次のサイクルまでオフになる。
【0053】
シース/スリーブは、追加のポートを有するか、または口腔内のポートを使用することによって、洗浄液体が医師(またはいくつかの実施形態ではメーカー)によってプリセットされた規則正しい間隔で口腔内に通され、口腔すすぎを実行し、口腔衛生状態を維持する。洗浄液体は、同じポート/他のポートによって即座に吸い出される。デバイスは、看護師/介護人と患者の気管との接触を効果的に低減させ、それにより、交差感染の可能性を低減する。
【0054】
デバイスは、分泌物の体積、流量、および粘度を計算して分析し、患者の分泌物パターンのグラフをプロットし、感染の始まりを検出し予測するか、または感染の初期症状を検出するためのソフトウェアを組み込んでいる。また、デバイスがマイクロ流体ベースの技術を使用することによって感染の原因となる細菌/病原体の特定の菌株を検出する追加の特徴を有する場合に病原体を検出することも可能である。
【0055】
デバイスは、USB、インターネット、WiFi、Bluetooth(登録商標)、Ethernet(登録商標)、メモリースティック、または他のデータ転送技術を通じてデータを共有することができ、患者の感染グラフのハードコピーをプリントアウトするための小型のプリンタアタッチメントを有する。
【0056】
図2および
図4を参照すると、流体管理システム200および呼吸挿入デバイス270の一般的な実施形態が図示されている。この特定の例では、呼吸挿入デバイス270に結合する3つの流体管路220がある。呼吸挿入デバイスの様々な実施形態およびそれが流体管理システムにさらには既存の気管チューブにどのように接続するかについて、以下でより詳しくさらに説明される。この例に示されている流体管理システムは、流量センサー230および圧力センサー240(図示せず)を備える一体型コントローラ201を有する。また、含まれているが本明細書に図示されていないのは、圧力コントロール242および気管チューブに沿ったプリセットされた領域内の流体の溜まりを検出して取り除くための吸引/バキューム動作コントロール232である。さらに図示されているのは、単一の分泌物回収ジャー260である。すでに述べたように、流体管理システムは、気管チューブに沿ったプリセットされている領域から引き出された流体を別々に回収することができるが、使用者は、別々の流体管路220を通る流体を1つの流体回収ジャー260に容易にまとめることができる。
図3は、既存の気管チューブを有する挿管された患者の体内の呼吸挿入デバイス370をよりよく見せている。この絵図は、気管チューブ、および流体貯留に対応する患者の呼吸管に沿った領域を有する患者の口腔、口腔咽頭、および声門下部の断面を示しており、呼吸挿入本体部は、流体を監視し取り除くことができる。
【0057】
図4は、流体管理システム400およびその主要コンポーネントの一般的な概略図を示している。図示されているコンポーネントの間の配置および接続は、例示的であり、これらのコンポーネントの一般的配置を読者に示すことを目的としている。コンポーネントは、挿管されている患者に貯留している流体を管理するのに適している様々な手段で配置構成され、結合され、これは以下でより詳しく説明される。
【0058】
最後に、流体管理システムはどれも、気管チューブの周りの流体分泌物を取り除く作業を補足するものとして洗浄を組み込み得る。洗浄は、通常であれば唾液で浸されているが、無意識の挿管された患者の場合にはそうできないエリアに水分を与えるために、患者の口腔、中咽頭、または声門下部に施され得る。洗浄は、感染を引き起こす可能性のある異物および微生物を除去するために上述の領域を定期的に洗い流すために使用され得る。洗浄のための流体および吸引管路は、口腔、中咽頭、および声門下部からの流体を感知し、取り除くためにすでに存在しているものへの追加であるものとしてよく、コントローラ内またはコントローラの外部に別々のポンプ動作および吸引コンポーネントを有する。いくつかの場合において、洗浄管路は、既存の流体管路に入り込み共有することができる。
【0059】
図5および
図6は、現在着想され、実用化されているとおりの流体管理システムユニットを示している。
図5において、代表的な個数の呼吸挿入デバイスが図示されており、流体管理システムは以下で説明される呼吸挿入デバイスのうちのどれかと使用できることを示している。流体管理システムの全体的な目標は、気管チューブに沿って回収する挿管されている患者から流体分泌物の量を感知し、制御することである。
【0060】
流体管理システムの感知態様は、2種類のセンサーを含み得る。流量センサーは、チューブ内での特定の瞬間の流量を決定するために使用され得るが、圧力センサーは、流量センサーが分泌物が存在していないことを検出した後にポート閉塞を決定するために使用され得る。同時に、圧力センサーは、呼吸挿入デバイスに接続している流体管路のどれかと関連する圧力値を記録し、その値をコントローラに送り返して報告することができる。コントローラ内のルーチンは、検出された圧力がプリセットされた値よりも小さい場合に、閉塞または流体回収が呼吸挿入デバイスに沿った特定の領域で指示されるように検出された圧力をプリセットされた値と比較するように開始され得る。センサーは、呼吸挿入デバイスのポート開口部、または流体管路に沿った部位を含む、任意の適切な領域内に留置され、これらの部位に流体が存在するかどうかを感知することができる。述べたように、センサーは、非接触型、たとえば、流体管路の外側に配置構成されるものとしてよく、したがって、流体管路内の流体と接触しない。流体流量(および従って流体)が検出され、コントローラに送り返されて報告される場合、コントローラは、流体を除去するための一組の命令を開始することができる。この構成では、圧力センサーは、分泌物がないことを流量センサーが最初に検出した場合にのみ閉塞を検出し得る。
【0061】
流体管理システムの制御態様は、システム内の機械的なおよび圧力の流れを調節する。
