(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固形成分が、(A)レジスト基材/(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物/(D)任意成分を、固形成分基準の質量%で、1〜99/99〜1/0〜98含有する、請求項1に記載のポジ型感放射線性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
【0011】
(感放射線性組成物)
本実施形態の感放射線性組成物は、(A)レジスト基材と、(B)光活性化合物と、(C)溶媒と、を含有する。さらに、本実施形態の感放射線性組成物中において、固形成分の含有量は1〜80質量%であり、溶媒の含有量は20〜99質量%であり、前記(A)レジスト基材が下記式(1)で表わされる化合物である。このような構成を有するため、本実施形態の感放射線性組成物は、ラフネスが低減され、良好なレジストパターンを与えることができる。
【0012】
【化5】
(式(1)中、R
0は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換若しくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換若しくは無置換の炭素数0〜20のアミノ基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアシル基、置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキロイルオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数7〜30のアリーロイルオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキルシリル基、又はこれらの基と二価の基(置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基及びエーテル基からなる群より選択される1以上の基)が結合した基である。)
【0013】
本実施形態の感放射線性組成物は、固形成分1〜80質量%及び溶媒20〜99質量%からなる感放射線性組成物であり、さらに、式(1)で表される化合物が固形成分の1〜99質量%であることが好ましい。なお、本明細書において、「固形成分」とは、感放射線性組成物に含まれる(A)レジスト基材及び(B)光活性化合物を意味し、後述する(D)任意成分が感放射線性組成物に含まれる場合は、(A)レジスト基材、(B)光活性化合物、及び(D)任意成分の全てを意味するものとする。すなわち、固形成分の含有量は、感放射線性組成物の質量と当該感放射線性組成物から溶媒を除去して残った固形成分の質量とを測定することで確認できる。
【0014】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、官能基中の一つ以上の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキロイルオキシ基、炭素数7〜30のアリーロイルオキシ基又は炭素数1〜20のアルキルシリル基で置換されていることを意味する。
【0015】
無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、フルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−シアノプロピル基及び20−ニトロオクタデシル基等が挙げられる。
【0016】
無置換の炭素数3〜20の分岐脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ネオペンチル基、2−ヘキシル基、2−オクチル基、2−デシル基、2−ドデシル基、2−ヘキサデシル基、2−オクタデシル基等が挙げられる。
置換の炭素数3〜20の分岐脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、1−フルオロイソプロピル基及び1−ヒドロキシ−2−オクタデシル基等が挙げられる。
【0017】
無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、2−フルオロシクロプロピル基及び4−シアノシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0018】
無置換の炭素数6〜20のアリール基としては、以下に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
置換の炭素数6〜20のアリール基としては、以下に限定されないが、例えば、4−メチルフェニル基、6−フルオロナフチル基等が挙げられる。
【0019】
無置換の炭素数7〜30のアラルキル基としては、以下に限定されないが、例えば、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、6−メチルナフチル基、2,6−ジメチルナフチル基等が挙げられる。
置換の炭素数7〜30のアラルキル基としては、以下に限定されないが、例えば、4−フルオロ−3−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0020】
無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
置換の炭素数1〜20のアルコキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロメトキシ基、ブロモエトキシ基等が挙げられる。
【0021】
無置換の炭素数0〜20のアミノ基としては、以下に限定されないが、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
置換の炭素数0〜20のアミノ基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロメチルアミノ基、ジブロモメチルアミノ基等が挙げられる。
【0022】
無置換の炭素数1〜20のアルケニル基としては、以下に限定されないが、例えば、ビニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、オクチニル基、デシニル基、ドデシニル基、ヘキサデシニル基、オクタデシニル基等が挙げられる。
置換の炭素数1〜20のアルケニル基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロプロピニル基等が挙げられる。
【0023】
無置換の炭素数1〜20のアシル基としては、以下に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
置換の炭素数1〜20のアシル基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロアセチル基等が挙げられる。
【0024】
無置換の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基としては、以下に限定されないが、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロメトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0025】
無置換の炭素数1〜20のアルキロイルオキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基、ペンチルオキシカルボニルオキシ基、ヘキシルオキシカルボニルオキシ基、オクチルオキシカルボニルオキシ基、デシルオキシカルボニルオキシ基、ドデシルオキシカルボニルオキシ基、ヘキサデシルオキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
置換の炭素数1〜20のアルキロイルオキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロメトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
無置換の炭素数7〜30のアリーロイルオキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、ベンゾイルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
置換の炭素数7〜30のアリーロイルオキシ基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
無置換の炭素数1〜20のアルキルシリル基としては、以下に限定されないが、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、デシルシリル基、ドデシルシリル基、ヘキサデシルシリル基、オクタデシルシリル基等が挙げられる。
置換の炭素数1〜20のアルキルシリル基としては、以下に限定されないが、例えば、クロロメチルシリル基等が挙げられる。
【0028】
本実施形態において、前記式(1)で表わされる化合物のR
0の少なくとも1つが、ヨウ素原子を含む一価の基であることが好ましい。
【0029】
ヨウ素原子を含む一価の基としては、以下に限定されないが、例えば、ヨウ素原子、ヨウ素原子で置換された炭素数1〜6の直鎖状脂肪族炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数3〜6の分岐状脂肪族炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数3〜6の環状脂肪族炭化水素基、又はヨウ素原子で置換された炭素数6のアリール基が挙げられる。
【0030】
R
0の少なくとも1つが、ヨウ素原子を含む一価の基である場合、ヨウ素原子は電子線、極端紫外線(EUV)、X線などの放射線に対する吸収能を増加させる傾向にあり、その結果、本実施形態における感放射線性組成物の感度をより高められる傾向にある。特に極端紫外線(EUV)リソグラフィーでは、半導体デバイスの生産性の向上のために、感放射線性組成物の高感度化が要求されるため、上記のような本実施形態の感放射線性組成物はとりわけ有用である。
【0031】
本実施形態において、前記式(1)で表わされる化合物が、式(2)で表わされる化合物であることが簡便な製造プロセスである点からより好ましい。
【0032】
【化6】
(式(2)中、R
1は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキルシリル基であり、R
2は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換若しくは無置換の炭素数7〜30のアラルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルケニル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアシル基、置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキロイルオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数7〜30のアリーロイルオキシ基又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキルシリル基であり、R'は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基又は下記式(3)で表わされる基であり、式(3)中のR
4は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基又は置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキルシリル基であり、ここで、R
2の少なくとも1つ及び/又はR
4の少なくとも1つが、ヨウ素原子を含む一価の基である。)
【0034】
また、本実施形態において、前記式(2)で表わされる化合物が、式(4)で表わされる化合物であることが高感度である点からさらに好ましい。
【0035】
【化8】
(式(4)中、R
1、R
4は前記と同じであり、pは0〜4の整数である。)
【0036】
さらに、本実施形態において、前記式(4)で表わされる化合物が、式(5)で表わされる化合物であることが高溶解性である点からよりさらに好ましい。
【0037】
【化9】
(式(5)中、R
1、R
4は前記と同じであり、pは0〜4の整数である。)
【0038】
また、前記式(4)で表わされる化合物が、式(6)で表わされる化合物であることが高溶解性である点から一層好ましい。
【0039】
【化10】
(式(6)中、R
4は前記と同じであり、pは0〜4の整数である。)
【0040】
さらに、前記式(5)又は式(6)で表わされる化合物が、式(7)で表わされる化合物であることがパターン形状がラフネスが良好である点からより一層好ましい。
【0042】
式(7)表わされる化合物を(A)レジスト基材とする場合、安全溶媒に対する溶解性が高く、高感度で、ラフネスが小さく、かつ、良好な形状のレジストパターンを形成することができる傾向にある。
【0043】
上記式(1)表わされる化合物の分子量は特に限定されないが、500〜5000であることが好ましく、より好ましくは800〜2000、さらに好ましくは1000〜2000である。上記範囲であるとレジストに要求される十分な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する傾向にある。
【0044】
