(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ケーブルの繰り出し時に、前記車両に向かう進行方向に対して、左方向および右方向に蛇行するように、前記走行部を制御する請求項1に記載の自走式給電装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、車両1および自走式給電装置10の斜視図である。車両1は、例えば、電気自動車である。自走式給電装置10は、例えば、電気自動車のバッテリを充電するための充電スタンドに配備される。
図1に示すように、自走式給電装置10は、ケーブル11を搭載しており、ケーブル11の一端が不図示の外部電源に接続されている。車両1を充電スタンドの駐車位置に駐車すると、自走式給電装置10は、ケーブル11を繰り出しながら走行し、所定の給電位置に到達する。
【0014】
自走式給電装置10は、例えば、非接触充電方式を用いて、ケーブル11を介して外部電源から供給された電力を車両1のバッテリに給電する。ここでは、非接触充電方式を例に挙げて説明したが、ケーブル11の端子を車両1に接続してバッテリを充電してもよい。
【0015】
以下では、自走式給電装置10が車両1に向かって走行するとき、進行方向の前方側を、自走式給電装置10の一方側、進行方向の後方側を、自走式給電装置10の他方側として説明する。
【0016】
図2は、自走式給電装置10の一方側の斜視図である。
図2に示すように、自走式給電装置10は、大凡円柱形状の本体12と、本体12を走行させる走行部13を有する。走行部13は、4つの車輪で構成され、本体12の下面12a側に配される。4つの車輪のうち、一方側の2つの車輪13aは、不図示のモータの動力で回転駆動する。また、車輪13aは、左右の車輪13aで同一方向、または、逆方向の回転が可能である。車輪13aの回転方向を制御することで、自走式給電装置10の進行方向が可変となっている。
【0017】
給電部14は、本体12の上面12bに設けられる。給電部14は、ケーブル11の他端が電気的に(直接、または、他の部材を介して間接的に)接続されており、ケーブル11を介して外部電源から供給された電力を、非接触充電方式で車両1のバッテリに給電する。給電部14は、例えば、本体12の上面12bから上方に伸長して、車両1に搭載されたコイルとの距離を短縮する機能を有する。このコイルは、非接触充電時に誘導起電力が生じる。
【0018】
図3は、自走式給電装置10の外観図である。
図3(a)には、自走式給電装置10の一方側の側面図を示し、
図3(b)には、自走式給電装置10の他方側の側面図を示し、
図3(c)には、自走式給電装置10の
図3(b)におけるIIIc矢視図を示す。
【0019】
図3(a)に示すように、第1撮像装置15は、本体12の外周面12cのうち、一方側に2つ設けられる。第1撮像装置15は、自走式給電装置10が所定の給電位置に向かう際、一方側を、例えばカラー画像として撮像する。ここで、所定の給電位置は、車種ごとに予め設定されており、例えば、車両1の2つの後輪の間などである。
【0020】
図3(b)に示すように、第2撮像装置16(撮像装置)は、本体12の外周面12cのうち、他方側に1つ設けられる。第2撮像装置16は、自走式給電装置10が所定の待機位置に向かう際、他方側を、例えばカラー画像として撮像する。ここで、所定の待機位置は、充電スタンドのうち、例えば、車両1の走行経路から外れた領域に設定される。
【0021】
図3(b)、(c)に示すように、リール部18は、本体12に内蔵され、モータなどの動力を受けてケーブル11を巻き取ったり、繰り出したりする。
【0022】
本体12の内部には、制御装置17(制御部)が搭載される(
図2参照)。制御装置17は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含むマイクロコンピュータで構成され、自走式給電装置10の各部を統括制御する。
【0023】
図4は、自走式給電装置10の概略を示すブロック図である。
