特許第6738245号(P6738245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738245
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20200730BHJP
【FI】
   H01R12/71
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-171349(P2016-171349)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-37360(P2018-37360A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】末光 佳史
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−136784(JP,A)
【文献】 特開2009−268291(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0166705(US,A1)
【文献】 特開2002−042935(JP,A)
【文献】 特開2003−272751(JP,A)
【文献】 特開2007−042539(JP,A)
【文献】 特開2002−252058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00−12/91
13/40−13/533
24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトと、
複数の前記コンタクトを保持するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに組み付けられ、複数の前記コンタクトを整列させるタインプレートと、を備え、
前記タインプレートは、
幅方向に延びるプレート本体と、
前記プレート本体の幅方向の中間位置に設けられ、前記プレート本体よりも前記プレート本体の厚さ方向の撓みに対して高い剛性を有するとともに、前記コネクタハウジングへの係止を担うロック要素を有する高剛性ブロックと、を備え、
前記高剛性ブロックは、前記プレート本体の表面から立ち上がり、内部に中空領域を有する枠体を備え、
前記枠体は、平面視した外観が矩形をなす、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記高剛性ブロックの前記ロック要素は、
前記コネクタハウジングから離脱する向きへの前記タインプレートの変位を規制する第一ロック要素を含む、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングは、
前記第一ロック要素の係止が解除される向きへの前記タインプレートの変位を規制する第二ロック要素を含む、
請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記プレート本体は、
前記高剛性ブロックを基準にして、前記幅方向の一方に配置される第一プレートと、前記幅方向の他方に配置される第二プレートと、を一体に備え、
前記第一プレートと前記第二プレートは、
それぞれの先端部に、前記コネクタハウジングから離脱する向きへの前記タインプレートの変位を規制する第三ロック要素を、備える、
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記高剛性ブロックは、
前記第一プレートと前記第二プレートを繋ぐ、単数又は複数のリブを備える、
請求項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タインプレートと称される整列部材によりコンタクトを整列させる電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板等の回路基板(以下、単に基板という)に実装され、基板と他の電気回路とを接続する電気コネクタが広く使われている。この電気コネクタは、コンタクトと、コンタクトを保持するコネクタハウジングとを主たる構成要素としている。このコンタクトは、基板の表裏を貫通する接続孔に挿入されるタイン部と、互いに嵌合する相手コネクタのコンタクトに接触する接触部とを備えている。コンタクトは、通常、薄い金属板を打ち抜くと共に折り曲げて形成されるものであり、容易に変形をしてしまう。このため、電気コネクタを輸送する最中、基板への実装作業中などに、タイン部が外力を受けて位置ずれを起こすおそれがある。タイン部に位置ずれが生ずると、タイン部を基板の接続孔に挿入できなくなる。
