(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、身体のあらゆる箇所を冷却するために用いることができ、かつ、手軽にいつでも使用できる身体用冷却具を提供する。また、本発明は、高い保温性を実現することができる身体用保温具も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の身体用冷却具による第一の態様は、
身体の所定の箇所に巻き付けて当該箇所を冷却するための身体用冷却具において、
細長形状からなり吸水性材料を有する冷却部材と、
前記冷却部材の端部に設けられた弾性部材と、
を備え、
前記吸水性材料に水分を含ませることで前記吸水性材料が膨張し、前記吸水性材料に含まれた水分が気化する際に奪う熱によって冷却機能を発揮し、
前記身体の所定の箇所に巻き付けた際に、前記弾性部材の弾性力により前記冷却部材が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、前記吸水性材料の密度を上げることで冷却効率を高める。
【0006】
本発明の身体用冷却具による第一の態様は、
前記吸水性材料を内包する袋部をさらに備え、
前記吸水性材料は吸水性ポリマーであってもよい。
【0007】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記吸水性材料は吸水性生地であってもよい。
【0008】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記弾性部材は幅5mm以上のバンド形状となっていてもよい。
【0009】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記弾性部材は、前記冷却部材に対して着脱自在となっていてもよい。
【0010】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記弾性部材は、所定の引っ張り力が加わった場合に、前記冷却部材から外れるようになっていてもよい。
【0011】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記弾性部材の前記冷却部材に対する取り付け位置又は前記冷却部材の前記弾性部材に対する取り付け位置を変更できてもよい。
【0012】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記弾性部材の長さ又は前記冷却部材の長さが調整自在となっていてもよい。
【0013】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記冷却部材の端部の一端に第一冷却部材取付部が設けられ、前記冷却部材の端部の他端に第二冷却部材取付部が設けられ、
前記弾性部材の端部の一端に第一弾性取付部が設けられ、前記弾性部材の端部の他端に第二弾性取付部が設けられ、
前記第一冷却部材取付部が前記第一弾性取付部と着脱自在となるとともに前記第二冷却部材取付部が前記第二弾性取付部と着脱自在となり、かつ、前記第一冷却部材取付部が前記第二冷却部材取付部とも着脱自在となってもよい。
【0014】
本発明の身体用冷却具による第一の態様は、
前記弾性部材と長さの異なる補助用弾性部材をさらに備えてもよい。
【0015】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記冷却部材の所定箇所に切り込みが設けられ、当該切り込みによって前記冷却部材の長手方向に直交する方向において前記冷却部材を曲げることができ、
前記冷却部材は、少なくとも人体の首の後側を冷却するとともに、前記人体の耳の上方を通過可能となっていてもよい。
【0016】
本発明の身体用冷却具による第一の態様において、
前記冷却部材の所定箇所に連結具が設けられ、当該連結具によって前記冷却部材の二つの箇所を連結することで前記冷却部材の長手方向に直交する方向において前記冷却部材を曲げることができ、
前記冷却部材は、少なくとも人体の首の後側を冷却するとともに、前記人体の耳の上方を通過可能となっていてもよい。
【0017】
本発明の身体用冷却具による第二の態様は、
身体の所定の箇所に巻き付けて当該箇所を冷却するための身体用冷却具において、
細長形状からなり第一吸水性材料を有する第一冷却部材と、
細長形状からなり第二吸水性材料を有する第二冷却部材と、
前記第一冷却部材の両端に着脱自在となり、かつ、前記第二冷却部材の両端にも着脱自在となった弾性部材と、
を備え、
前記第一吸水性材料及び前記第二吸水性材料に水分を含ませることで前記第一吸水性材料及び前記第二吸水性材料の各々が膨張し、前記第一吸水性材料及び前記第二吸水性材料に含まれた水分が気化する際に奪う熱によって冷却機能を発揮し、
前記第一冷却部材の端部は前記第二冷却部材の端部にも着脱自在となり、
前記第一冷却部材の両端に前記弾性部材の両端を取り付けた使用方法、前記第二冷却部材の両端に前記弾性部材の両端を取り付けた使用方法、及び、前記第一冷却部材の一端を前記第二冷却部材の他端に取り付け、前記第一冷却部材の他端を前記弾性部材の他端に取り付け、前記第二冷却部材の一端を前記弾性部材の一端に取り付けた使用方法のいずれかを選択することができ、
前記身体の所定の箇所に巻き付けた際に、前記弾性部材の弾性力により前記第一冷却部材、前記第二冷却部材又は前記第一冷却部材と前記第二冷却部材の両方が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、前記吸水性材料の密度を上げることで冷却効率を高めることができることを特徴とする身体用冷却具。
【0018】
本発明の身体用冷却具による第二の態様は、
前記第一冷却部材の前記第一吸水性材料の密度が前記第一冷却部材の前記一端側で前記他端側よりも高くなり、
前記第二冷却部材の前記第二吸水性材料の密度が前記第二冷却部材の前記他端側で前記一端側よりも高くなり、
前記第一冷却部材の一端を前記第二冷却部材の他端に取り付け、前記第一冷却部材の他端を前記弾性部材の他端に取り付け、前記第二冷却部材の一端を前記弾性部材の一端に取り付けた使用方法において、前記弾性部材と反対側の端部で前記第一冷却部材の前記第一吸水性材料の密度が前記弾性部材側の端部における前記第一冷却部材の前記第一吸水性材料の密度よりも高くなり、かつ、前記弾性部材と反対側の端部で前記第二冷却部材の前記第二吸水性材料の密度が前記弾性部材側の端部における前記第二冷却部材の前記第二吸水性材料の密度よりも高くなってもよい。
【0019】
本発明の身体用保温具は、
身体の所定の箇所に巻き付けて当該箇所を温めるための身体用保温具において、
保温性を有する保温部材と、
前記保温部材の端部に設けられた弾性部材と、
を備え、
