【実施例】
【0022】
図7は、本願発明の実施の形態に係る推定システム1の(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図である。
図1を参照して、本願発明の実施の形態に係る推定システムの構成及び動作の例を説明する。
【0023】
図1(a)を参照して、推定システム1は、送信信号を送信する送信部7と、送信信号を受信する受信部9を備える。時間領域部3における送信部7と受信部9の組み合わせでは、時間領域(TD)の処理を行って周波数シフトf
Dの最尤推定値を得る。周波数領域部5における送信部7と受信部9の組み合わせでは、周波数領域(FD)の処理を行って時間シフトt
dの最尤推定値を得る。
【0024】
時間領域部3において、送信部7は、TD変調部11と、TD送信遅延演算子部13を備える。TD変調部11は、時間領域の位相符号(Phase Code:PC)で変調する。TD送信遅延演算子部13は、後に具体的に説明するz
3,q'-1をDFT-modulated delayとする。TD変調部11及びTD送信遅延演算子部13は、情報データ{d
q,q'}
q=0P-1を埋め込んだ、基底帯域の複素信号TD−CE(complex envelope) ψ[k](本願請求項の「TD送信信号」の一例)を生成する。
【0025】
時間領域部3において、受信部9は、TD乗算部17と、TD受信遅延演算子部19と、TD尤度推定部21を備える(TD乗算部17とTD受信遅延演算子部19とTD尤度推定部21を併せたものが、本願請求項の「TD推定部」の一例である。)。受信TD−CE(本願請求項の「TD受信信号」の一例)は、チャネル部15を経由してTD−CEを受信したものである。TD乗算部17は、受信TD−CEに対して、以前に推定された周波数シフト及び時間シフトの最尤推定値を利用して得られた回転因子を乗算する。TD受信遅延演算子部19は、後に具体的に説明するz
a3-1をDFT-modulated delayとする。z
a3-1は、以前に推定された周波数シフトの最尤推定値を用いて計算される(z
a3-1が、本願請求項の「TD推定部が用いるmodulated delay」の一例である)。TD尤度推定部21は、TD推定テンプレート信号との間のTD尤度関数群で周波数シフトの最尤推定値を得る。
【0026】
周波数領域部5において、送信部7は、FD変調部23と、FD送信遅延演算子部25を備える。FD変調部23は、周波数領域の位相符号で変調する。FD送信遅延演算子部25は、後に具体的に説明するz
4,q-1をIDFT-modulated delayとする。FD変調部23及びFD送信遅延演算子部25は、情報データ{d
q,q'}
q'=0P'-1を埋め込んだ、基底帯域の複素信号FD−CE Ψ[l](本願請求項の「FD送信信号」の一例)を生成する。
【0027】
周波数領域部5において、受信部9は、FD乗算部29と、FD受信遅延演算子部31と、FD尤度推定部33を備える(FD乗算部29とFD受信遅延演算子部31とFD尤度推定部33を併せたものが、本願請求項の「FD推定部」の一例である。)。受信FD−CE(本願請求項の「FD受信信号」の一例)は、チャネル部27を経由してFD−CEを受信したものである。FD乗算部29は、受信FD−CEに対して、以前に推定された周波数シフト及び時間シフトの最尤推定値を利用して得られた回転因子を乗算する。FD受信遅延演算子部31は、後に具体的に説明するz
a4-1をIDFT-modulated delayとする。z
a4-1は、以前に推定された時間シフトの最尤推定値を用いて計算される(z
a4-1が、本願請求項の「FD推定部が用いるmodulated delay」の一例である)。FD尤度推定部33は、FD推定テンプレート信号との間のFD尤度関数群で時間シフトの最尤推定値を得る。
【0028】
受信部9において、時間領域部3における周波数シフトの最尤推定値と周波数領域部5における時間シフトの最尤推定値は、交換及び更新される。最尤推定値の交換及び更新は、それぞれ、受信CEのTD/FD推定テンプレート信号への直交射影及びtype-3/type-4 CCFによる交互直交射影(Alternative Projection:AP)で実行する。
