(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体供給工程と、前記液体を過冷却状態にする工程と、前記過冷却状態となった前記液体の少なくとも一部を凍結させる工程と、を複数回実行する請求項7または8に記載の基板処理方法。
前記液体を過冷却状態にする工程において、前記液体の温度および前記液体の厚みの少なくともいずれかを測定し、前記測定された前記液体の温度および前記液体の厚みの少なくともいずれかに基づいて、前記基板の回転数および前記冷却ガスの流量の少なくともいずれかを制御する請求項7〜10のいずれか1つに記載の基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下に例示をする基板100は、例えば、半導体ウェーハ、インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に用いられる板状体などとすることができる。
ただし、基板100の用途はこれらに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するための模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1には、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、測定部8、制御部9、および排気部11が設けられている。
【0012】
載置部2は、載置台2a、回転軸2b、および駆動部2cを有する。
載置台2aは、筐体6の内部に設けられている。載置台2aは、板状を呈している。
載置台2aの一方の主面には、基板100を保持する複数の突出部2a1が設けられている。複数の突出部2a1の上には、基板100が載置される。基板100を載置する際には、基板100の、凹凸部が形成された側の面が、載置台2a側とは反対の方を向くようにする。凹凸部は例えばパターンとすることができる。複数の突出部2a1は、基板100の周縁を保持する。複数の突出部2a1により基板100の周縁を保持するようにすれば、基板100と載置台2a側の要素とが接触する部分を少なくすることができる。そのため、基板100の汚れや損傷などを抑制することができる。
載置台2aの中央部分には、載置台2aの厚み方向を貫通する孔2a2が設けられている。
【0013】
回転軸2bの一方の端部は、載置台2aの孔2a2に嵌合されている。回転軸2bの他方の端部は、筐体6の外部に設けられている。回転軸2bは、筐体6の外部において駆動部2cと接続されている。
【0014】
回転軸2bは、筒状を呈している。
回転軸2bの載置台2a側の端部には、吹き出し部2b1が設けられている。吹き出し部2b1は、載置台2aの、複数の突出部2a1が設けられる面に開口している。吹き出し部2b1の開口側の端部は、孔2a2の内壁に接続されている。吹き出し部2b1の開口は、載置台2aに載置された基板100の面に対峙している。
吹き出し部2b1は、載置台2a側(開口側)になるに従い断面積が大きくなる形状を有している。そのため、吹き出し部2b1の内部の孔は、載置台2a側(開口側)になるに従い断面積が大きくなる形状を有している。
なお、回転軸2bの先端に吹き出し部2b1を設ける場合を例示したが、吹き出し部2b1は、冷却ノズル3dの先端に設けることもできる。また、載置台2aの孔2a2を吹き出し部2b1とすることもできる。
【0015】
吹き出し部2b1を設ければ、放出された冷却ガス3a1を、基板100の載置台2a側のより広い領域に供給することができる。また、冷却ガス3a1の放出速度を低下させることができる。そのため、基板100が部分的に冷却されたり、基板100の冷却速度が速くなりすぎたりするのを抑制することができる。
その結果、後述する液体101の過冷却状態を生じさせることが容易となる。また、基板100のより広い領域において、液体101の過冷却状態を生じさせることができる。そのため、汚染物の除去率を向上させることができる。
【0016】
回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部は閉塞している。回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部には、冷却ノズル3dが挿入されている。回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部と、冷却ノズル3dとの間には、図示しない回転軸シールが設けられている。そのため、回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部は、気密となるように封止され、また、固定されている。
【0017】
駆動部2cは、筐体6の外部に設けられている。駆動部2cは、回転軸2bと接続されている。駆動部2cは、モータなどの回転機器を有するものとすることができる。駆動部2cの回転力は、回転軸2bを介して載置台2aに伝達される。そのため、駆動部2cにより載置台2a、ひいては載置台2aに載置された基板100を回転させることができる。
また、駆動部2cは、回転の開始と回転の停止のみならず、回転数(回転速度)を変化させることができる。駆動部2cは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
【0018】
冷却部3は、基板100の、液体101が供給された面とは反対側の面(載置台2a側の面)に冷却ガス3a1を直接供給する。
