特許第6736873号(P6736873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6736873-車載型充電装置 図000002
  • 特許6736873-車載型充電装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6736873
(24)【登録日】2020年7月20日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】車載型充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20200728BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   H02J1/00 306L
   H02J7/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-243872(P2015-243872)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-112672(P2017-112672A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鷁頭 政和
(72)【発明者】
【氏名】武井 修
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−121229(JP,A)
【文献】 特開2011−205755(JP,A)
【文献】 特開平09−233830(JP,A)
【文献】 特開2013−5615(JP,A)
【文献】 特開2007−202247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−58/40
H01M10/42−10/48
H02J 1/00− 1/16
7/00− 7/12
7/34− 7/36
H02M 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続されて車載の蓄電装置を充電する車載型充電装置において、
前記交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する交流/直流変換器と、
前記交流/直流変換器から出力される直流電圧を所定の大きさの直流電圧に変換して前記蓄電装置に供給する直流/直流変換器と、
前記交流/直流変換器の出力側に接続された平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサを放電させる放電回路と、
前記平滑コンデンサの両端に接続されてその両端電圧が電源電圧として供給されると共に、前記蓄電装置の非充電時に前記放電回路のロックを解除して当該放電回路を動作させる制御電源と、
を備え、
前記蓄電装置の非充電時における前記平滑コンデンサの残留電圧を前記制御電源に供給して前記制御電源を動作させることにより前記放電回路を動作させて前記平滑コンデンサを放電させることを特徴とする車載型充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車載型充電装置において、
前記制御電源により、前記交流/直流変換器及び前記直流/直流変換器に電源電圧を供給することを特徴とする車載型充電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した車載型充電装置において、
前記交流/直流変換器を、力率制御回路として動作させることを特徴とする車載型充電装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した車載型充電装置において、
前記制御電源が、ほぼ60[V]以下の電圧により動作可能であることを特徴とする車載型充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される車載型充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、車載型充電装置の概略的な構成図であり、例えば、特許文献1に記載された電動車両用電源システムと同等のものである。
図2において、10は外部の交流電源(商用電源)、15は充電ケーブルやプラグ、コンセント、コネクタ等を含む接続部、20Aは車両に搭載される車載型充電装置、30は二次電池やキャパシタ等の蓄電装置である。
【0003】
車載型充電装置20Aは、PFC回路(力率制御回路)として機能するAC/DC(交流/直流)変換器21と、その出力側に接続された平滑コンデンサ22及び放電回路23と、AC/DC変換器21の直流出力電圧を所定の大きさの直流電圧に変換して出力するDC/DC(直流/直流)変換器24と、その出力側に接続された平滑コンデンサ25及び放電回路26と、制御電源27とを備えている。
ここで、制御電源27は、交流電源電圧を所定の大きさの直流電圧に変換し、AC/DC変換器21、DC/DC変換器24、及び放電回路23,26に電源電圧を供給している。
【0004】
車載型充電装置20Aの内部には数百[V]クラスの高電圧部があり、平滑コンデンサ22,25の電圧も高電圧であることが多い。従って、蓄電装置30の非充電時には、安全上の観点から平滑コンデンサ22,25に蓄えられた電荷を放電する必要がある。このため、例えばスイッチング素子やリレー等の放電用スイッチと抵抗とを直列に接続してなる放電回路23,26を平滑コンデンサ22,25にそれぞれ並列に接続し、非充電時に放電用スイッチをオンさせて平滑コンデンサ22,25を放電させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4984010号公報(段落[0030]〜[0032]、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2に示した従来技術では、制御電源27が交流電源電圧を直流電圧に変換して電源電圧を生成しているため、交流電源10の停電や接続部15の不良が発生すると、放電回路23,26を動作させるための電源電圧が供給されなくなり、平滑コンデンサ22,25の放電が不可能になるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の解決課題は、交流電源電圧が供給されない場合でも放電回路を確実に動作させて平滑コンデンサの放電を可能にした車載型充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、交流電源に接続されて車載の蓄電装置を充電する車載型充電装置において、
