(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
制御回路と監視回路とを有する電子制御回路が車両に搭載されている場合、制御回路はマイコンなどであり、監視回路は車両のドアの開閉や車内灯の点灯などを監視して監視信号を制御回路に出力する回路などが考えられる。
【0003】
そのような電子制御回路において、制御回路が動作モードの場合、従来は電源から監視回路へ常時電力供給をしている。そのため電子制御回路の動作モードにおける消費電力は、制御回路の消費電力W1aと監視回路の消費電力W2aとを合計した消費電力Wa(=W1a+W2a)となる。
【0004】
また、制御回路が通常低電力モード(ディープスリープモード:例えばマイコンなどを完全停止させるモード)の場合、電子制御回路の通常低電力モードにおける消費電力は、制御回路の消費電力W1b(<W1a)と監視回路の消費電力W2b(≒0[W])とを合計した消費電力Ws(=W1b+W2b)となる。
【0005】
ところが、上記電子制御回路では、制御回路の動作モードにおいて連続的に電源から監視回路へ電力供給をしているため、電源が補機バッテリなどの蓄電装置である場合、補機バッテリの充電容量の減少が早くなる。
【0006】
そこで、制御回路が動作モードの場合に、電源から監視回路に供給する電力を低減させ、電子制御回路の電力消費を低減させる方法が知られている。その方法では、従来のように動作モードにおいて連続的に電源から監視回路に電力供給をするのではなく、監視回路が監視をする時間に電源から監視回路に電力供給をする。例えば、所定時間ごとに所定監視時間だけ間欠的に電力供給をする。間欠的に電力供給をする方法では、電源と制御回路との間に電源制御回路を追加し、制御回路により電源制御回路を制御し、電源から電源制御回路を介して監視回路へ間欠的に電力供給をする。
【0007】
このように電源制御回路を用いて間欠制御をすることで、電子制御回路の消費電力は、制御回路の消費電力W1c(≒W1a)と監視回路の間欠制御時における駆動時間の消費電力W2cと電源制御回路の間欠制御時における駆動時間の消費電力W3cとを合計した消費電力Waa(=W1c+W2c+W3c)<Waとなる。なお、監視回路と電源制御回路は間欠制御をさせているため消費電力W2c+W3cは消費電力W2aより小さくなる(W2c+W3c<W2a)。
【0008】
このように、電源制御回路を追加して間欠制御をさせる電子制御回路では、制御回路の動作モードにおいて、従来の電源制御回路のない電子制御回路より消費電力を低減することができる。
【0009】
関連する技術として、特許文献1及び特許文献2がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、電源制御回路を追加した電子制御回路では、制御回路が通常低電力モードに移行しても、電源制御回路を駆動させて監視回路に電力供給を続けなければならない回路構成である場合、制御回路は電源制御回路を駆動させるために通常低電力モードにおいて電源制御回路を駆動するための制御信号(ハイ信号)を出力しなければならない。そのため電源制御回路を追加した電子制御回路の通常低電力モードにおける消費電力は、制御回路の消費電力(ハイ信号出力時の消費電力)W1d(>W1b)と監視回路の消費電力W2d(≒0[W])と電源制御回路の消費電力(駆動時の消費電力)W3dとを合計した消費電力Wss(=W1d+W2d+W3d)>Wsとなる。そのため電源が補機バッテリなどの蓄電装置である場合、電源制御回路を追加した電子制御回路では、制御回路が通常低電力モードである場合、補機バッテリの充電容量の減少が早くなる。
【0012】
本発明の一側面に係る目的は、動作モード及び通常低電力モードにおいて消費電力を低減できる電子制御回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る一つの形態である電子制御回路は、電源と制御回路との間に接続される電源制御回路を備え、電源制御回路は、電力供給を制御する第一のスイッチ素子と、第一のスイッチ素子を制御する駆動回路とを備える。
【0014】
駆動回路は、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを備える。