そこで、タイン部を整列させ、かつ位置ずれを防ぐために、例えば特許文献1に記載されるタインプレートが用いられている。タインプレートには、その表裏を貫通する位置決め孔が形成されており、この位置決め孔にタイン部を貫通させる。そうすることにより、タイン部を基板の接続孔に対して正確に位置決めし、かつ位置ずれを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−108789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気コネクタの極数が多く、コネクタハウジングの幅方向の寸法が大きい場合に、この寸法に合うようにタインプレートを長尺にすることができる。しかし、タインプレートは、一般に電気絶縁性の樹脂材料で薄い板状に作製されているために、長尺になると容易に撓んでしまう。
タインプレートは、通常、幅方向の両端をコネクタハウジングに係止させることで、コネクタハウジングからの抜け止めされている。しかし、タインプレートの撓みが大きくなると、タインプレートとコネクタハウジングのロックが外れてしまい、タインプレートがコネクタハウジングから離脱するおそれがある。
タインプレートを複数個に分割すれば撓みが小さくなるので、コネクタハウジングからの離脱を防止できるが、分割に伴って部品点数が増加するので製品コストを押し上げる。
【0005】
以上より、本発明は、幅方向の寸法が大きくても、コネクタハウジングからの離脱を防止できるタインプレートを備える電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気コネクタは、複数のコンタクトと、複数のコンタクトを保持するコネクタハウジングと、コネクタハウジングに組み付けられ、複数のコンタクトを整列させるタインプレートと、を備える。
本発明におけるタインプレートは、幅方向に延びるプレート本体と、プレート本体の幅方向の中間位置に設けられ、プレート本体よりも高い剛性を有するとともに、コネクタハウジングへの係止を担うロック要素を有する高剛性ブロックと、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明における高剛性ブロックは、プレート本体の表面から立ち上がり、内部に中空領域を有する枠体を備え、枠体が、平面視した外観が矩形をなす、ことが好ましい。
【0008】
本発明の高剛性ブロックのロック要素は、コネクタハウジングから離脱する向きへのタインプレートの変位を規制する第一ロック要素を含む、ことが好ましい。
また、本発明のコネクタハウジングは、第一ロック要素の係止が解除される向きへのタインプレートの変位を規制する第二ロック要素を含む、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明のプレート本体は、高剛性ブロックを基準にして、幅方向の一方に配置される第一プレートと、幅方向の他方に配置される第二プレートと、を一体に備え、第一プレートと第二プレートは、それぞれの先端部に、コネクタハウジングから離脱する向きへのタインプレートの変位を規制する第三ロック要素を、備える、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明の高剛性ブロックは、第一プレートと第二プレートを繋ぐ、単数又は複数のリブを備える、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気コネクタによれば、タインプレートが幅方向の中間位置に高剛性ブロックを備えており、タインプレートは撓みに対する剛性が高くなるので、撓みによるタインプレートのハウジングからの脱落を防止できる。また、高剛性ブロックは、コネクタハウジングへの係止を担うロック要素を有しているので、タインプレートのハウジングからの脱落をより確実に防止できる。
しかも、本発明に係るタインプレートは、高剛性ブロックが複数のタインプレートを繋ぐ機能を有するので、高剛性ブロックを設けることにより長尺なタインプレートを一つの部品として扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタを示す斜視図であり、(a)は後方から示し、(b)は前方から示す。
図2】(a)は本発明の実施形態に係る電気コネクタの平面図、(b)は(a)のIIb−IIb矢視による斜視図である。
図3】(a)は図2(a)のIIIa−IIIa矢視断面図、(b)は(a)のIIIb部分の拡大図である。
図4図1の電気コネクタのコネクタハウジングを単体として示し、(a)は前方から示し、(b)は後方から示した図であって、(a)とは上下を反転している。
図5図1の電気コネクタのタインプレートを単体で示し、(a)及び(b)はおもて面側から示した図であり、(c)はうら面側から示した図であり、(d)は(a)の縦断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る電気コネクタ10は、図1に示すように、電気絶縁性のコネクタハウジング20と、コネクタハウジング20に保持される複数の導電性のコンタクト40と、複数のコンタクト40を整列させる部材である電気絶縁性のタインプレート50と、を備えている。電気コネクタ10は、幅方向Yの寸法が大きく、これに伴ってタインプレート50は長尺に形成されているが、部分的に剛性を高くすることにより、撓みを防止できる。
