特許第6737518号(P6737518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6737518
(24)【登録日】2020年7月20日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】電流プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20200730BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   G01R1/067 C
   G01R1/073 D
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-230535(P2018-230535)
(22)【出願日】2018年12月10日
(65)【公開番号】特開2019-109235(P2019-109235A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2018年12月10日
(31)【優先権主張番号】106144051
(32)【優先日】2017年12月15日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 茂盛
(72)【発明者】
【氏名】陳 鵬飛
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−027788(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204903595(CN,U)
【文献】 特開平06−213927(JP,A)
【文献】 特開2000−260520(JP,A)
【文献】 特開2016−138898(JP,A)
【文献】 特開2012−032162(JP,A)
【文献】 中国実用新案第204882643(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0248659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定することが可能であり、
前記基板に固定するためのものであり、スライド空間を有する導電スリーブと、
前記導電スリーブと電気的に接続する第1電気接続ポートと、
前記スライド空間に配されている少なくとも一つの導電弾性片と、
少なくとも一つのプローブユニットと、
を備え、
前記プローブユニットは、
前記導電スリーブにスライド可能に挿通されており、前記少なくとも一つの導電弾性片と電気的に接続し、前記少なくとも一つの導電弾性片と前記導電スリーブとを介して、前記第1電気接続ポートと電気的に接続する第1針軸と、
前記第1針軸と電気的に接続する第1プローブと、
を備え、
前記少なくとも一つの導電弾性片は二つあり、前記スライド空間は、更に、二つの組付空間を有し、前記二つの組付空間は、前記スライド空間の裏壁面に設けられており、前記二つの導電弾性片は、それぞれ前記二つの組付空間に位置する、電流プローブ。
【請求項2】
更に、第1固定部材を備え、前記導電スリーブは、柱部と、凸縁部と、を備え、前記凸縁部は、前記柱部の径方向に沿って前記柱部から突出し、前記柱部は、前記基板を挿通し、一部が前記基板から突出し、前記凸縁部が前記基板に当接し、前記第1固定部材は、前記柱部を嵌め、前記基板の前記凸縁部から遠く離れた一方の側に当接し、前記スライド空間は前記柱部を貫通する、請求項に記載の電流プローブ。
【請求項3】
更に、第2固定部材を備え、前記第1電気接続ポートは、前記柱部を嵌め、前記第1固定部材に当接し、前記第2固定部材は前記柱部を嵌め、前記第1電気接続ポートは、前記第1固定部材及び前記第2固定部材に挟まれる、請求項に記載の電流プローブ。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプローブユニットは、更に、弾性部材を備え、前記第1針軸は、前記柱部の径方向に沿って突出する突起を有し、前記第1針軸は前記弾性部材を挿通し、前記弾性部材の両端は、前記突起と前記導電スリーブとにそれぞれ押し付ける、請求項2または3に記載の電流プローブ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプローブユニットは、更に、第2針軸と、第2プローブと、を備え、前記第2針軸は、前記第1針軸の中を挿通し、前記第1針軸と電気的に絶縁し、前記第2針軸は、差込ヘッドと、軸本体と、第2電気接続ポートと、を備え、前記差込ヘッドと前記第2電気接続ポートとは、それぞれ前記軸本体の両端と接続し、前記第2プローブは、前記差込ヘッドに差し込まれており、前記差込ヘッドと電気的に接続し、前記第2プローブは、前記軸本体を介して前記第2電気接続ポートと電気的に接続する、請求項1からのいずれか一項に記載の電流プローブ。
【請求項6】