【0029】
ここで、
図1(a)において、受信部9では、受信TD−CE及び受信FD−CEを利用して処理を行っている。FD−CEは、TD−CEをフーリエ変換したものである。同様に、TD−CEは、FD−CEを逆フーリエ変換したものである。そのため、
図1(a)にあるように、送信部7がTD−CE及びFD−CEを生成して、チャネルを経由して受信部9が受信TD−CE及び受信FD−CEを利用して処理を行ってもよい。また、送信部7がTD−CEを生成してチャネルを経由して受信部9が受信TD−CEを得、そのフーリエ変換を利用して受信FD−CEを得て処理を行ってもよい。同様に、送信部7がFD−CEを生成してチャネルを経由して受信部9が受信FD−CEを得、その逆フーリエ変換を利用して受信TD−CEを得て処理を行ってもよい。
【0030】
送信部7及び受信部9は、それぞれ、各部を個々の装置として実現してもよく、一部又は全部をまとめた装置として実現してもよい。送信部7及び受信部9が備える各部の処理は、通常のアンテナ等の通信装置や、コンピュータやソフトウエアを使用して実現することができる。また、各部の一部又は全部について、専用の処理装置によって実現してもよい。
【0031】
図1(a)では、TD送信遅延演算子部13及びTD受信遅延演算子部19並びにFD送信遅延演算子部25及びFD受信遅延演算子部31において、DFT-/IDFT-modulated delayを利用して処理を行う。これにより、双対のTMUXを実現することができる。
【0032】
図1(b)を参照して、推定システム1の動作の一例を説明する。送信部7は、送信信号を生成して送信する(ステップST1)。送信信号は、TD−CE及びFD−CEの少なくとも一方を利用して生成される。受信部9は、チャネルを経由して送信信号を受信して受信信号を得る(ステップST2)。受信部9は、受信信号から、受信TD−CE及び受信FD−CEを得る。
【0033】
受信部9は、時間領域部3における周波数シフトの最尤推定値と周波数領域部5における時間シフトの最尤推定値を、交換及び更新して繰り返し計算する(ステップST3)。受信部9は、例えばステップ数が所定の回数となったり、今回の推定値と直前の推定値との差が充分に小さくなったりすると、繰り返す必要がないとして、得られた最尤推定値を推定結果とする。後に説明するように、周波数シフト及び時間シフトの最尤推定値を用いてチャネルの減衰定数Ae
iκを計算する(ステップST4)。
【0034】
本願発明の理論的な背景について、数式を使用して説明する。
【0035】
伝搬路の時間シフト(time shift)τ、周波数シフト(frequency shift)νは、複素数値関数のシフト量である。後述のシフト演算子の順番で、
図2(a)の位相歪(Phase Distortion:PD)e
-j2πτνが発生する。これは、Weyl-Heisenberg Group(WHG)と密接な関係がある。両シフトの順番は、単なる初期位相の問題に見える。しかしながら、周波数資源有効利用のため
図2(b)の時間分割、(c)の周波数分割、(d)の時間・周波数分割(or Gabor division)などの多重化通信方式では、時間シフトと周波数シフトにより信号の無重畳重ね合わせ(nonoverlapping superposition:NOS)を行うので、時間シフト及び周波数が位相関数e
-j2πτνに現れる。PDの群論的性質に基づく正確なキャンセルアウト計算が重要である。
図2(b)の縦線及び細線並びに
図2(c)の横線及び細線は、情報データの時間幅T
s、帯域幅F
s、チップパルス時間幅T
c=T
s/N、帯域幅F
c=F
s/(N')の区切りである。
【0036】
最初に、準備のため、いくつかの重要な記号を導入する。
【0037】
式(1)及び式(2)は、それぞれ、波形z(t)の時間シフト(delay)t
d、周波数シフト(Doppler shift)f
Dのエコー信号とそのフーリエ変換(Fourier transform:FT):R
e(f;t
d,f
D)である。これらには、(t
d,f
D)に関する対称性がない。
【0038】