本実施形態における(A)レジスト基材として、上述した化合物は、シス体及びトランス体を取りうるが、いずれかのみであってもよく、混合物であってもよい。シス体及びトランス体のいずれか一方のみを使用するほうが、レジスト膜中成分の均一性が高くなる傾向にあるので好ましい。シス体及びトランス体の一方のみから構成される(A)レジスト基材を得るための方法としては、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
【0045】
上記式(1)で表わされる化合物は、以下に限定されないが、例えば、ヨウ素原子を含む一価の基を有するアルデヒド性化合物(A1)からなる群より選ばれる1種以上の化合物とフェノール性化合物(A2)からなる群より選ばれる1種以上の化合物との縮合反応により得ることができる。
【0046】
本実施形態においては、前記アルデヒド性化合物(A1)が1〜4個のホルミル基及びヨウ素原子を含む一価の基を有する炭素数が2〜59の化合物であり、前記フェノール性化合物(A2)が1〜3個のフェノール性水酸基を有する炭素数6〜15の化合物であることが好ましい。
【0047】
上記した好ましいアルデヒド性化合物(A1)は炭素数が3〜59であり、1〜4個のホルミル基及びヨウ素原子を含む一価の基を有し、芳香族アルデヒド性化合物(A1A)と脂肪族アルデヒド性化合物(A1B)から選択される。芳香族アルデヒド性化合物(A1A)は炭素数7〜24のベンズアルデヒド化合物が好ましく、例えば、ヨードベンズアルデヒド、メチルヨードベンズアルデヒド、ジメチルヨードベンズアルデヒド、エチルヨードベンズアルデヒド、プロピルヨードベンズアルデヒド、ブチルヨードベンズアルデヒド、エチルメチルヨードベンズアルデヒド、イソプロピルメチルヨードベンズアルデヒド、ジエチルヨードベンズアルデヒド、メトキシヨードアルデヒド、ヨードナフトアルデヒド、ヨードアントラアルデヒド、シクロプロピルヨードベンズアルデヒド、シクロブチルヨードベンズアルデヒド、シクロペンチルヨードベンズアルデヒド、シクロヘキシルヨードベンズアルデヒド、フェニルヨードベンズアルデヒド、ナフチルヨードベンズアルデヒド、アダマンチルヨードベンズアルデヒド、ノルボルニルヨードベンズアルデヒド、ラクチルヨードベンズアルデヒド、イソプロピルヨードベンズアルデヒド、ノルマルプロピルヨードベンズアルデヒド、ブロモヨードベンズアルデヒド、ジメチルアミノヨードベンズアルデヒド、ヒドロキシヨードベンズアルデヒド、ジヒドロキシヨードベンズアルデヒド、トリヒドロキシヨードベンズアルデヒド等が挙げられ、ヨードベンズアルデヒド、メチルヨードベンズアルデヒド、ジメチルヨードベンズアルデヒド、エチルヨードベンズアルデヒドがより好ましく、ヨードベンズアルデヒドがさらに好ましい。芳香族アルデヒド性化合物(A1A)は本実施形態の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していてもよい。芳香族アルデヒド性化合物(A1A)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0048】
脂肪族アルデヒド性化合物(A1B)は炭素数3〜24の化合物が好ましく、例えば、ヨードプロパナール、ヨードイソプロパナール、ヨードブタナール、ヨードイソブタナール、ヨード−t−ブタナール、ヨードペンタナール、ヨードイソぺンタナール、ヨードネオペンタナール、ヨードヘキサナール、ヨードイソヘキサナール、ヨードオクタナール、ヨードデカナール、ヨードドデカナール、ヨードウンデセナール、ヨードシクロプロパンカルボキシアルデヒド、ヨードシクロブタンカルボキシアルデヒド、ヨードシクロヘキサンカルボキシアルデヒド等が挙げられ、ヨードイソブタナール、ヨード−t−ブタナール、ヨードペンタナール、ヨードイソぺンタナール、ヨードネオペンタナール、ヨードヘキサナール、ヨードイソヘキサナール、ヨードオクタナール、ヨードデカナール、ヨードドデカナール、ヨードシクロプロパンカルボキシアルデヒド、ヨードシクロブタンカルボキシアルデヒド、ヨードシクロヘキサンカルボキシアルデヒドがより好ましく、ヨードオクタナール、ヨードデカナール、ヨードドデカナール、ヨードシクロヘキサンカルボキシアルデヒドがさらに好ましい。脂肪族アルデヒド性化合物(A1B)は本実施形態の効果を損ねない範囲でシアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していてもよい。脂肪族アルデヒド性化合物(A1B)は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0049】
フェノール性化合物(A2)の炭素数は6〜15であるのが好ましく、1〜3個のフェノール性水酸基を有することがより好ましい。フェノール性化合物(A2)の好ましい例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、3−メトキシフェノール、3−エトキシフェノール、3−シクロヘキシロキシフェノール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,3−ジエトキシベンゼン、1,3−ジシクロヘキシロキシベンゼン等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロール、3−メトキシフェノール、3−エトキシフェノール、3−シクロヘキシロキシフェノール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,3−ジエトキシベンゼン、1,3−ジシクロヘキシロキシベンゼンがより好ましく、レゾルシノールが更に好ましい。フェノール性化合物(A2)は本実施形態の効果を損ねない範囲で炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状アルキル基、シアノ基、水酸基、ハロゲン等を有していてもよい。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0050】
上記式(1)で表わされる化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、酸触媒(塩酸、硫酸又はパラトルエンスルホン酸等)の存在下で、アルデヒド性化合物(A1)1モルに対し、フェノール性化合物(A2)を0.1〜10モルを40〜150℃で0.5〜20時間程度反応させる。次いで、濾過、メタノール等のアルコール類での洗浄、水洗、濾過による分離後、乾燥させることにより分子量が500〜5000の式(1)で表わされる化合物が得られる。酸触媒の代わりに、塩基性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化バリウム又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等)を使用し、同様に反応することによっても式(1)で表わされる化合物を得ることができる。さらに本実施形態における式(1)で表わされる化合物は、上記アルデヒド性化合物(A1)をハロゲン化水素又はハロゲンガスでジハロゲン化物とし、単離したジハロゲン化物とフェノール性化合物(A2)とを反応させて製造することもできる。
【0051】
得られる式(1)で表わされる化合物の半導体安全溶媒に対する溶解性を向上させる観点から、アルデヒド性化合物(A1)又はフェノール性化合物(A2)の少なくとも1つを2種以上用いることがより好ましい。
【0052】
式(1)で表わされる化合物の純度を向上させるために、また残存金属量を低減するために、必要に応じて精製してもよい。感放射線性組成物の十分な保存安定性を確保する観点から、酸触媒及び助触媒の残存を防止することが好ましく、また、感放射線性組成物の十分な感度を確保する観点から、塩基性触媒の残存を防止することが好ましく、これらの低減を目的とした精製を行うことが好ましい。
【0053】
精製は、レジスト基材が変性しない限り公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、水で洗浄する方法、酸性水溶液で洗浄する方法、塩基性水溶液で洗浄する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理する方法などが挙げられる。これら精製方法は2種以上を組み合わせて行うことがより好ましい。
【0054】
酸性水溶液、塩基性水溶液、イオン交換樹脂及びシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、除去すべき金属、酸性化合物及び塩基性化合物の量や種類、精製するレジスト基材の種類などに応じて、最適なものを適宜選択することが可能である。例えば、酸性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lの塩酸、硝酸、酢酸水溶液、塩基性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lのアンモニア水溶液、イオン交換樹脂として、カチオン交換樹脂、例えばオルガノ製Amberlyst 15J−HG Dryなどが挙げられる。
【0055】
精製後に乾燥を行ってもよい。乾燥は公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、式(1)で表わされる化合物が変性しない条件で真空乾燥、熱風乾燥する方法などが挙げられる。
【0056】
本実施形態における式(1)で表わされる化合物は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
【0057】
本実施形態における式(1)で表わされる化合物は、後述する(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物と併用し、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線を照射することにより、現像液に易溶な化合物となるポジ型レジスト用基材として有用である。g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線により、式(1)で表わされる化合物の(A)レジスト基材としての性質は大きくは変化しないが、現像液に難溶な(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物が易溶な化合物に変化することで、現像工程によってレジストパターンを作り得る。本実施形態における式(1)で表わされる化合物は低分子量の化合物であることから、得られたレジストパターンのラフネスは小さい。また、式(1)で表わされ、かつ、ヨウ素原子を含む一価の基を有する化合物を適用した場合は、電子線、極端紫外線(EUV)、X線などの放射線に対する吸収能を増加させる傾向にあり、その結果、本実施形態におけるレジスト基材を用いた感放射線性組成物の感度を高めることが可能となり、好ましい。
【0058】
本実施形態における式(1)で表わされる化合物のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、よりさらに好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、半導体リソグラフィープロセスにおいて、パターン形状を維持しうる耐熱性を有し、高解像度などの性能が向上する傾向にある。
【0059】
本実施形態における式(1)で表わされる化合物のガラス転移温度の示差走査熱量分析により求めた結晶化発熱量は20J/g未満であるのが好ましい。また、(結晶化温度)−(ガラス転移温度)は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは130℃以上である。結晶化発熱量が20J/g未満、又は(結晶化温度)−(ガラス転移温度)が上記範囲内であると、感放射線性組成物をスピンコートすることにより、アモルファス膜を形成しやすく、かつレジストに必要な成膜性が長期に渡り保持でき、解像性を向上することができる傾向にある。
【0060】
本実施形態において、前記結晶化発熱量、結晶化温度及びガラス転移温度は、島津製作所製DSC/TA−50WSを用いた示差走査熱量分析により求めることができる。より詳細には、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(50mL/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。急冷後、再び窒素ガス気流中(30mL/min)昇温速度20℃/minで融点以上まで昇温する。さらに急冷後、再び窒素ガス気流中(30mL/min)昇温速度20℃/minで400℃まで昇温する。ステップ状に変化したベースラインの段差の中点(比熱が半分に変化したところ)の温度をガラス転移温度(Tg)、その後に現れる発熱ピークの温度を結晶化温度とする。発熱ピークとベースラインに囲まれた領域の面積から発熱量を求め、結晶化発熱量とする。
【0061】
本実施形態における式(1)で表わされる化合物は、常圧下、100℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは140℃以下、特に好ましくは150℃以下において、昇華性が低いことが好ましい。昇華性が低いとは、熱重量分析において、所定温度で10分保持した際の重量減少が10%、好ましくは5%、より好ましくは3%、さらに好ましくは1%、よりさらに好ましくは0.1%以下であることを示す。昇華性が低いことにより、露光時のアウトガスによる露光装置の汚染をより効果的に防止できる傾向にある。また、より低ラフネスで良好なパターン形状を得ることができる傾向にある。
【0062】