制御回路は、通常低電力モードの場合、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを停止させて第一のスイッチ素子を導通させる。また、制御回路は、動作モードの場合、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを間欠制御する。間欠制御は、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを停止させて第一のスイッチ素子を導通させる処理と、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを駆動させて第一のスイッチ素子を遮断させる処理とを交互に繰り返し実行させる。
【0015】
また、電源制御回路において、制御回路の制御端子と駆動回路の入力端子とが接続され、第一のスイッチ素子の制御端子と駆動回路の出力端子とが接続され、第一のスイッチ素子の第一の端子と電源とが接続され、第一のスイッチ素子の第二の端子と監視回路の電源接続端子とが接続されている。また、監視回路の内部又は外部に設けられたスイッチの一方がグランドに接続され、監視回路の出力端子と制御回路の入力端子とが接続されている。そしてスイッチは、制御回路が通常低電力モードの場合、遮断状態である。
【0016】
本発明に係る他の形態である電子制御回路は、制御回路と電源制御回路と監視回路とを有する。
電源制御回路は、電源と制御回路との間に接続され、電力供給を制御する第一のスイッチ素子と、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを用いて第一のスイッチ素子を制御する駆動回路と、を備える。
【0017】
監視回路は、電子制御回路と別の機器に設けられたスイッチを用いて機器の状態を監視し、電源から第一のスイッチ素子を介してスイッチ及び制御回路の入力端子に流れる電流を制限する第一の抵抗素子を備える。
【0018】
制御回路は、動作モードの場合、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを停止させて第一のスイッチ素子を導通させる処理と、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを駆動させて第一のスイッチ素子を遮断させる処理とを交互に繰り返し実行させる。
【0019】
制御回路は、通常低電力モードの場合、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを停止させて第一のスイッチ素子を導通させる。
制御回路は、スイッチが導通固着故障状態である場合、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを停止させて第一のスイッチ素子を導通させる処理と、第二のスイッチ素子と第三のスイッチ素子とを駆動させて第一のスイッチ素子を遮断させる処理とを交互に繰り返し実行させる。
【0020】
また、制御回路の制御端子と駆動回路の入力端子とが接続され、第一のスイッチ素子の制御端子と駆動回路の出力端子とが接続され、第一のスイッチ素子の第一の端子と電源とが接続され、第一のスイッチ素子の第二の端子と第一の抵抗素子の第一の端子とが接続され、監視回路に設けられた第二の抵抗素子の第一の端子と制御回路の入力端子とが接続され、第一の抵抗素子の第二の端子と第二の抵抗素子の第二の端子とスイッチの第一の端子とが接続され、スイッチの第二の端子とグランドとが接続される。
【発明の効果】
【0021】
動作モード及び通常低電力モードにおいて消費電力を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
<実施形態1>
図1は、電子制御回路1の一実施例を示す図である。電子制御回路1は、制御回路2と電源制御回路3と監視回路4とを備える。電子制御回路1は、例えば、車両に搭載されるEUC(Electronic Control Unit)などが考えられる。
【0024】
制御回路2は、電源制御回路3及び監視回路4を制御する、例えば、マイコンなど、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)など)などで、動作モードと通常低電力モード(ディープスリープモード:例えばマイコンなどを完全停止させるモード)とを切り替える機能を有している。
【0025】