式(3)は、少し工夫した式である。式(3)は、式(4)及び式(5)を与える。ここで、式(4)は、TD関数z(t)、FD関数Z(f)に対する(t
d,f
D)の対称的時間・周波数シフト演算子の定義(
図2(a)のT
τ,νx(t))である。式(5)は、自明な関係式である。
【0039】
指数関数の肩部の項−t
d/2、−f
D/2は、後述のone-parameterの式と対比すると単なるオフセットの違いである。これらは、時間・周波数シフトの順番を無効化し、二つのシフトの痕跡として信号のNOSで重要な役割を果たす。
【0040】
【数2】
【0041】
式(6)は、連続時間変数と離散時間変数の対応を示す。ただし、Δt、Δfは、それぞれ、TD、FD信号のサンプリング間隔である。さらに、チップパルスは、正の実数s>0を用いて式(7)とする。式(8)は、L点回転因子(L-point twiddle factor)である。式(9)にあるように、TD、FDの対称時間・周波数シフト演算子の離散版が定義される。明らかに、式(10)の関係式が成立する。ただし、式(11)にあるように、F
d[・]及びF
-1,d[・]は、それぞれ、L点DFT及びIDFTである。
【0042】
【数3】
【0043】
以下、対称的TD信号とFD信号を並行して議論する。式(12)は、k
d及びl
Dである。伝搬路のt
d(k
d)やf
D(l
D)の存在範囲は、時間T
s、帯域F
sの単位でt
d∈[0,PT
s]、f
D∈[−(P'F
s)/2,(P'F
s)/2]とする。
【0044】
[0,PT
s]×[−(P'F
s)/2,(P'F
s)/2]のTFP(Time-Frequency Plane)上の(k
d,l
D)の高精度推定のため、式(13)のTD-signature v[k;Χ]及び式(14)のV[l;Χ](Χ=(X,X'))には、それぞれ、式(15)の、type-3 TDテンプレートu
m'(3)[k;X],0≦m'≦N'−1、及び、type-4 FD−テンプレートU
m(4)[l;X'],0≦m≦N−1が埋め込まれている。TD-signature v[k;Χ]及びV[l;Χ](X=(X,X'))は、時間T
c、帯域F
cのガウスチップ(Gaussian chip)g(t)を時間・周波数シフトしたガボール関数g(t−mT
c)e
j2πm'Fc(t−mTc)をNOSしたものである。
【0045】
ただし、サポート長Lの因果的離散時間プロトタイプフィルタの実現のため、g(t)をΔtで標本化した区間[−(LΔt)/2,(LΔt)/2]をサポートとし、さらに、g[k]を(DΔt)/2、D=L−1の遅延を受け正規化された時間制限の時間波形関数とする。
【0046】
一方、G[l]は、式(16)で定義する。式(16)は、L点DFTで定義されたサポート長[−(LΔf)/2,(LΔf)/2]の帯域制限波である。以下、離散時間TD関数は、連続時間TD関数に時間遅延D/2を施した関数とする。
【0047】
【数4】
【0048】
式(17)は、v[k]、V[l]を時間・周波数シフトして情報データd
→q、
→q=(q,q')を埋め込んだ、基底帯域の複素信号TD−CE(Complex Envelope)ψ[k;Χ]及びそのフーリエ変換(FT)FD−CE Ψ[l;Χ]である。この信号をキャリアΩ
c=2πf
cで変調した通過域信号がレーダ発射信号である。式(15)及び式(17)は、通常のガボール展開と異なり、NOSに必要な時間シフト、周波数シフトの非可換性由来のデータアドレス、チップアドレス(q,q')、(m,m')のPD e
±jπsqq'NN'、e
±jπsqq'mm'がそれぞれ発生する。
【0049】
式(18)は、キャリアl
cのレーダTD、FD信号s[k;Χ]、S[l;Χ]と、それらのTD−、FD−CE ψ[k;Χ]、Ψ[l;Χ]の関係を示す。
【0050】
【数5】
【0051】
2次元BPSK変調によりTFPのデータアドレス(q,q')の矩形領域はNN'個の領域に細分割され、Ae
iκ以外の未知パラメータθ'の空間Θ'も、NN'分割される。同時にチップアドレス(m,m')のPD e
±jπsmm'が発生する。PP'個の時間−周波数symmetrical関数X
