特許第6738317号(P6738317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6738317PGMおよび卑金属溶液によって基板を面塗装する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738317
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】PGMおよび卑金属溶液によって基板を面塗装する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/02 20060101AFI20200730BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20200730BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20200730BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20200730BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   B05C1/02 102
   B01J35/04 301Z
   B01J37/02 101B
   B05C11/10
   B05C13/02
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-504170(P2017-504170)
(86)(22)【出願日】2015年7月20日
(65)【公表番号】特表2017-524518(P2017-524518A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】US2015041131
(87)【国際公開番号】WO2016014407
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年7月17日
(31)【優先権主張番号】14/341,228
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー エイ. グラミチョーニ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス アール. ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス リチャード マンディング
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−004666(JP,U)
【文献】 特開平06−178958(JP,A)
【文献】 実開平04−030074(JP,U)
【文献】 特開平06−293519(JP,A)
【文献】 特開2002−166178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0255488(US,A1)
【文献】 特開平08−323258(JP,A)
【文献】 特開平10−272406(JP,A)
【文献】 実開平05−088665(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−3/20,7/00−21/00
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシック触媒基板に面コーティングを堆積させるシステムにおいて、
送込みシステムと、
送出しシステムと、
前記送込みシステムおよび前記送出しシステムを指定の速度で駆動する、前記送込みシステムおよび/または前記送出しシステムと作動的に関連付けられた少なくとも1つのコンベヤモータと、
前記少なくとも1つのコンベヤモータによって生ぜしめられた指定の送り速度を制御する、前記少なくとも1つのコンベヤモータと電気通信したモータ制御装置と、
前記送込みシステムと前記送出しシステムとの間に位置決めされたコーティング液塗布装置であって、内側コアと、高さを有する外側毛羽とを有する、コーティング液塗布装置と、
前記コーティング液塗布装置を指定の回転速度で駆動する、前記コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられたコーティング液塗布装置モータと、
前記コーティング液塗布装置の下方に位置決めされたコーティング液容器であって、前記コーティング液容器内に前記コーティング液塗布装置の全長を受け入れかつコーティング液を保持するように構成および寸法決めされており、前記コーティング液容器は、前記コーティング液塗布装置の前記毛羽が少なくとも部分的に前記コーティング液に浸漬させられるように鉛直方向で位置決めされている、コーティング液容器と、
を備えることを特徴とする、モノリシック触媒基板に面コーティングを堆積させるシステム。
【請求項2】
前記コーティング液塗布装置モータと前記コーティング液塗布装置との間に接続され、かつ前記コーティング液塗布装置モータおよび前記コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられたクラッチをさらに備え、
前記モータ制御装置は、前記コーティング液塗布装置モータと電気通信しており、前記コーティング液塗布装置モータによって生ぜしめられる指定の回転速度を制御する、請求項記載のシステム。
【請求項3】
コーティング液リザーバおよびコーティング液ポンプを含むコーティング液デリバリシステムをさらに備え、前記コーティング液ポンプは、ポンプ導管を介して前記コーティング液リザーバに接続されかつ前記コーティング液リザーバと流体連通しており、前記コーティング液ポンプは、デリバリ導管を介して前記コーティング液容器に接続されかつ前記コーティング液容器と流体連通しており、
前記コーティング液容器および前記コーティング液リザーバが前記コーティング液容器におけるコーティング液の所定のレベルを維持するように、前記コーティング液リザーバは、回収導管を介して前記コーティング液容器に接続されかつ前記コーティング液容器と流体連通している、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記コーティング液容器と作動的に関連付けられておりかつ制御装置と電気通信する液量センサをさらに備え、前記制御装置は、前記液量センサから電気信号を受信し、前記コーティング液容器に所定の液位を維持するために付加的なコーティング液を排出するように前記コーティング液ポンプを作動させるべきかどうかを決定する、請求項記載のシステム。
【請求項5】
前記液量センサは、前記容器に存在するコーティング液の量を決定し、かつ測定された液体重量が所定の量よりも低下したときに付加的なコーティング液を前記コーティング液容器へ排出するように前記コーティング液ポンプに信号を送信する、前記コーティング液容器と作動的に関連付けられた高ダイナミックレンジスケールである、請求項記載のシステム。
【請求項6】
前記液量センサは、前記コーティング液容器に存在するコーティング液の高さを決定し、かつ前記コーティング液の高さが所定のレベルよりも低下したときに付加的なコーティング液を前記コーティング液容器へ排出するように前記コーティング液ポンプに信号を送信する液位センサである、請求項記載のシステム。
【請求項7】
