特許第6737873号(P6737873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6737873-ポリマー厚膜銅導体組成物の光焼結 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6737873
(24)【登録日】2020年7月20日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】ポリマー厚膜銅導体組成物の光焼結
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20200730BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20200730BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20200730BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20200730BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20200730BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   H01B1/22 A
   C08L79/08 Z
   C08K3/08
   C08K5/053
   C08K5/09
   H01B13/00 503D
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-507554(P2018-507554)
(86)(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公表番号】特表2018-525789(P2018-525789A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016046116
(87)【国際公開番号】WO2017027493
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】62/204,581
(32)【優先日】2015年8月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/862,254
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セイギ スー
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/050589(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0367619(US,A1)
【文献】 特開2005−325332(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0154181(US,A1)
【文献】 特開2002−348486(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157704(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1835129(CN,A)
【文献】 特開平05−065456(JP,A)
【文献】 特開2014−225338(JP,A)
【文献】 特開2015−032493(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/077448(WO,A1)
【文献】 特開2005−243638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
C08K 3/08
C08K 5/053
C08K 5/09
C08L 79/08
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー厚膜銅導体組成物であって、
(a)0.2〜10μmの平均粒度および0.2〜3.0m2/gの範囲の表面積/質量比を有する粒子を有する銅粉末60〜95wt%と、それが分散された
(b)4〜35wt%の有機媒体であって、
(1)重量でその少なくとも半分がポリイミド樹脂である樹脂2〜7wt%と、それが溶解された
(2)有機溶媒と、を含む有機媒体と、
(c)塩基特性を有さないアルコールを含む還元剤0.25〜2wt%と、
(d)カルボン酸含有化合物を含む粘度安定剤0.0〜2wt%とを含み、
前記wt%がポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基いている、ポリマー厚膜銅導体組成物。
【請求項2】
電気回路に電気導体を形成するための方法であって、
a)基材を提供する工程と、
b)ポリマー厚膜銅導体組成物を提供する工程であって、前記ポリマー厚膜銅導体組成物が、
(i)0.2〜10μmの平均粒度および0.2〜3.0m2/gの範囲の表面積/質量比を有する粒子を有する銅粉末60〜95wt%と、それが分散された
(ii)4〜35wt%の有機媒体であって、
(1)重量でその少なくとも半分がポリイミド樹脂である樹脂2〜7wt%と、それが溶解された
(2)有機溶媒と、を含む有機媒体と、
(iii)塩基特性を有さないアルコールを含む還元剤0.25〜2wt%と、
(iv)カルボン酸含有化合物を含む粘度安定剤0.0〜2wt%とを含み、前記wt%がポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基づいている、工程と、
c)前記ポリマー厚膜銅導体組成物を前記基材上に適用する工程と、