冷却部3は、冷却液部3a、フィルタ3b、流量制御部3c、および冷却ノズル3dを有する。
冷却液部3a、フィルタ3b、および流量制御部3cは、筐体6の外部に設けられている。
【0019】
冷却液部3aは、冷却液の収納、および冷却ガス3a1の生成を行う。
冷却液は、冷却ガス3a1を液化したものである。
冷却ガス3a1は、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。
冷却ガス3a1は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。この場合、比熱の高いガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。例えば、ヘリウムガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。また、窒素ガスを用いれば基板100の処理費用を低減させることができる。
冷却液部3aは、冷却液を収納するタンクと、タンクに収納された冷却液を気化させる気化部とを有する。タンクには、冷却液の温度を維持するための冷却装置が設けられている。気化部は、冷却液の温度を上昇させて、冷却液から冷却ガス3a1を生成する。気化部は、例えば、外気温度を利用したり、熱媒体による加熱を用いたりするものとすることができる。冷却ガス3a1の温度は、液体101を凝固点以下の温度にまで冷却して過冷却状態とすることが可能な程度の温度であればよい。そのため、冷却ガス3a1の温度は、液体101の凝固点以下の温度であればよく、冷却ガス3a1の温度は、例えば−170℃とすることができる。
【0020】
フィルタ3bは、配管を介して、冷却液部3aに接続されている。フィルタ3bは、冷却液に含まれていたパーティクルなどの汚染物が、基板100側に流出するのを抑制する。
【0021】
流量制御部3cは、配管を介して、フィルタ3bに接続されている。
流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御する。流量制御部3cは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。また、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の供給圧力を制御することで冷却ガス3a1の流量を間接的に制御するものであってもよい。この場合、流量制御部3cは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0022】
冷却液部3aにおいて冷却液から生成された冷却ガス3a1の温度は、ほぼ所定の温度となっている。そのため、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御することで基板100の温度、ひいては基板100上の液体101の温度を制御することができる。この場合、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御することで後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を生じさせる。
【0023】
冷却ノズル3dの一方の端部は、流量制御部3cに接続されている。冷却ノズル3dの他方の端部は、回転軸2bの内部に設けられている。冷却ノズル3dの他方の端部は、吹き出し部2b1の、流量制御部3c側の端部の近傍に位置している。
冷却ノズル3dは、筒状を呈している。冷却ノズル3dは、流量制御部3cにより流量が制御された冷却ガス3a1を基板100に供給する。冷却ノズル3dから放出された冷却ガス3a1は、吹き出し部2b1を介して、基板100の、液体101が供給された面とは反対側の面に直接供給される。
【0024】
第1液体供給部4は、基板100の、載置台2a側とは反対側の面に液体101を供給する。
後述する凍結工程において、液体101が液体から固体に変化(液固相変化)すると体積が変化するので圧力波が生じる。この圧力波により、基板100の表面に付着している汚染物が分離されると考えられる。そのため、液体101は、基板100の材料と反応し難いものであれば特に限定はない。
【0025】
ただし、液体101を凍結した際に体積が増える液体とすれば、体積増加に伴う物理力を利用して、基板100の表面に付着している汚染物を分離できるとも考えられる。そのため、液体101は、基板100の材料と反応し難く、且つ、凍結した際に体積が増える液体とすることが好ましい。例えば、液体101は、水(例えば、純水や超純水など)や、水を主成分とする液体などとすることができる。
水を主成分とする液体は、例えば、水とアルコールの混合液、水と酸性溶液の混合液、水とアルカリ溶液の混合液などとすることができる。
水とアルコールの混合液とすれば表面張力を低下させることができるので、基板の表面に形成された微細な凹凸部の内部に液体101を供給するのが容易となる。
水と酸性溶液の混合液とすれば、基板100の表面に付着したパーティクルやレジスト残渣などの汚染物を溶解することができる。例えば、水と硫酸などの混合液とすれば、レジストや金属からなる汚染物を溶解することができる。
水とアルカリ溶液の混合液とすれば、ゼータ電位を低下させることができるので、基板100の表面から分離させた汚染物が基板100の表面に再付着するのを抑制することができる。
【0026】
ただし、水以外の成分が余り多くなると、体積増加に伴う物理力を利用することが難しくなるので、汚染物の除去率が低下するおそれがある。そのため、水以外の成分の濃度は、5wt%以上、30wt%以下とすることが好ましい。
