特許第6736615号(P6736615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6736615
(24)【登録日】2020年7月17日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】電子状態報告回路ブレーカ
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/00 20060101AFI20200728BHJP
   H01H 73/02 20060101ALI20200728BHJP
   G01R 31/50 20200101ALI20200728BHJP
【FI】
   H01H73/00 A
   H01H73/02 Z
   G01R31/50
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-143201(P2018-143201)
(22)【出願日】2018年7月31日
(65)【公開番号】特開2019-36533(P2019-36533A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年7月31日
(31)【優先権主張番号】15/677,639
(32)【優先日】2017年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508117743
【氏名又は名称】カーリング テクノロジーズ、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARLING TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ダブリュー・ソレンソン
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−163882(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01744428(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 69/00 − 83/22
G01R 31/02 − 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路ブレーカであって、
電源に結合されるライン接続部と、
負荷に結合される負荷接続部と、
閉状態と開状態とに対応する、互いに相対移動可能な第1接触子及び第2接触子と、
前記ライン接続部と前記負荷接続部との間に結合される過電流保護回路と、
電流測定結果に関連しない障害信号を前記負荷から受信する制御回路と、を備え、
前記過電流保護回路は、測定された電流が閾値を超えるとき、故障状況が存在すると特定し、前記第1接触子及び第2接触子を前記開状態に移行させ、
前記制御回路は、前記障害信号を前記負荷から受信したとき、前記第1接触子及び第2接触子を前記開状態に移行させることを特徴とする回路ブレーカ。
【請求項2】
ネットワーク接続を介して前記回路ブレーカに結合される遠隔モニタリング機器を更に備え、
前記回路ブレーカは、前記障害信号を受信したとき、警報を発生し、
前記警報は、前記遠隔モニタリング機器へ伝送されることを特徴とする請求項1に記載の回路ブレーカ。
【請求項3】
前記障害信号は、前記負荷を前記負荷接続部に接続する電力ケーブルを介して前記回路ブレーカへ伝送されることを特徴とする請求項1に記載の回路ブレーカ。
【請求項4】
前記障害信号は、前記負荷と前記回路ブレーカとの間のイーサネット接続を介して前記回路ブレーカへ伝送されることを特徴とする請求項1に記載の回路ブレーカ。
【請求項5】
前記制御回路は、前記負荷接続部に結合され、且つ、信号値が記憶される記憶装置を備え、
前記第1接触子及び第2接触子が前記開状態であるとき、前記制御回路は、前記負荷接続部へテスト信号を伝送して、前記負荷接続部から測定された信号値を取得し、
前記制御回路は、前記測定された信号値を記憶装置における前記記憶される信号値と比較し、前記測定された信号値が閾値を超える場合に、前記第1接触子及び第2接触子を開状態に維持することを特徴とする請求項1に記載の回路ブレーカ。
【請求項6】
前記制御回路は、前記測定された信号値が前記閾値を超える場合に、ネットワーク接続を介して伝送される警報を生成することを特徴とする請求項5に記載の回路ブレーカ。
【請求項7】
