(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
【0015】
==全体構成==
図1に、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信システム1000の全体構成図を示す。
【0016】
コンテンツ配信システム1000は、情報端末100と、コンテンツ配信装置200と、がネットワーク500を通じて通信可能に接続されて構成されている。ネットワーク500は、インターネットやLAN(Local Area Network)、電話網等の各種の情報通信網である。
【0017】
コンテンツ配信システム1000は、駅の構内や街頭など様々な場所に設置されているデジタルサイネージ装置300に対して、様々なコンテンツを出力させる装置である。コンテンツは、動画や写真、イラスト、文字、図形などの画像情報の他、音声情報が含まれていても良い。
【0018】
詳細は後述するが、コンテンツ配信システム1000は、情報端末100を携帯して移動するユーザがデジタルサイネージ装置300に到達するタイミングで、このデジタルサイネージ装置300にコンテンツを再生させることができる。またコンテンツ配信システム1000は、このユーザの属性情報を元に、このユーザに適切なコンテンツを選び出し、デジタルサイネージ装置300に再生させることができる。
【0019】
デジタルサイネージ装置300は、画像情報を表示するためのモニタや、音声情報を出力するためのスピーカを備え、コンテンツ配信システム1000から配信あるいは指定されるコンテンツを再生する装置である。
図1には、デジタルサイネージ装置A300Aと、デジタルサイネージ装置B300Bが例示されている。
【0020】
なお本実施形態では、コンテンツ配信システム1000は、一例として、情報端末100及びコンテンツ配信装置200を構成要素とし、デジタルサイネージ装置300を構成要素に含まないこととしているが、情報端末100及びコンテンツ配信装置200に加え、デジタルサイネージ装置300を構成要素に含んでも良い。
【0021】
なお後者の場合、デジタルサイネージ装置300は、コンテンツ配信装置200から配信されるコンテンツを再生するのみでなく、デジタルサイネージ装置300からコンテンツ配信装置200に対して送信したリクエストに応じてコンテンツ配信装置200から配信されるコンテンツを再生するような形態も可能である。
【0022】
情報端末100は、ユーザと共に移動する情報処理装置であり、本実施形態では、ユーザが携帯するスマートフォンや携帯電話機、ノートパソコン、タブレットなどの可搬型の情報処理端末である。なお情報端末100はユーザと共に移動する装置であればよく、例えば、ユーザが乗車する自動車やバイク等に搭載されるカーナビゲーション装置等の機器であっても良い。
【0023】
また情報端末100は、GPS(Global Positioning System)受信機等の位置検出手段(後述する位置情報取得部101に対応)を備えているとともに、各所に設置されているデジタルサイネージ装置300の位置情報を記憶している。
【0024】
そして情報端末100は、上記の位置検出手段によって特定されたユーザの現在位置や、現在位置の時系列変化から算出される移動速度、移動方向等の情報をもとに、ユーザがこれから到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300(到達予想デジタルサイネージ装置300とも記す)を特定し、これらのデジタルサイネージ装置300への到達予想時刻を算出する。
【0025】
情報端末100は、到達予想デジタルサイネージ装置300のリストと、それらのデジタルサイネージ装置300への到達予想時刻をコンテンツ配信装置200に送信する。
【0026】
また情報端末100には、ユーザに固有に割り当てられたユーザIDが記憶されており、情報端末100はこのユーザIDもコンテンツ配信装置200に送信する。
【0027】
このユーザIDはコンテンツ配信装置200に事前に登録されており、コンテンツ配信装置200は、情報端末100から送信されてくるユーザIDによってユーザを一意に特定する。またコンテンツ配信装置200は、ユーザIDと対応付けて、ユーザの年齢や住所、性別、趣味等の属性情報を記憶しており、この属性情報を元にユーザに視聴させる最適なコンテンツを選び出すことができる。
【0028】
コンテンツ配信装置200は、上記到達予想デジタルサイネージ装置300に対して、ユーザがこのデジタルサイネージ装置300に到達するタイミングで上記選出したコンテンツが再生されるように、デジタルサイネージ装置300にコンテンツを配信する。
【0029】
コンテンツの配信は、例えばコンテンツ配信装置200がデジタルサイネージ装置300に対して、コンテンツを再生するための指示(コマンド)を送信することにより行われる。このコマンドには、コンテンツの保存場所を示すURL(Uniform Resource Locator)やコンテンツの再生開始時刻が含まれており、デジタルサイネージ装置300は、上記URLで指定される保存場所からコンテンツを取得し、指定された再生開始時刻に再生を開始する。もちろん、コンテンツ配信装置200がデジタルサイネージ装置300にコンテンツのデータを送信する形態でも良い。
【0030】
また上述したように、デジタルサイネージ装置300からコンテンツ配信装置200に対してリクエストを送信し、このリクエストに応じてコンテンツ配信装置200がユーザIDを元に最適なコンテンツを選び出し、デジタルサイネージ装置300に配信(コマンドを送信)するような形態でもよい。
【0031】
