特許第6736675号(P6736675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6736675リーク低減のためのSRAMアーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6736675
(24)【登録日】2020年7月17日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】リーク低減のためのSRAMアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/412 20060101AFI20200728BHJP
   G11C 11/417 20060101ALI20200728BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20200728BHJP
   H02M 3/07 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   G11C11/412 120
   G11C11/417 100
   G11C5/14 400
   H02M3/07
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-533997(P2018-533997)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公表番号】特表2018-527692(P2018-527692A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2015071372
(87)【国際公開番号】WO2017045720
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】518093307
【氏名又は名称】セネルジク、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】XENERGIC AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ババク、モハンマディ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム、ネベス、ロドリゲス
【審査官】 堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−362695(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/001722(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0269091(US,A1)
【文献】 特開2013−70462(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/025208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/412
G11C 11/417
G11C 5/14
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源(VDD)に接続されたメモリであって、
行および列を有する行列状に配置された複数のメモリセルと、
各ワード線WLが前記複数のメモリセルの行を含む複数のワード線と、
各ビット線対が前記複数のメモリセルの列を含む複数のビット線対と、
前記複数のメモリセルの列と、
前記ビット線対の前記メモリセルの読出しのために配置された読出しビット線RBLと、
前記ビット線対の前記メモリセルへの書込みのために配置された書込みビット線WBLと、を備え、
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセル(100)を含む各メモリセルが、
2つクロスカップリングインバータ(I1、I2)と、
前記メモリセルを含む前記WBLから前記SRAMビットセルへデータを供給するように配置された単一の書込みアクセストランジスタであって、書込みワード線WWL信号を使用して活性化されるように配置された単一の書込みアクセストランジスタ(M1)と、
前記SRAMビットセルからデータを送るように配置された第1の読出しアクセストランジスタ(M2)および第2の読出しアクセストランジスタ(M3)と、を含み、前記第2の読出しアクセストランジスタ(M3)は、読出しワード線RWL信号を使用して活性化されるように配置され、前記第1の読出しアクセストランジスタ(M2)は、前記2つのクロスカップリングインバータによって記憶されたデータを移すように配置され、
前記ビットセルは、前記メモリセルの読出し動作中、前記第1の読出しアクセストランジスタ(M2)をグランドに接続し、そうでない場合、前記第1の読出しアクセストランジスタ(M2)を前記第1の電源に接続するように配置されたインバータ(テールバッファ)に接続され、
前記複数のワード線の各WLは、第1および第2のデコーダ(400、500、600、700)に接続され、
前記第1のデコーダは、読出しアドレスを復号するように、また前記RWL信号を出力し、WLを選択し、前記選択されたWLの前記メモリセル内に含まれる前記SRAMビットセルのデータを読み出し、それにより、前記選択されたWLは、読み出されたデータを前記選択されたWLの前記メモリセルの前記第2の読出しアクセストランジスタに供給することになるように配置され、
前記第2のデコーダは、書込みアドレスを復号するように、また前記WWL信号を出力し、WLを選択し、前記選択されたWLの前記メモリセル内に含まれる前記SRAMビットセルにデータを書き込み、それにより、前記選択されたWLは、前記選択されたWLの前記メモリセルの前記書込みアクセストランジスタにデータが供給されることになるように配置され
前記単一の書込みアクセストランジスタ(M1)の電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するための第1のブースト回路(800、900)、および/または前記第2の読出しアクセストランジスタ(M3)の電圧レベルを前記第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するための第2のブースト回路(800、900)をさらに備え、および/または前記メモリの前記WBLのそれぞれは、前記WBLの電圧レベルを前記第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するように配置されたさらなるブースト回路(800、900)に結合され、
前記第1のブースト回路、第2のブースト回路、および複数の他のブースト回路のうちの少なくとも1つは、
少なくとも1つの第1および第2のチャージポンプユニットを含み、各チャージポンプユニットは、4つのクロスカップリングトランジスタおよび2つのキャパシタを含み、各チャージポンプユニットは、前記電源によって給電され、各チャージポンプユニットは、第1の電圧を受け取るための入力と、前記第1の電圧より高い第2の電圧を供給するための出力とをさらに含み、各チャージポンプユニットは、前記2つのキャパシタを介して、クロック信号と、前記クロック信号の180度位相シフトバージョンを受け取るために配置され、前記第2のチャージポンプの前記入力は、前記クロック信号によって制御されるインバータを通じて前記第1のチャージポンプの前記出力に接続されるメモリ。