本実施形態における式(1)で表わされる化合物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン(CHN)、シクロペンタノン(CPN)、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル及び乳酸エチルから選ばれ、かつ、当該化合物に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、1質量%以上溶解することが好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。よりさらに好ましくは、PGMEA、PGME及びCHNから選ばれ、かつ、上記化合物に対して最も高い溶解能を示す溶媒に、23℃で、20質量%以上溶解する。一層好ましくは、PGMEAに対して、23℃で、20質量%以上溶解する。上記条件を満たしていることにより、実生産における半導体製造工程での実用性が向上する傾向にある。
【0063】
本実施形態の感放射線性組成物は、(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物を含む。(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物は、ポリマー性及び非ポリマー性ジアゾナフトキノン光活性化合物を含む、ジアゾナフトキノン物質であり、一般にポジ型レジスト組成物において、感光性成分として用いられているものであれば特に限定されず、1種又は2種以上任意に選択して用いることができる。これらの中でも低ラフネスおよび溶解性の観点から、非ポリマー性ジアゾナフトキノン光活性化合物であることが好ましく、より好ましくは分子量1500以下の低分子化合物であり、さらに好ましくは分子量1200以下、特に好ましくは分子量1000以下である。このような非ポリマー性ジアゾナフトキノン光活性化合物の好ましい具体例としては、下記式(G)、(G−1)、(G−2)及び(G−3)で表される化合物が挙げられる。
【0068】
(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物としては、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライド等と、これら酸クロライドと縮合反応可能な官能基を有する低分子化合物又は高分子化合物とを反応させることによって得られた化合物が好ましい。ここで酸クロライドと縮合可能な官能基としては、以下に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基等を挙げることができ、中でも水酸基が好ましい。水酸基を含む酸クロライドと縮合可能な化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2、3、4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2、4、6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2、3、4、4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2'、4、4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2'、3、4、6'−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等のヒドロキシベンゾフェノン類、ビス(2、4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2、3、4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2、4−ジヒドロキシフェニル)プロパン等のヒドロキシフェニルアルカン類、4、4'、3"、4"−テトラヒドロキシ−3、5、3'、5'−テトラメチルトリフェニルメタン、4、4'、2"、3"、4"−ペンタヒドロキシ−3、5、3'、5'−テトラメチルトリフェニルメタン等のヒドロキシトリフェニルメタン類などを挙げることができる。
また、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライドなどの酸クロライドとしては、例えば、1、2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライド、1、2−ナフトキノンジアジド−4−スルフォニルクロライドなどが好ましいものとして挙げられる。
【0069】
本実施形態の感放射線性組成物は、(C)溶媒を含む。
前記溶媒は、通常は、使用時に各成分を溶媒に溶解して均一溶液とし、その後、必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製される。
【0070】
本実施形態における溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルプロピオン酸ブチル、3−メトキシ−3−メチル酪酸ブチル、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定されない。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0071】
本実施形態の感放射線性組成物において、固形成分の含有量は1〜80質量%であり、溶媒の含有量は20〜99質量%である。好ましくは、得られるレジストパターンの解像性の観点から、固形成分の含有量が1〜50質量%であり、溶媒の含有量が50〜99質量%である。さらに好ましくは、固形成分の含有量が2〜40質量%であり、溶媒の含有量が60〜98質量%である。よりさらに好ましくは、固形成分の含有量が2〜10質量%であり、溶媒の含有量が90〜98質量%である。
【0072】
本実施形態の感放射線性組成物は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。すなわち、本実施形態のアモルファス膜は、本実施形態の感放射線性組成物から得られる。本実施形態の感放射線性組成物をスピンコートして形成したアモルファス膜の23℃における現像液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05〜5Å/secがより好ましく、0.0005〜5Å/secがさらに好ましい。レジストとして、現像液に不溶とする観点から、5Å/sec以下であることが好ましく、解像性を向上させる観点から、0.0005Å/sec以上の溶解速度を有することが好ましい。これは、式(1)で表わされる化合物の露光前後の溶解性の変化により、現像液に溶解する露光部と、現像液に溶解しない未露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またラフネスの低減、欠陥(ディフェクト)の低減効果がある。
【0073】
本実施形態の感放射線性組成物をスピンコートして形成したアモルファス膜のg線、h線、i線、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により露光した部分の23℃における現像液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。レジストとして、現像液に溶解させる観点から、10Å/sec以上であることが好ましく、解像性を向上させる観点から、10000Å/sec以下の溶解速度を有することが好ましい。これは、前記式(1)で表わされる化合物のミクロの表面部位が溶解し、ラフネスを低減するからと推測される。またディフェクトの低減効果がある。20〜500℃で加熱した後の前記アモルファス膜の、現像液に対する溶解速度についても上記と同様である。
【0074】
本実施形態の(A)レジスト基材の含有量は、固形成分((A)レジスト基材、(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物及び(D)任意成分)の1〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜95質量%、さらに好ましくは10〜90質量%、よりさらに好ましくは25〜75質量%である。上記配合割合であると、より高感度でラフネスの小さなパターンが得られる傾向にある。
【0075】
本実施形態の(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物の量は、固形成分の1〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜95質量%、さらに好ましくは10〜90質量%、よりさらに好ましくは25〜75質量%である。上記配合割合であると、より高感度でラフネスの小さなパターンが得られる傾向にある。
【0076】
本実施形態の感放射線性組成物には、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、(A)レジスト基材、(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物及び(C)溶媒以外の(D)任意成分として、酸発生剤、酸架橋剤、酸拡散制御剤、溶解促進剤、溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体等の各種添加剤を1種又は2種以上添加することができる。
【0077】
(1)酸発生剤
本実施形態の感放射線性組成物は、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線及びイオンビームから選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤を一種以上含むことが好ましい。酸発生剤の使用量は、固形成分の0.001〜49質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましく、10〜25質量%がよりさらに好ましい。上記範囲内で使用することにより、より高感度でかつ低エッジラフネスのパターンプロファイルが得られる傾向にある。本実施形態では、系内に酸が発生すれば、酸の発生方法は限定されない。g線、i線などの紫外線の代わりにエキシマレーザーを使用すれば、より微細加工が可能であるし、また高エネルギー線として電子線、極端紫外線、X線、イオンビームを使用すれば更に微細加工が可能である。
【0078】
前記酸発生剤としては、下記式(7−1)〜(7−8)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【化16】
(式(7−1)中、R
13は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状若しくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状若しくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子であり;X
-は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基若しくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオン又はハロゲン化物イオンである。)
【0079】
前記式(7−1)で表わされる化合物は、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニル−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート及びシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミデートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0080】
【化17】
(式(7−2)中、R
14は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状若しくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状若しくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を表す。X
-は前記と同様である。)
【0081】
前記式(7−2)で表わされる化合物は、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムへキサフルオロベンゼンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート及びジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0082】
【化18】
(式(7−3)中、Qはアルキレン基、アリーレン基又はアルコキシレン基であり、R
15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基又はハロゲン置換アリール基である。)
【0083】
前記式(7−3)で表わされる化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミド及びN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0084】
【化19】
(式(7−4)中、R
16は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。)
【0085】
前記式(7−4)で表わされる化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォン及びジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0086】
