特許第6738189号(P6738189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6738189-蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイス 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738189
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】蓄電デバイス用外装材及び蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20200730BHJP
   H01G 11/78 20130101ALN20200730BHJP
【FI】
   H01M2/02 K
   !H01G11/78
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-85436(P2016-85436)
(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公開番号】特開2017-195112(P2017-195112A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】永田 健祐
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−220172(JP,A)
【文献】 特開2015−143107(JP,A)
【文献】 特開2015−232945(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/159233(WO,A1)
【文献】 特開2017−112014(JP,A)
【文献】 特開2012−156027(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00203265(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔層と、該金属箔層の一方の面に積層されたシーラント層と、を含む蓄電デバイス用外装材であって、
前記シーラント層は、該シーラント層における金属箔層側の最外層を構成する熱可塑性樹脂からなる第1低融点層と、前記シーラント層における金属箔層側とは反対側の最外層を構成する熱可塑性樹脂からなる第2低融点層と、前記第1低融点層と前記第2低融点層の間に配置された熱可塑性樹脂からなる高融点中間層と、を含み、
前記高融点中間層の融点は、120℃〜180℃であり、
前記第1低融点層の融点および前記第2低融点層の融点は、前記高融点中間層の融点より低く、
前記高融点中間層の厚さが20μm以上であり、
前記高融点中間層の厚さを「X」とし、前記シーラント層の厚さを「Y」としたとき、 0.50Y ≦ X ≦ 0.99Y
の関係にあり、
前記高融点中間層の融点は、前記第1低融点層の融点より25℃〜35℃高く、
前記高融点中間層の融点は、前記第2低融点層の融点より25℃〜35℃高いことを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
【請求項2】
前記第1低融点層の厚さが0.5μm以上であり、前記第2低融点層の厚さが1μm以上である請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
【請求項3】
前記高融点中間層を構成する熱可塑性樹脂が、重量平均分子量が200,000〜800,000の範囲のエチレン−プロピレンブロック共重合体樹脂であり、
前記第1低融点層を構成する熱可塑性樹脂および前記第2低融点層を構成する熱可塑性樹脂が、重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂である請求項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
【請求項4】
前記金属箔層の他方の面に外側接着剤層を介して耐熱性樹脂層が積層されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【請求項5】
蓄電デバイス本体部と、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材とを備え、
前記蓄電デバイス本体部が、前記外装材で外装されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン、タブレット等の携帯機器に使用される電池やコンデンサ、ハイブリッド自動車、電気自動車、風力発電、太陽光発電、夜間電気の蓄電用に使用される電池やコンデンサ等の蓄電デバイス用の外装材および該外装材で外装された蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル電気機器の薄型化、軽量化に伴い、これらに搭載されるリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気2重層コンデンサ等の蓄電デバイスの外装材としては、従来の金属缶に代えて、耐熱性樹脂層/接着剤層/金属箔層/接着剤層/熱可塑性樹脂層からなる積層体(ラミネート外装材)が用いられている(特許文献1参照)。電気自動車等の電源、蓄電用途の大型電源、キャパシタ等も上記構成の積層体(外装材)で外装されることも増えてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−161310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術(特許文献1に記載の外装材)では次のような問題があった。