図6に示されているように、少なくとも1つのポンプと接続するソレノイド弁は、流体管理システムおよび呼吸挿入デバイス内の流体の流れを制御するために使用される。また、流体管理システムモジュール内に保持されるのは、閉塞がないか監視する頻度に関連する情報を収集し、保持するための電子機器である。また、流体管路内における潜在的に有害な微生物の存在を検出する内部試験もあり得る。流体管理システムの状態に関する情報は、一体型モニター上に表示され得るか、または別のモニターに示され得る。
【0062】
流体管理システムの第1の実施形態は、
図7に示されている。コントローラ701は、存在している他のすべてのコンポーネントをリンクする。呼吸挿入デバイス770は、一体化された気管チューブ、シース、または以下で説明される他の配置構成のうちの1つであってよい。呼吸挿入デバイスは、一次気管チューブ、または患者体内の既存の気管チューブのアタッチメントとして配置構成され得る。呼吸挿入デバイス770は、気管チューブに沿った2つの異なる領域を吸引するための少なくとも2つの内腔を備え得る。呼吸挿入デバイス770は、流体管路720を介して残りの流体管理システム700のコンポーネントに流体的に接続される。呼吸挿入デバイス770に隣接しているのは、流量センサー730である。流量センサーは、特定の部位におけるある瞬間の分泌物の流量/存在を検出し、分泌物が存在していないことを感知した場合に、デバイスのスイッチを切るのを補助する。このサイクルは、所定の時間間隔で開始し、もはや流れがなくなるまで稼働を持続する。流量センサー730は、呼吸挿入デバイス770内に存在する各管路に関連付けられている。流量センサー730は、呼吸挿入デバイス770内の対応する管路内に流体がまだ存在しているかどうかを検出することができる。流量センサー730は、ステップごとのルーチンの一部として対応する管路内の流れを自動的にかつ連続的に(与えられたサイクル内で)検出することができる。代替的に、使用者は、コントローラ701内に設けられているいくつかのオプションを選択することを通じて管路のどれかまたはすべての中の手動で流量を決定することができる。本発明の実施形態において、流量センサー730は、流体管理システム700の他のコンポーネントと一致するように示されているが、他の例では、流量センサーは、呼吸挿入デバイス内の別の内腔と関連付けられ得る。流量センサーは、管路内の分泌物の流量および/または存在を検出し、その報告を送り返すことができる好適な任意のセンサーであってよい。そのようなセンサーの例は、IRセンサー、UVセンサー、抵抗センサー、容量センサー、超音波センサー、およびホール効果センサーを含み得る。
【0063】
引き続き
図7に示されている実施形態において、流体管理システム700は、圧力センサー740および圧力コントロール742も備える。圧力センサー740は、呼吸挿入デバイス770の特定の内腔に接続する対応する流体管路内の圧力を検出することができる。コントローラ701は、流体管路内の圧力を自動的かつ定期的に、または使用者の要求があったときに手動で検査するルーチンを備え得る。圧力コントロール742は、管路内に陰圧を発生させて特定の管路内の閉塞の量を評価するか、または陽圧を発生させて特定の管路の閉塞を取り除くのを補助することができる。また、管路内の感知された圧力が設定された閾値よりも高い状況では流体管理システム内に圧力逃し/解放部747があってもよい。圧力逃し/解放部747を有することで、過剰な圧力が患者の呼吸管にかかること、または呼吸挿入デバイスまたは流体管理システムのいずれかの流体接続部内にかかることを防ぐことができる。
【0064】
図7に示されている実施形態は、回収ジャー760も備える。ブロック図には回収ジャーの可能な個数を示していないが、抽出された流体のすべてが保持されるか、または複数の回収ジャーであり得る1つの中心回収部があり得る。回収ジャーが1つしかない場合、流体管路を回収ジャーに接続するために対応するマルチポート弁が使用される。複数回収ジャーセットアップは、感染源の場所を明確にするうえでより有用であり、また感染の場合に患者の呼吸管に沿ったどのような領域が治療をターゲットとしているかについてより明確な考えを介護人にもたらす。また、ジャーの流体が特定のレベルに達したときに、流体レベルセンサーがアラームを鳴らしてコントローラに信号を送信し、回収ジャーのうちの1つまたは全部が空にされる必要があることを使用者に通知するような存在している回収ジャーのすべての中の体積センサーを備えることも有益であり得る。
【0065】
洗浄システム750は、
図7に示されている実施形態にも存在する。洗浄システム750は、洗浄ポンプ751および洗浄圧力制御弁752を備える。本明細書では特に示されていないけれども、洗浄システム750は、すすぎ流体を呼吸挿入デバイス770に沿った少なくとも1つの領域に送達し得る。コントローラ701は、すすぎ流体を所望の流量および圧力で対象の1つまたは複数の領域に送達するように洗浄ポンプ751および洗浄圧力制御弁752を調節する。洗浄サイクルのすすぎ部分が完了したときに、洗浄ポンプ751は、陰圧をかけてすすぎ流体を吸引して取り去ることができる。特には示されていないが、回収ジャーと接続している追加の流体管路が、すすぎ後流体を受け入れることができる。代替的に、追加の流体管路は、流体管理システム内にすでに存在している流体回収ジャーのうちのどれかに接続することができる。
図8および
図9は、前の方で説明されている流体管理システムの実施形態における吸引特徴部の2つの可能な配置構成を示している。
図8では、吸引特徴部は、流体管理システム800に含まれていない。この配置構成において、吸引またはバキューム動作特徴部が外部に用意されている。
図9は、吸引/バキューム機能が流体管理システム内に備えられている場合を示している。両方の配置構成に利点と不利点の両方があるが、いずれも流体管理システムの全体的な機能に大きな影響を及ぼさない。最後に、示されている変更形態の両方において、回収ジャーは、吸引および圧力弁の後に配置されている。吸引および圧力弁を呼吸挿入デバイスのより近い位置に有している利点は、呼吸挿入デバイス内の吸引および圧力のより正確な制御である。圧力および吸引弁を呼吸挿入デバイスと回収ジャーとの間に配置しておく不利点は、吸引時に、これらの弁が通過する流体によってより容易に汚染され得ることである。呼吸挿入デバイスと圧力および吸引弁との間に回収ジャーを有することで、弁の汚染が最小限に抑えられるが、また呼吸挿入デバイスの遠位端に生じる圧力および吸引の制御の精度は落ちることになる。
