【実施例1】
【0013】
この発明の実施例を、以下図面に基づいて記述する。
図1は、この入出金処理装置1の外観を示す。入出金処理装置1には、人が装置前方にいるかどうかを検知するための人体センサ2と、暗証番号等入力するためのテンキー3と、紙幣入金口4と、紙幣出金口5と、音声ガイダンスを出力するスピーカ6と、利用者へ取引操作を表示案内する情報表示部10と、取引実施するためのタッチパネルの操作キー部9をもつディスプレイ部7と、取引者本人かどうか認識するためのカメラ8を備えて、入出金、残高照会等の取引機能を有している。なお、以下では、人体センサ2がカメラである前提で説明しているが、例えば、入出金処理装置1の前方床面に設けた重量センサが人を検知する構成としてもよい。
【0014】
図2は、本実施例における入出金処理装置1の制御回路ブロック図を示す。この入出金処理装置1の制御部17は、ディスプレイ部7、カメラ8、カメラ画像認識部11、カメラ画像判定制御部12、テンキー3、紙幣処理部13、磁気カード部14、音声ガイダンス部15、スピーカ5、電源部16を接続しており、インタフェース制御部18を介し、中央システム19と交信して、利用者の情報(例えば、利用者の口座情報やその残高情報、取引実行のための暗証番号)を取り込む制御を行い、取引処理が実施できる。
【0015】
図3、
図4は、入金時における入出金処理装置1の動作処理フローを示す。次に入金取引における入出金処理装置1の動作処理フローを、フローチャートを用い説明する。
【0016】
図3に示すように、ディスプレイ部7は、情報表示部10にある入金処理キーの押下を利用者から受け付けて、制御部17は、入金処理を開始する。(ステップS1)。次に、制御部17は、カード挿入画面を情報表示部10に表示し、磁気カード部14が、利用者から挿入されたカードの読取を行う(ステップS2)。
【0017】
カード利用者本人であることを確認するために、ディスプレイ部7が、利用者から予め登録した暗証番号の入力をテンキー3により受け付け(ステップS3)、制御部17は、中央システム19と通信して(ステップS4)、利用者が入力した暗証番号が正しいかどうかの確認を行う(ステップS5)。もし、間違っていた場合(ステップS5;No)、スピーカ5より「暗証番号が間違っております。」と音声ガイダンスが出力され、ディスプレイ部7は、暗証番号の再入力を受け付ける。そして、制御部17は再び中央システム19と通信して、正しいかどうかの再確認を行う。
【0018】
一方、利用者本人であることの確認が出来た時(ステップS5;Yes)は、利用者本人が入金したい入金指定金額を入力するのか、多量の紙幣を入金し、手元に残しておきたい金額を決め、ディスプレイ部7の情報表示部10がその選択を受け付ける(ステップS6)。ディスプレイ部7にある操作キー部9が、入金指定額キーの選択、入金指定額の入力を受け付け、OKキーが押下された場合、紙幣処理部13が動作して入金処理が開始(ステップS7)され、入金指定額の値から紙幣のカウントダウン(ステップS8)が始まる。
【0019】
紙幣処理部13は、紙幣カウントダウンが進行して、カウントダウンされた紙幣枚数が、先にディスプレイ部7にある操作キー部9から入力された入金指定金額の紙幣枚数に一定以上近づいたか否かを判定する(ステップS9)。一定以上近づいたか否かは、例えば、上記入金指定金額の紙幣枚数とカウントダウンされた紙幣枚数との差(すなわち、紙幣の残枚数)が、あらかじめ定められた閾値である1k(RMB)中国元の金額の紙幣枚数より少なくなったか否かにより判定すればよい。紙幣処理部13は、上記カウントダウンされた紙幣枚数が、入金指定金額の紙幣枚数に一定以上近づいたと判定した場合(ステップS9;Yes)、搬送ローラによる紙幣の搬送速度を制御し、紙幣を1枚ずつ搬送し紙幣搬送動作を遅くすることで(ステップS11)、取引者本人にもうすぐ紙幣入金が完了することが分かるような仕組みとする。
【0020】
このように、入金枚数に対して一定枚数以上の紙幣の繰出しが終わると、その後は、それまでの紙幣搬送速度に比べて遅い搬送速度で紙幣を搬送する。このような制御により、利用者は、紙幣の繰出し音の違いによって、もうすぐ取引が終了し、またはまだ取引が続行されることを容易に認識することができる。
【0021】