前記少なくとも一つのプローブユニットは、更に、第1絶縁部材を備え、前記第1針軸は、更に、前記導電スリーブの軸方向に沿って貫通する穿孔を有し、前記穿孔は、第1空間部と、第2空間部と、第1止め部と、を備え、前記第1空間部は前記第2空間部と連通し、前記第1止め部は、前記第1空間部と前記第2空間部との間に位置し、前記第1絶縁部材は前記第1空間部内に設けられており、前記差込ヘッドの幅は、前記第1絶縁部材の内径より大きく、前記軸本体は前記第1絶縁部材を挿通し、前記差込ヘッドと前記第1止め部とは、それぞれ前記第1絶縁部材の両側に当接し、前記第1絶縁部材は、前記軸本体及び前記第1針軸に挟まれる、請求項に記載の電流プローブ。
【請求項7】
前記少なくとも一つのプローブユニットは、更に、第2絶縁部材と、固定リングと、を備え、前記穿孔は、更に、第3空間部と、第2止め部と、を備え、前記第3空間部は、前記第2空間部の前記第1空間部から遠く離れた一方の側と連通し、前記第2止め部は、前記第2空間部と前記第3空間部との間に位置し、前記第2絶縁部材は前記第3空間部に設けられており、前記軸本体は、環状溝を備え、前記第2絶縁部材を挿通し、前記固定リングは前記環状溝を係止し、前記固定リングと前記第2止め部とは、それぞれ前記第2絶縁部材の両側に当接し、前記第2絶縁部材は、前記軸本体及び前記第1針軸に挟まれる、請求項に記載の電流プローブ。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプローブユニットは、更に、止めリングを備え、前記差込ヘッドは、複数のグルービングと、プローブスロットと、を備え、これらの前記複数のグルービングは、前記プローブスロットを囲み、前記差込ヘッドを複数の挟み片に分け、前記止めリングはこれらの前記複数の挟み片を係止し、前記第2プローブは前記プローブスロットに差し込まれている、請求項に記載の電流プローブ。
【請求項9】
前記少なくとも一つのプローブユニットは複数個ある、請求項1からのいずれか一項に記載の電流プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流プローブに関し、特に、導電スリーブを備える電流プローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
目下、電気抵抗値または電圧値などの電気的特性を測定するための機器(特に、大電流(例えば数十アンペアから数百アンペア)を利用する測定機器)は、開発されて市販している。製品を販売する前に、メーカーは、測定機器を利用して、複数のプローブセットに対して多点の電気的テストを行うことにより、製品の良品率及び信頼度を確認する。一般的には、測定機器のプローブセットは、板に固定されており、駆動端と、センシング端と、を備え、駆動端及びセンシング端がそれぞれ電線と接続する。プローブセットが測定対象物に接触したと、大電流が駆動端を経由して測定対象物に流して、センシング端により、この測定対象物を流す電流をリターンする。これにより、この測定対象物の電気的特性をテストする。
【0003】
駆動端と接続する電線は大電流を出力する箇所なため、電線が太い。これにより、複数のプローブセットを有する測定装置の配線は混雑なため、プローブセットが測定対象物に接触してスライドするときに、測定装置内に位置する電線が一緒に移動して、電線同士が互いに摩擦し、又は複数の電線が測定装置の構造と摩擦して破損することにより、電流が短絡状態になって測定装置が無効となる。一方、測定装置の内部空間に太い電線が複数本配されているため、大電流が電線を流すときに発生する熱は放熱しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、測定装置内の電線が混雑ではないため、電線が摩擦されて破損することは発生せず、放熱がされやすくなる電流プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電流プローブによると、基板に固定することが可能であり、基板に固定するためのものであり、スライド空間を有する導電スリーブと、導電スリーブと電気的に接続する第1電気接続ポートと、スライド空間に配されている少なくとも一つの導電弾性片と、少なくとも一つのプローブユニットと、を備え、プローブユニットは、導電スリーブにスライド可能に挿通されており、少なくとも一つの導電弾性片と電気的に接続し、少なくとも一つの導電弾性片と導電スリーブとを介して、第1電気接続ポートと電気的に接続する第1針軸と、第1針軸と電気的に接続する第1プローブと、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つの導電弾性片は二つあり、スライド空間は、更に、二つの組付空間を有し、二つの組付空間は、スライド空間の裏壁面に設けられており、二つの導電弾性片は、それぞれ二つの組付空間に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明の電流プローブによると、更に、第1固定部材を備え、導電スリーブは、柱部と、凸縁部と、を備え、凸縁部は、柱部の径方向に沿って柱部から突出し、柱部は、基板を挿通し、一部が基板から突出し、凸縁部が基板に当接し、第1固定部材は、柱部を嵌め、基板の凸縁部から遠く離れた一方の側に当接し、スライド空間は柱部を貫通することを特徴とする。