【0066】
図10は、流体管理システムの実施形態のより詳しい図を示している。
図10のシステムは
図7〜
図9に示されているのと似ているが、
図10の図は、流体管理システムの一般性を超えた概念を示しており、流体管理システムを実用化するために使用されるコンポーネントをより詳しく開示している。
【0067】
図11〜
図15は、流体管理システム内に存在する回収ジャーおよび様々な弁の配置構成のさらなる変更形態を示している。
図11に示されている流体管理システム1100において、回収ジャーは、吸引および圧力弁の前に留置される。システム1100では、3つの別々の管路が呼吸挿入デバイス1170から出ている。回収ジャー1160は、各管路1120に関連付けられている。回収ジャー1160は、単一のジャーまたは複数のジャー、たとえば、各管路に対応する回収ジャーであってよい。すでに述べているように、回収ジャーを弁の少なくともいくつかの前に有する主要な利点の1つは、吸引時にそれらの弁に到達する汚染物質が少なく、これらの弁の清掃または交換をあまり頻繁に行わなくてよいという点である。また、圧力および流量を感知し、各流体管路に関連付けられている感知ユニット1130、1140もある。これらの実施形態の多くにおいて、様々なモジュールの前にフィルタが留置され、それによりこれらのモジュールの汚染を最小限度に抑える。システム1100は、呼吸挿入デバイス(図示せず)に接続する3つの別々の洗浄管路1153を有する洗浄部1150も備える。3つの洗浄管路1153は、中心洗浄制御弁1152および洗浄ポンプ1151によって制御される。さらに備えられているのは、洗浄液体を収容している洗浄ジャー1158であり、洗浄液体はポンプで洗浄管路1153の各々に通され、それにより、呼吸挿入デバイスに沿った異なる領域をすすぐことができる。洗浄制御弁は、洗浄液体がすすぎのために洗浄管路1153のうちの1つまたは2つにのみ入ることを許すことができる。どの洗浄管路がすすぎ流体を受け入れるかの制御は、操作者によって制御され得るか、またその後作動するように洗浄システムに信号を自動的に送るコントローラによって設定された検出値または状態に基づき得る。図示されていないが、洗浄システム1150は、洗浄が完了した後に洗浄液体を取り除くための別の管路を備え得るか、または使用済み洗浄液体を回収するために流体管路1120を利用することができ、ここで、洗浄液体は回収ジャー1160に戻される。
【0068】
図12は、流体管理システムのセットアップの代替的実施形態を示している。システム1100のセットアップと同様に、システム1200は、回収ジャー1260を有し、これらは吸引弁1245の前に置かれている。システム1200の顕著な1つの違いは、洗浄管路1253内の内容物が流体管路1220に流れ込み、呼吸挿入デバイスには直接入らないという点である。図示されているように、各洗浄管路1253は、対応する流体管路1220内に入り込む。洗浄流体1259が、洗浄時に呼吸挿入デバイスの方ではなく吸引弁1245の方へ移動するのを防ぐために、システム1200は、一連の逆止め弁1248を備える。オンのときに、逆止め弁1248は、洗浄流体を呼吸挿入デバイスの方へ押しやる。たとえば、逆止め弁は、オン/オフ機能を有していてもよく、洗浄液体のせいで圧力を生じた後にのみ吸引管路を閉じるように操作することができ、他のときには吸引管路は開いたままである。
【0069】
図13は、流体管理システムのセットアップのさらに別の実施形態を示している。システム1200と同様に、システム1300の洗浄1350は、患者に付けてある気管チューブに到達する前に対応する流体管路1320まで引き回される。システム1300では、回収ジャー1360は、吸引弁1345の背後に留置され、圧力弁1344は、回収ジャー1360と呼吸挿入デバイスとの間に置かれる。すでに述べたように、流体管路1320を吸引弁1345および圧力弁1344と接触させる不利点の1つは、汚染が発生する確率が高くなる点である。この効果を最小限度に抑えるために、弁は、異なる密度および粘度の流体を通せる詰まりを起こさないコンポーネントを有するように製作される。いくつかの例では、弁の内部は、微生物が付着するのが困難になるように非粘着性材料でコーティングされ得る。弁は、非接触型弁(たとえば、ピンチ弁)であってもよく、したがって、弁本体部が流体と決して接触せず、弁が遮断のために流体管路720をピンチするだけであるので汚染の問題を解決できる。
【0070】
図14は、3つの流体管路を有する最終的な流体管理システム構成を示している。システム1400では、ジャー1460は吸引源の近くに、また吸引弁1445および呼吸挿入デバイスから遠く離れて置かれている。吸引弁1445は、三方弁であり、流体管理システムの異なる機能が流体管理システム内で必要な空間を減らすことができる同じ管路のうちのいくつかを共有することを可能にする。システム1400は、吸引弁1445とジャー1460との間の流体管理コンポーネントの流体管路1420の残り部分に接続する洗浄管路(
図14に示されていない)を備える。システム1400は、圧力および流量を監視するためのセンサーユニット1430および1440も備える。システム1400は、患者の呼吸挿入デバイスから使用済み洗浄液体1459の取り出しおよび流量を制御し得る追加の吸引制御弁1457も備える。
【0071】
図15は、4つの独立した流体管路を有する流体管理システム実施形態を示している。流体管理システムの残り部分は同じままである。この実施形態では、気管チューブに沿った第4の部位から流体を取り除くために余分な流体管路が使用され得る。また、追加の流体管路は、実際の気管チューブ内から流体を取り除くためにも使用され得る。
【0072】
図16A〜
図16Cは、実用化される流体管理システムのセットアップの絵図を示している。
図16Aは、様々な流体管路と接続しているコントローラを示している。
図16Bおよび
図16Cは、弁、ポンプ、モーター、およびマイクロコントロールを備えるコントローラの拡大図である。