【0027】
また、液体101にはガスを溶存させることができる。ガスは、例えば、炭酸ガス、オゾンガス、水素ガスなどとすることができる。
液体101に炭酸ガスを溶存させれば、液体101の導電率を高めることができるので、基板100の除電や帯電防止を行うことができる。
液体101にオゾンガスを溶存させれば、有機物からなる汚染物を溶解することができる。
【0028】
第1液体供給部4は、液体収納部4a、供給部4b、流量制御部4c、および液体ノズル4dを有する。
液体収納部4a、供給部4b、および流量制御部4cは、筐体6の外部に設けられている。
【0029】
液体収納部4aは、液体101を収納する。
供給部4bは、配管を介して、液体収納部4aに接続されている。供給部4bは、液体収納部4aに収納されている液体101を液体ノズル4dに向けて供給する。供給部4bは、例えば、液体101に対する耐性を有するポンプなどとすることができる。なお、供給部4bがポンプである場合を例示したが、供給部4bはポンプに限定されるわけではない。例えば、供給部4bは、液体収納部4aの内部にガスを供給し、液体収納部4aに収納されている液体101を圧送するものとすることもできる。
【0030】
流量制御部4cは、配管を介して、供給部4bに接続されている。流量制御部4cは、供給部4bにより供給された液体101の流量を制御する。流量制御部4cは、例えば、流量制御弁とすることができる。
また、流量制御部4cは、液体101の供給の開始と供給の停止をも行う。
【0031】
液体ノズル4dは、筐体6の内部に設けられている。液体ノズル4dは、筒状を呈している。液体ノズル4dの一方の端部は、配管を介して、流量制御部4cに接続されている。液体ノズル4dの他方の端部は、載置台2aに載置された基板100の凹凸部が形成された面に対峙している。そのため、液体ノズル4dから吐出した液体101は、基板100の凹凸部が形成された面に供給される。
また、液体ノズル4dの他方の端部(液体101の吐出口)は、基板100の凹凸部が形成された領域の略中央に位置している。液体ノズル4dから吐出した液体101は、基板100の凹凸部が形成された領域の中央から拡がり、基板上で一定の厚みを有する液膜を形成する。
【0032】
第2液体供給部5は、基板100の、載置台2a側とは反対側の面に液体102を供給する。
第2液体供給部5は、液体収納部5a、供給部5b、流量制御部5c、および液体ノズル4dを有する。
液体102は、後述する解凍工程において用いられる。そのため、液体102は、基板100の材料と反応し難く、且つ後述する乾燥工程において基板100上に残留し難いものであれば特に限定はない。液体102は、例えば、水(例えば、純水や超純水など)や、水とアルコールの混合液などとすることができる。
【0033】
液体収納部5aは、前述した液体収納部4aと同様とすることができる。供給部5bは、前述した供給部4bと同様とすることができる。流量制御部5cは、前述した流量制御部4cと同様とすることができる。
なお、液体102と液体101が同じである場合には、第2液体供給部5を省くことができる。また、液体ノズル4dを兼用する場合を例示したが、液体101を吐出する液体ノズルと、液体102を吐出する液体ノズルを別々に設けることもできる。
また、液体101の温度は、液体101の凝固点よりも高い温度とすることができる。液体101の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。また、液体102の温度は、凍結した液体101を解凍できる温度とすることができる。液体102の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
【0034】
筐体6は、箱状を呈している。
筐体6の内部にはカバー6aが設けられている。カバー6aは、基板100に供給され、基板100が回転することで基板100の外部に排出された液体101を受け止める。カバー6aは、筒状を呈している。カバー6aの、載置台2a側とは反対側の端部(
図1での上方の端部)は、カバー6aの中心に向けて屈曲している。そのため、基板100の上方に飛び散る液体101の捕捉を容易とすることができる。
【0035】
また、筐体6の内部には仕切り板6bが設けられている。仕切り板6bは、カバー6aの外面と、筐体6の内面との間に設けられている。
筐体6の底面側の側面には排出口6cが設けられている。使用済みの冷却ガス3a1、空気7a、液体101、および液体102は、排出口6cから筐体6の外部に排出される。
排出口6cには排気管6c1が接続され、排気管6c1には使用済みの冷却ガス3a1、空気7aを排気する排気部(ポンプ)11が接続されている。また、排出口6cには液体101、102を排出する排出管6c2も接続されている。
排出口6cは基板100よりも下方に設けられている。そのため、冷却ガス3a1が排出口6cから排気されることでダウンフローの流れが作りだされる。その結果、パーティクルの舞い上がりを防ぐことができる。
図1および後述する
図6において、筐体6を平面視したときに、排出口6cは、筐体6の中心に対して対称となるように設けられている。
図1の場合は、排出口6cが2つ設けられている。このため、筐体6の中心に対して対称な冷却ガスの流れを形成することができる。そして、冷却ガスの流れを対称にすることで、基板100の面上を均一に冷却することができる。
【0036】
