(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
一形態に係る半導体モジュールは、第1回路基板と、上記第1回路基板に搭載される複数のトランジスタと、第2回路基板と、上記第2回路基板に搭載された少なくとも一つのゲート抵抗とを有する回路部品と、上記第1回路基板に搭載された複数の上記トランジスタを収容するケースと、を備え、上記回路部品は、複数の上記トランジスタに対応して配置されており、上記第2回路基板が上記第1回路基板に対して交差した状態で上記第1回路基板に固定されており、上記ケースのうち上記第1回路基板と対向する壁部には、上記回路部品に対応する開口部が形成されており、上記ケースは、上記開口部から上記第1回路基板に向けて延びており、上記回路部品を取り囲む筒部を有する。
【0012】
上記半導体モジュールは、ゲート抵抗を有する回路部品を有し、その回路部品は、上記第2回路基板が上記第1回路基板に対して交差した状態で上記第1回路基板に固定されている。そのため、例えば、ゲート抵抗を半導体モジュールの外部に設けた場合より、複数のトランジスタと、ゲート抵抗との配線長を短くすることが可能である。その結果、複数のトランジスタと、ゲート抵抗との配線に起因するインダクタンスが低減されるので、半導体モジュールを高速動作可能である。更に、回路部品は、上記第2回路基板が上記第1回路基板に対して交差した状態で上記第1回路基板に固定していることから、第1回路基板における回路部品の配置領域を低減でき、第1回路基板を小型化できる。その結果、半導体モジュールの小型化が図れる。
【0013】
上記回路部品は、上記第2回路基板が上記第1回路基板に対して垂直な状態となるように上記第1回路基板に固定されていてもよい。これにより、第1回路基板における回路部品の配置領域を更に低減できる。そのため、より小型の半導体モジュールを実現可能である。
【0014】
上記回路部品は、隣接する上記トランジスタの間に配置されていてもよい。これにより、上記隣接するトランジスタと回路部品が有するゲート抵抗との配線長をより短くできる。
【0015】
複数の上記トランジスタは、上記回路部品を囲むように配置されていてもよい。これにより、複数の上記トランジスタと回路部品が有するゲート抵抗との配線長をより短くできる。
【0016】
一形態において、複数の上記トランジスタのうち少なくとも一つの第1トランジスタは、電力変換回路の上アーム側のトランジスタであり、上記複数の上記トランジスタのうち少なくとも一つの第2トランジスタは、上記電力変換回路の下アーム側のトランジスタであり、上記少なくとも一つのゲート抵抗は、上記第1トランジスタに対応した第1ゲート抵抗及び上記第2トランジスタに対応した第2ゲート抵抗を有する複数のゲート抵抗であり、上記回路部品は、上記少なくとも一つの第1トランジスタ及び上記少なくとも一つの第2トランジスタに囲まれていてもよい。この構成では、半導体モジュールは、電力変換回路として機能する。上記回路部品が、上記少なくとも一つの第1トランジスタ及び上記少なくとも一つの第2トランジスタに囲まれていることから、第1トランジスタと第1ゲート抵抗との配線長、及び第2トランジスタと第2ゲート抵抗との配線長を短くすることが可能である。
【0017】
一形態において、上記第1回路基板は、絶縁基板と、上記絶縁基板上に設けられた第1入力用配線パターン、第2入力用配線パターン、出力用配線パターン、第1ゲート配線パターン及び第2ゲート配線パターンと、を有し、複数の上記トランジスタのうち少なくとも一つの第1トランジスタは、上記第1トランジスタの第1主電極パッド、第2主電極パッド及びゲート電極パッドが上記第1入力用配線パターン、上記出力用配線パターン及び上記第1ゲート配線パターンに電気的に接続された状態で、上記第1回路基板に搭載されており、複数の上記トランジスタのうち少なくとも一つの第2トランジスタは、上記第2トランジスタの第1主電極パッド、第2主電極パッド及びゲート電極パッドが上記出力用配線パターン、上記第2入力用配線パターン及び上記第2ゲート配線パターンに電気的に接続された状態で、上記第1回路基板に搭載されており、上記少なくとも一つのゲート抵抗は、上記第1トランジスタに対応した第1ゲート抵抗及び上記第2トランジスタに対応した第2ゲート抵抗を有する複数のゲート抵抗であり、上記回路部品は、上記第1ゲート配線パターンに上記第1ゲート抵抗が電気的に接続されるとともに、上記第2ゲート配線パターンに上記第2ゲート抵抗が電気的に接続された状態で上記第1回路基板に固定されており、上記回路部品は、上記少なくとも一つの第1トランジスタ及び上記少なくとも一つの第2トランジスタに囲まれていてもよい。この構成では、半導体モジュールは、第1トランジスタが上アーム側のトランジスタであり、第2トランジスタが下アーム側のトランジスタである電力変換回路として機能する。上記回路部品が、上記少なくとも一つの第1トランジスタ及び上記少なくとも一つの第2トランジスタに囲まれていることから、第1トランジスタと第1ゲート抵抗との配線長、及び第2トランジスタと第2ゲート抵抗との配線長を短くすることが可能である。
【0018】
上記第1ゲート抵抗は、上記第2回路基板の一方の面に搭載され、上記第2ゲート抵抗は、上記第2回路基板の他方の面に搭載されていてもよい。第2回路基板の両面を利用して第1ゲート抵抗及び第2ゲート抵抗を配置することから、省スペース化が図れている。
【0019】
上記ケースには、上記筒部に連通する凹部が形成されていてもよい。これにより、筒部内に配置された回路部品への通気性が向上する。この場合、半導体モジュールを高速動作しても、ゲート抵抗を効率的に冷却可能である。
