特許第6738287号(P6738287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738287
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/622 20150101AFI20200730BHJP
   E06B 3/40 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   E05F15/622
   E06B3/40
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-16839(P2017-16839)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-123578(P2018-123578A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】師岡 聖
(72)【発明者】
【氏名】五味田 愼一
(72)【発明者】
【氏名】水野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小瀬木 憲二
(72)【発明者】
【氏名】真原 裕
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−172300(JP,A)
【文献】 実開昭50−134246(JP,U)
【文献】 特開2013−011098(JP,A)
【文献】 特開2008−069571(JP,A)
【文献】 特開昭63−097786(JP,A)
【文献】 特開2005−171575(JP,A)
【文献】 特開平11−038031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0125283(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04041087(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E06B 3/04− 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として回転することにより建物の開口を開閉するよう構成された障子と、
前記障子を前記回転軸のまわりに回転させるための駆動装置と、
前記駆動装置を制御するための制御装置と、を備え、
前記駆動装置は、
実質的にX字状にリンク結合される第1、第2アームと、スライド駆動機構と、を含み、
前記第1アームは、一端が回転自在に前記建物に固定され、他端が回転自在かつ前記回転軸と平行にスライド移動可能に前記障子に固定され、
前記第2アームは、一端が回転自在に前記障子に固定され、他端が回転自在かつ前記回転軸と平行にスライド移動可能に前記建物に固定され、
前記スライド駆動機構は、前記障子を回転させるために前記第2アームの他端をスライドさせ、
前記制御装置は、前記障子が実質的に一定の速度で回転するように、全開位置に近いほど前記第2アームの他端のスライド速度が速くなるよう前記駆動装置を制御することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記障子の回転位置を特定するためのアブソリュートエンコーダをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体と、枠体に対して回転軸を中心として回転可能な障子と、を備える跳ね上げ式の開閉装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この開閉装置では、回転軸よりも上側の障子の部分が屋内側へ回転し、回転軸よりも下側の障子の部分が屋外側へ回転して、障子が開いた状態とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者達は、跳ね上げ式の開閉装置の駆動装置として、クロスアーム式の駆動装置を採用することを検討している。本発明者達は、その実現にあたり、駆動装置の駆動源を実質的に一定の速度で動作させても障子は実質的に一定の速度に開閉しないという課題を認識するに至った。