送風部7は、筐体6の天井面に設けられている。なお、送風部7は、筐体6の天井側の側面に設けることもできる。送風部7は、ファンなどの送風機とフィルタを備えたものとすることができる。フィルタは、例えば、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)などとすることができる。
【0037】
送風部7は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に空気7a(外気)を供給する。そのため、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間の圧力が外部の圧力より高くなる。その結果、送風部7により供給された空気7aを排出口6cに導くことが容易となる。また、パーティクルなどの汚染物が、排出口6cから筐体6の内部に侵入するのを抑制することができる。
また、送風部7は、基板100の、載置台2a側とは反対側の面に室温の空気7aを供給する。そのため、送風部7は、空気7aの供給量を制御することによって基板100上の液体101、102の温度を変化させることができる。そのため、送風部7は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御したり、凍結工程において液体101の解凍を促進させたり、乾燥工程において液体102の乾燥を促進させたりすることもできる。
【0038】
測定部8は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に設けられている。
測定部8は、基板100上の液体101の温度を測定するものとすることができる。この場合、測定部8は、例えば、放射温度計とすることができる。また、測定部8は、基板100上の液体101の厚み(液膜の厚み)を測定するものとすることもできる。この場合、測定部8は、例えば、レーザ変位計、超音波変位計などとすることができる。
測定された液体101の温度や厚みは、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御するのに用いることができる。
なお、過冷却状態を制御するとは、過冷却状態にある液体101の温度変化のカーブを制御して、急激に冷却されることで液体101が凍結しないようにすること、すなわち、過冷却状態が維持されるようにすることである。
【0039】
制御部9は、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
制御部9は、例えば、駆動部2cを制御して、基板100の回転数(回転速度)を変化させる。
例えば、制御部9は、基板100の回転数を制御して、供給された液体101や液体102が、基板100の全領域に行き渡るようにする。制御部9は、基板100の回転数を制御して、基板100上での液体101の厚みを制御したり、液体101や液体102を基板100上から排出させたりする。
【0040】
制御部9は、例えば、流量制御部3cを制御して、冷却ガス3a1の流量を変化させる。
例えば、制御部9は、冷却ガス3a1の流量を制御して液体101の温度や冷却速度を制御する。この場合、制御部9は、測定部8により測定された液体101の温度に基づいて、冷却ガス3a1の流量、ひいては液体101の温度や冷却速度を制御することができる。
【0041】
また、液体101の冷却速度は、基板100上での液体101の厚みと相関関係がある。例えば、液体101の厚みが薄くなる程、液体101の冷却速度が速くなる。逆に液体101の厚みが厚くなる程、液体101の冷却速度が遅くなる。そのため、制御部9は、測定部8により測定された液体101の厚みに基づいて、冷却ガス3a1の流量、ひいては液体101の冷却速度を制御することができる。
なお、液体101の温度や冷却速度の制御は、後述する過冷却工程において液体101の過冷却状態を制御する際に行われる。
【0042】
すなわち、制御部9は、基板100の面上にある液体101が過冷却状態となるようにし、過冷却状態となった液体101の少なくとも一部を凍結させる。
なお、「少なくとも一部を凍結させる」とは、少なくとも基板100の面上に形成されている凹凸部を覆う領域が凍結するようにすればよい。
制御部9は、液体101の供給と、液体101の過冷却と、液体101の凍結と、を含む一連の工程を複数回実行させる。
制御部9は、測定部8により測定された液体101の温度および液体101の厚みの少なくともいずれかに基づいて、基板101の回転数および冷却ガス3a1の流量の少なくともいずれかを制御する。
また後述する様に、制御部9は、冷却ガス3a1の温度よりも高い温度のガス10dと冷却ガス3a1の流量、および、ガス10d(
図6参照)と冷却ガス3a1の混合割合の少なくともいずれかを制御する。
【0043】
次に、基板処理装置1の作用とともに、本実施の形態に係る基板処理方法について例示をする。
図2は、本実施の形態に係る基板処理方法について例示をするためのタイミングチャートである。
なお、
図2は、基板100が6025クオーツ(Qz)基板(152mm×152mm×6.35mm)、液体101が純水の場合である。
【0044】
まず、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、基板100が筐体6の内部に搬入される。
搬入された基板100は、載置台2aの複数の突出部2a1の上に載置、保持される。
【0045】
基板100が載置台2aに載置、保持された後に、
図2に示すように予備工程、冷却工程(過冷却工程+凍結工程)、解凍工程、乾燥工程を含む凍結洗浄工程が行われる。