前記測定された信号値は、電気抵抗測定結果を含み、前記閾値は、電気抵抗値を含むことを特徴とする請求項5に記載の回路ブレーカ。
【請求項8】
ネットワーク接続を介して前記回路ブレーカに結合される遠隔モニタリング機器を更に備え、
前記制御回路は、状態信号を前記遠隔モニタリング機器へ伝送し、
前記遠隔モニタリング機器は、閾値時間帯が経過しても前記遠隔モニタリング機器へ送信される状態信号がない場合に、前記回路ブレーカに関する警報を生成することを特徴とする請求項5に記載の回路ブレーカ。
【請求項9】
ネットワーク接続を介して前記回路ブレーカに結合される遠隔モニタリング機器を更に備え、
前記制御回路は、前記測定された信号値を前記遠隔モニタリング機器へ伝送することを特徴とする請求項5に記載の回路ブレーカ。
【請求項10】
ネットワーク接続を介して前記回路ブレーカに結合される遠隔モニタリング機器と、
メモリ記憶機能をオンにするメモリ機構と、を更に備え、
前記メモリ機構は、前記回路ブレーカが前記開状態に設定されたとき、前記負荷の電気信号パラメータが測定されるように、活性化されて負荷パラメータ信号を前記負荷へ伝送し、
前記信号値は、測定された前記電気信号パラメータを、前記記憶装置に記憶されるパラメータ信号データとして含むことを特徴とする請求項5に記載の回路ブレーカ。
【請求項11】
前記測定された信号値は、記憶されている測定後の電気信号パラメータと比較され、
前記制御回路は、前記測定された信号値が前記パラメータ信号データから所定の閾値だけオフセットした場合に、偏差データを生成することを特徴とする請求項10に記載の回路ブレーカ。
【請求項12】
前記回路ブレーカは、測定されたテスト信号の偏差データに基づいて、警報状況を発生することを特徴とする請求項11に記載の回路ブレーカ。
【請求項13】
前記回路ブレーカは、前記警報状況がある限り、前記第1接触子及び第2接触子のリセットを禁止することを特徴とする請求項12に記載の回路ブレーカ。
【請求項14】
前記テスト信号は、周期的に伝送されることを特徴とする請求項5に記載の回路ブレーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフ状態又はトリップ状態であるときに情報を供給可能な回路遮断器に関し、より具体的に、回路ブレーカから負荷へ電力を供給しないときに、接続されている回路及び負荷の状態をモニタリングする回路ブレーカに関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、回路を遮断(または開放)して電流を中断可能な電気部品である。回路遮断器の基本例は、スイッチであり、一般的に閉状態(closed state)と開状態(open state)を有する2つの電気接触子からなる。閉状態とは、接触子がくっ付いて電流をそれらの間を流れさせる状態を指す。開状態とは、接触子が切り離れて電流をそれらの間を流れさせない状態を指す。
【0003】
回路遮断器の別の例として、回路ブレーカがある。回路ブレーカは、例えば配電板に設けられて、接続された電線を介して伝送される電流を制限可能である。回路ブレーカは、電線及び関連する電子部品を短絡やグラウンド故障(故障状況と総称される)などの過電流状況によるダメージから保護する。回路にこのような故障状況が発生する場合には、回路ブレーカがトリップする。こうして、「オン」位置にある回路ブレーカが「オフ」位置に移行して当該回路ブレーカから引き出される電気エネルギーの流動を切断する。回路ブレーカがトリップすると、オーバーロード回路からの発火を防止可能であるとともに、回路からの電力を消費している装置への破壊も回避可能である。
【0004】
標準の回路ブレーカは、電力供給(電力会社による電源を含んでもよい)に接続される端子を備える。標準の回路ブレーカは、一般的に、ブレーカが保護しようとする回路に接続される別の端子を備える。通常、これらの端子は、それぞれ「ライン」及び「負荷」端子と呼ばれる。ラインが回路ブレーカへの入力と呼ばれる場合がよくある一方、負荷が出力と呼ばれる場合がよくある。出力は、電気エネルギーを回路に接続される電気部品へ供給する。
【0005】
回路ブレーカは、単数または複数の装置を保護可能である。例えば、1つの保護される装置(例えば、コンデンサユニット)は、直接回路ブレーカに接続可能である。回路ブレーカは、配線を介して複数の部品に接続されて複数の装置を保護可能である。前記配線は、電気アウトレットに終端する。こうして、回路ブレーカは、アウトレットを介して回路に接続された装置(例えば、ランプ、テレビ、パソコン、エアコンにおけるプラグなど)へ電力を供給する。他の配置では、回路ブレーカが特定の用途に向ける可能性がある。例えば、回路ブレーカは、幾つかのサーバが特定の回路ブレーカに接続されるサーバルームのラックに設けられてもよい。
