(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受け部材において前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間となる部分には、前記支持部材を中心として前記アーム部材を回転させた場合の前記係合部材の移動軌跡と干渉するように摺接凸部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の開閉制御装置。
前記受け部材には、係合位置と非係合位置とに移動可能に配設し、前記係合位置に配置された状態においては前記ガイド溝に対して進出し、前記障子が開き方向に移動した場合に前記係合部材に当接することにより前記アーム部材を介して前記障子の開度を制限する一方、前記非係合位置に配置された状態においては前記ガイド溝に対して退行し、前記障子が開き方向に移動した場合に前記係合部材が前記ガイド溝の導出端を通過するのを許容するロック部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の開閉制御装置。
前記ロック部材は、前記係合位置に配置された場合に前記係合部材に当接するロック用突出部を有するとともに、前記係合位置及び前記非係合位置に配置された場合にいずれも前記ガイド溝から退行した位置に配置される係合片部を有したものであり、
前記係合片部は、前記係合位置において前記係合部材が前記ロック用突出部に当接している際に前記係合部材の周囲に配置され、前記ロック部材が前記非係合位置に向けて移動した場合に前記係合部材の側面に当接して前記非係合位置への移動を阻止する一方、前記係合部材が前記ガイド溝の下方に配置されている場合には前記ロック部材の前記非係合位置への移動を許容することを特徴とする請求項6に記載の開閉制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロック部材の位置を変更するには、障子が閉じた状態で行う必要がある。しかしながら、障子が閉じた状態においては枠体と障子との間に設けられたロック部材を操作することが困難である。このため従来では、ロック部材に連結した操作部を外部に導出し、操作部を介してロック部材の位置を変更するようにしている。
【0006】
ここで、枠体と障子との間には、タイト材が設けられており、障子を閉じた状態において雨水等の水や外気が室内に進入しないように構成されている。従って、ロック部材の操作部は、このタイト材を通過して外部に導出する必要がある。すなわち、上述したタイト材は、その一部が操作部を介して枠体と障子との間に介在することになる。この結果、操作部によって生じる段差が原因となって水や外気が進入するおそれがある。さらに、操作部は、タイト材に圧接された状態で操作されることになるため、タイト材に損傷を来すおそれもある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、枠体と障子との間の隙間を通じた水や外気の進入を招来することなく障子の開度を変更することのできる開閉制御装置及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る開閉制御装置は、枠体に対する障子の開度を制御する開閉制御装置において、前記障子
の戸先に位置する框に移動可能に配設し、係合部材を有したアーム部材と、前記枠
体に配設した受け部材とを備え、前記受け部材には、
前記枠体を構成する枠の長手方向に沿って上下に延在し、前記係合部材をスライド可能に収容するガイド溝が設けられ、前記ガイド溝は、
前記係合部材が逸脱可能となる導出端が上端に形成されたものであり、前記アーム部材は、支持部材を介して回転可能に支持され、前記障子が閉じている場合に前記係合部材が前記ガイド溝の下方の端部に位置するように配置される一方、前記障子が開き方向へ移動した場合には前記係合部材が前記ガイド溝の上方の端部に漸次移動するように回転するものであり、前記受け部材には、前記障子が開き方向に移動した場合に前記係合部材に当接することにより前記アーム部材を介して前記障子の開度を制限する一方、前記アーム部材を解除方向に移動させた場合には前記係合部材との当接状態が解除されて前記係合部材が前記ガイド溝の導出端を通過するのを許容する当接部が設けられ
、前記支持部材は、前記アーム部材の先端部が上方に移動するように回転した場合に当該アーム部材の先端部が前記障子の内方側に位置するように傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、障子が開き方向に移動した場合に係合部材が受け部材の当接部に当接することによって障子の開度が制限され、この状態から係合部材と当接部との係合状態を解除すれば、係合部材がガイド溝の導出端を通過して障子の開度を変更することができる。従って、障子を閉じた状態で操作する必要がなく、枠体と障子との間に設けられたタイト材を通過する操作部も不要となるため、枠体と障子との間のタイト材が損傷する事態を招来することがなく、水や外気が進入する事態を確実に防止することができる。
【0010】
また本発明は、上述した開閉制御装置において、
前記ガイド溝の上方の端部には、互いに延在方向が異なる第1ガイド部及び第2ガイド部を設け、前記第1ガイド部を前記当接部として機能させることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、ガイド溝の途中に延在方向が異なる第1ガイド部及び第2ガイド部を設け、第1ガイド部を当接部として機能させるようにしているため、係合部材に当接する部材を別途用意する必要がなく、部品点数の増大に起因したコストの増大や組立作業の煩雑化を招来することがない。