また、紙幣処理部13は、例えば、入金指定金額の紙幣枚数が1k(RMB)中国元の金額の紙幣枚数以上と判定した場合(ステップS9;No)は、引き続き紙幣カウント処理を実施(ステップS10)し、入金指定金額の紙幣枚数が上記閾値で定められた枚数より少なくなるまで紙幣のカウントを続行する。
【0022】
次に、紙幣処理部13は、入金指定金額が0となったことを制御部17に通知すると(ステップS12)、制御部17は、追加で入金しますか?のメッセージをディスプレイ部7の情報表示部10に表示する(ステップS13)。取引利用者は、そのメッセージにしたがって追加で入金が必要か否かを判断し、追加で入金が必要な場合(例えば、「はい」といった応答ボタンの押下を受け付けた場合)、ディスプレイ部7にある操作キー部9が、追加で入金する金額、または、手元に残す金額の入力を受け付け、ステップS6〜S12を続行する。
【0023】
また、追加で入金しない場合(例えば、「いいえ」といった応答ボタンの押下を受け付けた場合)、そのまま入金完了となり(ステップS14)、磁気カード部14がカード返却処理を行い(ステップS15)、取引完了となる(ステップS16)。
【0024】
ここで、
図4に示すように、ステップS6の段階で、ディスプレイ部7の情報表示部10が手元に残す金額の入力を受け付けた場合(ステップS17)、ディスプレイ部7にある操作キー部9がOKの押下を受け付けた後、紙幣処理部13は、入金処理を開始し(ステップS18)、紙幣カウントを開始する(ステップS19)。紙幣処理部13は、紙幣の入金額が、ステップS17で受け付けた手元に残す金額と同じになるか否かを判定し(ステップS20)、両者が同じ金額にならない場合(ステップS20;No)は、そのまま紙幣カウントする。一方、紙幣処理部13は、入金額が、ステップS17で受け付けた手元に残す金額と同じになったと判定した場合(ステップS20;Yes)、手元に残す金額分の紙幣を出金口に搬送する(ステップS21)。その後、紙幣処理部13は、利用者による紙幣の抜き取りを検知すると(ステップS22)、入出金口のシャッタを閉じる等して残りの紙幣の入金処理を続行する(ステップS23)。その後、
図3に戻り、ステップS9〜ステップS16を実施し、入金処理は完了となる。
【0025】
なお、
図4では、紙幣処理部13は、S20において、入金された紙幣が手元に残す紙幣となるまで紙幣をカウントし、両者が一致したら手元に残す紙幣を出金口に搬送しているが、この場合も、
図3のS8〜S10と同様に、入金された紙幣の枚数が手元に残す紙幣の枚数に一定以上近づいたか否かを判定し、一定以上近づいたと判定した場合、それまでの紙幣搬送速度に比べて遅い搬送速度で紙幣を搬送してもよい。この場合も、上記と同様に、利用者は、紙幣の繰出し音の違いによって、もうすぐ手元に残す紙幣が出金口に搬送されることを容易に認識することができる。
【0026】
図5は出金時における入出金処理装置1の動作処理フローを示す。次に出金取引における入出金処理装置1の動作処理フローを、フローチャートを用い説明する。
【0027】
図5に示すように、ディスプレイ部7は、情報表示部10にある入金処理キーの押下を利用者から受け付け、制御部17は、出金処理を開始する。(ステップS24)。次に、制御部17は、カード挿入画面を情報表示部10に表示し、磁気カード部14が、利用者から挿入されたカードの読取を行う(ステップS25)。カード利用者本人であることを確認するために、ディスプレイ部7が、利用者が予め登録した暗証番号の入力をテンキー3により受け付け(ステップS26)、制御部17は、中央システム19と通信して(ステップS27)、利用者が入力した暗証番号が正しいかどうかの確認を行う(ステップS28)。もし、間違っていた場合(ステップS28;No)、スピーカ5より「暗証番号が間違っております。」と音声ガイダンスが出力され、ディスプレイ部7は、暗証番号再入力を受け付ける。そして、制御部17は再び中央システム19と通信して、正しいかどうかの再確認を行う。
【0028】
一方、利用者本人であることの確認が出来た時(ステップS28;Yes)は、制御部17は、カメラ8により利用者の顔を撮像し、カメラ顔認識部11がその撮像画像から利用者の顔を認識し、その撮像画像を記憶する(ステップS29)。次に、ディスプレイ部7にある操作キー部9が出金指定額の入力を受け付け(ステップS30)、OKキーの押下を受け付けると、紙幣処理部13は、出金処理を開始する(ステップS31)。
