(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定間隔の複数の棚群に含まれる各棚、前記複数の棚群の周辺通路、各棚の棚下通路、及び前記棚群から搬送車により取り出される棚を置く棚エリアに関する位置情報、並びに各棚を管理する管理情報を記憶する記憶部と、
前記位置情報及び前記管理情報に基づき搬送車を制御する制御信号を出力する制御部と、
搬送車に対して前記制御信号を送信する通信部と、を備え、
前記複数の棚群のそれぞれは、第1及び第2の棚列を含み、
前記周辺通路は、前記複数の棚群のうちの所定の棚群の前記第1の棚列に近接する往路と第1の復路、及び各棚群の前記第2の棚列に近接する第2の復路を含み、
前記制御部は、前記棚群に含まれる第1の棚に対応する第1の回収位置へ向けて搬送車の走行を制御し、搬送車による前記第1の棚の回収を制御し、前記第1又は第2の復路を介して前記第1の回収位置から前記棚エリアへ向けて搬送車の走行を制御する第1の制御信号を出力し、
さらに、前記制御部は、搬送車により前記第1の棚に隣接していた第2の棚を、前記第1の棚の搬送により生じた空きスペースへ運ぶ棚スライドを1回又は複数回繰り返す第2の制御信号を出力する、搬送制御装置。
前記第2の制御信号は、前記第2の棚に対応する第2の回収位置へ向けて搬送車の走行を制御し、搬送車による前記第2の棚の回収を制御し、前記第2の回収位置から前記第1の回収位置へ向けて搬送車の走行を制御し、搬送車による前記第1の回収位置への前記第2の棚の配置を制御する信号を含む、請求項1の搬送制御装置。
前記第2の制御信号は、前記空きスペースが前記所定の棚群の前記第1の棚列に含まれる位置に移動するまで棚スライドを繰り返す信号を含む、請求項1又は2の搬送制御装置。
前記第1の制御信号は、前記第2の棚列に含まれる前記第1の棚に搬送車を向かわせる場合、前記第1の棚列に含まれる棚の棚下通路を搬送車が走行するように制御する信号を含む、請求項1の搬送制御装置。
前記制御部は、前記棚エリアの前記第1の棚に対応する第3の回収位置へ向けて搬送車の走行を制御し、搬送車による前記第1の棚の回収を制御し、前記往路を介して前記第3の回収位置から前記所定の棚群に含まれる前記空きスペースへ向けて搬送車の走行を制御する第3の制御信号を出力する、請求項3の搬送制御装置。
所定間隔の複数の棚群に含まれる各棚、前記複数の棚群の周辺通路、各棚の棚下通路、及び前記棚群から搬送車により取り出される棚を置く棚エリアに関する位置情報、並びに各棚を管理する管理情報に基づき、搬送車を制御する制御信号を出力し、
搬送車に対して前記制御信号を送信する、搬送制御方法であって、
前記複数の棚群のそれぞれは、第1及び第2の棚列を含み、
前記周辺通路は、前記複数の棚群のうちの所定の棚群の前記第1の棚列に近接する往路と第1の復路、及び各棚群の前記第2の棚列に近接する第2の復路を含み、
前記棚群に含まれる第1の棚に対応する第1の回収位置へ向けて搬送車の走行を制御し、搬送車による前記第1の棚の回収を制御し、前記第1又は第2の復路を介して前記第1の回収位置から前記棚エリアへ向けて搬送車の走行を制御する第1の制御信号を出力し、
さらに、搬送車により前記第1の棚に隣接していた第2の棚を、前記第1の棚の搬送により生じた空きスペースへ運ぶ棚スライドを1回又は複数回繰り返す第2の制御信号を出力する、搬送制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る搬送制御システムの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、搬送制御システム1は、上位サーバ11、搬送制御装置に相当するAGV(automated guided vehicle)コントローラ12を備え、AGVコントローラ12は、搬送車に相当するAGV2を制御する。本実施形態では、1台のAGVコントローラ12が、複数台のAGV2を制御するケースについて説明するが、例えば、倉庫が複数フロアに分かれており、各フロアに対応してAGVコントローラ12を設け、各フロアのAGVコントローラ12が、各フロアに配置される複数のAGV2を制御するようにしてもよい。
【0009】
上位サーバ11は、1台のコンピュータ又は複数台のコンピュータを組み合わせて実現することができ、AGVコントローラ12等の他の機器と有線又は無線で通信し、他の機器からの情報を受信し記憶し、また、他の機器へ制御信号等を送信し、他の機器を制御する。上位サーバ11は、荷物等の物品に関する荷物情報、及び1又は複数の物品を収容する棚に関する棚情報、AGV2に関するAGV情報、及び倉庫のマップデータ等を記憶する。物品情報は物品ID(identification information)等を含み、各物品には物品IDが割り当てられる。棚情報には棚ID等を含み、各棚には棚IDが割り当てられる。AGV情報はAGVID等を含み、各AGV2にはAGVIDが割り当てられる。