まず、
図2に示すように予備工程が実行される。
予備工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の、載置台2a側とは反対側の面に、所定の流量の液体101を供給する。
また、制御部9が、流量制御部3cを制御して、基板100の、液体101が供給された面とは反対側の面(載置台2a側の面)に、所定の流量の冷却ガス3a1を供給する。 また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100を所定の回転数(第1の回転数)で回転させる。
ここで、冷却部3による冷却ガス3a1の供給により筐体6内の雰囲気が冷やされると、基板100に空気中のダストを含んだ霜が付着し、汚染の原因となる可能性がある。予備工程においては、表面に液体101を供給し続けているので、基板100を均一に冷却しつつ、基板100表面への霜の付着を防止することができる。
【0046】
例えば、
図2に例示したものの場合には、基板100の回転数を100rpm程度、液体101の流量を0.3NL/min程度、冷却ガス3a1の流量を170NL/min程度、予備工程の工程時間を1800秒程度とすることができる。
なお、この工程時間は、基板100の面内が均一に冷却される時間であればよい。
また、この予備工程における基板100上の液体101の温度は、液体101がかけ流し状態であるため、供給される液体101の温度とほぼ同じとなる。例えば、供給される液体101の温度が常温(20℃)程度である場合、基板100上に存在する液体101(以下、液膜という)の温度は常温(20℃)程度となる。
次に、
図2に示すように冷却工程(過冷却工程+凍結工程)が実行される。
なお、本実施形態では、冷却工程のうち、液体101が過冷却状態となってから凍結が始まるまでの工程を「過冷却工程」、過冷却状態の液体101が凍結状態となり、解凍工程により解凍が始まるまでを「凍結工程」と呼称する。
ここで、液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。
そのため、制御部9は、冷却ガス3a1の流量、および、基板100の回転数の少なくともいずれかを制御することで基板100上の液体101が過冷却状態となるようにする。
【0047】
冷却工程(過冷却工程+凍結工程)では、
図2に例示するように、予備工程において供給されていた液体101の供給を停止し、基板100の回転数を30rpm程度とする。この回転数は、供給部4bから供給された液体101が基板100上で拡がり、基板100上に均一な厚みの液膜が形成されて維持される程度の回転数である。つまり、制御部は、予備工程時の回転数よりも少ない回転数で基板100を回転させる。また、この時の液体101の液膜の厚みは、凹凸部の高さ寸法以上とすることができる。また、冷却ガス3a1の流量は170NL/minに維持されている。
このように、冷却工程(過冷却工程+凍結工程)では、液体101の供給を停止することで、基板100上の液が停滞して熱交換が行われなくなる。さらに、基板の回転数を第1の回転数よりも少ない第2の回転数になるように制御することで、基板100上の液が停滞して熱交換が行われなくなる。このため、基板100の、載置台側の面に供給され続けていた冷却ガス3a1による冷却効果により、基板100上の液体101の液膜の温度が、予備工程時の液膜の温度よりもさらに下がり、過冷却状態となる。
ただし、液体101が過冷却状態となる条件は、基板100の大きさ、液体101の粘度、冷却ガス3a1の比熱などの影響を受ける。そのため、液体101が過冷却状態となる条件は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することが好ましい。
【0048】
凍結工程においては、例えば、液体101の温度をさらに低下させて、過冷却状態となった液体101の少なくとも一部を凍結させる。
図2に例示をしたものの場合には、液体101の温度が−30℃程度になると液体101の少なくとも一部が凍結する。
【0049】
前述したように液体101の新たな供給を停止し、冷却ガス3a1を供給し続けることで、液体101の温度はさらに低下し、液体101の温度が自発凍結温度になったときに自発的に液体101の凍結が始まる。
【0050】
ただし、過冷却状態となった液体101を凍結させる条件は、例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、冷却ガス3a1の流量を増加させるようにしてもよい。
また、過冷却状態にある液体101に振動を印加するなどして液体101を凍結させるようにしてもよい。この場合、回転軸2bなどを介して間接的に、あるいは、直接的に、基板100上の液体101に振動を加える超音波発生装置を設けることもできる。
この場合、測定部8により測定された液体101の温度に基づいて振動を与えるようにしてもよい。例えば、液体101の温度が所定の温度に達したときに振動を与えるようにしてもよい。このときの所定の温度は、凍結工程における体積膨張率が大きい温度、例えば−35℃以上、−20℃以下とすることができる。凍結工程における体積膨張率が大きい温度については後述する。
また、基板100の回転数を第2の回転数から第3の回転数に変化させたりすることによって振動を加えてもよい。
【0051】
次に、
図2に示すように解凍工程が実行される。
なお、
図2に例示をしたものは、液体101と液体102が同じ液体の場合である。