【請求項2】
前記2つのクロスカップリングインバータは、サイズが非対称である、請求項1に記載のメモリ。
【請求項3】
前記第1および第2のデコーダは、複数のトランジスタ(402、502、602、702)を含み、
各トランジスタは、前記トランジスタを活性化および非活性化するように配置された選択信号(404、504)に接続され、
前記複数のトランジスタは、ツリー構造で配置され、前記ツリー構造の各ブランチは、単一のトランジスタを含み、前記ツリー構造は、少なくとも2つのルート・ブランチを含み、ルート・ブランチでない前記ツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有し、前記ツリー構造の各リーフ・ブランチは、前記WLを選択して前記メモリからデータを読み出すまたは書き込むためにRWL信号またはWWL信号を提供するように配置され、
前記読出しアドレスまたは前記書込みアドレスは、ルート・ブランチとリーフ・ブランチとの間の経路に沿って前記複数のトランジスタの中のトランジスタを活性化するための選択信号を提供し、それぞれ前記読出しアドレスまたは前記書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するために使用される、請求項1または2に記載のメモリ。
【請求項4】
前記ツリー構造は、n個のレベルを有し、前記ツリー構造で配置された前記複数のトランジスタは、PMOSトランジスタであり、リーフ・ブランチ内に含まれる各PMOSトランジスタは、グランドに接続されたn個の並列配置されたNMOSトランジスタに接続され、前記読出しアドレスまたは前記書込みアドレスは、前記正しいWLを表さない前記ツリー構造の前記リーフ・ブランチにある少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、前記リーフ・ブランチに存在する電圧を前記グランドに放電するように、前記n個のNMOSトランジスタに前記選択信号を提供するために使用される、請求項3に記載のメモリ。
【請求項5】
ツリー構造で配置された前記複数トランジスタは、PMOSトランジスタであり、前記複数のPMOSトランジスタのそれぞれは、グランドに接続されたNMOSトランジスタに接続され、前記読出しアドレスまたは前記書込みアドレスは、前記正しいWLを表さない、PMOSトランジスタから前記ツリー構造の前記リーフ・ブランチまでの経路に沿った少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、前記リーフ・ブランチに存在する電圧を前記グランドに放電するように、前記NMOSトランジスタに選択信号を提供するために使用される、請求項3に記載のメモリ。
【請求項6】
前記ツリー構造は、ちょうど2つのルート・ブランチを有し、リーフ・ブランチでない前記ツリー構造内の各ブランチは、2つの子ブランチを有し、前記読出しアドレスまたは書込みアドレス内の第1のビットは、前記2つのルート・ブランチの1つを活性化するために使用され、前記読出しアドレスまたは書込みアドレス内の各後続のビットは、前記読出しアドレスまたは書込みアドレス内の先行するビットによってそのトランジスタが活性化された前記親ブランチの前記2つの子ブランチのうちの1つの前記トランジスタを活性化するために使用されている、請求項3から5のいずれかに記載のメモリ。
【請求項7】
前記ツリー構造は、n≧2個のレベルを有し、前記ツリー構造は、2つより多いルート・ブランチを含み、リーフ・ブランチでない前記ツリー構造内の各ブランチは、2つより多い子ブランチを含み、
前記ツリー構造における前記n個のレベルの各レベルの前記選択信号は、前記読出しアドレスまたは書込みアドレスの専用ビットを受け取るさらなるデコーダによって制御され、前記ツリー構造における前記個のレベルの各レベルの前記選択信号を制御する前記さらなるデコーダは、前記第1または第2のデコーダとは異なる、請求項3から5のいずれかに記載のメモリ。
【請求項8】
前記さらなるデコーダは、請求項3から6のいずれかに記載のデコーダである、請求項7に記載のメモリ。
【請求項9】
前記第1の電源は、前記メモリの単一の電源である、請求項1からのいずれかに記載のメモリ。
【請求項10】
前記単一の書込みアクセストランジスタ、
前記第2の読出しアクセストランジスタ、
前記メモリの前記書込みビット線のそれぞれ、および
前記メモリの前記読出しビット線のそれぞれ
のうちの少なくとも1つが、前記第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に結合される、請求項1からのいずれかに記載のメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子ハードウェア・メモリの分野に関し、詳細には、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセルを含むメモリセルに関する。
【背景技術】
【0002】
低電圧動作におけるSRAMの性能および信頼性は、技術社会にとって課題を提示する。低電圧SRAMの技術的課題は、主に、電源のスケーリング時に性能が劣化するアナログ・センス増幅器による。さらに、既存の低電圧SRAM解決策は、ビットセル内の8つのトランジスタ、より高い設計および製作コストを必要とするので、より高い面積コストを伴う。
【0003】
モノのインターネット(IoT)分野内での新しいデバイスおよびアプリケーションの最近の立ち上がりに伴って、超低電圧設計に対する需要が増大している。大部分のIoTデバイスは、バッテリを節約するために低電圧メモリから、また生産および面積コストが低減されたメモリから受益することになる。国際半導体技術ロードマップ(ITRSロードマップ)は、現在の6T SRAM構造の革命的な置換えが研究されるべき課題であると述べている。
【0004】
したがって、高歩留まり、低電圧SRAMが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明の目的は、上記で論じた欠点の1つまたはいくつかを解決する、または少なくとも低減することである。一般に、上記の目的は、添付の独立特許請求項によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、第1の電源に接続されたメモリによって実現され、このメモリは、
行および列を有する行列状に配置された複数のメモリセルと、
各ワード線WLが複数のメモリセルの行を含む複数のワード線と、
各ビット線対が複数のメモリセルの列を含む複数のビット線対と、
複数のメモリセルの列と、
ビット線対のメモリセルの読出しのために配置された読出しビット線RBLと、
ビット線対のメモリセルへの書込みのために配置された書込みビット線WBLと、を備え、
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセルを含む各メモリセルが、
2つのクロスカップリングインバータと、
メモリセルを含むWBLからSRAMビットセルへデータを供給するように配置された単一の書込みアクセストランジスタであって、書込みワード線WWL信号を使用して活性化されるように配置された単一の書込みアクセストランジスタと、