【0010】
例えば、各物品に対して直接、物品IDを記録してもよいし、各物品に物品IDが記録されたタグ等を取り付けるようにしてもよい。物品IDの記録方法としては、目視可能な印刷記録でもよいし、赤外線を吸収するインク等により目視できない印刷記録であってもよい。或いは、物品に物品IDを記憶した電子タグ又は無線タグ等を取り付けるようにしてもよい。物品IDは、少なくとも固有情報を含み、数字、文字、記号、バーコード、二次元コード、及びQRコード(登録商標)の1又は2以上の組み合わせで構成される情報である。同様に、各棚に対して直接、棚IDを記録してもよいし、各棚に棚IDが記録されたタグ等を取り付けるようにしてもよい。AGV2は、AGVIDを記憶するが、各AGV2に対して直接、AGVIDを記録してもよいし、各AGV2にAGVIDが記録されたタグ等を取り付けるようにしてもよい。
【0011】
本実施形態の搬送制御システム1は、倉庫内を撮影する複数のカメラ、及び複数のIDリーダを備え、IDリーダは、物品ID、棚ID、及びAGVIDを読み取る。上位サーバ11は、倉庫のマップデータ、各カメラと各IDリーダのマップ上の位置情報、各カメラからの撮影画像、及び各IDリーダからのIDに基づき、各物品、各棚、及び各AGV2の位置を検出し、またこれらの動きをトレースする。さらに、上位サーバ11は、物品の取り出し要求に従い、どのAGV2にどの棚をどのようなタイミングで出し入れするのかをスケジューリングする。
【0012】
AGVコントローラ12は、上位サーバ11からのスケジューリングに従い、各AGV2に対して制御信号を送信し、各AGV2の走行、及び各AGV2による棚の回収と配置を制御する。なお、棚の回収とは、棚を持ち上げること、棚を取り込むこと、又は棚を積載することなどを意味する。棚の配置とは、持ち上げた棚を降ろすこと、取り込んだ棚を放出すること、又は積載した棚を降ろすことなどを意味する。本実施形態では、AGV2による棚を回収して走行するケースについて説明するが、本実施形態の搬送制御システムは、AGV2が物品を回収して走行するケースにも適用可能である。
【0013】
図2は、実施形態に係る搬送制御システムのAGV及びAGVにより搬送される棚の一例を示す図である。
AGV2は、車輪付きの自走ロボットであり、AGVコントローラ12からの制御信号に基づき、目的の棚Rに対応する回収位置(例えば棚Rの直下)へ向けて走行し、回収位置にて目的の棚Rを回収し、棚の配置位置に向けて走行する。AGV2は、AGVコントローラ12からの制御信号に基づき、目的の棚Rに対応する棚の配置位置に目的の棚を配置する。
【0014】
例えば、棚Rは四脚で直立し、棚下の高さは(床面から棚底までの高さ)、AGV2の高さよりも高い。これにより、AGV2は、棚下に潜り込むことができる。棚下に潜り込んだAGV2は、棚リフト機構216により床面から脚が数センチ離れる程度に棚を持ち上げて、棚を持ち上げた状態で走行する。このようにしてAGV2は、棚を搬送することができる。
【0015】
例えば、AGV2は、マップデータ、目的位置データ、及び現在位置データに基づき、目的位置まで走行する。AGV2は、移動距離及び移動方向を検知しながら目的位置まで走行する。又は、AGV2は、通路に取り付けられた磁気テープ又は二次元バーコードを読み取りながら目的位置まで走行する。加えて、AGV2は、障害物(他のAGV2を含む)を検知するレーザ検知センサ又はカメラ等を備え、レーザ検知センサで検知される障害物、又はカメラで撮影された画像解析により検知される障害物を避けて走行することもできる。
【0016】
図3は、実施形態に係る搬送制御システムのAGVコントローラの概略構成の一例を示すブロック図である。
AGVコントローラ12は、AGV2の走行、及びAGV2による棚の回収と配置を制御する搬送制御装置に相当する。例えば、AGVコントローラ12は、棚の回収位置までAGV2を走行させ、AGV2により棚を回収させ、棚の配置位置までAGV2を走行させ、AGV2により棚の配置位置で棚を降ろさせる動作等を制御する。
図3に示すように、AGVコントローラ12は、プロセッサ121、ROM122、RAM123、補助記憶デバイス124、通信インタフェース125、及び入出力部126を備える。
【0017】