【0073】
呼吸挿入デバイス
述べたように、上で説明されている流体管理システムは、呼吸挿入デバイスに結合され得る。
図17〜
図30は、流体管理システムに接続されている呼吸挿入デバイスさらには企図されている呼吸挿入デバイスの異なる実施形態を説明している。
【0074】
いくつかの変更形態において、呼吸挿入デバイスは、気管内チューブ上にスナップ式に嵌り、適切な位置まで摺動して下がることができる。たとえば、シース/スリーブは、背側端が声帯まで到達する挿管されている患者の口腔内に留置され得る。シース/スリーブは、声門下部、口腔咽頭領域、および口腔に対応する異なる部位のところで複数の開口部/ポートがある2つまたはそれ以上(たとえば、3つ)の平行な独立した流路が走るものとしてよい。いくつかの変更形態において、シースは、接続されている気管チューブがすでに気管チューブの周り(および/または気管チューブ内)の領域から流体を取り除くために使用され得る内腔を有するときに内腔(流路)を2つだけ備える。これらの流路の端部は、吸引管路の配管と結合するためのコネクタを有する。
【0075】
呼吸挿入デバイスは、任意の好適な材料から製作され得る。そのような材料は、限定はしないが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、シリコーン、ネオプレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはポリイソプレンもしくは他の関連するエラストマー、プラスチック、もしくはゴムもしくは他の任意の生体適合性のある材料を含む。
【0076】
呼吸挿入デバイスは、接続配管に接続されるものとしてよく、感知ユニットは、最適な感知がなされるように留置され得る。感知ユニットは、流体検出センサーを収納し、その値を、マイクロコントローラ、および一組の弁、すなわち、吸引オン/オフ弁、洗浄オン/オフ弁、吸引圧力制御弁、洗浄圧力制御弁を有する制御および処理ユニットに送信する。これは、また、可変出力ポンプ、回収ジャー、およびディスプレイを収納する。回収ジャーは、限定はしないが、小型ジャーを備えるサンプル回収システムを取り付けるための装備を備え、これにより細菌学/病理学研究所に送られる少量の分泌物を回収する。
【0077】
制御および処理ユニットは、外部または内部電源によって駆動される。吸引発生装置(壁装着吸引管路、携帯型吸引システム、独立吸引システム)などの外部陰圧源から吸引を行い、これは制御ユニットに接続される。
【0078】
図17は、流体管理システム1700および呼吸挿入デバイス1770を備える大域的気管管理システムを示している。一般に、呼吸挿入デバイス1770は、近位端1771および遠位端1772を有するシース1773を備える。近位端1771は、流体管理システム1700に隣接する位置に置かれている。遠位端1772は、挿管されている患者の声門下部に対応する。呼吸挿入デバイス1770は、一般的に、少なくとも2つの内腔を備え、典型的には、第3の内腔を備える。
図17では、3つの内腔1774、1776、および1775が示されている。内腔1774、1776、および1775の各々の近位端および遠位端は、シース1773の長さに沿って長手方向に延在する。内腔1774、1776、および1775の近位端の各々は、流体管理システム1600の対応する流体管路(図示せず)に結合し得る。内腔1774、1776、および1775の遠位端は、気管チューブに沿った異なる領域に対応する。特に、挿管されている患者の口腔、中咽頭、および声門下部が注目される。内腔1774、1776、および1775の遠位端は各々、ポートに直接接触しているこれらの領域から流体を検出し、引き出すための口腔吸引ポート1777、1778、および1779を備える。
図17にさらに示されているのは、流量センサー1730および液体/圧力センサー1740である。流量センサー1730は、流体管路内の流体の流量を検出し、流体管路内の流れの調節を補助することができる。圧力センサー1740は、陰圧が流体管路を通して印加されたときに抵抗の量を検出し、抵抗の量が閾値よりも大きい場合にコントローラに中継し、管路内に閉塞があることを指示することができる。
図17に示されている圧力センサー1740は、内腔1774、1776、および1775に配置されているが、圧力センサーは、流体管路上、および呼吸挿入デバイスの外部に留置され得る。
【0079】
呼吸挿入デバイスの異なる組合せは、上で説明されている流体管理システムの様々な構成に結合され得る。
図18は、呼吸挿入デバイスと流体管理システムと可能な組合せのサブセットを示している。まず第1に、流体管理システムは、従来の気管チューブとともに使用することができ、より具体的には、気管内チューブまたは気管切開チューブとともに使用することができる。これは、従来の気管チューブが必要な内腔と流体の監視および排出を可能にする対応するポートとを保有しないので理想的とは言えない。
図18は、流体管理システムが、既存の気管チューブに取り付ける内腔を有する修正された気管チューブとともに使用することができることも示している。
図18は、また、声門下部に沿って吸引すること、さらには次の段落でより詳しく説明される革新的な一体型気管チューブ構成とともに使用することを可能にする声門下分泌物(CASS)チューブの連続的吸引も示している。そして最後に、図は、流体管理システムが、内腔がデバイス本体部に一体化されている一体化型気管内チューブとも連携できることを示している。
【0080】
図19A〜