以上のような態様により、本実施形態に係るコンテンツ配信装置200及びコンテンツ配信システム1000は、ユーザがデジタルサイネージ装置300に接近したタイミングで、このユーザに最適なコンテンツを再生することができる。これにより、デジタルサイネージ装置300の訴求効果をより一層向上させることが可能となる。
【0032】
図1には、デジタルサイネージ装置A300A及びデジタルサイネージ装置B300Bの近隣に4人のユーザA〜Dが存在し、そのうち、ユーザAはデジタルサイネージ装置A300Aの方向に移動し、ユーザB及びユーザCはデジタルサイネージ装置B300Bの方向に移動していることが示されている。
【0033】
この場合、コンテンツ配信装置200は、情報端末A100Aから取得したユーザAのユーザIDを元にユーザAの年齢や性別等の属性を特定し、このユーザAの属性を持つユーザを視聴対象とするコンテンツを選出し、ユーザAがデジタルサイネージ装置A300Aに到達するタイミングで、このコンテンツをデジタルサイネージ装置A300Aに再生させる。
【0034】
またコンテンツ配信装置200は、情報端末B100B及び情報端末C100Cからそれぞれ送信されてくる情報(到達予想デジタルサイネージ装置300及び到達予想時刻)をもとに、ユーザB及びユーザCが同一のデジタルサイネージ装置B300Bに同一時間帯に到達することが予想されるかどうかを判断し、同一時間帯に到達することが予想される場合には、コンテンツ配信装置200は、ユーザBの属性情報とユーザCの属性情報を元に、デジタルサイネージ装置B300Bに再生させるコンテンツを選び出し、ユーザB及びユーザCがデジタルサイネージ装置B300Bに到達するタイミングでこのコンテンツを再生させる。複数のユーザの属性情報からコンテンツを選出する方法については後述する。
【0035】
また情報端末100Dを所持するユーザDは移動していないため、コンテンツ配信装置200は、ユーザDに向けたコンテンツの配信は行わない。
【0036】
なお上述したように、情報端末100は、各所のデジタルサイネージ装置300の位置情報を記憶しているが、本実施形態では、情報端末100がコンテンツ配信装置200に現在位置情報を送信すると、コンテンツ配信装置200が情報端末100の近隣に(例えば所定距離の範囲内)に存在するデジタルサイネージ装置300を特定し、これらのデジタルサイネージ装置300の位置情報のリストを情報端末100に送信するようにしている。
【0037】
このような態様により、情報端末100は近隣のデジタルサイネージ装置300についてのみ位置情報を記憶すればよいため、情報端末100の記憶領域を節約することができる。
【0038】
このように、本実施形態に係るコンテンツ配信システム1000によれば、デジタルサイネージ装置300の前を通り過ぎる不特定多数の個人に向け、パーソナライズしたコンテンツを配信することができる。
【0040】
==コンテンツ配信装置==
まず、コンテンツ配信装置200のハードウェア構成について、
図2を参照しながら説明する。なお、
図2は、説明の重複を避けるため情報端末100のハードウェア構成図及びデジタルサイネージ装置300のハードウェア構成図も兼ねている。
【0041】
本実施形態に係るコンテンツ配信装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、メモリ220、通信装置230、記憶装置240、入力装置250、出力装置260、及び記録媒体読取装置270を備えて構成されるコンピュータである。
【0042】
記憶装置240は、CPU210によって実行されるコンテンツ配信装置制御プログラム720等の各種のプログラムやデータを格納する。
【0043】
記憶装置240に記憶されているコンテンツ配信装置制御プログラム720や各種のデータがメモリ220に読み出されてCPU210によって実行あるいは処理されることにより、コンテンツ配信装置200の各種機能が実現される。
【0044】
ここで、記憶装置240は例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置である。
【0045】
記憶装置240には、
図3に示すようにコンテンツ配信装置制御プログラム720、ユーザ属性テーブル600、デジタルサイネージ装置管理テーブル610、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620、及びコンテンツプール630Aが記憶されている。
【0046】
記録媒体読取装置270は、CDやDVD、SDカード等の記録媒体800に記録されたコンテンツ配信装置制御プログラム720やデータを読み取り、記憶装置240に格納する。
【0047】
通信装置230は、ネットワーク500を介して、情報端末100やデジタルサイネージ装置300、さらには不図示の他のコンピュータと各種データやコンテンツ配信装置制御プログラム720の授受を行う。例えば他のコンピュータに上述したコンテンツ配信装置制御プログラム720やデータを格納しておき、コンテンツ配信装置200がこのコンピュータからコンテンツ配信装置制御プログラム720やデータをダウンロードするようにすることができる。
【0048】
入力装置250は、ユーザによるコマンドやデータの入力を受け付ける各種ボタンやスイッチ、マウス、キーボードなどの装置である。
【0049】
また出力装置260は、例えばディスプレイなどの表示装置、スピーカなどの装置である。
【0050】
<ユーザ属性テーブル>
記憶装置240に記憶されるユーザ属性テーブル600を
図4に示す。ユーザ属性テーブル600は、ユーザIDと、ユーザの性別や年齢、住所等の属性情報と、を対応付けて記憶したテーブルである。ユーザ属性テーブル600には、ユーザの属性情報として、家族構成や職業、出身地、趣味、商品の購買履歴などが含まれていてもよい。