【0012】
また本発明は、上述した開閉制御装置において、前記受け部材において前記第1ガイド部と前記第2ガイド部との間となる部分には、前記支持部材を中心として前記アーム部材を回転させた場合の前記係合部材の移動軌跡と干渉するように摺接凸部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、係合部材が摺接凸部を乗り越えるようにアーム部材を回転させれば、その後、アーム部材から手を離した場合にも係合部材の位置が維持されることになる。従って、アーム部材を手で支えておかなくとも、この状態から障子を開き方向に移動させれば、障子を全開位置まで開くことが可能となり、操作性を向上させることができる。
【0015】
この発明によれば、アーム部材の先端部が上方に移動するように回転した場合に先端部が障子の内方側に位置するため、その後に係合部材がガイド溝を逸脱して障子が開いた場合にアーム部材の先端部が枠体に当接する事態を招来することがない。
【0017】
この発明によれば、アーム部材の先端部が上方に移動するように回転した場合に突起が当接することによって先端部が障子の内方側に位置するため、係合部材がガイド溝を逸脱した後においてアーム部材が枠体に当接する事態を未然に防止することができる。
【0018】
また本発明は、上述した開閉制御装置において
、前記アーム部材は、前記支持部材の軸芯に対して傾動可能に支持してあり、前記受け部材には、前記障子を閉じた際に前記係合部材に当接する下方の縁部に、当該係合部材に当接して前記係合部材を前記ガイド溝に導入させる導入傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、係合部材がガイド溝から逸脱した状態においても障子を閉じれば導入傾斜部の作用によって係合部材がガイド溝に導入されることになるため、係合部材をガイド溝に戻す操作を行う必要がない。
【0020】
また本発明は、上述した開閉制御装置において、前記アーム部材は前記障子の戸先に位置する框の見込み面に取り付けられ、前記受け部材は前記枠体において対応する見込み面に取り付けられるもの
であり、前記係合部材は、軸部の先端部に太径の頭部を有したものであり、前記ガイド溝は、前記枠体の見込み面に沿って延在される平板状の基板部に設けられ、前記導入傾斜部が設けられた下方の端部が前記係合部材の頭部を挿通可能とする幅を有するとともに、前記下方の端部より上方に位置する通路部が前記係合部材の軸部を挿通可能、かつ前記頭部を挿通不可とする幅を有したものであり、前記受け部材において前記ガイド溝の下方の端部から前記通路部の下端部にわたる部分には、前記基板部から突出するように構成され、前記ガイド溝に配置された前記係合部材の頭部において前記枠体の見込み面から離隔する側の部分を前記通路部に案内する膨出部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、係合部材がガイド溝の上方部に移動する際に膨出部によって係合部材の頭部が通路部に案内されるため、係合部材がガイド溝の上方に移動する間にガイド溝の通路部から逸脱するおそれがない。
【0022】
また本発明は、上述した開閉制御装置において、前記受け部材には、係合位置と非係合位置とに移動可能に配設し、前記係合位置に配置された状態においては前記ガイド溝に対して進出し、前記障子が開き方向に移動した場合に前記係合部材に当接することにより前記アーム部材を介して前記障子の開度を制限する一方、前記非係合位置に配置された状態においては前記ガイド溝に対して退行し、前記障子が開き方向に移動した場合に前記係合部材が前記ガイド溝の導出端を通過するのを許容するロック部材が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、ロック部材を係合位置に配置すれば、アーム部材を操作した場合にも係合部材がガイド溝から逸脱することがない。従って、不用意に障子が全開位置まで開放される事態を防止することができる。
【0024】
また本発明は、上述した開閉制御装置において、前記ロック部材は、前記係合位置に配置された場合に前記係合部材に当接するロック用突出部を有するとともに、前記係合位置及び前記非係合位置に配置された場合にいずれも前記ガイド溝から退行した位置に配置される係合片部を有したものであり、前記係合片部は、前記係合位置において前記係合部材が前記ロック用突出部に当接している際に前記係合部材の周囲に配置され、前記ロック部材が前記非係合位置に向けて移動した場合に前記係合部材の側面に当接して前記非係合位置への移動を阻止する一方、前記係合部材が前記ガイド溝の下方に配置されている場合には前記ロック部材の前記非係合位置への移動を許容することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、ロック部材が係合位置に配置された状態でロック用突出部と係合部材とが当接するまで障子を開いた場合には、ロック部材を非係合位置に向けて移動させると係合片部が係合部材に当接するため、非係合位置に配置することができない。すなわち、係合位置に配置されたロック部材を非係合位置に移動させるには、障子の開度を小さく制限し、係合片部に当接しない位置まで係合部材をガイド溝の下方に配置する必要がある。従って、室外側から係合位置に配置されたロック部材を非係合位置に移動させることが困難となり、防犯上の点で有利となる。
