(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二の軸受要素(20)が、前記ローター(13)を回転のために駆動するため、及び/又は前記第二の軸受要素(20)が前記ローター(13)に半径方向に移動するため、及び/又は前記ローター(13)用支承を形成するために形成されている、
ことを特徴とする、
請求項6に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、冒頭に挙げたような方法を改善すること、特に複雑に成形されたローターを高信頼及び/又は高精度に、特に自動的にバランス調整を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1に記載された方法によって、特に、レーザーの場合、粗調整及び精密調整が実行されることによって解決され、ここで、粗調整は、材料除去のために設けられているローター表面部分への光線の調整を含み、その粗調整は、ローターに対して相対的に並進移動する少なくとも1つの第一の鏡によって実行され、且つ精密調整では、光線の調整が粗調整を前提として変化することによって、表面部分のエリア内で目的に適った材料除去に影響を与える。
【0005】
これによって、ローターの様々な箇所にレーザー光線を確実に当てることができる。これにより、したがって、特に、ローターのダイナミックアンバランスも効果的に低減することが可能であるように、様々な箇所を選択することができるため、総じて高い釣合い良さ等級が達成される。
【0006】
材料除去が行われている、ローターの軸方向エリアは、バランス調整面ともいう。本発明により、レーザーを使用して、様々なバランス調整面を制御及び加工することができる。
【0007】
一般に、「アンバランス」という概念は、ローター回転時に、回転軸の周囲に非対称的に分布するローター質量の遠心力によって作用する力の合計を表す。これらの力は、本発明により、ローター材料の目的に適った局所除去によって低減される。これによって、アンバランスをつくり出す不均一なローター質量分布が最小限に抑えられる。
【0008】
ここで「並進(または直進、独語:translatorisch)」という概念は、少なくとも1つの並進(直進)移動成分を必要とする。例えば、鏡の傾斜も、特に鏡本体の外側の軸の周囲で、並進(直進)成分を示し得る。鏡は、併進(直進)後、ローターに対して相対的な別の場所に存在する。これによって、様々なバランス調整面に確実に到達することができる。追加的に、第一の鏡は必要であれば、例えば、回転移動可能なように配置し、−必要に応じて−適切に移動することができる。
【0009】
レーザーによる材料除去は、レーザー剥離ともいう。その場合、ローターの材料、特にその金属の材料は、非常に激しく加熱されることによって、気化及び/又は昇華を伴う溶鋳ばり(Schmelzaustrieb)が発生する。
【0010】
精密且つ効果的にバランス調整されたローターは、例えば、様々な回転数でのバランス調整によって、したがって様々な回転数でのアンバランスの算出とアンバランスを低減するためのそれぞれその後に続く材料除去によって到達することができる。
【0011】
レーザーは、特にナノ秒範囲でのパルス時間によって、特にピコ秒範囲まで、パルス制御により作動できることが好ましい。レーザーは、例えば、ファイバーレーザー、ダイオードレーザー、固体レーザー、又はガスレーザーとして形成され得る。光線出力は10〜800Wの範囲内にあり得ることが好ましく、且つ/又はレーザーのパルス周波数若しくは繰返し率は500Hz〜メガヘルツの範囲内にあり得ることが好ましい。
【0012】
第一の鏡は、例えば、特にそれ自体の軸の周囲を旋回することができ、これを以下では回転ともいい、又は第一の鏡の本体外側の軸の周囲を旋回することができる。
【0013】
第一の鏡の代わりに、材料除去箇所に応じて、例えば、光線が選択的に第一の鏡システムの鏡のうちの1つに向くことによって選択される、1つ又は複数の鏡、特に位置固定式の1つ又は複数の鏡から成る第一の鏡システムを備えることも可能である。これは例えば、少なくとも1つの第二の鏡、特に1つの第三鏡と組み合わせた少なくとも1つの第二の鏡、特に精密調整用に備えられた少なくとも1つの第二の鏡によって実現可能である。この場合は、したがって、精密調整手段が粗調整に加わることになる。これによって、粗調整は、いずれにせよ、方法実行のためのシステム内に備えられているこの種の手段によってサポートされ、それによりシステムはより簡単且つ低費用で実行することが可能となる。
【0014】
例えば、第二の鏡及び第三鏡として、2つのいわゆるガルボミラーを取り付けることもできる。或いは、又は追加的に、レーザー及び/又はレーザー用光学ユニット、したがって、レーザー光線を屈折させ、且つ/又は調整するユニットを、第一の鏡又は第一の鏡システムに対して相対的に並進移動することによって、レーザーを第一の鏡又は第一の鏡システムに向けることができる。
【0015】
一変形形態では、第一の鏡をレーザー及び/又はレーザー用光学ユニットと接続することによって、粗調整時に第一の鏡をレーザー又はレーザー用光学ユニットと共に並進移動することが想定されている。それにより、第一の鏡及びレーザー又はレーザー用光学ユニットは、移動ユニットとして、特に共通の軸上に取り付けることが有利である。このほか、このようにしてレーザー又は光学ユニットに対する第一の鏡の相対位置は高信頼に維持され、これは精密な材料除去に寄与する。第一の鏡は、その場合、例えば、レーザー又はレーザー用光学ユニットに対して相対的に移動、傾斜又は回転することができる。これによって、ローターの極めて様々な箇所に高信頼且つ精密に到達することができる。
【0016】
精密調整は、特に少なくとも1つの第二の鏡と、特に少なくとも1つの第三鏡を使用して、特に1つ又は複数のガルボミラーを使用して実行することができる。例えば、2つの可動式の鏡、特に2つの可動式の回転可能な鏡、特にガルボミラーを使用して、レーザー光線を2つの次元又は平面で調整する、いわゆるスキャナーが取り付けられていることがある。スキャナーによって、レーザー光線は目的どおりに且つ精密に−連続して、又は断続的に−表面部分上でハッチングを施して屈折させることができる。したがって、これには次第にレーザー光線が当てられる。
【0017】
スキャナーは、例えば、レンズを、特に光路内のスキャナーの鏡の後ろ側に備えることができる。この方法は、例えば、光源とワークピース、したがってローターとの間に相対的に大きな間隔を許容するリモートレーザーテクノロジーを使用して実行することができる。これによって、レーザー光線による様々なバランス調整面の到達が著しく容易になる。
【0018】