即ち、電池等を外装する際には外装材のシーラント層同士を熱融着させて封止を行うが、このシーラント層の表面に異物(電極活物質、電解質等)が付着していると、ヒートシール部が薄肉化して該ヒートシール部において十分な絶縁性を確保し難い面があった。特にタブ部分では絶縁性が不十分になりやすく、短絡が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、シーラント層同士を熱融着させた際のシーラント層の流出を抑制できてヒートシール部において十分な絶縁性を確保できると共に、十分なシール強度を確保できる蓄電デバイス用外装材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]金属箔層と、該金属箔層の一方の面に積層されたシーラント層と、を含む蓄電デバイス用外装材であって、
前記シーラント層は、該シーラント層における金属箔層側の最外層を構成する熱可塑性樹脂からなる第1低融点層と、前記シーラント層における金属箔層側とは反対側の最外層を構成する熱可塑性樹脂からなる第2低融点層と、前記第1低融点層と前記第2低融点層の間に配置された熱可塑性樹脂からなる高融点中間層と、を含み、
前記高融点中間層の融点は、120℃〜180℃であり、
前記第1低融点層の融点および前記第2低融点層の融点は、前記高融点中間層の融点より低く、
前記高融点中間層の厚さが20μm以上であり、
前記高融点中間層の厚さを「X」とし、前記シーラント層の厚さを「Y」としたとき、 0.50Y ≦ X ≦ 0.99Y
の関係にあることを特徴とする蓄電デバイス用外装材。
【0008】
[2]前記第1低融点層の厚さが0.5μm以上であり、前記第2低融点層の厚さが1μm以上である前項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0009】
[3]前記高融点中間層の融点は前記第1低融点層の融点より20℃以上高く、かつ前記高融点中間層の融点は前記第2低融点層の融点より20℃以上高い前項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0010】
[4]前記高融点中間層を構成する熱可塑性樹脂が、重量平均分子量が200,000〜800,000の範囲のエチレン−プロピレンブロック共重合体樹脂であり、
前記第1低融点層を構成する熱可塑性樹脂および前記第2低融点層を構成する熱可塑性樹脂が、重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂である前項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0011】
[5]前記金属箔層の他方の面に外側接着剤層を介して耐熱性樹脂層が積層されている前項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
【0012】
[6]蓄電デバイス本体部と、
前項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材とを備え、
前記蓄電デバイス本体部が、前記外装材で外装されていることを特徴とする蓄電デバイス。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、高融点中間層の融点が120℃〜180℃であり、かつ高融点中間層の外側に低融点層が存在するので、シーラント層同士を熱融着させた際にヒートシール部での高融点中間層の流出を抑制することができ、かつ高融点中間層の厚さが20μm以上であって、0.50Y≦X≦0.99Yの関係にあるから、シーラント層同士を熱融着させる際にシーラント層の流出による肉厚の減少を抑制できてヒートシール部において十分な絶縁性を確保することができて、短絡の発生を十分に防止できる。また、上記高融点中間層の両側に、高融点中間層の融点より低い融点を有した第1低融点層と第2低融点層が配置されているから、シーラント層同士を熱融着させる際に高融点中間層を溶融させることなく良好にヒートシールを行うことができて十分なシール強度でもってシール接合できる(ヒートシール部において十分なシール強度を確保できる)。
【0014】
[2]の発明では、第1低融点層の厚さが0.5μm以上であり、第2低融点層の厚さが1μm以上であるから、シーラント層同士を熱融着させる際に、より十分なシール強度でもってシール接合できる(ヒートシール部においてより十分なシール強度を確保できる)。
【0015】
[3]の発明では、高融点中間層の融点は第1低融点層の融点より20℃以上高く、かつ高融点中間層の融点は第2低融点層の融点より20℃以上高い構成であるので、シーラント層同士を熱融着させた際にヒートシール部でのシーラント層の流出を十分に抑制することができて、ヒートシール部においてより十分な絶縁性を確保できる。
【0016】
[4]の発明では、高融点中間層を構成する熱可塑性樹脂が、重量平均分子量が200,000〜800,000の範囲のエチレン−プロピレンブロック共重合体樹脂であるので、シーラント層同士を熱融着させた際にヒートシール部でのシーラント層の流出をより十分に抑制することができて、ヒートシール部での絶縁性をさらに向上させることができる。また、前記第1、2低融点層を構成する熱可塑性樹脂が、それぞれ重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂であるので、シーラント層同士を熱融着させる際に、さらに十分なシール強度でもってシール接合できる(ヒートシール部においてより十分なシール強度を確保できる)。
【0017】