【0051】
<デジタルサイネージ装置管理テーブル>
次に、デジタルサイネージ装置管理テーブル610を
図5に示す。デジタルサイネージ装置管理テーブル610には、デジタルサイネージ装置300を識別するためのサイネージIDと、そのデジタルサイネージ装置300の設置場所を示す情報と、そのデジタルサイネージ装置300で再生可能なコンテンツの候補が記憶されている。デジタルサイネージ装置管理テーブル610には、コンテンツ配信装置200によって管理されるすべてのデジタルサイネージ装置300が記載されている。
【0052】
図5に示す例では、デジタルサイネージ装置300の設置場所は一例として緯度及び経度で特定されている。
【0053】
またY0001で特定されるデジタルサイネージ装置300は、コンテンツA、B、Cが再生可能な候補として指定され、Y0002で特定されるデジタルサイネージ装置300は、コンテンツA、D、Eが再生可能な候補として指定されている。このように、各デジタルサイネージ装置300について、再生可能なコンテンツの候補を特定しておくことで、例えば、特定のコンテンツを特定の地域内でのみ再生するようにすることが可能となる。
【0054】
さらには、図示はしていないが、デジタルサイネージ装置管理テーブル610には、各コンテンツの再生時間帯(例えば8時から18時まで等)や、再生期間(例えば3月1日及び4月31日まで等)などの情報を記憶してもよい。
【0055】
このような態様により、デジタルサイネージ装置300によって再生されるコンテンツの時間帯や期間を指定することが可能になる。
【0056】
<コンテンツ視聴対象者設定テーブル>
次に、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620を
図6に示す。コンテンツ視聴対象者設定テーブル620は、各コンテンツを、どのようなユーザに向けて配信するかを設定するためのテーブルである。つまり、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620は、デジタルサイネージ装置300によって再生されるコンテンツの候補毎に、視聴対象者を特定する情報を対応付けて記憶する。
【0057】
コンテンツ視聴対象者設定テーブル620は、コンテンツID欄と、属性欄と、を有している。
【0058】
コンテンツID欄には、各コンテンツの識別情報が記録される。属性欄には、コンテンツをどのような属性を持つユーザに視聴させたいかというコンテンツの視聴対象者を設定するための情報が記録される。
【0059】
図6に示す例では、n種類の属性(属性1〜属性n)に対して、それぞれ例えば10段階(0〜9)で数値を設定することで、コンテンツを視聴させたいユーザ層を設定する。例えばコンテンツAは、男性にはa1、女性にはa2、という数値が設定されているが、コンテンツAが男性を対象としたコンテンツである場合には、例えばa1に9を設定し、a2には0を設定する。またコンテンツAが若年層をターゲットにしたコンテンツである場合には、属性3(10代)のa3や属性4(20代)のa4の値を大きな値に設定する。
【0060】
コンテンツ配信装置200は、デジタルサイネージ装置300に到達すると予想されるユーザのユーザIDを情報端末100から取得すると、ユーザ属性テーブル600を参照してこのユーザの属性情報を特定するとともに、デジタルサイネージ装置管理テーブル610を参照し、このデジタルサイネージ装置300で再生可能なコンテンツの候補を特定する。そしてこれらの各コンテンツの候補について、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620の設定内容と、ユーザの属性情報と、を比較し、この比較の結果に基づいて、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツを決定する。
【0061】
例えば、コンテンツ配信装置200は、サイネージIDがY0001であるデジタルサイネージ装置300にあるユーザが近づいている場合、このデジタルサイネージ装置300が再生可能なコンテンツの候補A,B,Cについて、それぞれ、式(1)から式(3)を用いて、ユーザの属性情報と、各コンテンツ(A,B,C)の視聴対象者を特定する情報と、の適合度合いを示す指標値S(SA,SB,SC)を算出する。
【0062】
SA=(x1×a1)+(x2×a2)+…+(xn×an) …(1)
SB=(x1×b1)+(x2×b2)+…+(xn×bn) …(2)
SC=(x1×c1)+(x2×c2)+…+(xn×cn) …(3)
ここで、x1〜xnはそれぞれ、このユーザの属性が、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620の属性1〜属性nに当てはまれば1、当てはまらなければ0となる値である。例えばx1の値は、このユーザが男性であれば1、女性であれば0となる。
【0063】
そしてコンテンツ配信装置200は、指標値SA,SB,SCのうち、値が最大となったコンテンツの候補を、このデジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツとして決定する。
【0064】
このような態様により、このユーザに最も訴求効果の高いコンテンツを再生することが可能となる。
【0065】
<コンテンツプール>
コンテンツプール630Aは、デジタルサイネージ装置300に再生させる1つ以上のコンテンツのデータが記録されている。本実施形態では、コンテンツ配信装置200の記憶装置240にコンテンツプール630Aが実現されているが、コンテンツ配信装置200と通信可能に接続された他のコンピュータにコンテンツプール630Aが設けられてもよい。
