(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号5の野生型9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408、Tyr409、Pro410およびLys477と機能的に等価な位置にアミノ酸置換変異を含む、改変されたファミリーB古細菌DNAポリメラーゼであり、ここで、該置換変異は、408位と等価な位置におけるAlaへの置換、409位と等価な位置におけるAlaへの置換、410位と等価な位置におけるIleへの置換、および477位と等価な位置におけるMetへの置換であり、ここで、該改変されたポリメラーゼは配列番号11と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、かつDNAポリメラーゼ活性を有する、改変されたファミリーB古細菌DNAポリメラーゼ。
該改変されたポリメラーゼがサーモコッカス、パイロコッカスおよびメタノコッカスからなる群から選択される属由来である、請求項1に記載の改変されたポリメラーゼ。
該改変されたポリメラーゼが9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAsp141および/またはGlu143と機能的に等価な一以上の位置に置換変異をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の改変されたポリメラーゼ。
9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485と機能的に等価な位置に置換変異をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の改変されたポリメラーゼ。
さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223と機能的に等価な位置に置換変異を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の改変されたポリメラーゼ。
さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるThr514と機能的に等価な位置に置換変異を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の改変されたポリメラーゼ。
さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるIle521と機能的に等価な位置に置換変異を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の改変されたポリメラーゼ。
配列番号29と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む組み換えDNAポリメラーゼであり、配列番号29の9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408、Tyr409およびPro410と機能的に等価な位置でのアミノ酸置換変異を含み、ここで、該変異はそれぞれAla、AlaおよびIleへの変異であり、および配列番号29の9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLys477と機能的に等価な位置でのアミノ酸置換変異を含み、かつDNAポリメラーゼ活性を有する、組み換えDNAポリメラーゼ。
配列番号31と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む組み換えDNAポリメラーゼであり、配列番号31の9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408、Tyr409およびPro410と機能的に等価な位置でのアミノ酸置換変異を含み、ここで、該変異はそれぞれAla、AlaおよびIleへの変異であり、および配列番号31の9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLys477と機能的に等価な位置でのアミノ酸置換変異を含み、かつDNAポリメラーゼ活性を有する、組み換えDNAポリメラーゼ。
【発明の概要】
【0003】
要約
ここに提供されるのは、ヌクレオチドアナログ、特に天然に存在する3’ヒドロキシル基よりも大きなサイズの置換基で置換されているように3’糖ヒドロキシルで修飾されたヌクレオチドの取り込みが改善されたポリメラーゼ酵素である。本発明者らは、所望のアナログの改善された取り込みを示し、多くの他の付随する利益を有する、ある改変されたポリメラーゼを、驚くべきことに同定した。
【0004】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLys477と機能的に等価な位置に少なくとも一つのアミノ酸置換変異を含む。野生型9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列は、配列番号5に示す。ある態様において、置換変異は、より小さい側鎖を有する残基への変異を含む。ある態様において、置換変異は疎水性側鎖を有する残基への変異を含む。ある態様において、置換変異はメチオニン残基への変異を含む。
【0005】
またここに提供されるのは、配列番号29と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む組み換えDNAポリメラーゼであり、この組み換えDNAポリメラーゼは9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLys477と機能的に等価な位置に置換変異を含む。
【0006】
またここに提供されるのは、配列番号31と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む組み換えDNAポリメラーゼであり、この組み換えDNAポリメラーゼは9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLys477と機能的に等価な位置に置換変異を含む。
【0007】
またここに提供されるのは、配列番号5と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む組み換えDNAポリメラーゼであり、この組み換えDNAポリメラーゼは9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLys477と機能的に等価な位置に置換変異を含む。
【0008】
ある態様において、ポリメラーゼはDNAポリメラーゼである。上記の改変されたポリメラーゼであって、ここで、該DNAポリメラーゼはファミリーBタイプDNAポリメラーゼである。ポリメラーゼは、例えば、ファミリーB古細菌(archael)DNAポリメラーゼ、ヒトDNAポリメラーゼ−α、T4、RB69およびphi29ファージDNAポリメラーゼであり得る。ある態様において、ファミリーB古細菌DNAポリメラーゼは、サーモコッカス、パイロコッカスおよびメタノコッカスからなる群から選択される属由来である。例えば、ポリメラーゼは、Vent、Deep Vent、9°NおよびPfuポリメラーゼからなる群から選択され得る。ある態様において、ファミリーB古細菌DNAポリメラーゼは9°Nポリメラーゼである。
【0009】
ある態様において、上記変異に加えて、改変されたポリメラーゼは、さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408および/またはTyr409および/またはPro410と機能的に等価な位置に置換変異を含み得る。例えば、置換変異は、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408Alaおよび/またはTyr409Alaおよび/またはPro410Ileと相同の置換変異を含み得る。
【0010】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、野生型ポリメラーゼと比較して低減されたエキソヌクレアーゼ活性を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAsp141および/またはGlu143と機能的に等価な位置に置換変異を含む。
【0011】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485と機能的に等価に置換変異を含む。例えば、ある態様において、ポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485LeuまたはAla485Valと機能的に等価な置換変異を含む。
【0012】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、さらに、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223と機能的に等価な位置の種々のアミノ酸への置換変異を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223Serと機能的に等価な置換変異を含む。
【0013】
ある態様において、少なくとも一つの置換変異は、Thr514および/またはIle521に等価な位置への変異を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるThr514Ala、Thr514Serおよび/またはIle521Leuと機能的に等価な置換変異を含む。