前記コーティング液塗布装置を前記送込みシステムおよび前記送出しシステムの水平面よりも所定の高さだけ上方に位置決めすることができるように、鉛直方向位置決め制御を提供する、前記コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられた高さ調節システムと、
前記コーティング液における活性コーティング材料の量を決定する、前記コーティング液デリバリシステムと作動的に関連付けられたコーティング液濃度センサと、をさらに備える、請求項記載のシステム。
【請求項8】
光源と、
光センサと、
前記コーティング液塗布装置を横切る、前記光源から前記光センサまでの光路を辿る1つまたは複数の光ビームと、をさらに含み、前記コーティング液塗布装置がまず前記1つまたは複数の光ビームをブロックするように、前記光路は、前記送込みコンベヤおよび前記送出しコンベヤの水平面の上方で、かつ前記コーティング液塗布装置の毛羽の高さよりも所定の高さだけ下方にある、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記毛羽の高さが所定の量だけ減じられたとき、前記コーティング液塗布装置の前記毛羽を横切る前記1つまたは複数の光ビームがブロックされなくなり、
前記光センサによって受け取られた、前記所定の高さよりも低い光ビームは、前記コーティング液塗布装置の毛羽がもはや、前記コーティング液の意図した量をモノリシック触媒基板に提供するために十分な高さではないという警告を発生し、
前記コーティング液塗布装置を前記送込みシステムおよび前記送出しシステムの水平面よりも所定の高さだけ上方に位置決めすることができるように、鉛直方向位置決め制御を提供する、前記コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられた高さ調節システムと、
前記高さ調節システムおよび前記光センサと電子通信するコンピュータと、を備え、前記コンピュータは、前記コーティング液塗布装置の高さが前記送込みシステムおよび前記送出しシステムの水平面よりも上方にあることを示す電子信号を前記光センサから受信し、前記コーティング液塗布装置の鉛直方向位置決めを変化させるように前記高さ調節システムに電子信号を送信するように構成されている、請求項記載のシステム。
【請求項10】
モノリシック触媒基板をコーティングする方法において、
基板コーティング液をコーティング液塗布装置に塗布し、
モノリシック触媒基板に所定の速度で移動方向を付与するコンベヤモータによって駆動される送込みシステムに前記モノリシック触媒基板を支持し、
所定の量のコーティング液が前記コーティング液塗布装置から、前記コーティング液塗布装置と接触する前記モノリシック触媒基板の面に転移させられるように、所定の速度で前記コーティング液塗布装置を横切って前記モノリシック触媒基板を通過させ、
光ビームが前記コーティング液塗布装置によってブロックされているかどうかを検出し、ブロックされていない光ビームの検出に応答して前記コーティング液塗布装置の高さを調節された高さに調節することを含むことを特徴とする、モノリシック触媒基板をコーティングする方法。
【請求項11】
前記基板コーティング液をコーティング液容器に入れ、前記コーティング液塗布装置を少なくとも部分的に前記コーティング液容器内の前記コーティング液と接触するように配置することによって前記基板コーティング液を前記コーティング液塗布装置に塗布し、
前記コーティング液塗布装置の調節された高さを補償するために十分に前記コーティング液容器内のコーティング液の量を増大することをさらに含む、請求項10記載のモノリシック触媒基板をコーティングする方法。
【請求項12】
前記コーティング液容器内のコーティング液の量をコーティング液センサによって監視し、
前記コーティング液容器内のコーティング液の量が意図した量よりも低いかどうかを決定し、
前記コーティング液容器内にコーティング液の意図した量を再確立するように付加的なコーティング液を前記コーティング液容器に供給することをさらに含む、請求項11記載のモノリシック触媒基板をコーティングする方法。
【請求項13】
所定の量のコーティング液が前記コーティング液塗布装置から前記モノリシック触媒基板へ転移させられるように、前記コーティング液塗布装置と前記モノリシック触媒基板との間の圧力を調節することをさらに含み、前記コーティング液塗布装置と前記モノリシック触媒基板との間に加えられる圧力は、前記コーティング液塗布装置と接触した面とは反対側の前記モノリシック触媒基板の面に圧力を加えることによって調節される、請求項10記載のモノリシック触媒基板をコーティングする方法。
【請求項14】
前記送込みシステムの水平面よりも上方の前記コーティング液塗布装置の高さを監視し、
前記コーティング液塗布装置が前記送込みシステムの前記水平面よりも上方にないかどうかを決定し、
前記コーティング液塗布装置の高さが意図した高さになるように調節することをさらに含む、請求項10記載のモノリシック触媒基板をコーティングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の原理および実施の形態は、概して、触媒基板の1つまたは複数の面に触媒コーティングを塗布するシステムおよび方法に関する。
【0002】
背景
モノリシックハニカム基板は、通常、入口端部および出口端部を有しており、入口端部から出口端部まで本体の長さに沿って延びる、複数の互いに隣接したセルを備える。これらのハニカム基板は、通常、約100〜600セル毎平方インチ(cpsi)を有するが、10cpsi〜1200cpsiの密度範囲を有してもよい。円形、正方形、三角形または六角形のセル形状が公知である。
【0003】
開放前面領域は、表面積のうちの50%〜85%を含んでもよく、セル壁厚は0.5〜10ミルであってもよく、1ミルは0.001インチである。セルは、約0.5ミル〜約60ミル(0.012mm〜1.5mm)の範囲の厚さを有する壁部によって互いに分離されていてもよい。幾つかの場合、開放前面領域は、2ミルのセル壁厚を有する600cpsi基板の場合に91%であってもよい。
【0004】
基板のセル壁は、多孔質または非多孔質であってもよいし、滑らかであってもまたは凹凸があってもよい。多孔質の壁部の場合、平均的な壁部孔の直径は約0.1〜約100ミクロンであってもよく、壁部密度は、通常、約10〜85%であってもよい。
【0005】
様々な作動条件において、炭素堆積物(例えば、すす、コークス)がセル壁の前縁に蓄積することがある。時間が経つにつれて、すすおよびコークスのこの堆積物は、セル開口および全体的な開放前面領域のサイズを減じる恐れがある。開放サイズのこの減少は、ひいては、背圧の増大、および触媒基板を通過するガス流の低下につながる恐れがある。
【0006】
概要
様々な実施の形態が以下に示される。以下に示される実施の形態は、以下に示されたように組み合わされるだけでなく、発明の範囲に従ってその他の適切な組合せで組み合わされてもよいことが理解されよう。
【0007】
原理および実施の形態は、セル開口におけるすすおよびコークス堆積の量、および基板セルの結果的な詰まりの量を低減または排除する表面コーティングを提供することによる前記問題に対する解決手段に関する。
【0008】
原理および実施の形態は、セル壁の前縁を含むモノリシック触媒基板の面に吸収性塗布装置から溶液またはスラリを転移させることによって、モノリシック触媒基板を形成する壁部の、外側に面した縁部を、貴金属および/または卑金属を含有する溶液および/またはスラリを含むコーティング液によってコーティングするシステムおよび方法に関する。
【0009】