前記身体の所定の箇所に巻き付けた際に、前記弾性部材の弾性力により前記保温部材が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、前記保温部材の密度を上げることで熱伝導性及び保温効率を高める。
【発明の効果】
【0020】
本発明の身体用冷却具は、身体の如何なる箇所でも用いることができる。また、本発明の身体用冷却具では吸水性材料が採用されているので、吸水性材料に水分を含ませるだけでいつでも冷却機能を発揮させることができる。さらに、本発明によれば、身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材の弾性力により冷却部材が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、吸水性材料の密度を上げることができる。このため、吸水性材料間に伝わる熱伝導性を高めることができ、その結果、吸水性材料に含まれた水分の気化効率を高めることができ、冷却効率の高い身体用冷却具を提供することができる。また、本発明は、同様の発想から、高い保温性を実現することができる身体用保温具も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る身体用冷却具の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図12は本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。
【0023】
本実施の形態の身体用冷却具は、例えば頭部、腕部、脚部、腰部等の身体の所定の箇所に巻き付けて当該箇所を冷却するためのものである。この身体用冷却具は、
図1に示すように、吸水性材料11(
図2参照)と、細長形状からなり吸水性材料11を内包する袋部15とを有する冷却部材10と、袋部15の端部に設けられた弾性部材20と、を備えている。そして、冷却部材10を例えば水に浸すことで、袋部15から浸透した水分が吸水性材料11に含まれ、その結果、吸水性材料11が膨張する。そして、このように吸水材料に含まれた水分が気化することで熱が奪われ、冷却機能を果たすことができるものである。なお、
図2は吸水性材料11が水分を含んで膨張した態様を示している。
図1に示すように、袋部15は長手方向に沿って縫われており(長手方向に沿った縫い目があり)、吸水性材料11が水分を含んで膨張した際に
図2に示されるように略円筒形状になって膨らむようになっている。
【0024】
また、本実施の形態の身体用冷却具では、身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により冷却部材10が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、袋部15内の吸水性材料11の密度を上げることで冷却効率を高めることができる。
【0025】
吸水性材料11の例としては、吸水性ポリマー、吸水性シート、吸水性生地、吸水性不織布等を挙げることができる。但し、水分を効率よく含んで膨張し、このようにして膨張したものの密度を高めることで冷却するという観点からは、吸水性材料11は吸水性ポリマーであることが好ましい。
【0026】
上述したように、水分を効率よく含んで膨張し、このようにして膨張したものの密度を高めることで冷却するという観点からは、吸水性ポリマーでも、
図12(b)に示すように直径が1800μm以上もある一般的な吸水性ポリマーではなく、最大直径が150μm以下、好ましくは
図12(a)に示すように120μm以下となった超微細な吸水性ポリマー(吸水性材料)11であることが有益である。
【0027】
また、吸水性材料11に対して抗菌処理及び/又は防臭処理の施されていることが好ましい。また、吸水性材料11として吸水性ポリマーを採用する際には、吸水性ポリマーの各々に対して抗菌処理及び/又は防臭処理が施されていることが好ましい。
【0028】
また、上述したように、水分を効率よく含んで膨張し、このようにして膨張したものの密度を高めることで冷却するという観点からは、袋部15は綿で形成されていることが好ましい。このような綿を採用することで、吸水性材料11に水分を吸収させる際の効率を高めることができ、かつ、このように吸水性材料11に含まれた水分が蒸発する際の効率も高めることができる。また、袋部15も抗菌処理及び/又は防臭処理が施されていることが好ましい。なお、袋部15の材料としては、上述した綿以外にも、ポリエステル、ナイロン、アクリル、麻、レーヨン及びこれらを組み合わせたものを用いることもできる。
【0029】
なお、袋部15の材料に綿を採用し、吸水性材料11として
図12(a)に示したような超微細な吸水性ポリマーを採用した場合には、冷却部材10を水に浸して1〜2分程度で各吸水性ポリマーに水分を含ませることができる。
【0030】
弾性部材20の弾性力により冷却部材10が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、袋部15内の吸水性材料11の密度を上げることができれば、どのような弾性部材20も用いることができる。弾性部材20の例としては、バンド形状のもの、ひも形状のもの等を挙げることができる。但し、冷却部材10をバランス良く身体の所定の箇所に押し付け、袋部15内の吸水性材料11の密度を均等に上げるという観点からは、弾性部材20はある程度の幅をもっていることが好ましく、例えば幅5mm以上のバンド形状となっていることが好ましく、幅10mm以上のバンド形状となっていることがさらに好ましく、幅20mm以上のバンド形状となっていることがさらにより好ましい。
【0031】
上述した弾性部材20は、冷却部材10の袋部15に対して例えば縫製で固定する態様を採用してもよいが、
図1に示すように、冷却部材10の袋部15に対して着脱自在となった態様を採用してもよい。なお、弾性部材20を例えば縫製で固定した場合には、着脱自在となった態様と異なり、弾性部材20及び冷却部材10のいずれかを紛失してしまう危険性を低減することができる。
【0032】
弾性部材20が冷却部材10の袋部15に対して着脱自在となっている場合には、
図1に示すように、袋部15の端部の一端(
図1の右側の端部)に第一袋取付部(第一冷却部材取付部)16が設けられ、袋部15の端部の他端(
図1の左側の端部)に第二袋取付部(第二冷却部材取付部)17が設けられ、第一袋取付部16が第二袋取付部17に対して着脱自在となっていてもよい。
【0033】
さらに、このように第一袋取付部16が第二袋取付部17に対して着脱自在となっている場合には、弾性部材20の端部の一端(
図1の左側の端部)に第一弾性取付部21が設けられ、弾性部材20の端部の他端(
図1の右側の端部)に第二弾性取付部22が設けられ、第一袋取付部16が第一弾性取付部21と着脱自在となるとともに第二袋取付部17が第二弾性取付部22と着脱自在となっている態様を採用することもできる。