[5]の発明では、金属箔層の他方の面に外側接着剤層を介して耐熱性樹脂層が積層されているから、金属箔層の他方の面側の絶縁性を十分に確保できるし、外装材の物理的強度および耐衝撃性を向上させることができる。
【0018】
[6]の発明(蓄電デバイス)では、ヒートシール部が十分なシール強度で接合されると共にヒートシール部において十分な絶縁性が確保された外装材で外装された蓄電デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る蓄電デバイス用外装材の一実施形態を示す断面図である。
図2】本発明に係る蓄電デバイス用外装材を用いて構成された蓄電デバイスの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る蓄電デバイス用外装材1の一実施形態を図1に示す。この蓄電デバイス用外装材1は、リチウムイオン2次電池ケース用として用いられるものである。前記蓄電デバイス用外装材1は、例えば、深絞り成形、張り出し成形等の成形に供されて2次電池のケース等として用いられる。また、前記蓄電デバイス用外装材1は、成形に供されることなく平面状の外装材としても使用できる(図2参照)。
【0021】
本実施形態では、前記蓄電デバイス用外装材1は、金属箔層4の一方の面に内側接着剤層6を介してシーラント層(内側層)3が積層一体化されると共に、前記金属箔層4の他方の面に外側接着剤層5を介して耐熱性樹脂層(外側層)2が積層一体化された構成からなる。
【0022】
前記シーラント層(熱可塑性樹脂層)(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させると共に、外装材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
【0023】
本発明では、前記シーラント層3は、該シーラント層3における金属箔層4側の最外層を構成する熱可塑性樹脂からなる第1低融点層7と、前記シーラント層3における金属箔層側とは反対側の最外層を構成する熱可塑性樹脂からなる第2低融点層8と、前記第1低融点層7と前記第2低融点層8の間に配置された熱可塑性樹脂からなる高融点中間層9と、を含む構成であり(図1参照)、前記高融点中間層9の融点は、120℃〜180℃であり、前記第1低融点層7の融点および前記第2低融点層8の融点は、前記高融点中間層9の融点より低く、前記高融点中間層の厚さが20μm以上であり、かつ前記高融点中間層9の厚さを「X」とし、前記シーラント層3の厚さを「Y」としたとき、0.50Y≦X≦0.99Yの関係にある構成とする。
【0024】
なお、上記実施形態では、前記シーラント層3は、前記第1低融点層7/高融点中間層9/第2低融点層8の3層積層構成であるが、特にこのような3層積層構成に限定されるものではなく、前記第1低融点層7、前記高融点中間層9、前記第2低融点層8を少なくとも含む構成であれば、4層積層構成、5層積層構成、或いは6層以上の積層構成であってもよい。
【0025】
前記高融点中間層9の融点は、120℃〜180℃である必要がある。120℃未満である場合にはシーラント層同士を熱融着させた際にヒートシール部において高融点中間層も流出が生じやすいのでヒートシール部において十分な絶縁性を確保し難い。一方、融点が180℃を超えるとシーラント層同士を熱融着させるのにシール温度を高くする必要があるが、シール温度が高いと電解液が熱の影響を受けて分解しやすいという問題を生じる。中でも、高融点中間層9の融点は、150℃〜170℃であるのが好ましい。なお、シーラント層同士を熱融着する際のヒートシール温度は、高融点中間層9の融点に対して+10℃〜+40℃の範囲に設定するのがよい。
【0026】
前記高融点中間層9の厚さは20μm以上であることを必要とする。20μm未満ではヒートシール後に、十分な絶縁性を確保するためのシーラント層3の厚さを維持(確保)することができない。中でも、前記高融点中間層9の厚さは20μm〜30μmであるのが好ましい。なお、前記高融点中間層9の厚さが大きくなり過ぎると、ヒートシール時の熱の伝導が低下してシール接合が十分でなくなる可能性があり、この観点から前記高融点中間層9の厚さは、40μm以下に設定するのがよい。
【0027】
更に、前記高融点中間層9の厚さを「X」とし、前記シーラント層3の厚さを「Y」としたとき、0.50Y≦X≦0.99Yの関係にある構成とする。高融点中間層9の厚さXが、シーラント層3の厚さYの50%未満である場合には、シーラント層同士を熱融着させた際に低融点層が流出しすぎてヒートシール後において絶縁部分の距離を十分に確保できなくなる恐れがある。また、高融点中間層9の厚さXが、シーラント層3の厚さYの99%以上である場合には、シーラント層同士を熱融着させる際に十分なシール強度でもってシール接合できないという問題を生じる。中でも、0.60Y≦X≦0.90Yの関係にある構成とするのが好ましい。
【0028】
前記高融点中間層9の融点は、前記第1低融点層7の融点より20℃以上高く、かつ前記高融点中間層9の融点は、前記第2低融点層8の融点より20℃以上高い構成であるのが好ましい。このような構成とすることで、シーラント層同士を熱融着させた際にヒートシール部でのシーラント層3の流出を十分に抑制することができる。中でも、前記高融点中間層9の融点は、前記第1低融点層7の融点より25℃〜35℃高く、かつ前記高融点中間層9の融点は、前記第2低融点層8の融点より25℃〜35℃高い構成であるのが好ましい。
【0029】
なお、前記第1低融点層7の融点及び前記第2低融点層8の融点は、いずれも、90℃〜140℃の範囲であるのが好ましい。
【0030】