本発明の実施の形態は、モノリシック触媒基板の入口面および/または出口面に、堆積された触媒金属濃度(例えば白金族金属)における極めて狭いが、著しい面増大を提供することができる装置に関する。
【0010】
本発明の原理および実施の形態は、モノリシック触媒基板に面コーティングを堆積させるシステムにおいて、送込みシステムと、送出しシステムと、送込みシステムおよび送出しシステムを指定の速度で駆動する、送込みシステムおよび/または送出しシステムと作動的に関連付けられた少なくとも1つのコンベヤモータと、少なくとも1つのコンベヤモータによって生ぜしめられた指定の送り速度を制御する、少なくとも1つのコンベヤモータと電気通信したモータ制御装置と、送込みシステムと送出しシステムとの間に位置決めされたコーティング液塗布装置であって、内部コアと、外側毛羽とを有する、コーティング液塗布装置と、コーティング液塗布装置の下方に位置決めされたコーティング液容器であって、コーティング液容器内にコーティング液塗布装置の全長を受け入れかつコーティング液を保持するように構成および寸法決めされており、コーティング流体容器は、コーティングローラの毛羽が少なくとも部分的にコーティング液に浸漬させられるように鉛直方向で位置決めされている、コーティング液容器と、を備えることを特徴とする、モノリシック触媒基板に面コーティングを堆積させるシステムに関する。
【0011】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、コーティング液塗布装置を指定の回転速度で駆動する、コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられたコーティング液塗布装置モータをさらに備える。
【0012】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、コーティング液塗布装置モータとコーティング液塗布装置との間に接続され、かつコーティング液塗布装置モータおよびコーティング液塗布装置と作動的に関連付けられたクラッチをさらに備え、モータ制御装置は、コーティング液塗布装置モータと電気通信しており、コーティング液塗布装置モータによって生ぜしめられる指定の回転速度を制御する。
【0013】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、コーティング液リザーバおよびコーティング液ポンプを含むコーティング液デリバリシステムをさらに備え、コーティング液ポンプは、ポンプ導管を介してコーティング液リザーバに接続されかつコーティング液リザーバと流体連通しており、コーティング液ポンプは、デリバリ導管を介してコーティング液容器に接続されかつコーティング液容器と流体連通しており、コーティング液容器およびコーティング液リザーバがコーティング液容器におけるコーティング液の所定のレベルを維持するように、コーティング液リザーバは、回収導管を介してコーティング液容器に接続されかつコーティング液容器と流体連通している。
【0014】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、液量センサをさらに備え、液量センサは、コーティング液容器と作動的に関連付けられておりかつ制御装置と電気通信しており、制御装置は、液量センサから電気信号を受信し、コーティング液容器に所定の液位を維持するために付加的なコーティング液を排出するようにコーティング液ポンプを作動させるべきかどうかを決定する。
【0015】
様々な実施の形態において、液量センサは、容器に存在するコーティング液の量を決定し、測定された液体重量が所定の量よりも低下したときに付加的なコーティング液をコーティング液容器へ排出するようにコーティング液ポンプに信号を送信する、コーティング液容器と作動的に関連付けられた高ダイナミックレンジスケールである。
【0016】
様々な実施の形態において、液量センサは、コーティング液容器に存在するコーティング液の高さを決定し、測定された液体高さが所定のレベルよりも低下したときに付加的なコーティング液をコーティング液容器へ排出するようにコーティング液ポンプに信号を送信する、液位センサである。
【0017】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、コーティング液塗布装置を送込みシステムおよび送出しシステムの水平面より所定の高さだけ上方に位置決めすることができるように、鉛直方向位置決め制御を提供する、コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられた高さ調節システムと、コーティング液における活性コーティング材料の量を決定する、コーティング液デリバリシステムと作動的に関連付けられたコーティング液濃度センサとをさらに備える。
【0018】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、さらに、光源と、光センサと、コーティング液塗布装置を横切る光源から光センサまでの経路を辿る1つまたは複数の光ビームとをさらに含む。
【0019】
様々な実施の形態において、コーティング液塗布装置がまず1つまたは複数の光ビームをブロックするように、光路は、送込みコンベヤおよび送出しコンベヤの水平面の上方で、かつコーティング液塗布装置の毛羽のレベルよりも所定の高さだけ下方にある。
【0020】
様々な実施の形態において、毛羽の高さが所定の量だけ減じられると、コーティング液塗布装置の毛羽を横切る1つまたは複数の光ビームはブロックされなくなり、光センサによって受信された、所定の高さよりも低い光ビームは、コーティングローラ毛羽がもはや、モノリシック触媒基板に意図した量のコーティング液を提供するための十分な高さではないという警告を発生する。
【0021】
様々な実施の形態において、面コーティングシステムは、コーティング液塗布装置を送込みシステムおよび送出しシステムの水平面よりも所定の高さだけ上方に位置決めすることができるように、鉛直方向位置決め制御を提供する、コーティング液塗布装置と作動的に関連付けられた高さ調節システムと、高さ調節システムおよび光センサと電子通信するコンピュータと、をさらに備え、コンピュータは、送込みシステムおよび送出しシステムの水平面の上方のコーティング液塗布装置の高さを示す、光センサからの電子信号を受信し、コーティング液塗布装置の鉛直方向位置決めを変化させるように高さ調節システムの電子信号を送信するように構成されている。
【0022】
本発明の原理および実施の形態は、モノリシック触媒基板をコーティングする方法において、コーティング液塗布装置を提供し、基板コーティング液をコーティング液塗布装置に塗布し、モノリシック触媒基板に所定の速度で移動方向を付与する、コンベヤモータによって駆動される送込みシステムに、モノリシック触媒基板を支持し、所定の量のコーティング液がコーティング液塗布装置から、コーティング液塗布装置と接触するモノリシック触媒基板の面に転移させられるように、所定の速度でコーティング液塗布装置を横切って前記モノリシック触媒基板を通過させ、光ビームがコーティング液塗布装置によってブロックされているかどうかを検出し、ブロックされていない光ビームの検出に応答してコーティング液塗布装置の高さを調節することを含む、モノリシック触媒基板をコーティングする方法にも関する。
【0023】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板をコーティングする方法は、コーティング液容器を提供し、基板コーティング液をコーティング液容器に入れ、コーティング液塗布装置をコーティング液容器内のコーティング液と少なくとも部分的に接触するように配置することによって、基板コーティング液をコーティング液塗布装置に塗布することをさらに含む。