【0014】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、内部メチオニンを除去するためのさらなる置換変異を含み得る。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるMet129と機能的に等価な位置の種々のアミノ酸への置換変異を含む。ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるMet129Alaと機能的に等価な置換変異を含む。
【0015】
ここでまた提供されるのは、配列番号1〜4のいずれかのアミノ酸配列を含む半保存的ドメインへの置換変異を含む改変されたポリメラーゼであって、ここで、該置換変異は、3位のLys、IleまたはGln以外の任意の残基への変異を含む。ある態様において、改変されたポリメラーゼは、配列番号1〜4のいずれかの3位のMetへの変異を含む。
【0016】
ある態様において、上記変異に加えて、改変されたポリメラーゼは、さらに、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408および/またはTyr409および/またはPro410と機能的に等価な位置に置換変異を含み得る。例えば、置換変異は、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408Alaおよび/またはTyr409Alaおよび/またはPro410Ileと相同の置換変異を含み得る。
【0017】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、野生型ポリメラーゼと比較して低減されたエキソヌクレアーゼ活性を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAsp141および/またはGlu143と機能的に等価な位置に置換変異を含む。
【0018】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485と機能的に等価に置換変異を含む。例えば、ある態様において、ポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485LeuまたはAla485Valと機能的に等価な置換変異を含む。
【0019】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、さらに、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるThr514および/またはIle521に等価な位置への変異を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるThr514Ala、Thr514Serおよび/またはIle521Leuと機能的に等価な置換変異を含む。
【0020】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、さらに、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223と機能的に等価な位置の種々のアミノ酸への置換変異を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223Serと機能的に等価な置換変異を含む。
【0021】
ある態様において、改変されたポリメラーゼは、内部メチオニンを除去するためのさらなる置換変異を含み得る。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるMet129と機能的に等価な位置の種々のアミノ酸への置換変異を含む。ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるMet129Alaと機能的に等価な置換変異を含む。
【0022】
ここでまた提供されるのは、配列番号6〜8、10〜12、14〜16、18〜20、22〜24、26〜28、30および32のいずれか一つのアミノ酸配列を含む改変されたポリメラーゼである。
【0023】
またここに提供されるのは、上記態様のいずれかで定義した改変されたポリメラーゼをコードする核酸分子である。ここでまた提供されるのは、上記核酸分子を含む発現ベクターである。またここに提供されるのは、上記ベクターを含む宿主細胞である。
【0024】
またここに提供されるのは、次の成分を相互作用させることを含む、修飾ヌクレオチドをDNAに取り込む方法である:(i)上記態様のいずれかによる改変されたポリメラーゼ、(ii)DNA鋳型;および(iii)ヌクレオチド溶液。ある態様において、DNA鋳型はクラスター化アレイを含む。
【0025】
またここで提供されるのは、上記態様のいずれかに定義するポリメラーゼおよびヌクレオチド溶液を含む、ヌクレオチド取り込み反応を行うためのキットである。ある態様において、ヌクレオチド溶液は標識ヌクレオチドを含む。ある態様において、ヌクレオチドは合成ヌクレオチドを含む。ある態様において、ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドを含む。ある態様において、修飾ヌクレオチドは、置換基が天然に存在する3’ヒドロキシル基よりサイズが大きいように、3’糖ヒドロキシルで修飾されている。ある態様において、修飾ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシド分子を含み、そのプリンまたはピリミジン塩基およびリボーズまたはデオキシリボーズ部分は共有結合により結合した除去可能な3’−OH保護基を有しており、その3’炭素原子には次の構造:
−O−Z
〔式中、Zは−C(R’)
2−O−R”、−C(R’)
2−N(R”)
2、−C(R’)
2−N(H)R”、−C(R’)
2−S−R”および−C(R’)
2−Fのいずれかであり、
ここで、各R”は除去可能保護基であるかまたはその一部であり;
各R’は独立して水素原子、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式、アシル、シアノ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシまたはアミド基または架橋基を経て結合した検出可能標識であるか;または(R’)
2は式=C(R''')
2のアルキリデン基であり、ここで、各R'''は同一でも異なってもよく、水素およびハロゲン原子およびアルキル基からなる群から選択され;
ここで、該分子は、反応して、各R”がHに交換されるか、または、Zが−C(R’)
2−Fであるとき、FがOH、SHまたはNH
2、好ましくはOHに交換されるものである中間体を生じることができ、該中間体は水性条件下で解離して遊離3’OHを有する分子を提供する;
ただし、Zが−C(R’)
2−S−R”であるとき、両R’基はHではない。〕
を有する基が結合している。
【0026】
ある態様において、修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドのR’はアルキルまたは置換アルキルである。ある態様において、修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドの−Zは式−C(R’)
2−N
3である。ある態様において、Zはアジドメチル基である。
【0027】
ある態様において、修飾ヌクレオチドは、検出可能となるように蛍光で標識される。ある態様において、修飾ヌクレオチドは、開裂可能リンカーにより検出可能標識に結合した塩基を有するヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む。ある態様において、検出可能標識は蛍光標識を含む。ある態様において、キットは、さらに1以上のDNA鋳型分子および/またはプライマーを含む。
【0028】
1以上の態様の詳細を貼付する図面および次の記載により説明する。さらなる特性、目的および利点は、明細書および図面ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここに提供されるのは、ヌクレオチドアナログ、特に天然に存在する3’ヒドロキシル基よりも大きなサイズの置換基で置換されているような3’糖ヒドロキシルで修飾されたヌクレオチドの取り込みを改善するためのポリメラーゼ酵素である。本発明者らは、所望のアナログの改善された取り込みを示し、多くの他の付随する利益を有する、ある改変されたポリメラーゼを、驚くべきことに同定した。
【0031】
下に詳細に示すように、本発明者らは、ポリメラーゼにおける1以上の残基への1以上の変異が、顕著な変換率向上および加ピロリン酸分解減少をもたらすことを驚くべきことに発見した。これらの改変されたポリメラーゼは、DNA合成時解読法(SBS)の性能を改善し、フェージングおよび/またはプレフェージングエラーの減少をもたらす。
【0032】
ここで使用する用語“フェージング”は、あるシークエンシングサイクルでのポリメラーゼによるクラスター内のDNA鎖のある部分における不完全取り込みが原因であるSBSにおける現象である。用語“プレフェージング”は、取り込み事象を1サイクル先に進ませる、有効な3’ターミネーター非存在下でのヌクレオチドの取り込みが原因のSBSにおける現象をいう。フェージングおよびプレフェージングは、特異的サイクルの抽出強度を、現在のサイクルのシグナルならびに前のおよび後のサイクルからのノイズからなるようにする。サイクル数が増えるに連れて、フェージングに影響を受けるクラスターの配列の画分は増加し、正確な塩基の特定を妨害する。フェージングは、例えば、加ピロリン酸分解を助ける条件下で起こることが知られるように、ヌクレオチド取り込みの逆転反応を実施するポリメラーゼによりもたらされ得る。よって、フェージングおよび/またはプレフェージングの出現率が減少した改変されたポリメラーゼの発見は驚きであり、SBS適用における大きな利益を提供する。例えば、改変されたポリメラーゼは、速いSBSサイクル時間、低いフェージングおよびプレフェージング値および長いシークエンシング読取長を提供する。ここに提供される改変されたポリメラーゼの特徴は、下記実施例部分に示す。