【0006】
回路ブレーカは、ヒューズの代替としてもよい。しかし、一回機能すると必ず交換されるヒューズとは異なり、回路ブレーカは、リセット(手動または自動)して正常運転に復帰可能である。ヒューズよりも、回路ブレーカを使用したほうが安全と思われる。例えば、ヒューズが溶断した(例えば、建物の一部の電源を切った)場合、どのヒューズが中断された回路を制御するかが分からない。このような場合に、配電板におけるあらゆるヒューズを検査してどのヒューズが焼き尽くしたあるいは使い切ったかを特定する必要がある。そして、当該ヒューズをヒューズボックスから取り出して、新たなヒューズを取り付ける必要がある。
【0007】
この態様では、ヒューズよりも、回路ブレーカを使用したほうがずっと簡単である。回路ブレーカがトリップした(例えば、建物の一部の電源を切った)場合、配電板を見てどの回路ブレーカが「トリップ」位置に移行したかをチェックすれば、どの回路ブレーカが中断された回路を制御するかは、容易に特定できる。従来の回路ブレーカは、表面にスイッチを備える。当該スイッチは、配電板の中央に移行して「オン」とされ、配電板の周囲に移行して「オフ」とされ、中央位置に駐在して「故障」とされる。こうして、当該回路ブレーカは、可視的に認識及びリセット可能である。回路ブレーカが故障状態である場合、ハンドルを「オフ」状態に移行させる必要があり、それから「オン」状態に移行して接続された回路へ電力を供給する。
【0008】
回路ブレーカが故障によってトリップした場合、目で観察することによってどのブレーカがトリップしたかは、比較的に容易に特定できる。しかし、回路ブレーカをトリップさせる過電流を引き起こすのが何であるかの情報を取得できないし、過電流を引き起こす事情が相変わらず存在するかの情報も取得できない。その問題を特定する唯一の方式としては、ブレーカをオフにしてからオンにすることによってブレーカをリセットする。ブレーカが直ちにトリップした場合、故障状況が相変わらず存在する。電圧を回路へ印加することで故障状況が相変わらず存在するか否かをテストしてチェックすることは、最良の解決策ではない。
【0009】
また、回路ブレーカがトリップした場合、技術者が回路及び接続されている負荷に対して物理的な検査を行なわざるを得ない可能性がある。回路が複数のアウトレットへフィードする場合には、技術者は、通常、接続されているあらゆる機器を抜け出してから回路ブレーカをリセットする。回路ブレーカがトリップすることは、技術者にとって、配線本身に問題が起きる可能性があることを意味する。回路ブレーカがトリップしないと、接続された負荷の中の1つに問題が起きる可能性がある。それで、技術者は、負荷への接続と接続切断を繰り返して、故障を引き起こすのが中の1つの負荷であるか否かを特定する。同様に、テスト目的で高電圧を印加することは、理想的ではない。また、各負荷が順に接続され、且つ回路ブレーカがトリップしない場合には、回路ブレーカにおける総負荷が回路ブレーカの定格電流を超えたため、負荷を他の箇所に接続せざるを得ない可能性がある。しかし、これは、時間のかかる過程であるとともに、技術者が現場に入ってテストし、且つテストの目的でライン電圧を使用する必要がある。
【0010】
回路ブレーカがハードワイヤード接続された負荷(例えば、ルーフトップコンデンサユニット)をフィードする場合、技術者は、負荷への接続を切断して反復過程を介して操作し、回路のどの箇所に故障が存在するかを特定可能である。同様に、このような方式は、ライン電圧をテスト電圧とし、且つ回路ブレーカが故障状況においてトリップすることに依存する。
【0011】
上記方式の別の問題としては、回路ブレーカのトリップを引き起こす故障が存在するという事実以外、上記方法から他の情報を取得していない。
【0012】
更に別の問題としては、回路ブレーカは、電源スイッチ又は診断ツールとして利用されると、典型的な回路保護応用よりもより多い回数の動作サイクルを経過する。これは、回路ブレーカの許容できない早期失効を引き起こす恐れがある。典型的は回路ブレーカ機構は、失効前に20,000−30,000回のみのサイクル耐えるように構成される。このような回路ブレーカの失効前の耐えられるサイクル回数を増加させるために、回路ブレーカの全ての部品が他の方式よりも堅牢な方式で構成される必要がある。こうして、回路ブレーカを生産するコストが増加する。
