(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738101
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】透明な固体化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20200730BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20200730BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20200730BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20200730BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/365
A61K8/362
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/36
A61K8/02
A61Q19/00
A61Q1/06
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-563990(P2018-563990)
(86)(22)【出願日】2017年1月25日
(86)【国際出願番号】JP2017002534
(87)【国際公開番号】WO2018138802
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年7月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391066319
【氏名又は名称】高級アルコール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】荒平 奈々
(72)【発明者】
【氏名】川合 清隆
【審査官】
駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/139092(WO,A1)
【文献】
特開2004−285012(JP,A)
【文献】
特開2004−217612(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2016−0123845(KR,A)
【文献】
特開2009−114161(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/128639(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0143837(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C09C1/00−3/12;C09D15/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布後に色が変化する無色透明な固体化粧料であって、ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)を含む2種以上のアミノ酸系ゲル化剤3〜8重量%と、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸および乳酸からなる群から選択される水溶性有機酸0.0001〜5.0重量%と、トリエチルヘキサノイン、コハク酸ジエチルヘキシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチルおよびヘキサイソノナン酸ジペンタエリスリチルからなる群から選択される油剤20〜70重量%と、炭化水素油25〜75重量%と、C.I.番号がC.I.45350、C.I.45370、C.I.45425、C.I.45410、C.I.45440、C.I.45100、C.I.45170、C.I.45380、C.I.45430、C.I.45190である染料から選択される染料と、イソステアリン酸とを含み、透過率が50%以上であり、ここで、ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)とジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)との配合比が75:25〜40:60である、前記無色透明な固体化粧料。
【請求項2】
水溶性有機酸が、クエン酸である、請求項1に記載の無色透明な固体化粧料。
【請求項3】
炭化水素油が、水添ポリイソブテンである、請求項1または2に記載の無色透明な固体化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚へ塗布した際に発色する、透明な固体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メークアップ化粧料において、無色あるいは透明な化粧料であって唇への塗布後に発色するものが市販されている。
【0003】
透明な化粧料であって、唇への塗布後に発色する化粧料としては「ユアリップオンリーグロス(成分:リンゴ酸ジイソステアリル、水添ポリイソブテン、トリエチルヘキサノイン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメチルシリル化シリカ、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルドデカノール、ジブチルラウロイルグルタミド、エチルパラベン、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、エチルパラベン、トコフェロール、トリイソステアリン酸ポリギリセリル−2、赤色218号(C.I.番号45410)からなる液状のグロス)」などが市販されているが、これは透明な固体化粧料ではない。
【0004】
また、唇への塗布後に発色するリップバームとしては、「ユアリップオンリーバーム(成分:ジフェニルジメチコン、オクチルドデカノール、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、パルミチン酸デキストリン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、フェノキシエタノール、トコフェロール、赤色218号(C.I.番号45410)、赤色104号、青色1号からなる固体化粧料)」などが市販されている。しかしながら、その透明度は非常に低い上、硬度が高く、皮膚への付着性や使用感にも問題がある。
【0005】
さらに、透明な固体化粧料であって、唇への塗布後に発色する化粧料としては、中国製製品(メーカー名:カイリジュメイ)のリップバームが市販されているが、その色合いは少し黄色みがかっており、無色透明ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体化粧料において、透過率が高く皮膚への塗布後に色が変化することを楽しむ嗜好性の高い化粧品が期待されている。このような固体化粧料において、より高度な透明性を保持することができ、かつ付着性の良い高品質な固体化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するため、化粧料において透明度を高める成分について鋭意研究を進める中で、ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)のアミノ酸系ゲル化剤に着目し、これらを含む固体化粧料が、透明度50%以上と