【0008】
本発明の電流プローブによると、更に、第2固定部材を備え、第1電気接続ポートは、柱部を嵌め、第1固定部材に当接し、第2固定部材は柱部を嵌め、第1電気接続ポートは、第1固定部材及び第2固定部材に挟まれることを特徴とする。
【0009】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つのプローブユニットは、更に、弾性部材を備え、第1針軸は、柱部の径方向に沿って突出する突起を有し、第1針軸は弾性部材を挿通し、弾性部材の両端は、突起と導電スリーブとにそれぞれ押し付けることを特徴とする。
【0010】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つのプローブユニットは、更に、第2針軸と、第2プローブと、を備え、第2針軸は、第1針軸を挿通し、第1針軸と電気的に絶縁し、第2針軸は、差込ヘッドと、軸本体と、第2電気接続ポートと、を備え、差込ヘッドと第2電気接続ポートとは、それぞれ軸本体の両端と接続し、第2プローブは、差込ヘッドに差し込まれており、差込ヘッドと電気的に接続し、第2プローブは、軸本体を介して第2電気接続ポートと電気的に接続することを特徴とする。
【0011】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つのプローブユニットは、更に、第1絶縁部材を備え、第1針軸は、更に、導電スリーブの軸方向に沿って貫通する穿孔を有し、穿孔は、第1空間部と、第2空間部と、第1止め部と、を備え、第1空間部は第2空間部と連通し、第1止め部は、第1空間部と第2空間部との間に位置し、第1絶縁部材は第1空間部内に設けられており、差込ヘッドの幅は、第1絶縁部材の内径より大きく、軸本体は第1絶縁部材を挿通し、差込ヘッドと第1止め部とは、それぞれ第1絶縁部材の両側に当接し、第1絶縁部材は、軸本体及び第1針軸に挟まれることを特徴とする。
【0012】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つのプローブユニットは、更に、第2絶縁部材と、固定リングと、を備え、穿孔は、更に、第3空間部と、第2止め部と、を備え、第3空間部は、第2空間部の第1空間部から遠く離れた一方の側と連通し、第2止め部は、第2空間部と第3空間部との間に位置し、第2絶縁部材は第3空間部に設けられており、軸本体は、環状溝を備え、第2絶縁部材を挿通し、固定リングは環状溝を係止し、固定リングと第2止め部とは、それぞれ第2絶縁部材の両側に当接し、第2絶縁部材は、軸本体及び第1針軸に挟まれることを特徴とする。
【0013】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つのプローブユニットは、更に、止めリングを備え、差込ヘッドは、複数のグルービングと、プローブスロットと、を備え、これらの複数のグルービングは、プローブスロットを囲み、差込ヘッドを複数の挟み片に分け、止めリングはこれらの複数の挟み片を係止し、第2プローブはプローブスロットに差し込まれていることを特徴とする。
【0014】
本発明の電流プローブによると、少なくとも一つのプローブユニットは複数個あることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電流プローブによれば、次のような効果がある。
【0016】
(1)基板に固定されている導電スリーブと導電スリーブに固定されている第1電気接続ポートとによって、従来のプローブセットにおける、プローブセットの移動と共に移動する大電流を流すことが可能な電線を取り替えることにより、電流プローブがスライドするが、導電スリーブと第1電気接続ポートとが移動しないため、電流プローブを有する測定装置の内部の電線が摩擦する確率を減少することが可能である。
【0017】
(2)大電流を流すための電線が取り替わられたため、電流プローブを有する測定装置の内部の空間が広くなり、電流プローブを有する測定装置の放熱能力が増加する。
【0018】
(3)二つの導電弾性片の環状を呈する細かい金属構造と第1針軸の多点接触により、導電スリーブと第1針軸との間のクロス電圧を大幅に減少することが可能であり、導電スリーブから第1針軸に流す大電流の流しは順調となる。
【0019】
(4)測定装置に電流プローブを組付ける過程中には、導電スリーブ、第1電気接続ポート及びプローブユニットを、それぞれ予めに組み立てて、測定装置に組付けるため、測定装置に電流プローブを組付ける作業の便利性は大幅に増加する。
【0020】
