【実施例】
【0014】
図1(A)は、本発明の実施例に係る車載通信システムの構成例を示す図である。車載通信システム10は、車載装置100と、これに接続される少なくとも1つの携帯端末200とを含む。車載装置100は、接続手段300を介して携帯端末200との間で双方向のデータ通信を可能にする。接続手段300は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線接続である。携帯端末200はさらに、3G、4G、LTE等の公衆無線回線310を介して音声通話またはパケット通信する機能を備えている。
【0015】
図1(B)は、本実施例に係る車載装置の典型的な構成を示すブロック図である。車載装置100は、入力部110、ナビゲーション部120、マルチメディア再生部130、表示部140、音声出力部150、通信接続部160、車内ネットワーク部170、記憶部180、制御部190を含んで構成される。
【0016】
入力部110は、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネルなどにより、ユーザーからの指示を受け取り、これを制御部190へ提供する。ナビゲーション部120は、例えば、GPS衛星から送信されるGPS信号、ジャイロセンサ等のセンサからの出力に基づき算出された自車位置周辺の道路地図を案内したり、現在地から目的地までの経路を探索し、探索された経路を案内する。
【0017】
マルチメディア再生部130は、記憶部180に記憶された音楽や映像等のコンテンツデータを再生し、再生されたオーディオデータ、ビデオデータは、音声出力部150や表示部140から出力される。また、マルチメディア再生部130は、接続された携帯端末20に再生要求を行い、携帯端末20から再生されたメディアデータを受信し、これを音声出力部150や表示部140から出力する。
【0018】
通信接続部160は、携帯端末200と有線または無線による接続を行う。1つの好ましい例では、通信接続部160は、Bluetooth(登録商標)のような無線モジュールを含み、当該無線モジュールは、オーディオ信号の送受を規定するオーディオプロファイル(例えば、AVP)と、ハンズフリー通話機能を規定するプロファイル(例えば、HFP)とを含む。また、携帯端末200も同様に、オーディオプロファイルとハンズフリー通話プロファイルを含む無線モジュールを備える。携帯端末200との間で自動接続を行う場合には、予めペアリング等によって登録された携帯端末をサーチし、サーチされた携帯端末を接続する。この自動接続の詳細については後述する。また、ユーザーは、携帯端末200を介してハンズフリー通話をする機能、あるいはオーディオ信号を再生する機能を利用するか否かをユーザー設定情報として記憶部190に登録することができる。
【0019】
車両状態取得部170は、車両の状態に関する情報を取得する。車両に関する情報は、例えば、車両のドアの開閉、速度、ギアポジション、パーキングブレーキのオン/オフ、座席への着座情報、シートベルトの有無などである。1つの好ましい例では、車載装置100が車内ネットワークに接続され、当該ネットワークを介して車両の状態に関する情報が取得される。座席の着座情報は、各座席に設置した重量センサから着座を検出するものであってもよいし、各座席に設置したシートベルトの着用の有無から着座を検出するものであってもよい。さらに、車内空間を撮像するカメラが搭載されている場合には、撮像された画像データを解析することで着座を検出するようにしてもよい。
【0020】
記憶部180は、車載装置10が実行するアプリケーションソフトウエアやプログラム、道路地図データ、楽曲や映像等のコンテンツデータなどを記憶することができる。さらに、記憶部180は、携帯端末200を接続する場合に、携帯端末200の使用に関するユーザー設定を登録することができる。例えば、
図2に示すように、携帯端末200が接続されたときにハンズフリー通話機能を使用するか否か、携帯端末200が接続されたときに携帯端末のオーディオ再生を使用するか否か等の設定が登録される。この設定情報は、携帯端末200を自動接続するためのサーチ条件にも利用される。
【0021】
また、好ましい例では、接続される複数の携帯端末の優先順位を設定することも可能である。優先順位を設定する場合には、予め車載装置100と複数の携帯端末200との間でペアリングが行われ、両機器間の認証が行われ、その際、優先順位を設定することが可能である。例えば、車載装置100には、5台までの携帯端末の登録が可能である。
図3に、記憶部180に登録される携帯端末の優先順位の設定例を示す。ここには、ハンズフリー通話機能を使用する設定のとき(
図2)、2台の携帯端末が登録され、オーディオ機能を使用する設定のとき(