【0024】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板をコーティングする方法は、コーティング液容器内のコーティング液の量をコーティング液センサによって監視し、コーティング液容器内のコーティング液の量が意図した量よりも低いかどうかを決定し、コーティング液容器内にコーティング液の意図した量を再確立するように付加的なコーティング液をコーティング液容器に供給することをさらに含む。
【0025】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板をコーティングする方法は、コーティング液塗布装置を通過した後にモノリシック触媒基板を支持する送出しシステムにモノリシック触媒基板を受け取ることをさらに含む。
【0026】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板をコーティングする方法は、所定の量のコーティング液がコーティング液塗布装置からモノリシック触媒基板へ転移させられるように、コーティング液塗布装置とモノリシック触媒基板との間の圧力を調節することをさらに含む。
【0027】
様々な実施の形態において、コーティング液塗布装置とモノリシック触媒基板との間に加えられる圧力を、コーティング液塗布装置と接触した面とは反対側のモノリシック触媒基板の面に圧力を加えることによって調節し、触媒基板の反対側の面における圧力は、圧力補助ローラによって加えられる。
【0028】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板をコーティングする方法は、送込みシステムの水平面よりも上方のコーティング液塗布装置の高さを監視し、コーティング液塗布装置が送込みシステムの水平面よりも意図した高さだけ上方にないかどうかを決定し、送込みシステムの水平面よりも上方の意図した高さになるようにコーティング液塗布装置の高さを調節することをさらに含む。
【0029】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板をコーティングする方法は、コーティング液塗布装置の調節された高さを補償するために十分にコーティング液容器におけるコーティング液の量を増大することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】コーティングシステムの1つの典型的な実施の形態の側面図である。
図2】コーティングシステムの1つの典型的な実施の形態の平面図である。
図3A】コーティング塗布装置およびコーティング液容器の1つの典型的な実施の形態を示している。
図3B】コーティング塗布装置およびコーティング液容器の1つの典型的な実施の形態を示している。
図4A】毛羽測定アセンブリの1つの典型的な実施の形態を示している。
図4B】毛羽測定アセンブリの1つの典型的な実施の形態を示している。
図4C】毛羽測定アセンブリの1つの典型的な実施の形態を示している。
図4D】毛羽測定アセンブリの1つの典型的な実施の形態を示している。
図5A】塗布装置高さ調節アセンブリの1つの典型的な実施の形態を示している。
図5B】毛羽測定アセンブリの1つの典型的な実施の形態を示している。
【0031】
詳細な説明
発明の複数の典型的な実施の形態を説明する前に、発明は、以下の説明に示された構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことが理解されるべきである。発明は、他の実施の形態が可能であり、様々な形式で実現または実施することができる。
【0032】
本発明の原理および実施の形態は、概して、背圧を増大しかつ基板を通る排ガスの流れを低減することができる、基板セルの入口に蓄積するすすの量を低減するために、触媒基板のセル壁の外側に面したエッジに触媒コーティングを塗布するシステムおよび方法に関する。
【0033】
様々な実施の形態において、さもなければ触媒基板のセル開口に蓄積してしまうすすは、触媒材料の面コーティングによって酸化させられてもよく、背圧の増大を低減、遅延または防止することによって基板を通る排ガスの流れを維持してもよい。
【0034】
原理および実施の形態は、モノリシック触媒基板を形成する壁部の外側に面したエッジを触媒材料でコーティングするシステムに関する。
【0035】
様々な実施の形態では、モノリシック触媒基板は、触媒基板または基板と呼ばれてもよい。
【0036】
システムの実施の形態は、可溶性触媒前駆物質および/または触媒スラリ材料を含むコーティング液を塗布装置に吸収し、次いで、含浸された塗布装置を、セル壁の露出したエッジを含むモノリシック触媒基板の面と接触させることによって、モノリシック触媒基板をコーティングする。
【0037】
1つまたは複数の実施の形態では、可溶性触媒前駆物質および/または触媒スラリ材料は、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウムを含む白金族金属、またはそれらの組合せを含んでもよい。
【0038】
本発明の原理および実施の形態は、基板の露出した面に堆積させられる触媒材料の量、および、触媒基板の内壁に沿ってコーティングが覆われる距離を、プロセシングおよびシステムパラメータを調節することによって制御することにも関する。
【0039】
本発明の原理および実施の形態は、塗布装置とモノリシック触媒基板の面との間に加えられる表面速度および圧力とともに、溶液またはスラリが基板表面に吸収される速度を、溶液が塗布装置から排出される速度と平衡させることにも関する。
【0040】
様々な実施の形態では、コーティング塗布装置は、外径の周囲における所定の厚さの吸収材料と、塗布装置が取り付けられてもよいまたはそれを中心として塗布装置が回転してもよい軸とを備える、円筒形であってもよい。様々な実施の形態では、軸受またはブシュは、コアおよび軸と作動的に関連付けられていてもよく、これにより、塗布装置のコアは軸において自由に回転してもよい。様々な実施の形態では、塗布装置は、フレームに取り付けられた軸受またはブシュにおいて自由に回転するコアに取り付けられてもよい(例えば押込ばめされてもよい)。
【0041】
様々な実施の形態において、基板と塗布装置との間の圧力は、塗布装置上を通過するときに基板の反対側の面に支持される1つまたは複数の圧力補助ローラによって調整および/または補助されてもよい。圧力補助ローラは、送込みシステムおよび/または送出しシステムのフレームに取り付けられていてもよく、基板が塗布装置によって持ち上げられるのを防止するために、塗布装置を横切る基板の高さとほぼ等しい距離だけ塗布装置の上方に位置決めされた1つまたは複数のローラを含む。圧力補助ローラは、基板の重量だけで生じることができる圧力よりも大きくてもよい、基板と塗布装置との間の意図された大きさの力を維持してもよい。圧力補助ローラの高さは調節可能であってもよく、制御装置から受け取られた信号に応答してローラ高さを調節するために調節機構およびサーボモータに作動的に関連付けられていてもよい。制御装置は、1つまたは複数の圧力補助ローラの自動化または半自動化された調節のためにコンピュータ制御されてもよいおよび/またはコンピュータとインターフェースで接続されていてもよい。
【0042】
