【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る硬化剤は鋳型または中子の製造に用いることができる。即ち、前記水ガラス鋳造用硬化剤を液体増強剤として水ガラス自硬性砂に用いる使用である。
【0017】
本発明は、硬化剤の各成分を均一に混合して懸濁液に調合した後、それを水ガラス自硬性砂の製造に用いることにより、水ガラス鋳造用硬化剤の一括投入を実現し、粉体による汚染がなく、操作しやすく、計量、添加しやすく、工業化生産を実現し、それに加えて、前記硬化剤を鋳型または中子の製造に用いることにより、水ガラス砂の強度を著しく増加させることができ、且つ成形後に長期間の貯蔵を経ても、その強度が依然として高いレベルに保持でき、鋳型または中子の力学的性能を大きく改善するものである。
【0018】
本発明に記載する「含む」とは、前記成分以外、他の成分をさらに含んでも良いことを意味し、これらの他の成分により前記硬化剤に異なる特性を付与する。これに加えて、本発明に記載する「含む」は、閉鎖式の「〜である」または「〜から構成される」に置き換えてもよい。
【0019】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤に一定の割合の粒状の非晶質シリカが含まれ、該粒状の非晶質シリカの粒度は、好ましくは50μm未満であり、より好ましくは10μm未満であり、特に好ましくは5μm未満である。粒度は篩分析により特定されることができる。10μmのメッシュサイズを有する篩上の残留物は、好ましくは7重量%未満であり、特に好ましくは4重量%未満である。
【0020】
本発明によれば、好ましくは、粒状の非晶質シリカとして熱分解法による非晶質シリカまたは沈殿法による非晶質シリカのうちのいずれか1種または少なくとも2種の混合物を用いる。
【0021】
熱分解法による非晶質シリカまたは沈殿法による非晶質シリカは、本発明に係る水ガラス鋳造用硬化剤にも同様に適用する。熱分解法による非晶質シリカとは、通常、高温で気相から凝集したものを指す。熱分解法による非晶質シリカの製造は、例えば、四塩化ケイ素の火炎加水分解、或いはアーク炉においてコークスまたは無煙炭で石英砂を還元して一酸化ケイ素ガスを生成した後、シリカに酸化することにより行われることができる。アーク炉法により製造した熱分解法による非晶質シリカは、炭素をさらに含んでもよい。沈殿法による非晶質シリカは、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と無機酸との反応から得られ、その後、ここで生成した沈殿物から分離、乾燥、研磨されたものである。
【0022】
本発明によれば、前記非晶質シリカは、ZrSiO
4を熱分解して形成した非晶質シリカが好ましく、添加量が同じである場合、他の由来の非晶質シリカよりも高い中子重量を取得し、鋳型粒子の堆積がさらに緻密となることを表している。
【0023】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤において、前記エステルは、グリセリンモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、エチレングリコールジアセテート、炭酸プロピレンまたはジエステルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の混合物であり、前記混合物の典型的であるが限定的ではない例として、グリセリンモノアセテートとグリセロールジアセテートとの混合物、グリセロールトリアセテートとエチレングリコールジアセテートとの混合物、グリセロールジアセテートとグリセロールトリアセテートとエチレングリコールジアセテートと炭酸プロピレンとの混合物である。
【0024】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤における水は水道水などを用いても良く、ここでは特に限定されない。
【0025】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤において、エステルと非晶質シリカは適当な重量配合比で混合されるが、典型的であるが限定的ではない重量比は(0.3〜4):1である。上記エステルと非晶質シリカの重量比は(0.3〜4):1であり、該範囲における各具体値を含み、例えば、0.3:1、0.4:1、0.45:1、0.68:1、0.8:1、0.92:1、1:1、1.2:1、1.3:1、1.6:1、1.8:1、2:1など、および上記の数値の間の具体値、例えば0.7:1、1.4:1などであってもよいことを出願人より声明する。紙面の都合と簡明のために、本発明では前記範囲に含まれる具体値を網羅的には列挙しない。しかし、本発明によれば、エステルと非晶質シリカの重量配合比は、好ましくは(0.68〜2):1である。
【0026】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤は、20〜40質量%のエステル、30〜60質量%の非晶質シリカ、および5〜30質量%の水を含む。上記の各成分の含有量範囲は、該範囲における各具体値を含み、例えば、エステルが前記硬化剤を占める質量分率は、20%、22%、23%、23.5%、24%、25%、26.5%、27%、28%、29%、30%などであってもよく、非晶質シリカが前記硬化剤を占める質量分率は、30%、32%、33%、33.5%、34%、35%、36.5%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、43.5%、44%、45%、46.5%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、58%、60%などであってもよく、水が前記硬化剤を占める質量分率は、5%、6%、8%、10%、12%、13%、13.5%、14%、15%、16.5%、20%、22%、23%、25%、28%、30%など、および上記の数値の間の具体値であってもよいことを出願人より声明する。紙面の都合と簡明のために、本発明では前記範囲に含まれる具体値を網羅的には列挙しない。
【0027】