いう高度な無色透明性を示すことを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下[1]〜[11]に関する。
[1]塗布後に色が変化する透明な固体化粧料であって、ジブチルラウロイルグルタミドおよびジブチルエチルヘキサノイルグルタミドを含む2種以上のアミノ酸系ゲル化剤を含み、透過率が50%以上である、透明な固体化粧料。
[2]アミノ酸系ゲル化剤の濃度が3〜8%である、[1]に記載の透明な固体化粧料。
[3]ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)の配合比率が、75:25〜40:60である、[1]または[2]に記載の透明な固体化粧料。
[4]水溶性有機酸をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の透明な固体化粧料。
[5]水溶性有機酸が、0.1%水溶液のpHが3以下の酸である、[1]〜[4]のいずれかに記載の透明な固体化粧料。
[6]水溶性有機酸が、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、リン酸または乳酸である、[4]または[5]に記載の透明な固体化粧料。
[7]水溶性有機酸が、クエン酸またはリン酸である、[4]〜[6]のいずれかに記載の透明な固体化粧料。
[8]炭化水素油および油剤をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の透明な固体化粧料。
[9]炭化水素油の配合割合が25〜75重量%である、[8]に記載の透明な固体化粧料。
[10]炭化水素油が、水添ポリイソブテンである、[8]または[9]に記載の透明な固体化粧料。
[11]油剤が、トリエチルヘキサノイン、ラウリン酸ヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸イソブチル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチル
グリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、オクチルドデカノール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ジリノール酸ジイソプロピル、トリイソステアリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ヘキサイソノナンサンジペンタエリスリチル、またはリンゴ酸ジイソステアリルである、[8]〜[10]のいずれかに記載の透明な固体化粧料。
【発明の効果】
【0008】
塗布後に色が変化する透明な固体化粧料の素材としてより高い透明度を呈するものを求めるに際し、ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)は工業的規模で調製する際の取扱いが困難な物質であり、また近年その取り扱いを容易にするオクチルドデカノールまたはセタノールとの配合物(高級アルコール工業株式会社製:AJK−OD2046等)が用いられるようになってきとはいえ、依然としてその調製は容易とはいえない中で、これまで当該用途には用いられたことのないジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)をあえて配合することにより、これまでにない無色で50%以上の透明度を有する固体化粧料が得られたことは驚くべきことである。しかも、本発明は同時に付着性および使用感の良い固体化粧料を達成することもできた。
【0009】
本発明の固体化粧料は、ゲル化剤の濃度によりゲル強度を、またアミノ酸系ゲル化剤間の配合率を調製することにより透過率を調整することができる。
【0010】
また、本発明において、染料としてとりわけC.I.番号が45410等のフルオレセイン系の染料を用いる場合には、水溶性有機酸を加えることにより、染料のフルオレセイン構造のラクトン部分が開環してカルボン酸となることを防ぐことで無色透明を維持し、皮膚への塗布後に着色することができる高品質な固体化粧料を得ることができる。また、本発明の透明化粧料においては、様々な装飾を加えることによりその外観を楽しむことができる固体化粧料とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、油剤としてトリヘキサノイン、炭化水素油として水添ポリイソブテンを用いた実施例1の処方において、酸の添加による効果を比較した図である。リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、リン酸および乳酸を用いた場合には無色であり、EDTA・2Na、アスコルビン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、リノール酸、イソステアリン酸を用いた場合には赤色を呈した。
【
図2】
図2は、実施例2においてクエン酸の有無による透明度の違いを比較した図である。クエン酸ありの場合には無色、クエン酸なしの場合には赤色を呈した。
【
図3】
図3は、実施例3おいて炭化水素油の有無による透明度の違いを比較した図である。炭化水素油なしの場合には白濁し、炭化水素油ありの場合には透明であった。また、塗布後は赤色を呈した。
【
図4】
図4は、実施例4においてトリエチルヘキサノインと水添ポリイソブテンの配合比率による透明度の違いを比較した図である。トリエチルヘキサノインと水添ポリイソブテンの配合比率が95:0〜30:65の場合にはほぼ無色、20:75〜0:95の場合には赤色を呈した。
【
図5】
図5は、実施例5において、ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)の配合比率を変化させ、ゲル強度および透過率を比較した図である。GP−1:EB−21が75:25〜40:60の場合には無色、100:0、25:75および0:100の場合には青色を呈した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における油剤としては、限定されないが、トリエチルヘキサノイン、ラウリン酸ヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸イソブチル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチル
グリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、オクチルドデカノール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ジリノール酸ジイソプロピル、トリイソステアリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ヘキサイソノナンサンジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、