図19Dは、呼吸挿入デバイス1970の第1の実施形態を示している。呼吸挿入デバイス1970は、挿管された患者の口の近くにある近位端1971、ならびに患者の気管の端部および気管支領域の頂部に対応する遠位端1972を有する。呼吸挿入デバイス1970は、デバイス本体部1973が既存の気管チューブ1990の周りに巻き付く螺旋状構成を有する。デバイス1970は、押されて、デバイス1970の遠位端が気管チューブのカフ1991に当接した後患者の呼吸管の安全領域を通り過ぎないように防がれており、既存の気管チューブに沿ったデバイス1970の適切な位置決めは、デバイス1970の遠位端がカフ1991に当接し、デバイス1970の近位端が既存の気管チューブの近位端に隣接したときに達成される。デバイス1970は、吸引のための少なくとも1つのデバイス流体管路1980を備える。デバイス流体管路1980は、流体管理システムの流体管路に取り付けるための連結器1981を備え得る。気管チューブに沿った小さな円は、流体が貯留する可能性が最も高い場合を示している。前の文献で示されているように、流体貯留の一エリアは、特にカフの周りの患者の声門下部に対応する。特に言及されていない、前の気管チューブ流体管理デバイスのターゲットとなる他の2つの領域は、口腔および気管チューブに隣接する口腔咽頭領域である。意識のない挿管されている患者は、特に気管チューブが存在していると、口の中に唾液が溜まっていて、自分の口から流体を取り除く自動的な還流がないことを伝えることができない。口腔咽頭領域は、また、口腔を通り気管に入るときに気管チューブ内の弓形の曲がりのせいで、挿管された患者の典型的な水平位置と組み合わさることで、流体貯留を生じやすい。
図19Aは、
図17と同様の呼吸挿入デバイスを示しており、
図19B、
図19C、および
図19Dは、このデバイスの一部分の拡大図を示している。吸引ポートは、デバイス本体部1973上の様々な領域に配設される。気管チューブに沿った口腔咽頭領域に対応するブローアップ図は、複数のポート1978を示している。円および矢印は、流体および他の異物がポート1978の方に移動して吸引して取り去られることを示している。特に図示されていないが、ポートは、また、挿管された患者の口腔および声門下部に対応する呼吸挿入デバイス本体部上にも配設される。また、気管チューブの異なる領域に対応するポートの間隔は、互い(たとえば、内腔の遠位端のポート)から少なくとも0.4インチであるべきである。流体管路に接続し得る、内腔の近位端のところで、内腔内へのポートは、互いに直接隣接し得るか、またはデバイスからのチューブとして延在し得る。この要件は、同じ領域に関連付けられているポートに適用されず、これは
図19B、
図19C、および
図19Dの拡大図に示されている。
【0081】
図20は、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2070の態様を例示している。デバイス2070は、シース2073を備える。シース2073はヒンジ2084および開口部2085を有する。シース2073の周囲に沿って配設されているのは、複数の内腔である。
図20では、2つの内腔2074および2075が示されている。内腔2074および2075は、流体管理システムの流体管路に接続されたときに、デバイス2070の遠位端2072に隣接して配設されているポート(図示せず)を通じて既存の気管チューブの2つの異なる部位を吸引することができる。使用時に、シース2073のヒンジ2084は開いて、開口部2085の周を拡大することができる。次いで、使用者は、患者体内に気管チューブを留置する前にまたは気管チューブの留置後に既存の気管チューブ上にデバイス2070をより容易に摺動させることができる。連結器2081も、流体管理システムに接続するために存在する。この実施形態の変更形態において、2つよりも多い内腔が、デバイスシースの周に沿って配設される。
【0082】
図21は、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2170の態様を例示している。デバイス2170は、1つまたは複数のスリーブ2173を備える。スリーブ2173は、ステントによく似た機能を有し、スリーブ2173は、力が長手方向に印加されたときに横方向に拡張し、それによりデバイス2170は、既存の気管チューブ上に一区切りずつ挿入され得る。デバイス2170は、頂部スリーブの長手方向軸に沿って延在する頂部スリーブの周に沿って内腔を備え得る。頂部スリーブは、既存気管チューブに沿った第1の領域を吸引するために頂部スリーブポート開口部のところで終端する内腔を備え得る。第1の領域は、挿管された患者の口腔に対応するものとしてよい。内腔2174、2175、および2176は、リング2182のところでスリーブ2173に入るように示されている。頂部スリーブは、下側スリーブの長さに沿ったポート開口部のところで終端する対応する内腔を有する下側スリーブに揃えられ、結合し得る。第1のポート開口部2177は、患者の口腔に対応するものとしてよい。他のポート開口部2178および2179は、口腔咽頭および声門下部などの既存の気管チューブに沿った第2のおよび第3の領域に対応し得る。
図21の内腔はすべて、大部分スリーブ上の1つの位置に挿入するように図示されているが、異なる内腔がリング上の異なる位置に挿入し、下側スリーブ内に対応する流路を有していることも可能である。また、各内腔は、流体管理システムまたは同様のものに取り付けるための連結器2181を備える。このデバイス実施形態を位置決めする際に、スリーブを既存の気管チューブ上に嵌合できるように短期間だけ換気が妨げられなければならない場合があることに留意されたい。
【0083】
図22A〜
図22Cは、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2270の態様を例示している。デバイス2270は、既存の気管チューブ上に嵌合するように設計されており、一連の支持構造体2273によってまとめられている一連のスタックリング2282を備える。スタックリング2282は、少なくとも一組の長手方向に揃えられたリング開口を備え得る。デバイス2270は、既存の気管チューブの長さに沿った様々な位置に到達できる一体化された内腔2281をさらに備える。一体化された内腔2281の遠位端は、長手方向に揃えられたリング開口2288のうちの少なくとも1つを縫うように通り抜ける一連の触手状の内腔を備える。既存の気管チューブに沿ってさらに遠くに到達することができる遠位端のところの触手状の内腔は、長手方向に揃えられたリング開口2288のうちの2つまたはそれ以上に縫うように通り抜け得る。触手状の内腔2274、2275、および2276は、既存の気管チューブに沿った対応する領域から流体を取り除くことができる対応する吸引ポート2277、2278、および2279とともに終端する。最後に、内腔は、一体化された内腔2281の近位端で一緒になり、内腔を流体管理システムに連結するコネクタ2281に結合する。