プロセッサ121は、AGV2の走行、及びAGV2による棚の回収と配置に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ121は、ROM122又は補助記憶デバイス124などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、AGVコントローラ12の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ121は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。あるいは、プロセッサ121は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0018】
ROM122は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM122は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM122は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM122は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0019】
RAM123は、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM123は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM123は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0020】
補助記憶デバイス124は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ121を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス124は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス124は、プロセッサ121が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ121での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0021】
ROM122又は補助記憶デバイス124に記憶されるプログラムは、AGV2の走行及びAGV2による棚の回収と配置を制御するためのプログラムを含む。一例として、AGVコントローラ12は、当該プログラムがROM122又は補助記憶デバイス124に記憶された状態でAGVコントローラ12の管理者などへと譲渡される。しかしながら、AGVコントローラ12は、当該プログラムがROM122又は補助記憶デバイス124に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下に補助記憶デバイス124へ書き込まれても良い。このときの当該プログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0022】
通信インタフェース125は、ネットワークなどを介して上位サーバ11及びAGV2等の他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース125は、上位サーバ11からのスケジューリングを受信し、また、AGV2へAGVの走行等を制御する制御信号を送信する。
【0023】
入出力部126は、キーボード、テンキー、マウス、及びタッチパネルディスプレイ等を備える。入出力部126は、オペレータからの指示入力を受け付けプロセッサ121へ通知する。また、タッチパネルディスプレイは、オペレータに対して各種情報を表示する。
【0024】
図4は、実施形態に係るAGVの概略構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、AGV2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、補助記憶デバイス24、通信インタフェース25、及び駆動部26を備える。