図2)、3台の携帯端末が登録される例が示されている。「携帯端末識別情報」は、携帯端末に固有の識別情報であり、識別情報は、例えば、携帯端末をペアリングするときに取得され、登録される。
【0022】
通信接続部160の無線モジュールがハンズフリー通話のためのプロファイル(例えば、HFP)とオーディオ・ビデオ信号の送受のためのプロファイル(例えば、AVP)を備えているとき、無線モジュールは、HFPにより1台の携帯端末と接続し、同時にAVPにより1台の携帯端末と接続することが可能である。携帯端末を自動接続するときに、
図3の5台の携帯端末の全てがサーチされれば、HFPにより携帯端末AAAAAが接続され、AVPにより携帯端末CCCCCが接続される。なお、優先順位の設定は、必ずしもペアリング時に限らず、その後のユーザー設定により変更することも可能である。さらに、優先順位は、例えば、ハンズフリー機能に対応する携帯端末を優先するようにしてもよい。
図3の例であれば、携帯端末AAAAAは、ハンズフリー機能を使用するため、AVPによる接続では、携帯端末AAAAAが携帯端末CCCCCの接続に優先されるようにしてもよい。但し、これはハンズフリー通話機能を使用する設定のときに限られる。
【0023】
さらに、記憶部180は、過去に無線接続したことがある携帯端末の接続履歴情報を記憶する。
図4に、接続履歴情報の一例を示す。接続履歴情報は、携帯端末識別情報、使用情報、および最後に接続された接続日時とを含む。なお、接続履歴情報にない携帯端末が新たに接続された場合には、接続履歴情報のレコード(行)が増え、過去に接続したことがある携帯端末が再度接続された場合には、使用情報および/または接続日時が上書きされる。
【0024】
制御部190は、好ましい態様では、ROM、RAMなどを含むマイクロコントローラ等を含み、ROMまたはRAMは、車載装置100の各部の動作を制御するための種々のプログラムを格納することができる。制御部190は、車載装置100の近辺に存在する携帯端末をサーチし、サーチされた携帯端末を自動接続する自動接続プログラムを実行する。
【0025】
図5は、本実施例に係る自動接続プログラム400の機能的な構成例を示す図である。自動接続プログラム400は、設定情報取得部410、履歴情報取得部420、着座検出部430、走行判定部440、サーチ部450、および接続部460を含んで構成される。
【0026】
設定情報取得部410は、
図2や
図3に示す登録された設定情報を取得し、この設定情報をサーチ部450へ提供する。履歴情報取得部420は、
図4に示す接続履歴情報を取得し、これをサーチ部450へ提供する。着座検出部430は、車両状態取得部170から取得された情報に基づき、運転席、助手席、左右の後部座席等の各座席の着座を検出し、この検出結果をサーチ部450へ提供する。走行判定部440は、車両状態取得部170からの情報に基づき車両が走行しているか否かを判定する。例えば、速度が0km/hよりも大きく、かつ、ギアのパーキングがオフであれば、車両が走行していると判定する。走行判定部440の判定結果は、サーチ部450へ提供される。
【0027】
サーチ部450は、設定情報、履歴情報、着座検出部430の検出結果、および走行判定部440の判定結果に基づき、自動接続すべき携帯端末をサーチする。1つの好ましい例では、サーチ部450は、着座検出部430により着座が検出されたことに応答して携帯端末のサーチを開始し、走行判定部440により走行判定されたことに応答して携帯端末のサーチを終了する。接続部460は、サーチ部450によりサーチされた携帯端末の接続を確定する。
【0028】
次に、本実施例の車載装置100の携帯端末の自動接続方法について説明する。
図6は、本実施例に係る自動接続動作を示すフローである。まず、車載装置100の電源が投下されると、設定情報取得部410により
図2、
図3に示すような設定情報が取得され(S100)、サーチ部450は、取得された設定情報に基づき携帯端末のサーチを行う(S200)。具体的には、
図2に示す設定情報において、通船接続部160の無線モジュールを介して、ハンズフリー通話機能のみを使用するとき、ハンズフリー通話機能およびオーディオ機能を使用するとき、オーディオ機能のみを使用するときに応じたサーチが実行される。
【0029】