(5)第2電気接続ポートにバインディングポストを差し込むことにより、第2針軸と電線の連接箇所の面積が増大するため、第2電気接続ポート653に電線を安定的に固定することが可能である。また、プローブユニットを取り換える過程中には、電線と第2プローブを分離するだけで、プローブユニットを交換することが可能なため、プローブユニットの交換作業は便利となる。また、第2プローブだけを交換することが必要な場合には、プローブスロットから第2プローブを直接に引き出すだけで、交換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1に係る複数の電流プローブが基板に組み付けられている状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る電流プローブを示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る電流プローブを示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る電流プローブの一部を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る電流プローブの組合済み状態を示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る電流プローブにおける複数のプローブユニットが導電スリーブを挿通した状態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る電流プローブにおける複数のプローブユニットが導電スリーブを挿通した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1を参照する。図1は本発明の実施の形態1に係る複数の電流プローブが基板に組付けられている状態を示す斜視図である。
【0024】
本実施の形態に係る電流プローブ10は、基板11に固定することが可能である。基板11は、例えば測定装置に組付けられており、絶縁体である。基板11には、図1に示すように、複数の電流プローブ10が設けられていることが一般的である。これにより、測定対象物に対して多点の測定を行うことが可能である。電流プローブ10は、例えば大電流 (例えば数十アンペアから数百アンペア)により、測定対象物の電気的特性を測定する。電気的特性は、例えば電気抵抗値または電圧値などの特性である。以下、電流プローブ10のうちの一つを例にして説明する。
【0025】
図2から図5を参照する。図2は、図1における電流プローブのうちの一つを示す斜視図である。図3図2の分解斜視図である。図4図3の一部を示す分解斜視図である。図5図2の断面図である。
【0026】
電流プローブ10は、導電スリーブ100と、第1固定部材200と、第1電気接続ポート300と、第2固定部材400と、二つの導電弾性片500と、プローブユニット600と、を備える。
【0027】
導電スリーブ100は、柱部110と、凸縁部120と、を備える。凸縁部120は、柱部110の径方向に沿って柱部110から突出する。柱部110は、基板11を挿通し、一部が基板11から突出する。これにより、凸縁部120は基板11に当接する。第1固定部材200は、柱部110を嵌め、基板11の凸縁部120から遠く離れた一方の側に当接することにより、導電スリーブ100を基板11に固定することが可能である。第1電気接続ポート300は、柱部110を嵌め、第1固定部材200に当接することにより、第1電気接続ポート300が導電スリーブ100と電気的に接続する。第2固定部材400は柱部110を嵌めることにより、第1電気接続ポート300が第1固定部材200及び第2固定部材400に挟まれる。
【0028】
導電スリーブ100の柱部110は、スライド空間111を備える。スライド空間111は、導電スリーブ100の軸方向に沿って導電スリーブ100を貫通し、二つの組付空間111aを備える。二つの組付空間111aは、スライド空間111の裏壁面111bから凹んで形成される。二つの導電弾性片500は、それぞれ二つの組付空間111a内に設けられている。導電弾性片500は、例えば両側がより広くて中央がより狭い締付スリーブであり、その中央部は、複数本の細かい金属構造をフェンスのように形成して構成される。
【0029】
プローブユニット600は、図2から図5に示すように、第1針軸610と、弾性部材620と、第1絶縁部材630と、第2絶縁部材640と、第2針軸650と、固定リング660と、止めリング670と、第1プローブ680と、第2プローブ690と、を備える。
【0030】
第1針軸610は、柱部110の径方向に沿って突出する突起611を備える。第1針軸610は、弾性部材620を挿通し、柱部110のスライド空間111をスライド可能に挿通する。これにより、弾性部材620の両端は、それぞれ突起611及び導電スリーブ100に当接し、二つの導電弾性片500は、第1針軸610を挟み、第1針軸610と電気的に接触する。第1針軸610は、第1針軸610と二つの導電弾性片500との間の電気的な接触を介して、導電スリーブ100と電気的に接続する。
【0031】