【化20】
(式(7−5)中、R
17は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。)
【0087】
前記式(7−5)で表わされる化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0088】
【化21】
(式(7−6)中、R
18は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、1以上の塩素原子及び1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。)
【0091】
式(7−7)及び(7−8)中、R
19及びR
20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシル基、又はフェニル基、トルイル基、ナフチル基等アリール基、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。L
19及びL
20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。J
19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(7−7−1)で表わされる基、カルボニル基、エステル基、アミド基又はエーテル基であり、Y
19は水素原子、アルキル基又はアリール基であり、X
20は、それぞれ独立に下記式(7−8−1)で表わされる基である。
【0093】
【化25】
(式(7−8−1)中、Z
22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、R
22はアルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシル基であり、rは0〜3の整数である。)
【0094】
その他の酸発生剤として、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1、3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1、4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1、6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1、10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカンなどのビススルホニルジアゾメタン類、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0095】
上記酸発生剤のうち、芳香環を有する酸発生剤が好ましく、式(7−1)又は(7−2)で表わされる酸発生剤がより好ましい。式(7−1)又は(7−2)のX
−が、アリール基若しくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤がさらに好ましく、アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤が特に好ましく、ジフェニルトリメチルフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロメタンスルホナートが特に好ましい。該酸発生剤を用いることで、LERを低減することができる。
上記酸発生剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0096】
(2)酸架橋剤
本実施形態の感放射線性組成物は、酸架橋剤を一種以上含むことが好ましい。酸架橋剤とは、酸発生剤から発生した酸の存在下で、式(1)で表される化合物を分子内又は分子間架橋し得る化合物である。このような酸架橋剤としては、以下に限定されないが、例えば、式(1)で表される化合物を架橋し得る1種以上の基(以下、「架橋性基」という。)を有する化合物を挙げることができる。
【0097】
このような架橋性基の具体例としては、以下に限定されないが、(i)ヒドロキシ(C1−C6アルキル基)、C1−C6アルコキシ(C1−C6アルキル基)、アセトキシ(C1−C6アルキル基)等のヒドロキシアルキル基又はそれらから誘導される基;(ii)ホルミル基、カルボキシ(C1−C6アルキル基)等のカルボニル基又はそれらから誘導される基;(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有基;(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有基;(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基等の、C1−C6アリルオキシ(C1−C6アルキル基)、C1−C6アラルキルオキシ(C1−C6アルキル基)等の芳香族基から誘導される基;(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有基等を挙げることができる。本実施形態の酸架橋剤の架橋性基としては、ヒドロキシアルキル基、及びアルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
【0098】
前記架橋性基を有する酸架橋剤としては、以下に限定されないが、例えば(i)メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有ウレア化合物、メチロール基含有グリコールウリル化合物、メチロール基含有フェノール化合物等のメチロール基含有化合物;(ii)アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有ウレア化合物、アルコキシアルキル基含有グリコールウリル化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物等のアルコキシアルキル基含有化合物;(iii)カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有ウレア化合物、カルボキシメチル基含有グリコールウリル化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等のカルボキシメチル基含有化合物;(iv)ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物等のエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0099】
酸架橋剤としては、さらに、フェノール性水酸基を有する化合物、ならびにアルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基に前記架橋性基を導入し、架橋性を付与した化合物及び樹脂を使用することができる。その場合の架橋性基の導入率は、フェノール性水酸基を有する化合物、及びアルカリ可溶性樹脂中の全酸性官能基に対して、通常、5〜100モル%、好ましくは10〜60モル%、より好ましくは15〜40モル%に調節される。上記範囲であると、架橋反応が十分起こり、残膜率の低下、パターンの膨潤現象や蛇行等が避けられる傾向にあるので好ましい。
【0100】
本実施形態の感放射線性組成物において酸架橋剤は、アルコキシアルキル化ウレア化合物若しくはその樹脂、又はアルコキシアルキル化グリコールウリル化合物若しくはその樹脂が好ましい。より好ましい酸架橋剤としては、下記式(8−1)〜(8−3)で表わされる化合物及びアルコキシメチル化メラミン化合物を挙げることができる(酸架橋剤)。
【0101】
【化26】
(上記式(8−1)〜(8−3)中、R
7はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアシル基を表し;R
8〜R
11はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、アルキル基又はアルコキシル基を示し;X
2は、単結合、メチレン基又は酸素原子を示す。)
【0102】
上記R
7が表すアルキル基は、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。R
7が表すアシル基は、炭素数2〜6が好ましく、炭素数2〜4がより好ましく、例えばアセチル基、プロピオニル基が挙げられる。R
8〜R
11が表すアルキル基は、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。R
8〜R
11が表すアルコキシル基は、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。X
2は単結合又はメチレン基であるのが好ましい。R
7〜R
11、X
2は、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。複数個のR
7、R
8〜R
11は、各々同一でも異なっていてもよい。
【0103】
式(8−1)で表される化合物として具体的には、例えば、以下に示される化合物等を挙げることができる。
【化27】
【0104】
式(8−2)で表される化合物として具体的には、以下に限定されないが、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(イソプロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。この中で、特に、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルが好ましい。
【0105】
式(8−3)で表される化合物として具体的には、例えば、以下に示される化合物等を挙げることができる。
【化28】
【0106】
アルコキシメチル化メラミン化合物として具体的には、以下に限定されないが、例えば、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(n−プロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(n−ブトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)メラミン等を挙げることができる。この中で特に、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミンが好ましい。
前記酸架橋剤は、例えば尿素化合物又はグリコールウリル化合物、及びホルマリンを縮合反応させてメチロール基を導入した後、さらにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出する化合物又はその樹脂を回収することで得られる。また前記酸架橋剤は、CYMEL(商品名、三井サイアナミッド製)、ニカラック(三和ケミカル(株)製)のような市販品としても入手することができる。
【0107】
また、他の特に好ましい酸架橋剤として、分子内にベンゼン環を1〜6有し、ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基を分子内全体に2以上有し、該ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基が前記いずれかのベンゼン環に結合しているフェノール誘導体を挙げることができる。好ましくは、分子量が1500以下、分子内にベンゼン環を1〜6有し、ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基を合わせて2以上有し、該ヒドロキシアルキル基及び/又はアルコキシアルキル基が前記ベンゼン環のいずれか1つ、又は複数のベンゼン環に結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。
【0108】
ベンゼン環に結合するヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−1−プロピル基などの炭素数1〜6のものが好ましい。ベンゼン環に結合するアルコキシアルキル基としては、炭素数2〜6のものが好ましく、具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエチル基又は2−メトキシ−1−プロピル基が好ましい。
【0109】
これらのフェノール誘導体のうち、特に好ましいものを以下に挙げる。
【化29】
【0115】
上記式中、L
1〜L
8は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL
1〜L
8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号公報、特開平7−64285号公報等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
【0116】
このようにして合成されたヒドロキシメチル基及び/又はアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。酸架橋剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0117】
また、他の特に好ましい酸架橋剤として、少なくとも一つのα−ヒドロキシイソプロピル基を有する化合物を挙げることができる。α−ヒドロキシイソプロピル基を有する限り、その構造に特に限定はない。また、上記α−ヒドロキシイソプロピル基中のヒドロキシル基の水素原子を1種以上の酸解離性基(R−COO−基、R−SO