【0014】
電気コネクタ10は、コネクタハウジング20が図示を省略する基板の表面に載った状態で、基板の所定位置に位置決めされる。なお、図1(a)に示すように、電気コネクタ10において、基板が配置される側を下(D)、その反対側を上(U)とする。また、図1(b)に示すように、電気コネクタ10において、図示を省略する相手コネクタが嵌合される側を前(F)、タインプレート50が配置される側を後(B)とする。この定義は、本発明にも適用されるものとする。
【0015】
[コネクタハウジング20]
複数のコンタクト40を保持するコネクタハウジング20は、電気絶縁性の樹脂を射出成形することにより、一体に形成される。
コネクタハウジング20は、図1及び図4に示すように、図示しない相手コネクタが嵌合される嵌合部21,23を前側に備えている。フード状をなす嵌合部21,23は、それぞれに受容空間22,24が形成されている。相手コネクタは、この受容空間22,24に挿入されることにより、電気コネクタ10と嵌合される。
【0016】
コネクタハウジング20は、図1及び図4に示すように、カバー部25を後側に備えている。カバー部25は、上壁26と、左右一対の側壁27,28と、コンタクト40を貫通して保持するコンタクト保持壁29と、を備えている。上壁26と側壁27,28とで囲まれたカバー部25の内部に、タイン部45を含むコンタクト40の後端部が配置される。
【0017】
図3及び図4に示すように、側壁27の内面には、タインプレート50の幅方向Yの一端を支持するロック突起31が形成され、また、側壁28の内面には、タインプレート50の幅方向Yの他端を支持するロック突起32が形成されている。ロック突起31,32は、本発明の第三ロック要素をなす。
カバー部25には、図2(b)及び図4(b)に示すように、タインプレート50の幅方向Yの中間位置、特に中央部分に設けられる高剛性ブロック60を受容するブロック受け33が設けられている。ブロック受け33は、上壁26から下方に向けて所定の位置まで吊り下げられており、幅方向Yに間隔を空けて設けられる一対の側壁34,34と、上壁26に連なる庇35と、を備える。側壁34,34及び庇35は、上壁26よりも後方に向けて張り出している。
ブロック受け33の内部に臨むコンタクト保持壁29には、タインプレート50のロックアーム67がロックされるロック突起37が設けられている。ロック突起37とロックアーム67とで、ハウジング20とタインプレート50の係止を担う本発明のロック要素、特に第一ロック要素を構成する。
また、側壁34,34のそれぞれには、後端かつ下端にロック片38,38が設けられる。ロック片38,38は、タインプレート50の高剛性ブロック60の後端と係止されることで、タインプレート50が後方への変位、つまりロック突起37とロックアーム67の係止が解除される向きへのタインプレート50の変位を規制する。互いに係止される高剛性ブロック60の後端とロック片38,38は、本発明のロック要素、特に第二ロック要素を構成する。
【0018】
[コンタクト40]
コンタクト40は、図1に示すように、相手コネクタのコンタクトとの接続に供される接触部42と、基板の接続孔(図示せず)に挿入されるタイン部45を先端に有する垂下部44と、接触部42と垂下部44とを繋ぐ屈曲部46とを有している。コンタクト40は、接触部42が相手コネクタとの嵌合方向Xと略平行に延びており、垂下部44は嵌合方向Xと略直交する方向に延びている。コンタクト40は、薄い金属板を打ち抜くと共に、屈曲部46においておよそ90°に折り曲げて形成される。コンタクト40は、例えば銅合金のような高導電性の金属材料から構成される。また、タイン部45は、基板の接続孔に挿入され、はんだ付けにより基板の導電パッド(図示せず)に電気的に接続される。そのために、タイン部45は、表面に金属めっき、例えば、錫メッキが施される。
【0019】
複数のコンタクト40は、コンタクト保持壁29に圧入されることにより、コネクタハウジング20に保持される。この状態で、各コンタクト40は、タイン部45が、図示を省略する基板の接続孔に挿入される。各コンタクト40のタイン部45は、互いに平行に配列されており、且つ全てのコンタクト40のタイン部45は、基板の接続孔と対応するように配列されている。
タイン部45は、接続孔においてはんだ付けにより基板に固定される。
【0020】
[タインプレート50]
タインプレート50は、図1に示すように、コンタクト40のタイン部45を保持し、コンタクト40を所定の位置に整列させるとともに、外力が加わってコンタクト40が位置ずれするのを防止する。