【0020】
上記凹部は、上記ケースの一側壁から反対側の側壁まで延びていてもよい。これにより、筒部内に配置された回路部品への通気性が更に向上する。
【0021】
上記トランジスタは、ダイオード内蔵型のトランジスタであってもよい。これにより、トランジスタとは別部品としてダイオードを配置しなくてもよい。そのため、第1回路基板におけるダイオード搭載領域が不要になるので、半導体モジュールを小さくできる。
【0022】
上記トランジスタは、MOSFETであってもよい。MOSFETは、高速動作に適している。そのため、トランジスタがMOSFETである形態は、半導体モジュールの高速動作に有効である。更にMOSFETは、その構成上、ダイオードを内蔵しているため、前述したように、半導体モジュールの小さくできる。
【0023】
上記トランジスタの材料は、ワイドバンドギャップ半導体を含み得る。
【0024】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0025】
図1は、一形態に係る半導体モジュールを模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示した半導体モジュールを上側からみた場合の透視図である。
図2では、半導体モジュールの主要構成要素を示している。
図3は、半導体モジュールが有する第1回路基板上の構成を示した模式図である。
図4は、
図2のIV―IV線に沿った断面図である。
図5は、
図2のV−V線に沿った断面図である。以下の説明では、
図1に示したX方向、Y方向、Z方向を使用する場合もある。Z方向は、第1回路基板の厚さ方向に対応する。X方向及びY方向は、Z方向に直交する方向であり、X方向とY方向は互いに直交している。
【0026】
半導体モジュール1は、第1回路基板12と、4つの第1トランジスタTr1、4つの第2トランジスタTr2と、2つのゲート基板(回路部品)14と、ケース16とを備える。半導体モジュール1では、正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の一端がケース16から引き出されており、正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の他端は、第1回路基板12に接続されている。
【0027】
図2〜
図5に示したように、第1回路基板12は、絶縁基板121と、絶縁基板121上に形成されたPパッド122、Oパッド123、Nパッド124、2つの第1制御用パッド125a及び2つの第2制御用パッド125bとを有する。第1回路基板12は、2つの第1補助パッド126a及び2つの第2補助パッド126bを有してもよい。断らない限り、第1回路基板12が第1補助パッド126a及び第2補助パッド126bを有する形態を説明する。
【0028】
絶縁基板121は例えばセラミックス基板である。絶縁基板121の材料の例は、AlN、SiN及びAl
2O
3を含む。絶縁基板121の厚さ方向から見た形状は限定されないが、例えば矩形及び正方形が挙げられる。
【0029】
図2及び
図3に示したように、Pパッド(第1入力用配線パターン)122及びOパッド(出力用配線パターン)123及びNパッド(第2入力用配線パターン)124は、X方向に延びており、例えば銅からなる導電層である。Y方向において、Pパッド122、Oパッド123及びNパッド124は、この順に離間して対向配置されている。
図1に示した正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の他端(ケース16内の端)は、Pパッド122、Oパッド123、Nパッド124に接続されている。例えば、X方向において、Pパッド122及びNパッド124それぞれの同じ側の端部に正電圧入力端子18及び負電圧入力端子20が接続され、出力端子22は、正電圧入力端子18及び負電圧入力端子20が配置されている側と反対側においてOパッド123の端部に接続されている。
【0030】
Oパッド123において、Pパッド122との対向領域には、X方向に離間して2つの凹部123aが形成されている。各凹部123a内には、第1制御用パッド125aと第1補助パッド126aの組と、第2制御用パッド125bと第2補助パッド126bの組が配置されている。凹部123a内において、第1制御用パッド125a及び第1補助パッド126aは、Pパッド122側(凹部123aの開口側)に配置されている。第2制御用パッド125b及び第2補助パッド126bは、凹部123aの底部側に配置されている。
【0031】
第1制御用パッド125a、第2制御用パッド125b、第1補助パッド126a及び第2補助パッド126bはY方向に延びており、例えば銅からなる導電層である。第1制御用パッド125aと第1補助パッド126aとは、X方向に離間して配置されており、例えば平行配置されている。同様に、第2制御用パッド125bと第2補助パッド126bとはX方向に離間して配置されており、例えば平行配置されている。
【0032】
第2制御用パッド125bは、第1補助パッド126aと実質的に同じ直線上において、第1補助パッド126aから離間して配置されている。第2補助パッド126bは、第1制御用パッド125aと実質的に同じ直線上において、第1制御用パッド125aから離間して配置されている。
【0033】
Y方向において、第1制御用パッド125a及び第1補助パッド126aの組と、第2制御用パッド125b及び第2補助パッド126bの組との間にゲート基板14が配置されている。