【0004】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、障子が実質的に一定の速度で開閉する開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の開閉装置は、回転軸を中心として回転することにより建物の開口を開閉するよう構成された障子と、障子を回転軸のまわりに回転させるための駆動装置と、駆動装置を制御するための制御装置と、を備える。駆動装置は、略X字状にリンク結合される第1、第2アームと、スライド駆動機構と、を含む。第1アームは、一端が回転自在に建物に固定され、他端が回転自在かつ回転軸と平行にスライド移動可能に障子に固定され、第2アームは、一端が回転自在に障子に固定され、他端が回転自在かつ回転軸と平行にスライド移動可能に建物に固定され、スライド駆動機構は、障子を回転させるために第2アームの他端をスライドさせ、制御装置は、障子が実質的に一定の速度で回転するように、全開位置に近いほど第2アームの他端のスライド速度が速くなるよう駆動装置を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、障子が実質的に一定の速度で開閉する開閉装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る開閉装置を備える建物を屋外側から見た斜視図である。
図2】実施の形態に係る開閉装置を備える建物を屋外側から見た斜視図である。
図3】実施の形態に係る開閉装置を備える建物を屋外側から見た斜視図である。
図4図1の第1障子とその周辺を屋内側から見た斜視図である。
図5図4の制御装置の機能および構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
図1〜3は、実施の形態に係る開閉装置10を備える建物100を屋外側から見た斜視図である。図1〜3では、第2障子16が全開した様子が示される。また、図1では第1障子14が閉じている様子が示され、図2では第1障子14が開き途中または閉じ途中の様子が示され、図3では第1障子14が全開に開かれている様子が示される。
【0010】
開閉装置10は、枠体12と、第1障子14と、第2障子16と、支持アーム18と、を備える。
【0011】
以降、開閉装置10が取り付けられる壁102(全体として平面である壁)と平行な実質的に水平な方向を「左右方向」、左右方向に直交する実質的に水平な方向を「前後方向」、鉛直方向を「上下方向」として説明する。特に、屋外側から前後方向に建物100を見て、手前側を前、奥側を後ろ、左側を左、右側を右として説明する。
【0012】
枠体12は、上枠20と、下枠22と、縦枠24と、を含む。上枠20は、建物100の正面の壁102に形成された開口102aの上辺に沿って左右に延在し、さらに建物100の右側の壁104に沿って奥側に所定の位置まで延在する。下枠22は、開口102aの下辺に沿って左右に延在し、上枠20と同様にさらに壁104に沿って奥側に所定の位置まで延在する。縦枠24は、開口102aの左辺に沿って延在し、上枠20および下枠22の左側の端部に連結される。
【0013】
支持アーム18は、長尺状の部材である。支持アーム18は、上下方向に延在するように、その上端が開口102aの上辺の左右方向における中央において上枠20に固定される。
【0014】
第1障子14は、ガラス40と、框42と、を含む。框42は、上框42a、下框42b、左縦框42c、右縦框42dによって四角枠状に形成される。ガラス40は、框42の内部に収容される。第2障子16は、ガラス44と、囲む框46と、を含む。ガラス44、框46はそれぞれ、第1障子14のガラス40、框42と同様に構成される。
【0015】
第2障子16は、上枠20および下枠22にガイドされて左右にスライドして開口102aの右側を開閉する。また、第2障子16は、壁102の右端で回転して壁104に沿って奥側にスライドし、壁104に沿った状態に配置される。
【0016】
第1障子14は、跳ね上げ式に回転して開口102aの左側を開口する。第1障子14は、その上端寄りの部分を左右方向に延びる回転軸Rのまわりに回転可能に支持される。具体的には、縦枠24によって左縦框42cの上端寄りの部分が回転軸Rのまわりに回転可能に支持され、支持アーム18によって右縦框42dの上端寄りの部分が回転軸Rのまわりに回転可能に支持される。第1障子14が回転軸Rのまわりに回転することにより、開口102aの左側が開閉される。本実施の形態では、第1障子14は、回転軸Rのまわりに最大で90°回転する。したがって、第1障子14を90°回転させる場合すなわち第1障子14を全開状態にする場合、第1障子14は、左右方向に右側から見て時計回りに90°回転し、全開状態ではガラス40の主面が上下方向を向いた状態となる。