前記前記第1低融点層7、前記第2低融点層8および前記高融点中間層9を形成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、無延伸フィルムであるのが好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。
【0031】
中でも、前記高融点中間層9を構成する熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が200,000〜800,000の範囲のエチレン−プロピレンブロック共重合体樹脂であるのが好ましい。この場合には、シーラント層同士を熱融着させた際にヒートシール部でのシーラント層の流出をより十分に抑制できる。
【0032】
また、前記第1低融点層7を構成する熱可塑性樹脂および前記第2低融点層8を構成する熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂であるのが好ましい。この場合には、シーラント層同士を熱融着させる際にさらに十分なシール強度でもってシール接合できる。例えば、前記第1低融点層7が重量平均分子量が100,000のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂で形成され、前記第2低融点層8が重量平均分子量が70,000のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂で形成された構成や、前記第1低融点層7および前記第2低融点層8が、いずれも重量平均分子量が120,000のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂で形成された構成等を例示できる。
【0033】
また、前記第1低融点層7の厚さが0.5μm以上であり、前記第2低融点層8の厚さが1μm以上である構成を採用するのが好ましく、このような構成を採用した場合にはシーラント層同士を熱融着させる際に、より十分なシール強度を確保してシール接合できる。中でも、前記第1低融点層7の厚さは、1μm〜10μmであるのが特に好ましい。また、前記第2低融点層8の厚さは、1μm〜10μmであるのが特に好ましい。
【0034】
前記シーラント層3の厚さ(全体厚さ)は、21μm〜40μmに設定されるのが好ましい。21μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できると共に、40μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記シーラント層3の厚さは、25μm〜35μmに設定されるのが特に好ましい。
【0035】
前記金属箔層4は、外装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、SUS箔(ステンレス箔)、銅箔等が挙げられ、アルミニウム箔が一般的に用いられる。前記金属箔層4の厚さは、10μm〜100μmであるのが好ましい。10μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できると共に、100μm以下であることで張り出し成形、絞り成形等の成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。中でも、前記金属箔層4の厚さは、20μm〜50μmであるのが特に好ましい。
【0036】
前記金属箔層4は、少なくとも内側の面(内側接着剤層6側の面)に化成処理が施されているのが好ましい。このような化成処理が施されていることによって内容物(電池の電解液等)による金属箔表面の腐食を十分に防止できる。例えば次のような処理をすることによって金属箔に化成処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)〜3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施す。
【0037】
前記化成皮膜は、クロム付着量(片面当たり)として0.1mg/m2〜50mg/m2が好ましく、特に2mg/m2〜20mg/m2が好ましい。
【0038】
本発明において、前記耐熱性樹脂層2は、必須の構成層ではないものの、前記金属箔層4の他方の面に外側接着剤層5を介して耐熱性樹脂層2が積層された構成を採用するのが好ましい(図1参照)。このような耐熱性樹脂層2を設けることにより、金属箔層4の他方の面側の絶縁性を十分に確保できるし、外装材1の物理的強度および耐衝撃性を向上させることができる。
【0039】
前記耐熱性樹脂層(外側層)2を構成する耐熱性樹脂としては、外装材をヒートシールする際のヒートシール温度で溶融しない耐熱性樹脂を用いる。前記耐熱性樹脂としては、シーラント層3を構成する高融点中間層9の融点より10℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが好ましく、高融点中間層9の融点より20℃以上高い融点を有する耐熱性樹脂を用いるのが特に好ましい。
【0040】
前記耐熱性樹脂層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナイロンフィルム等のポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等が挙げられ、これらの延伸フィルムが好ましく用いられる。中でも、前記耐熱性樹脂層2としては、二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いるのが特に好ましい。前記ナイロンフィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム、MXDナイロンフィルム等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂層2は、単層で形成されていても良いし、或いは、例えばポリエステルフィルム/ポリアミドフィルムからなる複層(PETフィルム/ナイロンフィルムからなる複層等)で形成されていても良い。前記例示した複層構成において、ポリエステルフィルムがポリアミドフィルムよりも外側に配置されるのが好ましく、同様にPETフィルムがナイロンフィルムよりも外側に配置されるのが好ましい。