mX'
m'T
mTc,m'Fcg(t)とそのFT X
mX'
m'T
fm'Fc,-mTcG(f)のNOSがTD−、FD−signature v[k]、V[l]である。
【0052】
式(19)は、g[k]、G[l]のDFT−/IDFT−modulated filter(MF)である。式(19)を用いると、式(13)、式(14)は、式(20)と書き改められる。さらに式(21)は、オーバーサンプリングファクタ(oversampling factor:OSF)M/N'、M'/N≧1のSFBを与える。
【0053】
【数6】
【0054】
一方、式(22)は、v[k]、V[l]のDFT−/IDFT−MFである。式(22)を用いると、式(17)のCE ψ[k]、Ψ[l]は、式(23)と書き改められる。さらに式(24)は、OSF NM/P'、N'M'/P≧1の
図3(a)のSFBが得られる。
【0055】
図3(a)において、上段は、ψ[k]生成のTD−SFB(NM−upsampled入力{d
q,q'}
q=0P-1、0≦q'≦P'−1、PC e
jπsqp'NN'変調されたP'-band filter:K
p'TDと、そのType-2 PPFM R
v(z)である。下段は、Ψ[l]生成のFD−SFB(N'M'−upsampled入力{d
q,q'}
q'=0P'-1、0≦q≦P−1、PC e
-jπspq'NN'変調されたP-duration filter:K
pFDと、そのType-2 PPFM R
V(z)である。三本線の記号は、Noble identitiesによる恒等変換である。
【0056】
P'、P個のK
q'TD(z)、K
qFD(z)の組は、式(25)を与える。式(25)は、prototype filter V
TD(z)=Σ
k∈Zv(k)z
-k、V
FD(z)=Σ
l∈ZV(l)z
-lのP'-band、P-durationのuniform DFT-/IDFT-filter bank(FB)である。
【0057】
【数7】
【0058】
さらに、二つの整数B
1、B
2の最小公倍数、最大公約数を、それぞれ、lcm[B
1,B
2]、gcd[B
1,B
2]とする。
【0059】
式(26)は、polyphase component(PPC)である。PPCの導入により、式(27)のpolyphaseフィルタ(PPF)(VaidyanathanのType 2 polyphase(PP))が成り立つ。ただし、z
3,q'=z・W
Mq'N'、z
4,q=z・W
M'-
qNである。z
3,q'-1、z
4,q-1は、DFT-modulated delay、IDFT-modulated delayの一種である。これは、時間シフト及び周波数シフトの探索をfreeとするために送信信号の段階でPP'多重化していることを意味し、データアドレス(p,p')の受信側で入力アドレス(q,q')のいずれか一つがPDのcancelling-outが達成されるように選択するように埋め込んでいる、いわゆるデータアドレス依存の遅延である。
【0060】
式(28)は、R
ev(z
3,q'lcm3)を(e,q')要素とするlcm
3×P'の行列である。式(29)は、R
e'V(z
4,qlcm4)を(e',q)要素とするlcm
4×Pの行列である。式(28)及び式(29)は、z
3,q'-1(0≦q'≦P'−1)、z
4,q-1(0≦q≦P−1)をDFT-/IDFT-modulated multi-delayとするType 2のPPF行列(PPFM)である(
図3(a)参照)。
【0061】
【数8】
【0062】
SFB、AFB対のTMUXでは、通常、フィルタの直交性条件やPR条件としてSFB、AFBのフィルタ群f
m(k)、h
n(k)を互いにマッチドフィルタ関係が成立するように設計する。
【0063】
v[k]、V[l]に埋め込まれた、N'、N個のTD−、FD−テンプレートを手掛かりに未知数θ'=(k
d,l
D)を推定する。
【0064】
式(30)は、減衰定数Ae
iκ、A,κ∈R、k
d,l
D∈Zのdoubly dispersive channelを経たheterodyne受信器出力r[k]を示す。ただし、CE ψ