d)前記ポリマー厚膜銅導体組成物を光焼結に供して前記電気導体を形成する工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くの異なった用途において使用するためのポリマー厚膜(PTF)銅導体組成物の光硬化に関する。一実施形態において、ポリマー厚膜銅導体組成物は、ポリイミドなどの薄膜基材上にスクリーン印刷される導体として使用される。ポリマー厚膜銅導体は、グリッド電極として機能する。この組成物はさらに、導電率(低い抵抗率)が必要とされる任意の他の用途に使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電子デバイスにおいて使用するためのポリマー厚膜銅導体組成物に関する。ポリマー厚膜銀導体は、低い抵抗率(<50ミリオーム/sq)と銀の信頼性のために好ましい導体として電子部品において非常に普及している。銀の価格は、高く、したがって、回路部品において使用するのに費用がかかるようになっている。電気的性質をほとんど損なわずにコストを低減した、銀に代わる選択肢が求められている。このような別の選択肢を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、
(a)0.2〜10μmの平均粒度および0.2〜3.0m2/gの範囲の表面積/質量比を有する粒子を有する銅粉末60〜95wt%と、それが分散された
(b)(1)重量でその少なくとも半分がポリイミド樹脂である樹脂2〜7wt%と、それが溶解された
(2)有機溶媒と、を含む有機媒体4〜35wt%と、
(c)塩基特性を有さないアルコールを含む還元剤0.25〜2wt%と、
(d)カルボン酸含有化合物を含む粘度安定剤0.0〜2wt%とを含むポリマー厚膜銅導体組成物を提供し、
wt%はポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基づいている。
【0004】
一実施形態において樹脂の全てがポリイミド樹脂である。
【0005】
一実施形態において還元剤は、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0006】
一実施形態において、粘度安定剤は、オレイン酸、ステアリン酸またはそれらの混合物などの有機酸である。
【0007】
ポリマー厚膜銅導体組成物は光焼結によって硬化され得る。
【0008】
また、本発明は、
a)基材を提供する工程と、
b)本発明のポリマー厚膜銅導体組成物を提供する工程と、
c)前記ポリマー厚膜銅導体組成物を前記基材上に適用する工程と、
d)前記ポリマー厚膜銅導体組成物を光焼結に供して前記電気導体を形成する工程とを含む、電気回路に電気導体を形成するための方法を提供する。
【0009】
実施形態において、方法は、厚膜銅導体組成物を乾燥させる工程をさらに含み、この工程は、工程(c)の後で工程(d)の前に実施される。組成物は、全ての溶剤を除去するために必要な時間および温度で処理される。乾燥後の光焼結は、抵抗率を低減する。
【0010】
また、本発明は、本発明のポリマー厚膜銅導体組成物を使用して形成されるかまたは上述の方法の実施形態のいずれかによって形成される電気導体を含む電気デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】比較実験および実施例において使用されるスクリーン印刷されたペーストの蛇行パターンを図解する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一般的には、厚膜組成物は、適切な電気的機能特性を組成物に付与する機能相を含む。機能相は、機能相のためのキャリアとして作用する有機媒体中に分散された電気的機能性粉末を含む。一般的に、厚膜技術において、組成物を焼成して有機化合物を焼尽し、電気的機能性を与える。しかしながら、ポリマー厚膜組成物の場合、溶剤以外の有機化合物は、乾燥後に組成物の一体部分として残る。本明細書中で用いられるとき「有機化合物」は、厚膜組成物のポリマー、樹脂またはバインダー成分を含む。これらの用語は交換可能に使用されてもよく、それら全てが同じことを意味する。
【0013】
一実施形態において、ポリマー厚膜導体銅組成物は、ポリマー樹脂と溶剤とを含む有機媒体中に分散された銅粉末を含むポリマー厚膜銅導体組成物である。ポリマー厚膜導体銅組成物のこの実施形態において使用される成分は、以下に考察される。
【0014】
本明細書で用いる「重量パーセント」を「wt%」と略記する。
【0015】
ポリマー厚膜銅導体組成物
A.銅導体粉末
ポリマー厚膜銅導体組成物中の電気的機能性粉末は、銅導体粉末である。
【0016】
銅粉末の粒径および形状は特に重要であり、適用方法に適していなければならない。一実施形態において粒子は、球状の形状である。別の実施形態において粒子はフレークの形態である。さらに別の実施形態において粒子は不規則な形状である。また、銅粒子の粒度分布は本発明の有効性に関して重要である。実際的な問題として、粒度は、1〜100μmの範囲である。実施形態において、平均粒度は0.2〜10μmである。さらに、銅粒子の表面積/質量比は、0.2〜3.0m2/gの範囲である。一実施形態において、銅粒子は、フレークの形態である。
【0017】
ポリマー厚膜銅導体組成物は、60〜95wt%の銅粉末からなり、そこでwt%は、ポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基づいている。
【0018】