SRAMビットセルからデータを送るように配置された第1の読出しアクセストランジスタおよび第2の読出しアクセストランジスタと、を含み、第2の読出しアクセストランジスタは、読出しワード線RWL信号を使用して活性化されるように配置され、第1の読出しアクセストランジスタは、2つのクロスカップリングインバータによって記憶されたデータを移すように配置され、
SRAMビットセルは、メモリセルの読出し動作中、第1の読出しアクセストランジスタをグランドに接続し、そうでない場合、第1の読出しアクセストランジスタを第1の電源に接続するように配置されたインバータに接続される。
【0007】
ビットセルが読出し動作に含まれないとき第1の読出しアクセストランジスタを第1の電源(VDD)に接続するインバータ(テールバッファ)を使用して、SRAMビットセル内の読出しトランジスタに仮想グランドを提供することによって、ビットセル・リークが実質的に低減されることになる。さらに、各ビットセルについて単一の書込みアクセストランジスタ、すなわち単一のWBLだけを使用することによって、ビットセルの面積およびエネルギーコストが実質的に低減され得る。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、2つのクロスカップリングインバータは、サイズが非対称である。この非対称設計は、単一の書込みアクセストランジスタを通じて、低い駆動強度で書込み動作を容易にする。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、複数のワード線の各WLは、第1および第2のデコーダに接続され、
第1のデコーダは、読出しアドレスを復号するように、またRWL信号を出力し、WLを選択し、WLのメモリセル内に含まれるSRAMビットセルのデータを読み出し、それにより、選択されたWLは、読み出されたデータを選択されたWLのメモリセルのデータ読出しアクセストランジスタに供給することになるように配置され、
第2のデコーダは、書込みアドレスを復号するように、またWWL信号を出力し、WLを選択し、選択されたWLのメモリセル内に含まれるSRAMビットセルにデータを書き込み、それにより、選択されたWLは、選択されたWLのメモリセルの書込みアクセストランジスタにデータが供給されることになるように配置される。
【0010】
これらのデコーダは、従来技術による任意のデコーダであってよいが、これらのデコーダを通じたリーク電流を減らすために、第1および第2のデコーダは、複数のトランジスタを含んでもよく、
各トランジスタは、そのトランジスタを活性化および非活性化するように配置された選択信号に接続され、
複数のトランジスタは、ツリー構造で配置され、ツリー構造の各ブランチは、単一のトランジスタを含み、ツリー構造は、少なくとも2つのルート・ブランチを含み、ルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有し、ツリー構造の各リーフ・ブランチは、WLを選択してメモリからデータを読み出すまたは書き込むためにRWL信号またはWWL信号を提供するように配置され、読出しアドレスまたは書込みアドレスは、ルート・ブランチとリーフ・ブランチとの間の経路に沿って複数のトランジスタの中のトランジスタを活性化するための選択信号を提供し、それぞれ読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するために使用される。
【0011】
従来のデコーダをしのぐ2つの特性が観察され、すなわち、デコーダの容量性負荷が実質的に低減され、リーク経路の数は、大幅に減少し、例えば、デコーダのアドレスロジック内のリークを、デコーダのアドレス空間に応じて最大200分の1に低減する。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造は、n個のレベルを有し、ツリー構造で配置された複数のトランジスタは、PMOSトランジスタであり、リーフ・ブランチ内に含まれる各PMOSトランジスタは、グランドに接続されたn個の並列配置されたNMOSトランジスタに接続され、読出しアドレスまたは書込みアドレスは、正しいWL(または目標WL)を表さないツリー構造のリーフ・ブランチにある少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、リーフ・ブランチに存在する電圧をグランドに放電するように、n個のNMOSトランジスタに選択信号を提供するために使用される。
【0013】
この実施形態は、トランジスタ内の残りの電荷またはリークにより存在する電圧がNMOSトランジスタによって放電されることになるので、読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するセキュリティ・レイヤをさらに追加する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造で配置された複数のトランジスタは、PMOSトランジスタであり、複数のPMOSトランジスタのそれぞれは、グランドに接続されたNMOSトランジスタに接続され、読出しアドレスまたは書込みアドレスは、正しいWLを表さない、PMOSトランジスタからツリー構造のリーフ・ブランチまでの経路に沿った少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、リーフ・ブランチに存在する電圧をグランドに放電するように、NMOSトランジスタに選択信号を提供するために使用される。
【0015】
この実施形態は、トランジスタ内の残りの電圧またはリークにより存在する電圧がNMOSトランジスタによって放電されることになるので、読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するセキュリティ・レイヤをさらに追加する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造は、ちょうど2つのルート・ブランチを有し、リーフ・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、2つの子ブランチを有し、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の第1のビットは、2つのルート・ブランチの1つを活性化するために使用され、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の各後続のビットは、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の先行するビットによってそのトランジスタが活性化された親ブランチの2つの子ブランチのうちの1つのトランジスタを活性化するために使用されている。
【0017】
このバイナリツリー構造は、デコーダのツリー構造の各レベルにて左または右のブランチでトランジスタを活性化するために読出しアドレスまたは書込みアドレスのビットが直接使用され得るので、1段デコーダを容易にする。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造は、n≧2個のレベルを有し、ツリー構造は、2つより多いルート・ブランチを含み、リーフ・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、2つより多い子ブランチを含み、