材料除去は粗調整後にのみ実行できることが有利である。粗調整及び精密調整は、例えば、様々な時間でも実行することができる。
【0019】
或る実施形態では、粗調整時、ローターが回転することによって、材料除去のために設けられた表面部分を鏡に向ける。これによって、第一の鏡に対して簡単な、特に2次元のキネマティックシステムを備え得ることができる。その場合、粗調整は、少なくとも1つの次元で、例えば、いずれにせよアンバランスの算出時にローター回転用に設けられている装置によって実行することができる。
【0020】
光線は、特に粗調整によって、材料除去のために設けられた表面部分が少なくとも主として光線の焦点面にくるように位置を調整できるようになることが有利である。
【0021】
材料除去は、例えば、主として大気圧で行うことができる。これによって、本発明による方法のための簡単な装置を、詳しくは、レーザーユニットを真空エリアに取り付ける必要無しに、使用することができる。このほか、これによって、除去された材料の排出も簡単になる。主として大気圧での材料除去によって、本発明の基礎にある課題に対する下記の解決策においても、それぞれの方法が容易になる。
【0022】
本発明の課題は、請求項7に記載された方法によっても、特にローターの材料除去のために、アンバランス算出時に設定された回転数より著しく低い回転数にすることによっても解決され、特にここでは、ローターは材料除去のために静止時にオフセットされる、すなわち、回転数がゼロである。
【0023】
これによって、高精度の材料除去を達成でき、それによって、ローターの極めて高い釣合い良さ等級が達成され得、それによって、長寿命の真空ポンプも可能になる。また、静止時又は低回転数時、除去された材料を簡単に、且つ特に目的どおりに、材料除去エリアから排出できることによって、ローターのアンバランスに影響するであろう、除去された材料の望ましくない堆積を効果的に防止する。これに対して、特にバランス調整スピード時には、高速で回転するローターから除去された材料が加工室内で無指向的に配分されることが示された。その場合、ローター及び加工室の後続の洗浄は、極めて高コストとなる。本発明により、その費用を効果的に削減することができる。
【0024】
この利点は、例えば、ローターの単に低速な回転によっても達成可能である。このほか、ローター円周方向への大きな延出を示す、比較的大面積の表面部分を除去するために、この種のローターは、有利に取り付けることができる。これによって、やはり、この部分は連続して加工することができ、それによって、急速方法時でも高精度加工が可能になる。
【0025】
一変形形態では、ローターの少なくとも2つの回転数でアンバランスが算出されることが想定されており、その場合、回転数に関する低減すべきアンバランスの各算出後、ローターは著しく低い回転数にされ、特に静止時にはオフセットされて、材料がローターから除去される。これによって、精密加工が可能となり、最終的に特に高い釣合い良さ等級が達成される。
【0026】
本発明の課題は、請求項9に記載の方法によって、特に、アンバランスの算出時にローターが支持される、少なくとも1つの第一の軸受要素が備えられていることによっても解決され、その場合、ローターからの材料除去のための第一の軸受要素が取り外され、且つ少なくとも1つの第二の軸受要素が材料除去のために、ローターにその支持のために取り付けられる。
【0027】
したがって、ローターの第一の軸受要素エリアにレーザー光線をうまく当てることができる。こうして、材料除去のために設けられた表面部分は、第一の軸受要素から解放される。これによって、材料除去のために設けられた表面部分及びバランス調整面に関して特にフレキシブルな選択が可能になる。結果として、これによって、釣合い良さ等級をはるかに向上させることができる。このほか、今度は特に第一の軸受要素と共に相互に作用する、ローター側軸受要素もレーザーによって加工することができる。例えば、第一の軸受要素とそれと共に相互に作用する軸受要素が磁気リングと共に磁気軸受を形成することができ、その際、特に第一の軸受要素の取外し後にローター側磁気軸受要素をレーザーによって加工することができ、特にその磁気特性の目的に適った影響のために局部的に加熱することができる。
【0028】
一変形形態では、ローターを回転のために駆動するために、第二の軸受要素が形成される。例えば、そのために、第二の軸受要素は、被駆動摩擦車を備えることができる。或いは、例えば、駆動装置には、連動、磁気、油圧及び/又は空圧による力の伝達装置が設けられていてもよい。例えば、ステップモーター又はサーボモーターを設けることができる。したがって、第二の軸受要素を介して、ローターは簡単に材料除去のために回転位置を調整することができる。
【0029】
第二の軸受要素は、ローターに半径方向に接近できることが有利であり、それは簡単に実行できる。第二の軸受要素は、例えば、ローター支承を形成することができ、特に、ローターがそれらの間に載る、2つの軸受リング又は軸受ホイールから形成することができる。その場合、ローターは、単純に第二の軸受要素上に載り、それによってその要素は単純に接続可能である。しかし材料除去時の比較的低い回転数により、その場合、ローターが支承によって持ち上げられるか、又は上記以外の方法で所望されずに傾斜することは期待されない。
【0030】
特にターボ分子ポンプとして形成された真空ポンプの場合、第二の軸受要素がターボ分子ポンプの2つのローターディスク間に配置されている場合、その方法は有利且つ単純に実行可能である。
【0031】
本発明の課題は、請求項11に記載の方法によっても、特にレーザーによって除去された材料が通風を使用して、材料除去エリアから排出されることによっても解決される。
【0032】
これによって、除去された材料を高効率且つ高信頼に排出することができる。したがって、除去された材料がすぐに除去箇所の近辺で再び堆積するか、又は粉塵として堆積することを効果的に防止するか、又は少なくとも低減することができる。
【0033】
或る実施形態では、通風がレーザー光線を横切って流れる。これによって、除去された材料は除去箇所から直ちに排出される。
【0034】
通風は、有効な給気装置及び/又は吸引装置によって生成することができることが有利である。
【0035】
全く一般的に、除去された材料を排出するか、又は少なくとも特定のエリアから隔離するために、空気流を利用できることは有利である。こうして、例えば、レーザー光線の屈折又は調整のために設けられている鏡に関しては、鏡を除去された材料から防護するか、又は鏡を通風により清掃するために、特に断続的な通風を備えることができる。
【0036】
本発明の課題は、請求項14に記載された方法によっても、特に、レーザー光線の距離が計測され、且つ計測された距離に応じて光線の位置が調整されることによっても解決される。