前記交流電源の交流電圧を直流電圧に変換する交流/直流変換器と、
前記交流/直流変換器から出力される直流電圧を所定の大きさの直流電圧に変換して前記蓄電装置に供給する直流/直流変換器と、
前記交流/直流変換器の出力側に接続された平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサを放電させる放電回路と、
前記平滑コンデンサの両端に接続されてその両端電圧が電源電圧として供給されると共に、前記蓄電装置の非充電時に前記放電回路のロックを解除して当該放電回路を動作させる制御電源と、
を備え、
前記蓄電装置の非充電時における前記平滑コンデンサの残留電圧を前記制御電源に供給して前記制御電源を動作させることにより前記放電回路を動作させて前記平滑コンデンサを放電させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した車載型充電装置において、前記制御電源により、前記交流/直流変換器及び前記直流/直流変換器に電源電圧を供給するものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載した車載型充電装置において、前記交流/直流変換器を、力率制御回路として動作させるものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した車載型充電装置において、 前記制御電源が、ほぼ60[V]以下の電圧により動作可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交流電源電圧が供給されない場合でも、制御電源から電源電圧を供給して放電回路を動作させ、平滑コンデンサを放電させることができる。
これにより、従来よりも車載型充電装置の安全性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車載型充電装置の概略的な構成図である。
図2】特許文献1に記載された電動車両用電源システムと同等の車載型充電装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車載型充電装置の構成図である。図1において、図2と同じ部分には同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では図2と異なる部分を中心に説明する。
【0015】
図1において、平滑コンデンサ22の電圧(AC/DC変換器21の直流出力電圧)Vは制御電源28に入力されており、制御電源28は、電圧VをDC/DC変換して所定の大きさの直流電圧を生成可能に構成されている。この直流電圧は、電源電圧としてAC/DC変換器21、DC/DC変換器24、及び放電回路23,26に供給されるようになっている。
なお、制御電源28の回路構成は、入力電圧Vから所定の大きさの直流定電圧を生成可能であれば特に限定されない。
【0016】
AC/DC変換器21は、前述したようにPFC回路として機能し、例えば、ダイオード整流回路の正負出力端子間にリアクトルとスイッチング素子とを直列に接続し、両者の直列接続点にアノードが接続されたダイオードのカソードと上記ダイオード整流回路の負側出力端子との間から直流電圧を得るものであり、上記スイッチング素子の制御によって交流電源10の力率を制御可能である。
【0017】
また、放電回路23,26は、従来と同様に、スイッチング素子やリレー等の放電用スイッチと抵抗との直列回路からなり、放電用スイッチをオンすることによってコンデンサ22,25の電荷を抵抗により消費させるものである。
これらのAC/DC変換器21や放電回路23,26は、個別の部品により構成しても良いし、それぞれ専用のICを用いて構成しても良い。
【0018】
本実施形態の動作を説明すると、以下の通りである。
まず、蓄電装置30の充電時に交流電源10が充電装置20に接続されると、AC/DC変換器21を介して平滑コンデンサ22が充電される。平滑コンデンサ22の電圧Vが制御電源28の動作可能な電圧に達すると、制御電源28が動作して電源電圧が生成され、DC/DC変換器24が動作する。これにより、蓄電装置30に所定の電圧、電流が供給されて蓄電装置30が充電される。
【0019】
ここで、交流電源10が接続されたか否かは、AC/DC変換器21の入力電圧や電流、平滑コンデンサ22の電圧V等を検出し、または、接続部15の接続状態の正常・異常を機械的に検出する等の方法により判定可能である。
なお、蓄電装置30の充電時には、放電回路23,26が動作しないようにロックしておく。
【0020】
蓄電装置30の充電が完了すると、充電ケーブルを取り外して交流電源10と充電装置20との接続を解除する。このとき、平滑コンデンサ22には電圧Vが保持されており、この残留電圧Vが所定値(例えば、車載型充電装置の安全電圧である60[V])以下でも制御電源28が動作できるように設定しておけば、放電回路23,26のロックを解除してこれを起動させ、平滑コンデンサ22,25を放電させることができる。その結果として、平滑コンデンサ22,25の電圧を、安全電圧の60[V]以下に低下させることができる。
【0021】
放電回路23の動作により平滑コンデンサ22が放電し、その電圧Vが制御電源28の動作可能な電圧未満になると、制御電源28が動作不能になって放電回路23,26の動作も停止する。なお、制御電源28の動作停止後においても、例えば平滑コンデンサ22,25の電圧を電源電圧として利用することにより放電回路23,26を動作させ、平滑コンデンサ22,25の電圧が所定値以下になったら放電回路23,26を停止させるように構成しても良い。
【0022】
以上のように、この実施形態によれば、蓄電装置30の非充電時において、交流電源10が供給されなくなっても平滑コンデンサ22,25を放電させることが可能であり、これによって充電装置20の内部に高電圧が保持されるのを防止することができる。
すなわち、本実施形態では交流電源10が消失した場合でも放電回路23,26が動作可能であるから、例えば交流電源10が接続部15に接続された状態における停電時や電圧低下時にも、放電回路23,26を動作させて平滑コンデンサ22,25を放電させることができ、安全性の向上が可能になる。
【符号の説明】
【0023】
10:交流電源
15:接続部
20:車載型充電装置
21:AC/DC変換器(PFC回路)
22,25:コンデンサ
23,26:放電回路
24:DC/DC変換器
28:制御電源
30:蓄電装置
図1
図2