【0029】
次に、紙幣処理部13は、出金紙幣のカウントを開始する(ステップS32)。紙幣処理部13は、一度に出金可能である紙幣出金枚数になるまで、紙幣カウントを行い、紙幣処理部13が一度に出金可能である紙幣の枚数となったか否かを判定する(ステップS33)。上記一度に出金可能である紙幣の枚数は、例えば、入出金処理装置1の種類によってあらかじめ定められる。紙幣処理部13は、一度に出金可能である紙幣の枚数となったと判定した場合(ステップS33;Yes)、一旦出金動作を止め、カウントされた枚数の紙幣を紙幣出金口に搬送し、紙幣の抜取操作(例えば、100枚の抜き取り)を検知する(ステップS34)。
【0030】
この例では、紙幣処理部13は、S33において、上記一度に出金可能である紙幣の枚数に達したか否かを判定し、その場合、カウントされた枚数の紙幣を紙幣出金口に搬送しているが、この場合も、
図3のS8〜S10と同様に、出金紙幣の枚数が、上記一度に出金可能である紙幣の枚数に一定以上近づいたか否かを判定し、一定以上近づいたと判定した場合、それまでの紙幣搬送速度に比べて遅い搬送速度で紙幣を搬送してもよい。この場合も、上記と同様に、利用者は、紙幣の繰出し音の違いによって、もうすぐ出金紙幣が出金口に搬送されることを容易に認識することができる。
【0031】
紙幣処理部13は、上記検知とともに、スピーカ5から“まだ、紙幣が出金されます”といった、紙幣が続けて出金される旨の音声ガイダンスを流し、利用者に対し注意喚起を行う(ステップS35)。この時に、制御部17は、人検知センサ2が入出金処理装置1の前にいる利用者を検知しているか否か(例えば、出金取引の開始から利用者を検知し続けているか否か)を判定する(ステップS36)。制御部17は、人検知センサ2が利用者を検知していると判定した場合(ステップS36;Yes)、利用者が引き続き入出金処理装置1の前にいると判断し、出金をそのまま継続する(ステップS37)。紙幣処理部13は、ステップS30にて指定された出金金額と、実際に出金した金額が同じになったか否かを判定し(ステップS38)、両者が同じ金額になっていないと判定した場合(ステップS38;No)、両者が同じ金額になるまで、ステップS32からステップS38まで繰り返す。
【0032】
一方、紙幣処理部13は、ステップS30にて指定された出金金額と、実際に出金した金額が同じになったと判定した場合(ステップS38;Yes)、カウントされた残りの出金紙幣を出金口に搬送するとともにカード返却を行い(ステップS39)、出金取引完了となる(ステップS40)。
【0033】
この例では、紙幣処理部13は、S38において、継続して出金された紙幣の枚数が指定された出金金額の紙幣の枚数に達したか否かを判定し、その場合、カウントされた枚数の紙幣を紙幣出金口に搬送しているが、この場合も、S33と同様に、継続して出金された紙幣の枚数が、上記指定された出金金額の紙幣の枚数に一定以上近づいたか否かを判定し、一定以上近づいたと判定した場合、それまでの紙幣搬送速度に比べて遅い搬送速度で紙幣を搬送してもよい。この場合も、上記と同様に、利用者は、紙幣の繰出し音の違いによって、もうすぐ継続して出金される出金紙幣が出金口に搬送されることを容易に認識することができる。
【0034】
また、ステップS36で、制御部17が、人検知センサ2が利用者を検知していないと判定した場合(ステップS36;No)、出金動作を一時停止し(ステップS41)、警告音(例えば、ブーという高い音)をスピーカ8より出力し(ステップS42)、取引者に気づかせるようにする。
【0035】
次に、制御部17は、ディスプレイ部7の情報表示部10に、取引継続しますか?というメッセージを出力する。この時、情報表示部10が“YES”ボタンの押下を受け付けたか否かを判定し(ステップS43)、上記ボタンの押下を受け付けたと判定した場合(ステップS43;Yes)、制御部17は、カメラ8により入出金処理装置1の前にいる人の顔を写し、カメラ画像認識部11がその人の顔を認識し、カメラ画像判定制御部12が、ステップS29にて認識された顔と一致するか否かを判定する(ステップS44)。
【0036】