【0034】
上述した第一袋取付部16及び第二袋取付部17の一例としては、第一袋取付部16及び第二袋取付部17の一方が面ファスナーの雄となり、第一袋取付部16及び第二袋取付部17の他方が面ファスナーの雌となっているものを挙げることができる。また、上述した第一弾性取付部21及び第二弾性取付部22の一例としては、第一弾性取付部21及び第二弾性取付部22の一方が面ファスナーの雄となり、第一弾性取付部21及び第二弾性取付部22の他方が面ファスナーの雌となっているものを挙げることがえきる。なお、第一袋取付部16が第一弾性取付部21と着脱自在となるとともに第二袋取付部17が第二弾性取付部22と着脱自在となるためには、第一袋取付部16が面ファスナーの雄である場合には、第一弾性取付部21が面ファスナーの雌であり、第二袋取付部17が面ファスナーの雌であり、第二弾性取付部22が面ファスナーの雄となる。他方、第一袋取付部16が面ファスナーの雌である場合には、第一弾性取付部21が面ファスナーの雄であり、第二袋取付部17が面ファスナーの雄であり、第二弾性取付部22が面ファスナーの雌となる。
【0035】
図1の第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21及び第二弾性取付部22の各々が面ファスナーである場合であって、第一袋取付部16に設けられた面ファスナーが
図1の紙面の表側に位置しているときには、第二袋取付部17に設けられた面ファスナーが
図1の紙面の裏側に位置することとなる。また、第一弾性取付部21に設けられた面ファスナーが
図1の紙面の裏側に位置しているときには、第二弾性取付部22に設けられた面ファスナーが
図1の紙面の表側に位置することとなる。そして、第一袋取付部16に設けられた面ファスナーに第一弾性取付部21に設けられた面ファスナーを取り付け、かつ、第二袋取付部17に設けられた面ファスナーに第二弾性取付部22に設けられた面ファスナーを取り付けることで、冷却部材10に弾性部材20を取り付けることができる。
【0036】
弾性部材20が冷却部材10の袋部15に対して着脱自在となっている場合には、上述した面ファスナーの他にも様々な態様を用いることができ、例えば、クリップ、ボタン、磁石、留め穴及びフック、チャック、バックル等を用いて、弾性部材20を袋部15に対して着脱自在とすることができる。より具体的には、弾性部材20の一端と冷却部材10の一端をクリップで留めるとともに弾性部材20の他端と冷却部材10の他端をクリップで留めることもできる。また、弾性部材20の一端に設けられたボタンと冷却部材10の一端に設けられたボタンとを留めるとともに、弾性部材20の他端に設けられたボタンと冷却部材10の他端に設けられたボタンとを留めることもできる。また、弾性部材20の一端に設けられた磁石と冷却部材10の一端に設けられた磁石とを留めるとともに、弾性部材20の他端に設けられた磁石と冷却部材10の他端に設けられた磁石とを留めることもできる。また、弾性部材20の一端に設けられたフック又は留め穴と冷却部材10の一端に設けられた留め穴又はフックとを留めるとともに、弾性部材20の他端に設けられたフック又は留め穴と冷却部材10の他端に設けられた留め穴又はフックとを留めることもできる。また、弾性部材20の一端と冷却部材10の一端とをチャックで留めるとともに、弾性部材20の他端と冷却部材10の他端とをチャックで留めることもできる。また、弾性部材20の一端及び冷却部材10の一端の一方にバックルを設け当該バックルで他方を挟み込んで留めるとともに、弾性部材20の他端及び冷却部材10の他端の一方にバックルを設け当該バックルで他方を挟み込んで留めることもできる。
【0037】
上述した、面ファスナー、クリップ、ボタン、磁石、留め穴及びフック、チャック並びにバックルの各々が、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)となることができる。また、これら面ファスナー、クリップ、ボタン、磁石、留め穴及びフック、チャック並びにバックルの各々による留め方は適宜組み合わせることができ、例えば、弾性部材20の一端と冷却部材10の一端をクリップで留め、弾性部材20の他端と冷却部材10の他端をチャックで留めることもできる。
【0038】
また、弾性部材20の両端又は一端は、冷却部材10に対して取り付け位置を変更できるようになっていてもよい。
図3に示す態様では、冷却部材10の袋部15の一端に複数(より具体的には3つ)の第一袋取付部16が設けられ、冷却部材10の袋部15の他端に複数(より具体的には3つ)の第二袋取付部17が設けられた態様となっている。そして、弾性部材20の両端が、冷却部材10に対して取り付け位置を変更できるようになっている。なお、このような態様のより具体的な例としては、袋部15の一端及び他端の両端の各々に複数の面ファスナーが設けられている態様、袋部15の一端及び他端の両端の各々に複数のボタンが設けられている態様、袋部15の一端及び他端の両端の各々に複数の磁石が設けられている態様等を採用することができる。ちなみに、冷却部材10の両端又は一端が、弾性部材20に対して取り付け位置を変更できるようになっていてもよい。つまり、弾性部材20の両端又は一端に複数の第一弾性取付部21及び/又は第二弾性取付部22が設けられ、どの第一弾性取付部21及び/又は第二弾性取付部22を冷却部材10の第一袋取付部16及び第二袋取付部17に取り付けるかで、冷却部材10の両端又は一端が、弾性部材20に対して取り付け位置を変更できるようになっていてもよい。
【0039】
また、
図4に示すように、弾性部材20の長さが調整自在となっていてもよい。一例としては、弾性部材20が長さ調整部25を有しており、この長さ調整部25の長さを調整することで、弾性部材20の長さを調整してやればよい。なお、
図4の上側の図面は調整部25で弾性部材20の長さを短くした際のものであり、
図4の下側の図面は調整部25で弾性部材20の長さを長くした際のものである。ちなみに、冷却部材10の袋部15に当該袋部15の長さを調整するための調整部が設けられ、袋部15の長さを調整することで冷却部材10の長さが調整自在となっていてもよい。
【0040】
また、袋部15の一端及び他端の一方に穴部が設けられており、袋部15の一端及び他端の他方の端部に弾性部材20の端部が取り付けられていてもよい。
図5に示した態様では、袋部15の一端に穴部16aが設けられており、袋部15の他端に弾性部材20の他端が取り付けられている。なお、袋部15の他端と弾性部材20の他端とは固着されていてもよいし着脱自在となっていてもよい。
