【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、第1の電源に接続されたメモリによって実現され、このメモリは、
行および列を有する行列状に配置された複数のメモリセルと、
各ワード線WLが複数のメモリセルの行を含む複数のワード線と、
各ビット線対が複数のメモリセルの列を含む複数のビット線対と、
複数のメモリセルの列と、
ビット線対のメモリセルの読出しのために配置された読出しビット線RBLと、
ビット線対のメモリセルへの書込みのために配置された書込みビット線WBLと、を備え、
スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセルを含む各メモリセルが、
2つのクロスカップリングインバータと、
メモリセルを含むWBLからSRAMビットセルへデータを供給するように配置された単一の書込みアクセストランジスタであって、書込みワード線WWL信号を使用して活性化されるように配置された単一の書込みアクセストランジスタと、
SRAMビットセルからデータを送るように配置された第1の読出しアクセストランジスタおよび第2の読出しアクセストランジスタと、を含み、第2の読出しアクセストランジスタは、読出しワード線RWL信号を使用して活性化されるように配置され、第1の読出しアクセストランジスタは、2つのクロスカップリングインバータによって記憶されたデータを移すように配置され、
SRAMビットセルは、メモリセルの読出し動作中、第1の読出しアクセストランジスタをグランドに接続し、そうでない場合、第1の読出しアクセストランジスタを第1の電源に接続するように配置されたインバータに接続される。
【0007】
ビットセルが読出し動作に含まれないとき第1の読出しアクセストランジスタを第1の電源(VDD)に接続するインバータ(テールバッファ)を使用して、SRAMビットセル内の読出しトランジスタに仮想グランドを提供することによって、ビットセル・リークが実質的に低減されることになる。さらに、各ビットセルについて単一の書込みアクセストランジスタ、すなわち単一のWBLだけを使用することによって、ビットセルの面積およびエネルギーコストが実質的に低減され得る。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、2つのクロスカップリングインバータは、サイズが非対称である。この非対称設計は、単一の書込みアクセストランジスタを通じて、低い駆動強度で書込み動作を容易にする。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、複数のワード線の各WLは、第1および第2のデコーダに接続され、
第1のデコーダは、読出しアドレスを復号するように、またRWL信号を出力し、WLを選択し、WLのメモリセル内に含まれるSRAMビットセルのデータを読み出し、それにより、選択されたWLは、読み出されたデータを選択されたWLのメモリセルのデータ読出しアクセストランジスタに供給することになるように配置され、
第2のデコーダは、書込みアドレスを復号するように、またWWL信号を出力し、WLを選択し、選択されたWLのメモリセル内に含まれるSRAMビットセルにデータを書き込み、それにより、選択されたWLは、選択されたWLのメモリセルの書込みアクセストランジスタにデータが供給されることになるように配置される。
【0010】
これらのデコーダは、従来技術による任意のデコーダであってよいが、これらのデコーダを通じたリーク電流を減らすために、第1および第2のデコーダは、複数のトランジスタを含んでもよく、
各トランジスタは、そのトランジスタを活性化および非活性化するように配置された選択信号に接続され、
複数のトランジスタは、ツリー構造で配置され、ツリー構造の各ブランチは、単一のトランジスタを含み、ツリー構造は、少なくとも2つのルート・ブランチを含み、ルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有し、ツリー構造の各リーフ・ブランチは、WLを選択してメモリからデータを読み出すまたは書き込むためにRWL信号またはWWL信号を提供するように配置され、読出しアドレスまたは書込みアドレスは、ルート・ブランチとリーフ・ブランチとの間の経路に沿って複数のトランジスタの中のトランジスタを活性化するための選択信号を提供し、それぞれ読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するために使用される。
【0011】
従来のデコーダをしのぐ2つの特性が観察され、すなわち、デコーダの容量性負荷が実質的に低減され、リーク経路の数は、大幅に減少し、例えば、デコーダのアドレスロジック内のリークを、デコーダのアドレス空間に応じて最大200分の1に低減する。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造は、n個のレベルを有し、ツリー構造で配置された複数のトランジスタは、PMOSトランジスタであり、リーフ・ブランチ内に含まれる各PMOSトランジスタは、グランドに接続されたn個の並列配置されたNMOSトランジスタに接続され、読出しアドレスまたは書込みアドレスは、正しいWL(または目標WL)を表さないツリー構造のリーフ・ブランチにある少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、リーフ・ブランチに存在する電圧をグランドに放電するように、n個のNMOSトランジスタに選択信号を提供するために使用される。
【0013】
この実施形態は、トランジスタ内の残りの電荷またはリークにより存在する電圧がNMOSトランジスタによって放電されることになるので、読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するセキュリティ・レイヤをさらに追加する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造で配置された複数のトランジスタは、PMOSトランジスタであり、複数のPMOSトランジスタのそれぞれは、グランドに接続されたNMOSトランジスタに接続され、読出しアドレスまたは書込みアドレスは、正しいWLを表さない、PMOSトランジスタからツリー構造のリーフ・ブランチまでの経路に沿った少なくとも1つのNMOSトランジスタが活性化され、リーフ・ブランチに存在する電圧をグランドに放電するように、NMOSトランジスタに選択信号を提供するために使用される。
【0015】
この実施形態は、トランジスタ内の残りの電圧またはリークにより存在する電圧がNMOSトランジスタによって放電されることになるので、読出しアドレスまたは書込みアドレスに基づいて正しいWLを選択するセキュリティ・レイヤをさらに追加する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造は、ちょうど2つのルート・ブランチを有し、リーフ・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、2つの子ブランチを有し、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の第1のビットは、2つのルート・ブランチの1つを活性化するために使用され、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の各後続のビットは、読出しアドレスまたは書込みアドレス内の先行するビットによってそのトランジスタが活性化された親ブランチの2つの子ブランチのうちの1つのトランジスタを活性化するために使用されている。