【0027】
この発明によれば、ロック部材が係合位置に配置された状態で障子が開き方向に移動した場合に係合部材がロック部材に当接することによって障子の開度が制限される。この状態からロック部材と係合部材との係合状態を解除すれば、係合部材がガイド溝の導出端を通過して障子の開度を変更することができる。従って、障子を閉じた状態で操作する必要がなく、枠体と障子との間に設けられたタイト材を通過する操作部も不要となるため、枠体と障子との間のタイト材が損傷する事態を招来することがなく、水や外気が進入する事態を確実に防止することができる。
【0028】
また本発明に係る建具は、枠体と障子との間に、上述した開閉制御装置が設けられていることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、障子が開き方向に移動した場合に係合部材が逸脱可能となる導出端を有するようにガイド溝を設けているため、障子を開いた状態で直接アーム部材を解除方向に移動させたり、ロック部材を操作することが可能となる。従って、従前のごとく、枠体と障子との間に設けられたタイト材を通過するように操作部を設ける必要がなく、これによりタイト材が損傷する事態を招来することもなく、水や外気が進入する事態を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、障子が開き方向に移動した場合に障子の開度が制限され、この状態から係合部材との係合状態を解除すれば、係合部材がガイド溝の導出端を通過して障子の開度を変更することができる。従って、障子を閉じた状態で操作する必要がなく、枠体と障子との間に設けられたタイト材を通過する操作部も不要となるため、枠体と障子との間のタイト材が損傷する事態を招来することがなく、水や外気が進入する事態を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である開閉制御装置を適用した建具を概念的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した建具に適用する開閉制御装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した開閉制御装置のアーム部材を備えたアームユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した開閉制御装置の受け部材を備えたガイドユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した受け部材の要部を示すもので、(a)は係合部材がガイド溝の第1ガイド部に配置された状態の拡大図、(b)は係合部材がガイド溝の第2ガイド部に配置された状態の拡大図である。
【
図6】
図6は、
図4に示したガイドユニットを示すもので、(a)はロック部材が非係合位置に配置された状態の図、(b)はロック部材が係合位置に配置された状態の図である。
【
図7】
図7は、
図2に示した開閉制御装置においてアーム部材が垂下し、係合部材が受け部材のガイド溝に配置された状態の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す状態から障子が開き方向に移動した場合の開閉製制御装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す状態から障子が開き方向に移動した場合の開閉製制御装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す状態からアーム部材を上方に回転させた場合の開閉制御装置の斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す状態から障子がさらに開き方向に移動した場合の開閉制御装置の斜視図である。
【
図13】
図13は、開閉制御装置が
図8に示す状態にある際の建具の要部横断面図である。
【
図14】
図14は、
図11に示す状態から障子を閉じる方向に移動した場合の開閉制御装置の斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明に係る開閉制御装置の変形例1を示したもので、(a)はアーム部材が垂下した状態のアームユニットの平面図、(b)はその正面図である。
【
図16】
図16は、
図15に示したアームユニットを示したもので、(a)はアーム部材の先端部が上方に移動するように回転した状態の平面図、(b)はその正面図である。
【
図18】
図18は、本発明に係る開閉制御装置の変形例2を示したもので、(a)はアーム部材が垂下した状態のアームユニットの側面図、(b)はその正面図である。
【
図19】
図19は、
図18に示したアームユニットを示したもので、(a)はアーム部材の先端部が上方に移動するように回転した状態の平面図、(b)はその正面図である。
【
図21】
図21は、本発明に係る開閉制御装置の変形例3であるガイドユニットを示すもので、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
【
図22】
図22は、本発明に係る開閉制御装置の変形例4であるガイドユニットの分解斜視図である。
【
図23】
図23は、