図5に示す態様では、弾性部材20の一端に面ファスナー21aが設けられており、弾性部材20の一端を穴部16aに通して折り返すことで、当該面ファスナー21aが折り返した先の弾性部材20の表面21bに取り付けられるようになっていればよい。この態様では、穴部16aを通して折り返した後の面ファスナー21aの弾性部材20の表面21bに対する取り付け位置を調整することで、実質的に、弾性部材20の長さを調整することができる。なお、請求の範囲で記載された「弾性部材の長さが調整自在」という文言は、このような態様も含んでいる。
【0041】
また、
図6に示すように、本実施の形態の身体用冷却具は、弾性部材20と長さの異なる補助用弾性部材40をさらに備えていてもよい。この補助用弾性部材40は、弾性部材20と長さ以外は同じ構成となっている。そして、弾性部材20の代わりに補助用弾性部材40を用いることで、身体の異なる部位に身体用冷却具を用いることができる。その一例としては、弾性部材20が人体の頭部に巻くためのものであり比較的短い場合には、人体の腰部に巻くための比較的長い補助用弾性部材40が設けられていてもよいし、人体の腕に巻くための更に短い補助用弾性部材40が設けられていてもよい。この補助用弾性部材40は3つ以上設けられていてもよく、頭部、腕部、脚部、腰部等の様々な箇所に合致した長さとなっていればよい。ところで、本願において「身体」とは「人体」のみならず、人間以外の動物の体を含む概念となっている。
図6に示すように、この補助用弾性部材40の端部の一端には第一弾性取付部21に対応した第一補助用弾性取付部41が設けられ、補助用弾性部材40の端部の他端には第二弾性取付部22に対応した第二補助用弾性取付部42が設けられている。
【0042】
また、
図7に示すように、本実施の形態の袋部15の所定箇所に切り込み18が設けられ、当該切り込み18によって袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げることができるようになっていてもよい。この態様において、冷却部材10は、少なくとも人体の首の後側を冷却するとともに、人体の耳の上方を通過可能となっていればよい。この態様は、主に、人体の頸部の後ろ側を冷やすために用いられる。なお、左右対称に袋部15を折り曲げるという観点からは、2つの切り込み18は、袋部15の長手方向に直交するとともに袋部15の中心を通過する面に対して、対称な位置に設けられていることが好ましい。
【0043】
切り込み18の代わりに又は切り込み18に加えて、袋部15の所定箇所に袋連結具(連結具)19a,19bが設けられ、当該袋連結具19a,19bによって袋部15の二つの箇所を連結することで袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げることができるようになっていてもよい。この態様において、冷却部材10は、少なくとも人体の首の後側を冷却するとともに、人体の耳の上方を通過可能となっていればよい。この態様も、主に、人体の頸部の後ろ側を冷やすために用いられる。なお、この袋連結具19a,19bは、例えばボタン、磁石、面ファスナー、チャック等であり、袋連結具19aを袋連結具19bに連結することによって、袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げることができるようになる。また、この態様でも、左右対称に袋部15を折り曲げるという観点からは、2つの袋連結具19a,19bは、袋部15の長手方向に直交するとともに袋部15の中心を通過する面に対して、対称な位置に設けられていることが好ましい。
【0044】
ところで、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)として面ファスナーを採用した場合には、片手でも簡単に取り外すことができる。また、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)としてクリップを採用した場合には、クリップで挟む箇所を変えることによって、袋部15に対する弾性部材20の取付位置を適宜調整することができるし、片手でも簡単に取り外すことができる。また、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)としてボタンを採用した場合には、ボタンでしっかりと取り付けることができる。また、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)として磁石を採用した場合には、磁石同士を近づけるだけで簡単に取り付けることができ、また、片手でも簡単に取り外しが可能となる。また、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)として留め穴及びフックの組み合わせを採用した場合には、片手でも簡単に取り外しが可能となる。また、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)としてチャックを採用した場合には、しっかりと取り付けることができ、またその形状をユニークなものとしてデザイン性に優れたものにすることができる。また、取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)としてバックルを採用した場合には、しっかりと取り付けることができる。
【0045】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
【0046】
本実施の形態の身体用冷却具は、身体の如何なる箇所でも用いることができる。また、本実施の形態の身体用冷却具では吸水性材料11が採用されているので、吸水性材料11に水分を含ませるだけでいつでも冷却機能を発揮させることができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により冷却部材10が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、袋部15内の吸水性材料11の密度を上げることができる。このため、袋部15内の吸水性材料11間に伝わる熱伝導性を高めることができ、その結果、吸水性材料11に含まれた水分の気化効率を高めることができ、冷却効率の高い身体用冷却具を提供することができる。
【0048】
また、本実施の形態では身体用冷却具が吸水性材料11を有している。そして、この吸水性材料11は、袋部15から浸透した水分を吸収し膨張するものであり、柔らかい感触となっている。このため、弾性部材20によって締め付けられても、締め付けた部分で違和感を感じにくくなっており、締め付けて袋部15内の吸水性材料11の密度を上げることで冷却効率を高めたとしても、ユーザに違和感を持たせないようにすることができる点で有益である。
【0049】
本実施の形態では、吸水性材料11が水分を含んで膨張した際に
