(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記延設部は、その全体を下方側から見た場合の形状が、パウチ左右方向に平行な仮想線を基準とした場合にパウチ表裏方向に非対称、かつ、パウチ表裏方向に平行な仮想線を基準とした場合にパウチ左右方向に非対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト。
前記延設部は、その下端部を下方側から見た場合の形状が、パウチ左右方向に平行な仮想線を基準とした場合にパウチ表裏方向に非対称、かつ、パウチ表裏方向に平行な仮想線を基準とした場合にパウチ左右方向に非対称に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスパウト。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような延設部を設けた場合でも、
図38に示すように、内容物の残量低減が進むに従ってパウチ左右方向の両外側から内側に向けて、表側フィルム部と裏側フィルム部とが密着したフィルム密着領域Rが拡大していき、このような左右のフィルム密着領域Rがパウチ左右方向の中央付近において繋がるまたはほぼ繋がってしまう現象が生じることがある。そして、このような左右のフィルム密着領域Rが繋がるまたはほぼ繋がってしまうと、繋がったフィルム密着領域Rの下方のパウチの底部124に残留した内容物を注出することが困難になる。
【0007】
また、上述したような、繋がったフィルム密着領域Rの下方のパウチの底部124に残留した内容物を注出することが困難になるという現象を回避する1つの案として、延設部の上下方向寸法を長く設定することも考えられるが、この場合、パウチを正立させたときやパウチが落下した場合に、延設部の先端がパウチの底付近に接触し、底部を破袋し、又は延設部自身が折れてしまうことにもなる。また、延設部の材料コストや重量が増加してしまうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、内容物の残量を低減することが可能なスパウトを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスパウトは、パウチに装着される取付部と、前記取付部から下方に向けて延び、パウチの内側に内容物用の流路を形成するための延設部とを備えたスパウトであって、
前記延設部は、パウチ左右方向に平行な仮想線を基準とした場合に、下方側から見た場合の形状がパウチ表裏方向に非対称に形成された部分を、その上下方向における少なくとも一部領域に有し
、前記延設部は、パウチ表裏方向に平行な仮想線を基準とした場合に、下方側から見た場合の形状がパウチ左右方向に非対称に形成された部分を、その上下方向における少なくとも一部領域に有し、前記延設部は、前記延設部のパウチの表側フィルム部に面する側において、前記延設部が延びる方向に延びた表側縦ジワ形成部と、前記延設部のパウチの裏側フィルム部に面する側において、前記延設部が延びる方向に延びた裏側縦ジワ形成部とを有し、前記表側縦ジワ形成部と前記裏側縦ジワ形成部とは、互いにパウチ左右方向にずれた位置に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明のスパウト付きパウチは、前記スパウトと、表側フィルム部および裏側フィルム部を有し前記取付部に装着されるパウチとを備えたことにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本請求項1に係る発明によれば、延設部が、パウチ左右方向に平行な仮想線を基準とした場合に、下方側から見た場合の形状がパウチ表裏方向に非対称に形成された部分を、その上下方向における少なくとも一部領域に有していることにより、内容物の残量低減時における延設部との接触に起因したシワ等の各フィルム部の変形状態を、表側フィルム部と裏側フィルム部とで異ならせることができる。これにより、内容物の残量低減が進むに従ってパウチ左右方向の両外側から内側に向けて拡大する、表側フィルム部と裏側フィルム部とが密着した左右のフィルム密着領域が、パウチ左右方向の中央付近において繋がるまたはほぼ繋がってしまう現象を抑制または遅らせることが可能であるため、当該フィルム密着領域の下方のパウチの底部に内容物が封入されてしまうことを抑制し、内容物を良好に注出することができる。
【0011】
本請求項
1に係る発明によれば、延設部が、パウチ表裏方向に平行な仮想線を基準とした場合に、下方側から見た場合の形状がパウチ左右方向に非対称に形成された部分を、その上下方向における少なくとも一部領域に有していることにより、内容物の残量低減時における延設部との接触に起因した各フィルム部の変形状態を、表側フィルム部と裏側フィルム部とでパウチ左右方向に異ならせることができる。これにより、特に、延設部との接触に起因して表側フィルム部に形成される縦ジワの位置と裏側フィルム部に形成される縦ジワの位置とをパウチ左右方向にずらすことが可能であるため、上述したフィルム密着領域がパウチ左右方向の中央付近で繋がるまたはほぼ繋がってしまう現象を抑制できる。