図22に示したガイドユニットを示したもので、(a)はロック部材が非係合位置に配置された状態の図、(b)はロック部材が係合位置に配置された状態の図である。
【
図24】
図24は、本発明に係る開閉制御装置の変形例5であるガイドユニットの分解斜視図である。
【
図25】
図25は、
図24に示したガイドユニットを示したもので、(a)はロック部材が非係合位置に配置された状態の図、(b)はロック部材が係合位置に配置された状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る開閉制御装置及び建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である開閉制御装置を適用した建具を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10及び障子20を備え、枠体10に対して障子20を面外方向に移動させることにより、障子20を室外側に向けて開放するように構成した縦すべり出し窓と称されるものである。枠体10は、上枠11、下枠12、左右一対の縦枠13,14を四周枠組みすることによって構成したものである。障子20は、矩形状を成すガラス21の四周に上框22、下框23、左右一対の縦框24,25を装着して構成したもので、枠体10を開閉することのできる大きさに構成してある。この建具では、図には明示していないが、上枠11と上框22との間及び下枠12と下框23との間にそれぞれフリクションステーと称されるリンク機構が介在してある。リンク機構は、枠体10に対して障子20を開閉可能に支持するためのもので、室外側から見て右側に位置する縦框25の長手方向を中心として左側に位置した戸先となる縦框(以下、区別する場合に「左縦框24」という)が回転可能となるように構成してある。この建具においては、図示せぬ取手を介して左縦框24を室外側に突出させれば、閉じた状態の障子20を開くことができる。
【0033】
室外側から見て左側に位置する縦枠(以下、区別する場合に「左縦枠13」という)と左縦框24との間には、開閉制御装置100が設けてある。開閉制御装置100は、枠体10に対する障子20の開度を制御するもので、
図2に示すように、アームユニット110及びガイドユニット120を備えている。
【0034】
以下、開閉制御装置100の構成について説明し、併せて本発明の特徴部分について詳述する。なお、以下の説明においては便宜上、見込み方向等の用語を用いる。見込み方向とは、
図1中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については、見込み面と称する場合がある。
【0035】
開閉制御装置100のアームユニット110は、左縦框24において左縦枠13に対向する外周側の見込み面24aに取り付けたもので、
図2及び
図3に示すように、アーム部材111と、アーム部材111を回転可能に支持するベース部材112とを備えている。
【0036】
アーム部材111は、幅に対して長さの大きな長尺部材であり、金属の薄板によって成形してある。アーム部材111の中間部には、クランク状の屈曲部111aが設けてある。屈曲部111aは、アーム部材111の先端部と基端部とが異なる平面上に位置し、かつ互いに平行となるように配置するためのものである。本実施の形態では、全長にわたってほぼ同じ幅を有したアーム部材111を適用している。このアーム部材111には、基端部にピン挿通孔111b及びバネ掛け111cが設けてあるとともに、先端部に係合ピン(係合部材)113が設けてある。ピン挿通孔111bは、アーム部材111の基端部に貫通した円形の孔である。バネ掛け111cは、アーム部材111の基端部においてピン挿通孔111bの周囲となる部位に切り起こして形成した突出部である。係合ピン113は、軸部113aの先端部に太径の頭部113bを有したもので、軸部113aを介してアーム部材111の先端部に取り付けてある。
【0037】
ベース部材112は、平板状を成す支持板部112aと、支持板部112aの両端部に設けた取付板部112bとを金属の薄板によって一体に成形したものである。このベース部材112には、ピン挿通孔111bを介して支持板部112aに支持ピン(支持部材)114を固着することによりアーム部材111が配設してある。支持ピン114は、係合ピン113と同様、軸部114aの先端部に太径の頭部114bを有したものである。支持ピン114の軸部114aはピン挿通孔111bの内径よりも小さく構成してあり、支持ピン114の頭部114bはピン挿通孔111bの内径よりも大きく構成してある。支持ピン114を介して支持板部112aに配設されたアーム部材111は、支持ピン114の軸芯を中心として回転可能、かつ支持ピン114の軸方向に移動可能である。また、アーム部材111は、支持ピン114の軸部114a(軸芯)に対して傾動することも可能である。
【0038】
支持板部112aの両端部は、互いに同一方向に向けてわずかに屈曲しており、屈曲端部に取付板部112bが連続している。取付板部112bは、支持板部112aの両端部において互いに同一の平面上に相互に平行となるように設けたもので、それぞれがネジ挿通孔112cを有している。
図3に示すように、支持板部112aと取付板部112bとの連結部分は、図中の左側に向かうに従って相互間隔が小さくなるように傾斜している。従って、支持板部112aは、図中の右側に位置する縁部に対して左側に位置する縁部の取付板部112bからの突出高さが小さくなっており、取付板部112bを介して平面に当接させた場合に、左側の縁部が低くなるように傾斜して配置されることになる。