タインプレート50は、図1及び図5に示すように、所定本数のコンタクト40が挿入される端子整列孔54が形成されるプレート本体51と、プレート本体51の幅方向Yの中央から高さ方向Zに立ち上る高剛性ブロック60と、を一体に備えている。タインプレート50は、絶縁性の樹脂材料を射出成形することにより一体的に成形されている。タインプレート50は、高剛性ブロック60を備えるところに特徴を有している。
【0021】
端子整列孔54は、プレート本体51の互いに平行なおもて面52及びうら面53を貫通し、複数のコンタクト40と同じ配列で形成されている。おもて面52及びうら面53ともに、端子整列孔54の開口形状は円形である。
【0022】
プレート本体51は、高剛性ブロック60を境にして、第一プレート55と第二プレート56を備えている。本実施形態における第一プレート55と第二プレート56は実質的に同じ構造及び寸法を有している。
第一プレート55及び第二プレート56のそれぞれの幅方向Yの両端には、タインプレート50をコネクタハウジング20とロックするためのロック突起57,58が形成されている。ロック突起57,58は、コネクタハウジング20のロック突起31,32と互いに係止されることで、タインプレート50がコネクタハウジング20の高さ方向Z、つまりタインプレート50がコネクタハウジング20から離脱する向きに変位するのを規制する。ロック突起57,58はロック突起31,32とともに本発明のロック要素、特に第三ロック要素を構成する。
【0023】
第一プレート55及び第二プレート56のうら面には、プレート本体51の幅方向Yに沿う複数の溝59が形成されている。
【0024】
次に、高剛性ブロック60について説明する。
高剛性ブロック60は、図5に示すように、第一プレート55と第二プレート56を接続することにより、プレート本体51を一体化するとともに、タインプレート50の撓みに対する剛性を向上する。この撓みは、タインプレート50の厚さ方向についてのものである。また、高剛性ブロック60は、タインプレート50をコネクタハウジング20に保持させる機能を果たす。
【0025】
高剛性ブロック60は、図5に示すように、高剛性ブロック60の外郭をなす枠体61と、枠体61の内部を高さ方向Zに仕切る仕切板65と、枠体61の前壁63から立ち上がるロックアーム67と、枠体61の内部において第一プレート55と第二プレート56の間を繋ぐ複数のリブ69と、を備えている。ここでは複数のリブ69を設ける例を示すが、リブ69は単数で足りる場合もある。
【0026】
枠体61は、一対の側壁62,62と、側壁62,62の一方端を繋ぐ前壁63と、側壁62,62の他方端を繋ぐ後壁64と、を備え、平面視した外観の形状が矩形をなし、内部に中空領域を有している。側壁62,62は、プレート本体51の幅方向Yに間隔を隔てて設けられ、プレート本体51の嵌合方向Xの全域にわたって形成されている。前壁63は、側壁62,62よりも背が低く抑えられており、その上端からロックアーム67が立ち上がっている。
【0027】
ロックアーム67は、前壁63に連なる板状の部材であるが、その先端部分にロック突起68が設けられている。このロック突起68は、タインプレート50がコネクタハウジング20に組み付けられると、コネクタハウジング20のロック突起37と互いに係止されることで、タインプレート50がコネクタハウジング20から離脱するのを防ぐようにロックする。
【0028】
リブ69は、第一プレート55と第二プレート56を枠体61の内部で繋ぐことにより、プレート本体51が第一プレート55と第二プレート56の間で厚さ方向(高さ方向Z)に撓むのを防止する。
【0029】
[電気コネクタ10の組み付け手順]
次に、コンタクト40とタインプレート50をコネクタハウジング20に組み付ける手順について説明する。
はじめに、用意した必要な数の真っ直ぐなコンタクト40を、コネクタハウジング20の後方側に配置し、コンタクト40の接触部42をコンタクト保持壁29の保持孔30に圧入するように押し込む。全てのコンタクト40の圧入を終えたら、それぞれのコンタクト40の屈曲部46に対応する個所を折り曲げる。
【0030】
次に、タインプレート50をコネクタハウジング20に対して位置決めをしてから、タイン部45を対応するタインプレート50の端子整列孔54に挿通する。タインプレート50を所定の位置まで押し込むことで、コンタクト40がタインプレート50により所定の整列状態に位置決めされ、コネクタハウジング20に対するコンタクト40とタインプレート50の組み付けが完了する。
この押し込みの過程で、幅方向Yの中央部において、タインプレート50のロックアーム67とコネクタハウジング20のロック突起37とが互いに係止される。また、幅方向Yの両端部において、タインプレート50のロック突起57,58とコネクタハウジング20のロック突起31,32とが互いに係止される。つまり、タインプレート50は、幅方向Yの両端部と中央の併せて3か所でコネクタハウジング20からの抜け止めロックがなされる。