【0066】
<コンテンツ配信装置の機能構成>
次に、コンテンツ配信装置200の機能構成について、
図7に示す機能構成図を参照しながら説明する。
【0067】
上述したように、コンテンツ配信装置200は、記憶装置240に記憶されているコンテンツ配信装置制御プログラム720や各種のデータがメモリ220に読み出されてCPU210によって実行あるいは処理されることにより、コンテンツ配信装置200としての各種機能を実現する。
【0068】
具体的には、コンテンツ配信装置200は、情報取得部201、リスト送信部202、接近情報取得部203、コンテンツ決定部204、コマンド送信部205、視聴対象者記憶部206の各機能を有する。
【0069】
情報取得部201は、情報端末100からユーザIDと、情報端末100の現在位置情報と、を取得する。情報取得部201は、ユーザIDについては、コンテンツ配信装置200が情報端末100からのログイン要求を受け付ける際に取得するが、現在位置情報については、所定時間毎(例えば1時間毎、あるいは15分毎等)に、情報端末100から取得する。
【0070】
リスト送信部202は、情報端末100から送信された現在位置情報に基づいて、情報端末100の現在位置から所定範囲内に設置されているデジタルサイネージ装置300をデジタルサイネージ装置管理テーブル610から抽出し、これらのデジタルサイネージ装置300のIDと位置情報のリストを、情報端末100に送信する。
【0071】
リスト送信部202は、例えば情報端末100から半径500メートル以内にあるデジタルサイネージ装置300のリストを抽出して送信する。あるいは、リスト送信部202は不図示の地図情報を参照し、情報端末100の現在位置及び各デジタルサイネージ装置300の位置を地図上で特定し、ユーザが移動可能な道路に沿った距離が所定範囲(例えば500メートル以内)にあるデジタルサイネージ装置300を抽出するようにしてもよい。このように地図情報を利用すれば、ユーザの近傍にあるデジタルサイネージ装置300をより的確に抽出することが可能となる。
【0072】
接近情報取得部203は、情報端末100から、ユーザが到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300(到達予想デジタルサイネージ装置300)と、このデジタルサイネージ装置300への到達予想時刻と、を取得する。
【0073】
詳細は後述するが、情報端末100から送信されるこれらの情報は、リスト送信部202が情報端末100に送信したデジタルサイネージ装置300のIDと位置情報のリストを用いて、情報端末100によって算出されたものである。
【0074】
これらの計算を各情報端末100に分散して実行させるようにすることによって、コンテンツ配信装置200の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0075】
また後述するように、情報端末100は、デジタルサイネージ装置300への到達予想時刻までの残り時間が所定時間以内(例えば1分以内)になったタイミングで、このデジタルサイネージ装置300のIDと到達予想時刻をコンテンツ配信装置200に送信する。このため、情報端末100から到達間近であると通知されたデジタルサイネージ装置300に、ユーザはほぼ間違いなく到達することが期待できる。
【0076】
コンテンツ決定部204は、ユーザ属性テーブル600を参照し、情報取得部201が取得したユーザIDと対応付けて記憶されているユーザの属性情報を特定し、この属性情報を元に、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツを決定する。
【0077】
例えばコンテンツ決定部204は、ユーザが女性であれば女性向けのコンテンツを選ぶ。この場合コンテンツ決定部204は、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620を参照し、ユーザの属性情報に適合するコンテンツを選ぶようにするとよい。このような態様により、各コンテンツを最適なユーザに視聴させることが可能となる。
【0078】
またコンテンツ決定部204は、上述したように、ユーザの属性情報と、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620に記載されているコンテンツの各候補の視聴対象者を特定する情報と、の適合度合いを示す指標値Sを所定の算出式に従って算出し、この指標値Sをもとに、コンテンツを選ぶようにしてもよい。
【0079】
コマンド送信部205は、接近情報取得部203が情報端末100から取得した到着予想時刻に上記選出したコンテンツを再生させるためのコマンドを、接近情報取得部203が情報端末100から通知された到達予想デジタルサイネージ装置300に送信する。
【0080】
視聴対象者記憶部206は、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツの候補毎に、視聴対象者を特定する情報を対応付けて記憶しており、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620として具現化されている。
【0081】
==情報端末==
次に情報端末100について説明する。情報端末100のハードウェア構成を
図2に示すが、基本的な構成はコンテンツ配信装置200と共通しているため、重複する説明は省略する。
【0082】