【0013】
回路ブレーカに接続された負荷の直面するもう1つの問題としては、回路ブレーカは、定格電流を超えるとトリップするように構成される。換言すれば、回路ブレーカのサイズは、配線を保護するように設定され、前記配線が電流を回路に接続された負荷へフィードする。これは、以下のことを意味する。例えば、負荷の問題により、接続された負荷が最初からその設計より多くの電流を消費するが、電流消費が回路ブレーカの定格電流を超えない限り、電力が引き続き負荷(即ち、回路ブレーカは、配線を過熱から保護するが、配線に接続された負荷を保護していない)へ供給される。後で次のことが発生する恐れがある。つまり、最終的に負荷の損害がますます深刻になり、負荷の徹底的な失効に至って過電流状況を確実に引き起こし、回路ブレーカのトリップに導く。しかし、損害が既に事実になったため、接続された負荷が回避不能に壊れてしまう。
【0014】
そこで、上記制限を克服する回路遮断器とともに使用される好適なシステムを提供することは、望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、回路遮断器がオフ位置又はトリップ位置にあるときに、回路及び接続された負荷の状態に関する情報を供給する回路遮断器は、望ましい。
【0016】
さらに、オフ位置又はトリップ位置にある回路ブレーカでの故障がクリアされたか否かを認識するデータを遠隔位置へ供給する回路ブレーカは、望ましい。
【0017】
さらに、回路遮断器がオフ位置又はトリップ位置にあるときに、接続された負荷へ別途の配線を供給することを必要とせず、回路及び接続された負荷の状態に関するデータを供給する回路ブレーカは、望ましい。
【0018】
さらに、回路遮断器がオフ位置又はトリップ位置にあるときに、接続された負荷へ別途の配線を供給することを必要とせず、安全の方式にて回路及び接続された負荷を照会可能な回路ブレーカは、望ましい。
【0019】
さらに、回路ブレーカの閾値電流制限値に達していなくても、負荷から信号を受信して回路ブレーカをオフにすることが可能な回路ブレーカは、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
1つの構成では、これらの目的及び他の目的を実現するために、このような回路遮断器を提供する。当該回路遮断器は、制御回路を備える。前記制御回路は、回路遮断器のケース内に設けられ、記憶装置を備える。当該記憶装置には、各種の信号特性の電気値に関するデータが記憶されている。前記制御回路は、回路遮断器がオフ状態又はトリップ状態(例えば、接触子開放)である場合に、低電流及び低電圧を有するテスト信号を生成して回路遮断器の出力(負荷端子)へ伝送するように構成される。そして、制御回路は、テスト信号の電気値を測定し、測定された信号を記憶されている情報と比較することにより、測定された信号が記憶されている情報から所定の閾値以上オフセットするか否かを特定する。そうであれば、回路遮断器は、故障状況が相変わらず存在すると特定し、且つネットワーク接続を介して当該情報を遠隔位置へ伝送可能である。また、測定された信号に関するデータも送信可能である。こうして、バイナリデータ(例えば、短絡の回路/非短絡の回路)を簡単に提供することではなく、伝送された情報として、回路及び接続された負荷の実際状態の幾つかの情報を提供可能である。
【0021】
したがって、回路遮断器は、電子制御回路の回路ブレーカとして実現されるように構成され、前記電子制御回路は、例えばプリント基板(PCB)に位置してもよく、当該プリント基板は、ブレーカがオフ状態又はトリップ状態であるときにも依然として有効となる。1つの構成では、回路ブレーカは、回路に対する周期的な信号レベルテストによって得られたデータを実施して報告する。当該回路は、さらに、遠隔モニタリング機器と通信可能である。
【0022】
1つの例では、回路ブレーカがオフ位置又はトリップ位置にあるときに、電子装置は、引き続き運転してブレーカの運転状況を検査して報告する。例えば、回路ブレーカが報告を送信していない場合、モニタリング機器の受信ソフトウェアは、回路ブレーカ自身がオフラインであって機能していないことを認識して報告可能である。
【0023】