【0034】
第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2は、同じ構成を有するトランジスタTrである。トランジスタTrは、本実施形態において、縦型のMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)であり、ドレイン電極パッドDP、ソース電極パッドSP及びゲート電極パッドGPを有する。ソース電極パッドSP及びゲート電極パッドGPは、ドレイン電極パッドDPと反対側に配置されており、ソース電極パッドSP及びゲート電極パッドGPは互いに絶縁されている。MOSFETは、その構成上、内部にダイオードを有する。したがって、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2は、ダイオードを内蔵するトランジスタTrである。トランジスタTr(第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2)の材料の例は、ワイドバンドギャップ半導体、シリコンその他の半導体を含む。ワイドバンドギャップ半導体は、シリコンのバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する。ワイドバンドギャップ半導体の例は、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどを含む。
【0035】
4つの第1トランジスタTr1は、X方向に離間して配置されている。具体的には、第1制御用パッド125a及び第1補助パッド126aの組に対応して2つの第1トランジスタTr1が配置されている。換言すれば、X方向において隣接す2つの第1トランジスタTr1の間に第1制御用パッド125a及び第1補助パッド126aの組が配置されている。同様に、4つの第2トランジスタTr2は、Pパッド122にX方向に離間して配置されている。具体的には、第2制御用パッド125b及び第2補助パッド126bの組に対応して2つの第2トランジスタTr2が配置されている。換言すれば、X方向において、隣接する2つの第2トランジスタTr2の間に第2制御用パッド125b及び第2補助パッド126bの組が配置されている。
【0036】
前述したように、Y方向において、第1制御用パッド125a及び第1補助パッド126aの組と、第2制御用パッド125b及び第2補助パッド126bの組との間にゲート基板14が配置されている。したがって、上記第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の配置では、X方向において、各ゲート基板14の両側に第1トランジスタTr1が配置されているとともに、各ゲート基板14の両側に第2トランジスタTr2も配置されている。更に、ゲート基板14は、ゲート基板14に対応して配置される2つの第1トランジスタTr1及び2つの第2トランジスタTr2に囲まれている。
【0037】
第1トランジスタTr1は、
図4及び
図5に示したように、ドレイン電極パッドDPがPパッド122に対向し且つ電気的に接続された状態でPパッド122に搭載されている。ドレイン電極パッドDPとPパッド122とは、例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。第1トランジスタTr1において、ドレイン電極パッドDPと反対側に配置されたソース電極パッドSP及びゲート電極パッドGPは、
図2及び
図3に示したように、それぞれ導線を介してOパッド123及び第1制御用パッド125aに接続されている。第1トランジスタTr1のソース電極パッドSPは、導線を介して第1補助パッド126aにも接続されている。導線の例は、ワイヤ、リボンを含む。
【0038】
第2トランジスタTr2は、
図5に示したように、ドレイン電極パッドDPがOパッド123に対向し且つ電気的に接続された状態でOパッド123に搭載されている。ドレイン電極パッドDPとOパッド123とは、例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。第2トランジスタTr2において、ドレイン電極パッドDPと反対側に配置されたソース電極パッドSP及びゲート電極パッドGPは、
図2及び
図3に示したように、Nパッド124及び第2制御用パッド125bに導線を介して接続されている。第2トランジスタTr2のソース電極パッドSPは、導線を介して第2補助パッド126bにも接続されている。導線の例は、ワイヤ、リボンを含む。
【0039】
ゲート基板14は、
図3に示したように、第1回路基板12に対して垂直に固定されている。本明細書において、「垂直」とは、90度に対して±10度程度の許容範囲(誤差範囲)を含む概念である。ゲート基板14について、
図6〜
図9を利用して説明する。
図6〜
図9では、ゲート基板14と、第1回路基板12との接続関係を示すために、第1回路基板12の一部を図示している。
図6は、ゲート基板14を一方の面からみた図面である。
図7は、ゲート基板14を、
図6のA方向からみた側面図である。
図8は、ゲート基板14を、他方の面からみた図面である。
図9は、ゲート基板14を、
図6のB方向からみた側面図である。
【0040】
ゲート基板14は、第2回路基板24と、第1ゲート抵抗26と、第2ゲート抵抗28と、導電板30Aと、導電板30Bと、導電板32Aと、導電板32Bと、第1ゲート端子34と、第2ゲート端子36と、第1補助端子38と、第2補助端子40と、を有する。
【0041】