【0037】
これによって、レーザーは、特に、特別に精密な材料除去を達成するために、目的どおりに位置を調整することかできる。距離の長さ測定によって、特にレーザーの焦点面を、除去すべき表面部分に対して精密に、又はその表面との特定の間隔に合わせて目的どおりに調整することができる。
【0038】
或る実施形態によれば、光学的距離計測装置が設けられており、その場合、距離計測装置及び/又は距離計測装置用光学ユニットが、光線の距離計測のために、その経路内に取り付けられる。これによって、光学的距離計測装置の計測用光線は主として、計測すべきレーザー光線と同じ距離だけ進むため、光線距離の正確な特定が可能になる。
【0039】
或いは、又は光学的距離計測に追加して、音響計測を予定することができる。音響による方法の例として、レーザー剥離の場合、音響放射をレーザー焦点の方法によって加工面に対して相対的に計測することができ、その際、焦点を加工すべき面上に正確に位置するように合わせて、最大音響放射が決定される。音響録音は、例えば、マイクロフォンを使用して行うことができ、且つ/又は例えば、FFT解析を含めることができる。或いは、同様の方法で、材料除去時、特にプラズマ生成時に発生する光線も評価することができ、したがって、最大光線時でも、焦点が加工面に正確に合うように決定することができる。
【0040】
レーザー及び/又はレーザー用光学ユニット用に、並進キネマティックシステムが設けられ、且つ距離計測装置及び/又は距離計測装置用光学ユニットがレーザー及び/又はレーザー用光学ユニットと接続されていることによって、それらが移動ユニットを形成している場合、とりわけ簡単に方法を実現することができる。その場合、距離計測装置又は距離計測装置用光学ユニットは、例えば、移動ユニットが、特に粗調整のために設けられた鏡に対して相対的に移動することによって、光線の経路内に取り付けられる。
【0041】
特にレーザー光線用の粗調整と精密調整を組み合わせて、光学的距離計測装置及び/又は距離計測装置用光学ユニットを、粗調整のために設けられた第一の鏡に対して相対的に移動することが可能である。特に、移動ユニットは、第一の鏡に対して相対的に移動可能である。
【0042】
前述の方法とそれらの実施形態を、本明細書の残りの部分に記載された方法及び実施形態の意味で発展させることができることは有利である。それらの方法及び実施形態を、特に本明細書に記載されたその他の方法の各特徴によっても発展させることができることは有利である。こうして、粗調整及び精密調整を実行しなくても、例えば、大気圧でも通風を使用した材料排出が実行可能である。
【0043】
以下に、本発明を例示的に有利な実施形態によって、添付の図と関連させて記載する。図は、それぞれ概略的に示される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に示すターボ分子ポンプ111は、吸入フランジ113によって囲まれているポンプ吸入口115を備えており、そこに図示されていないレシーバーを周知の方法で接続することができる。レシーバーから出たガスは、レシーバーからポンプ吸入口115を経由して吸い込まれ、ポンプを貫通して、ポンプ吐出口117に移送され得、そこにはロータリースライドバルブポンプ等のプレ真空ポンプが接続されていることがある。
【0046】
図1による真空ポンプの調整では、吸入フランジ113は真空ポンプ111のハウジング119上端を形成している。ハウジング119は、下部121を含み、その側部には電子機器ハウジング123が配置されている。電子機器ハウジング123内には、例えば、真空ポンプ内に配置された電動モーター125の駆動のために、真空ポンプ111の電気部品及び/又は電子部品が収納されている。電子機器ハウジング123には、付属品用の複数の接続部127が設けられている。このほか、例えば、RS485規格(RS485−Standard)によるデータインターフェース129、及び電源接続部131が電子機器ハウジング123に配置されている。
【0047】
ターボ分子ポンプ111のハウジング119には、特に充填弁(独語:Flutventil)の形状の充填吸入口(独語:Fluteinlass)133が設けられ、そこを通じて真空ポンプ111に注水することができる。下部121のエリアには更に、洗浄ガス接続部ともいうパージガス接続部135が配置され、その接続部を通じて電動モーター125の保護のために洗浄ガスを、電動モーター125が真空ポンプ111に収納されているモーター室137内で、ポンプによって移送されるガスの上流側に導くことができる。下部121には更に、冷却液接続部139が2箇所配置され、一方の冷却液接続部は冷却液の吸入口として、もう一方の冷却液接続部は冷却液の吐出口として設けられて、冷却のために冷却液を真空ポンプに誘導することができる。
【0048】
真空ポンプの下側141は起立面(独語:Standflaeche)として使用できるため、真空ポンプ111は、下側141を下にした定置状態で作動することができる。しかし、真空ポンプ111は、吸入フランジ113を経由してもレシーバーに固定でき、そのため、いわば吊下げた状態で作動することができる。このほか、真空ポンプ111は、
図1で示された方法とは別の方法で調整されている場合でも作動可能なように設置できる。下側141を下に向けず、横に倒すか、又は上に向けて配置され得る場合でも、真空ポンプの実施形態は実現可能である。
【0049】
図2で示されている下側141には、数本のネジ143が配置され、それらを使用して本明細書に更に明記されていない構成部品が真空ポンプに相互に接合されている。例えば、軸受キャップ145が下側141に固定されている。
【0050】
下側141にはこのほか、固定用穴147が配置され、それによりポンプ111を、例えば、取付面に固定できる。
【0051】
図2〜
図5では冷却液管148が示されており、冷却液接続部139を経由して流入及び流出した冷却液が循環できる。
【0052】
図3〜
図5の断面図が示すとおり、真空ポンプは、ポンプ吸入口115に接するプロセスガスのポンプ吐出口117への搬送のための複数のプロセスガスポンプ段を有する。
【0053】
ハウジング119内には、回転軸151の周りを回転できるローターシャフト153を備えたローター149が配置されている。
【0054】
ターボ分子ポンプ111は、ローターシャフト153に固定された複数のラジアルローターディスク155と、ローターディスク155間に配置され、ハウジング119内に固定されたステーターディスク157から成る、吐出効果を高めるように相互に直列接続された複数のポンプターボ分子ポンプ段を有する。その場合、1つのローターディスク155と、隣接する1つのステーターディスク157がそれぞれ1つのターボ分子ポンプ段を形成する。ステーターディスク157は、スペーサーリング159によって任意の軸方向間隔が相互に維持されている。
