(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2のガイド部のそれぞれは、前記ガイドロールと連結されて、前記ガイドロールを前記鋳片及び定盤の移動経路に向かって前進又は後進させるロール駆動ユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直型鋳造設備。
前記第1及び第2のガイド部のそれぞれは、上下方向に並べて配置された複数のガイドロールの間に位置して、鋳片に向かって冷却水を噴射する複数のノズルを備えることを特徴とする請求項2に記載の垂直型鋳造設備。
前記第1及び第2の支持部材の延長方向に並べられて隔設された複数の第1のフレームのうち、最下端に位置する第1のフレームが前記搬出装置の上部に比べて上側に位置するようにして、前記案内本体のうち、前記最下端に位置する第1のフレームの下側領域を鋳造の終わった鋳片が前記案内本体から搬出される空間とすることを特徴とする請求項10に記載の垂直型鋳造設備。
前記案内装置の外側における前記案内装置の上部周縁に配設されるか、あるいは、前記ガイドロールの内部に配設されて、鋳片の鋳造中又は鋳造の終わった鋳片の未凝固の溶鋼を攪拌する第2の攪拌装置を備えることを特徴とする請求項4乃至請求項12のいずれか一項に記載の垂直型鋳造設備。
前記定盤を下降させる前に、前記第1のガイドロール及び前記第2のガイドロールのそれぞれを水平移動させて、鋳造しようとする鋳片の厚さに応じて前記第1のガイドロールと前記第2のガイドロールとの間の間隔を調節して、前記第1のガイドロールが前記鋳片の一方の面に接触され、前記第2のガイドロールが前記鋳片の他方の面に接触されるようにすることを特徴とする請求項16に記載の垂直鋳造方法。
前記第1のガイドロールの一方の側及び第2のガイドロールの他方の側の位置に配設される第2の攪拌装置を用いて、鋳造中に前記案内装置の内部に移動する鋳片又は鋳造が終わってから凝固中の鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌する過程を含むことを特徴とする請求項19に記載の垂直鋳造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、生産性及び実際の歩留まり率を向上させることのできる垂直型鋳造設備及びこれを用いた垂直鋳造方法を提供する。
本発明は、従来に比べて長く鋳片を垂直鋳造することのできる垂直型鋳造設備及びこれを用いた垂直鋳造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による垂直型鋳造設備は、溶鋼を冷却させて鋳片を鋳造する鋳型と、昇降可能であり、前記鋳型において鋳造された鋳片の下部を支持した状態で下降して、前記鋳型から鋳片を地面と垂直な状態で引き抜く定盤と、前記鋳型の下側に位置して、前記定盤から引き抜かれた鋳片を支持して、前記鋳片の下降をガイドするガイド装置と、を備え、前記ガイド装置は、それぞれが前記鋳型の下側において、前記定盤の移動経路の両側方向に配置されて、前記定盤により移動する鋳片を支持し、前記鋳片の移動をガイドする複数のガイドロール及び前記ガイドロールと連結されて前記鋳片の移動により回転する前記ガイドロールに制動力を印加する制動ユニットを有する第1及び第2のガイド部を備える。
【0008】
前記第1及び第2のガイド部のそれぞれは、前記ガイドロールと連結されて、前記ガイドロールを前記鋳片及び定盤の移動経路に向かって前進又は後進させるロール駆動ユニットを備える。
【0009】
前記ロール駆動ユニットは、前記ガイドロールの先端と連結された支持ブロックと、前記支持ブロックと連結されて前進移動力及び後進移動力を印加する水平移動部と、を備える。
【0010】
前記第1及び第2のガイド部のそれぞれは、上下方向に並べて配置された複数のガイドロールの間に位置して、鋳片に向かって冷却水を噴射する複数のノズルを備える。
【0011】
前記鋳型の下側から地面に対して垂直な方向に延設され、前記鋳片及び定盤が地面に対して垂直な方向に移動可能な内部空間を有する案内本体を有し、前記鋳片及び定盤の移動を案内する案内装置を備え、前記案内装置の一方の側及び他方の側に前記第1及び第2のガイド部が配設される。
【0012】
前記第1のガイド部と向かい合う前記案内本体の一方の側面に上下方向に並べられて隔設された第1の開口が形成され、前記第2のガイド部と向かい合う前記案内本体の他方の側面に上下方向に並べられて隔設された第2の開口が形成され、前記第1のガイド部の複数のガイドロールは、前記第1の開口と対応して位置するように並べて配置されて、前記第1のガイド部の水平駆動部により前記第1の開口を通過するように前後進移動し、前記第2のガイド部の複数のガイドロールは、前記第2の開口と対応して位置するように並べて配置され、前記第2のガイド部の水平駆動部により前記第1の開口を通過するように前後進移動する。
【0013】
前記案内本体は、それぞれが前記複数の第1の開口及び複数の第2の開口の位置と交差する方向において、上下方向に延設され、互いに向かい合うように対向配置された第1及び第2の支持部材と、それぞれが第1及び第2の支持部材の延長方向と交差する方向に延設されて、前記第1及び第2の支持部材の一方の側において前記第1の支持部材と第2の支持部材とを連結するように配設され、前記第1及び第2の支持部材の延長方向に並べられて隔設された複数の第1のフレームと、それぞれが第1及び第2の支持部材の延長方向と交差する方向に延設されて、前記第1及び第2の支持部材の他方の側において前記第1の支持部材と第2の支持部材とを連結するように配設され、前記第1及び第2の支持部材の延長方向に並べられて隔設された複数の第2のフレームと、を備え、前記第1のフレームと第1のフレームとの間の離隔空間が前記第1の開口であり、前記第2のフレームと第2のフレームとの間の離隔空間が第2の開口である。
【0014】
前記案内装置は、前記案内本体の第1及び第2の支持部材のそれぞれの内側面に前記第1及び第2の支持部材の延長方向に沿って延びるように配設された案内部材を備える。
【0015】
前記案内本体の内部空間に位置して、前記定盤を支持し、前記案内本体の延長方向に沿って昇降可能な移動台車を備える。
【0016】
前記移動台車と連結されて、前記移動台車を昇降させる定盤移動装置を備える。
【0017】
前記移動台車は、上部に前記定盤が載置される台車本体と、前記台車本体の両側面と連結されるように配設され、回転可能な一対の第1のシーブと、前記一対の第1のシーブのそれぞれの一方の側に配設され、回転可能な一対の第2のシーブと、前記台車本体の両側面に取り付けられて、前記案内装置の第1の案内部材及び第2の案内部材に沿って滑走する第1及び第2の滑走部と、を備える。