本実施形態に係る情報端末100は、CPU110、メモリ120、通信装置130、記憶装置140、入力装置150、出力装置160、及び記録媒体読取装置170を備えて構成されるスマートフォン等のコンピュータである。
【0083】
情報端末100は、記憶装置140に記憶されている情報端末制御プログラム710や各種のデータがメモリ120に読み出されてCPU110によって実行あるいは処理されることにより、情報端末100の各種機能が実現される。また情報端末100は、通信装置130の一つとしてGPS受信機を備えており、GPS衛星からGPS信号を受信して、情報端末100の現在位置を特定することができる。
【0084】
記憶装置140には、
図8に示すように情報端末制御プログラム710、及び近隣デジタルサイネージ装置リスト640が記憶されている。
【0085】
<近隣デジタルサイネージ装置リスト>
近隣デジタルサイネージ装置リスト640を
図9に示す。近隣デジタルサイネージ装置リスト640には、情報端末100の現在位置をもとにコンテンツ配信装置200から送信された、情報端末100から所定範囲内(例えば半径500メートル以内)にあるデジタルサイネージ装置300のIDと設置場所のリストが記憶されている。
【0086】
また近隣デジタルサイネージ装置リスト640には、情報端末100から各デジタルサイネージ装置300までの到達予想時刻と距離も記載されている。またこの到達予想時刻には、誤差情報も含まれている。
【0087】
これらの到達予想時刻、距離、及び誤差は、情報端末100によって算出される。到達予測時刻の誤差は、GPS信号の電波の受信状況をもとに算出されてもよいし、ユーザの移動速度をもとに算出されてもよいし、デジタルサイネージ装置300までの距離に応じて算出されてもよい。
【0088】
なお、
図9のY2651で特定されるデジタルサイネージ装置300には到達予想時刻が記載されていないが、これは、情報端末100がこのデジタルサイネージ装置300から遠ざかっていることを示している。
【0089】
このように、情報端末100の近隣のデジタルサイネージ装置300についてのみ位置情報を記憶するようにすることにより、情報端末100の記憶領域を節約することができる。
【0090】
<情報端末の機能構成>
次に、情報端末100の機能構成について、
図10に示す機能構成図を参照しながら説明する。
【0091】
情報端末100は、位置情報取得部101、情報送信部102、リスト取得部103、接近情報算出部104、接近情報送信部105の各機能を有する。
【0092】
位置情報取得部101は、情報端末100の現在位置情報を所定時間毎に(例えば1時間毎あるいは15分毎に)取得する。また位置情報取得部101は、例えば情報端末100が具備するGPS受信機として具現化されるが、その他、無線LANの信号に含まれるアクセスポイントの位置情報から現在位置情報を取得する手段として実現してもよい。
【0093】
情報送信部102は、情報端末100の現在位置情報と、ユーザに固有のユーザIDと、をコンテンツ配信装置200に送信する。情報送信部102は、ユーザIDについては、情報端末100がコンテンツ配信装置200へログイン要求を行う際に送信するが、現在位置情報については、所定時間毎(例えば1時間毎、あるいは15分毎等)に、コンテンツ配信装置200に送信する。
【0094】
リスト取得部103は、情報端末100から所定範囲内(例えば500メートル以内)に設置されているデジタルサイネージ装置300のID(サイネージID)と位置情報のリストをコンテンツ配信装置200から取得する。そしてリスト取得部103は、デジタルサイネージ装置300のIDと位置情報のリストを、近隣デジタルサイネージ装置リスト640に記憶する。
【0095】
接近情報算出部104は、情報端末100の現在位置情報の時系列変化と、近隣デジタルサイネージ装置リスト640に記憶した各デジタルサイネージ装置300の位置情報と、を元に、ユーザがこれから到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300と、これらのデジタルサイネージ装置300までの距離と到達予想時刻と、を算出する。そして接近情報算出部104は、近隣デジタルサイネージ装置リスト640にこれらの情報を記録する。
【0096】
なお接近情報算出部104は、不図示の地図情報を参照し、情報端末100の現在位置及び近隣デジタルサイネージ装置リスト640に掲載されている各デジタルサイネージ装置300の位置を地図上で特定し、ユーザが移動可能な道路情報を元に、ユーザがこれから到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300と、それらのデジタルサイネージ装置300までの距離と到達予想時刻を算出するようにしてもよい。このように地図情報を利用すれば、ユーザが到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300までの距離と到達予想時間をより正確に算出することが可能となる。
【0097】
接近情報送信部105は、接近情報算出部104が算出した、ユーザがこれから到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300と、これらのデジタルサイネージ装置300への到達予想時刻と、をコンテンツ配信装置200に送信する。
【0098】
==デジタルサイネージ装置==
次にデジタルサイネージ装置300について説明する。デジタルサイネージ装置300のハードウェア構成を
図2に示すが、情報端末100と同様に、基本的な構成はコンテンツ配信装置200と共通しているため、重複する説明は省略する。
【0099】