【0017】
このバイナリツリー構造は、デコーダのツリー構造の各レベルにて左または右のブランチでトランジスタを活性化するために読出しアドレスまたは書込みアドレスのビットが直接使用され得るので、1段デコーダを容易にする。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、ツリー構造は、n≧2個のレベルを有し、ツリー構造は、2つより多いルート・ブランチを含み、リーフ・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、2つより多い子ブランチを含み、
ツリー構造におけるn個のレベルの各レベルの選択信号は、読出しアドレスまたは書込みアドレスの専用ビットを受け取るさらなるデコーダによって制御され、ツリー構造におけるn個のレベルの各レベルの選択信号を制御するさらなるデコーダは、第1または第2のデコーダとは異なる。
【0019】
2段デコーダを使用することは、ツリー構造のレベルの数を低く保ちながら、デコーダのより大きなアドレス空間を容易にする。換言すれば、選択信号をプリデコードすることは、ツリーデコーダ内でのトランジスタの積み重ねを、例えば3レベルに制限し、これにより、ツリーデコーダの選択されたトランジスタ・ブランチ、すなわちデコーダを通る選択された経路におけるオン抵抗が低くなる。これは、より高いレベルの入力電圧がデコーダを通って伝達されるので、ワード選択信号RWL/WWLにおける電圧降下を低減することになる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、さらなるデコーダは、上述のようなデコーダである。これは、読出し/書込みアドレスをプリデコードすることが、上記のツリー構造を実装するデコーダによって行われ、ルート・ブランチでないツリー構造内の各ブランチは、単一の親ブランチを有することを意味する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、単一の書込みアクセストランジスタの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するために、第1のブースト回路が使用される。このブーストは、例えば書込みアドレスを復号するデコーダの入力電圧をブーストし、WWL信号の電圧が増大することによって実施され得る。これは、ビットセルからの単一のWBLでの書込み動作を容易にする。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、第2の読出しアクセストランジスタの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するために、第2のブースト回路が使用される。これは、読出し動作の速度を増大し得る。このブーストは、例えば読出しアドレスを復号するデコーダの入力電圧をブーストし、RWL信号の電圧が増大することによって実施され得る。
【0023】
何らかの実施形態によれば、メモリのWBLのそれぞれは、WBLの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するように配置されたさらなるブースト回路に結合される。これは、ビットセルからの単一のWBLでの書込み動作を容易にする。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、さらなるブースト回路は、ビットセルに1を書き込むときWBLの電圧レベルをブーストしているだけである。0を書き込むとき、WBLにおける電圧レベルは0である。
【0025】
何らかの実施形態によれば、メモリのRBLのそれぞれは、RBLの電圧レベルを第1の電圧のレベルより高い電圧レベルに増大するように配置されたさらなるブースト回路に結合される。これは、メモリの読出し速度を増大する。
【0026】
何らかの実施形態によれば、第1のブースト回路、第2のブースト回路、および複数の他のブースト回路のうちの少なくとも1つは、少なくとも第1および第2のチャージポンプユニットを含み、各チャージポンプユニットは、4つのクロスカップリングトランジスタおよび2つのキャパシタを含み、各チャージポンプユニットは、電源によって給電され、各チャージポンプユニットは、第1の電圧を受け取るための入力と、第1の電圧より高い第2の電圧を供給するための出力とをさらに含み、各チャージポンプは、2つのキャパシタを介して、クロック信号と、クロック信号の180度位相シフトバージョンを受け取るために配置され、第2のチャージポンプの入力は、クロック信号によって制御されるインバータを通じて第1のチャージポンプの出力に接続される。
【0027】
180度位相シフトされたクロック信号は、反転されたクロック信号と同じである。
【0028】
位相シフトは、インバータを使用することによって達成され得る。
【0029】
ブースト回路のこの設計は、単一のクロックサイクルで第1の電圧を第2の電圧にブーストするのを容易にする。
【0030】
何らかの実施形態によれば、第1の電源は、メモリの単一の電源である。単一の電源を使用し、必要とされるとき電圧をブーストするためにブースト回路を使用することによって、メモリの簡素化されたアーキテクチャが達成され得る。さらに、低い、例えば300mVである単一の電源を使用することは、メモリの低電圧動作を容易にし得る。
【0031】
しかし、ブースト回路のいくつか、またはすべてが、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源によって置き換えられてもよい。換言すれば、いくつかの実施形態によれば、
− 単一の書込みアクセストランジスタ、
− 第2の読出しアクセストランジスタ、
− メモリの書込みビット線のそれぞれ、および
− メモリの読出しビット線のそれぞれ
のうちの少なくとも1つが、第1の電源より高い電圧を有する第2の電源に結合される。
【0032】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、ならびに図面から明らかになろう。
【0033】
一般に、特許請求の範囲内で使用される用語はすべて、別段本明細書において明示的に提示されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the[要素、デバイス、構成要素、手段、ステップなど]」に対する参照はすべて、別段明示的に述べられていない限り、その要素、デバイス、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの実例を参照するものとオープンに解釈されるべきである。
【0034】
本発明の上記ならびに追加の目的、特徴、および利点は、同じ符号が同様の要素に使用されることになる添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を通じてよりよく理解されることになる。