図2に示されるように円筒形状(略円筒形状を含む。)になって膨らむようになっている。より具体的には、
図2に示すように、吸水性材料11が2本の円筒形状(略円筒形状を含む。)となって膨らみ、この2本の円筒形状の吸水性材料11が身体に当接されることとなる。このように吸水性材料11が円筒形状となることで、締め付けられても、本実施の形態の身体用冷却具を装着したユーザの感じる違和感を低減することができる。また、1本ではなく複数(本実施の形態では2本)の円筒形状を形成するようにすることで、ユーザと身体用冷却具との接触する面積を増やしつつ、その厚み(袋部15の長手方向及び短手方向を含む面に直交する方向の厚み)を適度なものにして水分の気化を効率よく起こさせることができ、ひいては高い冷却効率を実現することができる。
【0050】
本実施の形態において、吸水性材料11として吸水性ポリマーを採用した場合には、弾性部材20で締め付けた際に密度をより均一に高めることができ、冷却効率を高めることができる。とりわけ、最大直径が150μm以下、好ましくは120μm以下(
図12(a)参照)となった超微細な吸水性ポリマー(吸水性材料)11である場合には、弾性部材20で締め付けた際に、密度をさらに高めることができることから好ましい。このように吸水性材料11として吸水性ポリマーを採用した場合には、弾性部材20で締め付けると、
図12(a)で示した吸水性ポリマー11の各々が凝集して、その密度が高くなる。
【0051】
また、弾性部材20がバンド形状、特に幅5mm以上のバンド形状、さらには幅10mm以上のバンド形状、よりさらには幅20mm以上のバンド形状となっている場合には、冷却部材10がバランス良く身体の所定の箇所に押し付け、袋部15内の吸水性材料11の密度を均等に上げることができる点で好ましい。
【0052】
また、弾性部材20が冷却部材10の袋部15に対して着脱自在となっている態様を採用した場合には、冷却部材10のみで使用することと、冷却部材10に弾性部材20を取り付けた態様で使用することとを適宜選択することができる。また、所定の引っ張り力を加えることで、弾性部材20が冷却部材10の袋部15に対して取り外し自在となる態様を採用することもできる。この場合には、所定の引っ張り力が加わったときに、弾性部材20が冷却部材10の袋部15から外されることから、安全性を高めることができる。より具体的は、例えば工場内で本実施の形態による身体用冷却具を用いた場合、工場内の機械に本実施の形態の身体用冷却具に絡まってしまう可能性が「0」とは言えない。このような事態が発生した際に、所定の引っ張り力が加わった場合に弾性部材20が冷却部材10の袋部15から取り外される態様となっていれば、機械に巻き込まれた身体用冷却具の弾性部材20と冷却部材10とが自然に外れることから、ユーザが巻き込まれることを防止することができる。なお、このような態様に用いられる取付部(第一袋取付部16、第二袋取付部17、第一弾性取付部21、第二弾性取付部22等)としては、面ファスナー、磁石等を挙げることができる。
【0053】
また、弾性部材20が冷却部材10の袋部15に対して着脱自在となっており、かつ、袋部15の端部の一端に第一袋取付部16が設けられ、袋部15の端部の他端に第二袋取付部17が設けられ、第一袋取付部16が第二袋取付部17に対して着脱自在となっている場合には、弾性部材20で締め付けつつ冷却部材10を身体の所定の箇所に巻き付けるという使い方の他に、冷却部材10だけを身体の他の箇所に巻き付けるという使い方もすることができる。このため、本実施の形態の身体用冷却具の使用方法の用途を広げることができ、ユーザの広いニーズに応えることができる。
【0054】
また、弾性部材20の両端又は一端が、冷却部材10に対して取り付け位置を変更できるようになっている態様を採用した場合には(
図3参照)、弾性部材20を巻き付ける際の締め付け度合いを調整したり、ユーザの身体の大きさに合わせて取り付け位置を変更したりすることができ、ユーザの要望に沿うことができる点で有益である。
【0055】
また、弾性部材20の長さが調整自在となった態様を採用した場合にも(
図4参照)、弾性部材20を巻き付ける際の締め付け度合いを調整したり、ユーザの身体の大きさに合わせて弾性部材20の長さを調整したりすることができ、ユーザの要望に沿うことができる点で有益である。
【0056】
また、弾性部材20と長さの異なる補助用弾性部材40をさらに備えた態様を採用した場合には(
図6参照)、身体の異なる部位に身体用冷却具を用いることができる。このため、本実施の形態の身体用冷却具の使用方法の用途をさらに広げることができ、ユーザの広いニーズに応えることができる。
【0057】
本実施の形態の袋部15の所定箇所に切り込み18が設けられ、当該切り込み18によって袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げることができる態様を採用した場合には(
図7参照)、例えば人体の頭部を冷却するという使用方法の他に、人体の首の後側を冷却するという使用方法を違和感なく採用することができる。つまり、仮に切り込み18によって袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げることができる態様となっていない場合には、人体の首の後側に袋部15を持ってきた際には、当該袋部15が耳にかかってしまうことから、どうしてもその位置を耳の上方にずらすことが必要となる(そうしないと耳が塞がれてしまい物音が聞こえなくなる。)。このように袋部15の位置を耳の上方にずらすと、最も冷やして気持ちいいと人が感じる、頸部の後ろ側を冷やすことができなくなってしまう。この点、切り込み18によって袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げるという態様を採用することで、吸水性材料11を内包した袋部15を人体の耳の上方を通過させつつ、最も冷やして気持ちいいと人が感じる襟足の下側に当てることができ、頸部の後ろ側を冷やすことができるようになる。
【0058】
また、
図8に示すように、袋部15の所定箇所に切り込み18を設ける代わりに又は袋部15の所定箇所に切り込み18を設けるとともに、袋部15の所定箇所に袋連結具19a,19bを設け、当該袋連結具19a,19bによって袋部15の二つの箇所を連結することで袋部15の長手方向に直交する方向において袋部15を曲げるようにしてもよい。この態様を採用した場合にも、吸水性材料11を内包した袋部15を人体の耳の上方を通過させつつ、最も冷やして気持ちいいと人が感じる頸部の後ろ側に当てることができ、頸部の後ろ側を冷やすことができるようになる。
【0059】
〈変形例〉
上述した態様とは異なり、冷却部材10が二つ以上設けられていてもよい。一例として、冷却部材10が二つ設けられている態様を用いて、以下、説明する。なお、この変形例において、上述した実施の形態と同一部分には同一符号を付し、また、対応する部分には「100」を足した数値又は「200」を足した数値の番号を付して、詳細な説明は省略する。