様々な実施の形態において、触媒基板の速度および塗布装置の表面速度は、送込みコンベヤの線速度によって決定され、基板と塗布装置との間の圧力は、送込みコンベヤの平面の上方の塗布装置高さと、触媒基板の重量とによって決定される。
【0043】
様々な実施の形態において、コーティング塗布装置の高さは、基板に曝された毛羽のレベルを変化させるように昇降させられてもよい。
【0044】
発明の様々な実施の形態において、送込みシステムの平面の上方のコーティング塗布装置の高さは、コーティング塗布装置を横切って少なくとも1つの光ビームを通過させることによって決定されてもよい。
【0045】
様々な実施の形態において、光源は、送込みおよび送出しコンベヤの平面の上方の特定の高さに位置決めされた、1つの送信機、例えばレーザ、レーザダイオード、または発光ダイオード(LED)、および1つの光センサ、例えばフォトダイオードまたはフォトトランジスタであってもよく、光源と光センサとは、コンベヤの反対側に位置している。
【0046】
様々な実施の形態において、コーティング液塗布装置の高さと、触媒基板面に対するコーティング液塗布装置毛羽の圧力とは、光ビームがコーティング液塗布装置によってブロックされているかどうかを検出し、コーティング液塗布装置毛羽と触媒基板面との間の接触を高めるように、ブロックされない光ビームの検出に応答してコーティング液塗布装置高さを調節することによって、決定されてもよい。様々な実施の形態において、コンピュータは、光センサから光信号を受け取り、光センサからの信号が中断されるまで塗布装置高さを上昇させるように信号を送信してもよい。
【0047】
様々な実施の形態において、光源は、平行な光ビームの鉛直方向のカーテンを提供する、送信器、例えばレーザ、レーザダイオードまたは発光ダイオードの鉛直方向配列であってもよく、光センサは、送信器からの光を検出するために光検出器の鉛直方向配列を提供する受信機、例えばフォトダイオードまたはフォトトランジスタの鉛直方向配列であってもよい。
【0048】
本発明の実施の形態が作動しているとき、基板の最も幅広の部分は、多くの場合、コーティング液塗布装置の中間領域を横切って通過し、これにより、塗布装置のその部分を、塗布装置のそれぞれの縁部に近いセクションよりも速く圧縮および/または摩耗させる。中間領域は、コーティングされる基板との接触時間がより長いので、最も使用される中間部分がまず損傷しはじめ、その結果、基板を横切ってゆっくりと拡大する帯状部を生じ、この帯状部は、より少ないコーティング材料を基板に転移させる。これは、より小さい毛羽高さ、および/または、塗布装置の摩耗した部分と基板との間のより低い圧力、ならびに場合によっては塗布装置の摩耗した部分による液体保持量の減少によって、生じ得る。
【0049】
様々な実施の形態では、1つまたは複数の光ビームは、ローラのほぼ中央を、角度を成して通過させられてもよい。光ビームは、ローラの反対側における1つまたは複数の光センサによって検出されてもよい。
【0050】
発明の様々な典型的な実施の形態が図面を参照しながらさらに詳細に説明される。これらの図面は、実施の形態のうちの幾つかを例示するだけであり、本発明の完全な範囲を表すものではなく、本発明の完全な範囲については添付の請求項が参照されるべきであることが理解されるべきである。
【0051】
図1は、コーティングシステム100の1つの典型的な実施の形態の側面図である。触媒基板200は、コーティングされる基板の面を送込みシステム110に配置することによって、ロボットによってまたは手作業によってシステムに積載されてもよい。
【0052】
様々な実施の形態において、送込みシステム110は、コンベヤであってもよく、このコンベヤは、コンベヤモータ115によって駆動される、狭い間隔で配置された一連のローラ112と、各ローラ軸(図示せず)に取り付けられたスプロケットを通る駆動チェーンまたは複数のローラの配列の周囲に巻き掛けられたベルト117とを含み、ローラのうちの1つが、変速A/CまたはD/C電気モータであることができるコンベヤモータ115と、作動的に関連付けられた制御装置118とによって駆動される。
【0053】
様々な実施の形態において、送出しシステム130は、触媒基板がコーティング塗布装置120上を通過した後に触媒基板を受け取る。様々な実施の形態において、送出しシステムは、狭い間隔を置いて配置された一連のローラ132を含むコンベヤであってもよく、ローラ132は、自由に回転し、モータによって駆動されない。送出しコンベヤ130が自由に回転する様々な実施の形態において、送込みシステム110は、送出しシステムまでの塗布装置を横切る基板の速度を調整する。
【0054】
幾つかの実施の形態では、送出しシステム130は、送込みシステム110と同じコンベヤモータ115によって駆動されかつ各ローラ軸(図示せず)に取り付けられたスプロケットを通る駆動チェーンと作動的に関連付けられた、狭い間隔を置いて配置された一連のローラ132を含むコンベヤであってもよい。幾つかの実施の形態では、送出しシステム130は、複数のローラの配列の周囲に巻き掛けられたベルト137によって駆動される、狭い間隔を置いて配置された一連のローラ132を含むコンベヤであってもよく、ローラのうちの1つが、変速A/CまたはD/C電気モータであることができる別個のコンベヤモータ135と、作動的に関連付けられた制御装置118とによって駆動される。
【0055】
様々な実施の形態において、送込みシステムのローラは、モノリシック触媒基板を受け取るように構成および寸法決めされたフレームに取り付けられていてもよい、またはモノリシック触媒基板を受け取るように構成および寸法決めされたフレームによって支持されていてもよい。フレームは、ローラ112の両側に沿ってレールを有してもよく、このレールに、ローラの軸が、例えば、取付け穴、軸受またはブシュによって作動的に関連付けられていてもよい。フレームは、さらに、剛性を提供するための横材と、送込みシステムの高さを設定するための調節可能な直立支持体とを有してもよい。
【0056】
様々な実施の形態において、送出しシステムのローラ132は、モノリシック触媒基板を受け取るように構成および寸法決めされたフレームに取り付けられていてもよい、またはモノリシック触媒基板を受け取るように構成および寸法決めされたフレームによって支持されていてもよい。フレームは、ローラの両側に沿ってレールを有してもよく、このレールに、ローラの軸が、例えば、取付け穴、軸受またはブシュによって作動的に関連付けられてもよい。フレームは、さらに、剛性を提供するための横材と、送込みシステムの高さを設定するための調節可能な直立支持体とを有してもよい。送込みシステムおよび送出しシステムは、同じ高さに設定されていてもよく、他の機能的ユニット(例えば、ロボット、スケール、ドライヤ、ステージング領域)と作動的に関連付けられるように構成および寸法決めされていてもよい。様々な実施の形態において、コーティング液容器125は、従来技術において公知のように、適切なブラケットおよび/またはハードウェアによって送込みシステム110、送出しシステム130、またはそれら両方に取り付けられていてもよい。
【0057】
1つまたは複数の実施の形態において、送込みシステム110および送出しシステム130は同じフレームに取り付けられていてもよく、この場合、コーティング液容器は、送込みシステムと送出しシステムとの間においてフレームに取り付けられている。
【0058】