【0018】
前記定盤移動装置は、前記案内装置の外側の上部に位置し、回転可能な第1のウィンチと、前記移動台車の第1のシーブと前記第1のウィンチとの間を連結するように巻き取られた第1のワイヤーと、回転自在であり、前記第1のウィンチに巻き取られている第1のワイヤーが巻き取られた第1のドラムと、前記第1のドラムと連結されて前記第1のドラムを回転させる第1のモーターと、前記案内装置の外側の下部に位置し、回転可能な第2のウィンチと、前記移動台車の第2のシーブと前記第2のウィンチとの間を連結するように巻き取られた第2のワイヤーと、回転可能であり、前記第2のウィンチに巻き取られている第2のワイヤーが巻き取られた第2のドラムと、前記第2のドラムと連結されて前記第2のドラムを回転させる第2のモーターと、を備える。
【0019】
前記案内本体の第1のフレームの外側方向に位置して、鋳造の終わった鋳片を受け取って搬出する搬出装置と、前記搬出装置と向かい合うように、前記第2のフレームの外側方向には、鋳造が終わって前記案内本体内に位置する鋳片を前記搬出装置が位置する方向に押して前記定盤から分離する分離装置と、を備える。
【0020】
前記第1及び第2の支持部材の延長方向に並べられて隔設された複数の第1のフレームのうち、最下端に位置する第1のフレームが前記搬出装置の上部に比べて上側に位置するようにして、前記案内本体のうち、前記最下端に位置する第1のフレームの下側領域を鋳造の終わった鋳片が前記案内本体から搬出される空間とする。
【0021】
前記搬出装置は、前記定盤から垂直状態で置かれた鋳片を受け取って、水平状態で回転可能である。
【0022】
前記鋳型の外側周縁に配設されて、鋳型内の溶鋼を攪拌する第1の攪拌装置を備える。
【0023】
前記案内装置の外側における前記案内装置の上部周縁に配設されるか、あるいは、前記ガイドロールの内部に配設されて、鋳片の鋳造中又は鋳造の終わった鋳片の未凝固の溶鋼を攪拌する第2の攪拌装置を備える。
【0024】
前記鋳型と前記案内装置との間に移動可能であり、前記鋳型からの鋳片の引抜きが終わった後、前記案内装置内の鋳片のトップ部が前記鋳型と案内装置との間に位置するように上昇させたとき、前記鋳片のトップ部を加熱する加熱装置を備える。
【0025】
本発明による垂直鋳造方法は、定盤を上昇させて、鋳型の下側の開口を閉鎖する過程と、前記鋳型に溶鋼を供給して、前記鋳型において前記溶鋼を冷却させる過程と、前記定盤を地面に対して垂直な方向に下降させて、前記鋳型から鋳片を連続的に引き抜く過程と、前記鋳型を振動させる過程と、を含み、前記鋳片を連続的に引き抜く過程は、前記鋳型の下側において地面に対して垂直な方向に並べられた複数の第1のガイドロールと、前記鋳型の下側において前記複数の第1のガイドロールと向かい合うように位置する第2のガイドロールとの間に前記鋳片を下降させる過程と、前記鋳片が前記複数の第1のガイドロールと複数の第2のガイドロールとの間に鋳片を下降させる間に、鋳造速度に応じて、前記複数の第1のガイドロール及び複数の第2のガイドロールのそれぞれに制動力を印加する過程と、を含む。
【0026】
前記鋳片が前記第1のガイドロールと第2のガイドロールとの間を移動する間に、前記鋳片に冷却水を噴射する。
【0027】
前記定盤を下降させる前に、前記第1のガイドロール及び前記第2のガイドロールのそれぞれを水平移動させて、鋳造しようとする鋳片の厚さに応じて前記第1のガイドロールと前記第2のガイドロールとの間の間隔を調節して、前記第1のガイドロールが前記鋳片の一方の面に接触され、前記第2のガイドロールが前記鋳片の他方の面に接触されるようにする。
【0028】
前記鋳型の下側には、地面に対して垂直な方向に延設され、内部空間を有する案内装置が配設され、前記案内装置の一方の側面及び他方の側面のそれぞれには、前記複数の第1のガイドロール及び第2のガイドロールと対応するように複数の第1の開口及び第2の開口が設けられ、前記鋳型から鋳片を引き抜く前に、前記第1のガイドロールを、前記鋳片の厚さに応じて、前記第1の開口を通過するように水平移動させ、前記第2のガイドロールを、前記鋳片の厚さに応じて、前記第2の開口を通過するように水平移動させる。
【0029】
前記定盤により連続的に引き抜かれる前記鋳片は、前記案内装置の内部を通過するように移動する。
【0030】
前記鋳型の外側周縁に配設された第1の攪拌装置を動作させて、前記鋳型内の溶鋼を攪拌する過程を含む。
【0031】
前記第1のガイドロールの一方の側及び第2のガイドロールの他方の側の位置に配設される第2の攪拌装置を用いて、鋳造中に前記案内装置の内部に移動する鋳片又は鋳造が終わってから凝固中の鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌する過程を含む。
【0032】
前記鋳片の鋳造が終われば、前記鋳型と第1及び第2のガイドロールとの間に加熱装置を移動させ、前記鋳片のトップ部が前記鋳型と第1及び第2のガイドロールとの間に位置するように上昇させて、前記加熱装置を用いて前記鋳片のトップ部を加熱する。
【発明の効果】
【0033】
本発明の実施形態によれば、複数の取鍋を介して連続的に溶鋼を供給して連続的に鋳片を垂直鋳造することができる。すなわち、従来には、単一の取鍋から供給された溶鋼量で1チャージの鋳造のみを行い、鋳造を終えたが、これは、厚肉の鋳片の鋳造の長さが長い場合に移動が不安定であり、これは、操業事故につながる虞があるためである。なお、不安定な鋳片の移動は、一定の鋳速での鋳造を妨げるため、鋳片の品質が低下してしまうという問題があった。しかしながら、本発明においては、鋳型の下側にガイド装置及び案内装置を配設し、ガイドロールに回転力が調節可能なように制動ユニットを連結することにより、従来に比べて長い鋳片が安定的に下降しながら、鋳片の揺動が防がれ、鋳速が安定化するという効果がある。したがって、単一の取鍋ではなく、複数の取鍋から供給された溶鋼で連続的に鋳片を垂直鋳造することができて、鋳片の生産率及び実際の歩留まり率が2倍以上向上するという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は、後述する実施形態に何等限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単に本実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0036】
図2は、本発明の実施形態による垂直型鋳造設備を概念的に示す図であり、