更に、少量の1つまたは複数の他の金属を銅導体組成物に添加して導体の性質を改良してもよいことは公知である。こうした金属のいくつかの例には、金、銀、ニッケル、アルミニウム、白金、パラジウム、モリブデン、タングステン、タンタル、スズ、インジウム、ランタン、ガドリニウム、ホウ素、ルテニウム、コバルト、チタン、イットリウム、ユウロピウム、ガリウム、硫黄、亜鉛、珪素、マグネシウム、バリウム、セリウム、ストロンチウム、鉛、アンチモン、導電性炭素、およびそれらの組合せ、ならびに厚膜組成物の当技術分野において一般的なその他のものが含まれる。更なる金属は、全組成物の約1.0重量パーセントまで構成してもよい。
【0019】
B.有機媒体
銅粉末を典型的に、機械混合によって有機媒体(ビヒクル)と混合して、印刷のために適した稠度およびレオロジーを有する、「ペースト」と呼ばれるペースト状組成物を形成する。有機媒体は、固形分が十分な安定度を有して分散し得る有機媒体でなければならない。有機媒体のレオロジー性質は、それらが組成物に良好な適用性を与えるものでなければならない。このような性質には、十分な安定度を有する固形分の分散、組成物の良好な適用、適切な粘度、チキソトロピー、基材および固形分の適切な湿潤性、良好な乾燥速度、および荒っぽい取扱いに耐えるために十分な乾燥膜強度などが含まれる。
【0020】
有機媒体は、有機溶剤中の樹脂の溶液を含む。一実施形態においては、重量にして少なくとも半分の樹脂がポリイミド樹脂であり、一実施形態においては、全ての樹脂がポリイミド樹脂である。
【0021】
実施形態において、ポリイミド樹脂は、式I:
【0022】
【化1】
[式中、XがC(CH32、O、S(O)2、C(CF32、O−Ph−C(CH32−Ph−O、O−Ph−O−であるかまたはC(CH32、O、S(O)2、C(CF32、O−Ph−C(CH32−Ph−O、O−Ph−O−のうちの2つ以上の混合物であり;
Yがジアミン成分であるかまたはm−フェニレンジアミン(MPD)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2−アミノフェノール)(6F−AP)、ビス−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA);2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(DAM)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニル)]プロパン(BAPP)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB−133)、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビス−A−AF)、4,4’−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]、およびビスアニリン(ビスアニリン−M)からなる群から選択されるジアミン成分の混合物であり、ただし、
i.XがOである場合、Yがm−フェニレンジアミン(MPD)、ビス−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)および3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA);BAPP、APB−133、またはビスアニリン−Mでなく;
ii.XがS(O)2である場合、Yが3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)でなく;
iii.XがC(CF32である場合、Yがm−フェニレンジアミン(MPD)、ビス−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(BAPS)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)、または3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)でなく;および
iv.XがO−Ph−C(CH32−Ph−OまたはO−Ph−O−である場合、Yがm−フェニレンジアミン(MPD)、FDA、3,4’−ODA、DAM、BAPP、APB−133、またはビスアニリン−Mでない]によって表される。
【0023】
一実施形態においてポリイミドを乾燥および粉末状態で調製するには、最初にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)溶剤中のポリアミド酸を製造し、前記ポリアミド酸の分子量をエンドキャッピング添加剤で制御し、次に化学的にイミド化して、DMAC溶液へのニートメタノールの添加を使用してポリイミドポリマーを沈澱させる公知の方法によってモノマー2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6F−AP)およびヘキサフルオロイソプロピリデンビス−フタル酸二無水物(6−FDA)を33/10/57(TFMB/6F−AP/6−FDA)の比で反応させる。沈殿物をニートメタノールで数回洗浄し、濾過し、次に約200°Cで乾燥させて乾燥した且つ取り扱える粉末を形成し、DMAC残留物を0.1%重量未満に低減した。得られた粉末を乾燥させて室温で貯蔵するかまたはペースト組成物を形成するために調製して溶剤中に溶解することができる。
【0024】
ポリマー厚膜銅導体組成物は、4〜35wt%の有機媒体からなり、そこでwt%は、ポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基づいている。有機媒体は、重量にして少なくともその半分がポリイミド樹脂である2〜7wt%の樹脂からなり、そこでwt%は、ポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基づいている。
【0025】
C.還元剤