送込みシステム110および送出しシステム130の双方がモータによって駆動される1つまたは複数の実施の形態において、送込みシステム110および送出しシステム130は、基板が一方のコンベヤから他方のコンベヤへ通過するときに基板の移動および/または速度の不連続が生じないように、同期しておりかつ同じ速度で移動するべきである。基板は、コーティング塗布装置120と接触している間、均一な速度を有するべきである。送出しコンベヤによる取上げの遅れは、塗布装置から基板の少なくとも一部への液体の引渡しを一時的に減少させることがあり、これにより、不均一にコーティングされた基板面を生じる。逆に、送出しコンベヤによる加速は、塗布装置から基板の少なくとも一部への液体の引渡しを一時的に増大させることがあり、これにより、不均一にコーティングされた基板面を生じる。
【0059】
様々な実施の形態において、電気モータは、従来技術において公知のように、適切な制御装置と併用される、サーボモータ、ブラシレスDCモータまたはステッパモータであってもよい。
【0060】
発明の1つまたは複数の実施の形態において、送込みシステム110は、所定の量のコーティング液を吸収したコーティング塗布装置120に向かってモノリシック触媒基板を指定の速度で運搬する。モノリシック触媒基板は、基板の速度およびサイズに基づいて特定の時間だけ塗布装置と接触してもよい。様々な実施の形態では、モノリシック触媒基板は、約0.5秒〜約4秒、または択一的に約1秒〜約2秒、または択一的に約2秒〜約3秒、または約1.5秒だけ塗布装置と接触してもよい。
【0061】
様々な実施の形態において、コーティング塗布装置120は、吸収性毛羽と、毛羽を支持するコアとを含む円筒状ローラであってもよい。ローラ毛羽は、一貫した量の液体を吸収および保持することができる発泡体、多孔質ゴム、織物材料、または不織布材料であってもよい。
【0062】
様々な実施の形態において、圧力補助システム190は、支持体191によって送込みシステム110および/または送出しシステム130のフレームに取り付けられていてもよく、基板が塗布装置によって持ち上げられるのを防止するために、塗布装置120を横切る基板200の高さとほぼ等しい距離だけ塗布装置120の上方に位置決めされた1つまたは複数のローラ192を含む。圧力補助ローラ192は、基板の重量だけで生じる圧力よりも大きくてもよい、基板と塗布装置との間の意図された大きさの下向きの力を維持してもよい。様々な実施の形態において、圧力補助ローラは、ゴム、フォームラバー、または当該技術分野において公知のその他のエラストマ材料であってもよい。圧力補助ローラ192は、提供される下向きの力の大きさを調節するために引張ばねと作動的に関連付けられていてもよい。
【0063】
様々な実施の形態において、塗布装置120は、可溶性触媒前駆物質および/または触媒スラリ材料を含有するコーティング液を含むコーティング流体容器またはトレー125に位置決めされている。塗布装置は、可溶性触媒前駆物質および/または触媒スラリ材料のコーティング溶液に少なくとも部分的に浸漬されていてもよく、これにより、塗布装置毛羽は、可溶性触媒前駆物質および/または触媒スラリ材料のコーティング溶液の所定の量を吸収してもよい。
【0064】
様々な実施の形態では、コーティング液デリバリシステム170は、コーティング液容器125と作動的に関連付けられていてもよく、適切な流体ポンプ180と、コーティング液リザーバ171と、入口導管177と、デリバリ導管185と、戻し導管175とを有する。入口導管177は、第1の端部において流体ポンプ180に接続されておりかつ流体ポンプ180と流体連通しており、反対側の端部においてコーティング溶液リザーバ171に接続されておりかつコーティング溶液リザーバ171と流体連通していてもよい。デリバリ導管185は、第1の端部において流体ポンプ180に接続されておりかつ流体ポンプ180と流体連通しており、反対側の端部においてコーティング液容器125に接続されておりかつコーティング液容器125と流体連通していてもよい。戻し導管175は、第1の端部においてコーティング液容器に接続されておりかつコーティング液容器と流体連通しており、反対側の端部においてコーティング液リザーバ171に接続されておりかつコーティング液リザーバ171と流体連通していてもよい。
【0065】
1つまたは複数の実施の形態において、コーティング液デリバリシステム170は、コーティング液容器125におけるコーティング液のレベルを所定の高さに維持してもよく、既知の濃度を有する所定の量のコーティング溶液を供給してもよく、コーティング流体容器125における溶液に撹拌および混合の手段を提供するための循環システムとして機能してもよい。様々な実施の形態において、コーティング流体は、コーティング液ポンプ180によってコーティング液リザーバ171からコーティング液容器125へ送られてもよい。
【0066】
1つまたは複数の実施の形態において、コーティング液デリバリシステム170は、コーティング液容器125におけるコーティング液の安定した濃度およびレベルを維持するためにコーティング液をコーティング液容器に連続的に循環させてもよい。所定の時間にわたっておよび/または所定の数量の触媒基板に対して使用されたコーティング液の量を監視するために、スケールがコーティング液リザーバ171と作動的に関連付けられていてもよく、触媒基板の数量は、予め決定されていてもよいまたはコーティングシステム100の作動中に数えられてもよい。様々な実施の形態において、コンピュータは、コーティング液容器スケールから重量値を受け取り、多数の触媒基板におけるコーティング液使用および/または取上げ傾向を決定するために、時間の経過とともに値を記憶してもよく、これらの値は、統計的分析のために使用されてもよい。
【0067】
様々な実施の形態において、コーティング液容器125と作動的に関連付けられた液量センサは、塗布装置120に塗布されるための十分な量の液体がコーティング液容器125に存在するかどうかを決定してもよく、液量センサは、液体高さセンサまたはスケールであってもよい。様々な実施の形態において、液量センサは、コーティング液容器におけるコーティング液の量が意図された量よりも低いかどうかを、容器におけるコーティング液の高さまたは重量によって決定してもよい。
【0068】
様々な実施の形態において、コーティング液容器におけるコーティング液の量は液体高さセンサによって決定されてもよく、液体高さセンサはコーティング液容器125に取り付けられていてもよい。液体高さセンサは、コンピュータに電気的に接続されていてもよいおよび/またはコンピュータと電子通信してもよく、コンピュータは、液体高さセンサから電子信号を受け取り、容器125に存在するコーティング液の量を決定するように構成されている。コンピュータは、流体ポンプ180に電気的に接続されていてもよいおよび/または流体ポンプ180と電子通信してもよく、コンピュータは、電子信号をポンプに送信するように構成されていてもよい。ポンプは、コンピュータから通信された特定の電子信号に基づいてポンピング状態と非ポンピング状態との間を移行するように構成されていてもよい。様々な実施の形態において、液体高さセンサ、流体ポンプ180およびコンピュータは、コーティング液容器125における液位を所定の高さに維持するように作動するフィードバックループを形成する。
【0069】