2−基等であり、当該Rは、炭素数1〜12の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜12の環状炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の1−分岐アルキル基及び炭素数6〜12の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる置換基を表す)で置換されていてもよい。上記α−ヒドロキシイソプロピル基を有する化合物としては、例えば、少なくとも1つのα−ヒドロキシイソプロピル基を含有する置換又は非置換の芳香族系化合物、ジフェニル化合物、ナフタレン化合物、フラン化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(9−1)で表される化合物(以下、「ベンゼン系化合物(1)」という。)、下記一般式(9−2)で表される化合物(以下、「ジフェニル系化合物(2)」という。)、下記一般式(9−3)で表される化合物(以下、「ナフタレン系化合物(3」という。)、及び下記一般式(9−4)で表される化合物(以下、「フラン系化合物(4)」という。)等が挙げられる。
【0119】
上記一般式(9−1)〜(9−4)中、各A
2は独立にα−ヒドロキシイソプロピル基又は水素原子を示し、かつ少なくとも1のA
2がα−ヒドロキシイソプロピル基である。また、一般式(9−1)中、R
51は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキルカルボニル基又は炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシカルボニル基を示す。更に、一般式(9−2)中、R
52は単結合、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、−O−、−CO−又は−COO−を示す。また、一般式(9−4)中、R
53及びR
54は、相互に独立に水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。
【0120】
上記ベンゼン系化合物(1)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、α−ヒドロキシイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,2,4−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン等のα−ヒドロキシイソプロピルベンゼン類;3−α−ヒドロキシイソプロピルフェノール、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェノール、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェノール、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェノール等のα−ヒドロキシイソプロピルフェノール類;3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニルメチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニルメチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニルエチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル−n−プロピルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニルイソプロピルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル−n−ブチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル−t−ブチルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル−n−ペンチルケトン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル−メチルケトン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニルエチルケトン、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニルメチルケトン等のα−ヒドロキシイソプロピルフェニルアルキルケトン類;3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸メチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸メチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸エチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸n−プロピル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸イソプロピル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸n−ブチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸t−ブチル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸n−ペンチル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸メチル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸エチル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸メチル等の4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸アルキル類等が挙げられる。
【0121】
また、上記ジフェニル系化合物(2)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、3−α−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピルビフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、4,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,4',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,3',4,6,−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,4,4',6,−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、3,3',5,5'−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,3',4,5',6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル、2,2',4,4',6,6'−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ビフェニル等のα−ヒドロキシイソプロピルビフェニル類;3−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルメタン、4−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルメタン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−2−フェニルプロパン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−3−フェニルプロパン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−4−フェニルブタン、1−(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)−5−フェニルペンタン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルメタン、3,3'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、4,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、1,2−ビス(4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル)エタン、1,2−ビス(4−α−ヒドロキシプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−α−ヒドロキシプロピルフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−α−ヒドロキシプロピルフェニル)プロパン、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,3',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,4',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,3',4,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,4,4',6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,3',4,5',6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン、2,2',4,4',6,6'−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルメタン等のα−ヒドロキシイソプロピルジフェニルアルカン類;3−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルエーテル、4−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルエーテル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,3'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,3',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,3' ,4,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,4,4',6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,3',5,5'−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,3',4,5',6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2',4,4',6,6'−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルエーテル等のα−ヒドロキシイソプロピルジフェニルエーテル類;3−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルケトン、4−α−ヒドロキシイソプロピルジフェニルケトン、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,3'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、4,4'−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,3',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,4',5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,3',4,6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,4,4',6−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、3,3',5,5'−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,3',4,5',6−ペンタキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン、2,2',4,4',6,6'−ヘキサキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ジフェニルケトン等のα−ヒドロキシイソプロピルジフェニルケトン類;3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸フェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸フェニル、安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸フェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸フェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸4−α−ヒドロキシイソプロピルフェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、3−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、4−α−ヒドロキシイソプロピル安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、3,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル、2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)安息香酸2,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)フェニル等のα−ヒドロキシイソプロピル安息香酸フェニル類等が挙げられる。