【0033】
ある態様において、置換変異は、より小さい側鎖を有する残基への変異を含む。アミノ酸側鎖の相対サイズは当業者に周知であり、立体効果および/または電子密度を含む任意の既知計量を使用して比較できる、それゆえに、サイズが小さい順で並べたアミノ酸の例はG、A、S、C、V、T、P、I、L、D、N、E、Q、M、K、H、F、Y、R、Wであろう。ある態様において、置換変異は、A、I、L、V、F、W、Yのような疎水性側鎖を有する残基への変異を含む。
【0034】
ここでまた提供されるのは、ポリメラーゼの半保存的ドメインへの置換変異を含む改変されたポリメラーゼである。ここで使用する用語“半保存的ドメイン”は、多様な種の中で完全に保存的または少なくとも一部保存的であるポリメラーゼの部分である。半保存的ドメインにおける1以上の残基の変異が、3’遮断ヌクレオチドの存在下のポリメラーゼ活性に影響し、顕著な変換率向上および加ピロリン酸分解減少をもたらすことが驚くべきことに発見された。これらの改変されたポリメラーゼは、下の実施例部分に記載するように、DNA合成時解読法における性能が改善しており、フェージングエラーの減少をもたらす。
【0035】
ある態様において、半保存的ドメインは配列番号1〜4のいずれかに示す配列を有するアミノ酸を含む。配列番号1〜4は多様な種の半保存的ドメインにおける残基に対応する。配列番号4は、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列の残基475〜492に対応し、これは、配列番号5に示す。半保存的ドメインにおける多様な種の保存を示すアラインメントを、
図1および2に示す。
図1および2におけるポリメラーゼ配列は、Genbankデータベース受け入れ番号Q56366(9°N DNAポリメラーゼ)、NP_577941(Pfu)、YP_182414(KOD1)、NP_987500(MMS2)、AAP75958(RB69)、P56689(TGo)から得た。
【0036】
半保存的ドメインにおける1以上の残基への変異は変換率を向上させ、加ピロリン酸分解を減少させ、フェージングエラーの減少をもたらすことが、驚くべきことに判明した。例えば、ここに示す改変されたポリメラーゼのある態様において、置換変異は、配列番号1〜4の3位のLys、IleまたはGln以外の任意の残基への変異を含む。ある態様において、改変されたポリメラーゼは、配列番号1〜4のいずれかの3位のMetへの変異を含む。
【0037】
ある態様において、ポリメラーゼはDNAポリメラーゼである。ある態様において、DNAポリメラーゼはファミリーBタイプDNAポリメラーゼである。ポリメラーゼは、例えば、ファミリーB古細菌DNAポリメラーゼ、ヒトDNAポリメラーゼ−αおよびファージポリメラーゼであり得る。例えばT4、RB69およびphi29ファージDNAポリメラーゼのようなファージポリメラーゼを含む、あらゆるファージポリメラーゼを、ここに示す態様において使用できる。
【0038】
ファミリーB古細菌DNAポリメラーゼは、引用によりその全体を本明細書に包含させる、米国特許8,283149の開示により例示されるように、当分野で周知である。ある態様において、古細菌DNAポリメラーゼは、超好熱性古細菌由来であり、これは、ポリメラーゼがしばしば熱安定性であることを意味する。よって、さらなる好ましい態様において、ポリメラーゼはVent、Deep Vent、9
oNおよびPfuポリメラーゼ由来である。VentおよびDeep Ventは、超好熱性古細菌サーモコッカス・リトラリスから単離されたファミリーB DNAポリメラーゼについて使用される商品名である。9°Nポリメラーゼはまたサーモコッカス種から単離された。Pfuポリメラーゼはパイロコッカス・フリオサスから単離された。
【0039】
ある態様において、ファミリーB古細菌DNAポリメラーゼは、例えばサーモコッカス、パイロコッカスおよびメタノコッカス属のような属由来である。サーモコッカス属のメンバーは当分野で周知であり、サーモコッカス4557、サーモコッカス・バロフィラス、サーモコッカス・ガンマトレランス、サーモコッカス・オンヌリネウス、サーモコッカス・シビリカス、サーモコッカス・コダカレンシス、サーモコッカス・ゴルゴナリウスを含むが、これらに限定されない。パイロコッカス属のメンバーは当分野で周知であり、パイロコッカスNA2、パイロコッカス・アビシ、パイロコッカス・フリオサス、パイロコッカス・ホリコシイ、パイロコッカス・ヤヤノシイ、パイロコッカス・エンデボリ、パイロコッカス・グリコボランス、パイロコッカス・ヴェッセイを含むが、これらに限定されない。メタノコッカス属のメンバーは当分野で周知であり、メタノコッカス・エオリカス、メタノコッカス・マリパルディス、メタノコッカス・バンニエリイ、メタノコッカス・ボルタエ、“メタノコッカス・テルモリソトロフィカス”および”メタノコッカス・ヤンナシイ”を含むが、これらに限定されない。
【0040】
例えば、ポリメラーゼはVent、Deep Vent、9°NおよびPfuポリメラーゼからなる群から選択できる。ある態様において、ファミリーB古細菌DNAポリメラーゼは9°Nポリメラーゼである。
【0041】
配列比較、同一性および相同性
2以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における用語“同一”または”同一性パーセント”は、下記配列比較アルゴリズム(または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)の一つを使用してまたは目視により測定して、比較し、最大対応についてアラインしたとき、同一であるまたは同じである特定のパーセントのアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2以上の配列または部分配列をいう。
【0042】
2核酸またはポリペプチド(例えば、ポリメラーゼまたはポリメラーゼのアミノ酸配列をコードするDNA)の状況において、用語“実質的に同一”は、配列比較アルゴリズムを使用してまたは目視により測定して、比較し、最大対応についてアラインしたとき、少なくとも約60%、約80%、約90〜95%、約98%、約99%またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する2以上の配列または部分配列をいう。このような“実質的に同一”配列は、実際の先祖と無関係に、一般に“相同”と考えられる。好ましくは、“実質的同一性”は、少なくとも約50残基長である配列にわたり、より好ましくは少なくとも約100残基の領域にわたり存在し、最も好ましくは、配列は少なくとも約150残基または比較すべき2配列の全長にわたり実質的に同一である。
【0043】
タンパク質および/またはタンパク質配列は、天然であれ人工であれ、共通先祖タンパク質またはタンパク質配列に由来するとき、“相同”である。同様に、核酸および/または核酸配列は、天然であれ人工であれ、共通先祖核酸または核酸配列に由来するとき、相同である。相同性は、一般に2以上の核酸またはタンパク質(またはその配列)間の配列類似性から推測される。相同性の確立に有用である配列間の類似性の厳密なパーセンテーは問題の核酸およびタンパク質で変わるが、50、100、150またはそれ以上の残基にわたるわずか25%の配列類似性が、相同性の確立に日常的に使用されている。高レベルの配列類似性、例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%またはそれ以上も、相同性の確立に使用できる。配列類似性パーセンテージを決定する方法(例えば、デフォルトパラメータを使用するBLASTPおよびBLASTN)はここに記載し、一般に利用可能である。
【0044】
配列比較および相同性決定のために、一般に一つの配列が対照配列として役立ち、それに対して試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するとき、試験配列および対照配列をコンピューターに入れ、必要であれば、部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定したプログラムパラメータに基づき、対照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0045】
比較のための配列の最適アラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性方法のサーチ、これらのアルゴリズムのコンピュータ履行(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)または目視(一般にCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., supplemented through 2004参照)により実施できる。
【0046】