第2回路基板24は、絶縁基板241を有し、絶縁基板241の第1主面241a及び第2主面241bのそれぞれには、第1配線パターン242a、第2配線パターン242b及び第3配線パターン243が形成されている。
図6は、第1主面241a側からゲート基板14をみた図に対応し、
図8は、第2主面241b側からゲート基板14をみた図に対応する。
【0042】
絶縁基板241は、縁部241c、縁部241d、縁部241e及び縁部241fを有する。縁部241eは、縁部241cと反対側に位置している。縁部241e及び縁部241fは、縁部241c及び縁部241dを繋いでおり、縁部241fは、縁部241eと反対側に位置している。絶縁基板241は、第1主面241aの法線方向からみた場合、例えば矩形又は正方形を有する。絶縁基板241の材料の例は、絶縁基板121の場合と同様である。
【0043】
ゲート基板14における第1主面241a側の構成について説明する。
【0044】
図6、
図7及び
図9に示したように、第1配線パターン242a、第2配線パターン242b及び第3配線パターン243は、第1主面241a上において縁部241cと縁部241dとの間に延在しており、例えば銅からなる導電層である。第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bは、
図6に示したように、縁部241e寄りに形成されており、第3配線パターン243は、第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bに対して、縁部241f寄りに配置されている。
図7に示したように、第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bは、縁部241cから縁部121dに向かう方向(Z方向)において、離間している。
【0045】
第1ゲート抵抗26は、端子26a及び端子26bがそれぞれ第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bに接続されることによって、第1回路基板12に搭載されている。端子26a及び端子26bと第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bとは、例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。第1ゲート抵抗26は、第1トランジスタTr1に対応したゲート抵抗であり、第1ゲート抵抗26の抵抗値は、第1トランジスタTr1へのゲート信号に応じた値であればよい。
【0046】
図6及び
図7に示したように、第1配線パターン242aの縁部241c側の端部には導電板30Aの一端が接続されている。導電板30Aの他端は、第1制御用パッド125aに接続されている。第1配線パターン242aと導電板30A及び導電板30Aと第1制御用パッド125aのそれぞれは例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。
【0047】
第2配線パターン242bの縁部241d側の端部には、第1ゲート端子34の一端が接続されている。第1ゲート端子34の他端は、ケース16の上面(後述する天板163)から引き出されている(
図1参照)。
【0048】
第3配線パターン243の縁部241c側の端部には、導電板32Aの一端が接続されている。導電板32Aの他端は、第1補助パッド126aに接続されている。第3配線パターン243と導電板32A及び導電板32Aと第1補助パッド126aのそれぞれは例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。
【0049】
次に、ゲート基板14における第2主面241b側の構成について説明する。
【0050】
第2主面241bにおける、第1配線パターン242a、第2配線パターン242b及び第3配線パターン243の構成は、
図8に示したように、第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bが縁部241f寄りに配置され、第3配線パターン243が縁部241e寄りに配置されている点以外は、第1主面241a側の構成と同様である。第1主面241aと第2主面241bにおける第1配線パターン242a、第2配線パターン242b及び第3配線パターン243の配置は互いに反転している。
【0051】
第2ゲート抵抗28は、端子28a及び端子28bがそれぞれ第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bに接続されることによって、第2回路基板24に搭載されている。端子28a及び端子28bと第1配線パターン242a及び第2配線パターン242bとは、例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。第2ゲート抵抗28は、第2トランジスタTr2に対応したゲート抵抗であり、第2ゲート抵抗28の抵抗値は、第2トランジスタTr2へのゲート信号に応じた値であればよい。
【0052】
図8及び
図9に示したように、第1配線パターン242aの縁部241c側の端部には導電板30Bの一端が接続されている。導電板30Bの他端は、第2制御用パッド125bに接続されている。第1配線パターン242aと導電板30B及び導電板30Bと第2制御用パッド125bのそれぞれは例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。
【0053】