【0041】
前記耐熱性樹脂層2の厚さは、8μm〜50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで外装材として十分な強度を確保できると共に、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形、絞り成形等の成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。中でも、前記耐熱性樹脂層2の厚さは、12μm〜25μmであるのが特に好ましい。
【0042】
前記外側接着剤層5としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン接着剤層、ポリエステルポリウレタン接着剤層、ポリエーテルポリウレタン接着剤層等が挙げられる。前記外側接着剤層5の厚さは、1μm〜5μmに設定されるのが好ましい。中でも、外装材の薄膜化、軽量化の観点から、前記外側接着剤層5の厚さは、1μm〜3μmに設定されるのが特に好ましい。
【0043】
前記内側接着剤層6としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記外側接着剤層5として例示したものも使用できるが、電解液による膨潤の少ないポリオレフィン系接着剤を使用するのが好ましい。前記内側接着剤層6の厚さは、1μm〜5μmに設定されるのが好ましい。中でも、外装材の薄膜化、軽量化の観点から、前記内側接着剤層6の厚さは、1μm〜3μmに設定されるのが特に好ましい。
【0044】
本発明の蓄電デバイス用外装材1の厚さは、60μm〜160μmに設定されるのが好ましい。
【0045】
本発明の外装材1を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、成形ケース(電池ケース等)を得ることができる。なお、本発明の外装材1は、成形に供されずにそのまま使用することもできる。
【0046】
本発明の外装材1を用いて構成された蓄電デバイス20の一実施形態を図2に示す。この蓄電デバイス20は、リチウムイオン2次電池である。
【0047】
前記電池20は、正極活物質、負極活物質、セパレータ、電解質から構成されるベアセル21と、正極および負極にそれぞれ接続されたタブリード22と、成形に供されていない平面状の前記外装材1と、前記外装材1が成形されて得られた収容凹部11bを有する成形ケース11とを備える(図2参照)。前記ベアセル21および前記タブリード22により蓄電デバイス本体部19が構成されている。
【0048】
前記成形ケース11の収容凹部11b内に前記ベアセル21と前記タブリード22の一部が収容され、該成形ケース11の上に前記平面状の外装材1が配置され、該外装材1の周縁部(の内側層3)と前記成形ケース11の封止用周縁部11a(の内側層3)とがヒートシールにより接合されて熱封止部(ヒートシール部)が形成されることによって、前記蓄電デバイス(電池)20が構成されている。なお、前記タブリード22の先端部は、外部に導出されている(図2参照)。
【実施例】
【0049】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0050】
<実施例1>
厚さ35μmのアルミニウム箔(JIS H4160に規定されるA8021の焼鈍したアルミニウム箔)4の両面に、リン酸、ポリアクリル酸(アクリル系樹脂)、クロム(III)塩化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布した後、180℃で乾燥を行って、化成皮膜を形成した。この化成皮膜のクロム付着量は片面当たり10mg/m2であった。
【0051】
次に、前記化成処理済みアルミニウム箔4の一方の面に、2液硬化型のウレタン系接着剤5を介して、厚さ15μmの二軸延伸6ナイロンフィルム(外側層)2をドライラミネートした(貼り合わせた)。
【0052】
次に、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ4.5μmの第1低融点層7、融点163℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が600,000)からなる厚さ21μmの高融点中間層9、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ4.5μmの第2低融点層8がこの順で3層積層されるようにTダイを用いて共押出することにより、これら3層が積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム(第1低融点層7/高融点中間層9/第2低融点層8)3を得た後、該シーラントフィルム(内側層)3の第1低融点層7面を、2液硬化型のマレイン酸変性ポリプロピレン接着剤(硬化剤が多官能イソシアネート)6を介して、前記ドライラミネート後のアルミニウム箔4の他方の面に重ね合わせて、ゴムニップロールと、100℃に加熱されたラミネートロールとの間に挟み込んで圧着することによりドライラミネートし、しかる後、40℃で5日間エージングする(加熱する)ことによって、図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0053】