この組み付けの過程を通じて、又は、組み付け後において、コンタクト40はタインプレート50により所定の整列状態が維持される。
【0031】
[電気コネクタ10の効果]
以下、本実施形態に係る電気コネクタ10が奏する効果を説明する。
電気コネクタ10は、タインプレート50が幅方向Yの中央部分に高剛性ブロック60を備えており、タインプレート50は高さ方向zの剛性が高くなるので、タインプレート50の撓みを抑えることができる。しかも、本実施形態は、コネクタハウジング20のロック突起37と高剛性ブロック60のロックアーム67との係止により、タインプレート50がハウジング20から離脱する向きの変位が規制されている。したがって、電気コネクタ10によれば、撓みによるタインプレート50のコネクタハウジング20からの離脱を防止できる。特に、本実施形態は、タインプレート50の撓みが最も大きくなる幅方向Yの中央に高剛性ブロック60を設けているので、撓み防止の効果が大きい。
さらに、電気コネクタ10は、脱落防止のための高剛性ブロック60がタインプレート50の第一プレート55と第二プレート56を繋いでいるために、長尺なタインプレート50を一つの部品として扱うことができる。
【0032】
また、電気コネクタ10は、ブロック受け33のロック片38,38が高剛性ブロック60の後端と係止されることで、ロック突起37とロックアーム67の係止が解除される向きへのタインプレート50の変位を規制する。したがって、電気コネクタ10は、ロック突起37とロックアーム67によるロックをより確実に行うことができる。
さらに、電気コネクタ10は、タインプレート50の幅方向Yの両端でロック突起57,58がコネクタハウジング20のロック突起31,32と互いに係止されており、タインプレート50の幅方向Yの両端部及び中央の3か所においてコネクタハウジング20と係止されている。したがって、タインプレート50のコネクタハウジング20からの離脱がより確実に防止される。
【0033】
次に、電気コネクタ10は、高剛性ブロック60は、平面視した形状が矩形をなしており、側壁62,62、前壁63及び後壁64が形成された部分は、嵌合方向X及び幅方向Yに補剛リブを設けたのと等価である。したがって、高剛性ブロック60は、中空領域を有する軽量な構造体でありながらも高い剛性をタインプレート50に付与できる。
【0034】
また、高剛性ブロック60は、枠体61に加えて、リブ69を第一プレート55と第二プレート56の間に設けているので、タインプレート50の撓みをより確実に防止できる。
【0035】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、高剛性ブロック60は、タインプレート50に剛性を付与しつつコネクタハウジング20と係止をする機能と、第一プレート55と第二プレート56を繋ぐ機能を有している限り、その形態は任意である。
【0036】
また、コネクタハウジング20及びタインプレート50が備えるロック要素の形態はその機能を果たす限り任意である。例えば、本実施形態は、コネクタハウジング20のロック突起37と係止されるロックアーム67を高剛性ブロック60が備える例を示したが、コネクタハウジング20の側にロックアーム(67)を設けることができる。この構成によっても、タインプレート50がコンタクト40から離脱する向きへの変位を規制することができる。他のロック要素についても同様である。
【0037】
また、本実施形態は、高剛性ブロック60がタインプレート50の幅方向Yの中央に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、高剛性ブロック60をタインプレート50の幅方向Yの中央からずれた中間位置に設けてもよい。また、本実施形態は、高剛性ブロック60が一つだけ設けられる例を示したが、タインプレート50が極めて長尺の場合には、複数の個所に高剛性ブロック60を設けることもできる。
【符号の説明】
【0038】
10 電気コネクタ
20 ハウジング
21,23 嵌合部
22,24 受容空間
25 カバー部
26 上壁
27 側壁
28 側壁
29 コンタクト保持壁
30 保持孔
31,32 ロック突起
33 ブロック受け
34 側壁
35 庇
37 ロック突起
38 ロック片
40 コンタクト
42 接触部
44 垂下部
45 タイン部
46 屈曲部
50 タインプレート
51 プレート本体
52 おもて面
53 うら面
54 端子整列孔
55 第一プレート
56 第二プレート
57,58 ロック突起
59 溝
60 高剛性ブロック
61 枠体
62 側壁
63 前壁
64 後壁
65 仕切板
67 ロックアーム
68 ロック突起
69 リブ
図1
図2
図3
図4
図5