本請求項
3に係る発明によれば、延設部の下端部の下方側から見た場合の形状が、パウチ表裏方向およびパウチ左右方向に非対称に形成されていることにより、上述した、内容物の残量低減時における延設部との接触に起因した各フィルム部の変形状態を、延設部よりも下方の領域においても得やすくなるため、延設部の下方の領域においても、上述した左右のフィルム密着領域がパウチ左右方向の中央付近で繋がるまたはほぼ繋がってしまう現象を抑制できる。また、延設部の下方の領域における各フィルム部の変形状態を制御することが可能であるため、延設部の上下方向の寸法を短く設計することが可能になるため、内容物注出の最終段階において、延設部よりも下方の領域において表側フィルム部と裏側フィルム部とが密着することを延設部が阻害することがないため、延設部よりも下方の領域に残留する内容物の量を低減することができる。また、パウチを正立させたときやパウチが落下したときでも、延設部の先端がパウチの底部に接触することを抑制し、底付近を破袋し、又は延設部自身が折れてしまうことを防げる。また、スパウトの材料コストや重量を低減することも可能となる。
本請求項
1に係る発明によれば、延設部が、延設部のパウチの表側フィルム部に面する側かつ少なくとも下流側において、延設部が延びる方向に延びた表側縦ジワ形成部と、延設部のパウチの裏側フィルム部に面する側かつ少なくとも下流側において、延設部が延びる方向に延びた裏側縦ジワ形成部とを有し、延設部の表側縦ジワ形成部と裏側縦ジワ形成部とが互いにパウチ左右方向にずれた位置に形成されている。これにより、延設部よりも下方の領域においても、各フィルム部に縦ジワを形成し、縦ジワの形成に起因して生じる表側フィルム部および裏側フィルム部の間隙を内容物注出用の流路として利用することができるばかりでなく、表側フィルム部に形成される縦ジワの位置と裏側フィルム部に形成される縦ジワの位置とをパウチ左右方向にずらすことが可能であるため、上述したフィルム密着領域がパウチ左右方向の中央付近で繋がるまたはほぼ繋がってしまう現象を抑制できる。
本請求項
5に係る発明によれば、延設部が、板状部材を湾曲させた形状の湾曲部を有していることにより、内容物注出の途中段階においては、内容物の残量低減の進行に伴って各フィルム部が延設部に接触した時にも、延設部の周囲に間隙を確保し、当該間隙を流路として利用して内容物を良好に注出することができ、また、内容物注出の最終段階においては、内容物の残量低減の進行に伴って各フィルム部を湾曲部の外面に密着させまたはほぼ密着させ、前記間隙を無くすまたは狭くすることが可能であるため、前記間隙に残留する内容物の量を低減することができる。また、内容物を注出させる時には、使用者の指によってパウチを外側から押すことで、延設部と各フィルム部との間に残留した内容物を絞り出すことがあるが、本請求項
5に係る発明では、使用者の指を湾曲部にフィットさせ易いため、使用者に不快感を覚えさせることなく、上述した絞り出しを円滑に行うことができる。
本請求項
6に係る発明によれば、延設部が、板状部材の上端部と下端部とが角度を成すように板状部材を捻った形状のツイスト部を有していることにより、内容物注出の途中段階においては、各フィルム部がツイスト部に接触した状態でも、捻られた形状のツイスト部と各フィルム部との間に間隙を形成することが可能であるため、当該間隙を流路として利用して内容物を良好に注出することができ、また、内容物注出の最終段階においては、各フィルム部をツイスト部の外面に密着させまたはほぼ密着させ、前記間隙を無くすまたは狭くすることが可能であるため、前記間隙に残留する内容物の量を低減することができる。また、板状部材の上端部と下端部とが角度を成すように板状部材を捻った形状でツイスト部を形成することにより、簡素な構成で、ツイスト部の上端部と下端部との間の向きの関係を調整することが可能であるため、延設部の上端側の態様に関わらず、延設部の下端部がパウチ左右方向やパウチ表裏方向に非対称になるように配置することができる等、延設部の下端部側の向きを容易に調整することができる。また、板状部材を捻った形状のツイスト部から延設部を構成することにより、延設部の剛性を向上させることが可能であるため、使用者の操作等に起因してパウチ内で延設部が破損することを抑制できる。
本請求項
7に係る発明によれば、湾曲部が、延設部の少なくとも下方側の領域に形成されるので、スパウトをインジェクション成形により製造する場合、延設部上方の設計上の自由度を高くでき、金型製作上、ゲートの位置、金型の合わせ等に特別の考慮が不要となり、金型製作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスパウト付きパウチを示す説明図。
【