第2配線パターン242bの縁部241d側の端部には、第2ゲート端子36の一端が接続されている。第2ゲート端子36の他端は、ケース16の上面から引き出されている(
図1参照)。
【0054】
第3配線パターン243の縁部241c側の端部には、導電板32Bの一端が接続されている。導電板32Bの他端は、第2補助パッド126bに接続されている。第3配線パターン243と導電板32B及び導電板32Bと第2補助パッド126bのそれぞれは例えば半田といった導電性接着材で接続され得る。
【0055】
導電板30A、導電板30B、導電板32A及び導電板32Bは、ゲート基板14を第1回路基板12に搭載するための導電性接続部材である。導電板30A、導電板30B、導電板32A及び導電板32Bは、
図7及び
図9に示したように、一部が湾曲した形状を有してもよい。これにより、ゲート基板14の振動を吸収してゲート基板14を安定した状態で第1回路基板12に固定可能である。
【0056】
上記ゲート基板14の構成及び第1回路基板12への接続形態では、第1ゲート端子34は、第1ゲート抵抗26を介して第1トランジスタTr1に電気的に接続されており、第2ゲート端子36は、第2ゲート抵抗28を介して第2トランジスタTr2に電気的に接続されている。更に、第1補助端子38は、第1トランジスタTr1のソース電極パッドSPに電気的に接続されており、第2補助端子40は、第2トランジスタTr2のソース電極パッドSPに電気的に接続されている。
【0057】
したがって、第1ゲート端子34及び第2ゲート端子36を利用して第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2にゲート信号を供給可能であるとともに、第1補助端子38及び第2補助端子40を利用して、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2のソース電極パッドSPの電位を取り出し得る。
【0058】
図1、
図2、
図4及び
図5を利用してケース16について説明する。ケース16は、第1回路基板12及び第1回路基板12に搭載された第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2などを収容する。ケース16は、底板161と、外囲ケース162と、天板163と、2つの筒部164とを有する。
【0059】
底板161は、
図2、
図4及び
図5に示したように、第1回路基板12が搭載される板状部材である。底板161は熱伝導率の高い材料から構成された放熱板(ヒートシンク)であり、底板161の材料の例はアルミニウム、銅、モリブデン、タングステン、SiC、及び、それらの化合物等である。第1回路基板12は、
図4及び
図5に示したように、放熱層42を介して底板161に固定されている。
【0060】
外囲ケース162は、側壁162a、側壁162b、側壁162c及び側壁162dを有する枠状体であり、第1回路基板12の周囲を囲んで底板161に固定されている。側壁162bは、側壁162aと反対側に位置している。側壁162c及び側壁162dは、側壁162a及び側壁162bを繋いでおり、側壁162dは、側壁162bと反対側に位置している。外囲ケース162は、絶縁材料(例えば樹脂)からなる。
【0061】
天板163は、外囲ケース162の底板161と反対側の開口を塞ぐ部材であり、第1回路基板12と対向する壁部である。天板163は、絶縁材料(例えば樹脂)からなる。天板163の材料は、外囲ケース162と同じ材料であり得る。天板163は、外囲ケース162と一体成形された構成を有してもよいし、例えば外囲ケース162とは別部材として形成され、外囲ケース162にネジ又は接着材で固定されていてもよい。天板163には、2つのゲート基板14の配置位置に対応した開口部163aが形成されている。
【0062】
2つの筒部164のそれぞれは、対応する開口部163aに連通して天板163に設けられており、開口部163aから底板161側(第1回路基板12側)に向けて延びている。筒部164の長さは、天板163と第1回路基板12との間の距離と同じでもよいし、天板163と第1回路基板12との距離より短く、筒部164と第1回路基板12との間に若干隙間が生じる長さであってもよい。筒部164の端部が第1回路基板12と接する場合は、筒部164は、例えば接着材で第1回路基板12に固定されてもよい。
【0063】
筒部164は、対応するゲート基板14を囲う囲いである。すなわち、ゲート基板14は、筒部164の内側に配置されており、筒部164の周壁で囲われている。Z方向からみた筒部164の形状は、
図1に示したように、四角形状(矩形、正方形など)でもよいし、円形でもよい。Z方向からみた筒部164の大きさは、ゲート基板14を内側に配置可能な大きさであればよい。
【0064】
ケース16内には、
図4に示したように、第1回路基板12、第1回路基板12上の第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2などを埋設する樹脂部44Aが設けられていてもよい。樹脂部44Aの材料は、例えばシリコーン樹脂である。樹脂部44Aと天板163との間には、隙間が生じていてもよい。
図4に示したように、筒部164の内側(ゲート基板14の配設領域)にも樹脂部44Bが設けられてもよい。樹脂部44Bの材料は、樹脂部44Aの材料と同じとし得る。樹脂部44Bの厚さは、樹脂部44Aの厚さより小さくてもよい。例えば、樹脂部44Bは、第2回路基板24より下方に配置されていればよい。これにより、ゲート基板14がより安定して第1回路基板12に固定され得る。樹脂部44Aを形成するために、ケース16には、樹脂注入層の孔部が形成されていてもよい。この孔部は、樹脂注入後に塞げば良い。