【0017】
図4は、第1障子14とその周辺を屋内側から見た斜視図である。図4では、第1障子14が全開した状態が示される。開閉装置10はさらに、2つの駆動装置30と、アブソリュートエンコーダ56と、制御装置60と、を備える。
【0018】
2つの駆動装置30は、第1障子14を回転駆動するための装置であり、上枠20と第1障子14の上框42aとの間に設けられる。駆動装置30は、上框42aを押し下げる又は引き上げることによって、上框42aひいては第1障子14を回転軸Rのまわりに回転させる。
【0019】
2つの駆動装置30はそれぞれ、スライド駆動機構31と、第1アーム35と、第2アーム36と、リニアレール37と、リニアガイド38と、を含む。
【0020】
スライド駆動機構31は、モータ32と、直動機構34と、を含む。直動機構34は、モータ32のモータ軸32aの回転運動を直線運動に変換する。本実施の形態では、直動機構34は、ボールねじ50と、スライダ(ボールねじナット)52と、を含む。ボールねじ50は、左右方向に延在し、回転可能に上枠20に支持される。ボールねじ50の一端はモータ32のモータ軸32aに連結される。スライダ52は、ボールねじ50に螺合される。モータ32は、ボールねじ50を回転させる。ボールねじ50が回転すると、その長手方向にスライダ52が直線移動する。
【0021】
リニアレール37は、左右方向に延在するよう上框42aに固定される。リニアガイド38は、リニアレールに沿って左右方向に滑らかにスライド可能に構成される。
【0022】
第1アーム35および第2アーム36は、細長い棒状の部材であり、実質的にX字状にリンク結合される。第1アーム35の第1端部35aは、上枠20に回転可能に固定される。第1アーム35の第2端部35bは、リニアガイド38に回転可能に固定される。したがって、第1アーム35の第2端部35bは、左右方向にスライドしうる。
【0023】
第2アーム36の第1端部36aは、上框42aに回転可能に固定される。第2アームの第2端部36bは、直動機構34のスライダ52に回転可能に固定される。したがって、第2アーム36の第2端部36bは、スライダ52の左右方向の移動に伴って、左右方向にスライドする。
【0024】
モータ32が駆動することによりボールねじ50が回転すると、スライダ52がボールねじ50の長手方向(すなわち左右方向)に直線移動し、スライダ52に固定される第2アーム36の第2端部36bが左右方向にスライドする。これに伴い、第2アーム36と第2アーム36にリンク結合される第1アーム35との交差角度が変化するとともに、第1アーム35の第2端部35bが第2アーム36の第2端部36bに追従するように左右方向にスライドする。これにより、上枠20と上框42aとの距離が変化し、すなわち上框42aが押し下げられ又は引き上げられ、上框42aひいては第1障子14が回転軸Rのまわりに回転する。
【0025】
本実施の形態では、スライダ52およびスライダ52に固定される第2アーム36の第2端部36bが、左右方向において第1アーム35の第1端部35aから離れるように直線移動すると、第1アーム35の第2端部35bが第2アーム36の第2端部36bに追従するように左右方向において第2アーム36の第1端部36aから離れるようにスライドする。これにより、上枠20と上框42aの距離が近づき、すなわち上框42aが引き上げられ、上框42aひいては第1障子14が回転軸Rのまわりを回転し、第1障子14が閉じる。
【0026】
また、スライダ52およびスライダ52に固定される第2アーム36の第2端部36bが、左右方向において第1アーム35の第1端部35aに近づくように直線移動すると、第1アーム35の第2端部35bが第2アーム36の第2端部36bに追従するように左右方向において第2アーム36の第1端部36aに近づくようにスライドする。これにより、上枠20と上框42aの距離が離れ、すなわち上框42aが押し下げられ、上框42aひいては第1障子14が回転軸Rのまわりを回転し、第1障子14が開く。
【0027】
アブソリュートエンコーダは、モータ32のモータ軸32aの絶対位置、すなわちモータ軸32aの回転数および一回転内の回転角度を検出する。アブソリュートエンコーダは、有線または無線により制御装置60と接続されており、絶対位置を検出する度にその検出値を制御装置60に出力する。
【0028】
制御装置60は、第1障子14の上側の枠体12内に設けられる。制御装置60は、屋内に取り付けられたリモートコントロール装置70に入力された指示に応じて駆動装置30を制御し、第1障子14を開閉させる。