【0039】
また、ベース部材112の支持板部112aには、回転規制片112d及びねじりコイルバネ115が設けてある。回転規制片112dは、支持板部112aにおいて突出高さの大きい縁部に切り起こして形成した突出部分である。
図2からも明らかなように、本実施の形態の回転規制片112dは、図中においてアーム部材111を反時計回りに回転させた場合に互いに側縁を対向して当接するように構成してある。本実施の形態では、アーム部材111の長手方向が支持板部112aの長手方向に沿って配置された場合にアーム部材111と当接するように回転規制片112dが設けてある。ねじりコイルバネ115は、円錐状を成すもので、アーム部材111の基端部との間に介在することにより、アーム部材111を常時支持ピン114の頭部114bに当接するように付勢している。またこのねじりコイルバネ115は、一方のバネ端部115aがアーム部材111の基端部に設けたバネ掛け111cに係合し、他方のバネ端部115bが回転規制片112dを切り起こす際に形成された切欠部分に係合しており、ベース部材112に対してアーム部材111が常時回転規制片112dに当接するように付勢している。
【0040】
上記の構成を有したアームユニット110は、
図1中の二点鎖線で示すように、取付板部112bが上下となり、アーム部材111が支持ピン114から下方に垂下し、かつ室外側に位置する縁部に回転規制片112dが当接した状態で左縦框24の見込み面24aに取り付けてある。ここで、左縦框24の見込み面24aに取り付けられたアームユニット110では、上述したように、支持板部112aの左側の縁部が低くなるように傾斜して配置されるため、
図13に示すように、支持ピン114の軸部114aが先端に向けて漸次室内側となるように傾斜して配置されることになる。
【0041】
一方、開閉制御装置100のガイドユニット120は、左縦枠13において左縦框24に対向する内周側の見込み面13aに取り付けたもので、
図2及び
図4に示すように、受け部材121と、ロック部材122とを備えている。
【0042】
受け部材121は、平板状を成す基板部121aと、基板部121aの両端部に設けた取付片部121bとを金属の薄板によって一体に成形したものである。取付片部121bは、それぞれ基板部121aから同一方向に向けてほぼ直角に屈曲した後、互いに離反する方向に向けてほぼ直角に屈曲している。取付片部121bの屈曲端部は、互いに同一の平面上で相互に平行となるように設けてあり、それぞれがネジ挿通孔121cを有している。受け部材121の基板部121aには、ガイド溝121d及び導入傾斜片(導入傾斜部)121eが設けてある。
【0043】
ガイド溝121dは、基板部121aのほぼ中央となる部分に長手方向に沿って延在した切欠である。
図4においてガイド溝121dの下方となる端部121d1は、アーム部材111の先端部に設けた係合ピン113の頭部113bを挿通可能とする幅に構成してある。一方、下方の端部121d1より上方に位置するガイド溝121dの通路部121d2は、係合ピン113の軸部113aを挿通可能、かつ頭部113bを挿通不可とする幅に構成してある。ガイド溝121dの下方の端部121d1から通路部121d2の下端部にわたる部位において
図4中の右側に位置する縁部には、膨出部121fが設けてある。膨出部121fは、基板部121aを左縦枠13の見込み面13aから離隔する方向に向けて台状に突出させることによって構成した部分である。
【0044】
同図からも明らかなように、ガイド溝121dの通路部121d2において上方となる部分には、第1ガイド部121g及び第2ガイド部121hが設けてある。第1ガイド部121gは、
図4において上方に向けて右側に傾斜したほぼ直線状に延在する部分である。図からも明らかなように、第1ガイド部121gの上方側に位置する縁部(以下、当接縁部(当接部)121jという)は、下方から上方に向けて延在したガイド溝121dに対してほぼ全幅を覆うように大きく斜めに突出した部分となる。第2ガイド部121hは、第1ガイド部121gの上端から上方に向けて左側に傾斜したほぼ直接状に延在する部分である。第2ガイド部121hの延在端部は、係合ピン113の頭部113bを挿通することのできる幅を有しており、導出端121kを構成している。第2ガイド部121hの導出端121kには、導出傾斜片121mが設けてある。導出傾斜片121mは、基板部121aの表面から第2ガイド部121hに向けて漸次退行するように傾斜した部分である。
【0045】
また基板部121aにおいて第1ガイド部121gと第2ガイド部121hとの間となる部位には、
図5に示すように、摺接凸部121nが設けてある。摺接凸部121nは、第1ガイド部121gの当接縁部121jからガイド溝121dに向けてわずかに突出した部分である。この摺接凸部121nは、アーム部材111の係合ピン113が第1ガイド部121gの下端部に位置した状態で左縦框24に取り付けたアーム部材111を支持ピン114の軸芯回りに上方に向けて回転させた場合に、係合ピン113の移動軌跡Xよりもわずかに突出するように構成してある。
【0046】
導入傾斜片121eは、
図2及び
図4に示すように、基板部121aにおいてガイド溝121dの下方の端部121d1に対応する部位に設けたもので、ガイド溝121dよりも左側に位置する基板部121aの表面から左側に向けて漸次退行するように傾斜している。導入傾斜片121eの上下方向に沿った寸法は、ガイド溝121dにおいて係合ピン113の頭部113bを挿通可能とする下方部分の寸法よりも大きく、上述した膨出部121fとほぼ同じとなるように構成してある。