図2】第1実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図3】第1実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図4】第1実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図5】第1実施形態の内容物注出時における各部の状態を概略的に示す説明図。
【
図6】第2実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図7】第2実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図8】第2実施形態に係るスパウトの流路形成部を断面視して示す説明図。
【
図9】第2実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図10】第3実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図11】第3実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図12】第3実施形態に係るスパウトの流路形成部を断面視して示す説明図。
【
図13】第3実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図14】第4実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図15】第4実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図16】第4実施形態に係るスパウトの流路形成部を断面視して示す説明図。
【
図17】第4実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図18】第5実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図19】第5実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図20】
図19とは異なる角度から第5実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図21】第5実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図22】第6実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図23】第6実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図24】第6実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図25】第7実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図26】第7実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図27】第7実施形態に係るスパウトの流路形成部を断面視して示す説明図。
【
図28】第7実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図29】第8実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図30】
図29とは反対側から第8実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図31】第8実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図32】第8実施形態に係るスパウトの流路形成部を断面視して示す説明図。
【
図33】第8実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図34】第9実施形態に係るスパウトをパウチ表裏方向から見て示す説明図。
【
図35】第9実施形態に係るスパウトを斜めから見て示す説明図。
【
図36】第9実施形態に係るスパウトの流路形成部を断面視して示す説明図。
【
図37】第9実施形態に係るスパウトを下方から見て示す説明図。
【
図38】従来のスパウト付きパウチの問題点を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の第1実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、図面に基づいて説明する。
【0014】
スパウト付きパウチ10は、
図1に示すように、重ねたフィルムを所定箇所で熱溶着することで袋状に形成されたパウチ20に、注出口として機能するスパウト30を装着して構成され、ゼリー状飲料等の粘性を有する内容物や、液体状、シャーベット状等の流動性を有した内容物(内容液)を収容するものである。