【0060】
この変形例における身体用冷却具は、
図9及び
図10に示すように、第一吸水性材料111(
図2参照)と、細長形状からなり第一吸水性材料111を内包する第一袋部115とを有する第一冷却部材110と、第二吸水性材料211(
図2参照)と、細長形状からなり第二吸水性材料211を内包する第二袋部215とを有する第二冷却部材210と、第一冷却部材110の第一袋部115の両端に着脱自在となり、かつ、第二冷却部材210の第二袋部215の両端にも着脱自在となった弾性部材20と、を備えている。ちなみに、
図9に示すように第一袋部115と第二袋部215の長さは同じ長さとなっていてもよいが、
図10に示すように第一袋部115と第二袋部215の長さは異なる長さとなっていてもよい。
【0061】
そして、第一吸水性材料111及び第二吸水性材料211に水分を含ませることで第一吸水性材料111及び第二吸水性材料211の各々が円筒形状に膨張し、第一吸水性材料111及び第二吸水性材料211に含まれた水分が気化する際に奪う熱によって冷却機能を発揮するようになっている。
【0062】
なお、第一冷却部材110の第一袋部115の両端部は第二冷却部材210の第二袋部215の両端部にも着脱自在となっている。
【0063】
本変形例によれば、
(1)第一冷却部材110の両端の取付部116,117に弾性部材20の両端の取付部21,22を取り付けた使用方法、
(2)第二冷却部材210の両端の取付部216,217に弾性部材20の両端の取付部21,22を取り付けた使用方法、
(3)第一冷却部材110の両端の取付部116,117に第二冷却部材210の両端の取付部216,217を取り付けた使用方法、及び、
(4)第一冷却部材110の一端の取付部116を第二冷却部材210の他端の取付部217に取り付け、第一冷却部材110の他端の取付部117を弾性部材20の他端の取付部22に取り付け、第二冷却部材210の一端の取付部216を弾性部材20の一端の取付部21に取り付けた使用方法(
図9及び
図10参照)のいずれかを選択することができるようになっている。
【0064】
そして、上述した(1)、(2)及び(4)の使用方法では、身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により第一冷却部材110、第二冷却部材210又は第一冷却部材110と第二冷却部材210の両方が当該身体の所定の箇所に押し付けられる。
【0065】
より具体的には、(1)第一冷却部材110の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法を採用した場合には、身体の所定の箇所に巻き付けた際に弾性部材20の弾性力により第一冷却部材110が当該身体の所定の箇所に押し付けられる。(2)第二冷却部材210の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法を採用した場合には、身体の所定の箇所に巻き付けた際に弾性部材20の弾性力により第二冷却部材210が当該身体の所定の箇所に押し付けられる。(4)第一冷却部材110の一端の取付部116を第二冷却部材210の他端の取付部217に取り付け、第一冷却部材110の他端の取付部117を弾性部材20の他端の取付部22に取り付け、第二冷却部材210の一端の取付部216を弾性部材20の一端の取付部21に取り付けた使用方法(
図9及び
図10参照)を採用した場合には、身体の所定の箇所に巻き付けた際に弾性部材20の弾性力により第一冷却部材110と第二冷却部材210の両方が当該身体の所定の箇所に押し付けられる。
【0066】
そして、このように身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により第一冷却部材110、第二冷却部材210又は第一冷却部材110と第二冷却部材210の両方が当該身体の所定の箇所に押し付けられることで、袋部115,215内の吸水性材料111,211の密度を上げることができ、その結果、冷却効率を高めることができる。
【0067】
本変形例によれば、上述のように、
(1)第一冷却部材110の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、
(2)第二冷却部材210の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、
(3)第一冷却部材110の両端の取付部116,117に第二冷却部材210の両端の取付部216,217を取り付けた使用方法、及び、
(4)第一冷却部材110の一端の取付部116を第二冷却部材210の他端の取付部217に取り付け、第一冷却部材110の他端の取付部117を弾性部材20の他端の取付部22に取り付け、第二冷却部材210の一端の取付部216を弾性部材20の一端の取付部21に取り付けた使用方法(
図9及び
図10参照)
という四種類の使用方法を採用することができる。
【0068】
このため、例えば、(1)第一冷却部材110の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、及び、(2)第二冷却部材210の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法を採用した場合には、身体の頭部に巻き付けて使用し、
(4)第一冷却部材110の一端の取付部116を第二冷却部材210の他端の取付部217に取り付け、第一冷却部材110の他端の取付部117を弾性部材20の他端の取付部22に取り付け、第二冷却部材210の一端の取付部216を弾性部材20の一端の取付部21に取り付けた使用方法(
図9及び
図10参照)を採用した場合には、身体の腰部や腹部に巻き付けて使用することができる。
【0069】
なお、
図10に示すように第一袋部115と第二袋部215の長さが異なる長さとなっている場合には、(1)第一冷却部材110の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法を採用した場合と、(2)第二冷却部材210の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法を採用した場合とで、身体の異なる箇所を冷却することができるので、使用用途をさらに広げることができる点で有益である。
【0070】
また、この変形例において、第一冷却部材110の袋部115内に内包された第一吸水性材料111の密度及び/又は第二冷却部材210の袋部215内に内包された第二吸水性材料211の密度が均一とはなっておらず偏りがあってもよい。その一例としては、