図3及び
図4は、本発明の実施形態による案内装置及びガイド装置を示す立体図であり、
図5は、案内装置の複数のフレームが位置する方向において、ガイド装置のガイドロールが複数のフレームの間の離隔空間に対応して位置する様子を概略的に示す図である。また、
図6は、案内装置の第1及び第2の案内部材が位置する方向において、ガイド装置のガイドロール及びノズルが複数のフレームの間の離隔空間に対応して位置する様子を概略的に示す図であり、
図7は、本発明の実施形態による制動ユニットをブロック化して示す図であり、
図8は、本発明の実施形態による第1及び第2のガイドロールに第1及び第2の水平移動部が連結された様子を示して、その動作を説明する図である。さらに、
図9は、本発明の実施形態による定盤及びこれを支持する移動台車を示す立体図であり、
図10は、本発明の実施形態による移動台車と案内装置との間の締結関係を示す上面図であり、
図11から
図17は、本発明の実施形態による垂直型鋳造設備を用いた垂直鋳造方法を概念的に示す図である。
【0037】
図2を参照すると、本発明の実施形態による垂直型鋳造設備は、取鍋Lから溶鋼を提供されて一時的に貯蔵するタンディッシュT、タンディッシュTから溶鋼を供給されて溶鋼を1次的に凝固させる鋳型M、鋳型Mの外側に位置して鋳型M内の溶鋼を攪拌する第1の攪拌装置2100、鋳型Mの下側に位置して鋳型からの鋳片Sの引抜きを案内又は補助するフットロール3000、上下に移動可能であり、鋳型Mから鋳片Sを引き抜く定盤6000、鋳型M及びフットロール3000の下側から地面に対して垂直な方向に延びるように配設されて、鋳片S及び定盤6000が安定的に下降できるようにする案内装置4000、案内装置4000の延長方向に並べて配置された複数のガイドロール5100a、5100bを有する一対のガイド部5000a、5000bが案内装置4000の両側方向と向かい合うように配設されて、鋳片Sが安定的に下降できるようにし、1次的に凝固された鋳片Sに冷却水を噴射して2次的に凝固させるガイド装置5000を備える。
【0038】
また、垂直型鋳造設備は、案内装置4000の内部において定盤6000を支持するように配設されて、案内装置4000の延長方向に昇降可能な移動台車7000、移動台車7000と連結されて前記移動台車7000に昇降駆動力を与える定盤移動装置8000を備える。さらに、鋳型Mの外側に位置して鋳型Mを振動させる振動発生装置(図示せず)、案内装置4000の一方の側に位置して、鋳造の終わった鋳片Sを押して定盤6000と分離する分離装置9000a、分離装置9000aと向かい合うように案内装置4000の他方の側に位置して、分離装置9000aの動作により移動した鋳片Sを垂直に支持して、水平方向に回転させて外部に搬出する搬出装置9000bを備える。
さらに、垂直型鋳造設備は、案内装置4000又は一対のガイド部5000a、5000bの側方向において上部に配設されて、鋳型Mから引き抜かれた鋳片Sの未凝固の溶鋼又は凝固中の鋳片の未凝固の溶鋼を攪拌する第2の攪拌装置2200、フットロール3000と案内装置4000との間に移動して鋳造の終わった鋳片Sのトップ部(Top area)を加熱する加熱装置2300を備える。
【0039】
本発明の実施形態による垂直型鋳造設備において、取鍋L、タンディッシュT、鋳型M、振動装置(図示せず)、フットロール3000は、通常の鋳造設備と同様であるため、これについての説明は省略するか、または簡略化する。
上述した構成の本発明の実施形態による垂直型鋳造設備は、複数の取鍋を用いて連続的に鋳片を鋳造し、鋳造を終えるものであり、垂直型半連続鋳造設備と命名される。
鋳型Mは、タンディッシュTから供給される液状の溶鋼を冷却させ且つ凝固させ、その断面が矩形である鋳片Sを連続的に鋳造する。このような鋳型Mは、内部空間を有し、上側及び下側が開口された筒状であり、鋳造しようとする鋳片Sの形状と対応する、例えば、その横断面の形状が矩形である。より具体的に、鋳型Mは、一対の短辺及び長辺を有し、内部には断面が矩形である空間を形成する。いうまでもなく、鋳型Mの形状は、製造しようとする鋳片Sの形状に応じて様々な形状及び大きさに変形可能である。
第1の攪拌装置2100は、鋳型Mの外側周縁に配設されて、鋳型M内の溶鋼を攪拌する。本発明の実施形態による第1の攪拌装置2100は、溶鋼に磁場を形成して溶鋼を攪拌する電磁気攪拌手段(Electro magnetic stirrer;EMS)である。このような第1の攪拌装置2100により鋳型M内の溶鋼が攪拌されることにより、鋳型M内の溶鋼の温度の均一化により鋳片Sの初期凝固層を均一にし、鋳片内の等軸晶を増大させて内部の品質を向上させる。
【0040】
いうまでもなく、第1の攪拌装置2100は、上述した電磁気攪拌手段(Electro magnetic stirrer;EMS)に限定されるものではなく、鋳型M内の溶鋼が攪拌可能である限り、様々な手段が適用可能である。
定盤6000は、鋳造前に鋳型Mに嵌入して鋳型の下側の開口を閉鎖し、鋳造を開始してからは、鋳型M内において1次的に凝固された鋳片Sを支持して下降することにより、鋳型Mから鋳片Sを引き抜く。定盤6000は、鋳型Mに溶鋼が流入する前に鋳型Mの内側に一部又は全体が嵌入するようにし、溶鋼が鋳型Mに流入して1次的に凝固され始めれば、次第に下降する。定盤6000が鋳型内に嵌入した状態で定盤の外周面と鋳型の内壁との間の空隙(エアギャップ)を封止(sealing)して、溶鋼が鋳型に流入するとき、定盤と冷却鋳型との間の微細な離隔空間に漏れなくなる。なお、鋳片Sの凝固が終わった後、鋳片の引抜き及び鋳片S及び定盤間の分離が行われ易いように、定盤6000には特定の溝が形成されてもよい。
【0041】
図2から
図6を参照すると、案内装置4000は、鋳型Mの下側から鋳片Sの垂直鋳造方向に延設されて、鋳片S、定盤6000及び移動台車7000が安定的に移動できるようにする。このような案内装置4000は、垂直方向に延設され、鋳型から引き抜かれる鋳片S、定盤6000及び移動台車7000が垂直方向、すなわち、上下方向に移動する内部空間を有する案内本体4100、案内本体4100の上に形成される開口であって、一対のガイド部5000a、5000bと向かい合う案内本体4100の両側方向において、上下の延長方向に並べられて隔設された複数の開口4200a、4200b、案内本体4100の内壁に上下の延長方向に配設されて、移動台車7000の移動を補助する案内部材4300a、4300bを備える。
【0042】