【0013】
アジピン酸ジイソブチル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2/ダイマージリノール酸)コポリマー、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ミリストイルメチルアラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)、(ジグリセリン/ジリノール酸/ヒドロキシステアリン酸)コポリマー等を用いることができ、
【0014】
好ましくはトリエチルヘキサノイン、ラウリン酸ヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸イソブチル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチル
グリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、オクチルドデカノール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ジリノール酸ジイソプロピル、トリイソステアリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ヘキサイソノナンサンジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリルを用いることができる。
【0015】
本発明で用いられる染料としては、限定されないが、C.I.番号が、C.I.20170、C.I.20470、C.I.60725、C.I.60730、C.I.42090、C.I.73015、C.I.73000、C.I.42052、C.I.69825、C.I.42090、C.I.61520、C.I.74160、C.I.61570、C.I.61565、C.I.59040、C.I.42095、C.I.42053、C.I.10020、C.I.42085、C.I.45350、C.I.47005、C.I.47000、C.I.21090、C.I.19140、C.I.11680、C.I.18950、C.I.10316、C.I.11380、C.I.11390、C.I.13065、C.I.18820、C.I.15985、C.I.45370、C.I.12075、C.I.21110、C.I.15510、C.I.45425、C.I.11725、C.I.14600、C.I.12100、C.I.16255、C.I.45410、C.I.45440、C.I.45100、C.I.16185、C.I.15850、C.I.15585、C.I.15630、C.I.45170、C.I.15800、C.I.15880、C.I.12120、C.I.45380、C.I.26100、C.I.73360、C.I.17200、C.I.12085、C.I.45430、C.I.45190、C.I.12315、C.I.15865、C.I.26105、C.I.16155、C.I.16150、C.I.14700、C.I.12140、C.I.15620である染料、好ましくはC.I.番号がC.I.45350、C.I.45370、C.I.45425、C.I.45410、C.I.45440、C.I.45100、C.I.45170、C.I.45380、C.I.45430、C.I.45190であるフルオレセイン系染料、最も好ましくは、C.I.番号がC.I.45410である染料を用いることができる。
本発明で染料とともに用いられる水溶性有機酸としては、0.1%水溶液のpHが3以下の酸であり、限定されないが、例えば無水シュウ酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸等であり、好ましくはリンゴ酸、クエン酸、コハク酸、リン酸または乳酸であり、より好ましくはリンゴ酸、クエン酸、コハク酸であり、特に好ましくはクエン酸またはリン酸である。
【0016】
また、水溶性有機酸の配合量は、0.0001%〜5.0%であり、好ましくは、0.001%〜0.1%である。
【0017】
本発明において透明度を上げるために炭化水素油が用いられる。炭化水素油は限定されないが、水添ポリイソブテンを用いることができ、限定されないが、例えばその重合度により、パールリーム18またはパールリーム24を用いることができる。
【0018】
アミノ酸系ゲル化剤の濃度はゲル強度、皮膚への付着性および使用感等の観点から定められるところ、その濃度としては、3〜8%が好ましい。
アミノ酸系ゲル化剤間の配合率は透過率の観点から定められるところ、その配合率としては、GP−1:EB−21が75:25〜40:60%の範囲が好ましい。
実施例1.
油剤としてトリヘキサノイン、炭化水素油として水添ポリイソブテンを用いた以下の処方において、各種酸の添加による効果を比較した。
図1に結果を示す。
リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、リン酸または乳酸を用いた場合に透明となった。上記結果より、0.1%水溶液でのpHが3以下の水溶性酸において透明になることがわかった。
【0019】
実施例2.
リップスティックを製造し、発色を生じない炭化水素油のロット、発色を生じる炭化水素油のロットを用いた場合のクエン酸の有無による透明度の違いを比較した。
図2に結果を示す。
クエン酸を用いることにより、透明なリップスティックを製造することができた。また得られたリップスティックはつやに優れ、なめらかな使用感を有するものであった。
【0020】
実施例3.
イソステアリン酸を含む以下の処方によりリップスティックを製造し、炭化水素油または/およびイソステアリン酸を含まないリップスティックとその透明度を比較した。
図3に結果を示す。
炭化水素油である水添イソブテンが無い場合、リップスティックは白濁した。また、イソステアリン酸を含まなくても調整可能であったが、イソステアリン酸を含む場合には、ジブチルラウロイルグルタミドおよびジブチルエチルヘキサノイルグルタミドの溶解性が増し、透明度が増すことがわかった。
【0021】
実施例4.
油剤(トリエチルヘキサノイン(TOG))とイソブテンの配合比率による透明度の違いを比較した。
図4に結果を示す。
水添ポリイソブテンの含有量が25〜75重量%において透過率が50%以上となることがわかった。
【0022】
実施例5.
ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)の配合比率の違いによる、ゲル強度および透過率の変化を調べた。
図5に結果を示す。
ジブチルラウロイルグルタミド(GP−1)およびジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(EB−21)は、各々単独で用いた場合には透過率が著しく低く、ジブチルラウロイルグルタミド:ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドが、75〜40%:25〜60%の配合比率である場合に高い透過率となることが確認できた。