電源制御回路3は、例えば、スイッチ素子Q1(第一のスイッチ素子)、及び、スイッチ素子Q2(第二のスイッチ素子)、スイッチ素子Q3(第三のスイッチ素子)、抵抗素子R1、抵抗素子R2、抵抗素子R3、抵抗素子R4、抵抗素子R5から構成される駆動回路3aとを有する。スイッチ素子Q1は、例えば、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのトランジスタが考えられる。スイッチ素子Q2、Q3は、例えば、バイポーラトランジスタなどのトランジスタが考えられる。
【0026】
監視回路4は、電源BTからスイッチ素子Q1を介して電力供給がされる。監視回路4は、スイッチ素子Q4、抵抗素子R6、抵抗素子R7、抵抗素子R8、抵抗素子R9、スイッチSWを有する。また、監視回路4は、例えば車両のドアの開閉や車内灯の点灯などをスイッチSWを用いて監視し、監視結果を示す監視信号を制御回路2に出力する。なお、スイッチ素子Q4は、例えば、バイポーラトランジスタなどのトランジスタが考えられる。また、監視回路4を電子制御回路に複数設けてもよい。なお、スイッチSWは、監視回路4の内部又は外部に設けてもよい。
【0027】
電源制御回路3の回路構成について説明をする。
図1において、電源制御回路3は電源BTと制御回路2との間に接続され、電力供給を制御するスイッチ素子Q1と、スイッチ素子Q1を制御する駆動回路3aと、を備える。
【0028】
スイッチ素子Q1は、電源BTと駆動回路3aとの間に接続され、制御回路2により制御された駆動回路3aの出力信号に基づいて導通(オン)と遮断(オフ)を制御させる。スイッチ素子Q1のソース(第一の端子)は電源BTに接続され、ドレイン(第二の端子)は監視回路4の電源接続端子(抵抗素子R6の第一の端子)に接続され、ゲート(制御端子)は駆動回路3aの出力端子(スイッチ素子Q3のコレクタ(第二の端子)と抵抗素子R5の第一の端子とが接続されている配線)とに接続されている。
【0029】
駆動回路3aは、制御回路2とスイッチ素子Q1との間に接続され、スイッチ素子Q2は制御回路2とスイッチ素子Q3との間に接続され、スイッチ素子Q3はスイッチ素子Q2とスイッチ素子Q1との間に接続されている。抵抗素子R1の第一の端子は制御回路2のポートP1(制御端子)に接続され、抵抗素子R1の第二の端子はスイッチ素子Q2のベース(制御端子)と抵抗素子R2の第一の端子とに接続されている。スイッチ素子Q2のエミッタ(第一の端子)は抵抗素子R2の第二の端子とグランドに接続され、スイッチ素子Q2のコレクタ(第二の端子)は抵抗素子R3の第一の端子に接続されている。抵抗素子R3の第二の端子はスイッチ素子Q3のベース(制御端子)と抵抗素子R4の第一の端子に接続されている。スイッチ素子Q3のエミッタ(第一の端子)は抵抗素子R4の第二の端子と電源BTとに接続され、スイッチ素子Q3のコレクタ(第二の端子)は抵抗素子R5の第一の端子とスイッチ素子Q1のゲート(制御端子)に接続されている。抵抗素子R5の第二の端子はグランドに接続されている。
【0030】
なお、スイッチ素子Q2、Q3は、制御回路2が動作モードの場合、制御回路2のポートP1から出力される制御信号(ハイ/ロー信号)に基づいて間欠制御される。すなわち、制御回路2が動作モードの場合、制御回路2は、スイッチ素子Q2、Q3を停止(オフ:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流さないで停止)させてスイッチ素子Q1を導通(オン)させるとともにスイッチ素子Q2、Q3を駆動(オン:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流して駆動)させてスイッチ素子Q1を遮断(オフ)させる。すなわち、制御回路2が動作モードの場合、制御回路2は、スイッチ素子Q2、Q3を停止(オフ:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流さないで停止)させてスイッチ素子Q1を導通(オン)させる処理と、スイッチ素子Q2、Q3を駆動(オン:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流して駆動)させてスイッチ素子Q1を遮断(オフ)させる処理と、を交互に繰り返し実行する(第一の間欠制御)。
【0031】