案内本体4100は、鋳片S、定盤6000及び移動台車7000が安定的に上下に移動可能なようにする手段であり、上下方向に延びた内部空間を有し、上側及び下側が開放された構造である。このような案内本体4100は、横断面の大まかな形状が鋳片S又は鋳型Mと対応する形状である。例えば、横断面の形状が長方形である鋳片Sを製造するとしたとき、案内本体4100は、その横断面の形状が長方形である中空状のものであることが好ましい。
以下、案内本体4100の構造についてより具体的に説明する。
図3から
図6を参照すると、案内本体4100は、鋳型M又は鋳片Sの両短辺とそれぞれ対応する位置から上下方向に延設され、互いに向かい合うように配設された第1及び第2の支持部材4100a、4100b、鋳型M又は鋳片Sの両長辺とそれぞれ対応する位置に配設され、それぞれが第1及び第2の支持部材4100a、4100bの延長方向と交差又は直交する方向に延設されて、第1及び第2の支持部材4100a、4100bの延長方向に並べられて隔設された複数の第1のフレーム4100c及び複数の第2のフレーム4100dを備える。ここで、互いに隔設された第1のフレーム4100cと第1のフレーム4100cとの間の離隔空間が、後述する第1のガイド部5000aの第1のガイドロール5100aが通過可能な第1の開口4200aであり、互いに隔設された第2のフレーム4100dと第2のフレーム4100dとの間の離隔空間が、後述する第2のガイド部5000bの第2のガイドロール5100bが通過可能な第2の開口4200bである。すなわち、複数の第1の開口4200aは、鋳型M又は鋳片Sの一方の長辺と対応する位置において上下方向に並べられて隔設され、複数の第2の開口4200bは、他方の長辺と対応する位置において上下方向に並べられて隔設される。
【0043】
このような案内本体4100の両長辺のうちの一方の外側には、搬出装置9000bが配設され、他方の外側には、分離装置9000aが配設される。実施形態による垂直型連続鋳造設備においては、案内本体の第1のフレーム4100cの外側に分離装置が位置し、第2のフレーム4100dの外側に搬出装置9000bが位置する。
実施形態による案内装置4000の第1及び第2の支持部材4100a、4100bのそれぞれの横断面は、「コ」字状である。より具体的に説明すれば、第1の支持部材4100aは、それぞれが上下方向に延設され、鋳型M又は鋳片Sの短辺方向に隔設された一対の第1の支持棒4120a、4110a、それぞれが一対の第1の支持棒4110a、4120aの間を連結するように配設され、前記第1の支持棒4110a、4120aの延長方向に並べられて隔設された複数の第1の連結部材4130aを備える。
ここで、実施形態による一対の第1の支持棒4110a、4120aのそれぞれは、「┐」字状又は「L」字状である。より具体的に、一対の第1の支持棒4110a、4120aのそれぞれは、鋳片Sの短辺方向と対応する方向に延設された第1の部材4111、4121と、鋳片Sの長辺方向と対応する方向に延設された第2の部材4112、4122と、を備え、第1の部材4111、4121及び第2の部材4112、4122は、互いに交差又は直交する状態で連結されている。なお、一対の第1の支持棒4110a、4120aのそれぞれを構成する2つの第1の部材4111、4121は、互いに離間して位置する。
【0044】
第2の支持部材4100bは、上述した第1の支持部材4100aと同じ形状及び構成を有する。第2の支持部材4100bは、それぞれが上下方向に延設され、それぞれが第1の支持部材4100aの一対の第1の支持棒4120a、4110aが向かい合うように配設された一対の第2の支持棒4120b、4110b、それぞれが一対の第2の支持棒4120b、4110bの間を連結するように配設され、前記第2の支持棒4120b、4110bの延長方向に並べられて隔設された複数の第2の連結部材4130bを備える。
ここで、実施形態による一対の第2の支持棒4120b、4110bのそれぞれは、「┐」字状又は「L」字状である。より具体的に、一対の第2の支持棒4120b、4110bのそれぞれは、鋳片Sの短辺方向と対応する方向に延設された第1の部材4111、4121と、鋳片Sの長辺方向と対応する方向に延設された第2の部材4112、4122と、を備え、第1の部材4111、4121及び第2の部材4112、4122は、互いに交差又は直交する状態で連結されている。なお、一対の第1の支持棒4110a、4120aのそれぞれを構成する2つの第1の部材4111、4121は、互いに離間して位置する。
【0045】
一方、鋳片Sの鋳造が終われば、案内装置4000の案内本体4100の一方の外側に位置する分離装置9000aが鋳片Sを案内本体4100の他方の外側方向に押して、搬出装置9000bに載置されるようにする。すなわち、鋳造が終わった鋳片Sは、案内本体4100の他方の方向に搬出されなければならない。このため、搬出装置9000bが位置する案内本体4100の他方の方向に配設された複数の第2のフレーム4100dは、第1及び第2の支持部材4100a、4100bの下部まで並設されず、垂直に立てられた搬出装置の上側の位置まで並設される。このため、案内本体4100上における複数の第2のフレーム4100dのうち、最下端の第2のフレーム4100dの下側領域は、鋳造の終わった鋳片Sが案内装置4000から離脱される空間となる。
案内部材4300a、4300bは、定盤を支持する移動台車7000の上下方向の移動をガイドするように第1及び第2の支持部材4100a、4100bのそれぞれの内側から上下に延設される。すなわち、第1の支持部材4100aの内側には、第1の案内部材4300aが配設され、第2の支持部材4100bの内側には、第2の案内部材4300bが配設される。実施形態による第1及び第2の案内部材4300a、4300bは、レール(rail)状であるが、これに限定されず、移動台車7000の移動がガイド可能である限り、様々な手段が適用可能である。
【0046】
実施形態においては、第1の支持部材4100aを構成する一対の第1の支持棒4110a、4120aに第1の案内部材4300aが配設され、第2の支持部材4100bを構成する一対の第2の支持棒4110b、4120bのそれぞれに第2の案内部材4300bが配設される。より具体的には、一対の第1の支持棒4110a、4120aをそれぞれ構成する第1の部材4111、4121及び第2の部材4112、4122のそれぞれの内側面に第1の案内部材が配設され、一対の第2の支持棒4110b、4120bをそれぞれ構成する第1の部材4111、4121及び第2の部材4112、4122のそれぞれの内側面に第2の案内部材4300bが配設される。