【0047】
ロック部材122は、樹脂によって成形したブロック状部材であり、
図4に示すように、軸部材123を介して受け部材121の上端部裏面に回転可能に配設してある。このロック部材122には、通過用凹部122a及びロック用突出部122bが設けてある。通過用凹部122aは、
図6の(a)に示すように、ロック部材122を時計回りに回転させた位置に配置した場合(以下、非係合位置という)、ガイド溝121dの第1ガイド部121g及び第2ガイド部121hに対向して配置される部分である。この通過用凹部122aは、ガイド溝121dにアーム部材111の係合ピン113が配置された場合にその通過を許容できるように寸法が設定してある。ロック用突出部122bは、
図6の(b)に示すように、ロック部材122を反時計回りに回転させた位置に配置した場合(以下、係合位置という)、ガイド溝121dの第1ガイド部121gを横切るように配置される部分である。このロック用突出部122bは、受け部材121に近接するように突出しており、ガイド溝121dにアーム部材111の係合ピン113が配置された場合にその通過を阻止するように寸法が設定してある。上述のロック部材122は、受け部材121に設けた窓孔121pを介して操作用の凹部122cに工具を挿入することで受け部材121の表面側から操作することが可能である。図示の例では、ロック部材122に縦長の凹部122cを形成し、かつ受け部材121の基板部121aに軸部材123を中心としてほぼ円弧状となるように幅の狭い窓孔121pを形成するようにしている。また、図には明示していないが、ロック部材122と受け部材121との間には、工具で操作しない限り、非係合位置及び係合位置に配置された状態を維持するようにウェーブワッシャが介在させてある。
【0048】
上記の構成を有したガイドユニット120は、取付片部121bが上下となってガイド溝121dが左縦枠13の長手に沿って延在し、障子20を閉じた際に、
図7に示すように、鉛直下方に垂下したアーム部材111の係合ピン113がガイド溝121dの下方の端部121d1に配置されるように位置を調整した状態で左縦枠13の見込み面13aに取り付けてある。
【0049】
上記の開閉制御装置100を備える建具では、
図7に示すように、ロック部材122が非係合位置に配置された状態で障子20を閉じた状態から開くと、
図8及び
図9に示すように、アーム部材111が適宜回転しながら係合ピン113がガイド溝121dの縁部に沿って漸次上方に移動することになる。ガイド溝121dに沿って上方に移動した係合ピン113は、やがて第1ガイド部121gに到達する。ここで、第1ガイド部121gは、係合ピン113を障子20が閉じる方向に向けて案内するように延在したものであり、また係合ピン113の頭部113bよりも小さい寸法の幅に構成したものである。従って、障子20を開く方向に移動させている間においては、第1ガイド部121gに到達した係合ピン113がもはや上方に移動することはなく、当接縁部121jに当接した状態に維持される。すなわち、枠体10に対して障子20は、開度が制限された状態(以下便宜上、半開状態という)となる。なお、この半開状態においては、係合ピン113の上方への移動が制限されているだけであり、そのまま障子20を閉じる方向に移動させれば、係合ピン113が漸次下方に案内され、障子20を全閉状態まで移動させることが可能である。
【0050】
上述した半開状態において枠体10と障子20との隙間から手を挿入し、
図10に示すように、支持ピン114を中心としてアーム部材111の先端部が上方に移動するように回転操作すると、係合ピン113が第2ガイド部121hの下端部に到達する。このとき、本実施の形態の開閉制御装置100では、第1ガイド部121gの当接縁部121jに摺接凸部121nが設けてある。このため、係合ピン113は、第1ガイド部121gから第2ガイド部121hに移動する間に摺接凸部121nを乗り越えるように移動することになり、摺接凸部121nを乗り越える際にアーム部材111を介して障子20をわずかに閉じるように力を加える過程を経る。従って、第2ガイド部121hに到達した係合ピン113は、操作力を加えない限り第1ガイド部121gに逆行することはなく、手で支えておかなくとも第2ガイド部121hの下端部に留まる。
【0051】
その後、上述の状態から障子20を開き方向に移動させれば、
図11に示すように、係合ピン113が第2ガイド部121hによって室外側に案内され、やがて導出傾斜片121mに当接する。導出傾斜片121mに当接した係合ピン113は、当該導出傾斜片121mの傾斜作用によって基板部121aの表面側に案内されるとともに、アーム部材111がねじりコイルバネ115のバネ力に抗して適宜傾斜することでガイド溝121dの導出端121kから逸脱され、障子20を全開位置まで移動させることが可能となる。
【0052】
このとき、本実施の形態の開閉制御装置100では、ベース部材112の支持板部112aが左縦框24の見込み面24aに取り付けた際に傾斜するように構成してあり、アーム部材111の先端部が上方に移動するように回転した場合にその先端部が障子20の内方側に位置する。すなわち、上方に向けて回転したアーム部材111の先端部が、