【0055】
真空ポンプは、このほか、半径方向に相互に入り込んで配置され、及び吐出効果を高めるように相互に直列接続されたホルヴェックポンプ段を有する。ホルヴェックポンプ段のローターには、ローターシャフト153に配置された1つのローターハブ161と、ローターハブ161に固定され、それによって支持されたシリンダージャケット形状の2つのホルヴェックロータースリーブ163、165とが備えられ、回転軸151と同軸に配向され、半径方向に相互に入り込んで接続されている。更に、シリンダージャケット形状の2つのホルヴェックステータースリーブ167、169が設けられており、同様に回転軸151と同軸に配向され、半径方向から見て相互に入り込んで接続されている。
【0056】
ホルヴェックポンプ段の吐出作動表面は、ジャケット面によって、したがってホルヴェックロータースリーブ163、165とホルヴェックステータースリーブ167、169の半径方向の内面及び/又は外面によって形成されている。半径方向のホルヴェックギャップ171が形成されていると、外側のホルヴェックステータースリーブ167の半径方向内面は、外側のホルヴェックロータースリーブ163の半径方向外面と対向し、その半径方向外面と共にターボ分子ポンプの後に続く第一のホルヴェックポンプ段を形成する。半径方向のホルヴェックギャップ173が形成されていると、外側のホルヴェックロータースリーブ163の半径方向内面は、内側のホルヴェックステータースリーブ169の半径方向外面と対向し、その半径方向外面と共に第二のホルヴェックポンプ段を形成する。半径方向のホルヴェックギャップ175が形成されていると、内側のホルヴェックステータースリーブ169の半径方向内面は、内側のホルヴェックロータースリーブ165の半径方向外面と対向し、その半径方向外面と共に第三ホルヴェックポンプ段を形成する。
【0057】
ホルヴェックロータースリーブ163の下端部には、半径方向に走るポートが設けられることがあり、それを経由して半径方向外側に位置するホルヴェックギャップ171が中央のホルヴェックギャップ173と接続されている。このほか、内側のホルヴェックステータースリーブ169の上端部には、半径方向に走るポートが設けられていることがあり、それを経由して中央のホルヴェックギャップ173が半径方向内側に位置するホルヴェックギャップ175と接続されている。それによって、相互に入り込んで接続されるホルヴェックポンプ段は相互に直列接続される。半径方向内側に位置するホルヴェックロータースリーブ165の下端部には、更に、吐出口117への接続ポート179が設けられていることがある。
【0058】
ホルヴェックステータースリーブ163、165の前記吐出作動表面には、それぞれ回転軸151の周囲を軸方向に螺旋状に走る複数のホルヴェック溝が設けられている一方で、ホルヴェックロータースリーブ163、165の対向するジャケット面が平滑に形成されていて、真空ポンプ111の作動用ガスをホルヴェック溝に送り込んでいる。
【0059】
ローターシャフト153の回転式軸受に対しては、ポンプ吐出口117のエリアでころがり軸受181とポンプ吸入口115のエリアで永久磁石軸受183が設けられている。
【0060】
ころがり軸受181のエリアでは、ローターシャフト153に、ころがり軸受181に向かって外径が増大する円錐噴射ナット185が設けられている。噴射ナット185は、油脂類タンクの少なくとも1つのスクレーパーと平滑接触している。油脂類タンクには、複数の上下に積み重ねられた吸脂性ディスク187が備えられ、ころがり軸受181用の油脂類、例えば、潤滑剤で含浸されている。
【0061】
真空ポンプ111の作動時、油脂類は毛管現象により油脂類タンクからスクレーパーを経由して回転式噴射ナット185に移送され、遠心力により噴射ナット185に沿って、大径になる噴射ナット185の外径の方向にころがり軸受181へ移送され、そこで例えば、潤滑機能が実行される。ころがり軸受181及び油脂類タンクは、舟型インサート189及び軸受キャップ145によって真空ポンプ内ではめ込まれている。
【0062】
永久磁石軸受183には、ローター側軸受ハーフ191及びステーター側軸受ハーフ193が備えられ、軸方向に上下に積み重ねられた複数の永久磁石リング195、197から成るそれぞれ1つの積層リングを有する。リング型磁石195、197は、半径方向の軸受ギャップ199が形成されると、相互に対向し、そこでローター側リング型磁石195は半径方向外側に、ステーター側リング型磁石197は半径方向内側に配置されている。軸受ギャップ199内にある磁界によって、リング型磁石195、197間で磁気斥力が発生し、ローターシャフト153の半径方向支持に作用する。ローター側リング型磁石195は、リング型磁石195を半径方向外側で囲む、ローターシャフト153のサポート部分201によって支持される。ステーター側リング型磁石197は、リング型磁石197を貫通して延出してハウジング119の半径方向ストラット205に懸架されているステーター側サポート部分203によって支持されている。回転軸151と平行に、ローター側リング型磁石195は、サポート部分203に結合されたカバー要素207によって固定されている。ステーター側リング型磁石197は、回転軸151と平行に、サポート部分203と接続された固定リング209、並びにサポート部分203 接続された固定リング211の方向に固定されている。固定リング211とリング型磁石197との間には、このほか、皿ばね213が取り付けられていることがある。
【0063】
磁気軸受の内部には、非常用又はバックアップ用軸受215が設けられており、真空ポンプ111の通常作動時は接触無しで空転し、ローター側構造のステーター側構造との衝突が防止されるため、ローター149の半径方向傾斜が過大になると、一定条件の下でステーターに対して相対的に作動するに至ることによって、ローター149用の半径方向のストッパーを形成する。バックアップ用軸受215は、無潤滑ころがり軸受として形成され、ローター149及び/又はステーターと共に半径方向ギャップを形成して、通常のポンプ作動時には、半径方向ギャップはバックアップ用軸受215が作動しないように作用する。バックアップ用軸受215が作動するに至る場合の半径方向の傾斜は、十分に計測されるほど大きいため、バックアップ用軸受215は、真空ポンプの通常作動時には作動せず、また同時に十分小さいため、ローター側構造のステーター側構造との衝突は、いかなる状況下でも防止される。
【0064】