【0015】
以下、スパウト付きパウチ10の各構成要素について、図面に基づいて説明する。
【0016】
スパウト30は、合成樹脂等から形成され、
図1に示すように、パウチ20に装着されるスパウト本体31と、スパウト本体31に着脱可能に取り付けられるキャップ部37とを有している。
【0017】
スパウト本体31は、
図2や
図3に示すように、その断面形状が舟形(具体的には、円筒状の部分のパウチ左右方向Xの両端付近からパウチ左右方向Xの外側に向けて突出する略三角形状の突出部が形成された形状)や菱形に形成された取付部32と、取付部32から上方に向けて延びる注出筒部33と、取付部32の上方において互いに間隔を置いて形成される複数のフランジ部35、36と、取付部32から下方に向けて延びパウチ20の内側(内容物収容部23)に配置される延設部40とを一体に有している。
【0018】
取付部32は、
図2〜
図4に示すように、その長手方向をパウチ左右方向Xに向けた状態で、パウチ20の表側フィルム部21および裏側フィルム部22の間に配置され、熱溶着や接着等によって表側フィルム部21および裏側フィルム部22に固着される部位である。
取付部32は、
図4に示すように、上下方向Zに沿って形成された丸孔状の注出孔32aを有している。
【0019】
注出筒部33は、
図3や
図4に示すように、取付部32の注出孔32aに上下方向Zに連続する丸孔状の注出孔33aを有した円筒状の部位である。
注出筒部33の上端側(上方の第2フランジ部36よりも上方側)において、注出筒部33の外周面には、
図1に示すように、キャップ部37に係合可能なネジ部33bが形成されている。
【0020】
複数のフランジ部35、36には、
図1に示すように、最も下方に形成される(取付部32の最も近くに形成される)第1フランジ部35と、第1フランジ部35の上方に形成される複数(本実施形態では2つ)の第2フランジ部36とが含まれる。
【0021】
次に、第1実施形態における延設部40について、以下に説明する。
【0022】
まず、延設部40は、パウチ20の内側(内容物収容部23)に内容物用の流路を形成するための部位であり、
図1〜4に示すように、取付部32の下方に連続して形成された上方側基部50と、上方側基部50の下方に連続して形成された流路形成部60とを有している。
【0023】
上方側基部50は、
図3に示すように、平板状(または略平板状)に形成され、パウチ左右方向Xおよび上下方向Zに平行な状態で、取付部32の下面に一体に形成されている。
上方側基部50には、
図1〜4に示すように、その厚み方向(パウチ表裏方向Y)に沿って貫通形成され、取付部32の注出孔32aに連通する貫通孔51が形成されている。
【0024】
流路形成部60は、
図2〜
図4に示すように、板状部材を捻るように湾曲させた形状のツイスト部(湾曲部)61から構成されている。
【0025】
ツイスト部61は、
図2〜
図4に示すように、その下端側の両角部に、袋への接触によるダメージ軽減のためのR部が形成された略矩形状かつ平板状(または略平板状)の板状部材を、(パウチ20または板状部材の)上下軸回りに所定角度(本実施形態では、45°)捻った形状を有し、言い換えると、板状部材の上端部と下端部とが所定角度(本実施形態では、45°)を成すように板状部材を均等に捻った形状を有している。
【0026】
ツイスト部61の上端部は、
図2〜
図4に示すように、その長手方向をパウチ左右方向Xに向けた状態で、上方側基部50の下端面に一体に形成されている。
また、ツイスト部61の下端部は、
図2〜
図4に示すように、その長手方向がパウチ左右方向X(およびパウチ表裏方向Y)に対して所定角度(本実施形態では、45°)を成すように形成されている。
【0027】
流路形成部60(ツイスト部61)は、
図2〜
図4に示すように、内容物の残量低減時に表側フィルム部21に縦ジワを形成するための1つの表側縦ジワ形成部62と、内容物の残量低減時に裏側フィルム部22に縦ジワを形成するための1つの裏側縦ジワ形成部63とを有している。
【0028】
表側縦ジワ形成部62は、
図2〜4に示すように、パウチ20の表側フィルム部21に面する流路形成部60の表側かつ少なくとも下流側において、延設部40が延びる方向(すなわち、上下方向Zに平行またはほぼ平行)に延びるように形成された部位である。
表側縦ジワ形成部62は、上下方向Zに直交するように断面視した流路形成部60(ツイスト部61)の各断面内で、パウチ20の表側フィルム部21に面する流路形成部60の表側のうちパウチ表裏方向Yにおける高さが最も高く、すなわち、最も表側フィルム部21側に位置している。
これにより、内容物の残量低減時には、表側縦ジワ形成部62が表側フィルム部21に接触し、表側フィルム部21に縦ジワを形成することができる。
【0029】
裏側縦ジワ形成部63は、