図4に示すように、自走式給電装置10は、無線通信部19を有する。無線通信部19は、本体12に取り付けられ、車両1に搭載された無線装置と無線通信を行う。
【0024】
制御装置17は、走行制御部30(制御部)、撮像制御部31、画像処理部32、通信制御部33、リール制御部34として機能する。走行制御部30は、走行部13を制御し、自走式給電装置10を所定の給電位置に移動させたり、所定の待機位置に移動させたりする。
【0025】
撮像制御部31は、自走式給電装置10が待機位置から給電位置に向かうとき、第1撮像装置15に撮像処理を遂行させる。また、撮像制御部31は、自走式給電装置10が給電位置から待機位置に向かうとき、第2撮像装置16に撮像処理を遂行させる。
【0026】
画像処理部32は、2つの第1撮像装置15それぞれから画像データを取得し、それぞれの画像データに対するパターンマッチング処理を行って視差情報を導出する。そして、画像処理部32は、三角測量法を用いることで、視差情報から第1撮像装置15に対する相対距離を導出し、車両1などの3次元位置情報を特定する。3次元位置情報は、例えば、路面からの高さを示す高さ方向、2つの第1撮像装置15の並び方向、高さ方向および並び方向に垂直な奥行方向の座標を含んで構成される。走行制御部30は、特定された3次元位置情報に基づいて、車両1に向かって走行部13を駆動させる。
【0027】
また、画像処理部32は、第2撮像装置16から画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の画像処理を施す。第2撮像装置16から取得した画像データに対する画像処理については、後に詳述する。
【0028】
通信制御部33は、無線通信部19を介した無線通信により車両1から車種を特定する情報を取得する。画像処理部32は、車種が特定されると、車両1近傍のどの位置が給電位置であるかを、例えば、制御装置17に記憶されたテーブルなどから特定する。テーブルには、例えば、車種ごとに車両1における給電位置が対応付けられている。画像処理部32は、車両1の3次元位置情報に基づいて、特定された給電位置(例えば、車両1の2つの後輪の間など)の3次元位置を特定する。走行制御部30は、3次元位置が特定された給電位置に向かって走行部13を駆動させる。
【0029】
なお、走行制御部30は、無線通信部19が取得可能な車両1の無線装置から出力された電波の電界強度に基づいて、車両1の位置を特定してもよい。この場合、無線装置が車両1における上記のコイル近傍に配されていれば、車両1近傍の給電位置も、電界強度によって特定可能となる。
【0030】
リール制御部34は、リール部18を回転させるモータなどを制御する。リール制御部34は、自走式給電装置10が給電位置に向かうとき、走行部13の走行速度に合わせて、リール部18を回転させてケーブル11を本体12内から繰り出させる。また、リール制御部34は、自走式給電装置10が待機位置に向かうとき、走行部13の走行速度に合わせて、リール部18を回転させてケーブル11を本体12内に巻き取らせる。
【0031】
図5は、ケーブル11を説明するための図であり、
図5(a)には、自走式給電装置10の上面図を示し、
図5(b)には、
図5(a)中のケーブル11の抽出図を示す。
図5(a)に示すように、走行制御部30は、自走式給電装置10が待機位置から給電位置に向かう際に、車両1近傍の給電位置に向かう進行方向に対して、左右方向に蛇行させるように走行部13を制御する。これにより、ケーブル11は、撓んだ状態で繰り出されている。
【0032】
走行部13が蛇行するため、繰り出されたケーブル11は、左右に撓んだ状態となっている。このように、走行部13が蛇行することで、繰り出されたケーブル11の長さに余裕が生じる。そのため、外乱要因によってケーブル11が引っ張られたとしても、ケーブル11の張力を抑え、ケーブル11の保護性能を向上することが可能となる。
【0033】
また、待機位置から給電位置までの経路近傍に立体物がある場合、ケーブル11が引っ掛かって立体物が倒れたり、立体物にケーブルが挟まったりすることが想定される。走行部13が蛇行することで、繰り出されたケーブル11の長さに余裕が生じるため、このような事態を抑制することができる。