真空ポンプ111には、ローター149の回転駆動用電動モーター125が設けられている。電動モーター125のアーマチュアは、ローターシャフト153がモーターステーター217を貫通して延出するローター149によって形成されている。ローターシャフト153の、モーターステーター217を貫通して延出する部分には、半径方向外側に又は埋設されて、永久磁石配列が配置されていることがある。モーターステーター217と、ローター149の、モーターステーター217を貫通して延出する部分との間には、半径方向モーターギャップを有する中間室219が配置されており、それを経由して、モーターステーター217及び永久磁石配列が駆動トルクの伝達に磁気的に影響を与えることができる。
【0065】
モーターステーター217は、電動モーター125用に設けられたモーター室137内のハウジングに固定されている。パージガス接続部135を経由して、例えば、空気又は窒素である場合には洗浄ガスともいうパージガスがモーター室137に到達し得る。パージガスによって、プロセスガス、例えば、プロセスガスの腐食作用部分から電動モーター125を保護することができる。モーター室137はポンプ吐出口117を経由しても排気することができる、すなわち、モーター室137内では少なくとも概ね、ポンプ吐出口117に接続されたプレ真空ポンプによって生じた真空圧が優勢である。
【0066】
このほか、ローターハブ161と、モーター室137を仕切る内壁221との間には、いわゆる、且つ自明のラビリンスシール223が備えられていることによって、特に半径方向外側にあるホルヴェックポンプ段に対するモーター室217の気密性の向上を達成できる。
【0067】
次に、例えば、
図1〜
図5の真空ポンプ111と同様、
図6〜
図21により、真空ポンプのローターのバランス調整方法が具体的に示される。その場合、レーザーを使用しての材料除去又は材料剥離は、主としてバランス調整プロセスの完全自動化と連動した高度の釣合い良さ等級の達成を可能にする。
【0068】
図6には、バランス調整方法のための、ターボ分子ポンプのローター13の固定及び回転用装置1bが示されている。ローター13は、それぞれ円周方向に分配配置されたローターブレードを備えた多数のターボ段13aと、シリンダースリーブとして形成されたホルヴェック段13bを有している。装置1bは、軸受箱1cと、アンバランス測定用の、より詳細には記載されていない振動センサー及び/又は距離計測センサー、並びに磁気軸受ステーター17とを備え、ローター側磁気軸受ローターと一緒に
図8〜
図11で磁気軸受要素18として参照される磁気軸受ステーター17は磁気軸受を形成する。
【0069】
最初に、装置1bへのローター13の挿設又は固定を特に手作業で行う。ローター13の挿設後は、磁気軸受17の軸方向プリテンションを調整する。そのサイズに応じて、ローター13が始動し、様々なバランス調整スピードで回転し、材料除去を行う。このほか、この方法の場合、磁気軸受の磁界における不均質性の補正を実行する。
【0070】
バランス調整が完了したローター13は、要求された精密釣合い良さ等級の達成後、システムから特に手作業で取り出す。できる限り高度な自動化等級を達成できるようにするには、材料除去−且つここでは、このほかに任意の磁気軸受補正−が装置1b内にあるローター13で実行される場合が有利である。アンバランスの特定のために、ローター13は、予め設定した回転数で回転される。しかし、アンバランスの特定のために、異なる2つの、又は複数の回転数を設定することもできる。−ローター13での材料除去は、通常、1度だけ行われるものではなく、所望の釣合い良さ等級が達成されるまで何度も反復して行われる。
【0071】
アンバランスは、センサーの評価を使用して特定される。ローター13のバランス調整スピードへの全高回転と、該当する角度位置でのローター傾斜の関連測定は、図示されていない、排気された真空室内で行われ、したがって、ローターは真空で回転する。ローターの高回転後、及び真空での第一のバランス調整スピード到達後、ローターは減速し、真空室は開放され、ローター静止時、以前に特定したローターバランス調整面及び角度位置で材料除去が行われる。材料除去が行われた後、ローターは再度、真空で同等又は別のバランス調整スピード、特により高くなったバランス調整スピードに加速される。残留アンバランスが特定され、除去すべき材料の位置及び量が算出される。
【0072】
真空でのバランス調整スピード時のローター傾斜測定に基づく反復プロセス後、及び材料除去を行った後、最後に、最終回転数時に、必要な精密釣合い良さ等級に到達する。今度はオペレーターが、ローター13を装置1bから再び取り外すことができる。
【0073】
材料除去が、ファイバーレーザーによって、並びに/又は波長700nm以上、特に1000nm以上、及び/若しくは最高1500nm、特に最高1100nm、特に約1064nm、並びに/又はパルス時間50ns以上、及び/若しくは最高150ns、特に約100ns、並びに/又は繰返し率20kHz以上、及び/若しくは最高200kHzで、並びに/又はローター13の静止時に実行されるとき、有利であると実証された。或いは、例えば、フェムト秒域までのより短いパルス時間のレーザー光源も使用することができる。或いは、レーザー光源は連続作動も可能である。一般に、レーザーは、例えば、ダイオードレーザー、ファイバーレーザー、固体レーザー、又はガラスレーザーとして形成できる。
【0074】
図7には、ローター材料の除去用レーザーシステムが示されている。レーザーシステムには、レーザー1が備えられ、レーザー1は、配線5を経由してレーザー1に接続されている制御装置4によって制御される。レーザー1は、ローター材料の除去のためにスキャナー2によって屈折する光線1dを放射する。このために、スキャナー2は、より詳細には図示されていない2つの回転可能な鏡、いわゆるガルボミラーを備えている。これらのミラーは、この種の材料除去のための精密調整時に、レーザー1がローター13の除去される表面部分で格子状に分布された点に当てられるように制御される。ここで、「スキャナー」という概念は、レーザー1が、それによって徐々に表面部分を覆うように屈折し、その際、材料が除去されることを表している。
【0075】
レーザー1とスキャナー2との間には、特に静的鏡9が設けられている。これによって、省スペース型のシステムデザインが可能になる。
【0076】
スキャナー2には、レーザー光線1d用の対物レンズ3が設けられている。対物レンズ3は、数デシメーターの焦点距離をもっていることが好ましく、特にここでは、焦点距離は、対物レンズ3と材料除去のために設けられた表面部分との間の一般的な間隔に対応している。この設定において、レーザー光線1dの焦点面は、加工される表面部分上に位置する。
【0077】
