特許第6737079号(P6737079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6737079
(24)【登録日】2020年7月20日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】フックの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60D 1/04 20060101AFI20200728BHJP
【FI】
   B60D1/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-170220(P2016-170220)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-34690(P2018-34690A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 章司
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 尚宜
(72)【発明者】
【氏名】徳武 将也
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−026515(JP,U)
【文献】 実開昭63−187706(JP,U)
【文献】 実公昭57−026962(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60D 1/04
B60D 1/52
F16B 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被牽引物を牽引するための線状部材を着脱可能に接続するためのフックの取付構造であって、
前記フックは、
被牽引物を牽引するための線状部材を接続する接続部と、
長穴を有し、車両に固定される取付部と、
前記長穴に嵌合する本体部と、前記本体部の長手方向と直交する方向に突出する突起部とを有する締結部と、
を有し、
前記フックの取付構造は、
前記車両の前後方向に延伸するサイドメンバに固定される第1面と、前記第1面と直交し、前記サイドメンバと直交するクロスメンバに固定されている第2面と、を有するブラケットと、
前記長穴に前記本体部が嵌合し、かつ、前記突起部が前記第1面に形成された穴及び前記サイドメンバに形成された穴に挿入された状態で、前記取付部を前記第1面及び前記サイドメンバに固定する固定部と、
を有することを特徴とするフックの取付構造。
【請求項2】
前記取付部は丸穴をさらに有し、
前記突起部が、前記第1面に形成された穴及び前記サイドメンバに形成された穴に挿入された状態で、前記突起部と前記丸穴とを結ぶ直線の方向が、前記車両の水平方向と一致していることを特徴とする、
請求項に記載のフックの取付構造。
【請求項3】
前記突起部が、前記本体部の長手方向における端部から所定の距離以内の位置に形成されていることを特徴とする、
請求項又はに記載のフックの取付構造。
【請求項4】
前記締結部は、複数の前記突起部を有することを特徴とする、
請求項からのいずれか一項に記載のフックの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられているフックの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、フック及びフックの取付構造が設けられている。特許文献1には、車両用フック及び車両用フックの取付構造が開示されている。フック部材は、ボルト孔及び長孔を有しており、それぞれに、円柱形状のボルトが挿入されることにより、サイドメンバに締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02−060603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用フックの取付構造は、円柱形状のボルトによってフック部材が車両に固定されている。したがって、フック部材で被牽引物を牽引する際に、フック部材に形成されている穴におけるボルトが接触する部分だけに負荷が発生してしまう。その結果、フック部材に対して、大きな負荷が発生してしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、フックで被牽引物を牽引した際に、フックに形成されている穴に対して発生する負荷を小さくするこができるフック及びフックの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、被牽引物を牽引するための線状部材を着脱可能に接続するためのフックであって、被牽引物を牽引するための線状部材を接続する接続部と、長穴を有し、車両に固定される取付部と、前記長穴に嵌合する本体部と、前記本体部の長手方向と直交する方向に突出する突起部とを有する締結部と、を有することを特徴とするフックを提供する。
【0007】
また、前記取付部は、前記車両に前記フックを固定するための丸穴をさらに有していてもよい。また、前記突起部が前記本体部の長手方向における端部から所定の距離以内の位置に形成されていてもよい。また、前記締結部は、複数の前記突起部を有していてもよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、被牽引物を牽引するための線状部材を着脱可能に接続するためのフックの取付構造であって、前記フックは、被牽引物を牽引するための線状部材を接続する接続部と、長穴を有し、車両に固定される取付部と、前記長穴に嵌合する本体部と、前記本体部の長手方向と直交する方向に突出する突起部とを有する締結部と、を有し、前記フックの取付構造は、前記長穴に前記本体部が嵌合し、かつ、前記突起部が、前記車両に形成された穴に挿入された状態で、前記取付部を前記車両に固定する固定部を有することを特徴とするフックの取付構造を提供する。