銅粉末は一般的に、酸化第二銅、酸化第一銅、水酸化銅、またはこれらの酸化物の2種以上の混合物からなる酸化物外層を有する。酸化物層は絶縁体であり、したがって、導体として銅粉末の性能を阻害し得る。従って、印刷されたトレースの抵抗率は、望ましくないほど高くなり得る。したがって、ペースト組成物は、光焼結プロセスの間に酸化銅層を銅金属に還元することができる有機化合物を含有する。これに適した有機化合物には、塩基特性を有さないアルコールが含まれる。
【0026】
ポリマー厚膜銅導体組成物は、塩基特性を有さないアルコールを含む還元剤0.25〜2wt%からなり、wt%は、ポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基いている。一実施形態において還元剤は、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
D.粘度安定剤
ポリマー厚膜銅導体組成物は、カルボン酸含有化合物を含む粘度安定剤0.0〜2wt%からなる。一実施形態において、粘度安定剤は、オレイン酸、ステアリン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される有機酸である。
【0028】
厚膜の適用
ポリマー厚膜ペースト組成物は、電気デバイスにおいて使用される基材に典型的な基材上に堆積される。典型的な実施形態において、基材はガスおよび湿分に対して不透過性である。基材は一枚の可撓性材料であり得る。可撓性材料は、ポリイミドフィルム、例えばKapton(登録商標)などの不透過性材料であり得る。また、材料はポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートであるかまたはプラスチックシートとその上に堆積される任意選択の金属層または誘電体層との組合せから構成される複合材料であり得る。基材はアルミナ、アルミニウムまたは加工温度に耐えることができる任意の材料であり得る。
【0029】
ポリマー厚膜導電性組成物の堆積は好ましくはスクリーン印刷によって行われるが、ステンシル印刷、シリンジ分配またはコーティング技術などの他の堆積技術を利用することができる。スクリーン印刷の場合、スクリーンメッシュサイズは、堆積された厚膜の厚さを制御する。
堆積された厚膜導電性組成物は乾燥されてもよく、すなわち、溶剤は、例えば数分間130°Cに熱暴露することによって蒸発される。
【0030】
光焼結
光焼結は、光を使用して高温焼結をもたらす。典型的に、光源を提供するためにフラッシュランプが使用され、短いオン時間の高出力および数ヘルツ〜数十ヘルツの範囲のデューティ・サイクルで運転される。光焼結工程は短く、典型的にI分未満である。また、光焼結は、光硬化と称されてもよい。光焼結装置の商業製造元の例には、NovaCentrix Corp. (Austin,TX)およびXenon Corp.(Wilmington,MA)が含まれる。
【0031】
堆積された厚膜導体組成物の光焼結は、低い抵抗率を有する導体を提供する。
【0032】
一実施形態において、光焼結の前に、堆積された厚膜導体組成物は、低温において、典型的に80℃において5〜10分間熱暴露することによって乾燥される。別の実施形態において、堆積された厚膜導体組成物は、光焼結の前に乾燥されない。
【0033】
本発明は、実施例を示すことによってさらに詳細に考察される。しかしながら、本発明の範囲は、これらの実施例によっていかなる点からも限定されない。
【実施例】
【0034】
実施例及び比較実験
基材Kapton(登録商標)(500HPP−ST)および無被覆FR−4基材はDuPont(登録商標)およびMoog Componentsからそれぞれ得られ、そして2.5インチ×3.5インチのサイズに切断後に受入れたまま使用された。
低損失Itera基材はInsulectro.を通してIsolaから得られた。
【0035】
実施例で使用されるポリイミド樹脂は、TFMB、6F−APおよび6−FDAを33/10/57の比で反応させることによって上に記載されたように調製された。
【0036】
Sn96.5%Ag3.0%Cu0.5%の組成を有するSAC合金をはんだぬれ試験のために使用した。アルファ611またはKester952フラックスのどちらかを使用した。はんだぬれ試験において硬化された試料は典型的に、225〜250oCに維持されたSAC合金ポット中に3〜10秒間浸漬された。
【0037】
比較実験A
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用してスクリーン印刷可能なPTFCu導体組成物が調製された。有機媒体を調製するため、約135,000の数平均分子量を有するSt.Jeanのポリイミド樹脂を溶剤、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル(DBE−3)およびジエチルアジペートの混合物中に溶解した。有機媒体は26wt%の樹脂、31wt%のブチルカルビトールアセテート、11wt%の二塩基性エステル(DBE−3)および31wt%のジエチルアジペートを含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0038】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
75wt% 銅粉末
20wt% 有機媒体
2.2wt% トリエタノールアミン
1.2% ブチルカルビトールアセテート
0.4wt% 二塩基性エステル(DBE−3)
1.2wt% ジエチルアジペート
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0039】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。しかしながらペーストはすぐにゲル化し、スクリーン印刷プロセスにおいて使用されるのに適していなかった。