【0065】
上記半導体モジュール1は、例えば、次のようにして製造され得る。第1回路基板12上に、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2をそれぞれ前述したような配置で搭載し、それらを電気的に接続する。この際、正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の端部を、Pパッド122、Nパッド124及びOパッド123に接続しておく。第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2などが搭載された第1回路基板12を底板161に固定した後、天板163が固定された外囲ケース162を底板161に固定する。この際、正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の一端を、天板163から導出する。外囲ケース162と底板161とは例えばネジ止めでもよいし、接着材で固定してもよい。天板163に設けられた筒部164と第1回路基板12とは例えば接着材で固定されてもよい。次いで、筒部164内にゲート基板14を挿入し、ゲート基板14と第1回路基板12とを固定する。その後、外囲ケース162内に、樹脂部44Aの材料樹脂を注入し、樹脂部44Aを形成するとともに、筒部164内に樹脂部44Bの材料樹脂を供給し、樹脂部44Bを形成する。
【0066】
或いは、天板163が外囲ケース162と別部材である形態では、第1回路基板12上に、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、ゲート基板14をそれぞれ前述したような配置で搭載し、それらを電気的に接続する。この際、正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の端部を、Pパッド122、Nパッド124及びOパッド123に接続しておく。次に、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2などが搭載された第1回路基板12を、底板161に固定する。続いて、外囲ケース162を底板161に固定した後、天板163で外囲ケース162の底板161と反対側の開口を塞ぐ。この際、正電圧入力端子18、負電圧入力端子20及び出力端子22の一端を、天板163から導出する。その後、前述したようにして樹脂部44A及び樹脂部44Bを形成する。
【0067】
半導体モジュール1の製造方法の一例を説明したが、半導体モジュール1を製造できれば、上記製造方法に限定されない。
【0068】
上記半導体モジュール1の構成では、4つの第1トランジスタTr1は並列接続されており、第1トランジスタTr1のドレイン電極パッドDPは、正電圧入力端子18が接続されたPパッド122に電気的に接続されているので、4つの第1トランジスタTr1は、Pパッド122を介して正電圧入力端子18に電気的に接続されている。4つの第2トランジスタTr2は並列接続されており、第2トランジスタTr2のソース電極パッドSPは、負電圧入力端子20が接続されたNパッド124に電気的に接続されているので、4つの第2トランジスタTr2は、Nパッド124を介して負電圧入力端子20に電気的に接続されている。更に、4つの第1トランジスタTr1のソース電極パッドSPは、Oパッド123に電気的に接続され、4つの第2トランジスタTr2のドレイン電極パッドDPは、Oパッド123に電気的に接続されている。したがって、並列接続された第1トランジスタTr1の群と、並列接続された第2トランジスタTr2の群とは、正電圧入力端子18と負電圧入力端子20との間に直列接続されている。Oパッド123には、出力端子22が接続されているので、並列接続された第1トランジスタTr1の群と、並列接続された第2トランジスタTr2の群との直列回路における中間ノードは、出力端子22に電気的に接続されている。
【0069】
各ゲート基板14に対応して設けられた2つの第1トランジスタTr1のゲート電極パッドGPは、第1ゲート抵抗26を介して第1ゲート端子34に電気的に接続されている。更に、2つの第1トランジスタTr1のソース電極パッドSPは、対応するゲート基板13が有する第1補助端子38に電気的に接続されている。同様に、各ゲート基板14に対応して設けられた2つの第2トランジスタTr2のゲート電極パッドGPは、第2ゲート抵抗28を介して第2ゲート端子36に電気的に接続されている。更に、2つの第2トランジスタTr2のソース電極パッドSPは、対応するゲート基板14が有する第2補助端子40に電気的に接続されている。
【0070】
したがって、半導体モジュール1は、
図10に示した電力変換回路2として機能する。
図10では、半導体モジュール1の要素と対応する要素には同じ符号を付している。
図10では、便宜的にダイオードDiを第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2とは分離して図示しているが、
図10のダイオードDiは、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2に内蔵されているダイオードである。
図10に示したように、半導体モジュール1において、第1トランジスタTr1は電力変換回路2の上アームとして機能し、第2トランジスタTr2は電力変換回路2の下アームとして機能する。
【0071】