配列同一性および配列類似性パーセントの決定に適するアルゴリズムの一例はBLASTアルゴリズムであり、これはAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationから公的に入手可能である。このアルゴリズムは、最初にクエリ配列における長さWの短いワードを同定することにより高スコア配列対(HSP)を同定し、これは、データベース配列における同じ長さのワードとアラインしたときマッチするか、ある正の値閾値スコアTを満たす。Tは隣接ワードスコア閾値と呼ぶ(Altschul et al., supra)。これらの初期隣接ワードヒットは、それらを含む長いHSPを発見するためのサーチを開始するシードとして働く。次いでワードヒットを、累積的アラインメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長する。累積的スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(マッチング残基対についてのリワードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチング残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列について、スコアマトリックスを使用して、累積的スコアを計算する。各方向へのワードヒットの伸長は、最大達成値から累積的アラインメントスコアが数X落ちたとき;累積的スコアが1以上の負スコア残基アラインメントの蓄積により0以下になったとき;またはいずれかの配列の末端に達したとき停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXはアラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、カットオフ100、M=5、N=−4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10およびBLOSUM62スコアマトリックスを使用する(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)。
【0047】
配列同一性の計算に加えて、BLASTアルゴリズムはまた2配列の類似性の統計学的解析も実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の指標は最小和確率(P(N))であり、これは、2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然起こる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸対対照核酸の比較における最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満であるとき、対照配列と類似すると考えられる。
【0048】
“機能的に等価”は、対照ポリメラーゼは、異なるポリメラーゼ全体を使用する試験の場合、酵素における同じ機能的役割を有する他のポリメラーゼにおけるアミノ酸位置で生じると考えられる、アミノ酸置換を含む。例として、Vent DNAポリメラーゼにおける412位のチロシンからバリンへの変異(Y412V)は、9°Nポリメラーゼにおける409位のチロシンからバリンへの置換(Y409V)と機能的に等価である。
【0049】
一般に2以上の異なるポリメラーゼにおける機能的に等価な置換変異は、ポリメラーゼのアミノ酸配列における相同アミノ酸位置で生じる。それゆえに、ここで使用する用語“機能的に等価”はまた、変異アミノ酸の特定の機能が知られていようが、知られていまいが、ある変異と“位置的に等価”または“相同”である変異も包含する。配列アラインメントおよび/または分子モデリングに基づき2以上の異なるポリメラーゼのアミノ酸配列における位置的に等価または相同アミノ酸残基を同定することが可能である。位置的に等価および/または機能的に等価な残基を同定するための配列アラインメントの例を
図1および2に示す。それゆえに、例えば、
図2に示すように、半保存的ドメインにおける残基は、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列の475〜492位と同定された。TGO、KOD1、Pfu、MmS2およびRB69ポリメラーゼにおける対応する残基は、図に垂直にアラインとして示し、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列における対応する残基と位置的に等価ならびに機能的に等価と考えられる。
【0050】
上記改変されたポリメラーゼは、3’遮断ヌクレオチド存在下および/またはDNAシークエンシング適応においてポリメラーゼ活性の1以上の面を増強することが知られるさらなる置換変異を含み得る。例えば、ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、さらに、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408および/またはTyr409および/またはPro410と機能的に等価な位置に置換変異を含み得る。遮断ヌクレオチドの取り込み増加を生じる、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列における位置408〜410と機能的に等価な1以上の位置での多種多様な置換変異のいずれかを、当分野で知られ、その全体を引用により本明細書に包含させるUS2006/0240439号およびUS2006/0281109号の開示により例示されるように、なし得る。例えば、置換変異は、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるLeu408Alaおよび/またはTyr409Alaおよび/またはPro410Ileと相同の置換変異を含み得る。ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、さらに9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485と機能的に等価に置換変異を含む。例えば、ある態様において、ポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるAla485LeuまたはAla485Valと機能的に等価な置換変異を含む。
【0051】
ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは野生型ポリメラーゼと比較して低減されたエキソヌクレアーゼ活性を含み得る。エキソヌクレアーゼ活性の低減をもたらすことが知られる1以上の位置の多種多様な置換変異のいずれかを、当分野で知られ、US2006/0240439号およびUS2006/0281109号の取り込まれた物質により例示されるように実施し得る。例えば、ある態様において、上記変異に加えて、改変されたポリメラーゼは、さらに、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるAsp141および/またはGlu143と機能的に等価な位置に置換変異を含み得る。
【0052】
ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、さらに、当分野で知られ、US2006/0281109号の取り込まれた物質により例示されるように、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223と機能的に等価な位置の種々のアミノ酸への置換変異を含む。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるCys223Serと機能的に等価な置換変異を含む。
【0053】
ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、当分野で知られ、引用によりその全体を本明細書に包含させるPCT/US2013/031694号に例示されるように、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるThr514および/またはIle521と等価な位置に1以上の変異を含み得る。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるThr514Ala、Thr514Serおよび/またはIle521Leuと機能的に等価な置換変異を含む。
【0054】
ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、当分野で知られ、引用によりその全体を本明細書に包含させるUS特許8,623,628号に例示されるように、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるArg713と等価な位置に1以上の変異を含み得る。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるArg713Gly、Arg713MetまたはArg713Alaと機能的に等価な置換変異を含む。
【0055】
ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、当分野で知られ、引用によりその全体を本明細書に包含させるUS特許8,623,628号
に例示されるように、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるArg743および/またはLys705と等価な位置に1以上の変異を含み得る。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるArg743Alaおよび/またはLys705Alaと機能的に等価な置換変異を含む。
【0056】
ある態様において、上記変異のいずれかに加えて、改変されたポリメラーゼは、内部メチオニンを除去するための1以上のさらなる置換変異を含み得る。例えば、ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°N DNAポリメラーゼアミノ酸配列におけるMet129と機能的に等価な位置の種々のアミノ酸への置換変異を含む。ある態様において、改変されたポリメラーゼは、9°Nポリメラーゼアミノ酸配列におけるMet129Alaと機能的に等価な置換変異を含む。
【0057】
ポリメラーゼ変異