【0040】
また、上述の組成物中のトリエタノールアミンの代わりにジエタノールアミンを使用してポリマー厚膜銅導体ペーストを調製した。ペーストはまた、すぐにゲル化し、スクリーン印刷可能でなかった。
【0041】
比較実験B
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用して、スクリーン印刷可能なポリマー厚膜Cu導体組成物を調製した。有機媒体を調製するため、溶媒、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル(DBE−3)およびジエチルアジペートの混合物中に日本合成化学(Nippon Gohsei、日本)製のNichigoTP249ポリエステル樹脂を溶解した。有機媒体は、26wt%の樹脂、31wt%のブチルカルビトールアセテート、11wt%の二塩基性エステル(DBE−3)および31wt%のジエチルアジペートを含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0042】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
79.7wt% 銅粉末
19wt% 有機媒体
1.3wt% グリセロール
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0043】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)基材上に印刷された蛇行パターンが図1に示される。325メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80℃で10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0044】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:230V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、3.3J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は50Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると11.4μmであった。したがって抵抗率を計算すると38mΩ/□/milであった。
【0045】
試料を使用して上述の方法ではんだ湿潤性および耐はんだ浸出性が試験された。例として、35Ωの抵抗を有する試料は、3秒間SACポット内に浸漬された後に格子線がほとんど完全に消えたことを示した。
【0046】
比較実験C
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用して、スクリーン印刷可能なポリマー厚膜Cu導体組成物を調製した。有機媒体を調製するため、溶媒、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル(DBE−3)およびジエチルアジペートの混合物中に日本合成化学(Nippon Gohsei、日本)製のNichigoTP249ポリエステル樹脂を溶解した。有機媒体は40wt%の樹脂、30wt%のブチルカルビトールアセテート、および30wt%のジエチルアジペートを含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0047】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
73.6wt% 銅粉末
24.6wt% 有機媒体
1.8wt% グリセロール
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0048】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)基材上に印刷された蛇行パターンが図1に示される。325メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80℃で10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0049】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:215V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、2.8J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は47Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると10.4μmであった。したがって抵抗率を計算すると19.6mΩ/□/milであった。
【0050】
試料を使用して上述の方法ではんだ湿潤性および耐はんだ浸出性が試験された。例として、38.4Ωを有する試料は、3秒間SACポット内に浸漬された後に格子線がほとんど完全に消えたことを示した。
【0051】
比較実験D
4μmの平均粒度を有する銅フレーク(CI−4000F,Ames Goldsmith Corp,South Glen Falls,NY)を使用してポリマー厚膜銅導体組成物を調製した。有機媒体を調製するため、溶媒、Dowanol(登録商標)DPMジプロピレングリコールメチルエーテル(Dow Chemical Co.,Midland,MI)中に約20,000の数平均分子量を有するフェノキシ樹脂(InChem Corp製のPKHH(登録商標)樹脂)を溶解した。有機媒体は20wt%の樹脂および80wt%溶媒を含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0052】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