【0009】
前記取付部は丸穴をさらに有し、前記突起部が、前記車両に形成された穴に挿入された状態で、前記突起部と前記丸穴とを結ぶ直線の方向が、前記車両の水平方向と一致していてもよい。前記突起部が、前記本体部の長手方向における端部から所定の距離以内の位置に形成されていてもよい。また、前記締結部は、複数の前記突起部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フックで被牽引物が牽引される際に、車両用フックに形成されている取付孔に対して負荷を分散させて発生させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4が車両に取付けられた状態を示す。
図2】本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4を構成する部材が分離された状態を示す。
図3】フック42の車両に対する取付例1を示す。
図4】フック42の車両に対する取付例2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4の構造]
図1は、本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4が車両に取付けられた状態を示す図である。図2は、本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4を構成する部材が分離された状態を示す図である。
【0013】
サイドメンバ1は、車両の前後方向に延伸する部材である。サイドメンバ1は、金属製で、コの字形状の断面を有する。サイドメンバ1は、サイドメンバ1の側面にボルトを挿入するための複数の取付穴11、12を有する。取付穴11は、サイドメンバ1の長手方向における車両の前方側の端部から所定距離離れた位置に形成されている。取付穴12は、取付穴11が形成されている位置から、さらに、サイドメンバ1の長手方向における車両の後方側に向かって所定距離離れた位置に形成されている。
【0014】
クロスメンバ2は、車両の左右方向に延伸する部材である。クロスメンバ2は、金属製で、コの字形状の断面を有する。クロスメンバ2は、複数のサイドメンバ1の間に、複数のサイドメンバ1と直交して設けられている。クロスメンバ2は、ボルトを挿入するための複数の取付穴21、22を有する。線状部材3は、被牽引物を牽引するための紐である。線状部材3は、フック42の接続部421に着脱可能に接続される。
【0015】
フックの取付構造4は、ブラケット41、フック42、締結部43、締結部品44、及び固定部45を有する。ブラケット41は、フック42を車両に取付けるための取付部材である。ブラケット41のサイドメンバ1と接する面は、突起部432と締結部品44を挿入するための複数の取付穴411、412を有する。ブラケット41のクロスメンバ2と接する面は、ボルトを挿入するための複数の取付穴413、414を有する。
【0016】
フック42は、被牽引物を牽引するための線状部材3を着脱可能に接続するための部材である。フック42は、接続部421と取付部422とを有する。接続部421は、線状部材3を接続する部材であり、湾曲形状を有する。取付部422は、フック42を車両に取付けるための板状の部分である。
【0017】
取付部422は、長穴4221と丸穴4222とを有する。長穴4221は、締結部43が挿入される穴である。長穴4221は、取付部422の中心付近に形成されている。長穴4221の長手方向は、取付部422の短手方向と同じ方向である。長穴4221の長手方向は、接続部421が取付部422から延伸する方向と直交している。長穴4221は、深さ方向において内径が大きな穴と内径が小さな穴とで形成されており、内側面に段差を有する。
【0018】
丸穴4222は、締結部品44を挿入するための穴である。丸穴4222は、取付部422の長手方向における接続部421が形成された端部とは反対側の端部付近に形成されている。取付部422は、このように丸穴4222を有するので、フック42を車両に対してより強固に固定することができる。
【0019】
締結部43は、フック42を車両に取付けるための部材である。締結部43は、本体部431と突起部432とを有する。本体部431は、長穴4221に嵌合される部分である。本体部431の長手方向の長さは、長穴4221の長手方向の長さと同じである。本体部431の短手方向の長さは、長穴4221の短手方向の長さと同じである。本体部431の高さ方向の長さは、取付部422の高さ方向の長さと同じである。本体部431は、外径が大きな部分と外径が小さな部分とで形成されており、外側面に段差を有する。長穴4221に締結部43を挿入すると、本体部431の外側面に形成された段差が長穴4221の内側面に形成された段差に突き当たる。
【0020】
突起部432は、円柱形状を有する。突起部432は、固定部45が螺合されるための溝を有する。突起部432は、本体部431に対して、本体部431の長手方向と直交する方向に突出して設けられている。突起部432は、本体部431の長手方向における端部から所定の距離以内の位置に形成されている。突起部432は、例えば、本体部431の長手方向における端部に設けられている。締結部品44は、例えば、ボルトである。締結部品44は、丸穴4222に挿入される。
【0021】