プロセッサ21は、走行及び棚の積み降ろし動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、ROM22又は補助記憶デバイス24などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、AGV2の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ21は、例えば、CPU、MPU、又はDSPである。あるいは、プロセッサ21は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。例えば、AGVコントローラ12は、AGV2を目的位置へ移動させるための制御信号を送信し、プロセッサ21は、AGVコントローラ12から送信される制御信号に含まれるマップデータ、目的位置データ、及び現在位置データ等に応じた駆動信号を出力する。或いは、プロセッサ21は、AGVコントローラ12から送信される制御信号に含まれる棚の積み降ろし指示に応じた駆動信号を出力する。
【0025】
ROM22は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM22は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM22は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM22は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0026】
RAM23は、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM23は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM23は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0027】
補助記憶デバイス24は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、プロセッサ21を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶デバイス24は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス24は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ21での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0028】
通信インタフェース25は、ネットワークなどを介してAGVコントローラ等の他の装置と無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース25は、AGVコントローラ12からの制御信号を受信する。また、通信インタフェース25は、AGVコントローラ12に対して、目的位置への走行完了、棚の回収の完了、又は配置の完了を通知する完了通知を送信する。
【0029】
駆動部26は、モータにより回転する車輪、進行方向を切り替える操舵機構、及びモータにより上下に移動する棚リフト機構等を備える。駆動部26は、プロセッサ21から出力される駆動信号に基づきモータを回転又は停止し、また、操舵機構を制御し、AGV2を目的位置へ移動させる。また、AGV2が棚下に潜り込んだ状態で、駆動部26は、プロセッサ21から出力される駆動信号に基づきモータを回転(順回転)し、棚リフト機構が上昇し棚が持ち上げられる。また、AGV2が目的位置に到達した後、駆動部26は、プロセッサ21から出力される駆動信号に基づきモータを回転(逆回転)し、棚リフト機構が下降し棚が床面に降ろされる。
【0030】
次に、AGV2が走行する倉庫環境について説明する。
図5は、実施形態に係る搬送制御システムが適用される倉庫環境の一例を示す図である。
倉庫には、複数の棚が並べられ、複数の棚の集まりで棚列が形成され、複数の棚列の集まりで棚群が形成される。形成される棚群は所定間隔で並び、一つの棚群に含まれる棚は所定間隔で並ぶ。
【0031】
例えば、
図5に示すように、倉庫61には、所定間隔で並ぶ棚群51及び52が形成される。棚群51は、棚列511及び512を含み、棚列511は、棚A4、B4、C4、D4を含み、棚列512は、棚A3、B3、C3、D3を含む。また、棚群52は、棚列521及び522を含み、棚列521は、棚A2、B2、C2、D2を含み、棚列522は、棚A1、B1、C1、D1を含む。なお、任意の棚については棚Rと表記する。
【0032】
また、倉庫61には、棚群51及び52の周辺に位置する周辺通路63、各棚Rの棚下通路64、及び棚群51及び52からAGV2により運ばれる棚Rを置くピッキングステーション62(棚エリア)が形成される。各棚Rの棚下は、AGV2が走行可能な棚下通路64になる。
【0033】