【0122】
更に、上記ナフタレン系化合物(3)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、1−(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、2−(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,5−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,6−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,7−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、2,6−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、2,7−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,5−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,7−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,4,6−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,4,7−トリス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン、1,3,5,7−テトラキス(α−ヒドロキシイソプロピル)ナフタレン等が挙げられる。
【0123】
また、上記フラン系化合物(4)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−メチル−3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−メチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−エチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−n−プロピル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−イソプロピル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−n−ブチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−t−ブチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2−n−ペンチル−4−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジメチル−3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジエチル−3−(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、3,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジメチル−3,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン、2,5−ジエチル−3,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)フラン等を挙げることができる。
【0124】
上記酸架橋剤としては、遊離のα−ヒドロキシイソプロピル基を2以上有する化合物が好ましく、α−ヒドロキシイソプロピル基を2以上有する前記ベンゼン系化合物(1)、α−ヒドロキシイソプロピル基を2以上有する前記ジフェニル系化合物(2)、α−ヒドロキシイソプロピル基を2個以上有する前記ナフタレン系化合物(3)が更に好ましく、α−ヒドロキシイソプロピル基を2個以上有するα−ヒドロキシイソプロピルビフェニル類、α−ヒドロキシイソプロピル基を2個以上有するナフタレン系化合物(3)が特に好ましい。
【0125】
上記酸架橋剤は、通常、1,3−ジアセチルベンゼン等のアセチル基含有化合物に、CH
3MgBr等のグリニヤール試薬を反応させてメチル化した後、加水分解する方法や、1,3−ジイソプロピルベンゼン等のイソプロピル基含有化合物を酸素等で酸化して過酸化物を生成させた後、還元する方法により得ることができる。
【0126】
本実施形態において酸架橋剤の使用量は、固形成分の0.5〜49質量%が好ましく、0.5〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%がさらに好ましく、2〜20質量%がよりさらに好ましい。上記酸架橋剤の配合割合を0.5質量%以上とすると、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の抑制効果を向上させ、残膜率が低下したり、パターンの膨潤や蛇行が生じたりするのを抑制することができる傾向にあるので好ましく、一方、50質量%以下とすると、レジストとしての耐熱性の低下を抑制できる傾向にあることから好ましい。
【0127】
また、上記酸架橋剤中の少なくとも1種の化合物の配合割合も特に限定はなく、レジストパターンを形成する際に使用される基板の種類等によって種々の範囲とすることができる。
【0128】
全酸架橋剤成分において、上記アルコキシメチル化メラミン化合物及び/又は(9−1)〜(9−3)で示される化合物が50〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜99質量%、さらに好ましくは70〜98質量%、よりさらに好ましくは80〜97質量%である。アルコキシメチル化メラミン化合物及び/又は(9−1)〜(9−3)で示される化合物を全酸架橋剤成分の50質量%以上とすることにより、解像度を向上させることができる傾向にあるので好ましく、99質量%以下とすることにより、パターン断面形状として矩形状の断面形状とし易くなる傾向にあるので好ましい。
【0129】
(3)酸拡散制御剤
本実施形態においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤を感放射線性組成物に配合してもよい。この様な酸拡散制御剤を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する傾向にある。また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性により優れたものとなる傾向にある。このような酸拡散制御剤としては、窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の放射線分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0130】
上記酸拡散制御剤としては、以下に限定されないが、例えば、含窒素有機化合物や、露光により分解する塩基性化合物等が挙げられる。上記含窒素有機化合物としては、以下に限定されないが、例えば、下記一般式(10)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、及び含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。尚、酸拡散制御剤(E)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0132】
上記一般式(10)中、R
61、R
62及びR
63は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、上記アルキル基、アリール基又はアラルキル基は、非置換でもよく、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。ここで、上記直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、以下に限定されないが、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10のものが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。また、上記アリール基としては、以下に限定されないが、炭素数6〜12のものが挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基としては、炭素数7〜19、好ましくは7〜13のものが挙げられ、具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0133】
上記含窒素化合物(I)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、メチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチル、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、ジメチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0134】
上記含窒素化合物(II)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0135】
上記含窒素化合物(III)として具体的には、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0136】
上記アミド基含有化合物として具体的には、以下に限定されないが、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0137】
上記ウレア化合物として具体的には、以下に限定されないが、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0138】
上記含窒素複素環式化合物として具体的には、以下に限定されないが、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;及び、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0139】
また、上記放射線分解性塩基性化合物としては、以下に限定されないが、例えば、下記一般式(11−1)で表されるスルホニウム化合物や、下記一般式(11−2)で表されるヨードニウム化合物等を挙げることができる。
【0142】
上記一般式(11−1)及び(11−2)中、R
71、R
72、R
73、R
74及びR
75は相互に独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示す。Z
−はHO
−、R−COO
−(ここで、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜11のアリール基又は炭素数7〜12のアルカリール基を示す。)又は下記一般式(11−3)で表されるアニオンを示す。
【0144】
上記放射線分解性塩基性化合物として具体的には、以下に限定されないが、例えば、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムアセテート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチレート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムハイドロオキサイド、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムアセテート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムサリチレート等が挙げられる。
【0145】
酸拡散制御剤の配合量は、固形成分の0.001〜49質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.01〜5質量%がさらに好ましく、0.01〜3質量%がよりさらに好ましい。上記範囲内であると、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等の劣化を防止できる傾向にある。さらに、電子線照射から放射線照射後加熱までの引き置き時間が長くなっても、パターン上層部の形状の劣化を防止できる傾向にある。また、配合量が10質量%以下であると、感度、未露光部の現像性等の低下を防止できる傾向にある。またこの様な酸拡散制御剤を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性の観点からより優れたものとなる傾向にある。