図2では液体101として図示している。
解凍工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の、載置台2a側とは反対側の面に、所定の流量の液体101を供給する。
なお、液体101と液体102が異なる液体の場合には、制御部9が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、基板100の、載置台2a側とは反対側の面に、所定の流量の液体102を供給する。
また、制御部9が、流量制御部3cを制御して、冷却ガス3a1の供給を停止させる。 また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を増加させる。基板100の回転が速くなれば、液体101と液体101が凍結したものとを遠心力で振り切ることで基板100上から除去することができる。そのため、液体101と液体101が凍結したものとを基板100上から排出するのが容易となる。またこの際、基板100の表面から分離された汚染物も基板100上から排出される。
なお、液体101または液体102の供給量は、解凍ができるのであれば特に限定はない。また、基板100の回転数は、液体101、液体101が凍結したもの、および汚染物が排出できるのであれば特に限定はない。
【0052】
次に、
図2に示すように乾燥工程が実行される。
乾燥工程においては、制御部9が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、液体101の供給を停止させる。
なお、液体101と液体102が異なる液体の場合には、制御部9が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、液体102の供給を停止させる。
また、制御部9が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数をさらに増加させる。 基板100の回転が速くなれば、基板100の乾燥を迅速に行うことができる。なお、基板100の回転数は、乾燥ができるのであれば特に限定はない。
以上の様にすることで、基板100の処理(汚染物の除去)を行うことができる。
【0053】
次に、過冷却工程および凍結工程についてさらに説明する。
図3は、過冷却工程のみを行った場合と、過冷却工程と凍結工程を行った場合を例示するためのグラフ図である。なお、図中、破線は、過冷却のみを行った場合であり、実線は、過冷却工程と凍結工程を行った場合を示している。
また、液膜の温度は、過冷却工程においては過冷却状態にある液体101の温度、凍結工程においては液体101と液体101が凍結したものとの混合物の温度としている。また、
図3に示すように、凍結工程においては、発生する凝固熱により混合物の温度が上昇する。
【0054】
図3に示すように、液体101が凍結する前に液体101の温度を上昇させるようにすれば、過冷却工程のみを行うことができる。
ところが、過冷却工程のみを行う様にすると、過冷却工程と凍結工程を行った場合に比べてPRE(Particle Removal Efficiency:パーティクルの除去率)が低下する。すなわち、凍結工程が行われないことで液体101の体積変化が起こらないため、基板100の表面に付着した汚染物が移動して分離されず、パーティクルの除去率(汚染物の除去率)が低下する。
なお、PREは、処理前のパーティクルの数をNI、処理後のパーティクルの数をNPとした場合に以下の式で表すことができる。
PRE(%)=((NI−NP)/NI)×100
パーティクルの数は、パーティクルカウンタなどを用いて計測することができる。
そのため、本実施の形態に係る基板処理方法においては、過冷却工程の後に凍結工程を行う様にしている。
【0055】
図4は、過冷却工程における液体101の温度と、凍結工程における体積膨張率との関係を例示するためのグラフ図である。
なお、
図4は、液体101が純水の場合である。また、凍結工程においては、液体101の全てが凍結するとは限らない。そのため、
図4においては、液体101と、液体101が凍結したものとが存在する場合(水と氷が存在する場合)としている。
図4に示すように、液体101が純水の場合には、過冷却工程における液体101の温度が−35℃以上、−20℃以下となるようにすることが好ましい。
この様にすれば、凍結工程における体積膨張率を増加させることができる。前述したように、基板100の表面からの汚染物の分離は、液固相変化に伴う圧力波、および体積増加に伴う物理力が関与すると考えられる。そのため、凍結工程での体積膨張率が大きい温度となるように過冷却状態である液体101の温度を制御する。すなわち、過冷却工程における液体101の温度を−35℃以上、−20℃以下とすれば、汚染物の除去率を向上させることができる。
【0056】
なお、以上は、液体101が純水の場合であるが、液体101が水を主成分とする場合も同様である。すなわち、液体101が水を含むものであれば、過冷却工程における液体101の温度は−35℃以上、−20℃以下とすることが好ましい。
【0057】
図5は、液体101の供給工程と、過冷却工程と、凍結工程とを複数回繰り返す場合を例示するためのグラフ図である。なお、
図5は、液体101の供給工程と、過冷却工程と、凍結工程とを10回行った場合である。
また、
図5に示すように、凍結工程の後に液体101の供給工程を設ければ(液体101を再度供給すれば)、液膜の温度は上昇する。そのため、液体101の供給工程の後に、過冷却工程を行うことができる。また、過冷却工程の後に、凍結工程を行うことができる。以下同様にして、液体101の供給工程と、過冷却工程と、凍結工程とを含む一連の工程を複数回繰り返すことができる。