多様なタイプの突然変異誘発が、例えば、上記ポリメラーゼモデルおよびモデル予測に従ってまたは無作為または半無作為変異性を使用して、例えば、バリアントを産生するために、ポリメラーゼを修飾するために、本発明で所望により使用される。一般に、任意の利用可能な突然変異誘発法をポリメラーゼ変異体の製造に使用できる。このような突然変異誘発法は、所望により1以上の目的の活性(例えば、あるヌクレオチドアナログについて、例えば、加ピロリン酸分解低減、変換率向上)について変異体核酸およびポリペプチドを選択することを含む。使用できる方法は、部位特異的点突然変異誘発、無作為点突然変異誘発、インビトロまたはインビボ相同組換え(DNAシャッフリングおよび組み合わせ重複PCR)、ウラシル含有鋳型を使用する突然変異誘発、オリゴヌクレオチド指向突然変異誘発、ホスホロチオエート修飾DNA突然変異誘発、ギャップド・デュプレックスDNAを使用する突然変異誘発、点ミスマッチ修復、修復欠損宿主株を使用する突然変異誘発、制限選択および制限精製、欠失突然変異誘発、総遺伝子合成による突然変異誘発、縮重PCR、二本鎖切断修復および当業者に知られる多くのその他を含むが、これらに限定されない。変異のための開始ポリメラーゼは、例えば、各々、引用によりその全体を本明細書に包含させるUS2006/0240439号およびUS2006/0281109号に同定されるもののような、利用可能なポリメラーゼ変異体を含む、ここに記載するいずれのものであってもよい。
【0058】
所望により、突然変異誘発は、天然に存在するポリメラーゼ分子または既知改変または変異ポリメラーゼからの既知情報、例えば、上記のような配列、配列比較、物理的性質、結晶構造および/またはその他により誘導され得る(例えば、先に記載の引用文献に記載されるような既存の変異体ポリメラーゼを使用して)。しかしながら、他の一群の態様において、修飾は本質的に無作為であり得る(例えば、古典的または“ファミリー”DNAシャッフリングのような、例えば、Crameri et al. (1998) “DNA shuffling of a family of genes from diverse species accelerates directed evolution” Nature 391:288-291)参照。
【0059】
変異形式のさらなる情報は、Sambrook et al., Molecular Cloning--A Laboratory Manual (3rd Ed.), Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 2000 (“Sambrook”); Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (supplemented through 2011) (“Ausubel”)) and PCR Protocols A Guide to Methods and Applications (Innis et al. eds) Academic Press Inc. San Diego, Calif. (1990) (“Innis”)に見ることができる。また、変異の形態の詳細に関して、Arnold, Protein engineering for unusual environments, Current Opinion in Biotechnology 4:450-455 (1993); Bass et al., Mutant Trp repressors with new DNA-binding specificities, Science 242:240-245 (1988); Bordo and Argos (1991) Suggestions for "Safe" Residue Substitutions in Site-directed Mutagenesis 217:721-729; Botstein & Shortle, Strategies and applications of in vitro mutagenesis, Science 229:1193-1201 (1985); Carter et al., Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors, Nucl. Acids Res. 13: 4431-4443 (1985); Carter, Site-directed mutagenesis, Biochem. J. 237:1-7 (1986); Carter, Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors, Methods in Enzymol. 154: 382-403 (1987); Dale et al., Oligonucleotide-directed random mutagenesis using the phosphorothioate method, Methods Mol. Biol. 57:369-374 (1996); Eghtedarzadeh & Henikoff, Use of oligonucleotides to generate large deletions, Nucl. Acids Res. 14: 5115 (1986); Fritz et al., Oligonucleotide-directed construction of mutations: a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro, Nucl. Acids Res. 16: 6987-6999 (1988); Grundstrom et al., Oligonucleotide-directed mutagenesis by microscale ‘shot-gun’ gene synthesis, Nucl. Acids Res. 13: 3305-3316 (1985); Hayes (2002) Combining Computational and Experimental Screening for rapid Optimization of Protein Properties PNAS 99(25) 15926-15931; Kunkel, The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis, in Nucleic Acids & Molecular Biology (Eckstein, F. and Lilley, D. M. J. eds., Springer Verlag, Berlin)) (1987); Kunkel, Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Proc. Natl. Acad. Sci. 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(2001) “Degenerate oligonucleotide gene shuffling (DOGS): a method for enhancing the frequency of recombination with family shuffling” Gene 271:13-20; and Hiraga and Arnold (2003) “General method for sequence-independent site-directed chimeragenesis: J. Mol. Biol. 330:287-296を見ることができる。上記方法のさらなる詳細は、また多様な突然変異誘発法のトラブルシューティング問題の有用なコントロールも記載するMethods in Enzymology Volume 154に見ることができる。
【0060】
組み換えポリメラーゼの製造および単離
一般に、ここに提供するポリメラーゼをコードする核酸は、クローニング、組換え、インビトロ合成、インビトロ増幅および/または他の利用可能な方法により製造できる。多様な組み換え法を、ここに提供するポリメラーゼをコードする発現ベクターを発現するために使用できる。組み換え核酸を製造する、発現するおよび発現産物を単離する方法は周知であり、文献に記載される。多数の例示変異および変異の組み合わせ、ならびに望ましい変異を設計する戦略をここに記載する。ヌクレオチドアナログによる接近の改善を可能にするための活性部位またはその近辺での立体特性の修飾を含む、ポリメラーゼの活性部位における変異を製造および単離する方法は上に、および、例えば、その全体を引用により本明細書に包含させるWO2007/076057号およびPCT/US2007/022459号に見られる。
【0061】
変異、組み換えおよびインビトロ核酸操作法(クローニング、発現、PCRなどを含む)に関するさらなる有用な言及は、Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, Calif. (Berger); Kaufman et al. (2003) Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology and Medicine Second Edition Ceske (ed) CRC Press (Kaufman); and The Nucleic Acid Protocols Handbook Ralph Rapley (ed) (2000) Cold Spring Harbor, Humana Press Inc (Rapley); Chen et al. (ed) PCR Cloning Protocols, Second Edition (Methods in Molecular Biology, volume 192) Humana Press; and in Viljoen et al. (2005)Molecular Diagnostic PCR Handbook Springer, ISBN 1402034032を含む。