73.5wt% 銅粉末
17.5wt% 有機媒体
1.7wt% グリセロール
7.3wt% Dowanol(登録商標)DPM
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0053】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)基材上に印刷された蛇行パターンが図1に示される。325メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80℃で10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0054】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:230V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、3.3J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は68Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると9.4μmであった。したがって抵抗率を計算すると42.6mΩ/□/milであった。
【0055】
これらの試料を使用して上述の方法ではんだ湿潤性が試験された。試料は不十分な耐はんだ浸出性を示した。実施例のために、3秒間SAC合金ポット内に浸漬された試料は約25%剥離(線の破断)を示した。
【0056】
実施例1
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用して、スクリーン印刷可能なポリマー厚膜Cu導体組成物を調製した。有機媒体を調製するため、溶媒、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル(DBE−3)およびジエチルアジペートの混合物中に約135,000の数平均分子量を有するSt.Jean製のポリイミド樹脂を溶解した。有機媒体は26wt%の樹脂、31wt%のブチルカルビトールアセテート、11wt%の二塩基性エステル(DBE−3)および31wt%のジエチルアジペートを含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0057】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
73.5wt% 銅粉末
17.3wt% 有機媒体
1.7wt% グリセロール
3% ブチルカルビトールアセテート
1.5wt% 二塩基性エステル(DBE−3)
3wt% ジエチルアジペート
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0058】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)基材上に印刷された蛇行パターンが図1に示される。325メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80℃で10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0059】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:230V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、3.3J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は32.6Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると9.8μmであった。したがって抵抗率を計算すると21.2mΩ/□/milであった。
【0060】
はんだ湿潤性および耐はんだ浸出性が試料を使用して上述の方法で試験された。例として、10秒間はんだポット内に浸漬された33Ωの抵抗を有する試料は10秒間SACポット内に浸漬された後にはんだぬれを示さず、30.2Ωの抵抗を示した。対照的に、3秒間はんだポット内に浸漬された試料から約40%のはんだぬれが観察されたが、しかしながら、5秒間浸漬された試料ははんだぬれを示さなかった。ボイドまたは線剥離などの欠陥は試料のいずれからも検出されなかった。
【0061】
また、組成物を使用して、厚さ0.028インチのFR−4および厚さ0.030インチのItera基材上に600の四角形蛇行パターンをスクリーン印刷した。325メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80oCで10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0062】
次に、Kapton(登録商標)基材上に作製された試料を硬化するために使用されたのと同じプロフィルを使用して、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。処理後に、測定された配線抵抗はFR−4上で41.5Ω、Itera上で59.6Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定するとFR−4上で11.2μmおよびItera上で11.4μmであり、それらはそれぞれ31および45mΩ/□/milの抵抗率の計算値をもたらした。