【0034】
図5(b)に示すように、ケーブル11の外表面には、縞模様が施されている。すなわち、ケーブル11には、ケーブル11の周方向に延在し、ケーブル11の長手方向に離隔する複数の線11aが設けられる。線11aの間隔は、例えば、5cm程度である。
【0035】
図6は、第2撮像装置16が撮像したケーブル11の画像の一例である。ケーブル11の外表面の色は、予め設定されており、線11aの色も、予め設定されている。ケーブル11の外表面の色や線11aの色は、例えば、自走式給電装置10が走行する路面Rの色との識別が容易な色がよい。
【0036】
撮像制御部31は、第2撮像装置16に対し、所定周期で繰り返し、新たなカラー画像を撮像させる。ここで、所定周期は、例えば、第2撮像装置16の画角内で、走行により2本程度の線11aが入れ替わる程度の時間とする。
【0037】
画像処理部32は、第2撮像装置16から出力されたカラー画像に対し、予め設定されたケーブル11の色に対応する画素をグループ化して、ケーブル11の形状を特定する。同様に、画像処理部32は、第2撮像装置16から出力されたカラー画像に対し、予め設定された線11aの色に対応する画素をグループ化して、線11aの形状を特定する。
【0038】
画像処理部32は、カラー画像における特定の位置の線11aを対象として、画角の水平方向に対する傾斜角θを測定する。ここで、特定の位置の線11aは、カラー画像のうち、予め設定された所定範囲(例えば、カラー画像中の中央部を含む範囲)に含まれる線11aとする。
図6(a)では、線11aが、右側が上がる向きに偏っている場合を示す。画像処理部32は、傾斜角θが角度閾値を超えていると、有意の値と見做し、走行制御部30に傾斜角θを出力する。
【0039】
走行制御部30は、対象となる線11aの現在の位置まで、自走式給電装置10が到達したとき、自走式給電装置10を傾斜角θ分だけ左側に曲がるように、走行部13を制御する。
【0040】
こうして、給電位置に向かうときに自走式給電装置10が蛇行して、ケーブル11が撓んでいても、自走式給電装置10は、待機位置に向かうときにケーブル11に沿って走行でき、ケーブル11がリール部18によって適切に巻き取られる。リール制御部34は、傾斜角θに基づいてケーブル11の撓み具合を推定し、巻き取りの速度を制御することが可能となる。
【0041】
また、
図6(b)では、ケーブル11が障害物に乗り上げている状態を示す。ケーブル11が障害物に乗り上げている場合、複数の線11aの間隔が、通常時よりも大きくなる。例えば、
図6(b)中、下から1つ目と2つ目、2つ目と3つ目の線11aの間隔を間隔Laとする。
図6(b)中、下から3つ目と4つ目の線11aの間隔を間隔Lbとする。通常時、間隔Laとなるところ、下から3つ目と4つ目の線11aの間隔Lbとなっているため、下から3つ目と4つ目の線11a近傍で、ケーブル11が障害物に乗り上げていることがわかる。
【0042】
図7は、ケーブル11の乗り上げを説明するための図である。
図7(a)に示すように、ケーブル11が障害物に乗り上げていない場合、第2撮像装置16からケーブル11を撮像するときには、斜め方向から撮像することとなる。
【0043】
図7(b)に示すように、ケーブル11が障害物に乗り上げている場合、第2撮像装置16からケーブル11を撮像するとき、障害物に乗り上げていない場合よりも正面に近い角度から撮像することとなる。斜め方向から撮像したときよりも、正面から撮像したときの方が、線11aの間隔は大きくなる。すなわち、障害物に乗り上げている場合の方が、線11aの間隔が大きくなる。
【0044】
画像処理部32は、複数の線11aの間隔を導出する。画像処理部32は、例えば、複数の線11aの間の画素数をカウントして、複数の線11aの間隔とする。測定された間隔が予め設定された間隔閾値を超えていると、ケーブル11が障害物に乗り上げていると判断し、その旨、走行制御部30およびリール制御部34に出力する。そうすると、走行制御部30は、自走式給電装置10の現在位置近傍で蛇行走行を繰り返し、ケーブル11の障害物への乗り上げ解消を図る。その間、リール制御部34は、ケーブル11の巻き取りを停止しておく。