図12中の二点鎖線で示すように、見込み面24aを含む仮想の平面Sを超えてガラス21が配置された障子20の内方側に位置するように、支持ピン114が傾斜して設けられている。このため、アーム部材111が回転した場合には、受け部材121のガイド溝121dから逸脱した係合ピン113やアーム部材111の先端部と左縦枠13との間に隙間が確保され、互いに当接する事態を招来することがない。
【0053】
ここで、上述のように左縦框24の見込み面24aに対してアーム部材111の支持ピン114を傾斜させるようにした開閉制御装置100にあっては、
図8に示すように、アーム部材111の係合ピン113がガイド溝121dの下方の端部121d1に配置されている場合、
図13に示すように、係合ピン113の頭部113bにおいて室内側となる部分が左縦枠13の見込み面13aから離隔するように傾斜した状態となる。従って、この状態から、
図12に示すように、アーム部材111の先端部が障子20の内方側に位置するように移動すると、つまり受け部材121の基板部121aから離隔するように移動すると、係合ピン113の頭部113bと受け部材121との掛かり代が減少する状態となる。しかしながら、上述の開閉制御装置100では、ガイド溝121dの下方の端部121d1から通路部121d2の下端部にわたる部位には、
図13中の下側に位置する縁部に膨出部121fが設けてある。従って、傾斜した係合ピン113の頭部113bは、膨出部121fによって通路部121d2に案内され、ガイド溝121dから逸脱することはない。
【0054】
また、アーム部材111を操作している際に風等の影響によって障子20が閉じる方向に移動したとしても、係合ピン113がガイド溝121dの縁部に当接することによってアーム部材111が枠体10と障子20との間に突っ張る形で介在することになり、それ以上閉じる方向への移動を阻止する。従って、アーム部材111を操作している指が挟まる等の問題を招来することがない。
【0055】
係合ピン113が受け部材121のガイド溝121dから逸脱した後においては、ねじりコイルバネ115のバネ力及び自重により、アーム部材111が支持ピン114の下方に垂下した状態となる。このとき、アーム部材111には、ベース部材112の回転規制片112dが当接している。従って、半開状態を超えて開いた状態から障子20を閉じる方向に移動させると、
図14に示すように、やがてアーム部材111の係合ピン113が受け部材121に設けた導入傾斜片121eに当接する。導入傾斜片121eに当接した係合ピン113は、当該導入傾斜片121eの傾斜作用によって基板部121aの表面側に案内されるとともに、アーム部材111がねじりコイルバネ115のバネ力に抗して適宜傾斜する。これにより、さらに障子20を閉じる方向に移動させれば、係合ピン113がガイド溝121dの下方の端部121d1に導入された状態に復帰する。
【0056】
一方、ロック部材122を係合位置に配置した状態で障子20を閉じた状態から開き方向に移動させた場合には、係合ピン113がロック用突出部122bに当接し、以降、上方への移動が阻止される。上述したように、ロック部材122の操作は窓孔121pを介して凹部122cに工具を挿入しなければ行うことができない。従って、子供がイタズラしたとしてもロック部材122が容易に非係合位置に戻ることはなく、障子20が不用意に全開しない状態を維持することができる。
【0057】
このように、開閉制御装置100を備えた建具によれば、障子20が開き方向に移動した場合に係合ピン113が受け部材121の当接縁部121jに当接することによって障子20の開度が半開状態に制限され、半開状態から係合ピン113と当接縁部121jとの係合状態を解除すれば、係合ピン113がガイド溝121dの導出端121kを通過して障子20を全開位置まで移動させることができる。従って、障子20の開度を変更する操作を、障子20を閉じた状態で行う必要がなく、枠体10と障子20との間に設けられたタイト材200(
図12参照)を通過する操作部も不要となる。このため、枠体10と障子20との間のタイト材200が損傷する事態を招来することがなく、水や外気が進入する事態を確実に防止することができる。
【0058】
しかも、ガイド溝121dの上方部に互いに延在方向が異なる第1ガイド部121g及び第2ガイド部121hを設け、第1ガイド部121gの上方側に位置する縁部を当接縁部121jとして機能させるようにしているため、係合ピン113に当接させる部材を別途用意する必要がなく、部品点数の増大に起因したコストの増大や組立作業の煩雑化を招来することがない。
【0059】
なお、上述した実施の形態では、アーム部材111を支持する支持ピン114を左縦框24の見込み面24aに対して傾斜させ、アーム部材111が回転した場合に先端部が障子20の内方側に移動するように構成したが、本発明はこれに限定されず、その他の方法によってもアーム部材111が回転した場合に先端部が障子20の内方側に移動するように構成することは可能である。
【0060】
例えば、
図15〜
図17に示す変形例1のように、ベース部材112の縁部に突起112eを設けるように構成しても良い。すなわち、変形例1においては、アーム部材111の先端部が上方に移動した場合にのみアーム部材111の基端部に当接するようにベース部材112の縁部に突起112eを設けるようにしている。
【0061】
また、
図18〜