カメラ画像認識部11が、上記ステップS29にて認識された顔とステップS44にて認識された顔とが一致すると判定した場合(ステップS44;Yes)、ステップS31に戻り、引き続き、出金取引を継続することとなる。上記判定により、本人確認できた場合には、再び出金処理を最初から開始するといった面倒な操作を経ることなく出金処理を続行することができる。
【0037】
一方、カメラ画像認識部11が、上記ステップS29にて認識された顔とステップS44にて認識された顔とが一致しないと判定した場合(ステップS44;No)、その旨を行員に知らせるため、入出金処理装置1にネットワークを介して接続されたサーバにアラームを示すメッセージを送信する(ステップS45)。その後、磁気カード部14が入出金処理装置1内にカード回収を行い(ステップS46)、制御部17が取引を中止させる(ステップS47)。上記判定により、本人確認できない場合には、利用者とは異なる第三者に出勤紙幣を持ち逃げされるといったリスクを回避することができる。
【0038】
一方、制御部17は、ステップ43で、ディスプレイ部7の情報表示部10に、取引継続しますか?のメッセージが出たときに、情報表示部10が上記ボタンの押下を受け付けない(例えば、何も入力がない状態が2分続いた場合)と判定した場合(ステップS43;No)、ステップS46と同様に、磁気カード部14が入出金処理装置1内にカード回収を行い(ステップS48)、制御部17が取引を中止させる(ステップS49)。
【0039】
なお上記説明では、入出金処理装置1についての機能的な面を主に説明したが、物理的には、例えば、
図6に示すような構成とすることができる。
【0040】
図6は、入出金処理装置1がリジェクト紙幣を含め入金紙幣を取り込む際の様子を示す概略図である。
図6の上段に示すように、紙幣入金経路180INにて複数の紙幣Bが搬送されている場合、キズ、破損等があるリジェクト紙幣Br(払い戻し紙幣)が入金された状況下では、このリジェクト紙幣Brとその後に続く紙幣B2〜Bnの各紙幣は、いずれも下流側入金経路182において入金搬送の状態にある。つまり、この状態では、上流側入金経路181と下流側入金経路182の紙幣入金経路180INに含まれるすべての駆動ローラは、最先の紙幣搬送時から継続して入金搬送方向に回転駆動する。
【0041】
なお、紙幣入金経路180INは、入金部120から延びて紙幣識別部170に至り、紙幣識別部170の経路下流方向の方向転換ローラ180rで折り返し、紙幣識別部170より下方側に位置する紙幣収納部200の各カセット201〜204までの並びに沿って紙幣カセット205まで延びる経路である。また、入金部120から紙幣識別部170に至るまでの搬送路を上流側入金経路181とし、当該経路より下流の経路を下流側入金経路182と呼んでいる。また、紙幣識別部170から出金部140に至るまでの搬送路を下流側出金経路186としている。
【0042】
そして、
図6の下段に示すように、リジェクト紙幣Brが第7駆動ローラ157に到達すると、制御部17は、第8駆動ローラ158の下流のゲート205bを下流側出金経路186の側に切り替えるとともに、下流側出金経路186に含まれる第9駆動ローラ159とその下流側の第9駆動ローラ159以降の駆動ローラの出金搬送側への駆動を開始する。この際、制御部17は、上流側入金経路181に含まれる駆動ローラについては、第3駆動ローラ153と第4駆動ローラ154を含め、継続的に入金搬送側に駆動する。こうすることで、リジェクト紙幣Brは、下流側出金経路186の後半経路に沿って搬送され、出金部140に出金されるとともに、こうしたリジェクト紙幣出金と並行して、紙幣の入金搬送が継続される。なお、リジェクト紙幣Brの前に入金された図における紙幣B1やリジェクト紙幣Brの後に入金された紙幣B2〜Bnは、金種に応じて紙幣収納カセット201〜203、紙幣カセット205に搬送収納される。
【0043】
また、制御部17は、紙幣識別部170からの識別信号によりリジェクト紙幣Brであるとされた紙幣の入金搬送位置を、紙幣識別部170からの経過時間から算出し、ゲート切り替えや駆動モータ189による駆動ローラ制御を行う。なお、紙幣Bは、検知センサ188aにより、通過状況が検知され、その検知結果が制御部17に出力される。
【0044】
このように、本実施例に示す入出金処理装置1は、物理的には