【0045】
画像処理部32は、複数の線11aの間隔が間隔閾値以下となると、ケーブル11の障害物への乗り上げが解消されたものと判断し、その旨、走行制御部30およびリール制御部34に出力する。走行制御部30は、待機位置への走行を再開し、リール制御部34は、ケーブル11の巻き取りを再開する。
【0046】
図8は、待機位置移動処理の概略的な処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示す処理は、所定周期で繰り返し実行される。
【0047】
(S100)
画像処理部32は、第2撮像装置16から出力されたカラー画像に対し、予め設定されたケーブル11の色に対応する画素をグループ化して、ケーブル11の形状を特定する。同様に、画像処理部32は、第2撮像装置16から出力されたカラー画像に対し、予め設定された線11aの色に対応する画素をグループ化して、線11aの形状を特定する。
【0048】
(S102)
画像処理部32は、複数の線11aの間隔を導出する。
【0049】
(S104)
画像処理部32は、測定された間隔が、予め設定された間隔閾値を超えているか否かを判定する。測定された間隔が、予め設定された間隔閾値を超えていれば、S106に処理を移す。測定された間隔が、予め設定された間隔閾値を超えていなければ、S110に処理を移す。
【0050】
(S106)
リール制御部34は、ケーブル11の巻き取りが継続中であれば、ケーブル11の巻き取りを停止する。
【0051】
(S108)
走行制御部30は、自走式給電装置10の現在位置近傍で蛇行走行を繰り返し、ケーブル11の障害物への乗り上げ解消を図り、当該待機位置移動処理を終了する。
【0052】
(S110)
リール制御部34は、ケーブル11の巻き取りが停止中であれば、ケーブル11の巻き取りを開始する。
【0053】
(S112)
画像処理部32は、カラー画像における特定の位置の線11aを対象として、画角の水平方向に対する傾斜角θを測定する。
【0054】
(S114)
画像処理部32は、測定された傾斜角が、予め設定された角度閾値を超えているか否かを判定する。測定された傾斜角が、予め設定された角度閾値を超えていれば、S116に処理を移す。測定された傾斜角が、予め設定された角度閾値以下ならば、S118に処理を移す。
【0055】
(S116)
走行制御部30は、対象となる線11aの現在の位置まで、自走式給電装置10が到達したとき、自走式給電装置10が傾斜角θ分だけ傾斜方向に曲がるように、進行方向を修正する。
【0056】
(S118)
走行制御部30は、自走式給電装置10が待機位置に向かって進行するように、走行部13を制御し、当該待機位置移動処理を終了する。
【0057】
上述したように、第2撮像装置16は、ケーブル11を撮像しており、画像処理部32がケーブル11の形状を特定し、走行制御部30は、ケーブル11の形状に基づいて走行部13を制御する。そのため、自走式給電装置10が給電位置に向かうときに蛇行走行してケーブル11を撓ませても、待機位置に戻るときに適切にケーブル11を巻き取ることができる。その結果、繰り出されたケーブル11の長さに余裕を持たせ、ケーブル11の保護性能を向上することが可能となる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、第2撮像装置16は、1つのみ配される場合について説明したが、第1撮像装置15と同様、2つの第2撮像装置16が配されてもよい。第2撮像装置16を2つ設けることで、第1撮像装置15と同様、視差情報に基づいて、ケーブル11や障害物の形状や3次元位置の特定が容易となる。
【0060】
また、上述した実施形態では、ケーブル11に複数の線11aが設けられる場合について説明したが、複数の線11aは、必須構成ではない。例えば、ケーブル11の輪郭線が特定されれば、ケーブルの傾斜角θは特定できる。ただし、複数の線11aを設ける場合、複数の線11aの間隔から、ケーブル11の乗り上げを特定することが可能となる。