別の例では、回路ブレーカがオフ位置又はトリップ位置にあるときに、電子装置は、引き続き運転して、回路ブレーカに結合される負荷回路に対して周期的にテスト又は「ping」を行うことにより、a)回路の電気抵抗を特定(これは、短絡を認識すること、または、ハードワイヤード負荷について、正常運転状態との偏差を認識することを含む)して報告し、b)低電圧/低電流テスト信号を用いて負荷回路の他のパラメータを検査する。当該テストが連続的なものであってもよく、周期的なものであってもよいこと、並びに、自動的に実行されるものであってもよく、手動で検査されるものであってもよいことは、理解されるべきである。
【0024】
ハードワイヤード負荷(例えば、回路から抜け出せないコンデンサ(condenser))に関して、回路ブレーカは、「設定」ボタンを備えてもよい。こうして、回路ブレーカをオン位置に移動して正常状態において負荷の運転をサポートし、その後、回路ブレーカをオフ位置に移動して、「設定」ボタンを活性化して当該特定の負荷の検出可能パラメータをコードしてブレーカの記憶装置(メモリ)に記憶する。さらに、ブレーカに「設定」ボタンを使用することではなく、回路ブレーカに対してソフトウェア通信によって当該機能を実行するように命令してもよい。このように、回路ブレーカがトリップした場合、回路ブレーカは、記憶されている正常オフ状態の負荷パラメータとの間の如何なる相違を遠隔モニタリング機器へ報告可能である。
【0025】
回路ブレーカがオフ/トリップ位置にあるときに短絡又はグラウンド故障が存在すると特定した場合には、負荷回路電気抵抗を測定する及び/又は電圧降下分析を実行する回路ブレーカによって指示されるように、故障状況がクリアしたとき、前記回路を操作する技術者は、回路ブレーカデータを遠隔にモニタリングして指示を出してもよい。また、回路ブレーカモニタリング電子装置が許容できない異常を提示した場合、回路ブレーカが異常が存在するときにオン状態に移行することは、防止できる。
【0026】
更に理解すべきことは、回路ブレーカには、過電流保護回路を活性化から待機することではなく、過電流保護回路をオフにする別途の能力が設置されてもよい。例えば、回路ブレーカには、接続された負荷から通信信号を受信する能力が設置されてもよい。接続された負荷は、回路ブレーカをオフにする。回路にオーバーロードが存在しなくても、このようにしてもよい。また、負荷は、自己モニタリングを行ってもよい。さらに、負荷は、現在動作パラメータが特定された安全動作パラメータ範囲外にあると特定した場合、回路ブレーカへ切断信号を送信して負荷への電力を切断させてもよい。例えば、これは、負荷が如何なる重大な損傷に遭う前に実施され得る。
【0027】
負荷からの切断信号が直接電力ケーブルを介して回路ブレーカへ送信されてもよく、負荷から回路ブレーカまでの別途の配線があえて必要ではないことは、想定される。好ましくは、前記切断信号は、例えばブレーカインターフェース制御システムによってイーサネット接続を介して送信されてもよい。同様に、回路ブレーカは、ブレーカ状態および負荷の電子装置が回路ブレーカに対して負荷への電力を切断するように指示する原因を後で報告してもよい。当該報告は、ネットワーク接続を介して遠隔位置へ送信されてもよい。こうして、負荷が潜在的な重大損傷に遭う又は徹底的に失効する前に、負荷を再度維持することができる。
【0028】
以下の用語及び定義は、本願に適用される。
【0029】
本文で使用される用語「データ」は、永久的なものであろうと一時的なものであろうと、可視的や可聴的、音的、電気的、磁気的、電磁的なものであろうと、他の方式のものであろうと、任意の標記、信号、マーク、符号、フィールド、符号セット、表示、および表示情報の如何なる他の物理形式を意味する。1種の物理形式の所定情報を示す用語「データ」は、異なる物理形式をカバーする同じ所定情報の任意及び全ての表現として見なされる。
【0030】
本文で使用される用語「ネットワーク」は、全ての種類のイントラネットとエクストラネット(例えば、インターネット)を含むが、如何なる特定のイントラネットやエクストラネットに限定されるものではない。
【0031】
用語「第1」と「第2」は、1つの要素、集合、データ、対象或いは物を別の要素、集合、データ、対象或いは物と区別つけさせるが、時間上の相対位置や配置を指定しない。
【0032】