固定部45は、例えば、ナットである。固定部45は、長穴4221に本体部431が嵌合し、かつ、突起部432及び締結部品44が、車両に形成されている穴(サイドメンバ1に形成されている取付穴11、12、及びブラケット41に形成されている取付穴411、412)に挿入された状態で、突起部432及び締結部品44に対して締め付けることにより、取付部422を車両に対して固定するための部材である。
【0022】
取付部422は、ブラケット41に形成されている取付穴411、412と、サイドメンバ1に形成されている取付穴11、12とに、それぞれ突起部432と締結部品44とを挿入して、挿入した突起部432と締結部品44とにそれぞれ固定部45を締め付けることにより、車両に対して固定される。突起部432が、車両に形成されている穴(サイドメンバ1に形成されている取付穴11、及びブラケット41に形成されている取付穴411)に挿入された状態で、突起部432と丸穴4222とを結ぶ直線の方向が、車両の水平方向と一致している。このような構成であることにより、フック42を車両に対してより強固に固定することができる。
【0023】
[車両へのフック42の取付方法]
図3は、フック42の車両に対する取付例1を示す図である。図4は、フック42の車両に対する取付例2を示す図である。
取付例1では、接続部421が、車両の水平方向に対して、下向きに所定の角度傾いて設けられている。取付例1に示すように、フックの取付構造4を車両に取付けるには、まず、取付部422に形成されている長穴4221の長手方向における上端の位置と、サイドメンバ1に形成されている取付穴11及びブラケット41に形成されている取付穴411の一端の位置とを一致させた状態で、締結部43を長穴4221に挿入する。次に、挿入した締結部43の突起部432に固定部45を締め付ける。
【0024】
続いて、取付部422に形成されている丸穴4222の位置と、サイドメンバ1に形成されている取付穴12及びブラケット41に形成されている取付穴412の位置とを一致させて、締結部品44を丸穴4222に挿入する。そして、挿入した締結部品44に固定部45を締め付ける。
【0025】
取付例2では、接続部421が、車両の水平方向に対して、上向きに所定の角度傾いて設けられている。取付例2に示すように、フックの取付構造4を車両に取付けるには、まず、取付部422に形成されている長穴4221の長手方向における下端の位置と、サイドメンバ1に形成されている取付穴11及びブラケット41に形成されている取付穴411の一端の位置とを一致させた状態で、締結部43を長穴4221に挿入する。次に、挿入した締結部43の突起部432に固定部45を締め付ける。
【0026】
続いて、取付部422に形成されている丸穴4222の位置と、サイドメンバ1に形成されている取付穴12及びブラケット41に形成されている取付穴412の位置とを一致させて、締結部品44を丸穴4222に挿入する。そして、挿入した締結部品44に固定部45を締め付ける。
【0027】
このように、突起部432が本体部431の長手方向における端部から所定の距離以内の位置に形成されている。このため、車両が有する穴に対する長穴4221の位置を調整して、かつ、締結部43の向きを変化させて締結部43を長穴4221に挿入することにより、フック42を車両の水平方向に対して異なる角度で取付けることができる。この結果、車種やバンパーの形状等の違いにより、フック42を車両の水平方向に対して異なる角度で取付ける必要があるときにも、対応することができる。
【0028】
また、本実施形態においては、締結部43は、1つの突起部432を有するが、突起部432の数は任意である。例えば、締結部43は、複数の突起部432を有していてもよい。このような構成とすることで、フック42を車両に対して、より強固に固定することができる。
【0029】
[本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4による効果]
本実施形態に係るフック42は、被牽引物を牽引するための線状部材3を接続する接続部421と、長穴4221を有し、車両に固定される取付部422と、長穴4221に嵌合する本体部431と、本体部431の長手方向と直交する方向に突出する突起部432とを有する締結部43とを有する。
【0030】
また、本実施形態に係るフックの取付構造4においては、上記のフック42に形成された長穴4221に、本体部431が嵌合され、かつ、突起部432が車両に形成された穴(サイドメンバ1に形成されている取付穴11、及びブラケット41に形成されている取付穴411)に挿入された状態で、取付部422を車両に固定する固定部45と、を有する。
【0031】
本実施形態に係るフック42及びフックの取付構造4は、このように長穴4221に嵌合する本体部431を有することにより、フック42が有する取付穴の内側面に対して締結部43の外側面が接触する面積を大きくすることができる。この結果、長穴4221に締結部43を嵌合させた状態で、フック42に線状部材3を接続して被牽引物を牽引する際に、フック42に形成されている長穴4221に発生する負荷を分散させることができる。よって、被牽引物を牽引する際に、フック42が破損することを防ぐことができる。
【0032】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0033】
1・・・サイドメンバ
11・・・取付穴
12・・・取付穴
2・・・クロスメンバ
21・・・取付穴
22・・・取付穴
3・・・線状部材
4・・・フックの取付構造
41・・・ブラケット
411・・・取付穴
412・・・取付穴
413・・・取付穴
414・・・取付穴
42・・・フック
421・・・接続部
422・・・取付部
4221・・・長穴
4222・・・丸穴
43・・・締結部
431・・・本体部
432・・・突起部
44・・・締結部品
45・・・固定部
図1
図2
図3
図4