半導体モジュール1は、同じ構成のゲート基板14を2つ有する。したがって、半導体モジュール1は、第1ゲート端子34及び第2ゲート端子36を2つ有するため、
図10では、2つの第1トランジスタTr1の組に対してそれぞれ一つの第1ゲート端子34を図示している。第2ゲート端子36についても同様である。ただし、2つの第1ゲート端子34には、電力変換回路2における上アーム用のトランジスタに対するゲート信号として同じゲート信号が入力され、2つの第2ゲート端子36には電力変換回路2における下アーム用のトランジスタに対するゲート信号として同じゲート信号が入力される。半導体モジュール1が2つのゲート基板14を有することから、2つの第1補助端子38及び2つの第2補助端子40を有する。よって、
図10では、2つの第1トランジスタTr1の組に対してそれぞれ一つの第1補助端子38を図示している。第2補助端子40についても同様である。ただし、2つの第1補助端子38から取り出される電位は同じであり、2つの第2補助端子40から取り出された電位は同じである。
【0072】
半導体モジュール1は、ゲート基板14が、第1回路基板12に対して垂直に固定されている。ゲート基板14には、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28が搭載されている。したがって、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28を半導体モジュールの外部に配置する場合より、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の近くに、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28を配置できている。
【0073】
これにより、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2と第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28との配線長が短くなるので、インダクタンスを低減できる。更に、ゲート基板14が、第1回路基板12に対して垂直に固定されていることから、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28と、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2とを繋ぐ配線経路(以下、「信号用配線経路」と称す)の一部は、電力変換回路2において主電流が流れるPパッド122及びNパッド124とは同一平面上に位置しない。その結果、信号用配線経路に対して主電流に起因して生じる誘導インダクタンスの影響も低減できる。したがって、半導体モジュール1を高速動作(高周波動作)可能である。
【0074】
信号用配線経路のインダクタンスを低減できていることから、インダクタンスの影響を考慮して第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28の抵抗値を決定する際、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28の選択の自由度が向上している。
【0075】
上記信号用配線経路の一部が、Pパッド122及びNパッド124と同一平面上にないことで信号用配線経路への、主電流からの影響を低減していることから、第1制御用パッド125aを絶縁基板121上で、主電流の影響を抑制するように、Pパッド122及びNパッド124と一定の距離を確保しながら引き回す必要がない。その結果、絶縁基板121(第1回路基板12)を小さくできるとともに、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2をゲート基板14の近くに集めて配置できるので、半導体モジュール1の小型化が図れる。
【0076】
半導体モジュール1では、ゲート基板14は、絶縁性の筒部164によって取り囲まれており、ケース16における第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の収容空間とは実質的に分離されている。この点で、筒部164は隔壁として機能している。そのため、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の近くにゲート基板14を配置しても、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2と、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28とをより確実に絶縁できている。更に、例えば、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2などが搭載された第1回路基板12をケース16に収容した後に、ゲート基板14を第1回路基板12に搭載する形態では、筒部164によって、ゲート基板14の搭載位置を確定し易い。
【0077】
X方向において、各ゲート基板14の両側には、2つの第1トランジスタTr1及び2つの第2トランジスタTr2が配置され、各ゲート基板14は、2つの第1トランジスタTr1及び2つの第2トランジスタTr2で囲まれている。そのため、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2と第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28との配線長をより短くできる。その結果、信号用配線経路のインダクタンスをより低減可能であることから、半導体モジュール1を高速動作可能である。