周辺通路63は、1台のAGV2で搬送される1台の棚に対応した通路幅の往路631、復路632(第1の復路)、復路633(第2の復路)、復路634(第2の復路)、復路635(第2の復路)を含む。
【0034】
往路631は、棚群51(所定の棚群)の棚列511(第1の棚列)に近接し、AGV2は、この往路631を介して、ピッキングステーション62から棚群51の棚列511に含まれる目的の棚Rへ走行する(行き)。また、AGV2は、この往路631と棚下通路64を介して、ピッキングステーション62から棚群51の棚列512に含まれる目的の棚R、又は棚群52の棚列521或いは棚列522に含まれる目的の棚Rへ走行する(行き)。復路632は、棚群51(所定の棚群)の棚列511(第1の棚列)に近接し、AGV2は、この復路632を介して、棚列511に含まれる目的の棚からピッキングステーション62へ走行する(戻り)。
【0035】
復路633は、棚群51の棚列512(第2の棚列)に近接し、AGV2は、この復路633及び復路635を介して、棚列512に含まれる目的の棚からピッキングステーション62へ走行する(戻り)。復路634は、棚群52の棚列522(第2の棚列)に近接し、AGV2は、この復路634及び復路635を介して、棚列522に含まれる目的の棚からピッキングステーション62へ走行する(戻り)。このように、全ての周辺通路63を一方通行にすることにより、AGV2同士の衝突を防止するとともに、多数のAGV2の搬送管理をシンプルにすることができる。また、一方のAGV2が、他方のAGVの通過を待つケースを減らすことができる。
【0036】
なお、AGVコントローラ12の補助記憶デバイス124は、倉庫61のマップデータを記憶し、マップデータは、棚群51及び52に含まれる各棚R、ピッキングステーション62、周辺通路63、棚下通路64に関する位置情報を含む。さらに、補助記憶デバイス124は、各棚R、及び各棚Rに収納される物品を管理する管理情報を記憶する。管理情報は、棚ID等を含む棚情報、及び物品ID等を含む物品情報を有する。
【0037】
次に、実施形態に係る搬送制御システムによる棚取り出しと棚スライドについて説明する。
【0038】
例えば、AGVコントローラ12は、倉庫61内の複数台のAGV2から任意の1台又は複数台のAGV2を選択する。1台のAGV2を選択した場合には、AGVコントローラ12は、選択したAGV2に対して棚取り出しの指示を含む第1の制御信号、棚スライドの指示を含む第2の制御信号、及びピッキングステーション62に配置された棚を空きスペースへ戻す指示を含む第3の制御信号を送信する。複数台のAGV2を選択した場合には、AGVコントローラ12は、選択した1台のAGV2に対して第1の制御信号を送信し、選択した他の1台のAGV2に対して第2の制御信号を送信する。
【0039】
最初に、
図6乃至
図8を参照し、棚取り出しについて説明する。
図6乃至
図8は、実施形態に係る搬送制御システムによる棚取り出しの一例を示す遷移図である。
【0040】
図6に示すように、整列された棚群51及び52を仮定する。AGVコントローラ12は、倉庫61内の複数台のAGV2から任意の一台のAGV2を選択し、選択したAGV2による棚C1の取り出しを指示する。例えば、AGVコントローラ12のプロセッサ121は、ピッキングステーション62で待機中のAGV2を選択し、第1の制御信号を出力し、通信インタフェース125は、第1の制御信号を選択されたAGV2へ送信する。
【0041】
第1の制御信号は、往路631及び棚下通路64を介して、ピッキングステーション62から棚C1に対応する回収位置(例えば棚C1の直下)へ向けてAGV2の走行を制御し、AGV2による棚C1の回収を制御し、棚下通路64、復路634、及び復路635を介して棚C1に対応する回収位置からピッキングステーション62の所定位置へ向けてAGV2の走行を制御し、AGV2による棚C1の所定位置への配置を制御する信号である。
【0042】
AGV2は、第1の制御信号に基づき、往路631(上に3マス)及び棚下通路64(左に5マス)を介して、ピッキングステーション62から棚C1に対応する回収位置へ向けて走行し、棚リフト機構216により棚C1を持ち上げて、棚C1の回収を完了する。さらに、
図7及び
図8に示すように、AGV2は、第1の制御信号に基づき、棚下通路64(左に1マス)、復路634(下に2マス)、及び復路635(右に7マス、下に1マス)を介して棚C1に対応する回収位置からピッキングステーション62の所定位置へ向けて走行し、所定位置へ棚C1を配置する。
図7及び
図8に示すように、棚群52の棚C1が置かれていたスペース651は、棚C1が搬送されたことにより生じた空きスペースとなる。