【0062】
さらに、細胞からのプラスミドまたは他の関連核酸の精製のための大量のキットが市販されている(例えば、両者とも Pharmacia Biotech由来のEasyPrep.TM., FlexiPrep.TM.;StratageneからのStrataClean.TM.;およびQiagenからのQIAprep.TM.参照)。任意の単離および/または精製核酸をさらに操作して他の核酸を産生する、細胞のトランスフェクトに使用する、発現のために生物を感染させる関連ベクターに取り込むおよび/またはその他を行うことが可能である。典型的クローニングベクターは転写および翻訳ターミネーター、転写および翻訳開始配列および特定の標的核酸の発現の制御に有用なプロモーターを含む。ベクターは、所望により少なくとも一つの独立したターミネーター配列を含む遺伝子発現カセット、真核生物または原核生物または両者におけるカセットの複製を可能にする配列(例えば、シャトルベクター)および原核および真核系両者のための選択マーカーを含む。ベクターは、原核生物、真核生物または両者における複製および組込みに適する。
【0063】
例えば細胞単離および培養(例えば、その後の核酸単離のため)の他の有用な言及は、Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley-Liss, New York and the references cited therein; Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, N.Y.; Gamborg and Phillips (eds) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture; Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York) and Atlas and Parks (eds) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, Flaを含む。
【0064】
ここに開示する組み換えポリメラーゼをコードする核酸もまたここに示す態様の特徴である。特定のアミノ酸は、多数のコドンによりコードされ、ある翻訳系(例えば、原核または真核細胞)はしばしばコドンバイアスを示し、例えば、異なる生物は、しばしば、同じアミノ酸をコードする数同義コドンの一つを好む。すなわち、ここに提供される核酸は、所望により“コドン最適化”されてよく、核酸が、ポリメラーゼの発現に用いる特定の翻訳系により好まれるコドンを含むように合成される。例えば、細菌細胞(または特定の細菌株)におけるポリメラーゼの発現が望ましいとき、核酸は、ポリメラーゼの効率的発現のために、細菌細胞のゲノムで最もしばしば見られるコドンを含むように合成できる。類似する戦略を、真核細胞におけるポリメラーゼの発現が望ましいとき用いることができ、例えば、核酸は、その真核細胞に好まれるコドンを含み得る。
【0065】
多様なタンパク質の単離および検出法が知られ、例えば、ここに提示する組み換えポリメラーゼを発現する細胞の組み換え培養からポリメラーゼを単離するのに使用できる。多様なタンパク質単離および検出法は当分野で周知であり、例えば、R. Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y. (1982); Deutscher, Methods in Enzymology Vol. 182: Guide to Protein Purification, Academic Press, Inc. N.Y. (1990); Sandana (1997) Bioseparation of Proteins, Academic Press, Inc.; Bollag et al. (1996) Protein Methods, 2.sup.nd Edition Wiley-Liss, NY; Walker (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, NJ, Harris and Angal (1990) Protein Purification Applications: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England; Harris and Angal Protein Purification Methods: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England; Scopes (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3.sup.rd Edition Springer Verlag, NY; Janson and Ryden (1998) Protein Purification: Principles, High Resolution Methods and Applications, Second Edition Wiley-VCH, NY; and Walker (1998) Protein Protocols on CD-ROM Humana Press, NJに示すものを含み、ここに引用により包含させる。タンパク質精製および検出法に関するさらなる詳細は、Satinder Ahuja ed., Handbook of Bioseparations, Academic Press (2000)に見ることができる。
【0066】
使用法
ここに示す改変されたポリメラーゼを、合成時解読(SBS)技術のようなシークエンシング法に使用できる。簡潔には、SBSは、標的核酸と1以上の標識ヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどの接触により開始し得る。プライマーが鋳型として標的核酸を使用して伸長する特性は、検出できる標識ヌクレオチドを取り込む。所望により、標識ヌクレオチドは、さらに、ヌクレオチドがプライマーに付加されたら、さらなるプライマー伸長を終結させる可逆性終結性向を含み得る。例えば、可逆性ターミネーター部分を有するヌクレオチドアナログは、その後の伸長が、非ブロック化剤が当該部分を除去するように送達されるまで生じないようにプライマーに添加でき、それゆえに、可逆性終結を使用する態様について、非ブロック化剤をフローセルに送達できる(検出が生じる前または後)。種々の送達工程間に洗浄を実施できる。次いで、サイクルを、nヌクレオチドプライマーを伸長する、それによりn配列長検出するためにn回繰り返してよい。本開示の方法により産生されるアレイでの使用に容易に適用できるSBS法、流体系および検出プラットフォームの例は、例えば、Bentley et al., Nature 456:53-59 (2008)、WO04/018497号;WO91/06678号;WO07/123744号;米国特許7,057,026号;7,329,492号;7,211,414号;7,315,019号または7,405,281号および米国特許公開2008/0108082A1号に記載され、その各々を引用により本明細書に包含させる。
【0067】
ピロシーケンスのようなサイクリック反応を使用する他のシークエンシング法を使用できる。ピロシーケンスは、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に取り込まれるに連れて、無機ピロホスフェート(PPi)の遊離を検出する(Ronaghi, et al., Analytical Biochemistry 242(1), 84-9 (1996); Ronaghi, Genome Res. 11(1), 3-11 (2001); Ronaghi et al. Science 281(5375), 363 (1998);米国特許6,210,891号;6,258,568号および6,274,320号、その各々を引用により本明細書に包含させる)。ピロシーケンスにおいて、遊離PPiを、ATPスルフリラーゼによるアデノシントリホスフェート(ATP)により変換させることにより変換でき、得られたATPを、ルシフェラーゼ産生光子により検出でき、それゆえに、シークエンシング反応を発光検出系によりモニターできる。蛍光ベースの検出系で使用される励起線源はピロシーケンス法では必要ではない。ピロシーケンスの本開示のアレイへの適用に使用できる有用な流体系、検出器および方法は、例えば、WIPO特許出願PCT/US11/57111号、米国特許公開2005/0191698A1号、米国特許7,595,883号および米国特許7,244,559号に記載され、その各々を引用により本明細書に包含させる。
【0068】
ある態様は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを含む方法を利用できる。例えば、ヌクレオチド取り込みを、フルオロフォア担持ポリメラーゼとγ−ホスフェート標識ヌクレオチドの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用またはゼロモード導波路で検出できる。FRETベースのシークエンシングのための技術および試薬は、例えば、Levene et al. Science 299, 682-686 (2003); Lundquist et al. Opt. Lett. 33, 1026-1028 (2008); Korlach et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105, 1176-1181 (2008)に記載され、それらの開示は、引用により本明細書に包含させる。
【0069】