【0063】
実施例2
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用して、スクリーン印刷可能なPTFCu導体組成物を調製した。有機媒体を調製するため、約135,000の数平均分子量を有するSt.Jeanのポリイミド樹脂を溶剤、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル(DBE−3)およびジエチルアジペートの混合物中に溶解した。有機媒体は26wt%の樹脂、31wt%のブチルカルビトールアセテート、11wt%の二塩基性エステル(DBE−3)および31wt%のジエチルアジペートを含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0064】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
73.5wt% 銅粉末
17.3wt% 有機媒体
0.7wt% グリセロール
1wt% ジエチレングリコール
3% ブチルカルビトールアセテート
1.5wt% 二塩基性エステル(DBE−3)
3wt% ジエチルアジペート
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0065】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)基材上に印刷された蛇行パターンが図1に示される。325メッシュステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80oCで10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0066】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:230V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、3.3J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は33.6Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると9.6μmであった。したがって抵抗率を計算すると21.5mΩ/□/milであった。
【0067】
試料を使用して上述の方法ではんだ湿潤性および耐はんだ浸出性が試験された。例として、29.2Ωを有する試料は10秒間SACポット内に浸漬された後にはんだぬれを示さず、22.5Ωの抵抗を示した。対照的に3秒間または5秒間はんだポット内に浸漬された試料からそれぞれ約50%および20%のはんだぬれが観察された。はんだに浸漬した試料から剥離またはボイドなどの欠陥は観察されなかった。
【0068】
実施例3
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用して、スクリーン印刷可能なポリマー厚膜Cu導体組成物を調製した。ポリイミド有機媒体を調製するため、溶媒、ブチルカルビトールアセテート(31wt%)、二塩基性エステル(DBE−3、11wt%)およびジエチルアジペート(31wt%)の混合物中に約135,000の数平均分子量を有するSt.Jean製のポリイミド樹脂(27wt%)を溶解した。フェノキシ有機媒体を調製するため、フェノキシ樹脂(InChemCorp製のPKHH(登録商標)樹脂、20wt%)をDowanol(登録商標)DPM(80%)に溶解したが、そこでwt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0069】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
73.5wt% 銅粉末
13.8wt% ポリイミド有機媒体
3.5wt% フェノキシ有機媒体
1.7wt% グリセロール
2.4% ブチルカルビトールアセテート
1.2wt% 二塩基性エステル(DBE−3)
2.4wt% ジエチルアジペート
1.5wt% Dowanol(登録商標)DPM
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0070】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)基材上に印刷された蛇行(serpertine)パターンが図1に示される。325メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80℃で10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0071】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:230V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、3.3J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は44Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると10μmであった。したがって抵抗率を計算すると26.3mΩ/□/milであった。
【0072】
試料を使用して上述の方法ではんだ湿潤性および耐はんだ浸出性が試験された。例として、46.9Ωを有する試料は3秒間SACポット内に浸漬された後に90%超のはんだぬれを示し、25.8Ωの抵抗を示したが欠陥は形成されず、5秒間または10秒間浸漬された試料は60〜80%のはんだぬれを示したが、剥離またはボイドなどの軽欠陥があった。