図11に示すように、第一冷却部材110の袋部115内に内包された第一吸水性材料111の密度が第一冷却部材110の一端側で他端側よりも高くなり、第二冷却部材210の袋部215内に内包された第二吸水性材料211の密度が第二冷却部材210の他端側で一端側よりも高くなっているものを挙げることができる。なお、
図11に示した態様では、袋部115の略中央が短手方向に沿って縫われており(縫い目119があり)、第一冷却部材110の一端側の第一吸水性材料111と第一冷却部材110の他端側の第一吸水性材料111が混じり合わないようになっている。また同様に、袋部215の略中央が短手方向に沿って縫われており(縫い目219があり)、第二冷却部材210の一端側の第二吸水性材料211と第二冷却部材210の他端側の第二吸水性材料211が混じり合わないようになっている。
【0071】
このような態様によれば、第一冷却部材110の一端の取付部116を第二冷却部材210の他端の取付部217に取り付け、第一冷却部材110の他端の取付部117を弾性部材20の他端の取付部22に取り付け、第二冷却部材210の一端の取付部216を弾性部材20の一端の取付部21に取り付けた使用方法(
図9及び
図10参照)において、弾性部材20と反対側の端部で吸水性材料111,211の密度を上げることができる。より具体的には、弾性部材20と反対側の端部(取付部116側の端部)で第一冷却部材110の第一吸水性材料111の密度を弾性部材20側の端部(取付部117側の端部)における第一冷却部材110の第一吸水性材料111の密度よりも高くし、かつ、弾性部材20と反対側の端部(取付部217側の端部)で第二冷却部材210の第二吸水性材料211の密度を弾性部材20側の端部(取付部216側の端部)における第二冷却部材210の第二吸水性材料211の密度よりも高くすることができる。
【0072】
したがって、このような態様を採用した場合には、(4)第一冷却部材110の一端の取付部116を第二冷却部材210の他端の取付部217に取り付け、第一冷却部材110の他端の取付部117を弾性部材20の他端の取付部22に取り付け、第二冷却部材210の一端の取付部216を弾性部材20の一端の取付部21に取り付けた使用方法(
図9及び
図10参照)を採用した場合に、冷却したい箇所(例えば腰部等)を重点的に効率よく冷却することができる。
【0073】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
本実施の形態の冷却部材10は、吸水性生地からなり、袋部15を有していないものである(
図13参照)。冷却部材10が吸水性生地からなり、袋部15を有していないということ以外の構成は、第1の実施の形態と同様のものとなっている。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、また、第1の実施の形態に開示された部分に対応する部分には同様の符号(該当する数字にアポストロフィー「’」)を付して詳細な説明は省略する。
【0075】
本実施の形態によれば、身体用冷却具を身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により、袋部15を介さずに吸水性生地自身を当該身体の所定の箇所に押し付けることができ、吸水性材料の密度を上げるとともに身体に直接密着させることができる。このため、身体から直接熱を吸収することができ、吸水性生地に含まれた水分の気化効率を高めることができ、冷却効率の高い身体用冷却具を提供することができる。
【0076】
なお、本実施の形態には、第1の実施の形態で開示された全ての態様において「冷却部材10」の代わりに(吸水性生地からなる)「冷却部材10’」を採用した態様が含まれる。詳細には説明しないが、以下のような態様が、本実施の形態には含まれる。なお、以下では「冷却部材10’」ではなく「吸水性生地10’」という文言を用いて説明する。
【0077】
本実施の形態には、
図13に示すように、吸水性生地10’の端部の一端に第一吸水性生地側取付部16’が設けられ、吸水性生地10’の端部の他端に第二吸水性生地側取付部17’が設けられ、弾性部材20の端部の一端に第一弾性取付部21が設けられ、弾性部材20の端部の他端に第二弾性取付部22が設けられ、第一吸水性生地側取付部16’が第一弾性取付部21と着脱自在となるとともに第二吸水性生地側取付部17’が第二弾性取付部22と着脱自在となり、かつ、第一吸水性生地側取付部16’が第二吸水性生地側取付部17’とも着脱自在となっている態様が含まれる。
【0078】
本実施の形態には、弾性部材20は幅5mm以上のバンド形状となっている態様が含まれる。本実施の形態には、弾性部材20が、吸水性生地10’に対して着脱自在となっている態様が含まれる。本実施の形態には、弾性部材20の吸水性生地10’に対する取り付け位置を変更できる態様が含まれる(
図14参照)。本実施の形態には、弾性部材20の長さが調整自在となっている態様が含まれる(
図4参照)。
【0079】
本実施の形態には、弾性部材20と長さの異なる補助用弾性部材40をさらに備える態様が含まれる(
図6参照)。
【0080】
本実施の形態には、
図15に示すように、吸水性生地10’の所定箇所に切り込み18が設けられ、当該切り込み18によって吸水性生地10’の長手方向に直交する方向において吸水性生地10’を曲げることができ、吸水性生地10’は、少なくとも人体の首の後側を冷却するとともに、人体の耳の上方を通過可能となっている態様が含まれる。
【0081】
また、本実施の形態には、
図16に示すように、吸水性生地10’の所定箇所に連結具19a’,19b’が設けられ、当該連結具19a’,19b’によって吸水性生地10’の二つの箇所を連結することで吸水性生地10’の長手方向に直交する方向において吸水性生地10’を曲げることができ、吸水性生地10’は、少なくとも人体の首の後側を冷却するとともに、人体の耳の上方を通過可能となっている態様も含まれる。
【0082】
本実施の形態には、
図17及び
図18に示すように、第一吸水性生地110’と、第二吸水性生地210’と、第一吸水性生地110’の両端に着脱自在となり、かつ、第二吸水性生地210’の両端にも着脱自在となった弾性部材20と、を備え、第一吸水性生地110’の両端は第二吸水性生地210’の両端にも着脱自在となり、第一吸水性生地110’の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、第二吸水性生地210’の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、第一吸水性生地110’の両端に第二吸水性生地210’の両端を取り付けた使用方法、及び、第一吸水性生地110’の一端を第二吸水性生地210’の他端に取り付け、第一吸水性生地110’の他端を弾性部材20の他端に取り付け、第二吸水性生地210’の一端を弾性部材20の一端に取り付けた使用方法のいずれかを選択する態様も含まれる。なお、このような使用方法のうち弾性部材20を用いた使用方法では、身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により第一吸水性生地110’、第二吸水性生地210’又は第一吸水性生地110’と第二吸水性生地210’の両方が当該身体の所定の箇所に押し付けられることで冷却効率を高めることができる。