制御回路2が通常低電力モードの場合、スイッチ素子Q2、Q3は、制御回路2のポートP1から出力される制御信号(ロー信号)に基づいて制御される。すなわち、制御回路2が通常低電力モードの場合、制御回路2は、スイッチ素子Q2、Q3を停止(オフ:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流さないで停止)させてスイッチ素子Q1を導通させる。
【0032】
監視回路4の回路構成について説明をする。
スイッチ素子Q4のエミッタ(第一の端子)はスイッチ素子Q1のドレインと抵抗素子R6の第一の端子と抵抗素子R8の第一の端子とに接続されている。スイッチ素子Q4のベース(制御端子)は抵抗素子R7の第一の端子と抵抗素子R8の第二の端子に接続されている。スイッチ素子Q4のコレクタ(監視回路4の出力端子:第二の端子)は制御回路2のポートP2(入力端子)と抵抗素子R9の第一の端子と接続されている。抵抗素子R9の第二の端子はグランドに接続されている。スイッチSWの第一の端子は抵抗素子R6の第二の端子と抵抗素子R7の第二の端子と接続されている。スイッチSWの一方(第二の端子)はグランドに接続されている。
【0033】
なお、スイッチSWは、制御回路2が通常低電力モードの場合、通常遮断(オフ)なので、スイッチ素子Q1が導通(オン)している場合、監視回路4に電圧は印加されるが電流は流れない。しかし制御回路2が通常低電力モードであっても、監視回路4に電圧が印加されているため、スイッチSWの状態の監視を継続することができる。
【0034】
このように実施形態1に示すスイッチ素子Q1を追加した電源制御回路3を電子制御回路1に追加することで、制御回路2が動作モードの場合、この電子制御回路1の消費電力は、制御回路2の消費電力W1e(≒W1a)と監視回路4の間欠制御時における駆動時間の消費電力W2e(<W2a)と電源制御回路3の間欠制御時における駆動時間の消費電力W3eとを合計した消費電力Waaa(=W1e+W2e+W3e)<Waとなる。なお、監視回路4と電源制御回路3は間欠制御をさせているため消費電力W2e+W3eは消費電力W2aより小さくなる(W2e+W3e<W2a)。
【0035】
従って、動作モードにおいて、電源制御回路3を追加した電子制御回路1の消費電力を、電源制御回路3を追加しない場合の消費電力より低減させることができる。
また、制御回路2が通常低電力モードの場合、制御回路2がスイッチ素子Q2、Q3を駆動させなくてもよく、制御回路2から出力する制御信号を従来のようにハイ信号ではなくロー信号にできる。そのため電子制御回路1の通常低電力モードにおける消費電力は、制御回路2の消費電力W1f(<W1d:ハイ信号出力時の消費電力)と監視回路4の消費電力W2f(≒0[W])と電源制御回路の消費電力W3f(≒0[W])とを合計した消費電力Wsss(=W1f+W2f+W3f)<Wsとなる。
【0036】
従って、通常低電力モードにおいても、電源制御回路3を追加した電子制御回路1の消費電力を、電源制御回路3を追加しない場合の消費電力より低減させることができる。
また、スイッチ素子Q1が導通している場合に電源BTの暗電流を低減できるので、電源BTが補機バッテリなどの蓄電装置である場合、制御回路2の通常低電力モードにおいて、補機バッテリの充電容量の減少を遅らせることができる。
<実施形態2>
実施形態1では、
図1に示した制御回路2が通常低電力モード(ディープスリープモード)の場合に、
図1に示したスイッチSWを遮断状態にすることを説明した。しかしながら、
図1に示したスイッチSWがオン固着故障(導通固着故障)をした場合に、実施形態1で説明したように制御回路2が通常低電力モードに移行すると、制御回路2のポートP1から制御信号(ロー信号)が出力され、スイッチ素子Q2、Q3を停止(オフ:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流さないで停止)させてスイッチ素子Q1を導通させるため、抵抗素子R6を介してスイッチSWに常時電流が流れることになる。そのため、抵抗素子R6は許容電力の大きな抵抗を選択しなければならない。そうすると抵抗素子R6の許容電力の大きさに応じて抵抗素子R6のサイズを大きくしなければならない。言い換えると、抵抗素子R6に流れる最大電流を考慮して、許容電力の大きな抵抗素子R6を選択しなければならないため、抵抗素子R6のサイズは大きくなる。