本実施形態に係るデジタルサイネージ装置300は、CPU310、メモリ320、通信装置330、記憶装置340、入力装置350、出力装置360、及び記録媒体読取装置370を備えて構成されるコンピュータである。
【0100】
デジタルサイネージ装置300は、記憶装置340に記憶されているデジタルサイネージ装置制御プログラム730や各種のデータがメモリ320に読み出されてCPU310によって実行あるいは処理されることにより、デジタルサイネージ装置300の各種機能が実現される。
【0101】
記憶装置340には、
図11に示すようにデジタルサイネージ装置制御プログラム730、及びコンテンツプール630Bが記憶されている。
【0102】
<コンテンツプール>
コンテンツプール630Bは、デジタルサイネージ装置300が再生可能な1以上のコンテンツのデータが記録されている。本実施形態では、デジタルサイネージ装置300の記憶装置340にコンテンツプール630Bが実現されているが、デジタルサイネージ装置300と通信可能に接続された他のコンピュータにコンテンツプール630Bが実現されてもよい。
【0103】
<デジタルサイネージ装置の機能構成>
続いて、デジタルサイネージ装置300の機能構成について、
図12に示す機能構成図を参照しながら説明する。
【0104】
デジタルサイネージ装置300は、コマンド受信部301、コンテンツ取得部302、コンテンツ再生部303の各機能を有する。
【0105】
コマンド受信部301は、コンテンツ配信装置200がデジタルサイネージ装置300に送信したコマンドを受信する。このコマンドには、コンテンツの保存場所を示すURLや、コンテンツの再生開始時刻を示す情報が含まれている。
【0106】
コンテンツ取得部302は、コンテンツ配信装置200から送信されたコマンドに含まれているURLにより特定される保存場所から、コンテンツを取得する。
【0107】
コンテンツ再生部303は、コンテンツ取得部302が取得したコンテンツを、コンテンツ配信装置200から送信されたコマンドに含まれている再生開始時刻に再生する。
【0108】
==処理の流れ==
次に、本実施形態に係るコンテンツ配信システム1000による処理の流れを、
図13及び
図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0109】
なお
図13及び
図14のフローチャートには記載されていないが、各ユーザは事前にコンテンツ配信装置200へのユーザ登録を行っており、ユーザIDが付与されている。またコンテンツ配信装置200は、ユーザ登録の際に各ユーザの属性情報を取得しており、ユーザIDと共にユーザ属性テーブル600に記録している。
【0110】
その状態において、情報端末100は、情報端末制御プログラム710の実行を開始すると、コンテンツ配信装置200に対するログイン要求を送信する。そしてその際に、情報端末100はコンテンツ配信装置200にユーザIDを送信する(S1000)。これによりコンテンツ配信装置200はユーザIDを取得する。
【0111】
そして情報端末100は、コンテンツ配信装置200へのログインが成功すると、現在位置情報を取得して(S1005)、コンテンツ配信装置200に送信する(S1010)。
【0112】
コンテンツ配信装置200は、情報端末100から送信された現在位置情報に基づいて、情報端末100の現在位置から所定範囲内に設置されているデジタルサイネージ装置300をデジタルサイネージ装置管理テーブル610から抽出する(S1020)。
【0113】
そしてコンテンツ配信装置200は、これらのデジタルサイネージ装置300のID(サイネージID)と位置情報のリストを、情報端末100に送信する(S1030)。
【0114】
情報端末100は、コンテンツ配信装置200から送信されてきた近隣のデジタルサイネージ装置300のID及び位置情報と、情報端末100の現在位置情報及び現在位置情報の時系列変化から算出される移動速度や移動方向を元に、ユーザがこれから到達すると予想されるデジタルサイネージ装置300と、これらのデジタルサイネージ装置300までの距離と到達予想時刻と、を算出する(S1040)。
【0115】
このとき、情報端末100は、コンテンツ配信装置200から送信されてきたデジタルサイネージ装置300が近隣デジタルサイネージ装置リスト640に未登録であれば(S1050)、この未登録のデジタルサイネージ装置300のIDを、到達予想時刻及び距離と共に近隣デジタルサイネージ装置リスト640に追加する(S1060)。
【0116】
一方、情報端末100は、すでに近隣デジタルサイネージ装置リスト640に登録済みのデジタルサイネージ装置300については、近隣デジタルサイネージ装置リスト640に記載されている距離の値を、新たに計算した距離に更新する(S1070)。
【0117】
そして情報端末100は、距離が減少している場合には(S1080)、ユーザがこのデジタルサイネージ装置300に接近中であると判断し、到達予想時刻も更新する(S1090)。一方、情報端末100は、距離が増大している場合には、ユーザはこのデジタルサイネージ装置300から遠ざかっていると判断し、到達予想時刻を削除する(S1100)。
【0118】
そして情報端末100は、近隣デジタルサイネージ装置リスト640を参照し、到達予想時刻までの時間が第1所定時間以内(例えば15分以内)のデジタルサイネージ装置300があるか否かを判定し(S1110)、なければ、第1所定時間(15分)待機したのち、再びS1005に戻る。
【0119】
一方、到達予想時刻までの時間が第1所定時間以内(例えば15分以内)のデジタルサイネージ装置300がある場合には(S1110)、情報端末100はさらに、到達予想時刻までの時間が第2所定時間以内(例えば1分以内)のデジタルサイネージ装置300があるかどうかを判定する(S1130)。