ガイド装置5000は、定盤6000により鋳型から引き抜かれた鋳片Sの外側面を支持するように駆動されて、鋳片Sの下降を補助し、下降する鋳片Sに冷却水を噴射して2次的に冷却させる役割を果たす。
図2から
図6を参照すると、実施形態によるガイド装置5000は、案内装置4000の一方の側に位置する第1のガイド部5000a、第1のガイド部5000aと向かい合うように案内装置の他方の側に位置する第2のガイド部5000bと、を備える。第1及び第2のガイド部5000a、5000bのそれぞれは、下降する鋳片Sの長辺又は案内装置4000の第1及び第2のフレーム4100c、4100dと向かい合うように配設される。すなわち、鋳片Sの一方の長辺又は案内装置4000の第1のフレーム4100cと向かい合う方向に第1のガイド部5000aが位置し、鋳片Sの他方の長辺又は第2のフレーム4100dと向かい合う方向に第2のガイド部5000bが位置する。
【0047】
第1のガイド部5000aは、案内装置4000の第1の開口4200aと向かい合う位置において上下方向に並べられて隔設されて、下降する鋳片Sの一方の長辺を支持する複数の第1のガイドロール5100a、複数の第1のガイドロール5100aとそれぞれ連結されて、第1のガイドロール5100aを回転させ易くし、水平移動又は前後進移動させる第1のロール駆動ユニット5200a、複数の第1のガイドロール5100aとそれぞれ連結されて、第1のガイドロール5100aに制動力を印加することにより、回転力を調節する第1の制動ユニット5300a、複数の第1のガイドロール5100aの間に位置するように上下方向に隔設されて案内装置4000内に下降する鋳片Sに冷却水を噴射する複数の第1のノズル5400a、複数の第1のガイドロール5100a、複数の第1のロール駆動ユニット及び複数の第1のノズル5400aが支持、固定可能なように配設される第1のボディ5500aを備える。
【0048】
第2のガイド部5000bは、案内装置4000の第2の開口4200bと向かい合う位置において上下方向に並べられて隔設されて下降する鋳片Sの他方の長辺を支持する複数の第2のガイドロール5100b、複数の第2のガイドロール5100bとそれぞれ連結されて、第2のガイドロールを回転させ易くし、水平移動又は前後進移動させる複数の第2のロール駆動ユニット5200b、複数の第2のガイドロール5100bとそれぞれ連結されて、第2のガイドロール5100bに制動力を印加することにより、回転力を調節する第2の制動ユニット5300b、複数の第2のガイドロール5100bの間に位置するように上下方向に隔設されて案内装置内に下降する鋳片Sに冷却水を噴射する複数の第2のノズル5400b、複数の第2のガイドロール5100b、複数の第2のロール駆動ユニット5200b及び複数の第2のノズル5400bが支持、固定可能なように配設される第2のボディ5500bを備える。
第1のガイドロール5100aは、鋳型M又は鋳片Sの一方の長辺と対応する方向に延設され、鋳片Sの移動により回転可能である。また、複数の第1のガイドロール5100aのそれぞれは、上下方向に並べられた複数の第1の開口4200aと対応するように位置する。すなわち、複数の第1のガイドロール5100aは、上下方向に並べられた複数の第1のフレーム4100cの間の離隔空間(第1の開口)4200aと対応するように位置する。このような第1のガイドロール5100aは、第1のロール駆動ユニット5200aにより第1の開口4200aを通過するように水平移動又は前後進される。
【0049】
第2のガイドロール5100bは、鋳型M又は鋳片Sの他方の長辺と対応する方向に延設され、回転可能である。複数の第2のガイドロール5100bのそれぞれは、上下方向に並べられた複数の第2の開口4200bと対応するように位置する。換言すれば、複数の第2のガイドロール5100bは、上下方向に並べられた複数の第2のフレーム4100dの間の離隔空間(第2の開口)と対応するように位置する。このような第2のガイドロール5100bは、第2のロール駆動ユニット5200bにより第2の開口を通過するように水平移動又は前後進される。
第1のロール駆動ユニット5200aと第2のロール駆動ユニット5200b、第1の制動ユニット5300aと第2の制動ユニット5300bは、その構成及び構造が同様である。このため、第1のロール駆動ユニット5200a及び第1の制動ユニット5300aの各構成について説明し、第2のロール駆動ユニット5200b及び第2の制動ユニット5300bについての説明は省略するか、または簡略化する。
第1のロール駆動ユニット5200aは、第1のガイドロール5100aの一方の端及び他方の端に連結された一対の第1の支持ブロック5210a、一対の第1の支持ブロック5210aとそれぞれ連結され、水平移動又は前後進駆動力を与える第1の水平移動部5220aを備える。
【0050】
一対の第1の支持ブロック5210aは、第1のガイドロール5100aの一方の端及び他方の端と連結され、その内部には、第1のガイドロール5100aの回転を円滑にする軸受けなどの手段が配設されてもよい。すなわち、一対の第1の支持ブロック5210aのそれぞれの内部には軸受けが配設され、第1のガイドロール5100aの一方の端及び他方の端が第1の支持ブロック5210aの内部に配設された軸受けと連結されるように配設され、第1の支持ブロック5210aは、軸受け及び前記軸受けと連結された第1のガイドロール5100aの一方の端及び他方の端を覆う。
第1及び第2の水平移動部5220a、5220bは、鋳造しようとする鋳片Sの厚さに応じて第1及び第2のガイドロール5100a、5100bを水平移動させて、第1のガイドロール5100aと第2のガイドロール5100bとの間の間隔を調節する。
一対の第1の水平移動部5220aは、一対の第1の支持ブロック5210aとそれぞれ連結されて、前記一対の第1の支持ブロック5210aに水平移動力、すなわち、前後進移動力を与え、第2の水平移動部5220bは、一対の第2の支持ブロック5210bとそれぞれ連結されて、前記一対の第2の支持ブロック5210bに水平移動力、すなわち、前後進移動力を与える。
【0051】
これらの第1の水平移動部5220a及び第2の水平移動部5220bのそれぞれは、
図8に示すように、支持ブロック5210a、5210bと連結されて前後進移動可能な駆動軸5221a、5221b、駆動軸5221a、5221bを前後進移動させる駆動源5222a、5222bを備える。
実施形態による第1及び第2の水平移動部5220a、5220bは、油圧式シリンダーであるが、これに限定されず、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bが前後進移動可能である限り、様々な手段が適用可能である。