【0037】
また、実施形態1では、制御回路2の動作モード及び通常低電力モードにおける消費電力の低減をさせているが、これは電子制御回路1を小型化するための対策でもあるので、抵抗素子R6のサイズが大きいままでは、電子制御回路1を小型化することに反する。
【0038】
そこで実施形態2では、実施形態1で説明した以下に示す(1)(2)の処理に、更に以下に示す(3)の処理を加え、スイッチSWがオン固着故障状態でも、電子制御回路1を小型化できるようにする。
(1)制御回路2は、動作モードの場合、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを停止させてスイッチ素子Q1を導通させる処理と、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを駆動させてスイッチ素子Q1を遮断させる処理とを交互に繰り返し実行させる(第一の間欠制御)。
(2)制御回路2は、低電力モードの場合、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを停止させてスイッチ素子Q1を導通させる。
(3)制御回路2は、スイッチSWがオン固着故障状態である場合、通常低電力モードに移行せず、制御回路2のポートP1から出力される制御信号を制御可能な固着時低電力モードに移行し、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを停止させてスイッチ素子Q1を導通させる処理と、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを駆動させてスイッチ素子Q1を遮断させる処理とを交互に繰り返し実行させる(第二の間欠制御)。
【0039】
なお、固着時低電力モードは、例えば、通常低電力モードから定期的に動作モードに移行するモードでもよいし、制御回路2が動作モードより電力の消費を低減でき、制御回路2のポートP1から出力される制御信号を制御できるモードであればよい。
【0040】
また、上記(1)の第一の間欠制御におけるスイッチ素子Q1の導通時間と遮断時間(デューティ)は監視回路4の駆動開始周期と駆動時間とにより決まるが、上記(3)の第二の間欠制御におけるスイッチ素子Q1の導通時間と遮断時間(デューティ)はスイッチSWがオン固着故障状態のときに抵抗素子R6に間欠的に流す電流量により決まる。ただし、上記(3)の第二の間欠制御におけるデューティは、上記(1)の第一の間欠制御におけるデューティと同じにしてもよい。理由は、スイッチ素子Q1を間欠制御させるだけでも、消費電力を低減できるためである。
【0041】
このように実施形態1の(1)(2)の処理に(3)の処理を加えることで、抵抗素子R6に間欠的に電流が流れるため、抵抗素子R6に流れる電流を小さくできる。その結果、許容電力の小さな抵抗素子を選択できるので、抵抗素子R6のサイズを小さくできる。従って、電子制御回路1のサイズも小型化することができる。
【0042】
図2を用いて、実施形態2について説明をする。
図2は、実施形態2の電子制御回路201の一実施例を示す図である。電子制御回路201は、制御回路2と電源制御回路3と監視回路202(202a、202b)を備える。電子制御回路201の制御回路2と電源制御回路3は、例えば、車両に搭載されるEUC(Electronic Control Unit)などである。
【0043】
監視回路202は、抵抗素子R6(R6a、R6b:第一の抵抗素子)、抵抗素子R7(R7a、R7b:第二の抵抗素子)を備える。抵抗素子R6、R7は、電源BTから機器203及び制御回路2のポートP2(入力端子)、ポートP3(入力端子)に流れる電流を制限する
機器203は、例えば、車両に搭載されている車両側充電用インレットを内包するリッドボックスなどが考えられる。また、機器203に設けられているスイッチSWa、SWbはモーメンタリスイッチなどで、例えば、リッドボックスに設けられている車両側充電用インレットと充電ガンとが接続されたときに押されるモーメンタリスイッチ、又は、リッドボックスのリッドが開いているときに押されるモーメンタリスイッチなどが考えられる。
【0044】
なお、実施形態2の
図2に示した電子制御回路201と、実施形態1の
図1に示した電子制御回路1との違いは、