ツリー構造におけるn個のレベルの各レベルの選択信号は、読出しアドレスまたは書込みアドレスの専用ビットを受け取るさらなるデコーダによって制御され、ツリー構造におけるn個のレベルの各レベルの選択信号を制御するさらなるデコーダは、第1または第2のデコーダとは異なる。
【0019】
2段デコーダを使用することは、ツリー構造のレベルの数を低く保ちながら、デコーダのより大きなアドレス空間を容易にする。換言すれば、選択信号をプリデコードすることは、ツリーデコーダ内でのトランジスタの積み重ねを、例えば3レベルに制限し、これにより、ツリーデコーダの選択されたトランジスタ・ブランチ、すなわちデコーダを通る選択された経路におけるオン抵抗が低くなる。これは、より高いレベルの入力電圧がデコーダを通って伝達されるので、ワード選択信号RWL/WWLにおける電圧降下を低減することになる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、さらなるデコーダは、上述のようなデコーダである。これは、読出し/書込みアドレスをプリデコードすることが、上記のツリー構造を実装するデコーダによって行われ、ルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有することを意味する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、単一の書込みアクセストランジスタの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するために、第1のブースト回路が使用される。このブーストは、例えば書込みアドレスを復号するデコーダの入力電圧をブーストし、WWL信号の電圧が増大することによって実施され得る。これは、ビットセルからの単一のWBLでの書込み動作を容易にする。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、第2の読出しアクセストランジスタの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するために、第2のブースト回路が使用される。これは、読出し動作の速度を増大し得る。このブーストは、例えば読出しアドレスを復号するデコーダの入力電圧をブーストし、RWL信号の電圧が増大することによって実施され得る。
【0023】
何らかの実施形態によれば、メモリのWBLのそれぞれは、WBLの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するように配置されたさらなるブースト回路に結合される。これは、ビットセルからの単一のWBLでの書込み動作を容易にする。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、さらなるブースト回路は、ビットセルに1を書き込むときWBLの電圧レベルをブーストしているだけである。0を書き込むとき、WBLにおける電圧レベルは0である。
【0025】
何らかの実施形態によれば、メモリのRBLのそれぞれは、RBLの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するように配置されたさらなるブースト回路に結合される。これは、メモリの読出し速度を増大する。
【0026】
何らかの実施形態によれば、第1のブースト回路、第2のブースト回路、および複数の他のブースト回路のうちの少なくとも1つは、少なくとも第1および第2のチャージポンプユニットを含み、各チャージポンプユニットは、4つのクロスカップリングトランジスタおよび2つのキャパシタを含み、各チャージポンプユニットは、電源によって給電され、各チャージポンプユニットは、第1の電圧を受け取るための入力と、第1の電圧より高い第2の電圧を供給するための出力とをさらに含み、各チャージポンプは、2つのキャパシタを介して、クロック信号と、クロック信号の180度位相シフトバージョンを受け取るために配置され、第2のチャージポンプの入力は、クロック信号によって制御されるインバータを通じて第1のチャージポンプの出力に接続される。
【0027】
180度位相シフトされたクロック信号は、反転されたクロック信号と同じである。
【0028】
位相シフトは、インバータを使用することによって達成され得る。
【0029】
ブースト回路のこの設計は、単一のクロックサイクルで第1の電圧を第2の電圧にブーストするのを容易にする。
【0030】
何らかの実施形態によれば、第1の電源は、メモリの単一の電源である。単一の電源を使用し、必要とされるとき電圧をブーストするためにブースト回路を使用することによって、メモリの簡素化されたアーキテクチャが達成され得る。さらに、低い、例えば300mVである単一の電源を使用することは、メモリの低電圧動作を容易にし得る。
【0031】
しかし、ブースト回路のいくつか、またはすべてが、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源によって置き換えられてもよい。換言すれば、いくつかの実施形態によれば、
− 単一の書込みアクセストランジスタ、
− 第2の読出しアクセストランジスタ、
− メモリの書込みビット線のそれぞれ、および
− メモリの読出しビット線のそれぞれ
のうちの少なくとも1つが、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に結合される。
【0032】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、ならびに図面から明らかになろう。
【0033】
一般に、特許請求の範囲内で使用される用語はすべて、別段本明細書において明示的に提示されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the[要素、デバイス、構成要素、手段、ステップなど]」に対する参照はすべて、別段明示的に述べられていない限り、その要素、デバイス、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの実例を参照するものとオープンに解釈されるべきである。
【0034】
本発明の上記ならびに追加の目的、特徴、および利点は、同じ符号が同様の要素に使用されることになる添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通じてよりよく理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態に係る7Tビットセルの図である。
図2】128kb ULVシングルウェル7T SRAMの概略図である。
図3】メモリの読出し動作のための3段NAND−NOR方式の例としての概略図である。
図4】ワード選択信号を復号するための復号方式の4つの異なる実施形態の図である。
図5】ワード選択信号を復号するための復号方式の4つの異なる実施形態の図である。
図6】ワード選択信号を復号するための復号方式の4つの異なる実施形態の図である。
図7】ワード選択信号を復号するための復号方式の4つの異なる実施形態の図である。