あるSBS態様は、伸長産物へのヌクレオチド取り込みにより遊離されるプロトンの検出を含む。例えば、遊離プロトンの検出に基づくシークエンシングは、Ion Torrent(Guilford, CT, Life Technologies subsidiary)から市販の電気的検出器および関連技術または、その各々を引用により本明細書に包含させる、米国特許出願公開2009/0026082A1号;2009/0127589A1号;2010/0137143A1号;または2010/0282617A1号に記載のシークエンシング法および系を使用できる。
【0070】
よって、ここに提供されるのは、次の成分を相互作用させることを含む、ヌクレオチドアナログをDNAに取り込む方法である:(i)上記態様のいずれかによる改変されたポリメラーゼ、(ii)DNA鋳型;および(iii)ヌクレオチド溶液。ある態様において、DNA鋳型はクラスター化アレイを含む。ある態様において、ヌクレオチドは3’糖ヒドロキシルで修飾され、置換基が天然に存在する3’ヒドロキシル基よりサイズが大きいように3’糖ヒドロキシルで修飾を含む。
【0071】
改変されたポリメラーゼをコードする核酸
さらにここに提供されるのは、ここに示す改変されたポリメラーゼ酵素をコードする核酸分子である。アミノ酸配列および好ましくはまたポリメラーゼをコードする野生型ヌクレオチド配列が知られるポリメラーゼの変異体バージョンである任意のある改変されたポリメラーゼについて、分子生物学の基本的原則により変異体をコードするヌクレオチド配列を得ることが可能である。例えば、9°Nポリメラーゼをコードする野生型ヌクレオチド配列が知られることから、標準遺伝子コードを使用して1以上のアミノ酸置換を有する9°Nの任意のある変異体バージョンをコードするヌクレオチド配列を推定することが可能である。同様に、ヌクレオチド配列は、例えば、Vent
TM、Pfu、Tsp JDF−3、Taqなどのような、他のポリメラーゼの変異体バージョンから容易に由来し得る。必要なヌクレオチド配列を有する核酸分子を、次いで、当分野で知られる標準分子生物学技術を使用して構築できる。
【0072】
ここに示す態様によって、定義した核酸は同一核酸を含むだけでなく、特に、保存的アミノ酸置換における縮重コードにより同義コドン(同一アミノ酸残基を特定する異なるコドン)をもたらす場合の置換を含む、あらゆるマイナー塩基差異も含む。用語“核酸配列”はまた、塩基差異による任意のある一本鎖配列に対する相補的配列も含む。
【0073】
ここに記載する核酸分子はまた、有利に、適当な宿主においてそれからコードされるポリメラーゼタンパク質を発言するための適当な発現ベクターも含み得る。該細胞のその後の形質転換のためのクローン化DNAの適当な発現ベクターへの取り込みおよびその後の形質転換細胞の選択は、Sambrook et al. (1989), Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratoryに提供されるように当業者に周知であり、これは、その全体を引用により本明細書に包含させる。
【0074】
このような発現ベクターは、該DNAフラグメントの発現を実行できる、プロモーター領域のような制御配列に操作可能に連結した、ここに提供する態様による核酸を有するベクターを含む。用語“操作可能に連結”は、記載する要素がその意図される方法で機能することを可能にする関係である、近傍位置をいう。このようなベクターは、ここに提供する態様によるタンパク質の発現を提供するために、適当な宿主細胞にトランスフォームし得る。
【0075】
核酸分子は、成熟タンパク質または、成熟タンパク質を形成するためにその後宿主細胞により開裂されるタンパク質前駆体のリーダー配列を含む、プロ配列を有するタンパク質をコードしてよい。ベクターは、複製起点および所望により該ヌクレオチドの発現のためのプロモーターおよび所望によりプロモーターの制御を備えた、例えば、プラスミド、ウイルスまたはファージベクターであり得る。ベクターは、例えば、抗生物質耐性遺伝子のような、1以上の選択可能マーカーを含み得る。
【0076】
発現に必要な制御要素は、RNAポリメラーゼを結合し、適切なレベルの転写開始を指示するプロモーター配列およびまたリボソーム結合のための翻訳開始配列を含む。例えば、細菌発現ベクターは、lacプロモーターのようなプロモーターおよび翻訳開始のためのシャイン・ダルガーノ配列および開始コドンAUGを含み得る。同様に、真核発現ベクターは、RNAポリメラーゼIIのための異種性または相同プロモーター、下流ポリアデニル化シグナル、開始コドンAUGおよびリボソームの脱離のための終結コドンを含み得る。このようなベクターは商業的に入手しても、記載する配列から当分野で周知の方法により集合させてもよい。
【0077】
高等真核生物によるポリメラーゼをコードするDNAの転写は、ベクターにエンハンサー配列を包含させることにより最適化され得る。エンハンサーは、転写レベルを増加させるようにプロモーターに作用する、DNAのシス作用性要素である。ベクターはまた一般に選択可能マーカーに加えて複製起点を含む。
【実施例】
【0078】
実施例1
一般的アッセイ方法および条件
次の段落は、下記実施例で使用する一般アッセイ条件を記載する。
【0079】
1. ゲルベースのアッセイ
この章は、ポリメラーゼの加ピロリン酸分解活性をモニターするために下記実施例で使用するゲルベースのアッセイを記載する。
簡潔には、例示的修飾ポリメラーゼの加ピロリン酸分解活性を、300nM 酵素と100nM 二本鎖プライマー−鋳型DNAを、それぞれ異なる濃度(0mM、0.125mM、0.25mM、0.5mM、1、2mMおよび4mM)のピロリン酸ナトリウムと、50mM Tris−HCl(pH9.0)、50mM NaCl、1mM EDTA、6mM MgSO
4および0.05%(v/v) Tween−20を含む反応緩衝液中で混合することにより測定した。反応を55℃で1分行い、0.025%ブロモフェノールブルー、30mM EDTAおよび95%脱イオンホルムアミドを含む2×クエンチ溶液を等体積添加することにより停止させた。
【0080】
反応産物を95℃で5分変性させ、15%7M 尿素−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(尿素−PAGE)で分解した。結果を、GE Healthcare Typhoon 8000 PhosphorImagerでゲルを走査することにより可視化した。
二本鎖プライマー−鋳型二本鎖を次のオリゴヌクレオチドのアニーリングにより形成した:
プライマー:5’−
GCTTGCACAGGTGCGTTCGT*−3’
鋳型:5’−CGTTAGTCCA
CGAACGCACCTGTGCAAGC−3’
このプライマーは、オリゴヌクレオチドの5’末端に連結した6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)蛍光色素を含む。最後の“T
*”は、ヌクレオチド上の3’−Oアジドメチル阻害部分を含む。標識プライマーの分解を示すレーンは、対照と比較して増加した加ピロリン酸分解(DNA重合の逆反応)を示す。
【0081】
2. ポリメラーゼのクローニングおよび発現
この章は、下記実施例において使用する多様なポリメラーゼ変異体のクローニングおよび発現に使用する方法を記載する。
突然変異誘発を、標準部位指向突然変異誘発法を使用するポリメラーゼのための主鎖遺伝子配列をコードする遺伝子に実施した。実施した各変異について、変異遺伝子の適切な配列を、クローン化遺伝子配列のシークエンシングにより決定した。
【0082】
ポリメラーゼ遺伝子を、pET11aベクターにサブクローン化し、InvitrogenBからのL21 Star(DE3)発現細胞にトランスフォームした。形質転換細胞を、0.8のOD600に達するまで、2.8L Fernbockフラスコで37℃で培養した。次いで、タンパク質発現を1mM IPTGにより誘発し、続いて3時間、さらに増殖させた。次いで、培養物を7000rpmで20分遠心分離した。細胞ペレットを、精製するまで−20℃で保存した。
【0083】
細菌細胞溶解を、凍結培養物を10×w/v溶解緩衝液(Tris pH7.5、500mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT)に再懸濁することにより実施した。EDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤(Roche)を再懸濁した細胞ペレットに添加した。全溶解および精製工程を4℃で実施した。再懸濁培養物を、細胞溶解を完全にするためにマイクロフルイダイザーを4回とおした。次いでライセートを20,000rpmで20分遠心分離して、細胞残骸を除去した。ポリエチレンイミン(最終濃度0.5%)を、上清に、ゆっくり、撹拌しながら45分天下して、細菌核酸を沈殿させた。ライセートを20,000rpmで20分遠心分離し、ペレットを廃棄した。次いで、ライセートを硫酸アンモニウムで2体積の冷飽和(NH
4)
2SO
4を無菌dH
2O中で使用して沈殿させた。沈殿タンパク質を20,000rpmで20分遠心分離した。タンパク質ペレットを250mLの緩衝液A(50mM Tris pH7.5、50mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT)に再懸濁した。次いで再懸濁ライセートを、緩衝液Aで予め平衡化した5mL SP FastFlowカラム(GE)を使用して精製した。カラムを、0.1〜1M KClの50mL勾配を使用して溶出した。ピークフラクションを貯め、緩衝液C(Tris pH7.5、0.1mM EDTA、1mM DTT)で、伝導率が緩衝液D(Tris pH7.5、50mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT)と等しくなるまで希釈した。次いで、貯留フラクションを5mL HiTrap Heparin Fastflowカラムに載せた。次いでポリメラーゼを、50mM〜1M KClの100mL勾配を使用して溶出した。ピークフラクションを貯め、保存緩衝液(20mM Tris pH7.5、300mM KCl、0.1mM EDTA、50%グリセロール)に対して透析し、−80℃で保存した。