図1の監視回路4にはスイッチSW、スイッチ素子Q4、抵抗素子R8、R9が設けられているが、
図2の監視回路202(202a、202b)では、スイッチSW(SWa、SWb)が電子制御回路201と別の機器203に設けられている点である。
【0045】
また、
図2の監視回路202では、スイッチSWに対応する電圧レベル変換回路(スイッチ素子Q4、抵抗素子R8、R9)を制御回路2に設けているため、
図2には示されていない。なお、電圧レベル変換が必要ない場合には、制御回路2に電圧レベル変換回路を設けなくてもよい。
【0046】
実施形態2の電子制御回路201と機器203の回路構成について説明をする。
図2の電源制御回路3の回路構成は、
図1の電源制御回路3と同じ回路構成であるので説明を省略する。スイッチ素子Q1のドレイン(第二の端子)は、監視回路202aの電源接続端子(抵抗素子R6aの第一の端子)及び監視回路202bの電源接続端子(抵抗素子R6bの第一の端子)と接続されている。制御回路2のポートP2(入力端子)は抵抗素子R7aの第一の端子(出力端子)と接続されている。制御回路2のポートP3(入力端子)は抵抗素子R7bの第一の端子(出力端子)と接続されている。抵抗素子R6aの第二の端子は、機器203のスイッチSWaの第一の端子と抵抗素子R7aの第二の端子と接続されている。スイッチSWaの一方(第二の端子)はグランドに接続されている。抵抗素子R6bの第二の端子は、機器203のスイッチSWbの第一の端子と抵抗素子R7bの第二の端子と接続されている。スイッチSWbの一方(第二の端子)はグランドに接続されている。
【0047】
実施形態2の制御回路2について説明をする。
制御回路2は、スイッチSWa又は/及びスイッチSWbがオン固着故障状態である場合、通常低電力モードに移行するのではなく、固着時低電力モードに移行し、制御回路2のポートP1から制御信号(ハイ/ロー信号)を出力する。
【0048】
制御回路2のポートP1から出力された制御信号を電源制御回路3が取得すると、電源制御回路3は、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを停止(オフ:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流さないで停止)させてスイッチ素子Q1を導通(オン)させる処理と、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを駆動(オン:スイッチ素子Q2、Q3に電流を流して駆動)させてスイッチ素子Q1を遮断(オフ)させる処理とを交互に繰り返し実行させる(第二の間欠制御)。
【0049】
そうすると、スイッチ素子Q1が間欠制御されるため、スイッチSWa又はSWbがオン固着故障状態においても、抵抗素子R6とスイッチSWには間欠制御された電流が流れるため(電流値が小さいため)、抵抗素子R6として許容電力の小さい抵抗素子を採用できるので、抵抗素子R6のサイズを小さくすることができる。その結果、電子制御回路1を小型化することができる。
【0050】
また、複数の抵抗素子R6a、R6bがスイッチ素子Q1のドレインに接続されている場合には、スイッチSWa、SWbに対応する抵抗素子R6a、R6bのサイズをそれぞれ小さくできるため、電子制御回路1を更に小型化することができる。
【0051】
実施形態2の動作について説明する。
図3は、実施形態2の電子制御回路201の動作の一実施例を示す図である。ステップS1では、制御回路2が、監視回路202a、202bから制御回路2のポートP2、P3へ出力された監視信号それぞれを取得する。
【0052】
ステップS2では、制御回路2は、スイッチSWがオン固着故障状態であるか否かを判定し、オン固着故障状態である場合(S2:Yes)にはステップS3に移行し、オン固着故障状態でない場合(S2:No)にはステップS4に移行する。
図2の例において、スイッチSWaがオン固着故障状態であるとすると、制御回路2のポートP2で取得した監視信号はロー状態を継続する。
【0053】
スイッチSWがオン固着故障状態である否かの判定は、
図2に示した電子制御回路1の場合であれば、監視信号のロー状態が所定時間以上継続した場合に、スイッチSWがオン固着故障状態であると判定する。所定時間は、スイッチSWがオン固着故障状態であると見做せる時間で、例えば、実験やシミュレーションなどで決め、制御回路2内部又は外部に設けられている不図示の記憶部に記憶する。