図8】単一のクロックサイクルで2VDDを提供することが可能な2段ブースト回路の概略図である。
図9】単一のクロックサイクルでnVDDを提供することが可能なn段ブースト回路の概略図である。
図10】DC−DC変換のための3段ブースト回路の概略図である。
図11】ULV SRAMを含むチップの異なる部分間の接続のボックス図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係る7Tビットセル100を示す。7Tビットセル100は、ランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセル100であり、デジタルシステム用のメモリのメモリセル内に含まれる。SRAMビットセル100は、2つのクロスカップリングインバータI1、I2と、単一の書込みアクセストランジスタM1と、を含む。この実施形態では、ビットセル100は、書込み手順を容易にし、ビットセル100を通じたリーク電流を低減するためにサイズが非対称である2つのインバータI1、I2を使用する。非対称設計は、単一の書込みアクセストランジスタM1を通じた1つの書込み動作を容易にする。他の実施形態では、2つのクロスカップリングインバータI1、I2は、サイズが対称である。新しい値をビットセル100に書き込むとき、最初に単一の書込みアクセストランジスタM1が活性化され、したがって導通する。これは、書込みワード線信号WWLを使用して行われる。単一の書込みアクセストランジスタM1が活性化されたとき、この新しいデータは、書込みビット線WBLからSRAMビットセル100に供給される。
【0037】
導通するトランジスタという用語は、トランジスタを通じたリークを包含せず、トランジスタが活性化され動作モードにあることを意味することが意図されていることに留意されたい。
【0038】
SRAMビットセル100は、第1の読出しアクセストランジスタM2と、第2の読出しアクセストランジスタM3とをさらに含む。M2とM3は、直列で接続される。読出し動作を実施するとき、第2の読出しアクセストランジスタM3が読出しワード選択信号RWLを使用して活性化される。したがって、第2の読出しアクセストランジスタM3は、読出しワード選択信号RWLを使用して導通しているように配置される。第2の読出しアクセストランジスタM3が導通しているとき、2つのクロスカップリングインバータI1、I2によって記憶されたデータは、第1の読出しアクセストランジスタM2によって移されるが、その理由は、M2のゲートが2つのクロスカップリングインバータI1、12に接続されるからである。ビットセル100が0を含む場合、RWLはハイであり(RWL>0、いくつかの実施形態ではRWL=1)、読出しビット線RBLでは何も行われない。これは、ビットセル100が0を含むことを意味する。しかし、ビットセル100が1を含む場合、M2が活性化される(すなわち、導通する)ことになり、ビットセル100がハイのRWLによって選択された場合には、RBLがM2およびM3を通じて放電され、ビットセル100が1を含むことが知られることになる。読出し手順については、下記で図2と併せてさらに説明されることになる。
【0039】
図1の実施形態では、M1、M2、およびM3は、NMOSトランジスタであるが、他の応用例については、PMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタとPMOSトランジスタの組合せが使用されてもよい。
【0040】
ビットセル100は、メモリセルの読出し動作中、第1の読出しアクセストランジスタM2をグランドに接続するように、またそうでない場合、第1の読出しアクセストランジスタM2を電源に接続するように配置されたさらなるインバータ、またはテールバッファに接続される。換言すれば、テールバッファは、読出し中、RBLへのグランド接続を生み出し、一方、アイドルモード中、RBLは電源VDDに接続され、したがってRBLをCHGと共にプリチャージする。CHGは、RBLをプリチャージするようにトランジスタ102を活性化する制御信号である。これは、アイドルモード中、電位差が存在しないので、RBLにおけるリークを解消し得る。この実施形態は、同じ面積フットプリントを有する従来の8Tビットセルに比べて、ビットセル100のリーク電流を最大67%低減し得る。さらに、RBLからのリーク経路が切断され、低速の長い読出し動作中、RBLにおいて使用可能な、安定したプリチャージされたVDDを保証する。テールバッファは、ワード内のビットセルすべてが同じテールバッファに接続されるようにワード線ビットセルの間で共用されることに留意されたい。
【0041】
ビットセル100のサイズは、(標準的な設計規則を使用して)0.261μmであってよく、これは、プッシュ規則(pushed rule)を用いた8Tビットセルに匹敵する。プッシュ規則は、ビットセル100のビットセル面積を0.21μmに低減し得る。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、ビットセル100内のトランジスタのいくつかは、電圧がブーストされた信号を使用してスイッチング(ターンオン、導通など)される。例えば、いくつかの実施形態によれば、単一の書込みアクセストランジスタM1の電圧レベルは、ブーストされたWWL信号によって増加する。これは、図1内で、WWL信号の星印によって示されている。あるいは、単一の書込みアクセストランジスタM1は、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に接続される。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、メモリの書込みビット線WBLのそれぞれは、ブースト回路に結合される(ブースト回路については、下記でさらに説明される)。これは、図1内で、書込みビット線WBLの星印によって示されている。あるいは、メモリのWBLのそれぞれは、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に結合される。
【0044】
WBLの電圧をブーストすることは、ビットセル100への1の書込み動作中に必要とされるだけであることに留意されたい。書き込まれることになる1を渡すときの単一の書込みアクセストランジスタM1(NMOS)内の電圧降下により、WBLの電圧ブーストは、ビットセルへ書き込むことができる十分に高いビットセルにおける電圧を有するために有利である。
【0045】