【0146】
(4)溶解促進剤
溶解促進剤は、式(1)表わされる化合物の現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時のレジスト基材の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分であり、本実施形態の効果を損なわない範囲で使用することができる。前記溶解促進剤としては、以下に限定されないが、例えば、低分子量のフェノール性化合物を挙げることができる。低分子量のフェノール性化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。溶解促進剤の配合量は、使用する式(1)で表わされる化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分の0〜49質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0質量%がよりさらに好ましい。
【0147】
(5)溶解制御剤
溶解制御剤は、式(1)で表わされる化合物が現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を制御して現像時の溶解速度を適度に減少させる作用を有する成分である。このような溶解制御剤としては、レジスト被膜の焼成、放射線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。
【0148】
溶解制御剤としては、以下に限定されないが、例えば、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、使用する式(1)で表わされる化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分の0〜49質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0質量%がよりさらに好ましい。
【0149】
(6)増感剤
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの増感剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、使用する式(1)で表わされる化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分の0〜49質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0質量%がよりさらに好ましい。
【0150】
(7)界面活性剤
界面活性剤は、本実施形態の感放射線性組成物の塗布性やストリエーション、レジストの現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでもよい。好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。ノニオン系界面活性剤は、感放射線性組成物の製造に用いる溶媒との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等が挙げられるが、特に限定はされない。市販品としては、以下に限定されないが、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等を挙げることができる。界面活性剤の配合量は、使用する式(1)で表わされる化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分の0〜49質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0質量%がよりさらに好ましい。
【0151】
(8)有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体
感度劣化防止又はレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸、又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。なお、酸拡散制御剤と併用することもできるし、単独で用いてもよい。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、以下に限定されないが、例えば、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルなどの誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸又はそれらのエステルなどの誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルなどの誘導体が挙げられ、これらの中でもホスホン酸が好ましい。
有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体は、単独で又は2種以上を使用することができる。有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体の配合量は、使用する式(1)で表わされる化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分の0〜49質量%が好ましく、0〜5質量%がより好ましく、0〜1質量%がさらに好ましく、0質量%がよりさらに好ましい。
【0152】
(9)上記溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体以外のその他の添加剤
更に、本実施形態の感放射線性組成物には、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、上記溶解制御剤、増感剤、及び界面活性剤、及び有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体以外の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、染料、顔料、及び接着助剤等が挙げられる。例えば、染料又は顔料を配合すると、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できるので好ましい。また、接着助剤を配合すると、基板との接着性を改善することができるので好ましい。更に、他の添加剤としては、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4−ヒドロキシ−4'−メチルカルコン等を挙げることができる。
【0153】
(D)任意成分の合計量は、固形成分の0〜99質量%であり、0〜49質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましく、0〜5質量%がさらに好ましく、0質量%がより好ましい。
【0154】
本実施形態の感放射線性組成物の配合((A)レジスト基材/(B)ジアゾナフトキノン光活性化合物/(D)任意成分)は、固形物基準の質量%で、1〜99/99〜1/0〜98であることが好ましく、より好ましくは5〜95/95〜5/0〜49であり、さらに好ましくは10〜90/90〜10/0〜10であり、よりさらに好ましくは20〜80/80〜20/0〜5であり、一層好ましくは25〜75/75〜25/0である。各成分の配合割合は、その総和が100質量%になるように各範囲から選ばれる。上記配合にすると、ラフネスに加え、感度、解像度等の性能に優れる傾向にある。
【0155】
本実施形態の感放射線組成物は、本実施形態の目的を阻害しない範囲で、樹脂を含むことができる。樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸樹脂、及びアクリル酸、ビニルアルコール、又はビニルフェノールを単量体単位として含む重合体あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。樹脂の配合量は、使用する式(1)で表される化合物の種類に応じて適宜調節されるが、式(1)で表される化合物100質量部当たり、30質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは0質量部である。
【0156】
(レジストパターンの形成方法)
本実施形態のレジストパターンの形成方法は、上記本実施形態の感放射線性組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、露光した前記レジスト膜を現像する工程と、を含む。本実施形態のレジストパターンの形成方法により得られるレジストパターンは多層プロセスにおける上層レジストとして形成することもできる。
【0157】
レジストパターンを形成するには、例えば、まず、従来公知の基板上に前記本実施形態の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。従来公知の基板とは、特に限定されず、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウエハー、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、以下に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。また必要に応じて、前述基板上に無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。ヘキサメチレンジシラザン等による表面処理を行ってもよい。
【0158】
次いで、必要に応じ、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。加熱することによって、レジストの基板に対する密着性が向上する場合があり好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、及びイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、感放射線性組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本実施形態においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0159】
次いで、露光されたレジスト膜を現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記現像液としては、使用する式(1)のレジスト基材に対して溶解度パラメーター(SP値)の近い溶剤を選択することが好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤又はアルカリ水溶液を用いることができる。
【0160】
ケトン系溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
【0161】
エステル系溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
【0162】
アルコール系溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
【0163】
エーテル系溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0164】
アミド系溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
【0165】
炭化水素系溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0166】
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、性能を有する範囲内で、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。なお、本実施形態の効果を十分に確保する観点から、現像液全体としての含水率が70質量%未満であることが好ましく、50質量%未満であることがより好ましく、30質量%未満であることがさらに好ましく、10質量%未満であることがよりさらに好ましく、実質的に水分を含有しないことが一層好ましい。すなわち、現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、好ましくは30質量%以上100質量%以下であり、50質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがよりさらに好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが一層好ましい。
【0167】
アルカリ水溶液としては、以下に限定されないが、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
【0168】
特に、現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液が、レジストパターンの解像性やラフネス等のレジスト性能を改善するため好ましい。
【0169】
現像液の蒸気圧は、20℃において、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下がさらに好ましい。現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する傾向にある。