様々な実施の形態において、コーティング液容器125におけるコーティング液の量は、コーティング液容器125と作動的に関連付けられたスケールによって決定されてもよく、スケールは、コーティング液容器125に取り付けられていてもよい。コーティング液容器スケールは、コンピュータに電気的に接続されていてもよいおよび/またはコンピュータと電子通信してもよく、コンピュータは、コーティング液容器スケールから電子信号を受け取り、容器125に存在するコーティング液の量を重量によって決定するように構成されている。コンピュータは、流体ポンプ180と電気的に接続されていてもよいおよび/または流体ポンプ180と電子通信してもよく、コンピュータは、電子信号をポンプに送信するように構成されていてもよい。ポンプは、コンピュータから通信された特定の電子信号に基づいてポンピング状態と非ポンピング状態との間を移行するように構成されていてもよい。様々な実施の形態において、コーティング液容器スケール、流体ポンプ180およびコンピュータは、コーティング液容器125におけるコーティング液の重量を所定の重量に維持するように作動するフィードバックループを形成する。
【0070】
1つまたは複数の実施の形態において、リザーバが少なくなり、補充する必要があるかどうかを決定するために、スケールまたは高さセンサは、コーティング液リザーバ171と作動的に関連付けられていてもよい。コーティング液リザーバ171と作動的に関連付けられたスケールまたは高さセンサは、コンピュータに電気的に接続されてもよいおよび/またはコンピュータと電子通信してもよく、コンピュータは、コーティングシステムが不十分な量のコーティング液を含んでいる場合にアラームをトリガするように、および/または、基板の不適切なコーティングを防止するためにコーティングシステムを非作動状態に配置するように、構成されている。
【0071】
様々な実施の形態において、コーティング液における活性コーティング材料の量を測定するために、コーティング液濃度センサがコーティング液デリバリシステムと作動的に関連付けられていてもよい。コーティング液濃度センサは、コーティング液の濃度を分光光度計(例えば、FTIR、NIR、UV/Visなど)、比色分析(例えば、可視光)、濁り度−合計懸濁固体(例えば、光減衰、光散乱)、または、溶液密度(例えば、屈折率)によって測定してもよい。コーティング液濃度センサは、溶液濃度を計算および記憶するためにコンピュータと電子通信してもよい。
【0072】
様々な実施の形態において、コーティング溶液の濃度は、約0.5質量%〜約5質量%の白金族金属であってもよく、または択一的に、コーティング溶液は、約1質量%〜約2質量%の白金族金属、または約1.5質量%の白金族金属の濃度を有してもよく、白金族金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよびプラチナを含む。
【0073】
様々な実施の形態において、コーティング溶液は、プラチナ、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組合せから成るグループから選択された貴金属触媒を含み、それらは、液体キャリヤに溶解された可溶性化合物であってもよい。可溶性プラチナ化合物は、例えば、ヘキサクロロ白金酸、塩化白金(IV)、K2PtCl4、および硫酸白金であってもよい。可溶性ロジウム化合物は、例えば、水和された塩化ロジウム(III)および硫酸ロジウムであってもよい。可溶性パラジウム化合物は、例えば、塩化パラジウム(II)、K2PdCl4、硝酸パラジウムおよび硫酸パラジウムであってもよい。
【0074】
様々な実施の形態において、コーティング溶液は、液体キャリヤ(例えば、H2O)に溶解された可溶性化合物であってもよい、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、セリウム、セシウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、バナジウム、およびそれらの組合せから成るグループから選択された卑金属触媒を含む。
【0075】
様々な実施の形態において、スラリは、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、ジルコニア、チタニア、酸化ランタンおよびそれらの組合せを含んでもよい。
【0076】
様々な実施の形態において、スラリは、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、セリウム、セシウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、バナジウムおよびそれらの組合せの酸化物を含んでもよい。
【0077】
図2は、コーティングシステム100の典型的な実施の形態の平面図を示しており、このコーティングシステム100では、送込みコンベヤ110は電気モータ115によって駆動され、送出しコンベヤ130は別個の電気モータ135によって駆動される。回転する塗布装置120が送込みコンベヤ110と送出しコンベヤ130との間に位置決めされており、基板が一方のコンベヤから他方のコンベヤへ通過するときに基板に一貫した支持を提供し、かつコーティング溶液が塗布されながら塗布装置120に対して一貫した圧力を維持するために、塗布装置120とコンベヤとの間に最小限の間隙が存在してもよい。
【0078】
幾つかの実施の形態では、回転する塗布装置120は、指定速度で回転するようにモータ127によって駆動されてもよく、この場合、吸収性毛羽が触媒コーティング溶液の供給源と継続的に接触し、吸収されるために十分な時間にわたって溶液と接触したままとなる。
【0079】
1つの実施の形態では、電気モータ127は、クラッチを介して塗布装置軸に連結されておりかつ塗布装置軸と作動的に関連付けられており、クラッチは、モータと、回転する塗布装置120との間の滑りを許容する。クラッチは、塗布装置の回転速度を、送込みコンベヤによって調整された基板の線速度と一致させ、基板が塗布装置と接触しているときに基板を遅らせるまたは加速させることを回避する。
【0080】
1つまたは複数の実施の形態において、クラッチは、基板の送込み速度が塗布速度を制御することを可能にし、これにより、基板面へのPtの過剰なまたは不十分な供給を防止する。
【0081】
1つまたは複数の実施の形態において、光源160および光センサ165がコーティングシステム100に取り付けられていてもよく、光源160は、1つまたは複数の光ビームを、液体塗布装置120を横切るように、送込みおよび/または送出しシステムの水平面におけるまたはその上方における水平面において、光センサ165へ照射し、送込みおよび/または送出しシステムの平面の上方に塗布装置120が延びているかどうかを検出する。様々な実施の形態において、塗布装置120の毛羽は、塗布装置120が適切な高さにあるときは光ビームをブロックし、塗布装置が低すぎるところに位置決めされているかまたは毛羽が圧縮または摩耗されてしまっていると、塗布装置120は、光ビームが光センサ165に到達することを妨げない。様々な実施の形態において、光ビームは、塗布装置120の中央部分を対角方向に横切るように通過すべきである。
【0082】
図3Aおよび図3Bは、軸128に取り付けられていてもよいコア122を包囲する吸収性毛羽121を含む円筒状塗布装置120を示している。軸128は、曲がったり、その他たわんだりすることなく、基板が塗布装置120上を通過するときに基板の反対側の面に支持される1つまたは複数の圧力補助ローラからの付加的な下向きの圧力を受けながらまたは受けずにモノリシック触媒支持体200の重量の少なくとも一部を支持するために十分な強度を有する、中実の円柱、中空の円柱、または複数のたわむことができるロッドであってもよい。
【0083】