一方、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bは、鋳型Mから引き抜かれて下降する鋳片Sの一方の面及び他方の面を支持し、前記鋳片Sが下降する力により回転する。また、鋳造の際に溶鋼が鋳型Mの内壁に付着(sticking)することを避けるために、別途の振動装置を用いて鋳型を振動(oscillation)させる。ところが、このように鋳型Mが振動すれば、鋳型Mから引き抜かれる鋳片Sが上下方向に振動又は揺動してしまい、このとき、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bが鋳片Sを支持しているため、鋳片Sがスリップ(slip)される。鋳片Sの揺動は、鋳片Sの鋳造速度(鋳速)が指定又は設定した速度に制御されず、不安定又は不正確な鋳速で鋳造されてしまう。これは、鋳片Sの表面品質を低下させ、操業事故の要因となる。
このため、本発明においては、鋳片Sの下降する力により回転する第1及び第2のガイドロール5100a、5100bの回転力を制御して、鋳片Sの揺動を防ぐために、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bのそれぞれに第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bを配設する。
【0052】
本発明の実施形態による第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bは、油圧式ディスクブレーキであって、油圧を調節することにより制動力を調節する。第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bの油圧及びこれによる制動力は、鋳造速度及び振動の大きさに応じて適切に調節可能である。
したがって、鋳片Sの鋳造に際して、第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bを動作させて、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bに所定の制動力を加えると、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bの回転力が調節される。このため、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bが定盤6000の下降速度と同期化して回転しない。この理由から、鋳片Sを支持している第1及び第2のガイドロール5100a、5100bは、鋳片Sに揺動が生じるとき、鋳片Sの上下移動を妨げるように鋳片Sに力を加え、その結果、鋳片Sの揺動が防がれる。
第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bのそれぞれは、
図7に示すように、内部空間を有する筐体5310、ガイドロール5100a、5100bと連結されて、ガイドロール5100a、5100bにつれて回転するディスク5320、ディスク5320の一方の側面及び他方の側面のそれぞれに隔設された第1及び第2のパッド5330a、5330b、筐体5310内に配設され、第1及び第2のパッド5330a、5330bのそれぞれの後方に連結されて前後進移動可能な第1及び第2のピストン5400a、5400b、筐体5310と連結されて、筐体5310の内部に油圧オイルを供給する供給管5500を備える。ここで、第1及び第2のパッド5330a、5330bのそれぞれの前方及び第1及び第2のピストン5400a、5400bの前方は、ディスク5320が位置する方向であり、後方は、その反対の方向を意味する。供給管5500は、第1及び第2のピストン5400a、5400bのそれぞれの後方にオイルを供給するように胴体に連結される。
【0053】
これらの第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bによれば、供給管5500からオイルが胴体内に供給されれば、第1及び第2のピストン5400a、5400bがディスクに向かって前進し、このため、第1及び第2のパッド5330a、5330bがディスクに接触されるように移動する。このとき、回転するディスクの一方の側面及び他方の側面のそれぞれに第1及び第2のパッド5330a、5330bが接触されれば、摩擦力によりディスクに制動力が印加され、これにより、ディスクと連結されたガイドロール5100a、5100bに制動力が印加される。
以上、実施形態による第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bが油圧式ディスクブレーキタイプであることについて説明したが、これに限定されず、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bの回転に制動力を印加して、回転が制御可能である限り、様々な手段が適用可能である。
定盤移動装置8000は、定盤6000を上昇又は下降させる手段であり、実施形態による定盤移動装置8000は、ワイヤー又はワイヤーロープ(wire rope)を用いた駆動手段である。実施形態による定盤移動装置8000は、案内装置4000の上部に位置する第1の駆動ユニット8000a、案内装置4000の下部に位置する第2の駆動ユニット8000b、移動台車7000に配設された第1のシーブ7200と第1の駆動ユニット8000aとの間を連結するように巻き取られた第1のワイヤーW1、第2のシーブ7300と第2の駆動ユニット8000bとの間を連結するように巻き取られた第2のワイヤーW2を備える。
【0054】
第1の駆動ユニット8000aは、それぞれが案内装置の上部の外側において向かい合うように配設され、回転可能であり、第1のワイヤーW1が巻き取られた一対の第1のウィンチ8100a、第1のワイヤーW1が巻き取られ、回転可能な第1のドラム8300a、第1のドラム8300aと連結されて回転力を与える第1のモーター8400aを備える。また、第1の駆動ユニット8000aは、第1のウィンチ8100aと第1のドラム8300aとの間に位置して、第1のワイヤーW1が巻き取られ、回転可能であり、方向を切り換える役割を果たす第1の方向調節部8200aを備える。ここで、一対の第1のウィンチ8100aは、案内本体4100の第1の支持部材4100aの外側及び第2の支持部材4100bの外側において前記第1及び第2の支持部材4100a、4100bと向かい合うように配設されてもよい。