上記は、WBLを1つだけ各ビットセル100に接続することを容易にする。従来、2つの書込みビット線が各ビットセルに接続され、これは第2の書込みアクセストランジスタを必要とする。従来のSRAMアーキテクチャに比べて、WBLの総容量性負荷は50%低減され、したがって、動的電力が半減される。いくつかの実施形態によれば、書込み動作中、ビット線/ワード線は最大2VDDにブーストされ、書込み動作の速度および信頼性を増大する。必要とされるブースト電圧は、例えば単一のクロックサイクルで2VDDを提供することができる図8内の2段ブースト回路を使用して供給される。他の実施形態によれば、例えば図9に示されているように、1つまたは複数の段を含むブースト回路が使用されてもよく、これは、単一のクロックサイクルでn個のVDDを提供することができ、nは、ブースト回路の段の数に対応する。ブースト回路の実施形態については、下記で図8図10と併せてさらに説明されることになる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、64個のWBLを有するメモリについては、66個のそのようなブースト回路が使用されてよく、この場合、64個のブースト回路は、書込み動作時に64個のWBLをブーストし、一方、残りの2個は、ブーストされたWWLおよびRWL信号を生成する。これらのブーストの面積オーバーヘッドは、2.7%と小さいものとなり得、その理由は、ブースト回路内のキャパシタが、チップのより高い金属層に収容され得る金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタで実装され得るからである。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、第2の読出しアクセストランジスタM3の電圧レベルは、このようにブーストされたRWL信号によって増大される。これは、図1内で、RWL信号の星印によって示されている。他の実施形態によれば、第2の読出しアクセストランジスタM3は、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に結合される。第2の読出しアクセストランジスタM3における電圧レベルを増大することによって、M3の駆動強度が増大し、したがって読出し動作がより迅速に実施される。メモリのRBLもまた、任意選択で、ブースト回路に結合され、または第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に接続されてもよく、その結果、RBLの電圧レベルが増大される。これは、ビットセル100からのデータの読出し速度をさらに増大することになる。
【0048】
図2は、128kb ULV SRAM200のアーキテクチャについて説明する。一般的に言えば、そのようなメモリ200は、行および列を有する行列状に配置された複数のメモリセルを含む。メモリは、各ワード線WLが複数のメモリセルの行を含む複数のワード線と、複数のビット線対とをさらに含む。各ビット線対は、複数のメモリセルの列と、ビット線対のメモリセルの読出しのために配置された読出しビット線RBLと、ビット線対のメモリセルへの書込みのために配置された書込みビット線WBLとを含む。
【0049】
図2内のメモリ200は、センス増幅器を使用しない読出し方式を実装する。メモリ200は、ロジック設計規則に準拠する。図2では、各RBLは32ビットを含み、または換言すれば、32個のメモリセルがそれぞれ、SRAMビットセル100を含む。16、64、または128ビットなど他の数のビットが等しく可能である。上記のように、テールバッファは、M2−M3を通じたリーク経路を解消し、低減された静的電力に加えて、非常に低速のクロック周波数であっても正しい読出し動作を提供する。テールバッファは、M3の活性化の1段前に活性化されることが有利である。ビットセル100から0を読み出すときの読出し伝搬遅延は0である。1を読み出すとき、RBLは、M2およびM3を通じて放電され、一方、他のRBLブロック内の他のRBLはすべて論理1のままである。読出し経路は、高い読出し速度、およびより低い動的電力のために(CHGを使用してプリチャージされた)32個のワードによって共用される複数の読出しRBLからなる。放電されたRBLは、読出しマルチプレクサをトリガし、最終値は、図2に記載のように、NAND−NORチェーン202、204を通じて出力するように伝搬する。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、チェーン内の第1のNAND206は、高速プルアップのために大きなPMOSトランジスタを備えるNANDであってよい。これは、対応するRBLが小さな割合、例えば10%または15%だけ放電されたとき、チェーン内の第1のNAND206がすでにスイッチングしているように調整され得ることを意味する。これは、読出しを実質的に高速化することになる。このメモリ200の測定結果は、360mVで150MHzの読出し速度を確認している。
【0051】
図3は、3段読出しのためのNAND−NOR方式について説明する。メモリのサイズに応じて、より多くの、またはより少ない段が必要とされる。例えば、図2では、6段読出し方式が使用される。図3では、RBL−Pos−0cにおけるビットが読み出される。図3の上部では、ビットセルは、上記のように0を読み出すので放電される。これは、RBL内のすべてのRBL位置が論理1のままであることを意味する。図3の3段読出し方式では、これはNAND−NORチェーンを通じて伝搬し、出力にて0として終わる。しかし、下部では、ビットセルが放電され、したがってこの読出し方式からの出力は0になる。
【0052】
図4図7は、本発明の実施形態に係るアドレスデコーダについて説明する。アドレスデコーダ400、500、600、700は、反復アーキテクチャを有し、その各段は、ワード選択信号に近い。反復アーキテクチャおよび電力配線からの独立性は、それを非常に再構成可能なもの、およびツールにやさしいものにする。デコーダは、ツリー構造上に配置された複数のトランジスタ402、502、602、702を含む。各トランジスタは、選択信号に接続され、選択信号は、それが接続されるトランジスタ402、502、602、702をターンオンおよびターンオフ(活性化/非活性化、導通/非導通など)するために配置される。このアーキテクチャでは、ツリー構造の各ブランチは、単一のトランジスタを含む。さらに、ルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有する。これは、従来のデコーダに比べて5桁を超えてリーク電流を低減し得、その理由は、電源(VDD)とグランドとの間のデコーダを通じた可能なリーク経路が実質的に低減されるからである。
【0053】
本明細書に記載のメモリについては、図4図7内のデコーダは、読出しアドレスを復号し、RWL信号を出力するために、または書込みアドレスを復号し、WWL信号を出力するために使用され得る。読出しアドレスまたは書込みアドレスは、ルート・ブランチとリーフ・ブランチとの間の経路に沿って複数のトランジスタの中のトランジスタを活性化するための選択信号を提供し、それぞれ読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するために使用される。ツリー構造を通じて導通経路を選択することは、トランジスタ402、502、602、702上の選択信号が選択されたトランジスタを同時にスイッチングするとき1つのクロックサイクルで行われ、デコーダを本質的に故障しないものにする。
【0054】
図4内のデコーダ400は、3−8デコーダである。したがって、デコーダのアドレス空間は8ビットである。デコーダは、ツリー構造上に配置された複数のトランジスタ402を含む。各トランジスタは、選択/非選択(not select)信号404(S0、S1、S2、S0N…)に接続され、これらの信号404は、それが接続されるトランジスタ402をターンオンおよびターンオフ(活性化/非活性化、導通/非導通など)するために配置される。したがって、この場合、6つの選択信号、すなわち3つの選択信号+3つの反転選択信号を有し、すべて読出し/書込みアドレスのビットに起因する。