【0029】
図5は、制御装置60の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0030】
制御装置60は、回転位置特定部62と、駆動装置制御部64と、対応関係保持部66と、を含む。
【0031】
対応関係保持部66は、モータ軸32aの絶対位置と、その絶対位置のときの第1障子14の回転位置(回転角度)とを対応付けたデータを保持する。
【0032】
回転位置特定部62は、アブソリュートエンコーダ56が出力する検出値を受信し、受信した検出値に基づいて第1障子14の回転位置を特定する。詳しくは、回転位置特定部62は、対応関係保持部66に保持されるデータを参照して、受信した検出値が示すモータ軸32aの絶対位置に対応する第1障子14の回転位置を特定する。
【0033】
駆動装置制御部64は、リモートコントロール装置70に入力された指示および回転位置特定部62が特定した第1障子14の回転位置に基づいて駆動装置30を制御し、第1障子14を開閉させる。
【0034】
駆動装置制御部64は、第1障子14の回転を停止させる場合、モータ32の回転数を徐々に下げてモータ32ひいては第1障子14の回転を停止させる。例えば、駆動装置制御部64は、10秒かけて第1障子14の回転を停止させる。第1障子14のような比較的大きな部材の回転を停止させる場合に、モータ32を急停止すると、モータ32はもちろんのこと、第1障子14を支持する支持アーム18や縦枠24、そして支持アーム18や縦枠24が連結された上枠20など、関連する様々な部材に大きな負荷がかかり、部材が歪んだり部材間の連結が緩んだりする虞があるためである。以下、モータ軸32aの回転速度を徐々に減速させてモータ32ひいては第1障子14を停止させる区間を減速停止区間とよぶ。
【0035】
例えば、リモートコントロール装置70に第1障子14の停止指示が入力された場合、駆動装置制御部64は、モータ32の回転速度を徐々に減速させて第1障子14の回転を停止させる。また例えば、第1障子14を全開させる場合、第1障子14が全開時の回転位置よりも手前の所定の回転位置に到達したことを回転位置特定部62によって検知されると、駆動装置制御部64は、モータ32の回転速度を徐々に減速させて第1障子14の回転を停止させる。また例えば、第1障子14を閉塞させる場合、第1障子14が閉塞時の回転位置よりも手前の所定の回転位置に到達したことを回転位置特定部62によって検知されると、駆動装置制御部64は、モータ32の回転速度を徐々に減速させて第1障子14の回転を停止させる。
【0036】
また、駆動装置制御部64は、減速停止区間以外の区間では、実質的に一定の速度で第1障子14が回転するようにモータ32を制御する。詳しくは、駆動装置制御部64は、第1障子14の回転を開始した直後すなわちモータ32の駆動を開始した直後は、第1障子14の回転速度が所定の目標回転速度に到達するまでモータ32の回転数を上げる。駆動装置制御部64は、第1障子14が目標回転速度に到達してからは、その目標回転速度を維持するように、すなわち第1障子14が実質的に一定の回転速度で回転するようにモータ32を制御する。
【0037】
ところで、図4のように構成されたクロスアーム式の駆動装置30により第1障子14を開閉する場合、スライダ52がスライドする速度すなわちモータ32の回転数を一定にしても、第1障子14が開閉する速度は一定とはならない。仮にスライダ52がスライドする速度すなわちモータ32の回転数を一定にすると、第1障子14を開くときは全開状態に近づくにつれて回転速度が遅くなり、第1障子14を閉じるときは閉塞状態に近づくにつれて回転速度が速くなる。したがって、駆動装置制御部64は、第1障子14を実質的に一定の回転速度で回転させる場合、第1障子14を開くときは全開状態に近づくにつれてモータ32の回転速度を速くし、第1障子14を閉じるときは閉塞状態に近づくにつれてモータ32の回転速度を遅くするよう制御する必要がある。
【0038】
ここで、第1障子14が実質的に一定の速度で回転する場合、第2アーム36の第2端部36bと第1アーム35の第2端部35bとが実質的に一定の速度で離れるまたは近づくものと近似できる。したがって、駆動装置制御部64は、第1障子14を開くときは、第2アーム36の第2端部36bと第1アーム35の第2端部35bとが実質的に一定の速度で離れるようにスライダ52をスライドさせるすなわちモータ32を回転させればよい。この場合、第1障子14が全開状態に近づくにつれてモータ32の回転速度は速くなる。また、駆動装置制御部64は、第1障子14を閉じるときには、第2アーム36の第2端部36bと第1アーム35の第2端部35bとが実質的に一定の速度で近づくようにスライダ52をスライドさせるすなわちモータ32を回転させればよい。この場合、第1障子14が閉塞状態に近づくにつれてモータ32の回転速度は遅くなる。