【0084】
3. フェージング/プレフェージング分析
この章は、下記実施例において合成時解読法アッセイで使用したポリメラーゼ変異体の性能を分析するために使用する方法を記載する。
短12サイクルシークエンシング実験を使用して、フェージングおよびプレフェージング値を作成した。実験を、Illumina Genome Analyzer系で実施し、これを製造業者の指示に従い、MiSeq Fast chemistry(Illumina, Inc., San Diego, CA)を流す単レーン系に変換した。例えば、各ポリメラーゼについて、別々の取り込み混合物(IMX)を調製し、4×12サイクルランを、各IMXについて異なる位置を使用して実施した。標準MiSeq試薬製剤を、試験するポリメラーゼで置換した標準ポリメラーゼとともに使用した。使用するDNAライブラリーは、PhiX genomic DNAからの標準TruSeq HTプロトコールに従った(Illumina試薬とともに対照として提供)。Illumina RTAソフトウェアを使用して、フェージングおよびプレフェージングレベルを評価した。
【0085】
実施例2
フェージング/プレフェージングのための9°Nポリメラーゼ変異体の同定およびスクリーニング
3’遮断ポケットにおける残基の飽和突然変異誘発スクリーニングを実施する。実施例1に一般的に記載するように、2つの修飾9°Nポリメラーゼ主鎖配列(配列番号29および31)の変異を産生し、クローン化し、発現させ、精製する。実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、精製変異体ポリメラーゼをバーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号29および31に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、次の変異体を含む一群の変異体を、実施例1に上記のようなフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングする
【0086】
スクリーニングの結果を下記表に要約する。表に示すように、上記変異体の各々は、対照ポリメラーゼ、Pol957またはPol955と比較したとき、フェージングおよびプレフェージングの1以上の予期されないかつ顕著な改善を示す。
【表1】
【0087】
実施例3
9°N WTポリメラーゼの変異体のスクリーニング
サーモコッカス種9°N−7(9°N)野生型ポリメラーゼ主鎖配列(配列番号5)に対する変異を、実施例1に一般的に記載するように産生し、クローン化し、発現させ、精製して、配列番号6〜8に示すアミノ酸配列を有するポリメラーゼ酵素を産生する。
精製変異体ポリメラーゼを、実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、バーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号5に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、一団の変異体を、実施例1に一般的に上記したようにフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングした。次の変異を有するこれらのポリメラーゼは、対照と比較してフェージングおよび/またはプレフェージング活性が改善されていることが示される。
【表2】
【0088】
実施例4
9°N Exo−ポリメラーゼの変異体のスクリーニング
9°N Exo
−ポリメラーゼ主鎖配列(配列番号9)に対する変異を、実施例1に一般的に記載するように産生し、クローン化し、発現させ、精製して、配列番号10〜12に示すアミノ酸配列を有するポリメラーゼ酵素を産生する。
精製変異体ポリメラーゼを、実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、バーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号9に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、一団の変異体を、実施例1に一般的に上記したようにフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングした。次の変異を有するこれらのポリメラーゼは、対照と比較してフェージングおよび/またはプレフェージング活性が改善されていることが示される。
【表3】
【0089】
実施例5
改変された9°Nポリメラーゼの変異体のスクリーニング
改変された9°Nポリメラーゼ主鎖配列(配列番号13)に対する変異を、実施例1に一般的に記載するように産生し、クローン化し、発現させ、精製して、配列番号14〜16に示すアミノ酸配列を有するポリメラーゼ酵素を産生する。
精製変異体ポリメラーゼを、実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、バーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号13に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、一団の変異体を、実施例1に一般的に上記したようにフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングした。次の変異を有するこれらのポリメラーゼは、対照と比較してフェージングおよび/またはプレフェージング活性が改善されていることが示される。
【表4】
【0090】
実施例6
Pfu Exo−ポリメラーゼの変異体のスクリーニング
9°Nポリメラーゼ主鎖配列に対する配列アラインメントの分析に基づき(
図1参照)、パイロコッカス・フリオサス(Pfu)Exo
−ポリメラーゼ主鎖配列(配列番号17)に対する特異的変異を、実施例1に一般的に記載するように産生し、クローン化し、発現させ、精製して、配列番号18〜20に示すアミノ酸配列を有するポリメラーゼ酵素を産生する。
精製変異体ポリメラーゼを、実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、バーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号17に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、一団の変異体を、実施例1に一般的に上記したようにフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングした。次の変異を有するこれらのポリメラーゼは、対照と比較してフェージングおよび/またはプレフェージング活性が改善されていることが示される。
【表5】
【0091】
実施例7
KOD1 Exo−ポリメラーゼの変異体のスクリーニング
9°Nポリメラーゼ主鎖配列への配列アラインメントの分析に基づき(
図1参照)、サーモコッカス・コダカラエンシス(KOD1)Exo
−ポリメラーゼ主鎖配列(配列番号21)に対する特異的変異を、実施例1に一般的に記載するように産生し、クローン化し、発現させ、精製して、配列番号22〜24に示すアミノ酸配列を有するポリメラーゼ酵素を産生する。
精製変異体ポリメラーゼを、実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、バーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号21に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、一団の変異体を、実施例1に一般的に上記したようにフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングした。次の変異を有するこれらのポリメラーゼは、対照と比較してフェージングおよび/またはプレフェージング活性が改善されていることが示される。
【表6】
【0092】
実施例8
MMS2 Exo−ポリメラーゼの変異体のスクリーニング
9°Nポリメラーゼ主鎖配列への配列アラインメントの分析に基づき(
図1参照)、メタノコッカス・マリパルディス(MMS2)Exo
−ポリメラーゼ主鎖配列(配列番号25)に対する特異的変異を、9°Nポリメラーゼとのアラインメントにおける相同性に基づき同定する(
図2参照)。変異体を、実施例1に一般的に記載するように産生し、クローン化し、発現させ、精製して、配列番号26〜28に示すアミノ酸配列を有するポリメラーゼ酵素を産生する。
精製変異体ポリメラーゼを、実施例1に上記したゲルベースのアッセイを使用して、バーストキネティクスについてスクリーニングし、配列番号25に示す配列を有する対照ポリメラーゼと比較する。スクリーニングしたこれらの変異体のうち、一団の変異体を、実施例1に一般的に上記したようにフェージング/プレフェージング活性についてさらにスクリーニングした。次の変異を有するこれらのポリメラーゼは、対照と比較してフェージングおよび/またはプレフェージング活性が改善されていることが示される。
【表7】
【0093】
本明細書をとおして、種々の刊行物、特許および/または特許出願が言及されている。これらの刊行物の記載のその全体を、それにより引用により本明細書に包含させる。
【0094】
用語含むは、ここでは、記載した要素だけでなく、あらゆるさらなる要素を含むことを含む、オープンエンドであることを意図する。
【0095】
多数の態様が記載されている。それにも関わらず、多様な修飾をなし得ることは理解される。よって、他の態様は、特許請求の範囲の範囲内である。