【0084】
図23A〜
図23Bは、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2370の態様を例示している。デバイス2370は、既存の気管チューブに取り付けることができる。デバイス2370は、片側に沿ってデバイス本体部2373を備え、デバイス2370を既存の気管チューブに取り付けることを可能にする一連のクリップ2383を備える。一連のクリップ2383は各々、既存の気管チューブ上にデバイス2370を嵌合させるために使用者が一連のクリップ2383の直径をわずかに大きくすることを可能にする開口部2385を備える。デバイス2370は、デバイス2370の本質的に全長にわたって走る空洞2386を備える。図示されていないが、カテーテルまたは配管は、気管チューブに沿った異なる領域で吸引するためにデバイス2370に沿った様々な位置で終端するように空洞2386に通して挿入され得る。
【0085】
デバイス2370の代替的一実施形態は、
図24A〜
図24Bに示されているようなデバイス2470である。デバイス2470と2370との違いの1つは、デバイス2470が2つの異なる材料でできているという点である。デバイス2470の大半は、デバイスの長手方向軸に沿って柔軟なより軟質のエラストマーでできている。デバイス2470は、より硬質の材料を含む「C」字型支持体2487を有する領域を備える。C字型支持体2487は、デバイス2470の長手方向軸に沿って置かれており、デバイス2470の横断面内での全体的な剛性をもたらす。デバイス2470は、デバイス本体部の湾曲に沿って走る、その湾曲に追随する流路2486を備える。流路2486は、既存の気管チューブに沿った少なくとも1つのエリアで吸引するための少なくとも1つのカテーテルまたは配管本体部を保持し得る。流路2486内に複数のカテーテルまたは配管本体部が保持されている場合、カテーテルまたは配管本体部の遠位端は、既存の気管チューブに沿った異なる位置で終端する。
【0086】
次に、
図25A〜
図25Cは、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2570の態様を例示している。デバイス2570は、クリップ形式の変更形態である。デバイス2570は、近位端部2571、遠位端部2572、およびデバイス本体部2573を有する。近位端2571は、患者の口の近くに置かれているが、遠位端2572は、患者の下部気管と気管支との間に配置されている。
図25Aは、デバイス本体部2573の長さに追随し、既存の気管チューブに沿った様々な位置で終端する、一連の流路2586を備える近位端2571の拡大図である。いくつかの例では、流路2586は、患者の口腔、口腔咽頭、および声門下部に対応する。
図25Bおよび
図25Cは、流路2586のうちのいくつかは既存の気管チューブに沿った異なる領域を吸引するために3つのポート2574、2575、および2576で終端することを示している。流体管路がどのように取り付けられるか応じて、流路のうちのいくつかは、患者の口腔、口腔咽頭、および声門下空洞の様々な領域の洗浄に使用され得る。最後に、デバイス2570は、気管チューブ上にデバイス2570を容易に留置できるようにする開口部2585を備える。
【0087】
図26A〜26Cは、
図25A〜
図25Cに例示されているデバイスの一変更形態を示している。同様に、デバイス2670は、既存の気管チューブに取り付けることを可能にするクリップ留め形式を有する。デバイス2670は、デバイス本体部2673、近位端2671、および遠位端2672を備える。デバイス2670は、開口部2685を有するC字型断面も有し、開口部の距離は、デバイス2570よりも大きい。デバイス2670の近位端2671では、前の方で説明されている流体管理システムなどの吸引システムにデバイス2670を接続することを可能にする2つの連結器2681が備えられている。連結器2681は、デバイス2670の長さに沿って走り、デバイス2670に沿った異なるゾーンで終端する流路2674および2675に取り付けられる。流路2674および2675の末端のところに、既存の気管チューブに沿った異なる領域を吸引するためのポート2674および2675がある。
【0088】
図27A〜
図27Dは、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2770の態様を例示している。デバイス2770は、既存の気管チューブと嵌め合うことができるクリップ留め流体吸引デバイスの別のバージョンである。デバイス2770は、デバイス本体部2773、使用時に患者の口腔に近い位置にある近位端2771、および使用時に患者の下部気管と気管支の間にある遠位端2772を有する。デバイス2770は、気管チューブに結合するための一連のクリップ2783を備える。デバイス2770は、また、デバイス本体部2773の長さに沿って走り、デバイス本体部2773に沿った異なる領域で終端する積層内腔2774、2775、および2776も備える。内腔2774、2775、および2776の末端に、気管チューブに沿った異なる領域から流体を検出し、吸引するための上で説明されている流体管理システムまたは他の類似のシステムと連動して働く対応するポート2777、2778、および2779がある。図示されていないが、内腔2774、2775、および2776の近位端は、流体管理システムまたは他の類似のシステムの流体管路に結合され得る。
【0089】
図28A〜
図28Gは、いくつかの実施形態による気管チューブに沿った2つまたはそれ以上の領域から流体を取り除くための呼吸挿入デバイス2870の態様を例示している。デバイス2870は、感知および吸引機能さらには外部呼吸メカニズムに接続するための気道通路を有する一体化された気管チューブである。デバイス2870は、デバイス本体部2873、近位端2871、および遠位端2872を備える。カフ2891は、デバイス2870の遠位端2872に向かうように配置されている。デバイス2870は、気管チューブ部分2890、カフ膨張管路2892、ならびに第1、第2、および第3の内腔2874、2875、2876をさらに備え、これにより患者の呼吸管に沿った異なる領域を吸引する。内腔2874、2875、および2876の遠位端はすべて、デバイス本体部2873に沿った異なる位置から流体を感知し、取り除くのを補助する対応するポート2877、2878、および2879とともに終端する。