図20に示す変形例2のように、支持ピン114の頭部114bにおいてアーム部材111の基端部に対向する部位に突起114cを形成するとともに、アーム部材111の基端部において支持ピン114の頭部114bに対向する部位に凹部111dを形成しても良い。すなわち、変形例2においては、
図18の(a)に示すように、アーム部材111が支持ピン114から垂下した状態においては、支持ピン114の突起114cがアーム部材111の凹部111dに収容される一方、アーム部材111の先端部が上方に移動した場合に支持ピン114の突起114cをアーム部材111の基端面に当接させるようにしている。これら変形例1及び変形例2においては、いずれも左縦框24の見込み面24aに対して支持ピン114を傾斜させる必要はない。なお、これら変形例1及び変形例2において実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略している。
【0062】
また、上述した実施の形態では、受け部材121の上端部に設けた幅の狭い窓孔121pを介してロック部材122に設けた縦長の凹部122cを操作するように構成しているが、
図21に示す変形例3のように、ロック部材122に横長の凹部122c′を形成し、かつ受け部材121の基板部121aに軸部材123を中心として略円弧状となるように幅の広い窓孔121p′を形成するようにしても良い。なお、変形例3においても実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略している。
【0063】
またさらに、
図22及び
図23に示す変形例4のように、操作用のツマミ122dを受け部材121の下方部から突出させるように構成することも可能である。すなわち、変形例4においては、上下に長尺となるロック部材122を適用し、第1ガイド部121gの上端となる部位に対応するようにロック用突出部122bを設けるようにしている。この変形例4においても、
図23の(a)に示す非係合位置から操作用のツマミ122dを操作することで、
図23の(b)に示すように、第1ガイド部121gにロック用突出部122bを配置して係合位置とすれば、アーム部材111の係合ピン113がロック用突出部122bに当接して上方への移動が阻止されるため、不用意に障子20が全開位置まで開放される事態を防止できる。なお、変形例4においても実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略している。
【0064】
さらに、
図24及び
図25に示す変形例5のように、ロック部材122に係合片部122eを設ければ、防犯上の点で有利となる。すなわち、変形例5においては、実施の形態と同様、受け部材121の上方部にロック部材122を回転可能に配設し、係合位置に配置された場合にロック用突出部122bを第1ガイド部121gに位置させるようにしているとともに、ロック用突出部122bよりも下方に延在するように係合片部122eを設けるようにしている。係合片部122eは、
図25の(a)及び(b)に示すように、係合位置及び非係合位置に配置された場合にいずれもガイド溝121dから退行した位置に配置される。一方、係合片部122eは、ロック部材122が係合位置と非係合位置との間を移動する際にはガイド溝121dを横切るように設けたものである。この係合片部122eは、ガイド溝121dにおいて係合ピン113がロック用突出部122bに当接している状態においてロック部材122を非係合位置に向けて回転させた場合、係合ピン113の側面に当接することができるように構成してある。
【0065】
この変形例5によれば、
図25の(b)に示すように、ロック用突出部122bに係合ピン113が当接するまで障子20を開いた状態では、ロック部材122を非係合位置に向けて移動させようとすると係合片部122eが係合ピン113の側面に当接する。つまり、障子20が半開状態となっている場合には、ロック部材122を係合位置から非係合位置に操作することができない。変形例5において係合位置に配置されたロック部材122を非係合位置に移動させるには、障子20の開度を小さく制限し、
図25の(b)中の二点鎖線で示すように、係合片部122eに当接しない位置まで係合ピン113をガイド溝121dの下方部に配置する必要がある。従って、室外側から係合位置に配置されたロック部材122を非係合位置に移動させることが困難となり、防犯上の点で有利となるのである。なお、変形例5においても実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してそれぞれの詳細説明を省略している。
【0066】
なお、上述した実施の形態では、縦すべり出し窓を例示しているが、これに限定されず、横すべり出し窓や開き窓に適用することも可能である。ガイド溝の延在方向についても必ずしも上下である必要はない。また、障子にアームユニットを設ける一方、枠体にガイドユニットを設けるようにしているが、障子にガイドユニットを設け、枠体にアームユニットを設けても良い。さらに、ガイドユニットの端部に導出傾斜片を設けることによってアーム部材の係合部材をガイド溝から逸脱させるようにしているが、必ずしも導出傾斜片は設ける必要はなく、単にガイド溝を開放端としても良い。
【0067】
またさらに、第1ガイド部及び第2ガイド部をそれぞれ直線状に形成しているが、必ずしもこれに限定されず、第1ガイド部、第2ガイド部は湾曲状に構成しても構わない。なお、ガイド溝にロック部材を設けた場合には、当該ロック部材を当接部として機能させるように構成することも可能であり、ガイド溝に別途当接部を設ける必要はない。