本発明によれば、典型的であるが限定的ではない前記硬化剤は、20質量%のエステル、50質量%の非晶質シリカ、30質量%の水を含んでも良く、或いは、23質量%のエステル、49質量%の非晶質シリカ、28質量%の水などを含んでも良い。
【0028】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤にはアルコールをさらに含んでも良く、主に硬化剤の各成分の溶解を加速するために用いられ、他の公知の有機溶剤を用いても良い。典型的であるが限定的ではないアルコール系溶剤として、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールまたはポリエチレングリコールから選ばれるいずれか1種または少なくとも2種の混合物であってもよいが、好ましくはエタノールである。有機溶剤としてエタノールを用いると、前記硬化剤の懸濁液をさらに均一に、安定させることができる。エタノールは、懸濁液の安定性、経済性、環境保全性のいずれにおいても最適な選択肢である。
【0029】
本発明によれば、前記硬化剤は、20〜40質量%のエステル、30〜60質量%の非晶質シリカ、2〜12質量%のアルコール、および3〜18質量%の水を含んでもよい。典型的であるが限定的ではない組み合わせとして、20質量%のエステル、60質量%の非晶質シリカ、2質量%のアルコール、および18質量%の水を含んでもよく、或いは、32質量%のエステル、50質量%の非晶質シリカ、3質量%のアルコール、および15質量%の水を含んでもよく、或いは、35質量%のエステル、48質量%の非晶質シリカ、5質量%のアルコール、および12質量%の水などを含んでもよい。
【0030】
本発明の第2の目的は、
(1)まず、配合比に基づき秤量したエステルを高速撹拌機の撹拌タンク内に仕込み、撹拌を開始するステップと、
(2)配合比に基づき秤量した水を投入し、オプションとして、配合比に基づき秤量したアルコールをさらに投入し、回転数を800回転/分以上に調節し、非晶質シリカを添加し、懸濁液となるように10〜20min撹拌し続け、前記水ガラス鋳造用硬化剤を得るステップとを含む、水ガラス鋳造用硬化剤の製造方法をさらに提供することである。
【0031】
本発明によれば、前記製造方法に使用されるエステル、水、非晶質シリカまたはアルコールは、いずれも前述したような本発明の第1の目的における重量配合比、質量分率および具体的な選択に従って秤量されるものであり、ここでは説明を省略する。
【0032】
本発明は、エステル、非晶質シリカおよび水を含む硬化剤の各成分を高速せん断により均一に撹拌して混合することで、均一な懸濁液に調合するものである。水ガラス自硬性砂の製造工程において、該均一な懸濁液を一括投入してもよい。これにより、粉体による汚染を効果的に回避し、さらに操作しやすく、計量、添加しやすく、大規模の工業化生産に用いることができ、生産効率を大きく向上させる。
【0033】
本発明によれば、ステップ(2)における回転数が800回転/分以上に設定され、例えば、900〜1000回転/分の範囲内に適当に調整してもよく、例えば、950回転/分、955回転/分、960回転/分、965回転/分、970回転/分、980回転/分、985回転/分、990回転/分、1000回転/分、および上記の数値の間の具体値であってもよい。紙面の都合と簡明のために、本発明では前記範囲に含まれる具体値を網羅的には列挙しない。
【0034】
本発明によれば、前記水ガラス鋳造用硬化剤の製造方法は、例えば、
(1)まず、配合比に基づき秤量したエステルを高速撹拌機の撹拌タンク内に仕込み、撹拌を開始するステップと、
(2)配合比に基づき秤量した水を投入し、回転数を800回転/分以上に調節し、非晶質シリカを添加し、均一な液体となるように10〜20min撹拌し続け、前記水ガラス鋳造用硬化剤を得るステップと含んでもよい。
【0035】
さらに好ましい技術案として、前記水ガラス鋳造用硬化剤の製造方法は、例えば、
(1)まず、配合比に基づき秤量したエステルを高速撹拌機の撹拌タンク内に仕込み、撹拌を開始するステップと、
(2)配合比に基づき秤量した水とアルコールを投入し、回転数を800回転/分以上に調節し、非晶質シリカを添加し、均一な液体となるように10〜20min撹拌し続け、前記水ガラス鋳造用硬化剤を得るステップとを含んでもよい。
【0036】
本発明によれば、水ガラス鋳造用硬化剤の製造を行う時、好ましくは、まず、エステルを撹拌タンクに添加して撹拌してから、他の成分を添加する。該添加順序により、材料を混合する際の粉塵汚染をより効果的に回避することができ、スラリーの均一にもさらに寄与する。
【0037】
本発明の第3の目的は、本発明の第1の目的における硬化剤の鋳型と中子の製造における使用を提供することである。
【0038】
本発明によれば、前記鋳型と中子は、好ましくは金属の鋳造に用いられ、特に鋳鉄と鋳鋼に用いられる。
【0039】
本発明は、鋳型と中子を製造する時、前記硬化剤の添加により、水ガラス砂の強度をより良好に増加させ、その力学的性能を向上させることができることに加え、粉体による汚染を効果的に回避することができ、操作しやすく、計量、添加しやすく、且つ業化生産が実現でき、水ガラス自硬性砂の普及と応用に将来的意義を有するものである。
【0040】
本発明の第4の目的は、95〜98質量%の石英砂、1.8〜2.5質量%の水ガラス、および0.6〜1.6質量%の液体増強剤を含む水ガラス自硬性砂を提供することであり、前記液体増強剤は、本発明の第1の目的に係る水ガラス鋳造用硬化剤である。
【0041】
本発明によれば、前記水ガラス自硬性砂は、95〜98質量%の石英砂、1.8〜2.5質量%の水ガラス、および0.6〜1.6質量%の液体増強剤を含み、その典型的であるが限定的ではない組み合わせとして、96質量%の石英砂、2.5質量%の水ガラス、および1.5質量%の液体増強剤を含み、或いは、96質量%の石英砂、2.4質量%の水ガラス、および1.6質量%の液体増強剤を含み、或いは、97.2質量%の石英砂、2.2質量%の水ガラス、および0.6質量%の液体増強剤を含み、或いは、97.5質量%の石英砂、1.8質量%の水ガラス、および0.7質量%の液体増強剤などを含む。紙面の都合と簡明のために、本発明では前記範囲に含まれる具体値を網羅的には列挙しない。