第2の駆動ユニット8000bは、それぞれが案内装置の下部の外側において向かい合うように配設され、回転可能であり、第1のワイヤーW1が巻き取られた一対の第2のウィンチ8100b、第2のワイヤーW2が巻き取られ、回転可能な第2のドラム8300b、第2のドラム8300bと連結されて回転力を与える第2のモーター8400bを備える。また、第2の駆動ユニット8000bは、第2のウィンチ8100bと第2のドラム8300bとの間に位置して、第2のワイヤーW2が巻き取られ、回転可能であり、方向を切り換える役割を果たす第1の方向調節部8200aを備える。ここで、一対の第2のウィンチ8100bは、案内装置4000の案内本体4100の第1の支持部材4100aの外側及び第2の支持部材4100bの外側において前記第1及び第2の支持部材4100a、4100bと向かい合うように配設されてもよい。
【0055】
第1の駆動ユニット8000aは、第1のワイヤーW1を巻き戻したり繰り出したりして、 移動台車7000を上昇又は下降させる役割を果たし、第2の駆動ユニット8000bは、移動台車の上昇又は下降動作に応じて第2のワイヤーW2がテンション又は張力を有するようにして、定盤6000及び移動台車7000が安定的に移動できるようにする。
本発明の実施形態においては、第1及び第2の駆動ユニット8000a、8000bにウィンチを配備してワイヤーW1、W2を巻き戻したり繰り出したりする方式で定盤6000を移動させる手段を例にとって説明した。しかしながら、第1及び第2の駆動ユニット8000a、8000bは、これに限定されず、定盤6000が移動可能である限り、様々な手段、例えば、油圧シリンダーなどが適用可能である。
以上、ガイド装置5000が2つのガイド部5000a、500bを備えることについて説明したが、これに限定されず、様々な鋳造条件及び設備構成に応じて追加のガイド部を更に備えていてもよい。
【0056】
移動台車7000は、定盤6000を支持し、案内装置4000の内側に配設されて、後述する定盤移動装置8000により案内装置4000の延長方向に沿って昇降する。
移動台車7000は、
図2、
図9及び
図10に示すように、定盤6000を支持する台車本体7100、案内装置4000の第1及び第2の支持部材4100a、4100bを向かい合う方向、すなわち、台車本体7100の両側面のそれぞれから隔設され、回転可能であり、第1のワイヤーW1が巻き取られる一対の第1のシーブ(sheave)7200、一対の第1のシーブ7200の両外側に隔設され、回転可能であり、第2のワイヤーW2が巻き取られる一対の第2のシーブ(sheave)7300、移動台車7000の外側面のうち、第1及び第2の支持部材4100a、4100bと向かい合う両側面に配設されて、第1及び第2の案内部材4300a、4300bに乗って滑走可能な滑走部7400a、7400bを備える。ここで、第1及び第2のシーブ7200、7300は、移動案内本体4100と連結されるように固設されて、台車本体7100の昇降につれて移動する。
【0057】
台車本体7100は、案内装置4000の横断面の形状と対応する形状を有することが好ましく、例えば、矩形状であってもよい。台車本体7100は、案内装置4000の案内本体4100の内側に設けられた案内部材4300a、4300bに沿って昇降する。このために、移動台車7000の外側面のうち、第1及び第2の支持部材4100a、4100bと向かい合う外側面に第1及び第2の案内部材4300a、4300bに乗って滑走可能な第1及び第2の滑走部7400a、7400bが配設される。
すなわち、案内装置4000の案内本体4100の第1の支持部材4100a及び第2の支持部材4100bと向かい合う移動台車7000の一方の側面及び他方の側面のそれぞれにおいて、第1の案内部材4300a及び第2の案内部材4300bと対応する位置に第1及び第2の滑走部7400a、7400bが配設される。例えば、移動台車が矩形状であるとしたとき、
図9に示すように、一方の側面及び他方の側面のそれぞれにおける4隅の位置に配設される。
【0058】
また、移動台車7000に配設された第1及び第2の滑走部7400a、7400bは、第1及び第2の案内部材4300a、4300bのそれぞれを滑走するように配設される。すなわち、移動台車7000の一方の側面に、第1の支持部材4100aに配設された第1の案内部材4300aに沿って滑走するように複数の第1の滑走部7400aが配設される。さらに、移動台車7000の他方の側面に、第2の支持部材4100bに配設された第2の案内部材4300bに沿って滑走するように複数の第2の滑走部7400bが配設される。換言すれば、移動台車7000の一方の側面及び他方の側面のそれぞれにおける4隅に第1及び2滑走部7400a、7400bが配設される。
第1及び第2の滑走部7400a、7400bのそれぞれは、第1の滑走部材7411及び第2の滑走部材7412を備えるが、第1の滑走部材7411が第2の滑走部材7412に比べて隅に更に近くなるように配設されて、第1の滑走部材7411は、第1及び第2の支持部材4100a、4100bのそれぞれを構成する第2の部材4112、4122に配設された第1及び第2の案内部材4300a、4300bに乗って滑走し、第2の滑走部材7412は、第1及び第2の支持部材4100a、4100bのそれぞれを構成する第1の部材4111、4121に配設された第1及び第2の案内部材4300a、4300bに乗って滑走する。
【0059】
実施形態による第1及び第2の滑走部材7411、7412はボール(ball)状であるが、案内部材に乗って滑走可能である限り、様々な手段が適用可能である。
加熱装置2300は、鋳片Sを搬出する前に、鋳片Sのトップ部を加熱して、鋳片Sのトップ部からの先凝固を防ぐことにより、鋳片Sのトップ部のパイプの欠陥の発生を低減する。このような加熱装置2300は、鋳片Sが通過可能な開口を有する中空状の加熱胴体2310、加熱胴体2310の内部に配設された発熱体2320を備える。実施形態による加熱装置2300は、誘導加熱装置(EMH:Electro Magnetic Heater)であり、発熱体は、誘導加熱コイルであってもよい。
搬出装置9000bは、定盤6000から垂直状態で置かれた鋳片Sを受け取って、水平状態で回転可能である。このような搬出装置9000bは、定盤6000から分離された垂直状態の鋳片Sの下部を支持及び載置する第1の載置部9100、第1の載置部9100と交差する方向に延設されて前記第1の載置部9100と連結されて鋳片Sの側面と向かい合う第2の載置部9200、第2の載置部9200の延長方向に並べられ、回転可能な複数の搬出ローラー9300、第1の載置部9100と第2の載置部9200との間を連結するように配設されて搬出装置9000bを回転又はチルトさせる回転駆動部9400を備える。