図28Gは、呼吸挿入デバイス2870のこの特定の実施形態の断面を示しており、呼吸挿入デバイス2870は、呼吸挿入デバイス2870の気管チューブ部分の内部領域において吸引するための内部ポート2893をさらに備える。また、口腔および口腔咽頭空洞領域に対応するポート2877および2878に関連する流路も見えている。
【0090】
図29A〜
図30を参照して、気管切開のシナリオにおいて使用するためのデバイスを説明することにする。
図29Aおよび
図29Bは、気管切開デバイス2970の第1の実施形態を示している。デバイス2970は、1つまたは複数の(たとえば、この例では3つの)流体管路コネクタ2971、2971’、2971”を伴う近位端、遠位端2972、およびデバイス本体部2973を備える。デバイス本体部2973は、第1および第2の内腔2974および2976に分岐する。使用時に、第1の内腔2974は、気管切開チューブの外側に配置されているが、第2の内腔2976は、
図29Bに示されているように気管切開チューブ内に大半が置かれている。第1の内腔2974は、気管切開チューブの膨張性カフ2991の主に上にある、気管切開チューブの第1の外面から流体を検出し、取り除くために使用される第1のポート2977をその末端に備える。第2の内腔2976は、第1の内腔2974よりも長く、その末端のところに曲がりを備える。曲がりのところで、第2の内腔2976は、気管切開チューブを出て、カフ2991の下で終端する。その末端のところで、第2の内腔2976は、カフ2991の真下にある気管切開チューブの下側領域を感知し吸引するための第2のポート2979を備える。第2の内腔2976は、気管切開チューブの下側部分から流体を感知し取り除くための気管切開チューブ内、およびその遠位端の近くに置かれている第3のポート2978も備える。最後に、デバイス2970は、気管切開チューブに沿った異なる領域から流体を感知し取り除く流体管理システムまたは類似のシステムに取り付けるための連結器2981を備える。
【0091】
気管切開チューブデバイス3070の第2の実施形態は、
図30に示されている。デバイス3070は、一体化された気管切開チューブならびに流体感知および管理デバイスである。デバイス3070は、気管切開チューブ3073と一体化されている3つの独立した内腔3074、3075、および3076を備える。内腔3074、3075、および3076の近位端は、流体管理システムまたは他の類似のシステムに接続するための連結器3081を備える。各内腔3074、3075、および3076の末端は、気管切開チューブ3073に沿った異なる部位にある。各内腔3074、3075、および3076の末端には、対応する領域から流体を感知し取り除くための対応するポート3077、3078、および3079がある。いくつかの場合において、洗浄流体3050などの流体は、気管切開チューブ3073の内部に導入されるようにでき、すすぎ流体は、ポート3077、3078、および3079を介して取り出され得る。
【0092】
流体管理システムを呼吸挿入デバイスとともに使用する方法
次の段落では、流体管理システムを呼吸挿入デバイスとともに使用する方法について説明する。使用者は、複数の開口部を有する呼吸挿入デバイスを被験者の呼吸管内に挿入する作業を、第1の開口部が口腔(たとえば、被験者の舌根の近く)に位置決めされ、第2の開口部が被験者の中咽頭に位置決めされ、第3の開口部が被験者の声門下部に位置決めされるように行うことができる。ある場合には、呼吸挿入本体部は、既存の気管チューブに取り付けられ、他の場合には、気管チューブを組み込んだ呼吸挿入本体部は、患者の気管に新たに挿入される。
【0093】
次に、使用者は第1の開口部と連通している呼吸挿入本体部の第1の内腔を第1の流体管路に接続し、第2の開口部と連通している呼吸挿入本体部の第2の内腔を第2の流体管路に接続し、第3の開口部と連通している呼吸挿入本体部の第3の内腔を第3の流体管路に接続することによって呼吸挿入本体部をコントローラに結合する。次いで、操作者は、自動的に、所定の期間で、第1、第2、および第3の流体管路の各々を通して吸引を施し、流体管路のうちの1つを通る流体流量が流量閾値よりも低いとき、およびその流体管路内の圧力が圧力閾値よりも高いときに1つまたは第1、第2、もしくは第3の流体管路における吸引を自動的にオフにし、その流体管路を通る流体流量が流量閾値よりも低いとき、および圧力が圧力閾値よりも低いときに閉塞を除去するようにその流体管路内で陽圧を印加するようにコントローラを設定することができる。操作者は、また、気管チューブに沿った様々な領域に洗浄液体をかけるように選択することもできる。
【0094】
特徴部または要素が、別の特徴部または要素の「上に」あると本明細書で言うときに、それは他の特徴部もしくは要素の上に直接あり得るか、または介在する特徴部および/または要素も存在し得る。これとは対照的に、特徴部または要素が、別の特徴部または要素の「上に直接」あると言うときに、介在する特徴部または要素は存在しない。また、特徴部または要素が、別の特徴部または要素に「接続されている」、「取り付けられている」、または「結合されている」と言うときに、特徴部または要素は、直接他の特徴部もしくは要素に接続される、取り付けられる、もしくは結合されうるか、または介在する特徴部もしくは要素が存在しうるとも理解される。これとは対照的に、特徴部または要素が、別の特徴部または要素に「直接接続される」、「直接取り付けられる」、または「直接結合される」と言うときに、介在する特徴部または要素は存在しない。一実施形態に関して説明されるか、または図示されているけれども、そのように説明されるかまたは図示されている特徴部および要素は、他の実施形態にも適用され得る。また、当業者であれば、別の特徴部「に隣接して」配設されている構造または特徴部への参照は、隣接する特徴部の上にあるか、または下にある部分を有し得ることも理解するであろう。