【0055】
このアーキテクチャでは、ツリー構造の各ブランチは、単一のトランジスタを含む(この場合、PMOSトランジスタであるが、下記で述べられることになるように、NMOSトランジスタも等しく使用され得る)。さらに、ルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有する。
【0056】
デコーダ400の各リーフ・ブランチは、メモリからデータを読み出すまたは書き込むためのワード線を選択するために(デコーダがメモリ内の読出しまたは書込みのために使用されるかどうかに応じて)RWL信号またはWWL信号A0〜A7を提供するように配置される。デコーダへの入力は、この実施形態では、電源VDDである。他の実施形態によれば、デコーダへの入力は、ブースト回路から受け取られるブースト電圧である。可能なブースト回路の異なる実施形態については下記で説明される。ブーストされた入力電圧は、ブーストされたRWL/WWL信号をもたらすことになる。
【0057】
デコーダ400のツリー構造は、ツリー構造がちょうど2つのルート・ブランチ402を有し、リーフ・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、2つの子ブランチを有する点で、バイナリツリー構造である。この実施形態については、ツリー構造内の各レベルまたはブランチについて、間で選択する子ブランチが2つしか存在しないので、読出しアドレスまたは書込みアドレス内のビットは、選択信号404として直接使用され得る。したがって、値0を有する読出しアドレスまたは書込みアドレス内の第1のビットは、左のルート・ブランチのトランジスタを活性化させることになり、一方、値1を有するビットは、右のルート・ブランチのトランジスタを活性化させることになる。同様にして、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の各後続のビットは、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の先行するビットによってそのトランジスタが活性化された親ブランチの2つの子ブランチのうちの1つのトランジスタを活性化するために使用され得る。この実施形態では、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の最上位ビット(MSB)は、2つのルート・ブランチの中で選択するために使用され、一方、最下位ビット(LSB)は、2つのリーフ・ブランチを選択するために使用され、間のビットは、ツリー構造のルート・レベルとリーフ・レベルとの間のレベルにおいて選択するために使用される。しかし、逆の場合、すなわち、MSBがリーフ・レベルで選択するために使用され、一方、LSBがツリー構造のルート・レベルで選択するために使用される場合も等しく同様である。
【0058】
図4のデコーダは、3レベルのPMOSトランジスタ402を含み、これは、選択されたPMOSブランチ内で低いオン抵抗をもたらし、一方、同時に、電圧リークは、トランジスタの積み重ねにより低減される。各リーフ・ブランチ内のPMOSトランジスタは、グランドに接続された3つ(ツリー構造内のレベルの数と同じ数)の並列配置されたNMOSトランジスタ406が関連付けられる、またはそれらに接続される。図4でわかるように、NMOSトランジスタ406は、PMOSトランジスタと同じ選択信号、すなわちNMOSトランジスタ406のための選択信号を提供するために使用される読出しアドレスまたは書込みアドレスに接続されるので、正しいワードWLを表さないツリー構造のリーフ・ブランチにおける少なくとも1つのNMOSトランジスタが、リーフ・ブランチに(リークまたは他の理由により)存在する電圧がグランドに放電されることになるように活性化されることになる。換言すれば、未選択のリーフ・ブランチは、グランドに放電されることになる。さらに換言すれば、これらのNMOSが未選択のWWL/RWLをグランドに短絡する。
【0059】
図5内のデコーダ500のアーキテクチャは、図4のものと同様である。デコーダ500は、入力電源VDDを選択されたWWL/RWLに転送するように開発されている。いくつかの実施形態では、入力電圧は、下記で説明されることになるブースト電圧である。しかし、図5のデコーダでは、ツリー構造は、8つのルート・ブランチを含む。さらに、各ルート・ブランチ、またはルート・ブランチ内のトランジスタ502は、16個の子ブランチ(トランジスタ)に接続される。また、ツリー構造の第3のレベルは、単一の親ブランチに接続された16個のブランチを含む。したがって、このツリー構造は、8×16×16のデコーダ500を実現しており、2kアドレス空間を提供する。換言すれば、ツリー構造は、n≧2個のレベルを有し、ツリー構造は、2つより多いルート・ブランチを含み、リーフ・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、2つより多い子ブランチを含み、そのため、デコーダ500は2段デコーダであり、第2段は、PMOSトランジスタのツリー構造を通じて正しい経路を活性化するために第1段によって提供される選択信号504を使用している。第1段は、さらなるデコーダを含み、ツリー構造内のn(この場合3)レベルの各レベルの選択信号は、読出しアドレスまたは書込みアドレスの専用ビットを受け取るさらなるデコーダによって制御される。そのようなさらなるデコーダは、従来技術で知られているレガシ・デコーダであってもよく、または本明細書に記載のデコーダ、すなわちルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチが単一の親ブランチを有する反復ツリーアーキテクチャを有するものであってもよい。そのようなデコーダの混合もまた可能となり得る。例えば、デコーダ500内の第1のレベルのための選択信号C0:7を復号するために使用されるデコーダは、図4のものと同様であってよく、その理由は、デコーダ400は8ビット・アドレス空間を有するからである。第2のレベルのための選択信号B0:15を提供する第2のレベルのためのデコーダは、レガシ・デコーダであっても、または図4に記載のものと同じ、しかし16ビット・アドレス空間を提供するために1つの追加のレベルを有するデコーダであってもよい。このデコーダもまた、例えば4×2×2アーキテクチャを有する図5におけるものと同様のデコーダであってよい。
【0060】
図5のデコーダ500では、各リーフ・ブランチは、図4と併せて上記で述べたように未選択のリーフ・ブランチのPMOSトランジスタをグランドに放電している、並列で配置された3つのNMOSトランジスタ506に接続される。しかし、この放電効果は、例えばデコーダ600の一部だけが示されている図6に記載のように、異なるように達成されてもよい。このアーキテクチャでは、複数のPMOSトランジスタ602のそれぞれが、グランドに接続されたNMOSトランジスタに接続される。NMOSトランジスタの選択信号は、親PMOSトランジスタのための選択信号と同じである。このようにして、正しいWLを表さないツリー構造のリーフ・ブランチへのPMOSトランジスタの経路に沿った少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、ツリー構造のリーフ・ブランチにおけるトランジスタに存在する電圧をグランドに放電することになる。