本文で使用される用語「結合」、「に結合」、「と結合」、「接続」、「に接続」及び「と接続」は、それぞれ、2つまたはより多くの装置、機器、ファイル、プログラム、応用プログラム、媒体、部品、ネットワーク、システム、サブシステムおよび/またはツールの間の関係を表し、以下の何れか一項または複数項を構成する。(a)接続:直接接続もあるし、1つまたは複数の他の装置、機器、ファイル、プログラム、応用プログラム、媒体、部品、ネットワーク、システム、サブシステムおよび/またはツールを介した接続もある。(b)通信関係:直接通信関係もあるし、1つまたは複数の他の装置、機器、ファイル、プログラム、応用プログラム、媒体、部品、ネットワーク、システム、サブシステムおよび/またはツールを介した通信関係もある。および/または(c)機能関係:その中の任意の1つまたは複数の装置、機器、ファイル、プログラム、応用プログラム、媒体、部品、ネットワーク、システム、サブシステムおよび/またはツールの操作の全部または一部がその中の任意の1つまたは複数の他の装置、機器、ファイル、プログラム、応用プログラム、媒体、部品、ネットワーク、システム、サブシステムおよび/またはツールの操作に依存する。
【0033】
1つの構成では、回路ブレーカは、電源に結合されるライン接続部と、負荷に結合される負荷接続部と、閉状態と開状態とに対応する、互いに相対移動可能な第1接触子及び第2接触子とを備える。前記回路ブレーカは、前記ライン接続部と前記負荷接続部との間に結合される過電流保護回路を更に備える。前記過電流保護回路は、測定された電流が閾値を超えるとき、故障状況が存在すると特定し、前記第1接触子及び第2接触子を前記開状態に移行させる。前記回路ブレーカは、負荷接続部に結合される制御回路を更に備える。前記制御回路は、信号値が記憶される記憶装置を備える。前記回路ブレーカは、下記のように構成される。前記第1接触子及び第2接触子が開状態であるときに、制御回路は、テスト信号を負荷接続部へ伝送して、伝送された信号を測定し、且つ、制御回路は、測定された信号を記憶装置における信号値と比較し、測定された信号が閾値を超える場合に、前記第1接触子及び第2接触子を開状態に維持する。
【0034】
別の構成では、回路ブレーカは、電源に結合されるライン接続部と、負荷に結合される負荷接続部と、閉状態と開状態とに対応する、互いに相対移動可能な第1接触子及び第2接触子とを備える。前記回路ブレーカは、前記ライン接続部と前記負荷接続部との間に結合される過電流保護回路を更に備える。前記過電流保護回路は、測定された電流が閾値を超えるとき、故障状況が存在すると特定し、前記第1接触子及び第2接触子を前記開状態に移行させる。前記回路ブレーカは、制御回路を更に備える。前記制御回路は、電流測定結果に関連しない障害信号を負荷から受信する。前記回路ブレーカは、下記のように構成される。前記制御回路は、前記障害信号を受信したとき、前記第1接触子及び第2接触子を前記開状態に移行させる。
【0035】
以下の図面及び詳細な記述を考慮すると、本発明の他の目的およびその特別な特徴やメリットは、より明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の1つの態様に係る回路ブレーカを示す図である。
図2図1の複数の回路ブレーカのブロック図である。
図3図1の回路ブレーカの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面を参照し、あらゆる図面における同じ符号が対応する構造を示す。
【0038】
図1は、ハンドル104付きのケース102を有する回路ブレーカ100を示す。当該回路ブレーカは、如何なるタイプの回路ブレーカであってもよく、ライン接続部106を備えるが、それに限定されない。ライン接続部106は、「突き刺し型」回路ブレーカを備える。前記「突き刺し型」回路ブレーカは、2つのタインとネジ型コネクタを備える。前記2つのタインは、配電板における給電バスバーに接続される。前記ネジ型コネクタは、負荷110に連結される負荷接続部108(図2)を備える。または、ライン接続部106は、配電板における給電バスバーに連結するためのネジ型接続を備えてもよい。可能な構成が多数存在するが、上述したのは、2つの例として挙げられる。
【0039】
過電流保護回路112は、ライン接続部106から入力電力を受信する。過電流保護回路112は、回路ブレーカを流れる電流を測定するように構成され、測定された電流が閾値を超える場合、過電流保護回路112は、接触子116を開放するためのリンケージ114を駆動する。接触子116がトリップ位置に配置されることにより、負荷110への電力伝送が回避される。当分野で周知されるように、接触子116は、通常可動接触子と固定接触子を備え、ハンドルの位置は、固定接触子に対する可動接触子の位置決めを規定する。例えば、オン位置に、リンケージ114は、接触子を閉鎖する。オフ位置に、リンケージ114は、接触子116を完全に開放する。更に、トリップ位置に、リンケージ114は、接触子116を開放する。トリップ位置にあるときに回路ブレーカ100をリセットするために、利用者は、通常ハンドル104をオフ位置に移動してからオン位置に移動する。