【0058】
前述したように、凍結工程においては、液体101の全てが凍結するとは限らない。すなわち、一部の領域において凍結が生じない場合もありえる。しかしながら本実施形態においては、液体101の供給工程と過冷却工程と凍結工程を含む一連の工程を複数回行えば、凍結が生じない領域が発生する確率を少なくすることができる。そのため、パーティクルの除去率を向上させることができる。
【0059】
本実施の形態においては、基板100の載置台2a側の面(裏面)に冷却ガス3a1を供給し、基板100の面上に供給された液体101を冷却して液膜を過冷却状態とし、その後に液膜を凍結している。これにより以下の効果が得られる。
【0060】
基板100の裏面に冷却ガス3a1を吹き付けると、つまり、基板100を介して液膜を冷却すると、液体101が吹き飛ばないので膜厚を維持したまま凍結を行うことができる。これにより、例えば、基板100の表面から冷却ガス3a1を吹き付ける場合と比較して局所的な凍結が起こることがない。そのため、基板100の表面に設けられた凹凸部間にかかる圧力を均一化することができるので、凍結ムラによる凹凸部の倒壊を防ぐことができる。
【0061】
また、基板100の面上に供給された液体101の液膜を冷却して、過冷却状態の液膜を形成してから液膜を凍結することで、基板100の面上に形成された液膜の厚みを維持したまま凍結させることができる。これにより、例えば、基板100の表面に予め過冷却状態とした液体を供給する場合と比較して、過冷却状態とした液体が基板100上に供給されることの衝撃による局所的な凍結が起こることがない。そのため、基板100の表面に設けられた凹凸部間にかかる圧力を均一化することができるので、凍結ムラによる凹凸部の倒壊を防ぐことができる。
【0062】
また、本実施の形態においては、基板100の裏面から表面に向かって厚み方向に冷却される。そのため、液体101の液膜の厚さ方向に温度勾配が存在しても、液体101の液膜において、基板100と液体101との界面(液膜の基板側の面)の温度を最も低くすることができる。この場合、基板100と液体101との界面(液膜の基板側の面)から凍結がはじまる。基板100に付着した付着物は、主に基板と液体101との界面付近の液体101が膨張することによって移動して基板から分離されるため、基板100の表面に付着した付着物を効率よく分離することができる。
また、液膜の一部が凍結すると、その衝撃波や氷の核の形成により周囲の液膜も凍結が進む。そのため、界面付近の液体101が凍結したとき、界面付近の液体101も凍結するが、液体101の液膜において、界面付近の液体101の凍結開始時の温度を最も低くすることができる。その結果、界面付近の液体101の膨張を大きくすることができる。
基板100に付着した付着物は、主に、基板と液体101との界面付近の液体101が膨張することによって移動して基板から分離されるため、基板100の表面に付着した付着物を効率よく分離することができる。
【0063】
また、冷却ガス3a1により冷却を行えば、流量を制御することで熱応答性のよい冷却を行うことが可能である。そのため、温度降下のカーブを制御する際に、液体101が急激に冷却されるのを抑制することができる。また、凍結までの温度を精度よく制御することもできる。
【0064】
図6は、他の実施形態に係る基板処理装置1aを例示するための模式図である。
図6に示すように、基板処理装置1aには、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、測定部8、温度測定部8a、ガス供給部10、および制御部9が設けられている。
【0065】
温度測定部8aは、基板100と載置台2aとの間の空間の温度を測定する。この温度は、基板100と載置台2aとの間に流れる冷却ガス3a1とガス10dが混合された混合ガスの温度とほぼ等しい。
温度測定部8aは、例えば、放射線温度計などとすることができる。
【0066】
ガス供給部10は、ガス収納部10a、流量制御部10b、および接続部10cを有する。
ガス収納部10aは、ガス10dの収納と供給を行う。ガス収納部10aは、ガス10dが収納された高圧ボンベや工場配管などとすることができる。
流量制御部10bは、ガス10dの流量を制御する。流量制御部10bは、例えば、ガス10dの流量を直接的に制御するMFCとすることもできるし、圧力を制御することでガス10dの流量を間接的に制御するAPCとすることもできる。
【0067】
接続部10cは、回転軸2bに接続されている。接続部10cは、回転軸2bと冷却ノズル3dとの間の空間と、流量制御部10bとを接続する。接続部10cは、例えば、ロータリージョイントとすることができる。
【0068】
ガス10dは、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。ガス10dは、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。この場合、ガス10dは、冷却ガス3a1と同じガスとすることができる。
ただし、ガス10dの温度は、冷却ガス3a1の温度よりも高くなっている。ガス10dの温度は、例えば、室温とすることができる。
【0069】
前述したように、液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。すなわち、過冷却工程を行うことができなくなる。