第1針軸610は、更に、柱部110の軸方向に沿って柱部110を貫通する穿孔612を備える。穿孔612は、第1空間部612aと、第2空間部612bと、第3空間部612cと、第1止め部612dと、第2止め部612eと、を備える。第1空間部612aと第3空間部612cとは、それぞれ第2空間部612bの両端と連接し、第2空間部612bと連通する。第1止め部612dは、第1空間部612aと第2空間部612bとの間に位置する。第2止め部612eは、第2空間部612bと第3空間部612cとの間に位置する。第1絶縁部材630と第2絶縁部材640とは、それぞれ第1空間部612a及び第3空間部612cに設けられている。
【0032】
第2針軸650は、差込ヘッド651と、軸本体652と、第2電気接続ポート653と、を備える。差込ヘッド651と第2電気接続ポート653とは、それぞれ軸本体652の両端と連接する。差込ヘッド651の幅D1は、第1絶縁部材630の内径R1より大きい。軸本体652は第1絶縁部材630を挿通する。これにより、差込ヘッド651と第1止め部612dとは、それぞれ第1絶縁部材630の両側に当接し、第1絶縁部材630が軸本体652及び第1針軸610に挟まれる。軸本体652は環状溝652aを備える。軸本体652は第2絶縁部材640を挿通する。固定リング660は環状溝652aを係止することにより、固定リング660と第2止め部612eとは、それぞれ第2絶縁部材640の両側に当接し、第2絶縁部材640が軸本体652及び第1針軸610に挟まれる。
【0033】
本実施の形態では、第2針軸650は、第1絶縁部材630及び第2絶縁部材640を介して、第1針軸610と電気的に絶縁する。これにより、電流は、第2針軸650を流すときに、第1針軸610に流すことによる測定の誤差を無くすことを確保することが可能である。一方、第2電気接続ポート653は、例えば外径が4mmで内径が2mmである溝構造なため、バインディングポストを、2mmの溝に差し込み、又は4mmの外縁に直接に嵌めることが可能である。これにより、第2針軸650と電線の連接箇所の面積が増大し、第2電気接続ポート653に電線を安定的に固定することが可能である。
【0034】
第2針軸650の差込ヘッド651は、四つのグルービング651aと、プローブスロット651bと、を備える。四つのグルービング651aは、プローブスロット651bを囲み、差込ヘッド651を四つの挟み片651cに分ける。各挟み片651cは溝6511cを備える。止めリング670は、各挟み片651cの溝6511cを係止する。第1プローブ680は、第1針軸610の突起611に近接する一端に設けられており、第1針軸610と電気的に接続する。本実施の形態では、第2プローブ690は、例えば11番のプローブであり、プローブスロット651bに差し込まれる。これにより、第2プローブ690は、プローブスロット651b内に固定されており、第2電気接続ポート653と電気的に接続する。第1プローブ680は複数の導電端子681を有する。これらの導電端子681は第2プローブ690を囲む。
【0035】
本実施の形態では、四つのグルービング651aにより、第2針軸650の差込ヘッド651が四つの挟み片651cに分けられるが、本発明はこれらに限定されない。もちろん、グルービングの数量を増減してもよい。これにより、挟み片の数量を調整することが可能である。例えば、グルービングが二つある場合には、差込ヘッドを二つの挟み片に分けることができる。
【0036】
一方、止めリング670は各挟み片651cの溝6511cを係止するが、本発明はこれらに限定されない。もちろん、各挟み片の表面に溝が設けられておらず、止めリングが四つの挟み片を直接に締めてもよい。
【0037】
また、第2プローブ690の固定は、止めリング670を介して四つの挟み片651cを締めることによって達成するが、本発明はこれらに限定されない。もちろん、止めリングを設けず、四つの挟み片により、第2プローブを挟む力を提供してもよい。
【0038】
本実施の形態に係る電流プローブ10において、大電流(例えば120アンペア)は、第1電気接続ポート300を経由して、第1電気接続ポート300と接続する導電スリーブ100に流して、二つの導電弾性片500が第1針軸610と電気的に接触するため、第1針軸610に設けられている第1プローブ680に伝導される。第1プローブ680を測定対象物に接触することにより、大電流は、測定対象物に流した後、第2プローブ690から第2電気接続ポート653に伝導して、電流プローブ10を有する装置がリターンする電流を接収して分析すると、測定対象物の電気的特性を知ることが可能である。
【0039】
上記の大電流を流す過程中に、大電流は、導電スリーブ100から第1針軸610に流して、二つの導電弾性片500の環状を呈する細い金属構造と第1針軸610の多点接触により、導電スリーブ100と第1針軸610との間のクロス電圧が大幅に減少されて、大電流が導電スリーブ100から第1針軸610に流す。一方、本実施の形態では、導電弾性片500が二つあるが、本発明はこれらに限定されない。もちろん、導電弾性片は、流す大電流のアンペア数によって数量を調整してもよい。すなわち、導電弾性片の数量は、耐えられる電流に正比例する。
【0040】