【0040】
図1は、制御回路118を更に示す。当該制御回路118には、記憶装置120が設けられる。制御回路118には、負荷回路122及び負荷110の信号特性を生成して測定するための電子装置が設けられる。例えば、制御回路118は、接続部124を介して負荷回路122に結合され、前記接続部124は、信号を負荷回路122に注入する。幾つかの構成では、前記制御回路118は、負荷110から障害信号を受信する。
【0041】
図1は、データ接続部126を更に示す、当該データ接続部126は、制御回路118に接続される。データ接続部126は、データと制御信号を送受信する。
【0042】
図2は、回路ブレーカ100、100’、100’ ’のブロック図であり、電源(例えば、配電板のバスバーに設けられる電源)に連結される各種の回路ブレーカを示す。前記電源は、図2において「ライン」と表記される。回路ブレーカ100は、負荷回路122を介して負荷110に接続される。また、1つの構成では、回路ブレーカ100は、さらに、データ接続部126を介して負荷110に接続されてもよい。さらに想到できるように、データ接続部126がイーサネット接続として構成され、デイジーチェーン構成にて接続し、遠隔モニタリング機器128と繋がる。
【0043】
図1に戻ると、回路ブレーカ100のケース102の上面には、メモリ機構130が設けられる。1つの構成では、メモリ機構130は、押圧可能なボタンとして設置されてもよい。好ましくは、メモリ機構130が必ずしも物理的に回路ブレーカ100に位置するとは限らず、コンピュータによって遠隔に駆動される機能ソフトウェアを含んでもよい。図2図3を組み合わせてメモリ機構130の機能と操作を更に説明する。
【0044】
図3は、模式図を示す。操作中に、回路ブレーカ100が開位置にあるときに回路をオンにする一方、回路ブレーカが閉位置にあるときに回路をオフにする。注意すべきことは、図3に示す回路が部分的に制御回路118内に保持される。
【0045】
1つの構成では、図3に示す回路は、全ての線路の間(ラインから中性線、ラインからライン)の短絡状況をテストするように構成される。テストパルスは、中性線又は各プルダウンラインに関して、交流ゼロクロス範囲付近に有効となる。
【0046】
ラインからラインのテスト期間中に、回路は、トーテムポールドライバによって中の1本のラインを低く引いて、別のラインを介してテストパルスを送信する。コンパレータ(LINE_DETECT & NEUT_REF)は、感知電圧をモニタリングして短絡が存在するか否かを検査する。収集してメモリ120に記憶される可能性のある情報は、プログラムテストパルス幅、必要とされるテストパルスの数、およびテストパルス列持続時間を含む。
【0047】
短絡が検出されると、回路は、ソレノイドをラッチオフ(SW)して故障警報を送信する。想到できるように、1つの構成では、回路は、ライン状況を連続的にモニタリング可能であり、短絡がもはや存在しないと特定されたとき、SWを自動的にアンラッチ可能である。
【0048】
回路ブレーカが閉鎖されて電力を負荷へ供給する際、キャパシタ(C_iso)は、交流離隔素子のように位置決められる。ダブルキャパシタ離隔オプションは、二重故障保護である。
【0049】
(動作原理)
回路ブレーカが「オフ」であり、または接触子がオン位置(トリップかオフに切り替えられるかに係らず)にあるとき、直列抵抗(センスネットワーク)を有する電圧源(マイクロプロセッサとトーテムポールドライブ)からの容量結合(C_iso)パルスを負荷へ印加し、負荷電圧降下(センスネットワーク電気抵抗からマイクロプロセッサ入力)を検出する。容量結合は、低周波数においてパルス源と負荷との間の離隔を供給するとともに、テストパルスのリーディングエッジへ高周波数パスを供給する。操作中に、短絡をパルスのリーディングエッジでの低い電圧降下として検出してもよい。順に複数対のラインをテストしてあらゆる可能な短絡パスをカバーしてもよい。しかし、ブレーカがオンにされまたは接触子が閉位置にあるとき、当該短絡検出システムは、無効となる。回路ブレーカがオフ又はトリップ位置にあるときに短絡が検出されると、回路ブレーカは、ブロックされ、またはオンや閉鎖を禁止され、且つ状態を提示するアラートや指示をユーザに供給する。
【0050】