【0083】
また、この態様には、
図19に示すように、第一吸水性生地110’の密度が第一吸水性生地110’の一端側で他端側よりも高くなり、第二吸水性生地210’の密度が第二吸水性生地210’の他端側で一端側よりも高くなり、第一吸水性生地110’の一端を第二吸水性生地210’の他端に取り付け、第一吸水性生地110’の他端を弾性部材20の他端に取り付け、第二吸水性生地210’の一端を弾性部材20の一端に取り付けた使用方法において、弾性部材20と反対側の端部で第一吸水性生地110’の密度が弾性部材20側の端部における第一吸水性生地110’の密度よりも高くなり、かつ、弾性部材20と反対側の端部で第二吸水性生地210’の密度が弾性部材20側の端部における第二吸水性生地210’の密度よりも高くなっている態様も含まれている。
【0084】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0085】
第3の実施の形態では、
図20に示すような身体の所定の箇所に巻き付けて当該箇所を温めるための身体用保温具を提供することができる。
【0086】
本実施の形態の身体用保温具は、上述した冷却部材10の代わりに保温部材90を用いたものであり、それ以外の構成は、第1の実施の形態と同様のものとなっている。第3の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
本実施の形態で用いられる保温部材90の一例としては、保温材料と、細長形状からなり保温材料を内包する袋部15とを有するものを挙げることができる。この保温材料の例としては、保温性を有するポリマー、シート等を挙げることができる。この保温材料は、湯煎や電子レンジ等の様々な手段で加熱することで熱を持たせることができる。また、本実施の形態で用いられる保温部材90の別の例としては、毛布生地からなるものを挙げることができる。
【0088】
本実施の形態によれば、身体用保温具を身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により保温部材90が当該身体の所定の箇所に押し付けられ、保温部材90の密度を上げることで熱伝導性及び保温効率を高めることができる。
【0089】
なお、本実施の形態には、第1の実施の形態で開示された全ての態様において「冷却部材10」の代わりに「保温部材90」を採用した態様が含まれる。詳細には説明しないが、以下のような態様が、本実施の形態には含まれる。
【0090】
本実施の形態には、弾性部材20は幅5mm以上のバンド形状となっている態様が含まれる。本実施の形態には、弾性部材20が、保温部材90に対して着脱自在となっている態様が含まれる。本実施の形態には、弾性部材20の保温部材90に対する取り付け位置を変更できる態様が含まれる。本実施の形態には、弾性部材20の長さが調整自在となっている態様が含まれる(
図4参照)。
【0091】
本実施の形態には、保温部材90の端部の一端に第一保温部材側取付部が設けられ、保温部材90の端部の他端に第二保温部材側取付部が設けられ、弾性部材20の端部の一端に第一弾性取付部21が設けられ、弾性部材20の端部の他端に第二弾性取付部22が設けられ、第一保温部材側取付部が第一弾性取付部21と着脱自在となるとともに第二保温部材側取付部が第二弾性取付部22と着脱自在となり、かつ、第一保温部材側取付部が第二保温部材側取付部とも着脱自在となっている態様が含まれる。
【0092】
本実施の形態には、弾性部材20と長さの異なる補助用弾性部材40をさらに備える態様が含まれる(
図6参照)。
【0093】
本実施の形態には、保温部材90の所定箇所に切り込み18が設けられ、当該切り込み18によって保温部材90の長手方向に直交する方向において保温部材90を曲げることができ、保温部材90は、少なくとも人体の首の後側を保温するとともに、人体の耳の上方を通過可能となっている態様が含まれる。
【0094】
また、本実施の形態には、保温部材90の所定箇所に袋連結具19a,19bが設けられ、当該袋連結具19a,19bによって保温部材90の二つの箇所を連結することで保温部材90の長手方向に直交する方向において保温部材90を曲げることができ、保温部材90は、少なくとも人体の首の後側を保温するとともに、人体の耳の上方を通過可能となっている態様も含まれる。
【0095】
本実施の形態には、第一保温部材と、第二保温部材と、第一保温部材の両端に着脱自在となり、かつ、第二保温部材の両端にも着脱自在となった弾性部材20と、を備え、第一保温部材の両端は第二保温部材の両端にも着脱自在となり、第一保温部材の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、第二保温部材の両端に弾性部材20の両端を取り付けた使用方法、第一保温部材の両端に第二保温部材の両端を取り付けた使用方法、及び、第一保温部材の一端を第二保温部材の他端に取り付け、第一保温部材の他端を弾性部材20の他端に取り付け、第二保温部材の一端を弾性部材20の一端に取り付けた使用方法のいずれかを選択する態様も含まれる。なお、このような使用方法のうち弾性部材20を用いた使用方法では、身体の所定の箇所に巻き付けた際に、弾性部材20の弾性力により第一保温部材、第二保温部材又は第一保温部材と第二保温部材の両方が当該身体の所定の箇所に押し付けられることで熱伝導性及び保温効率を高めることができる。
【0096】
また、この態様には、第一保温部材の密度が第一保温部材の一端側で他端側よりも高くなり、第二保温部材の密度が第二保温部材の他端側で一端側よりも高くなり、第一保温部材の一端を第二保温部材の他端に取り付け、第一保温部材の他端を弾性部材20の他端に取り付け、第二保温部材の一端を弾性部材20の一端に取り付けた使用方法において、弾性部材20と反対側の端部で第一保温部材の密度が弾性部材20側の端部における第一保温部材の密度よりも高くなり、かつ、弾性部材20と反対側の端部で第二保温部材の密度が弾性部材20側の端部における第二保温部材の密度よりも高くなっている態様も含まれている。
【0097】
最後になったが、上述した各実施の形態の記載、変形例及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。