図2〜4に示すように、パウチ20の裏側フィルム部22に面する流路形成部60の裏側かつ少なくとも下流側において、延設部40が延びる方向(すなわち、上下方向Zに平行またはほぼ平行)に延びるように形成された部位である。
裏側縦ジワ形成部63は、上下方向Zに直交するように断面視した流路形成部60(ツイスト部61)の各断面内で、パウチ20の裏側フィルム部22に面する流路形成部60の裏側のうちパウチ表裏方向Yにおける高さが最も高く、すなわち、最も裏側フィルム部22側に位置している。
これにより、内容物の残量低減時には、裏側縦ジワ形成部63が裏側フィルム部22に接触し、裏側フィルム部22に縦ジワを形成することができる。
【0030】
表側縦ジワ形成部62と裏側縦ジワ形成部63とは、
図2〜4に示すように、互いにパウチ左右方向Xにずれた位置に形成されている。
【0031】
第1実施形態では、
図2〜4に示すように、ツイスト部61(流路形成部60)を構成する板状部材の左右両側縁(の少なくとも下方側部分)が、表側縦ジワ形成部62または裏側縦ジワ形成部63として機能する。
【0032】
ツイスト部61を構成する板状部材の左右両側縁(縦ジワ形成部62、63)は、
図2〜4に示すように、パウチ左右方向Xに見た場合に、下方に向かうに従って、パウチ表裏方向Yにおける高さが高くなるように形成されている。
【0033】
なお、各フィルム部21、22に良好に縦ジワを形成するためには、
図1や
図4に示すように、パウチ表裏方向Yにおいて表側縦ジワ形成部62と裏側縦ジワ形成部63とが最も離れた位置における、パウチ表裏方向Yにおける表側縦ジワ形成部62と裏側縦ジワ形成部63との間の距離Dが、(各縦ジワ形成部62、63が配置された位置における)パウチ左右方向Xにおけるパウチ20の内容物収容部23の内幅寸法Wの5〜30%で設定されているのが好ましい。なお、
図4の距離Dは、各縦ジワ形成部62、63の下端部における距離Dを示している。
また、延設部40が延びる方向における各縦ジワ形成部62、63の寸法は、20〜60mmで設定されているのが好ましい。
【0034】
第1実施形態では、
図4に示すように、延設部40は、その全体を下方側から見た場合(上下方向Zに投影した場合)の形状が、パウチ左右方向Xに平行な仮想線(延設部40内を通る仮想線)を基準とした場合にパウチ表裏方向Yに非対称、かつ、パウチ表裏方向Yに平行な仮想線(延設部40内を通る仮想線)を基準とした場合にパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
また、
図4に示すように、延設部40は、その下端部を下方側から見た場合の形状についても、パウチ表裏方向Yに非対称かつパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
なお、本明細書内における延設部40の下端部とは、延設部40の最下端部を含む最下端部の近傍部分のことを意味し、具体的には、上下方向Zにおける延設部40の全長のうち下側10%の部位のことを意味する。
【0035】
延設部40の上下方向寸法は、
図1に示すように、パウチ20の内容物収容部23の上下方向寸法の2/3以下に設定され、すなわち、パウチ左右方向Xにおけるスパウト30を取り付けた位置(
図1に示す例では、パウチ左右方向Xにおける中央位置)における、パウチ20の内容物収容部23の上下方向寸法の2/3以下に設定されている。
【0036】
次に、内容物注出時におけるスパウト付きパウチ10の各部の状態について、
図5に基づいて以下に説明する。
【0037】
まず、スパウト付きパウチ10内の内容物の注出が進むと、内容物注出の途中段階において、
図5に示すように、パウチ20の各フィルム部21、22が延設部40に接触した状態となる。
【0038】
ここで、内容物注出の途中段階においては、流路形成部60が板状部材を捻るように湾曲させた形状のツイスト部61から構成されていることから、
図5に示すように、各フィルム部21、22が延設部40に接触した時にも、流路形成部60の周囲に間隙Gを確保することができる。これにより、当該間隙Gを流路として利用して内容物を良好に注出することができる。
【0039】
また、内容物注出の途中段階においては、延設部40が表側縦ジワ形成部62および裏側縦ジワ形成部63を有していることから、
図5に示すように、延設部40よりも下方の領域においても各フィルム部21、22に縦ジワを形成することが可能であるため、縦ジワの形成に起因して表側フィルム部21および裏側フィルム部22の間に生じる間隙Gを内容物注出用の流路として利用することができる。
【0040】
また、延設部40の表側縦ジワ形成部62と裏側縦ジワ形成部63とが、互いにパウチ左右方向Xにずれた位置に形成されていることにより、
図5に示すように、表側フィルム部21に形成される縦ジワの位置と裏側フィルム部22に形成される縦ジワの位置とをパウチ左右方向Xにずらすことが可能であるため、内容物の残量低減が進むに従ってパウチ左右方向Xの両外側から内側に向けて拡大する、表側フィルム部21と裏側フィルム部22とが密着した左右のフィルム密着領域が、パウチ左右方向Xの中央付近において繋がるまたはほぼ繋がってしまう現象を抑制または遅らせることができる。