パルス源の直列抵抗は、公称負荷を用いて観察された測定可能電圧降下の予期最大負荷に相当するように構成され、短絡が非常に小さい電圧降下を発生する。パルスの開始又はリーディングエッジに短絡の検出を行なう。その際、負荷における所定電圧降下よりも小さい場合、短絡が存在すると特定される。
【0051】
負荷が低い直流電気抵抗を有する誘導性のもの(例えば、起動時のモータ)である場合、インダクタンスは、パルスに対して十分高いインピーダンスを表す。こうして、直流電気抵抗が低くても、電圧降下がパルス開始時のパルス電圧レベルの値に近づく。
【0052】
有意な直列抵抗を有さない純容量性の負荷は、短絡として現れる。しかし、大容量性負荷は、十分な直列抵抗及び/又はインダクタンスを有して誤った短絡検出を回避する。
【0053】
スマートシステムが直接ラインから給電される場合、UL規格は、電気切断負荷への容量的結合をサポートしない可能性が高い。したがって、離隔された交流/直流電源(低パワー)によってシステムへ給電する必要がある。好ましくは、C_isoに対する2つの安全定格キャパシタの直列接続組み合わせは、必要な性能を提供して互換性を実現可能である。
【0054】
必要に応じて、ゼロクロス(位相検出)ネットワークが組み込まれて、短い検出パルスのタイミングをサポートする。
【0055】
図3が三相回路を示すが、想到できることは、上記と類似する方式にて単相回路を有効に利用可能である。
【0056】
図2に戻って、想到できることは、遠隔モニタリング機器128が回路ブレーカ100へ状態信号を送信して、機器が有効で機能することを確保してもよい。閾値時間帯が経過後又は閾値回数を超えても、遠隔モニタリング機器128が回路ブレーカ100から確認を受信していない場合、遠隔モニタリング機器128は、前記回路ブレーカ100に関する警報を生成し、当該警報は、前記機器が無効またはオフラインを表す。
【0057】
1つの構成では、制御回路118は、負荷110へ伝送されるテスト信号を生成して、当該テスト信号の電気特性を測定するように構成される。その後、制御回路は、測定されたテスト信号のデータを生成してから、記憶装置120に記憶する及び/又は遠隔モニタリング機器128へ伝送する。
【0058】
ハードワイヤード負荷(例えば、取り外せないため、固定される負荷となる)をフィードする回路ブレーカ100について、メモリ機構130は、記憶装置120に格納可能な負荷110を測定してもよい。機能上、回路ブレーカ100は、オフ位置に設定され、その後、メモリ機構130(ケース上のボタン又は遠隔位置からのソフトウェアであってもよい)を活性化してもよい。メモリ機構130は、活性化されたとき、負荷110へ負荷パラメータ信号を伝送し、且つ制御回路118は、伝送された負荷パラメータ信号の電気信号パラメータを測定する。これは、「正常」運転パラメータのベースラインを確立する。これらの「正常」運転パラメータは、記憶装置120に記憶される。回路ブレーカがオフ又はトリップ状態に設定されたとき、制御回路は、負荷110へテストパルスを送信し、当該テストパルスを測定して記憶されているデータと比較することにより、故障が存在するか否かを特定する。記憶されているデータとの偏差は、どのような故障が存在するかまたは存在可能な故障の種類の情報を更に与えることができる。当該偏差情報又は偏差データが遠隔位置に伝送されることにより、技術者は、現場に行く前にもデータを収集して検査可能である。
【0059】
1つの構成では、回路ブレーカ100は、測定されたテスト信号の偏差に基づいて警報状況を発生してもよい。想到できることは、警報状況が存在するとき、回路ブレーカ100が接触子のリセットを禁止する。同様に、警報状況がもはや存在しないと特定されれば、回路ブレーカは、接触子のリセットを許容する。当該警報状況は、さらに遠隔モニタリング機器128へ伝送されてもよい。
【0060】
さらに想到できることは、前文に記載されたように、テスト信号を負荷110へ伝送可能であるが、測定された信号が閾値を超えない(即ち、短絡が存在しない、または前に測定された値とは有意な偏差を有さない)場合、制御回路118は、負荷回路122及び/又は負荷110が「正常」であり且つ機能する旨の通知を生成してもよい。当該通知は、更に遠隔モニタリング機器128へ伝送されてもよい。
【0061】
部品、特徴等の特定の配置を参照して本発明を記述したが、それらが全ての可能な配置や特徴をカバーすることを意図しない。実際のところ、当業者は、様々な変更や改善を実施可能である。
図1
図2
図3