図6に示した機構を有しているが、制御部17や紙幣処理部13は、入金紙幣Bに対して、紙幣のカウントダウンを開始して上記閾値に達したか否かを判定し、上記閾値に達したと判定した場合、駆動モータ189による駆動ローラの回転速度をそれまでの搬送速度よりも遅くなるように制御する。例えば、紙幣処理部13は、
図6において、入金紙幣B4までの紙幣が搬送された時点で、上記閾値に達したと判定すると、入金紙幣B5以降の紙幣の搬送速度が遅くなり、搬送紙幣B3とB4との間の間隔T1よりも、搬送紙幣B4とB5との間の間隔T2のほうが長くなる。
【0045】
また、制御部17や紙幣処理部13は、入出金処理装置1の具体的構成を考慮して、入金紙幣の搬送速度を遅くすることも可能である。例えば、上記紙幣識別部170に入金紙幣が搬送されると、紙幣が識別され、当該紙幣の受け付け可否が判断されるが、指定された金額の紙幣枚数に対して上記閾値に達する紙幣枚数手前の紙幣を搬送する場合、紙幣処理部13は、上記紙幣識別部170での識別が完了した後に、次の1枚を入金部120から取り込む。
【0046】
より具体的には、紙幣処理部13は、
図6に示す入金紙幣B6が上記閾値に達する1枚手前の紙幣であるとすると、次に搬送される紙幣(仮に、不図示の搬送紙幣B7とする)は、搬送紙幣B6が紙幣識別部170により識別された後、入金口120から取り込まれ、上記上流側入金経路181を通って紙幣識別部170まで搬送される。これにより、入金部120と上記紙幣識別部170との間の搬送路である上流側入金経路181に不要な紙幣(例えば、指定された金額の紙幣枚数や上記閾値の紙幣枚数を超えた紙幣)を取り込むことがなくなる。
【0047】
さらには、入金部120とは別の出金部140に、このような不要な紙幣を返却のために搬送する必要がなくなるため、入金処理を早く完了させることができるとともに、その搬送に伴う紙幣のジャムの発生を抑制することができる。また、利用者にとっては、出金部140から紙幣が返却されることもないため、出金部140を気にする必要もなくなる。なお、このように紙幣の搬送を制御する場合、上記紙幣枚数手前の枚数の定め方は、以下のようにするとよい。すなわち、通常、入金紙幣を搬送する場合における入金部120と紙幣識別部170との間に存在する枚数を、上記紙幣枚数手前の枚数とすればよい。
【0048】
このように、上記実施例に示した入出金処理装置1の動作により、利用者により指定された金額の紙幣の取引が一度に実行できない場合であっても、その利用者に取引の状況を認識させることができる。例えば、入金時に利用者が一度の操作で多額の入金が必要な場合と、出金時においては、最大枚数出金し、紙幣抜き取り後、出金途中で立ち去ってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0049】
具体的には、カードを用いて現金の取引を行なう入出金処理装置において、大量の紙幣入金処理を行うときに、利用者が入金金額を設定して入金開始し、設定した枚数に達したときに処理を停止させる。また、大量の紙幣出金時において、出金可能である最大枚数の紙幣を抜き取った後、例えば、利用者が取引完了したと勘違いをして、立ち去ろうとした場合、音声ガイダンス、警告音を鳴らし、出金動作を停止させる。さらに、カメラにより、本人確認をすることで、取引続行の可否判断を行い、紙幣が盗難されるという犯罪を誘発してしまうような問題を未然に防ぐことができる。
【0050】
また、利用者は、入金時に大量に紙幣を入金部に投入するだけで、希望の入金処理が可能となるため、受け入れ可能な枚数の紙幣を数える等の手間を生じさせることがなくなり、出金時において、所定枚数以上の紙幣を出金する場合には取引継続の案内を表示する等して、未出金紙幣の取り忘れを防止することができる。
【0051】
また、入金時には、利用者が指定した入金金額の入金処理の完了を容易に把握することができ、多量の金額を一度に入金することが可能となる。また、手元に残しておきたい金額を設定することで、その金額を容易に入金することができ、利用者自身があらかじめ紙幣をカウントするという手間をなくすことができる。出金時においても、出金可能である最大枚数の紙幣を抜き取った後にその利用者が途中で立ち去り、他人にその後出金した紙幣が取られてしまうといった犯罪を防止することができ、そのような犯罪に対するセキュリティを確保することができる。