【0041】
次に、更に内容物の注出が進んだ、内容物注出の最終段階においては、流路形成部60が板状部材を捻るように湾曲させた形状のツイスト部61から構成されていることから、内容物の残量低減の進行に伴って各フィルム部21、22をツイスト部(湾曲部)61の外面に密着させまたはほぼ密着させ、間隙Gを無くすまたは狭くすることが可能であるため、間隙Gに残留する内容物の量を低減することができる。
【0042】
また、内容物注出の最終段階においては、延設部40よりも下方の領域において、表側フィルム部21と裏側フィルム部22とを密着させることが可能であるため、延設部40よりも下方の領域に残留する内容物の量を低減することができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図6〜9に基づいて説明する。ここで、第2実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0044】
第2実施形態では、
図6〜9に示すように、ツイスト部61(流路形成部60)を構成する板状部材の左右両側縁に、板状部材の捻り方向の後方側において、板状部材の表裏方向に立ち上がるリップ部64が形成されている。
【0045】
このように、ツイスト部61が、板状部材の左右両側縁に、板状部材の表裏方向に立ち上がるリップ部64を有していることにより、ツイスト部61の剛性を向上させることができ、延設部40の破損等を抑制することができる。また、ツイスト部61の形成方法として、板状部材を湾曲させる(捻る)ことでツイスト部61を形成することも一案として考えられるが、この様な場合には、リップ部64を、板状部材を湾曲させる(捻る)時に工具を引っ掛ける部位として利用することも可能である。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図10〜13に基づいて説明する。ここで、第3実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0047】
上述した第1実施形態では、
図4に示すように、ツイスト部61(流路形成部60)が、平板状の板状部材を上下軸回りに所定角度(45°)捻った形状を有しているものとして説明したが、第3実施形態では、
図10〜13に示すように、ツイスト部61が、板状部材の左右方向に波打つように湾曲した湾曲板状の板状部材を上下軸回りに所定角度(45°)捻った形状を有している。
【0048】
次に、本発明の第4実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図14〜17に基づいて説明する。ここで、第4実施形態では、一部構成以外については、前述した第3実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0049】
第4実施形態では、
図14〜17に示すように、ツイスト部61(流路形成部60)を構成する板状部材の左右両側縁に、板状部材の捻り方向の後方側において、板状部材の表裏方向に立ち上がるリップ部64が形成されている。
【0050】
次に、本発明の第5実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図18〜21に基づいて説明する。ここで、第5実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0051】
第5実施形態では、
図18〜21に示すように、延設部40が、パウチ左右方向Xおよびパウチ表裏方向Yに対して所定角度(本実施形態では45°)の角度を成すように、取付部32の下方に連続して形成された平板状(または略平板状)の流路形成部60から構成されている。
【0052】
流路形成部60の上方側部分には、
図18〜21に示すように、その厚み方向に沿って貫通形成され、取付部32の注出孔32aに連通する貫通孔68が形成されている。
【0053】
第5実施形態では、
図21に示すように、延設部40は、その全体を下方側から見た場合の形状が、パウチ表裏方向Yに非対称かつパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
また、
図21に示すように、延設部40は、その下端部を下方側から見た場合の形状についても、パウチ表裏方向Yに非対称かつパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
【0054】
また、第5実施形態では、
図18〜21に示すように、平板状の流路形成部60の左右両側縁(の少なくとも下方側部分)が、表側縦ジワ形成部62または裏側縦ジワ形成部63として機能する。
【0055】
