(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6737573
(24)【登録日】2020年7月20日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】膜式ガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
G01F3/22 A
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-171415(P2015-171415)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-49075(P2017-49075A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150109
【氏名又は名称】株式会社竹中製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000156813
【氏名又は名称】関西ガスメータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067091
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100198797
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】能登 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】石谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】野中 勉
(72)【発明者】
【氏名】花木 克久
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰広
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴昭
【審査官】
大森 努
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−324368(JP,A)
【文献】
特開2005−283245(JP,A)
【文献】
特開平03−255319(JP,A)
【文献】
特開2015−148525(JP,A)
【文献】
特開2009−121980(JP,A)
【文献】
特開2010−066105(JP,A)
【文献】
特開2008−268001(JP,A)
【文献】
特開2005−221316(JP,A)
【文献】
特開平10−293050(JP,A)
【文献】
特開平07−324955(JP,A)
【文献】
米国特許第5654505(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータ本体の上ケースの天壁上に露出して形成された入側口金から上ケース内に向けて垂直にガスの流入路を形成すると共に、このガスの流入路の下端の内面をU字状の凹曲面に形成し、このガスの流入路の下端に近い壁面に直角方向に向けて弁シート流路の入口を形成し、更に前記弁シート流路の壁面に直角方向に向けて弁シートを形成し、この弁シートに向けて緊急遮断弁の弁部を配置して成る膜式ガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイキャストボディからなるガスメータ本体の下ケース内に計量室を形成し、この下ケース上に形成した上ケースの天壁の上面には入側口金と出側口金を露出させて形成し、更に上ケース内であって、緊急時にガスの流れ(計量)を遮断する緊急遮断弁をガスの入側流路内に取り付けた所謂膜式ガスメータに関し、更に詳しくは、前記入側口金と緊急遮断弁の弁シート間に形成されたガスの流動口を拡大して、ガスの流動抵抗(圧損)を可及的に軽減した膜式ガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の膜式ガスメータの場合、その要請として小型化が求められているため、上ケース内
において入側口金からガスの緊急遮断弁の弁シートを経由して機械室に入るガスの流入路は狭い空間に形成されている。
【0003】
このため、どうしても流路形状に無理があり、特に流量が大きい場合に圧損が拡大するという問題があった。
【0004】
また、膜式ガスメータ本体の下ケースと上ケースはダイキャスト成形方式のため、前記ガスの流入路の成形には抜き型が各所において用いられていて、肉抜き方向は縦方向と水平方向があることから、流路は直角形状部分が多くなるばかりか、型の抜き方向により流路形成に無理が発生し、全体としての圧損はどうしても大きくなるという問題があった。
【0005】
例えば、
図4は、従来の上ケースの断面を示すものであるが、このガス流入路の場合、入側口金4から上ケース3内に流入したガスの流れaは、入側口金4からガスの流入路6を下降したのち、底面6bに突き当たり、90°方向転換して緊急遮断弁の弁シート9側に流動する構造となっているが、ガスの流入路6の底面6bは弁シート9のほぼ中間の高さに位置しているため、ガスの流入路6から弁シート9側に90°方向転換して流れるガスの流動口12は、
図4、
図6に示すように約45°程度の広がり角(円弧)とな
り、この流動口12部分において流動抵抗が大きく、これが圧損を拡大する大きな原因となっていた。
【0006】