なお、前記高融点中間層(エチレン−プロピレンブロック共重合体)の詳細について説明すると、前記高融点中間層は、融点が163℃、結晶融解エネルギーが58J/gである第1エラストマー変性オレフィン系樹脂99質量%、融点が144℃、結晶融解エネルギーが19J/gである第2エラストマー変性オレフィン系樹脂1質量%の組成からなる樹脂組成物により形成されている。前記第1エラストマー変性オレフィン系樹脂および前記第2エラストマー変性オレフィン系樹脂は、いずれも、エラストマー変性ホモポリプロピレンまたは/およびエラストマー変性ランダム共重合体からなる。前記エラストマー変性ランダム共重合体は、共重合成分としてプロピレン及びプロピレンを除く他の共重合成分を含有するランダム共重合体のエラストマー変性体である。なお、高融点中間層のみをSEM観察(走査電子顕微鏡で観察)したところ、高融点中間層は、エラストマー成分が島になっている海島構造を備えていることを確認することができた。
【0054】
上記「融点」の語は、JIS K7121−1987に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された融解ピーク温度を意味し、「結晶融解エネルギー」の語は、JIS K7122−1987に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された融解熱(結晶融解エネルギー)を意味する。
【0055】
また、前記2液硬化型マレイン酸変性ポリプロピレン接着剤として、主剤としてのマレイン酸変性ポリプロピレン(融点80℃、酸価10mgKOH/g)100質量部、硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレート体(NCO含有率:20質量%)8質量部、さらに溶剤が混合されてなる接着剤溶液を用い、該接着剤溶液を固形分塗布量が2g/m2になるように、前記アルミニウム箔4の他方の面に塗布し、加熱乾燥させた後、前記シーラントフィルム3の第1低融点層7面に重ね合わせた。
【0056】
<実施例2>
シーラントフィルムとして、融点115℃の低密度ポリエチレン(重量平均分子量が80,000)からなる厚さ3.75μmの第1低融点層7、融点142℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が400,000)からなる厚さ22.5μmの高融点中間層9、融点115℃の低密度ポリエチレン(重量平均分子量が80,000)からなる厚さ3.75μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0057】
<実施例3>
シーラントフィルムとして、融点135℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が120,000)からなる厚さ1.5μmの第1低融点層7、融点161℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が500,000)からなる厚さ27μmの高融点中間層9、融点135℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が120,000)からなる厚さ1.5μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0058】
<実施例4>
シーラントフィルムとして、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ6μmの第1低融点層7、融点163℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が600,000)からなる厚さ21μmの高融点中間層9、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ3μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0059】
<実施例5>
シーラントフィルムとして、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ3μmの第1低融点層7、融点163℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が600,000)からなる厚さ21μmの高融点中間層9、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ6μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0060】
参考例
シーラントフィルムとして、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ4.5μmの第1低融点層7、融点152℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が400,000)からなる厚さ21μmの高融点中間層9、融点137℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が150,000)からなる厚さ4.5μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と
同様にして、図1に示す構成の厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材1を得た。
【0061】
<比較例1>