次に、本発明の第6実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図22〜24に基づいて説明する。ここで、第6実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0056】
第6実施形態では、
図22〜24に示すように、延設部40が、その下端側の両角部にR部が形成された略矩形状かつ平板状の板状部材を上下軸回りに所定角度(本実施形態では20°)捻った形状のツイスト部61(流路形成部60)から構成されている。
【0057】
ツイスト部61の上端部は、
図22〜24に示すように、その長手方向がパウチ左右方向Xに対して角度(本実施形態では約11°)を成すように、取付部32の下端面に一体に形成されている。
また、ツイスト部61の下端部は、
図22〜24に示すように、その長手方向がパウチ左右方向Xに対して角度(本実施形態では約9°)を成すように形成されている。
【0058】
ツイスト部61(流路形成部60)の上方側部分には、
図22〜24に示すように、その厚み方向に沿って貫通形成され、取付部32の注出孔32aに連通する貫通孔68が形成されている。
【0059】
第6実施形態では、
図24に示すように、延設部40は、その下端部を下方側から見た場合の形状が、パウチ表裏方向Yに非対称かつパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
【0060】
また、第6実施形態では、
図22〜24に示すように、流路形成部60の左右両側縁(の少なくとも下方側部分)が、表側縦ジワ形成部62または裏側縦ジワ形成部63として機能する。
【0061】
次に、本発明の第7実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図25〜28に基づいて説明する。ここで、第7実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0062】
第7実施形態では、
図25〜28に示すように、流路形成部60が、上下方向Zから見た場合に略C字状に板状部材を湾曲させた形状の湾曲部61から構成されている。C字状の湾曲部61は、パウチ表裏方向Yの一方に開口するように配置されている。
【0063】
また、第7実施形態では、
図25〜28に示すように、上方側基部50に、上下方向Zに沿って貫通形成され、取付部32の注出孔32aに連通する貫通孔51が形成されている。
【0064】
第7実施形態では、
図28に示すように、延設部40は、その全体を下方側から見た場合の形状が、パウチ表裏方向Yに非対称に形成されている。
また、
図28に示すように、延設部40は、その下端部を下方側から見た場合の形状についても、パウチ表裏方向Yに非対称に形成されている。
【0065】
次に、本発明の第8実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図29〜33に基づいて説明する。ここで、第8実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0066】
第8実施形態では、
図29〜33に示すように、流路形成部60が、パウチ左右方向Xおよび上下方向Zに平行に配置された平板状のベース部65と、ベース部65のパウチ表裏方向Yの一方の面から突出した第1突出片66と、ベース部65のパウチ表裏方向Yの他方の面から突出した第2突出片67とを有している。
第1突出片66は、ベース部65のパウチ左右方向Xの中央において、ベース部65の上下方向Zの全域に亘って形成され、また、第2突出片67は、ベース部65のパウチ左右方向Xの中央において、ベース部65の上方側部分のみに形成されている。第1突出片66および第2突出片67は、パウチ表裏方向Yおよび上下方向Zに対して平行に形成されている。
【0067】
第8実施形態では、上方側基部50は、
図29〜33に示すように、取付部32と流路形成部60とを連結するように、上下方向Zに沿って延びる複数(4本)の連結片から構成されている。
【0068】
第8実施形態では、
図33に示すように、延設部40は、その下端部を下方側から見た場合の形状が、パウチ表裏方向Yに非対称に形成されている。
【0069】
次に、本発明の第9実施形態に係るスパウト付きパウチ10について、
図34〜37に基づいて説明する。ここで、第9実施形態では、一部構成以外については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0070】
第9実施形態では、
図34〜37に示すように、流路形成部60が、その長手方向をパウチ左右方向Xに向けた状態で、上方側基部50の下端面に一体に形成された平板状(または略平板状)のベース部65と、ベース部65の左右両側縁において、ベース部65の表裏方向に立ち上がるリップ部64とを有している。