【0120】
情報端末100は、到達予想時刻までの時間が第2所定時間以内(1分以内)のデジタルサイネージ装置300がなければ(S1130)、第2所定時間(1分)待機したのち、現在位置情報を取得し(S1170)、S1040に戻る。
【0121】
つまりこの場合、情報端末100は、第2所定時間(1分)ごとに新たな現在位置情報を取得し、近隣のデジタルサイネージ装置300への接近状況(距離及び到達予想時間)を更新する。
【0122】
そしてS1130において、到達予想時刻までの時間が第2所定時間(1分)以内のデジタルサイネージ装置300があった場合には(S1130)、情報端末100は、該当するデジタルサイネージ装置300(到達予想デジタルサイネージ装置300)を近隣デジタルサイネージ装置リスト640から抽出する(S1140)。
【0123】
そして情報端末100は、これらのデジタルサイネージ装置300のIDと到達予想時刻(誤差情報を含む)のリストを、コンテンツ配信装置200に送信する(S1150)。
【0124】
そうすると、コンテンツ配信装置200は、ユーザ属性テーブル600を参照し、S1010で取得したユーザIDと対応付けて記憶されているユーザの属性情報を特定し、この属性情報を元に、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツを決定する(S1180)。
【0125】
そしてコンテンツ配信装置200は、S1150で情報端末100から通知された各デジタルサイネージ装置300に対して、再生開始時刻及びコンテンツを指定したコマンドを送信する(S1190)。なお再生開始時刻は、到達予想時刻と同一の時刻でもよいし、到達予想時刻に対して誤差の分だけ早めた時刻としてもよい。
【0126】
そしてデジタルサイネージ装置300は、コンテンツ配信装置200から指定されたコンテンツを指定された時刻に再生する(S1200)。
【0127】
なお、S1180において、複数のユーザが同一のデジタルサイネージ装置300に同一時間帯に到達する可能性があることが判明した場合には(例えば各ユーザの到達予想時刻が、デジタルサイネージ装置300におけるコンテンツの同じ再生時間枠内の時刻である場合や、あるいは、各ユーザの到達予想時刻の差が所定時間以内である場合など)、コンテンツ配信装置200は、これらの各ユーザの属性情報を元に、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツを決定する。
【0128】
例えばコンテンツ配信装置200は、これらの各ユーザの属性情報と、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620に記載されているコンテンツの視聴対象者を特定する情報と、の適合度合いを表す指標値Sを、ユーザとコンテンツの組み合わせ毎に算出し、指標値Sの合計値Tをコンテンツごとに算出し、合計値Tが最大となったコンテンツを、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツとして決定する。
【0129】
このような態様により、同一時間帯に同一デジタルサイネージ装置300のコンテンツを視聴する複数のユーザに適合するコンテンツを再生することが可能となる。
【0130】
具体的に説明すると、コンテンツ配信装置200は、
図5に示すデジタルサイネージ装置管理テーブル610において、サイネージIDがY0001であるデジタルサイネージ装置300に、ユーザ1とユーザ2が近づいている場合、このデジタルサイネージ装置300が再生可能なコンテンツの候補A,B,Cについて、それぞれ、以下の式(4)〜式(9)を用いて、各ユーザ1、2の属性情報と、
図6のコンテンツ視聴対象者設定テーブル620に記載されている各コンテンツの候補(A,B,C)の視聴対象者を特定する情報と、の適合度合いを示す指標値S(S1A,S1B,S1C,S2A,S2B,S2C)を算出する。
【0131】
S1A=(x11×a1)+(x12×a2)+…+(x1n×an) …(4)
S1B=(x11×b1)+(x12×b2)+…+(x1n×bn) …(5)
S1C=(x11×c1)+(x12×c2)+…+(x1n×cn) …(6)
S2A=(x21×a1)+(x22×a2)+…+(x2n×an) …(7)
S2B=(x21×b1)+(x22×b2)+…+(x2n×bn) …(8)
S2C=(x21×c1)+(x22×c2)+…+(x2n×cn) …(9)
ここで、x11〜x1nはそれぞれ、ユーザ1の属性が、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620の属性1〜属性nに当てはまれば1、当てはまらなければ0となる値である。またx21〜x2nはそれぞれ、ユーザ2の属性が、コンテンツ視聴対象者設定テーブル620の属性1〜属性nに当てはまれば1、当てはまらなければ0となる値である。
【0132】
そしてコンテンツ配信装置200は、式(10)〜(12)を用いて、コンテンツ毎に指標値Sの合計値T(TA,TB,TC)を算出する。
【0133】
TA=S1A+S2A …(10)
TB=S1B+S2B …(11)
TC=S1C+S2C …(12)
そしてコンテンツ配信装置200は、TA,TB,TCの各値を比較し、最大値となったコンテンツを、デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツとして決定する。
【0134】
なおコンテンツ配信装置200は、S1A,S1B,S1C,S2A,S2B,S2Cの各値を、下記の式(13)〜式(18)のように、百分率を用いた相対値S’(S1A’,S1B’,S1C’,S2A’,S2B’,S2C’)に変換し、これらの値を用いて式(19)〜式(21)から、TA’,TB’,TC’を算出してもよい。