【0170】
5kPa以下の蒸気圧を有する現像液の具体的な例としては、以下に限定されないが、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0171】
2kPa以下の蒸気圧を有する現像液の具体的な例としては、以下に限定されないが、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0172】
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
【0173】
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0174】
現像方法としては、以下に限定されないが、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。パターンの現像を行なう時間は特に限定されないが、好ましくは10秒〜90秒である。
【0175】
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
【0176】
現像の後には、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0177】
現像後のリンス工程に用いるリンス液としては、形成したレジストパターンを溶解しなければ特に限定されず、一般的な有機溶剤を含む溶液又は水を使用することができる。前記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。より好ましくは、現像の後に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。更に好ましくは、現像の後に、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。より更に好ましくは、現像の後に、1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。一層好ましくは、現像の後に、炭素数5以上の1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。パターンのリンスを行なう時間は特に限定されないが、好ましくは10秒〜90秒である。
【0178】
ここで、現像後のリンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられ、具体的には、以下に限定されないが、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノールなどを用いることができる。好ましくは、炭素数5以上の1価アルコールを用いることができ、その具体例としては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどを用いることができる。
【0179】
前記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
【0180】
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、より良好な現像特性が得られる傾向にある。
【0181】
現像後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃において0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下がより好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下がさらに好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性がより向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤がより抑制され、ウェハ面内の寸法均一性がより良化する傾向にある。
【0182】
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0183】
リンス工程においては、現像を行ったウェハを前記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
【0184】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングの方法はプラズマガスを使用するドライエッチング及びアルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等によるウェットエッチングなど公知の方法で行うことができる。
【0185】
レジストパターンを形成した後、めっきを行うこともできる。上記めっき法としては、以下に限定されないが、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。
【0186】
エッチング後の残存レジストパターンは有機溶剤で剥離することができる。上記有機溶剤の例としては、以下に限定されないが、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート),PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル),EL(乳酸エチル)等が挙げられる。上記剥離方法としては、以下に限定されないが、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0187】
本実施形態で得られる配線基板は、レジストパターン形成後、金属を真空中で蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶かす方法、すなわちリフトオフ法により形成することもできる。
【実施例】
【0188】
以下、実施例を挙げて、本実施形態をさらに具体的に説明する。但し、本実施形態は、これらの実施例に限定されない。なお、以下の実施例及び比較例において、化合物の構造は
1H−NMR測定で確認した。
【0189】
合成例1(CR−1((A)レジスト基材)の合成)
十分乾燥し、窒素置換した、滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000mL)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、4−ヨードベンズアルデヒド(46.4g,0.2mol)と、脱水エタノール(200mL)を投入し、エタノール溶液を調製した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mLを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mLで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより44.0gの化合物を得た。
この化合物は、LC−MS分析した結果、分子量1296を示した。すなわち、上記分子量は、Water社製Acquity UPLC/MALDI−Synapt HDMSを用いて測定した。また重ジメチルスルホキシド溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は、5.5(s,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4〜8.5(d,8H)であった。
これらの結果から、得られた化合物を目的化合物(CR−1)と同定した(収率64%)。
【0190】
【化40】
【0191】
合成例1B(CR−1Aの合成)
温度を制御できる内容積500mLの電磁撹拌装置付オートクレーブ(SUS316L製)に、無水HF 74.3g(3.71モル)、BF
3 50.5g(0.744モル)を仕込み、内容物を撹拌し、液温を−30℃に保ったまま一酸化炭素により2MPaまで昇圧した。その後、圧力を2MPa、液温を−30℃に保ったまま、4−シクロヘキシルベンゼン57.0g(0.248モル)とn−ヘプタン50.0gとを混合した原料を供給し、1時間保った後、氷の中に内容物を採取し、ベンゼンで希釈後、中和処理をして得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析して反応成績を求めたところ、4−シクロヘキシルベンゼン転化率100%、4−シクロヘキシルベンズアルデヒド選択率97.3%であった。
単蒸留により目的成分を単離し、GC−MSで分析した結果、目的物の4−シクロヘキシルベンズアルデヒド(以下、CHBALと示す)の分子量188を示した。すなわち、上記分子量は、島津製鉄所製社製GC−MS QP2010 Ultraを用いて測定した。また重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は、1.0〜1.6(m,10H)、2.6(m,1H)、7.4(d,2H)、7.8(d,2H)、10.0(s,1H)であった。
【0192】
【化41】
【0193】
十分乾燥し、窒素置換した、滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000mL)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、前記4−シクロヘキシルベンズアルデヒド(46.0g,0.2mol)と、脱水エタノール(200mL)を投入し、エタノール溶液を調製した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mLを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mLで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、50gの生成物(以下、CR−1Aと示す)を得た。
この生成物の構造は、LC−MSで分析した結果、分子量1121を示した。また重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は0.8〜1.9(m,44H)、5.5,5.6(d,4H)、6.0〜6.8(m,24H)、8.4,8.5(m,8H)であった。
これらの結果から、得られた生成物を目的化合物(CR−1A)と同定した(収率91%)。
【0194】
【化42】
【0195】
実施例1〜8及び比較例1〜4
(2)レジスト性能の評価
表1に記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.1μmのテフロン(登録商標)製メンブランフィルターで濾過して、感放射線性組成物を調製し、各々について評価を行った。
【0196】
【表1】
【0197】
レジスト基材(A)として、以下のものを使用した。
PHS−1:ポリヒドロキシスチレン(Mw=8000)(シグマ−アルドリッチ社)
光活性化合物(B)として、以下のものを使用した。
P−1:下記化学構造式(G)のナフトキノンジアジド系感光剤(4NT−300,東洋合成工業(株))
P−2:化学構造式(G−1)のナフトキノンジアジド系感光剤(TS−200、(株)三宝化学研究所)
P−3:化学構造式(G−2)のナフトキノンジアジド系感光剤(TKE1−510、(株)三宝化学研究所)
P−4:化学構造式(G−3)のナフトキノンジアジド系感光剤(PQ−614、(株)三宝化学研究所)
【0198】
【化43】
【0199】
【化44】
【0200】
【化45】
【0201】
【化46】
【0202】
また、溶媒として、以下のものを使用した。
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(東京化成工業(株))
【0203】
感放射線性組成物を清浄なシリコンウェハー上に回転塗布した後、110℃のオーブン中で露光前ベーク(PB)して、厚さ200nmのレジスト膜を形成した。該レジスト膜に対して、紫外線露光装置(ミカサ製マスクアライナMA−10)を用いて紫外線を露光した。紫外線ランプは超高圧水銀ランプ(相対強度比はg線:h線:i線:j線=100:80:90:60)を使用した。照射後に、110℃で90秒間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38wt%アルカリ現像液に60秒間浸漬して現像を行った。その後、超純水で30秒間洗浄し、乾燥して、5μmのポジ型のレジストパターンを形成した。
得られたラインアンドスペースを走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製S−4800)により観察した。ラインエッジラフネスはパターンの凹凸が10nm未満を「優秀」、10nm以上100nm未満を「良好」、100nm以上を「不良」とした。
【0204】
実施例1〜8のレジストは、解像度5μmの良好なレジストパターンを得ることができた。またそのパターンのラフネスも小さく優秀であった。
【0205】
比較例2、3のレジストは、解像度5μmの良好なレジストパターンを得ることができなかった。
【0206】
比較例1、4のレジストは、解像度5μmの良好なレジストパターンを得ることができた。しかしそのパターンのラフネスは大きく不良であった。
【0207】
上記のように、実施例の感放射線性組成物は、比較例の感放射線性組成物に比べて、ラフネスが小さく、かつ良好な形状のレジストパターンを形成することができるものであるといえる。上記した本実施形態の要件を満たす限り、実施例に記載したもの以外の化合物も同様の効果が得られる。
【0208】
本出願は、2015年3月30日出願の日本国特許出願(特願2015−070125号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。