r[k]とそのFT:Ψ
r[l]=F
d[ψ
r[k]]を用いた。また、T
0,-lcdT
kd,lDdT
0,lcd=W
LkdlcT
kd,lDdを用いた。R[l;Χ,A,κ,θ']=F
d[r[k;Χ,A,κ,θ']]は、受信器出力の受信器出力のFTである。η[k]、ξ[k]、E[l]、Ξ[l]は、干渉成分、外部雑音とそれらのFT、A,κはチャネルの減衰、位相特性である。チャネルの未知数は、(k
d,l
D)∈Z
2、(A,κ)∈R
2の4種である。
【0065】
【数9】
【0066】
探索パラメータ、推定パラメータ(l
μ,^k
d)を有するtype-3のTD−CCFでは、受信CEと各々の推定テンプレートCEとの間の相関を計算する。探索パラメータ、推定パラメータ(k
σ,^l
D)を有するtype-4のFD−CCFでは、受信CEと各々の推定テンプレートCEのそれぞれのFTとの間の相関を計算する。(k
σ,^l
D)は、(l
μ,^k
d)の周波数双対である。受信側では、incoherent通信を想定し、TD、FDの2次元BPSK符号はY={Y
n}、Y'={Y'
n'}とし、テンプレートナンバー、データアドレスは、それぞれρ'、ρ、
→p=(p,p')である。type-3、type-4のCCF相関関数は、それぞれ、式(31)及び(32)である。ここで、W
L=e
-(j2πs)/Lである。
【0067】
したがって、
図3(b)に示されるように、式(31)のtype-3 CCF c
(3)→p,ρ'(l
μ;^k
d)は、N'−band、NMサブサンプリングのAFBで実現できる。式(32)のtype-4 CCF C
(4)→p,ρ(k
σ;^l
D)は、N duration、N'M'サブサンプリングのAFBで実現できる。
【0068】
図3(b)において、上段は、受信TD-CE Ae
iκψ
r[k]のTD-AFB (NM-subsampled出力、N'-band filter:E
(3)(z)とそのType-1 PPFM E
(3)(z)である。下段は、受信FD-CE Ae
iκΨ
r[l]のFD-AFB (N'M'-subsampled出力、N-duration filter:E
(4)(z)とそのType-1 PPFM E
(4)(z)である。
【0069】
フィルタは、式(15)とパルス波形の偶関数性:g[k]=g[D−k]、G[l]=W
L-DlG[D−l]から、式(33)及び式(34)である。
【0070】
【数10】
【0071】
図1(a)は、提案のtwin TMUXsを示す。twin TMUXsは、l
Dを最尤推定するN'-band oversampled DFT-modulated TMUX(TD−SFBとTD−AFBの対。
図1(a)の時間領域部3参照。)と、k
dを最尤推定するN-duration oversampled IDFT-modulated TMUX(FD−SFBとFD−AFBの対。
図1(a)の周波数領域部5参照。)のペアである。時間領域部3は{d
q,q'}
q=0P-1、0≦q'≦P'−1復元のN'-band oversampled DFT-modulated TMUXを示す。周波数領域部5は{d
q,q'}
q'=0P'-1、0≦q≦P−1復元のN'-duration oversampled IDFT-modulated TMUXを示す。これらのTMUX間の推定パラメータの交換及び更新は、それぞれ、受信CEのTD-/FD-template estimated CE ψ
p',→p(3)[k]、Ψ
p,→p(4)[l]への直交射影、type-3 CCF(式(31))(対応してtype-4 CCF(式(32)))による交互直交射影(式(46)参照)で実行する。
【0072】
式(35)及び式(36)のフィルタが、重要な役割を果たす。式(35)は、N'個のTD-TMUX、0≦ρ'≦N'−1のフィルタである。式(36)は、N個のFD-TMUX、0≦ρ≦N−1のフィルタである。ただし、ν
0(l
μ)=l
μ−l
D、τ
0(k
σ)=k
σ−k
dである。
【0073】
【数11】
【0074】
AFBのフィルタは、式(37)を用いると、式(38)のlcm