この場合、液体101の冷却速度は、冷却ガス3a1の流量、および、基板100の回転数の少なくともいずれかにより制御することができる。ところが、冷却ガス3a1の温度は、冷却ガス3a1を供給する冷却部における温度設定によりほぼ一定となる。そのため、冷却ガス3a1の流量では、液体101の冷却速度を遅くすることが難しくなる場合がある。
また、基板100の回転数を少なくすることで基板100上の液体101の厚さを厚くして冷却速度を遅くすることができる。しかしながら、液体101の厚さには表面張力によって保たれる限界の厚さがあるため、基板100の回転数では液体101の冷却速度を遅くすることが難しくなる場合がある。
【0070】
そこで、本実施の形態においては、冷却ガス3a1よりも温度の高いガス10dと、冷却ガス3a1とを混合させることで、液体101の冷却速度を遅くすることができる様にしている。液体101の冷却速度は、ガス10dと冷却ガス3a1の流量、ガス10dと冷却ガス3a1の混合割合、ガス10dの温度などにより制御することができる。
また、基板100上の液体101の液膜の温度を測定部8で検出して冷却ガス3a1の流量を制御したとしても、液膜の温度と、冷却する基板100の載置台側の面(裏面)の温度と、には差が生じている場合がある。この場合、測定部8で検出された液膜の温度のみに基づいて冷却ガス3a1の流量を制御すると、液膜の温度が適正温度になったとしても、液膜の温度と基板100の裏面温度との間に差が生じ、凍結工程に大きく影響する基板100の厚み方向の温度勾配が大きくなる。
この場合、例えば複数の基板を処理する工程においては、例えば、N番目の基板とN+1番目の基板とにおいて同様の温度制御を行うことが困難となる。そのため、基板毎の過冷却状態の温度カーブにムラができ、基板毎の凍結のタイミングにずれが生じてしまうおそれがある。
【0071】
しかしながら本実施形態では、制御部9は、温度測定部8aにより測定された温度に基づいて、ガス10dと冷却ガス3a1の流量、ガス10dと冷却ガス3a1の混合割合の少なくともいずれかを制御することができる。
制御部9は、予備工程においてこのような制御を行い、測定部8で検出された温度と、温度測定部8aで検出された温度との差がなくなった後に、予備工程から過冷却工程(液体101の供給停止)に切り替えることができる。
【0072】
なお、流量制御部3cおよびガス供給部10が設けられる場合を例示したが、ガス供給部10を設ける場合には、流量制御部3cにより冷却ガス3a1の流量を調整することなく、ガス供給部10からガス10dを供給することにより冷却ガス3a1の温度を調整することが可能である。そのため、流量制御部3cを省くこともできる。
ただし、流量制御部3cおよびガス供給部10を設ければ、液体101の過冷却状態の制御をより容易に行うことができる。
また、送風部7により供給される空気7aの量を制御することで、液体101の過冷却状態の制御を行うこともできる。
【0073】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板処理装置1が備える各要素の形状、寸法、数、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、前述の実施の形態では、冷却液部3aにおいて冷却液を気化させることで生成した冷却ガス3a1を基板100に供給して基板100を冷却するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、常温のガスをチラー循環により冷却し、冷却したガスを冷却ガスとして用いてもよい。
【0074】
例えば、前述の実施の形態では、
図2に示すように予備工程から冷却工程に入る時、同時に基板100の回転数と液体101の供給流量を変化させているが、これに限られるものではない。例えば、基板100の回転数を第1の回転数から第2の回転数にした後、液体101の供給を停止することができる。
例えば、前述の実施の形態では、
図2に示すように冷却工程(過冷却工程+凍結工程)における回転数は一定であるが、これに限られるものではない。例えば、基板100の回転数を過冷却工程において第2の回転数にした後、凍結工程においては第2の回転数より大きい(高速な)第3の回転数にすることもできる。この場合、基板100上の液膜を薄くすることができ、凍結速度を速くすることで処理時間を短縮することができる。
【0075】
例えば、前述の実施の形態では、冷却工程において基板100上に形成される液体101の液膜の厚みは、凹凸部の高さ寸法以上としたが、凹凸部の側壁面および表面に、凹凸部の形状に沿って液膜が形成される程度でもよい。この場合、例えば液膜の厚みを凹凸部の寸法の半分以下とすれば、凹凸部の側壁面と側壁面との間が液膜で満たされず、凍結して膨張したとしても凹凸部に加圧されることなく、凹凸部の倒壊を防ぐことができる。
例えば、前述の実施の形態では、冷却部3による冷却ガス3a1の供給を、液体101が供給された基板100の下方(重力方向における下方)から行うようにしているが、液体101が供給された基板100の凹凸部の形成面を下方に向けて基板100を保持し、冷却部3からの冷却ガス3a1の供給を基板100の上方から行うようにしてもよい。このようにすれば、乾燥工程において、基板100の表面の凹部内の液成分の排出を重力によって促進することができる。
【0076】
また、前述した実施形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。