材料除去は、大気圧で、且つローター13の静止時に実行される。これによって、除去された材料を、例えば、通風によって排出することが容易になる。したがって、さもなければ除去された材料による粒子の渦流によって引き起こされることがあるローター13の表面の汚染を、大きく削減することができる。
【0078】
材料除去のために設けられた表面部分は、例えば、4mm
2を上回り、且つ/又は150mm
2を下回る面積を有している。前述の方法では、ローター13もレーザー1も移動しない。これによって、相対的に大面積を除去することができると共に、高精度の材料除去を実現することもできる。
【0079】
バランス調整時、目的どおりに特定質量のローター材料を除去することが適用される。質量は、該当する材料量を除去することによって達成される。その際、除去された面と除去深さは、それぞれ存在する条件に適合する。
【0080】
レーザー1で放出するレーザー光線1dはスキャナー2内の2つのガルボミラーによって、及び焦点光学装置として形成された対物レンズ3を通って屈折され、除去される面上で当たる、いわゆるリモートレーザーテクノロジーの応用があることが好ましい。対物レンズ3は、この種の前述の例では、光線1dがレーザー光線1dの中央の照射方向に対して最大約20°の角度でスキャナー2から流出できるように形成されている。これによって、レーザー1の室内位置の変更を必要とせずに、相対的に大きな表面部分を加工することができる(例えば、表面部分約300cm
3)。
【0081】
本明細書に記載されたバランス調整方法によって、高速、均一且つ再現可能な材料除去が可能になり、それによって、必要な精密釣合い良さ等級が素早く、高信頼に達成できる。これは、例えば、
図13で示される表面部分31のように、例えば、15°〜35°の間での方位延出の表面部分からの表面的な材料除去時に特に有利である。
【0082】
レーザーを使用した材料除去時、レーザー焦点内の光強度によって、材料はレーザー光源に応じて溶融、気化及び/又は昇華する。その場合、素早い焦点屈折による精密調整時、除去すべき表面部分にわたって均一な材料除去が行われる。レーザーパラメーターの適切な選択によって、剥離箇所の平滑表面と剥離セグメントのほとんどバリのない状態を達成できる。
【0083】
図7のレーザーシステムは、更に、投影面に対して垂直に位置する軸が回転可能である鏡10を備えている。この鏡は高精度に制御することができる。その際、その鏡の回転がスキャナー2の鏡の移動より遅ければ十分である。鏡10は、レーザー光線1dを、主として投影面の任意の方向に転換する。したがって、このレーザーシステムによって、特にレーザーシステムの並進移動と組み合わせて、ローター13の極めて様々な除去すべき平面部分に到達できる。
【0084】
希望の全ての表面部分及びバランス調整面に到達するために、別の、又は追加的な旋回自由度も用意されている。一般に、材料除去時に、レーザー光線1dが主として、除去すべき表面部分に対して垂直に位置が調整されている場合、有利である。
【0085】
ローター13の、状況に応じたバランス調整スピードへの回転数上昇は、ここに例示された真空時のバランス調整方法で行われる。レーザー1を使用した材料除去のために、真空室が満たされ、ローターが減速し、真空室が開かれる。それによって、レーザー1は、ローター13にアクセス可能になる。或いは、材料除去のためのレーザー光線1dは、特にアンチグレアハードコートが施された光学的ウィンドウを通って、真空室に投影されることが考えられ得る。
【0086】
図8〜
図11には、様々なバランス調整面でのレーザー光線1dによる材料除去が示されている。
【0087】
図8は、ローター13のラビリンスハブ15からの材料除去を示す。レーザー1及び/又はレーザー1用光学ユニット、ここでスキャナー2は、レーザー光線1dを、鏡10の脇を通り過ぎて、特に除去すべき表面部分で直接位置を調整するために、鏡10に対して相対的に移動可能である。こうして、鏡10は、例えば、ローター13の外周の表面部分のバランス調整面における材料の除去のために(ここでは、外側のホルヴェック段13bの上側のラビリンスハブ15で)、スキャナー2から直接垂直に射出するレーザー光線1dから移動することができる。或いは、又は追加的に、スキャナー2は僅かに、特に水平方向へ、鏡10に向かって移動する。こうして、レーザー光線1dは鏡10を、それによって屈折されることなく通過することができる。
【0088】
例えば、いわゆるバランスリング14のエリア内での、例えば、駆動側のバランス調整面での目的どおりの材料除去のために、鏡10は、光路上に設けられて、レーザー光線1dはバランスリング14上で屈折する(
図9参照)。鏡10の学習済み座標から材料除去のために設けられた表面部分のレーザー光線1dの粗調整への接近後、鏡10はその位置で停止し、スキャナー2はその状態を前提としてレーザー光線1dの精密調整を開始し、ここで高速且つ高精度に再現可能なレーザー光線1dの傾斜が、除去すべき表面部分、例えば、
図13の表面部分31のハッチングのために実行される。鏡10は、レーザー光線1dが精密調整時に鏡10の周辺エリアへと逸脱したり、それどころかそのエリアを見失ったりしないように、適切なサイズを有していなければならない。様々な構成部品、例えば、バランス調整マシンセンサー及び軸受箱19に基づいて、ローター軸に対して垂直又は平行な光線入射から逸脱した角度で材料除去を実行することが必要となる場合がある。こうして、例えば、
図9及び
図11による方法での材料除去は鋭角に行われる。
【0089】
図10に示す配置は、ローター13の作動時の真空側ローターディスク16での材料除去を説明している。或いは、又は追加的に、ここで又は他のバランス調整面で、レーザー光線1dを使用したマーキング、レタリング、及び/又はロゴ等々を示すこともできる。この位置で、レーザー光線1dは、鏡10での反射後、ローター軸と平行に進む。
【0090】
図10に示す方法で、光線1dによってローター側磁気軸受要素18にも到達し、加工できるように、磁気軸受要素17は、ローター13のローター側磁気軸受要素18から取り外された。磁気軸受要素17はもはや、必要なローター支承を保証できないため、ローターに対して、第二の軸受要素20が設けられており、これについては以下の
図12でより詳細に説明される。
【0091】
図11に示す手順は、磁気軸受要素18を局所的に加熱し、それによりその磁気特性を所望の方法で局所的に変更する、レーザー光線1dによる磁気軸受要素18の補正を含む。
【0092】
第二の軸受要素20の考えられる一実施形態 が
図12に示されている。第二の軸受要素20には、軸23の周囲で回転可能なようにそれぞれ支持されている2つのローラー又は摩擦車21が備えられている。各摩擦車21は、一緒に1つのローター13用の支承を形成している。したがって、ローター13は、摩擦車21上にのみ自重で載っている。