【0060】
分離装置9000aは、搬出装置9000bと向かい合うように案内装置4000の外側に位置して、鋳造の終わった鋳片Sを搬出装置9000bに向かって押すことにより、定盤600から鋳片Sを分離する。このような分離装置9000aは複数設けられて、地面に対して垂直方向又は上下方向に隔設されてもよい。実施形態による分離装置9000aは油圧シリンダーであるが、これに限定されず、鋳片Sを搬出装置9000bが位置する方向に押して定盤6000から鋳片Sが分離可能である限り、様々な手段が適用可能である。
【0061】
以下、
図11から
図17に基づいて、本発明の実施形態による半連続鋳造設備を用いた垂直鋳造方法について説明する。
まず、定盤移動装置8000を用いて移動台車7000を上昇させて、
図11に示すように、定盤6000が鋳型Mの下側に嵌入するようにして、鋳型Mの下側を閉鎖する。すなわち、第1のウィンチ8100aを回転させて第1のワイヤーW1を引っ張ると、移動台車7000及び定盤6000が上昇するが、定盤6000が鋳型の下側の開口を閉鎖するように移動させる。また、ガイド装置5000の第1及び第2の水平移動部5220a、5220bを動作させて、鋳造しようとする鋳片Sの厚さに応じて第1及び第2のガイドロール5100a、5100bのそれぞれを前進又は後進させて、第1のガイドロール5100aと第2のガイドロール5100bとの間の離隔距離を調節する。
また、溶鋼が収容された取鍋LをタンディッシュTの上側に移動させ、取鍋Lの溶鋼をタンディッシュに出鋼する。
【0062】
タンディッシュTの溶鋼がノズルを介して鋳型Mに供給されれば、溶鋼は、鋳型Mの内部において1次的に凝固されるが、定盤6000の上部において凝固され始める。このように、鋳型Mに溶鋼を供給する間に、鋳型Mの外側に位置する第1の攪拌装置2100を動作させて鋳型M内の溶鋼を攪拌し、溶鋼が鋳型Mの内壁に付着(sticking)することを避けるために、別途の振動装置を用いて鋳型を振動(oscillation)させる。
更に、定盤移動装置8000を用いて移動台車7000及び定盤6000を下降させれば、
図12に示すように、1次的に凝固された鋳片Sが鋳型Mから引き抜かれる。引き続き、鋳型Mに溶鋼を注入しながら、定盤6000を下降させれは、所定の長さの鋳片Sが鋳造される(
図13参照)。本発明においては、1チャージの鋳造操業が溶鋼を複数の取鍋Lを介して連続的に供給して連続鋳造する。換言すれば、従来には、単一の取鍋Lから供給された溶鋼の量に見合う分だけ鋳片Sを鋳造したが、本発明においては、2以上の取鍋Lから連続的に供給された溶鋼の量に見合う分だけ鋳片Sを連続鋳造する。
【0063】
一方、鋳造されて鋳型Mから引き抜かれた鋳片Sは、
図12から
図14に示すように、案内装置4000の内部を通過するように下降する。このとき、鋳片Sの側面がガイド装置5000の第1及び第2のガイドロール5100a、5100bにより支持された状態で下降し、鋳片Sが移動する力により第1及び第2のガイドロール5100a、5100bが回転し、複数の第1及び第2のノズル5400a、5400bから噴射される冷却水により鋳片Sが2次的に冷却される。なお、第1及び第2のガイド部5000a、5000bのそれぞれの外側に配設された第2の攪拌装置2200を動作させて、鋳片Sのトップ部の未凝固の溶鋼を攪拌することにより、パイプの欠陥の発生を極力抑える。
鋳型Mが振動すれば、鋳型Mから引き抜かれる鋳片Sが上下方向に揺動してしまう。本発明においては、鋳片Sの揺動を防ぐために、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bのそれぞれに制動ユニット5300a、5300bを配設して、鋳片Sの揺動を防ぐ。すなわち、鋳片Sの鋳造に際して、第1及び第2の制動ユニット5300a、5300bを動作させて、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bに所定の制動力を加え、これにより、第1及び第2のガイドロール5100a、5100bの回転力が調節される。したがって、鋳片Sを支持している第1及び第2のガイドロール5100a、5100bは、鋳片Sに揺動が生じるとき、鋳片Sの上下移動を妨げるように鋳片Sに力を加え、その結果、鋳片Sの揺動が防がれる。なお、鋳片S、定盤6000及び移動台車7000が案内装置4000の内部を通過するように下降し、第2のウィンチ8100bが定盤の下側において第2のワイヤーをテンションがかかるように支持しているため、安定的に下降可能である。
【0064】
複数の取鍋Lを介して溶鋼を供給する連続鋳造により目的とする長さの鋳片Sが鋳造されれば、
図15に示すように、案内装置4000の上側に加熱装置を位置付ける。また、定盤及び移動台車を所定の距離だけ上昇させて、鋳片Sのトップ部が加熱装置の開口に嵌入するようにする。次いで、加熱装置2300を動作させれば、鋳片Sのトップ部が加熱され、その結果、鋳片Sのトップ部のパイプの欠陥の長さを最小化することができる。
鋳片Sのトップ部の加熱まで終われば、
図16に示すように、鋳片Sの搬出位置まで下降させる。すなわち、鋳片Sのトップ部が複数の第1のフレーム4100cのうち最下端の第1のフレーム4100cの下側に位置するようにする。次いで、分離装置9000aを動作させて鋳片Sを押せば、鋳片Sが垂直に立てられている搬出装置9000bに移動する。また、
図17に示すように、搬出装置9000bをチルトさせて鋳片Sが水平方向になるようにし、これを搬出する。
【0065】
このように、本発明の実施形態によれば、400〜1000mmの厚肉の鋳片を、複数の取鍋Lを介して連続的に溶鋼を供給して連続的に鋳片を垂直鋳造することができる。すなわち、非常に厚肉の極大断面の鋳片の鋳造は、凝固特性及び品質の問題により垂直半連続鋳造機により単一の取鍋Lから供給された溶鋼の量で1チャージの鋳造のみを行い、鋳造を終えていた。しかしながら、本発明においては、鋳型Mの下側にガイド装置5000及び案内装置4000を配設し、ガイドロール5100a、5100bに回転力が調節可能なように制動ユニット5300a、5300bを連結することにより、従来に比べて長い鋳片が安定的に下降しながら、鋳片Sの揺動が防がれ、鋳速が安定化するという効果がある。したがって、単一の取鍋ではなく、複数の取鍋Lから供給された溶鋼で連続的に鋳片を垂直鋳造することができて、鋳片の生産率及び実際の歩留まり率が2倍以上向上するという効果がある。