また、ガスはガスの流入路6の底面6bに直接衝突して45°方向転換して弁シート9内に流入するため、この時の衝撃でガスの流れに渦流が発生し、流動口12を通るときにガスの流れが不安定となり、これも圧損の大きな原因となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、入側口金から緊急遮断弁の弁シートを通過するまでのガスの流れにおいて、ガスの流動抵抗となる圧損を可及的に軽減した膜式ガスメータを提供するのが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、膜式ガスメータにおいて、ガスメータ本体の上ケースの天壁上に露出して形成された入側口金から上ケース内に向けて
垂直にガスの流入路を形成
すると共に、このガスの流入路の下端の内面をU字状の凹曲面に形成し、このガスの流入路
の下端に近い壁面に直角方向に向けて弁シート流路の入口を形成し、更に前記弁シート流路の壁面に直角方向に向けて弁シートを形成し、この弁シートに向けて緊急遮断弁の弁部を配置して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、入側口金から流入したガスは、ガスの流入路内を下降したのち、このガスの流入路の側壁に
弁シート流路の入口がかかるように弁シート
流路を形成したため、弁シート側に流れるガスの
流路の入口(流動口)を最大に形成できる。
【0010】
この結果、ガスの流入路から弁シートを通過する間にガスの流れを阻害する要因となる形状部分は殆ど無くなり、ガスはストレートに近いかたちで弁シート内に流動するため、圧損の影響を無視でき、特に大流量を計測するときに
顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を実施した膜式ガスメータ本体の正面図である。
【
図3】ガスの流入路の側壁に円弧の一部かかるように弁シートを形成した本発明に係る実施例の説明図である。
【
図4】ガスの流入路の底面に円弧の一部がかかるように弁シートを形成した従来例の説明図である。
【
図5】本発明に係るガスの流入路と弁シートの位置関係の説明図である。
【
図6】従来例に係るガスの流入路と弁シートの位置関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ガスの流量を計測するための流量計であって、ガス圧により計量膜を駆動し、この計量膜の脈動運動から流量を機械的に計測してガスの消費量を計測する所謂機械式と脈動運動を電子センサーで検出してガスの流量を計測する所謂電子式ガスメータの双方に適用できる。
【0013】
つまり、両方式のガスメータの場合、入側口金から流入したガスは、緊急遮断弁を経由してから計量室(計量膜)に至るまでは同一の構成であり、本発明は、ガスの流入路と緊急遮断弁の弁シート間の流路構成において、圧損を可及的に軽減した点に特徴がある。
【実施例】
【0014】
図1は、膜式ガスメータの正面図であって、符号の1はガスメータ本体、2は内部に計量膜を組み込んだ計量室を形成した下ケース、3はこの下ケース2の上に形成された上ケースであって、この内部には、
図2、
図3に示すように入側口金4から流入したガスは、ガスの流入路6を経由して下降し、流動口11から緊急遮断弁8の弁シート9内に流入する構成である。
【0015】
5は出側口金であって、この出側口金5の排出流路7内には従来例(
図4)に示すように存在した圧損の要因である段差13を解消したテーパー7aが形成されている。
【0016】
更に詳しく入側口金4とガスの流入路6との関係を説明すると、弁シート9
側の流路の入口(流動口)はガスの流入路6の側壁6aに
形成されているため、流動口11が大きく形成されている。
【0017】
この構成において、本発明は、入側口金4に続いて下向きに形成されたガスの流入路6の側壁6aに流動口11が形成されていることにより、
図5に示す流動口11は、従来例としての
図6の流動口12と比較するとき、その大きさは約2.5倍に拡大
することができる。
【0018】
この結果、入側口金4から流入したガスはガス
の流入路6を下降し、直接弁シート9内に流れ込むことになる。
【0019】
また、ガスの流入路6の底面6bを弁シート9の位置よりも下方に
U字状に形成したことにより、流入したガス流が直接底面6bに
てU字状に反転し、この反転により圧損が大きく軽減され
る。
【0020】
なお、弁シート9の位置は、
図2に示すようにガスの入側流入路6の中心線とほぼ一致した位置となっているが、この位置は中心線に対して多少前後していても流動口11の大きさに大差はなく、よって前記中心線に一致させることにこだわるものではないが、もし一致させない場合は、ガスの流れの下流側に少しズレ込む位置が好ましい。
【0021】
図2において、8aは緊急遮断弁8の弁部、8bは上ケース側に形成した緊急遮断弁8の取付口、10はリセットボタンである。
【0022】
因に、
図5に示した本発明の場合、その圧損は23.50Paであったが、従来例である
図6の流動口12の場合、その圧損は52.29Paであった。
【符号の説明】
【0023】
1 ガスメータ本体
2 下ケース
3 上ケース
4 入側口金
5 出側口金
6 ガスの流入路
6a ガスの流入路の側壁
6b ガスの流入路の底面
7 ガスの排出流路
8 緊急遮断弁
8a 緊急遮断弁の弁部
8b 取付口
9 弁シート
10 リセットボタン
11 本発明の流動口
12 従来例の流動口