【0078】
第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2が、ダイオードDi(
図10参照)を内蔵したトランジスタ(具体的にはMOSFET)であることから、絶縁基板121上においてダイオード搭載領域を確保する必要がない。そのため、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2をより密集して配置できるので、より小さい第1回路基板12を使用でき、半導体モジュール1を小型化可能である。
【0079】
MOSFETは、IGBTより高速動作が可能であり、前述したようにダイオードDiを内蔵している。したがって、半導体モジュール1の構成は、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2がMOSFETである形態において、より有効である。
【0080】
第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の材料がワイドバンドギャップ半導体であれば、第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の耐圧性が向上する。ワイドバンドギャップ半導体を使用していることにより、シリコン材料適用のMOSFETと比較して同様のオン抵抗で高圧特性を実現できる。そのため、半導体モジュール1を、電力変換回路2として使用しやすい。
【0081】
ゲート基板14の一方の面に、上アーム用の第1ゲート抵抗26を配置して、他方の面に下アーム用の第2ゲート抵抗28を配置しており、そのゲート基板14は、第1回路基板12に対して垂直に固定されている。したがって、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28を直接第1回路基板12上に搭載する場合より省スペース化が図れているので、半導体モジュール1を小型化可能である。
【0082】
図6〜
図9を利用して説明したように、ゲート基板14が有する絶縁基板241の第1主面241a及び第2主面241b上の構成を反転させている形態では、上アーム用のゲート信号と下アーム用のゲート信号との相互作用(干渉)を低減できている。
【0083】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変形可能である。
【0084】
例えば、
図11に示した半導体モジュール1Aのように、ケース16には、筒部164に連通する凹部46が形成されていてもよい。凹部46は、例えば、ケース16の一つの側壁から反対側の側壁まで延在し得る。このような凹部46が形成されていることで、ゲート基板14への通気性が向上する。そのため、ゲート基板14の冷却効率が高まる。半導体モジュール1を高速動作(高周波駆動)した際、ゲート基板14はより発熱し易い。よって、ケース16に凹部46を設けた形態では、半導体モジュール1をより高速動作させやすい。
【0085】
第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2の配置状態は、
図2〜
図5に例示した形態に限定されない。同様に、絶縁基板121上の各種パッド(Pパッド122、Oパッド123、Nパッド124など)の配置状態及び形状も
図2〜
図5に例示した形態に限定されない。
【0086】
第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、ゲート基板14の数(及びそれに対応した筒部164の数)は一例であり、上記実施形態で例示した数に限定されない。半導体モジュールは、複数のトランジスタTrを備えておればよく、例えば、そのうちの少なくとも一つを第1トランジスタTr1として使用し、残部のトランジスタを第2トランジスタTr2として使用し得る。
【0087】
トランジスタ(第1トランジスタ及び第2トランジスタ)が、ダイオード内蔵型のトランジスタであるMOSFETである場合を例にして説明したが、トランジスタは、例えばダイオードを内蔵しないIGBTでもよい。この場合でも、ゲート基板14を、IGBTの近くに配置可能であり、前述した信号用配線経路を短くできるので、IGBTをより速く駆動可能であるとともに、半導体モジュールの小型化が可能である。
【0088】
回路部品としてのゲート基板14は、第1回路基板12に対して交差していれば、第1回路基板12に対して垂直に配置されていなくてもよい。ゲート基板14は、第1回路基板12に対して交差するとは、第1回路基板12及び第2回路基板24の厚さ方向が交わる配置であり、第1回路基板12及び第2回路基板24が非平行な状態を意味する。ゲート基板14と、第1回路基板12との間のなす角度(或いは、第1回路基板12及び第2回路基板24の厚さ方向の為す角度)は、ゲート基板14が、
図3に示したように、ゲート基板14の外部出力端子(第1ゲート端子34、第2ゲート端子36等)がケース16に接触することなく、第1回路基板12の上方に開口した開口部163aの外に突出するように固定されている範囲であればよい。
【0089】
ゲート基板14には、第1ゲート抵抗26及び第2ゲート抵抗28に加えて他の素子(例えばダイオード)が搭載されていてもよい。
【0090】
半導体モジュールの等価回路が電力変換回路である場合を例にして説明したが、複数のトランジスタで構成される回路であればよい。