【0135】
S1A’(%)=100×S1A/(S1A+S1B+S1C) …(13)
S1B’(%)=100×S1B/(S1A+S1B+S1C) …(14)
S1C’(%)=100×S1C/(S1A+S1B+S1C) …(15)
S2A’(%)=100×S2A/(S2A+S2B+S2C) …(16)
S2B’(%)=100×S2B/(S2A+S2B+S2C) …(17)
S2C’(%)=100×S2C/(S2A+S2B+S2C) …(18)
TA’=S1A’+S2A’ …(19)
TB’=S1B’+S2B’ …(20)
TC’=S1C’+S2C’ …(21)
このようにして、複数のユーザがデジタルサイネージ装置300に接近している場合に、コンテンツ配信装置200がこのデジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツ(広告)を決定する様子を
図15に示す。
【0136】
図15に示す例では、あるデジタルサイネージ装置300におけるコンテンツの再生時間枠として、t1〜t4が例示されており、そのうち、t2の時間枠にユーザA,B,Cの3人が到達する可能性があることが示されている。なお、
図15において各ユーザの到達予想時刻に幅があるのは、到達予想時刻に誤差があることを表している。
【0137】
また、時間枠t1にはデジタルサイネージ装置300に到達するユーザが存在しない。その場合コンテンツ配信装置200は、あらかじめ設定しておいた所定のコンテンツを選択するようにする。
【0138】
時間枠t2に再生するコンテンツを決定する場合、コンテンツ配信装置200は、時間枠t2の時間帯にデジタルサイネージ装置300に到達する可能性があるユーザA,B,Cについて、上述したコンテンツとの適合度合いを示す指標値S’(百分率の相対値)を算出する。
図15には、指標値S’を算出した結果、ユーザAはコンテンツbが100%、ユーザBはコンテンツbが30%、コンテンツcが70%、ユーザCは、コンテンツaが50%、コンテンツcも50%となったことが示されている。
【0139】
そしてコンテンツ配信装置200は、これらの指標値S’の値をコンテンツ毎に合計する。そうすると、コンテンツaは50、コンテンツbは130(100%+30%)、コンテンツcは120(70%+50%)となる。このようにしてコンテンツ配信装置200は、指標値S’の合計値が最大となったコンテンツbを、時間枠t2において再生するコンテンツとして決定することができる。
【0140】
このような態様により、同一時間帯に同一デジタルサイネージ装置300のコンテンツを視聴する複数のユーザに最も適合するコンテンツを再生することが可能となる。
【0141】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態によれば、デジタルサイネージ装置300に適切なタイミングでコンテンツを再生することが可能となる。
【0142】
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0143】
例えば、コンテンツ配信装置200がコンテンツを決定する方法は、上述した式(1)〜(21)の多項式とは異なる多項式を用いた方法とすることもできるし、if〜then形式(例えば、if "ユーザが30代" then "コンテンツa" )のようにルールを複数定めておいて、これらのルールに沿ってコンテンツを決定するようにしてもよい。
【0144】
またコンテンツ配信装置200は、ユーザの状態を表す情報を取得し、ユーザの属性情報に加えて、このユーザの状態を表す情報を加味して到達予想デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツを決定するようにしても良い。
【0145】
例えば情報端末100が歩数計の機能を有している場合には、コンテンツ配信装置200は、この歩数計のデータを、ユーザの状態を表す情報として情報端末100から取得し、この歩数計のデータを加味してデジタルサイネージ装置300に再生させる広告を決定してもよい。
【0146】
またユーザが、情報端末100と連動するウェアラブル端末を携帯している場合には、コンテンツ配信装置200は、このウェアラブル端末によって計測された心拍数や血圧、体温等の生体情報を、ユーザの状態を表す情報として情報端末100を介して取得し、これらのユーザの状態を表す情報を加味して、到達予想デジタルサイネージ装置300に再生させるコンテンツを決定するようにしても良い。
【0147】
あるいは、コンテンツ配信装置200は、情報端末100から取得した現在位置情報を元に算出されるユーザの移動速度からユーザの運動量を推定することで、この運動量をユーザの状態を表す情報として取得し、このユーザの運動量を加味してデジタルサイネージ装置300に再生させる広告を決定してもよい。
【0148】
以上のような態様により、コンテンツ配信装置200は、ユーザの属性のみならず、ユーザの状態に応じた最適なコンテンツを決定することが可能となる。つまり、静的なユーザの属性情報だけでなく、その時々に変化するユーザの動的な状態によって、最適なコンテンツを決定することも可能となる。
【0149】
例えばデジタルサイネージ装置300が飲料の自動販売機に設けられる場合には、ユーザのその時々の状態に応じた最適な飲料の広告をデジタルサイネージ装置300に再生することも可能となる。
【0150】
また、コンテンツ配信装置200は、1台のコンピュータにより構成してもよいし、複数台のコンピュータにより構成してもよい。