【0043】
続いて、
図9乃至
図12を参照し、棚スライドについて説明する。
図9乃至
図12は、実施形態に係る搬送制御システムによる棚スライドの一例を示す遷移図である。
【0044】
AGVコントローラ12は、倉庫61内の複数台のAGV2から任意の1台又は複数台のAGV2を選択し、選択したAGV2による棚スライドを指示する。AGVコントローラ12のプロセッサ121は、倉庫61内の各AGV2の稼働状況に基づき、1台のAGV2に棚取り出しと棚スライドを実行させるか、異なる複数台のAGV2(第1及び第2の搬送車)に棚取り出しと棚スライドを実行させるかを判断する。
【0045】
1台のAGV2(第1の搬送車)で棚取り出しと棚スライドを実行させる場合、プロセッサ121は、
図6乃至
図8で棚C1を搬送したAGV2と同一のAGV2を選択する。異なる2台のAGV2(第1及び第2の搬送車)で棚取り出しと棚スライドを実行する場合、プロセッサ121は、
図6乃至
図8で棚C1を搬送したAGV2と異なるAGV2を選択する。さらに、棚スライドを複数回実行する場合、プロセッサ121は、倉庫61内の各AGV2の稼働状況に基づき、同一のAGV2に複数回の棚スライドを担当(実行)させるか、異なる複数のAGV2に複数回の棚スライドを担当(実行)させるか判断し、AGV2を選択するようにしてもよい。
【0046】
複数台のAGV2を選択する場合、棚取り出しが決まったタイミングで棚スライドを計画することができ、棚スライドを効率良く実行することができる。例えば、空きスペースが生じるまでに、棚スライドを実行するAGV2を空きスペースの近くに待機させておくことができる。これにより、空きスペースが生じた直後に棚スライドを実行することができる。
【0047】
AGVコントローラ12のプロセッサ121は、棚スライドを1回又は複数回繰り返す第2の制御信号を出力し、通信インタフェース125は、選択されたAGV2へ第2の制御信号を送信する。例えば、第2の制御信号は、棚C1の搬送により生じたスペース651の空きを隣のスペース652にスライドしてスペース652を空きにするため、AGV2により棚C1に隣接していた棚C2をスペース651へ運ぶ棚スライドを実行する信号を含む。
【0048】
ピッキングステーション62に待機している1台のAGV2が選択された場合、選択されたAGV2は、第2の制御信号に基づき、往路631及び棚下通路64を介して、ピッキングステーション62から棚C1に隣接する棚C2に対応する回収位置へ向けて走行し、棚リフト機構216により棚C2を持ち上げて、棚C2の回収を完了する。
図9に示すように、AGV2は、回収位置からスペース651へ棚C2を搬送し、棚C2をスペース651へ配置する。
【0049】
さらに、AGV2は、第2の制御信号に基づき、棚下通路64及び復路634を介して、ピッキングステーション62へ戻り、往路631及び棚下通路64を介して、ピッキングステーション62から棚C2に隣接する棚C3に対応する回収位置へ向けて走行し、棚リフト機構216により棚C3を持ち上げて、棚C3の回収を完了し、スペース653からスペース652へ棚C3を搬送し、棚C3をスペース652へ配置する(
図10参照)。或いは、AGV2は、第2の制御信号に基づき、棚下通路64を介して、スペース651からスペース653へ走行し、棚リフト機構216により棚C3を持ち上げて、棚C3の回収を完了し、スペース653からスペース652へ棚C3を搬送し、棚C3をスペース652へ配置する(
図10参照)。
【0050】
さらに、AGV2は、第2の制御信号に基づき、棚下通路64及び復路634を介して、ピッキングステーション62へ戻り、往路631及び棚下通路64を介して、ピッキングステーション62から棚C3に隣接する棚C4に対応する回収位置へ向けて走行し、棚リフト機構216により棚C4を持ち上げて、棚C4の回収を完了し、スペース654からスペース653へ棚C4を搬送し、棚C4をスペース653へ配置する(
図11参照)。或いは、AGV2は、第2の制御信号に基づき、棚下通路64を介して、スペース652からスペース654へ走行し、棚リフト機構216により棚C4を持ち上げて、棚C4の回収を完了し、スペース654からスペース653へ棚C4を搬送し、棚C4をスペース653へ配置する(
図11参照)。以上により、スペース651の空きを目的位置(ピッキングステーション62に最も近い棚群51の棚列511)へスライドさせることができる。
【0051】