図7は、車載装置がハンズフリー通話機能のみを使用する設定にしている場合のサーチを示すフローである。まず、着座検出部430により運転席への着席があったか否かが検出され(S210)。運転席への着座が検出されると、サーチ部450によるサーチが開始される(S220)。すなわち、運転席への着席がサーチ開始のトリガーである。ハンズフリー通話は、主として、運転者が利用するものであり、それ以外の座席の搭乗者がハンズフリー機能を使用すると、運転者が使用できなくなってしまう。そこで、ハンズフリー機能のみの使用が設定されている場合には、運転席の着座を検出し、それが検出された場合に運転者の携帯端末のサーチを開始する。但し、運転席の着座に加えて、それ以外の座席の着座が検出された場合にもサーチが開始される。サーチ期間中、サーチ部450により携帯端末がサーチされたとき、当該携帯端末が接続部460により仮接続される。仮接続された携帯端末200のハンズフリー通話機能やオーディオ機能を使用することができる。
【0030】
その後、走行判定部440により車両が走行しているか否かが判定される(S230)。車両が走行していると判定されると、サーチ部450は、サーチを終了する。1つの好ましい例では、サーチ部450は、車両の走行判定された時点から一定時間(例えば、30秒)経過後にサーチを終了する。すなわち、車両の走行判定がサーチ終了のトリガーである。次に、接続部460は、一定時間経過後、仮接続された携帯端末があれば、この仮接続を確定接続にする。携帯端末がサーチされなかった場合には、接続可能な携帯端末が車内にないと判断し、自動接続シーケンスが終了される。
【0031】
図8は、
図7に示す自動接続方法によるサーチを模式的に表した図である。車載訴追100が起動され、次に、運転席への着座が検出されると、サーチが開始され、走行判定がなされると、そこから30秒後にサーチが終了する。
【0032】
このように本実施例によれば、ハンズフリー通話機能の使用を設定している場合には、運転席への着座に応答して携帯端末のサーチを開始するようにしたので、運転者が確実に車内にいる状態で携帯端末のサーチを開始することができる。また、走行判定後の一定時間経過後にサーチを終了するようにしたので、サーチ時間が長くなるのを防止することができる。
【0033】
図9は、車載装置がハンズフリー通話機能およびオーディオ機能を使用する設定にしている場合のサーチを示すフローである。本例では、着座検出部430により、いずれかの座席に誰かが着席したことが検出される(S300)。いずれかの座席への着座が検出されると、サーチ部450はサーチを開始する(S310)。オーディオ機能の使用は、特に運転者に限らないため、全座席への着座が検出の対象となる。その後、走行判定部440により車両が走行していると判定されると(S320)、これをトリガーに一定時間経過後にサーチを終了する(S330)。接続部460は、上記と同様に、サーチされた携帯端末があれば接続を確定し(S340)、携帯端末がサーチされなければ、自動接続シーケンスが終了される。
【0034】
図10は、車載装置がオーディオ機能のみを使用する設定にしている場合のサーチを示すフローである。まず、着座検出部430によりいずれかの座席に誰かが着座したことが検出されると(S400)、この検出に応答してサーチ部450は、携帯端末のサーチを開始する(S410)。オーディオ機能のみの使用の設定は、運転者のみならず、他の搭乗者も利用し得るものであるから、すべての座席の着座が検出対象となる。
【0035】
次に、サーチ部450は、履歴情報取得部420で取得された履歴情報を参照し、サーチにより接続された携帯端末が、車載装置が電源オフされたときの前回の携帯端末に一致するか否かを判定する(S420)。一致すれば、サーチが終了される。なお、このサーチは、一定期間内に見つからなければ、その時点でサーチを終了するようにしてもよい。
【0036】
次に、本実施例の変形例について説明する。
図10は、一旦、携帯端末の自動接続シーケンスを実行した後、着座検出部430により着座状態の変化が検出された場合には、再度、同様の自動接続シーケンスが実施される例を示している。例えば、車両が一時停止し、その間に新たな搭乗者が乗車したり、搭乗していた者が降車したとき、着座検出部430によりその変化が検出される。自動接続シーケンスを再度実行することで、新たな搭乗者の携帯端末の接続を可能にし、他方、降車した者の携帯端末の切断を可能にする。
【0037】
図12は、優先順位が低い携帯端末が仮接続された後に、優先順位が高い携帯端末がサーチされたときの自動接続を示す。例えば、サーチ開始後に、携帯端末200Aがサーチされ、その仮接続がされる。その後、走行中に携帯端末200Bがサーチされたとき、接続部460は、設定情報から携帯端末200Aと200Bとの優先順位を比較し、もし、携帯端末200Bの優先順位が高い場合には、携帯端末200Bに接続を切替える。この際、接続部460は、例えば、表示部140に接続を切替える旨の通知を行い、ユーザーからの同意を待って切替えるようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。