【0093】
少なくとも1つの摩擦車21には、ローター13の周囲で回転に対するフリクショントルクによって駆動するための、図示されていないロータリーアクチュエーターが備えられている。これにより、ローター13を回転し、必要に応じて、特に粗調整のために、レーザー1に対して位置を調整することができる。
【0094】
少なくとも1つの摩擦車21は、例えば、ステップモーター又はサーボモーター、及び例えばそれらの間に位置するギヤ段によって駆動される。この摩擦車21は、特定の角度位置でのローター回転のために利用することができる。各駆動部品は図示されていない。
【0095】
例えば、摩擦車21によって駆動されるローター13の回転は、例えば、レーザー光線1dの磁気軸受要素18内側へのアクセスも容易にし得る。レーザー光源及び光線パラメーターが適切に選択されている場合、例えば、ローターのセンタリングのために、磁気軸受エラーの補正が可能である。
【0096】
図10及び
図11から分かるとおり、摩擦車21又は第二の軸受要素20は1つの平坦なユニットを形成する。それゆえ、摩擦車21又は第二の軸受要素20はローター13の2つのローターディスク18の間で接近可能であるため、ローター13を保護することができる。
【0097】
2つの摩擦車21の代わりに、特に必要に応じて個別のローター支承と組み合わせた他の、例えば、ローターの回転駆動のための粘着トルク伝達装置も考慮に入れることができる。例えば、ローター13は、回転との連動によっても駆動することができる。例えば、磁気、空圧及び/又は油圧の動力伝導も可能である。その場合、あらゆる解決策でローターは、例えば、半径方向及び/又は軸方向に支持及び駆動することができる。
【0098】
図13では、ローター13と、通風を使用した除去された材料の排出のための配置が示されている。ここでは、例示的に前記の配置は駆動側のバランス調整面に隣接して配置されている。この配置によって、ローター13と隣接する構成部品、例えば、装置1b、軸受箱19、第二の軸受要素20、玉軸受又は同等物への、剥離した粒子の大面積にわたる付着及び堆積を防止することができる。
【0099】
通風をつくり出すために、吸引装置27が設けられる。この種の吸引装置は、複数のバランス調整面又は全てのバランス調整面にも設けられ得るのが有利である。装置27は、位置を変えることもでき得る。特に、吸引装置27は、最適な通風ジオメトリーを明示している。
【0100】
追加的に、有効な給気装置が設けられることにより、除去された材料粒子の排出は更に改善する。有効な給気装置は、圧縮空気接続部 26と圧縮空気ノズル24の出口25から成る圧縮空気ノズル24を備えている。有効な給気装置及び吸引装置27は、バランスリング14に配置されている、加工のために設けられた表面部分31に対して、除去された粒子がノズル24からの通風によって引きずり込まれた後、吸引装置27によって吸引され、排出されるように相対的に位置付けられ、位置が調整されている。
【0101】
ノズル出口25から表面部分31を経由して吸引装置27に向けられた気流は、主としてレーザー光線1bの方向に対して垂直に、且つ表面部分31の表面に対して平行に流れる。昇華及び溶融放出から成る、レーザーによる材料除去プロセス時に生成される比較的軽い材料粒子は、これによって、簡単に排出することができる。レーザーパルスが短くなればなるほど、一般的に、材料昇華の割合が高くなる。
【0102】
吸引装置27の吸引出力は、通常、m
3/min単位で表示され、吸引装置27の入力側では、有効な給気装置によって除去エリアで登録される、時間当たりの空気量を著しく上回ることが有利である。これによって、除去エリア全体の中で気流が吸引装置27の方向に生成されるため、材料排出の効率が更に改善する。
【0103】
同様の措置は、バランス調整装置1bの向こう側でも、除去された材料粒子による構成部品の汚染の防止のために講じることができる。こうして、例えば、剥離した粒子が鏡10を汚染するのを防止するために、鏡10を通風によって汚染から保護することができるか、又はこの種の汚染を取り除くことができる。例えば、吸引有り又は無しの連続的通風及び/又は個別的空気噴射を設定することができる。
【0104】
再現可能な材料除去を保証するために、レーザー焦点は常に−別の剥離箇所又はバランス調整面への切替え後も−除去すべき表面部分の剥離表面からほぼ同一間隔を有していることが有利である。何故ならば、レーザー焦点の外側にはレーザー光線1dの別の光線強度があり、それに応じて材料除去率が変化するからである。特に誤差が0.1mm未満のレーザー焦点の位置決めが有利である。この位置決めを保証するため、且つ/又は装置内の新しいローターサイズを学習させるために、
図14によれば、レーザーギャップセンサー33として形成される距離計測装置がスキャナー2にホルダー34を使用して固定される。
【0105】
スキャナー2に対して距離計測装置の位置を相対的に調整できるようにするために、固定要素34は、より詳細には図示されていない、手動による調整オプションをロック装置と共に備えている。
【0106】
距離計測装置は、例えば、レーザー三角測距センサーを使用して、及び/又は音響的に、又は他の方法、特に光学的方法によって、レーザー光線1dの距離を計測することができる。音響的方法の場合、レーザー焦点が正確に加工面上にある調整点に到達するために、レーザー剥離時の音響放射がレーザー焦点の方法によって、加工面に対して相対的に最大化される。音響録音は、例えば、マイクロフォンと、場合によっては録音された信号のFFT解析とを使用して可能となる。更に、関連して発生する二次放出も、例えば、材料除去時に生成されたプラズマによって最大化されることがある。
【0107】
レーザー1及びスキャナー2は、鏡10に対して相対移動可能である。その場合、レーザー1及びスキャナー2は、1つの移動ユニット36を形成する。この移動ユニット36は、ここでこのほか、鏡9、距離計測装置33及び対物レンズ3を備えている。鏡10は、ここで、レーザー1に関する制御装置4も備える、もう1つの移動ユニット35の部分である。したがって、移動ユニット35及び36は、相互に相対移動可能である。
【0108】
移動ユニット35及び36は、2本の軸37及び38を有するポータルシステムによって、
図14には図示されていないローター13に対して相対的に位置付け可能である。したがって、レーザー光線1dは、回転可能な鏡10の角度測位と軸37及び38の位置に対する位置の選択によって、ローター13の全バランス調整面で材料除去を行うことができる。このほか、移動ユニット36を使用して移動ユニット35に対して相対的に、したがって、鏡10に対して直線移動可能である第三軸39が設けられている。