シーラントフィルムとして、融点140℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が140,000)からなる厚さ10.5μmの第1低融点層7、融点163℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が600,000)からなる厚さ9μmの高融点中間層9、融点140℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が140,000)からなる厚さ10.5μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材を得た。
【0062】
<比較例2>
シーラントフィルムとして、融点140℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(重量平均分子量が140,000)からなる厚さ15μmの第1低融点層、融点156℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が450,000)からなる厚さ15μmの高融点中間層、がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材を得た。なお、得られた蓄電デバイス用外装材において、第1低融点層は、シーラント層における金属箔層側の最外層を構成している。
【0063】
<比較例3>
シーラントフィルムとして、融点115℃の低密度ポリエチレン(重量平均分子量が80,000)からなる厚さ10.5μmの第1低融点層7、融点142℃のエチレン−プロピレンブロック共重合体(重量平均分子量が400,000)からなる厚さ9μmの高融点中間層9、融点115℃の低密度ポリエチレン(重量平均分子量が80,000)からなる厚さ10.5μmの第2低融点層8がこの順で積層されてなる厚さ30μmのシーラントフィルム3を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ86μmの蓄電デバイス用外装材を得た。
【0064】
【0065】
上記のようにして得られた各蓄電デバイス用外装材に対して下記測定法に基づいて評価を行った。その結果を表1に示す。なお、表1において、X/Yは、(高融点中間層の厚さ)÷(シーラント層の厚さ)を意味する。また、表1において、絶縁抵抗値について「>200MΩ」の表記は、絶縁抵抗値が200MΩより大きい値であることを示す。
【0066】
<絶縁抵抗値測定法>
得られた蓄電デバイス用外装材から縦100mm×横15mmの大きさの矩形状の試験片を2枚切り出す。これら一対の試験片を互いのシーラント層で接触するように重ね合わせて両面加熱式のヒートシーラーで、シール幅5mm、0.15MPaの条件で2秒間シーラント層同士の熱融着を行った。なお、実施例1、3〜6、比較例1、2では、ヒートシール温度を180℃に設定し、実施例2と比較例3ではヒートシール温度を160℃に設定した(表1参照)。
【0067】
次に、試験片の長さ方向の両端部のそれぞれに導電性の両面テープを貼り付けてアルミニウム箔層との導通を確保した。絶縁抵抗測定装置(日置電機社製;品番HIOKI3154)の端子と、前記試験片の長さ方向の両端部の両面テープとを結線して回路を形成した後、25V、5秒の条件で電圧印加を行って絶縁抵抗値を測定した。
【0068】
<シール強度測定法>
外装材を幅15mm×長さ100mmの短冊状に切り出して試験片を得る。前記試験片を2枚準備し、これら2枚の試験片を互いの内側層が内側になるようにして重ね合わせた後、幅15mmにわたって全面のヒートシールを行って熱封止部(ヒートシール部)を形成した。前記ヒートシールは、テスター産業株式会社製のヒートシール装置(TP−701−A)を用いて、シール圧0.2MPa(ゲージ表示圧)で2秒間の片面加熱により行った。なお、実施例1、3〜6、比較例1、2の試験片では、ヒートシール温度を180℃に設定し、実施例2と比較例3の試験片では、ヒートシール温度を160℃に設定して、ヒートシールを行った。
【0069】
次に、JIS Z0238−1998に準拠して、前記ヒートシールされた2枚の試験片についてその剥離強度を測定した。前記ヒートシールされた2枚の試験片のそれぞれの未シール部となる両端部をチャックして引張速度(グリップ移動速度)100mm/分でT字剥離(90度剥離)することによって剥離強度を測定し、これをシール強度(N/15mm幅)とした。
【0070】
表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜6の蓄電デバイス用外装材では、絶縁抵抗値が大きい値であり、ヒートシール部において十分な絶縁性を確保できていた。
【0071】
これに対し、X/Yが本発明の規定範囲から逸脱する比較例1、3、および第2低融点層を備えていない比較例2では、いずれも絶縁抵抗値が小さく、十分な絶縁性を確保することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る蓄電デバイス用外装材は、具体例として、例えば、
・リチウム2次電池(リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等)等の蓄電デバイス
・リチウムイオンキャパシタ
・電気2重層コンデンサ
等の各種蓄電デバイスの外装材として用いられる。また、本発明に係る蓄電デバイスは、上記例示した蓄電デバイスの他、全固体電池も含む。
【符号の説明】
【0073】
1…蓄電デバイス用外装材
2…耐熱性樹脂層(外側層)
3…シーラント層(内側層)
4…金属箔層
5…外側接着剤層
6…内側接着剤層
7…第1低融点層
8…第2低融点層
9…高融点中間層
11…成形ケース
19…蓄電デバイス本体部
20…蓄電デバイス
図1
図2