【0054】
ステップS3では、スイッチSWがオン固着故障状態である場合、スイッチSWがオン固着故障状態であることを示す固着情報を、制御回路2は記憶部に記憶する。例えば、
図2の例において、スイッチSWaがオン固着故障状態であるとすると、制御回路2はスイッチSWaがオン固着故障状態であることを示す固着情報を記憶部に記憶する。スイッチSWbがオン固着故障状態である場合も、制御回路2は同じように固着情報を記憶部に記憶する。
【0055】
ステップS4では、スイッチSWがオン固着故障状態でない場合、スイッチSWがオン固着故障状態でないことを示す固着情報を、制御回路2は記憶部に記憶する。例えば、
図2の例において、スイッチSWaがオン固着故障状態でないとすると、制御回路2はスイッチSWaがオン固着故障状態でないことを示す固着情報を記憶部に記憶する。スイッチSWbがオン固着故障状態でない場合も、制御回路2は同じように固着情報を記憶部に記憶する。
【0056】
ステップS5では、制御回路2が、低電力モード移行条件が成立したか否かを判定する。低電力モード移行条件が成立している場合(S5:Yes)にはステップS6に移行し、低電力モード移行条件が成立していない場合(S5:No)にはステップS1に移行する。低電力モード移行条件は、実施形態1で説明した制御回路2が通常低電力モードに移行する場合や、スイッチSWがオン固着故障状態であることを制御回路2が検出した場合などである。
【0057】
なお、ステップS1からステップS5の処理(破線枠)は、動作モードの一部の処理である、言い換えると、ステップS1からステップS5は、制御回路2が上記(1)の処理(第一の間欠制御)を実行しているときにともに実行される処理である。
【0058】
ステップS6では、ステップS3又はステップS4で記憶部に記憶した固着情報を、制御回路2が参照し、固着情報が、スイッチSWがオン固着故障状態であることを示している場合(S6:Yes)にはステップS7に移行する。また、固着情報が、スイッチSWがオン固着故障状態でないことを示している場合(S6:No)にはステップS8に移行する。
【0059】
ステップS7では、制御回路2が上記(3)の処理を実行する。すなわち、固着時低電力モードに移行し、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを停止させてスイッチ素子Q1を導通させる処理と、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを駆動させてスイッチ素子Q1を遮断させる処理とを交互に繰り返し実行させる(第二の間欠制御)。
【0060】
ステップS8では、制御回路2が上記(2)の処理を実行する。すなわち、スイッチ素子Q2とスイッチ素子Q3とを停止させてスイッチ素子Q1を導通させる。
ステップS7、ステップS8の処理を終了すると、ステップS9において、制御回路2は動作モードに移行(ウェークアップ)するため、ウェークアップ条件が成立するのを待つ。制御回路2は、ウェークアップ条件が成立した場合(S9:Yes)にはステップS1に移行し、ウェークアップ条件が成立しない場合(S9:No)にはステップS9で待機する。
【0061】
このように、実施形態2によれば、実施形態1で説明したように、動作モード及び通常低電力モードにおいても、電子制御回路1の消費電力を低減させることができ、スイッチ素子Q1が導通している場合に電源BTの暗電流を低減できる。
【0062】
更に、実施形態2によれば、スイッチSWがオン固着故障状態でも、固着時低電力モードに移行し、第一のスイッチ素子Q1を間欠制御することで、抵抗素子R6とスイッチSWには間欠された電流が流れるため(抵抗素子R6に流れる電流が小さいため)、抵抗素子R6として許容電力が小さい抵抗素子を選択できる。その結果、抵抗素子R6のサイズを小さくすることができるので、電子制御回路1を小型化することができる。
【0063】
また、複数のスイッチSWa、SWbがある場合には、スイッチSWa、SWbに対応する抵抗素子R6a、R6bのサイズをそれぞれ小さくできるため、電子制御回路1を更に小型化することができる。
【0064】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。