【0039】
いずれにせよ、駆動装置制御部64は、第1障子14を開閉する場合、第1障子14の回転位置の変化に応じてモータ32の回転数を変化させる。
【0040】
以上のように構成された開閉装置10の動作を説明する。ここでは、第1障子14を全開に開く指示が入力された場合を例に説明する。
【0041】
制御装置60は、第1障子14を全開する旨の指示を受け付けると、モータ32を始動させ、第1障子14の回転を開始させる。第1障子14の回転速度が目標回転速度に到達すると、その回転速度を維持して回転するようにモータ32を制御する。第1障子14が全開時の回転位置よりも手前の所定の回転位置に到達すると、制御装置60はモータ32を徐々に減速させ、モータ32ひいては第1障子14を停止させる。
【0042】
以上説明した実施の形態に係る開閉装置10によると、減速停止区間を除いて、第1障子14を実質的に一定の速度で開閉させることができ、第1障子14の開閉動作が美しくなる。また、目標の回転位置までの到達時間を直感的に把握することが可能となる。また、目標の回転位置で第1障子14を停止させやすくなる。
【0043】
また、実施の形態に係る開閉装置10によると、アブソリュートエンコーダ56が出力する検出値を用いて第1障子14の回転位置が特定される。したがって、例えば第1障子14が非全開状態に開いているときに停電等で開閉装置10の電源が落ちた場合でも、開閉装置10の電源を入れたときに第1障子14の絶対的な回転位置を特定できる。したがって、電源が入った後に第1障子14を回転させる場合でも、第1障子14が目標回転速度で回転するように第1障子14の回転位置に応じた適切な回転数でモータ32を回転させることができる。
【0044】
以上、実施の形態に開閉装置について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
(変形例1)
実施の形態では、アブソリュートエンコーダ56がモータ32の絶対位置を検出し、回転位置特定部62がアブソリュートエンコーダ56の検出値に基づいて第1障子14の回転位置を特定する場合について説明したが、これに限られない。アブソリュートエンコーダ56は、第1障子14の回転位置を直接的に検出するよう構成されてもよい。例えば、第1障子14を回転可能に支持する支持アーム18または縦枠24の支持軸にアブソリュートエンコーダ56を設置すればよい。
【0046】
以上の記載から、下記の発明が認識される。
本発明のある態様の開閉装置は、回転軸を中心として回転することにより建物の開口を開閉するよう構成された障子と、障子を回転軸のまわりに回転させるための駆動装置と、駆動装置を制御するための制御装置と、を備える。駆動装置は、略X字状にリンク結合される第1、第2アームと、スライド駆動機構と、を含む。第1アームは、一端が回転自在に建物に固定され、他端が回転自在かつ回転軸と平行にスライド移動可能に障子に固定され、第2アームは、一端が回転自在に障子に固定され、他端が回転自在かつ回転軸と平行にスライド移動可能に建物に固定され、スライド駆動機構は、障子を回転軸のまわりに回転させるために第2アームの他端をスライドさせ、制御装置は、障子が実質的に一定の速度で回転するように、全開位置に近いほど第2アームの他端のスライド速度が速くなるよう駆動装置を制御する。
【0047】
この態様によると、第1障子14を実質的に一定の速度で開閉できる。
【0048】
障子の回転位置を特定するためのアブソリュートエンコーダをさらに備えてもよい。この場合、非全開状態で障子が開いている状態で停電等により開閉装置の電源が落ちたときでも、開閉装置の電源が入ったときに、障子の回転位置に応じた適切な速度で障子を回転させることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 開閉装置、 14 第1障子、 30 駆動装置、 32 モータ、 34 直動機構、 35 第1アーム、 36 第2アーム、 56 アブソリュートエンコーダ、 60 制御装置、 62 回転位置特定部、 64 駆動装置制御部、 66 対応関係保持部、 100 建物、 102a 開口、 R 回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5