5=lcm[P',MN]、lcm
6=lcm[P,M'N']個のPPF(Vaidyanathanのtype 1 PP)は、それぞれ、式(39)及び(40)を与える。式(39)は、DFT-modulated delay z
a3-1=(z・W
La(3)(lμ,ρ'))
-1のu
ρ'(3)[k]のoversampled DFT-modulated N'-band TD-AFBである。式(40)は、IDFT-modulated delay z
a4-1=(z・W
L-a(4)(kσ,ρ))
-1のU
ρ(4)[l]のoversampled IDFT-modulated N-duration FD-AFBである。ただし、式(41)を用いた。PPF行列E
(3)(z
a3)、E
(4)(z
a4)を、式(42)及び式(43)と定義する。E
(3)(z
a3)は、E
(3)ρ',e(z)を(ρ',e)要素とするN'×lcm
5のType 1のPPF行列である。E
(4)(z
a4)は、E
(4)ρ,e'(z)を(ρ,e')要素とするN×lcm
6のType 1のPPF行列である。
【0075】
【数12】
【0076】
チャネルの複素減衰定数Ae
iκの最尤値は、時間シフト及び周波数シフトのs-stepの推定値θ'
s=(^k
d,s,^l
D,s)を基に、式(44)で計算される。ただし、ψ
(3)ρ',→p[k]、Ψ
(4)ρ,→p[l]は、式(45)の、TD-template u
(3)ρ'[k;X]、U
(4)ρ[l;X']の推定受信CEである。
【0077】
CCF c
ρ',→p(3)(l
μ,^k
d,s)は、受信TD-CEのTD-template estimated CE ψ
(3)ρ',→p[k]への直交射影である。CCF C
ρ,→p(4)(k
σ,^l
D,s)は、受信FD-CEのFD-template estimated CE Ψ
(4)ρ,→p[l]への直交射影である。CCF c
ρ',→p(3)(l
μ,^k
d,s)及びC
ρ,→p(4)(k
σ,^l
D,s)は、式(46)の(s+1)ステップ最尤値を与え、4個のパラメータ A、κ、k
d、l
Dが最尤推定される。
【0078】
図4は、DFT-modulated TMUXとIDFT-modulated TMUXとの間のパラメータ更新手続きを示す。k
d、l
Dの推定値の収束後、各TMUXの出力は、情報で他の推定値を与える。
【0079】
【数13】
【0080】
図5(a)は、TD-signature v[k]を生成するSFBの例である。
図5(b)は、FD-signature V[l]を生成するSFBの例である。
図5(c)は、TD-CE ψ[k]を生成するP'-bandのSFBの例である。
図5(d)は、FD-CE Ψ[l]を生成するP-durationのSFBの例である。
【0081】
図6(a)及び(b)のAFBでは、探索パラメータl
μ、k
σや推定パラメータ^k
d、^l
Dに関係する項を入力部分に抜き出し、残りの特性を^h
(3)→p,ρ'(k;^k
d)、^h
(4)→p,ρ(l;^l
D)とし、kの時間関数、lの周波数関数との積を表す演算として〇のなかに点がある記号を先頭に付して、これらの関数を明示するために実線で囲んだboxを点線で囲んだboxとした。
【0082】
図7は、TD-AFB、FD-AFB間で行うパラメータ更新手続きを図示している。k
d、l
Dの推定値が収束した後、各TMUXの出力により情報データの推定値が定まる。
【0083】
従来のTMUXでは、t
d、f
Dが零の理想的なチャネルを前提としていた。TD-/FD-Signature生成のSFBとTD-/FD-CCFのAFBの対のtwin型が、t
dとf
D推定可能なTMUXとなることを示した。周波数シフト推定のTD-TMUXと時間シフト推定のFD-TMUXのツイン型とすることで、従来チャンネル特性を一定遅延としていたTMUXにチャネル推定の機能を付与することができる。特に、DFT modulated delay及びIDFT modulated delayの定義は、先行研究のDFT-modulated filterをFDまで拡張すればよいことを意味する。