【0109】
図14では、移動ユニット35及び36が相対位置で示されており、レーザー光線1dが鏡10と、ローター13の関連する除去すべき表面部分で位置が調整されている。
図15では、レーザー光線1dの代わりに、距離計測装置33の計測用光線41が鏡10上で、且つそれによって表面部分で位置が調整されるように、移動ユニット36が移動ユニット35に向かって数値40だけ移動する。したがって、距離計測装置33は、
図15では、レーザー光線1dの光路に進入し、計測用光線41は、
図14のレーザー光線1dと同様に、除去すべき表面部分までと同じ距離を説明している。したがって、ここでは、特に粗調整時に、特に軸37及び/又は38の調整によって、レーザー光線1dの焦点をローターの表面部分で正確に位置決めするために、精密な方法で正確に、レーザー光線1dが進んだ距離を計測することができる。
【0110】
上述の構造の代わりに、例えば、レーザー1及び/又はスキャナー2として形成されるレーザー用光学ユニット1を、動かないように軸37に固定することができる。鏡10はこの場合、例えば、軸39に取り付けられる。
【0111】
レーザー光線1dの距離の計測は、複数の又は全てのバランス調整面でも実施可能である。ローターを、例えば、別のサイズ及び/若しくはバランス調整面の別の位置で学習させるため、変化するローターサイズ及びバランス調整面の位置をローターの図面許容誤差及び/若しくは許容誤差連鎖の枠内で調整するため、且つ/又は例えば、第二の軸受要素20によって駆動される軸の周囲でローターの低速回転中にローターの全バランス調整面での既存の剥離箇所を計測するために、例えば、材料除去の都度、事前に距離を計測することができる。
【0112】
距離計測装置33は、例えば、所要時間測定、三角測距及び/又は干渉測定の測定原理を適用することができる。
【0113】
図16〜
図21では、特に、回転可能な鏡の代わりに設けることができる、レーザー光線1dの粗調整及び距離測定のための他の手段が示されている。
【0114】
図16では、様々な、ほとんど正反対の方向でレーザー光線1dの粗調整iが実現される2つの静的鏡50が示されている。鏡50が鏡取付台54に取り付けられている。その時々のバランス調整面又は除去すべき表面部分51及びその上に位置が調整される、該当する鏡50を選択するために、レーザー光線1dは、その時々の鏡50に対して位置が調整される。これは、
図16の実施形態では、スキャナー2内に配置された2つの可動式鏡を使用して行われる。これらの可動式鏡は、ここでは、所望の除去すべき表面部分51でのレーザー光線1dの粗調整のためにも、材料除去の精密調整のためにも使用される。
【0115】
レーザー光線1dの距離の測定のために、同様に鏡取付台54に固定され、計測用レーザー53として形成された2つの距離計測装置でもある、更に2つの固定式鏡52が利用される。例えば、ローターの外周で、例えば、ラビリンスハブ15でバランス調整面及び表面部分の計測のための第三計測用レーザーは、特に、同様に直接除去すべき表面部分で位置が調整されているレーザー光線1dの距離を計測するために、その間に鏡が接続されることなく、バランス調整面又は除去すべき表面部分で位置を調整できることが有利である。
【0116】
図17では、その補正のために各バランス調整面51及び/又は磁気軸受表面に到達するための固定式の3つの鏡50が設けられる以外は、類似の鏡取付台54が示されている。
【0117】
図18では、
図17の鏡取付台54が距離計測装置の配置と共に示されている。計測のために、ここでは対物レンズ3しか図示されていないスキャナー2の下側にある追加の鏡55がレーザー光線1dの光路に進入することによって、2つの計測用レーザー53の光路の結合が可能になり、そこでは、この種の鏡55は、例えば、計測用レーザー53専用に設けることもできる。
図18の装置には、合計3つの計測用レーザー53が設けられており、それらのうちの1つが表面部分51で直接調整されている。
【0118】
粗調整及び距離計測のための別のオプションが
図19〜
図21に示されている。その際、同様に3つの固定された鏡50が使用される。
図16〜
図18の実施形態とは異なり、ここでは、その時々の鏡50とそれに関連する表面部分51が、スキャナー2の直線移動によって、鏡取付台54に対して相対的に、
図20で移動56によって示唆されているとおりに選択される。
図19で示されるレーザー光線1dの測位時、表面部分51が直接選択されており、その際、レーザー光線1dは鏡50によって屈折されない。
【0119】
図20及び
図21で示されるように、スキャナー2には、計測用レーザー53として形成される距離計測装置が固定されている。その際、計測用レーザー53は、レーザー光線1dに平行なアライメントを示している。
【0120】
スキャナー2の移動56によって、計測用レーザー53は、レーザー光線1dの光路に進入し、鏡取付台54の鏡50に対して位置が調整される。これによって、計測用レーザー53の光路は、常にレーザー光線1dと同じ方向から、ここでは垂直方向から進入して、様々な鏡50に当たり、対応するバランス調整面又は表面部分51で屈折する。各表面部分51の計測の場合でも、計測用レーザー53に対応する鏡50を選択するために、移動56が利用される。
【0121】
一般に、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプのローターのバランス調整方法であって、ローターのアンバランスが算出され、且つアンバランスを低減するために、算出されたアンバランスに応じてローターの材料がレーザーを使用して除去される方法も考えられ、そこでは、材料除去用ローターに複数の表面部分が設けられていて、少なくとも2つの表面部分には、個別のレーザー及び/又は個別の光学ユニット(例えば、上述のスキャナー)が1つ又は複数のレーザー用に設けられている。例えば、異なる表面部分で加工できる2つ以上のスキャナーが設けられている。これらの光学ユニットは、その位置及び/又は配置を適合するために、空間内で移動及び/又は傾斜可能なように配置されていてもよいため、光線の粗調整が可能である。これによって、単純な構造を実現することができ、特に鏡10のような、並進移動する鏡を省略することができる。或る実施形態では、ローターの表面部分及び/又は剥離面毎に別々のスキャナー、例えば、対物レンズ3等の対物レンズ付きのスキャナー2を設けることができよう。全てのスキャナーの給電は、別々の光源(例えば、レーザー)又は適切な切換え装置付きの個別の光源により行われよう。スキャナー全体のサブグループも、光源から一緒に給電することができる。この解決策の実施に応じて、場合によっては、全ての又は個別のスキャナーの粗位置決めを省略することができる。