【0061】
図4図6で説明されたように、正しいWLを選択するためにPMOSトランジスタを使用することは、PMOSトランジスタは、NMOSトランジスタとは異なり、ブースト電圧をよりよく通す点で有利となり得る。これは、低電力応用例で有利であり、その理由は、オン・モードにおけるPMOSのゲートはグランドに接続されるため、トランジスタの入力(PMOSのゲート)においてブースト電圧を使用することなしに、ブースト電圧がPMOSトランジスタのソース−ドレインを通過し得るからである。したがって、選択信号の電圧が300mVと低い場合でさえ、デコーダは、無視できる損失で600mVをWWL/RWL信号に転送することができる。このようなPMOSトランジスタを使用することは、ホットWL選択信号をもたらす。しかし、応用例によっては、デコーダからのコールド出力が望ましいことがある。これらの場合、ツリー構造は、ブランチにおいてNMOSトランジスタを含むべきであり、PMOSトランジスタは、デコーダからの正しい出力が達成されることをさらに確実にするために使用されるべきである。そのようなアーキテクチャが図7に示されており、デコーダ700は、図6のデコーダ600に対応する。しかし、図4図5のデコーダ400、500も、図7で説明されているようにして、コールド出力を提供するように再配置されてもよい。
【0062】
【0063】
この設計は、単一のクロックサイクルで2VDDの出力(OUTBOOST)を容易にする。本明細書に記載のデジタルシステムのためのメモリの状況では、これは、読出し/書込みに使用される電圧のブーストが単一のクロックサイクルで実施され得るので、メモリに接続されたプロセッサは、読出し動作/書込み動作に必要な以上に待つ必要がないことを意味する。
【0064】
ブースト回路800のキャパシタ806〜812は、設計のコストを低減するために異なるキャパシタンスサイズ(図8のように)を有してもよく、またはキャパシタは、等しいサイズにされてもよい。IC設計およびチップ業界では、キャパシタのコストは、キャパシタのサイズに依存する。したがって、可能であるとき、ブースト回路800のコストを低減するためにキャパシタのキャパシタンスを低減することが有利となり得る。出力負荷のための電荷を提供するキャパシタは、より大きくすることが有利となり得、一方、他のキャパシタは、小さいキャパシタンスを有してもよい。ブースト回路800では、出力負荷のための電荷を提供している第1のCPユニット802に接続されたキャパシタ803は、十分なキャパシタンスCBSTを有する。実際のキャパシタンス値は、ブースト回路が使用されるべきである応用例に依存する。例えば、CBSTは、その電圧がブーストされるべきである書込みビット線WBL信号上の容量性負荷に関して選ばれてよい。
【0065】
次いで、他のキャパシタ806、810、812は、コストを低減するために、より低いキャパシタンスを有してもよい。第1のCPユニット802の出力に接続されたキャパシタ810は、ブーストされた(より高い)電圧を受け取るので、より大きなキャパシタンスを有してもよい。
【0066】
図8内のブースト回路は、2VDDを供給する2段回路である。しかし、ブースト回路のアーキテクチャは、応用例に応じて、任意の数の段を含むように拡張されてもよい。図9は、X個の段が使用されるブースト回路900を示す。したがって、そのようなブースト回路の出力OUTは、VDDのX倍である。数の増えた段を除いて、図9のブースト回路900は、図800のブースト回路800と同様である。
【0067】
上述のブースト回路の発明性のあるアーキテクチャは、DC−DCコンバータにも使用され得る。そのようなブースト回路1000が図10に示されている。図10内のブースト回路は、3つの段を含むが、2、4、5、または10など、任意の数の段も等しく使用されてよい。
【0068】
図11は、例として、デジタルシステムのためのプロセッサユニットPU1100に接続されたメモリ、例えば集積回路内に埋め込まれたメモリのためのアーキテクチャを示す。PU1100は、読出しアドレス1102、書込みアドレス1104などの信号をメモリに提供する。読出しアドレス1102および書込みアドレス1104は、2段デコーダ、例えば上記の図5と併せて述べられているデコーダに供給される。第1段WAD/RAD1106、1108は、デコーダのツリー構造内のトランジスタに選択信号を提供するデコーダの第1段を示す。プロセッサ1100は、ブーストユニット1118、1120がデコーダの第2段1110、1112のルート・ブランチにブーストされたVDDを提供することを可能にする読出し/書込みイネーブル信号1114、1116をさらに提供する。ブーストユニット1118、1120は、例えば図8図9と併せて説明されているようなものであってよい。デコーダ1110、1112の第2段の入力電圧をブーストすることによって、電圧がブーストされたRWL、WWL信号1122、1124が達成される。これは、より高い読出し/書込み速度をもたらし、また、ブーストされたWWL信号1124は、図1と併せて上記のように、ビットセルの単一の書込みアクセストランジスタ設計を容易にする。いくつかの実施形態によれば、RWL信号を復号するためのデコーダの第2段1110への入力電圧はブーストされず、したがってこれは、RWL信号もブーストされないことになることに留意されたい。また、いくつかの実施形態によれば、デコーダの第2段1110、1112への電圧入力は、第1の電源VDDより高い電圧を有する第2の電源の結果であり、例えば第2の電源は2VDDであり得ることに留意されたい。
【0069】
ブーストされたRWL/WWL1122、1124は、メモリアレイ1126によって受け取られる。メモリアレイは、行および列を有する行列状に配置された複数のメモリセルを含む。メモリアレイ1126は、各ワード線WLが複数のメモリセルの行を含む複数のワード線をさらに含む。メモリアレイは、複数のビット線対をさらに含み、各ビット線対は、複数のメモリセルの列と、ビット線対のメモリセルの読出しのために配置された読出しビット線RBLと、ビット線対のメモリセルへの書込みのために配置された書込みビット線WBLとを含む。メモリアレイ内の各メモリセルは、上記の図1と併せて説明されているように、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセルを含む。
【0070】
図11では、単一の書込みビット線WBL1130だけが示されており、読出しビット線RBLは、説明を容易にするために省略されている。メモリのWBLは、さらなるブースト回路1128に結合され、その結果、WBLの電圧レベルが増大される。これは、メモリの書込み速度を増大することになる。いくつかの実施形態によれば、WBL1130は、代わりに第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に結合される。
【0071】
上記は、書込み動作中、WWLおよびWBLが2×VDDにブーストされるので、単一の書込みBL(WBL)でのメモリの書込み動作を可能にし得る。
【0072】
概要では、開示されている実施形態は、一般に電子ハードウェアの分野に関し、詳細には低電圧SRAMに関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11