【0095】
本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本発明の範囲を制限することは意図されていない。たとえば、本明細書で使用されているように、単数形の「1つの(a, an)」および「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も含むことが意図されている。「備える、含む(comprises)」および/または「備えること、含むこと(comprising)」という言い回しは、本明細書内で使用されている場合、記載されている特徴、特徴部、工程、ステップ、動作、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定し、1つまたは複数の他の特徴、特徴部、工程、ステップ、動作、操作、要素、および/またはコンポーネント、および/またはそれらからなる群の存在もしくは追加を除外しないこともさらに理解されるであろう。本明細書で使用されているように、「および/または」は、関連する列挙されている項目の1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含み、「/」と略記され得る。
【0096】
「下」、「より下」、「下側」、「上」、「上側」、および同様の語などの空間的相対語は、図に例示されているように、一方の要素または特徴と他方の要素または特徴との関係を記述する際に記述を容易にするために本明細書で使用され得る。これらの空間的相対語は、図中に示されている配向に加えて使用中の、または動作中のデバイスの異なる配向をも包含することが意図されていると理解される。たとえば、図中のデバイスが反転された場合、他の要素または特徴の「下」または「真下」にあると記述された要素は、他の要素または特徴の「上」に向き付けられるであろう。そこで、「下」という例示的な用語は、上および下の両方の向きも包含しうる。デバイスは、他の形で向き付けることができ(90度回転または他の向きに回転)、および本明細書で使用される空間的相対記述子はそれに応じて解釈されうる。同様に、「上方に」、「下方に」、「垂直に」、「水平に」、および同様の語も、本明細書では、特に断りのない限り、説明のためにのみ使用される。
【0097】
「第1」、「第2」という語は、本明細書では、様々な特徴/要素(ステップを含む)を記述するために使用される場合があるけれども、これらの特徴/要素は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、それらの語によって限定されるべきでない。これらの語は、特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用され得る。したがって、以下で説明される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれ、同様に、以下で説明される第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれることがあっても、本発明の教示から逸脱することにならない。
【0098】
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および以下の請求項全体を通して、「備える、含む(comprise)」ならびに「備える、含む(comprises)」および「備えること、含むこと(comprising)」などの活用形は、様々なコンポーネントが方法および物品(たとえば、デバイスおよび方法を含む組成物および装置)において連携して使用され得る。たとえば、「備えること、含むこと(comprising)」という語は、記載されている要素またはステップの包含を暗示し、他の要素またはステップの除外を暗示しないと理解される。
【0099】
様々な例示的な実施形態が上で説明されているけれども、請求項で説明されているような本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態に対し多数のいかなる変更をも加えることができる。たとえば、様々な説明されている方法ステップが実行される順序は、多くの場合、代替的実施形態では変更されてよく、他の代替的実施形態では、1つまたは複数の方法ステップが完全にスキップされてよい。様々なデバイスおよびシステム実施形態のオプションの特徴は、いくつかの実施形態に含まれ、他の実施形態には含まれていなくてよい。したがって、前述の説明は、もっぱら、例示するために提示されており、請求項に記載されているように本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【0100】
本明細書に含まれる例および例示は、たとえば、限定することなく、主題が実施され得る特定の実施形態を示している。述べたように、他の実施形態も利用され、そこから導出されるものとしてよく、したがって、構造および論理的置換および変更は、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得る。本発明の手段のそのような実施形態は、本明細書では、個別に、またはまとめて、単に便宜上、複数が実際には開示されているとしても、本出願の適用を単一の発明または発明概念に自発的に限定することを意図せずに、「発明」という語で参照され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書において例示され説明されているけれども、同じ目的を達成するために計算された配置構成が、図示されている特定の実施形態の代わりに使用され得る。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変更形態を対象とすることを意図されている。上記の説明を精査した後、上記の実施形態の組合せ、および本明細書では特に説明されていない他の実施形態は、当業者にとって明白なものとなるであろう。