さらに、AGV2は、第3の制御信号に基づき、棚下通路64及び復路634を介して、ピッキングステーション62の棚C1に対応する回収位置へ向けて走行し、棚リフト機構216により棚C1を持ち上げて、棚C1の回収を完了し、往路631を介して、回収位置からスペース654へ棚C1を搬送し、棚C1をスペース654へ配置する(
図12参照)。以上により、取り出された棚C1をピッキングステーション62に最も近い棚群51の棚列511へ配置することができる。
【0052】
図13は、実施形態に係る搬送制御システムによる棚取り出し及び棚スライドの一例を示すフローチャートである。
【0053】
例えば、上位サーバ11は、複数の棚群の中から取り出したい目的の棚を指定し、AGVコントローラ12の通信インタフェース125は、目的の棚の指定を受信する(ST1)。プロセッサ121は、各AGV2の稼働状況に基づき、棚の搬送制御及び棚のスライド制御を実行する1台又は複数台のAGV2を選択し(ST2)、棚の搬送を制御する第1の制御信号、及び棚のスライドを制御する第2の制御信号を生成する。通信インタフェース125は、選択されたAGV2に対して第1の制御信号を送信し、また、選択されたAGV2に対して第2の制御信号を送信する。第1及び第2の制御信号の送信先であるAGV2は、同一のAGV2であってもよいし、異なるAGV2であってもよい。
【0054】
AGVコントローラ12のプロセッサ121は、通信インタフェース125を介して、選択されたAGV2に対して第1の制御信号を送信し、棚の搬送を制御し(ST3)、また、通信インタフェース125を介して、選択されたAGV2に対して第2の制御信号を送信し、棚スライドを制御する(ST5)。
【0055】
つまり、プロセッサ121は、第1の制御信号により、目的の棚に向けてAGV2の走行を制御し(ST31)、AGV2による目的の棚の回収を制御し(ST32)、ピッキングステーション62に向けてAGV2の走行を制御し(ST33)、AGV2によるピッキングステーション62への目的の棚の配置を制御する(ST34)。
【0056】
ST3の棚の搬送制御により、目的位置(例えばピッキングステーション62に最も近い棚群51の棚列511)が空きスペースにならなければ(ST4、NO)、プロセッサ121は、第2の制御信号により、搬送された棚に隣接するスライド対象の棚に向けてAGV2の走行を制御し(ST51)、AGV2によるスライド対象の棚の回収を制御し(ST52)、空きスペースに向けてAGV2の走行を制御し(ST53)、AGV2による空きスペースへのスライド対象の棚の配置を制御する(ST54)。
【0057】
目的位置が空きスペースにならなければ(ST4、NO)、再度、棚スライドを実行し(ST5)、目的位置が空きスペースになれば(ST4、YES)、処理を終了する。
【0058】
以上により、本実施形態によれば、物品の保管及び出し入れの効率化を図ることができる搬送制御装置、搬送制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【0059】
各周辺通路63のレイアウトにより、棚を高密度に配置し、倉庫スペースを有効活用することができる。棚取り出し時には、AGV2を一方通行(例えば反時計回り)にすることにより、棚取り出しの効率化を図ることができる。また、棚スライドを導入することにより、ピッキングステーション62に最も近い棚群51の棚列511に空きスペースを配置することができ、ピッキングステーション62に運び込まれた棚を効率良く棚群51へ戻すことができる。また、棚スライドを導入することにより、使用頻度の低い棚はピッキングステーション62から遠い棚群52(さらには棚列522)へ集められることになり、逆に使用頻度の高い棚はピッキングステーション62から近い棚群51(さらには棚列511)へ集められることになり、棚の取り出しの効率化を図ることができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】記憶部は複数の棚群の周辺通路、各棚の棚下通路、及び前記棚群から搬送車により取り出される棚を置く棚エリアに関する位置情報、並びに各棚を管理する管理情報を記憶する。制御部は、位置情報及び管理情報に基づき搬送車を制御する制御信号を出力する。通信部は、搬送車に対して制御信号を送信する。複数の棚群のそれぞれは、第1及び第2の棚列を含む。周辺通路は、複数の棚群のうちの所定の棚群の第1の棚列に近接する往路と第1の復路、及び各棚群の第2の棚列に近接する第2の復路を含む。制御部は、棚群に含まれる第1の棚に対応する第1の回収位置へ向けて搬送車の走行を制御し、搬送車による第1の棚の回収を制御し、第1又は第2の復路を介して第1の回収位置から棚エリアへ向けて搬送車の走行を制御する第1の制御信号を出力する。