【0073】
実施例4
4ミクロンの平均粒度を有する銅フレークを使用して、スクリーン印刷可能なPTFCu導体組成物を調製した。有機媒体を調製するため、約135,000の数平均分子量を有するSt.Jeanのポリイミド樹脂を溶剤、ブチルカルビトールアセテート、二塩基性エステル(DBE−3)およびジエチルアジペートの混合物中に溶解した。有機媒体は26wt%の樹脂、31wt%のブチルカルビトールアセテート、11wt%の二塩基性エステル(DBE−3)および31wt%のジエチルアジペートを含有し、wt%は有機媒体の全重量に基づいている。次に、銅粉末を有機媒体中に分散させた。
【0074】
ポリマー厚膜銅導体組成物の成分は、
71.3wt% 銅粉末
16.4wt% 有機媒体
0.5wt% グリセロール
5.7wt% ブチルカルビトールアセテート
5.6wt% 二塩基性エステル(DBE−3)
0.5wt% オレイン酸
であり、wt%は組成物の全重量に基づいている。
【0075】
成分を配合し、この組成物をシンキー(Thinky)タイプのミキサー内で60秒間混合した。この組成物を使用して、600の四角形の蛇行パターンをKapton(登録商標)フィルム上にスクリーン印刷した。Kapton(登録商標)上に印刷された蛇行パターンは図1に示される。325メッシュステンレス鋼スクリーンを使用して、いくつかのパターンを印刷し、銅ペーストを80oCで10分間乾燥させた。試料は測定可能な抵抗を生じなかった。
【0076】
次に、乾燥された蛇行パターンを光焼結に供した。NovaCentrix(Austin,TX)によって製造されたPulseForge 3200焼結装置を使用した。装置は任意のモードで運転された。プロセス設定は以下の通りであった:パルス電圧:230V、5つのマイクロパルス:200、100、1500、1500、および1500μsecで構成し、3.3J/cm2に等しいエネルギーを生じるパルス、オーバーラップ係数:2.2、ウェブ速度:25FPM。処理後に、測定された配線抵抗は39.8Ωであった。600の四角形パターンについての平均の導体厚さは、プロフィルメータを使用して測定すると8.3μmであった。したがって抵抗率を計算すると22mΩ/□/milであった。
【0077】
試料を使用して上述の方法ではんだ湿潤性および耐はんだ浸出性が試験された。例として、40.2Ωを有する試料は3秒間SACポット内に浸漬された後に約40%のはんだぬれならびに26.6Ωの抵抗を示し、10秒間浸漬された38.8Ωを有する試料は、約70%のはんだぬれおよび24.5Ωの抵抗を示した。はんだに浸漬した試料から剥離またはボイドなどの欠陥は観察されなかった。
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
[1]ポリマー厚膜銅導体組成物であって、
(a)0.2〜10μmの平均粒度および0.2〜3.0m2/gの範囲の表面積/質量比を有する粒子を有する銅粉末60〜95wt%と、それが分散された
(b)4〜35wt%の有機媒体であって、
(1)重量でその少なくとも半分がポリイミド樹脂である樹脂2〜7wt%と、それが溶解された
(2)有機溶媒と、を含む有機媒体と、
(c)塩基特性を有さないアルコールを含む還元剤0.25〜2wt%と、
(d)カルボン酸含有化合物を含む粘度安定剤0.0〜2wt%とを含み、
前記wt%がポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基いている、ポリマー厚膜銅導体組成物。
[2]前記還元剤が、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載のポリマー厚膜銅導体組成物。
[3]前記還元剤がグリセロールである、[2]に記載のポリマー厚膜銅導体組成物。
[4]前記粘度安定剤が、オレイン酸、ステアリン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載のポリマー厚膜銅導体組成物。
[5]前記粘度安定剤がオレイン酸である、[4]に記載のポリマー厚膜銅導体組成物。
[6]電気回路に電気導体を形成するための方法であって、
a)基材を提供する工程と、
b)ポリマー厚膜銅導体組成物を提供する工程であって、前記ポリマー厚膜銅導体組成物が、
(i)0.2〜10μmの平均粒度および0.2〜3.0m2/gの範囲の表面積/質量比を有する粒子を有する銅粉末60〜95wt%と、それが分散された
(ii)4〜35wt%の有機媒体であって、
(1)重量でその少なくとも半分がポリイミド樹脂である樹脂2〜7wt%と、それが溶解された
(2)有機溶媒と、を含む有機媒体と、
(iii)塩基特性を有さないアルコールを含む還元剤0.25〜2wt%と、
(iv)カルボン酸含有化合物を含む粘度安定剤0.0〜2wt%とを含み、前記wt%がポリマー厚膜銅導体組成物の全重量に基づいている、工程と、
c)前記ポリマー厚膜銅導体組成物を前記基材上に適用する工程と、
d)前記ポリマー厚膜銅導体組成物を光焼結に供して前記電気導体を形成する工程とを含む、方法。
[7]前記ポリマー厚膜導体組成物を乾燥させる工程をさらに含み、乾燥させる前記工程が工程(c)の後で工程(d)の前に行われる、[6]に記載の方法。
[8]前記還元剤が、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択され、前記粘度安定剤が、オレイン酸、ステアリン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、[6]に記載の方法。
[9][1]に記載のポリマー厚膜銅導体組成物から形成される電気導体を含む電気デバイス。
[10][6」に記載の方法によって形成される電気導体を含む電気デバイス。
図1