ベース部65は、パウチ左右方向Xおよび上下方向Zに平行に形成され、また、リップ部64の一方は、ベース部65の表裏方向の一方側に向けて突出し、リップ部64の他方は、ベース部65の表裏方向の他方側に向けて突出するように形成されている。
【0071】
第9実施形態では、
図34〜37に示すように、流路形成部60の左右のリップ部64(の少なくとも下方側部分)が、表側縦ジワ形成部62または裏側縦ジワ形成部63として機能する。
【0072】
第9実施形態では、
図37に示すように、延設部40は、その全体を下方側から見た場合の形状が、パウチ表裏方向Yに非対称かつパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
また、
図37に示すように、延設部40は、その下端部を下方側から見た場合の形状についても、パウチ表裏方向Yに非対称かつパウチ左右方向Xに非対称に形成されている。
【0073】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0074】
例えば、上述した複数の実施形態や変形例の各構成を、任意に組み合わせてスパウト付きパウチ10を構成しても何ら構わない。
また、パウチ20を構成するフィルムの具体的態様は、如何なるものでもよく、その具体例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ボリブチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の合成樹脂性フィルムや、これら合成樹脂性フィルムにガスバリア性や水分バリア性を付与したコーティングフィルム又は蒸着フィルム等の公知の合成樹脂性フィルムを積層したり、合成樹脂製フィルムに紙またはアルミ箔を積層することで形成されたもの等が挙げられる。
また、表側フィルム部21および裏側フィルム部22は、互いに分離した別個のフィルムから構成されていてもよく、一枚の連続したフィルムとして構成されていてもよい。
【0075】
また、上述した第1〜4、6、7実施形態では、流路形成部60全体が、湾曲部(ツイスト部)61から構成されているものとして説明したが、流路形成部60の上下方向Zにおける一部の領域のみにツイスト部(湾曲部)61を形成してもよく、例えば、流路形成部60の下方側の領域のみにツイスト部(湾曲部)61を形成してもよい。
また、上述した第1〜4、6実施形態では、ツイスト部61が、板状部材を20°または45°捻った形状を有しているものとして説明したが、ツイスト部61を捻る角度は、上記に限定されず如何なるものでもよい。ツイスト部61を捻る角度は、10°〜60°で設定すると、内容物注出の途中段階において、各フィルム部21、22がツイスト部61に接触した状態でも、ツイスト部61の周囲に間隙Gを形成することが可能であるとともに、内容物注出の最終段階において、各フィルム部21、22をツイスト部61の外面に密着させ又はほぼ密着させ、前記隙間を無くす又は狭くすることが可能であるため、好ましい。
また、上述した第1〜4、6実施形態では、ツイスト部61が、板状部材を(パウチ20または板状部材の)上下軸回りに捻った形状を有しているものとして説明したが、捻りの中心軸は、前記上下軸に限定されず、例えば、(パウチ20または板状部材の)上下軸に対して傾斜した軸を捻りの中心としてもよい。
【0076】
また、上述した第2、4、9実施形態では、板状部材またはベース部65の左右両側縁にリップ部64が形成されているものとして説明したが、板状部材またはベース部65の左右両側縁の一方のみにリップ部64を形成してもよい。
また、上述した第2、4、9実施形態では、板状部材の左右両側縁の上下方向Zの全域に亘ってリップ部64が形成されているものとして説明したが、板状部材またはベース部65の左右両側縁の上下方向Zの一部領域のみにリップ部64を形成してもよく、例えば、板状部材またはベース部65の下方側の領域のみにリップ部64を形成してもよい。
【0077】
また、延設部40のうち、下方側から見た場合の形状(断面形状)がパウチ表裏方向Yに非対称に形成された部分については、延設部40の上下方向Zにおける少なくとも一部領域に形成されていればよい。
また、延設部40のうち、下方側から見た場合の形状(断面形状)がパウチ左右方向Xに非対称に形成された部分についても、延設部40の上下方向Zにおける少なくとも一部領域に形成されていればよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、延設部40の上下方向寸法が、パウチ20の内容物収容部23の上下方向寸法の2/3以下に設定されているものとして説明したが、延設部40の上下方向寸法はこれに限定されず、例えば、延設部40の上下方向寸法を、パウチ20の内容物収容部23の上下方向寸法の6〜9割程度に設定してもよい。
また、上述した実施形態では、延設部40が取付部32に一体に形成されているものとして説明したが、延設部40と取付部32とを別体に形成し、嵌合等によって取付部32に延設部40を取り付けるように構成してもよい。