本実施の形態に係る電流プローブ10を測定装置に組付ける過程中には、導電スリーブ100、第1電気接続ポート300及びプローブユニット600を、それぞれ予めに組み立てて、測定装置に組付けてもよい。詳細的には、導電スリーブ100と第1電気接続ポート300とを、測定装置に組付けられている基板11に取り付けて、組み立てられたプローブユニット600を導電スリーブ100に直接に組付けてもよい。これにより、測定装置に電流プローブ10を組付けるときには、電流プローブ10全体を組み立てて測定装置に取り付けることが必要なくなるため、電流プローブ10の組付作業の便利性が増加する。
【0041】
一方、プローブユニット600を取り換える過程中に、電流プローブ10は、第2電気接続ポート653がバインディングポストだけを介して電線と接続し、プローブユニット600から電線を分離するだけで、プローブユニット600からバインディングポストを抜き出すことが可能なため、従来のプローブセットの電線がプローブセットに溶接された設計に比べて、プローブユニットの取り換えは便利となる。また、第2プローブ690だけを交換する場合には、プローブスロット651bから第2プローブ690を引き出すだけで、取り換えることが可能である。
【0042】
上記の実施の形態に係る電流プローブ10において、プローブユニット600は導電スリーブ100を挿通するが、本発明はこれらに限定されない。図6及び図7を参照する。図6は、本発明の実施の形態2に係る電流プローブにおける複数のプローブユニットが導電スリーブを挿通した状態を示す斜視図である。図6に示すように、導電スリーブ700に複数のプローブユニット800が挿通されており、これらのプローブユニット800は鉛直姿勢で配列されている。図7は、本発明の実施の形態3に係る電流プローブにおける複数のプローブユニットが導電スリーブを挿通した状態を示す斜視図である。図7に示すように、導電スリーブ900に複数のプローブユニット950が挿通されており、これらのプローブユニット950は環状に配列されている。
【0043】
上記の実施の形態に係る電流プローブによれば、基板に固定されている導電スリーブと導電スリーブに固定されている第1電気接続ポートとにより、従来のプローブセットにおける、プローブセットの移動と共に移動する大電流を流し可能な電線を取り替わることにより、電流プローブがスライドするが、導電スリーブと第1電気接続ポートとが移動しないため、電流プローブを有する測定装置の内部の電線が摩擦する確率を減少することが可能である。
【0044】
一方、大電流を流すための電線が取り替わられたため、電流プローブを有する測定装置の内部の空間が広くなり、電流プローブを有する測定装置の放熱能力が増加する。
【0045】
一方、二つの導電弾性片の環状を呈する細かい金属構造と第1針軸の多点接触により、導電スリーブと第1針軸との間のクロス電圧を大幅に減少することが可能であり、導電スリーブから第1針軸に流す大電流の流しは順調となる。
【0046】
また、測定装置に電流プローブを組付ける過程中には、導電スリーブ、第1電気接続ポート及びプローブユニットを、それぞれ予めに組み立てて、測定装置に組付けるため、測定装置に電流プローブを組付ける作業の便利性は大幅に増加する。
【0047】
第2電気接続ポートにバインディングポストを差し込むことにより、第2針軸と電線の連接箇所の面積が増大するため、第2電気接続ポート653に電線を安定的に固定することが可能である。一方、プローブユニットを取り換える過程中には、電線と第2プローブを分離するだけで、プローブユニットを交換することが可能なため、プローブユニットの交換作業は便利となる。また、第2プローブだけを交換することが必要な場合には、プローブスロットから第2プローブを直接に引き出すだけで、交換することが可能である。
【0048】
このように、本発明の特定の例を参照して説明したが、それらの例は、説明のためだけのものであり、本発明を限定するものではなく、この分野に通常の知識を有する者には、本発明の要旨および特許請求の範囲を逸脱することなく、ここで開示された実施例に変更、追加、または、削除を施してもよいことがわかる。
【符号の説明】
【0049】
10 電流プローブ
11 基板
100,700,900 導電スリーブ
110 柱部
111 スライド空間
111a 組付空間
111b 裏壁面
120 凸縁部
200 第1固定部材
300 第1電気接続ポート
400 第2固定部材
500 導電弾性片
600,800,950 プローブユニット
610 第1針軸
611 突起
612 穿孔
612a 第1空間部
612b 第2空間部
612c 第3空間部
612d 第1止め部
612e 第2止め部
620 弾性部材
630 第1絶縁部材
640 第2絶縁部材
650 第2針軸
651 差込ヘッド
651a グルービング
651b プローブスロット
651c 挟み片
6511c 溝
652 軸本体
652a 環状溝
653 第2電気接続ポート
660 固定リング
670 止めリング
680 第1プローブ
681 導電端子
690 第2プローブ
D1 幅
R1 内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7