様々な実施の形態において、塗布装置120は、コーティングされる触媒基板よりも幅広である。塗布装置は、送込みおよび/または送出しシステム110,130のローラと同じ支持構造(例えば、フレーム、鉛直方向支持体など)にはめ込まれるように構成および寸法決めされていてもよい。非制限的な例において、塗布装置は、18インチ幅のローラであってもよく、コーティング液容器125は、ローラを受け入れるように構成および寸法決めされている。
【0084】
1つまたは複数の実施の形態において、図3Aに示したように、塗布装置軸128はコーティング液容器125の側壁よりも上方に位置してもよいが、塗布装置毛羽121の少なくとも一部は、コーティング液容器125におけるコーティング溶液の表面レベル126よりも下方に位置している。
【0085】
様々な実施の形態において、コーティング液容器125におけるコーティング溶液の表面レベル126の高さは、下方へ作動するせきゲートと、コーティング液容器125に作動的に接続された水門との鉛直方向位置を変化させることによって調節されてもよく、ここで、せきゲートおよび水門は、コーティング液容器125からの排出量を制御してもよい。
【0086】
様々な実施の形態において、軸128は、軸128および取り付けられた塗布装置120に回転速度を付与する電気モータに接続されていてもよい。様々な実施の形態において、作動中、例えば塗布装置120の回転は、毛羽121の漸進的セクションを連続的にコーティング液に浸漬させる。
【0087】
図3Bは、塗布装置が容器125に均一に位置決めされ、コーティング液を均一に吸収するように、長さ方向、幅方向および深さ方向でのコーティング液容器125への円筒形塗布装置はめ込みの典型的な実施の形態を示している。様々な実施の形態において、コーティング液容器に存在するコーティング液の高さを決定する液位センサ153は、容器125に固定されていてもよくかつ容器125と作動的に関連付けられていてもよい。
【0088】
図4A図4Dは、送込みシステム110から塗布装置120を通過して送出しシステム130までの円筒形触媒モノリス200の漸進的通過を示している。
【0089】
1つまたは複数の実施の形態において、送込みシステム110および送出しシステム130は、モノリシック触媒基板200の重量を支持する、水平面におけるほぼ水平な面を提供し、これにより、モノリシック触媒基板200は水平なままとなり、基板は、塗布装置上を通過するときに塗布装置に対してほぼ均一な圧力を有している。
【0090】
図4Aは、塗布装置120の方向で基板に水平方向速度を付与する送込みシステム110に支持されたモノリシック触媒基板200を示している。触媒基板は、電気モータ、モータ制御装置、コンピュータまたはそれらの組合せの設定によって決定される所定の速度を有してもよい。コーティング液塗布装置120は、コーティング液を基板200に塗布するために送込みシステム110の一方の端部に設けられていてもよい。モノリシック触媒基板200は、基板と塗布装置との接触時間および圧力の均一性を保証する形式でコーティング液塗布装置120に提供されてもよい。
【0091】
1つまたは複数の実施の形態において、基板コーティング液は、コーティング液の供給源、例えば、少なくとも塗布装置120を濡らすのに十分なコーティング液を含むための十分な内部体積を有するコーティング液容器から、コーティング液塗布装置120に提供されてもよい。様々な実施の形態において、少なくとも塗布装置の吸収性部分がコーティング液に浸漬されるので、コーティング液塗布装置120はコーティング液によって飽和させられる。
【0092】
図4Bは、例えば最初は塗布装置の中央部分において、コーティング液塗布装置120と接触するモノリシック触媒基板200を示している。基板コーティング液は、少なくとも、塗布装置と接触した基板200の部分に塗布される。
【0093】
図4Cは、所定の量のコーティング液が、コーティング液塗布装置から、コーティング液塗布装置120と接触したモノリシック触媒基板200の面に転移させられるように、送込みシステム110の電気モータによって確立された水平方向速度でコーティング液塗布装置120を横切って通過するモノリシック触媒基板200を示している。基板が塗布装置上を移動しながら、基板200の漸進的な部分が塗布装置120の漸進的な部分と接触する。様々な実施の形態において、モータと塗布装置との間に接続されたクラッチにより、塗布装置は、送込みシステム110および基板200の速度に自由に一致することができる。
【0094】
1つまたは複数の実施の形態において、コーティング液塗布装置を横切るモノリシック触媒基板の水平方向速度は、基板に転移されるコーティング液の量に影響してもよく、例えば、より高い速度は、基板に転移されるコーティング液の量を増大させる。例えば、水平方向速度の増大は、コーティング液を吸収性塗布装置から排出させるための時間を短縮する。
【0095】
1つまたは複数の実施の形態において、塗布装置が送込みシステム110および送出しシステム130の水平面の上方に延びている高さが増減されるように、コーティング液塗布装置120は鉛直方向に調節可能であってもよい。塗布装置と基板とが接触しているとき、塗布装置高さの増大は、コーティング液塗布装置120とモノリシック触媒基板200との間の圧力の増大と相関させられていてもよい。同様に、塗布装置と基板とが接触しているとき、塗布装置高さの減少は、コーティング液塗布装置120とモノリシック触媒基板200との間の圧力の減少と相関させられていてもよい。
【0096】
様々な実施の形態において、塗布装置高さは、リニアドライブモータアセンブリおよび関連する制御装置、または液圧式シリンダアセンブリ、流体供給部(例えば、空気、水、作動液)、ポンプおよび関連する制御装置を含む高さ調節システムによって自動化されていてもよい。制御装置は、例えば鉛直方向に塗布装置の位置を変化させるために、リニアドライブモータアセンブリまたは液圧式シリンダアセンブリによる塗布装置高さの自動化または半自動化された調節のために、コンピュータ制御されてもよいおよび/またはコンピュータにインターフェースを介して接続されていてもよい。
【0097】
様々な実施の形態において、コーティング液塗布装置120とモノリシック触媒基板200との間の圧力の大きさは、塗布装置から基板に転移されるコーティング液の量、および/またはモノリシック触媒基板のセル内へのコーティング液の浸透の最大深さに影響してもよい。セル壁に沿った基板の面からのコーティング液の移動の深さは、基板面に塗布されるコーティング液の体積によって影響されてもよい。
【0098】
様々な実施の形態において、塗布装置120は、送込みローラ110と送出しローラ130とによって規定された水平面を横切って毛羽121を均一に曝すために、少なくとも部分的に上昇させられる。様々な実施の形態において、上昇させられた塗布装置上を通過する触媒基板200は、通常、塗布装置の中央の近くで、露出した毛羽121と接触する。所定の量のコーティング液を含有する毛羽の間の接触は、吸収された液体の少なくとも一部を、塗布装置から、塗布装置と接触した基板の面へ転移させる。様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板のセル内へのコーティング液の浸透の最大深さは、約1mm〜2.5mm、または択一的に約80ミル(約2mm)であってもよい。セル内へのコーティング液の浸透の深さは、基板の面を横切って均一であるべきであるが、例えば、≦0.5mm、または≦0.2mm、または≦0.1mmの変動を有する。
【0099】
図4Dは、基板の少なくとも一部がコーティング液塗布装置を横切って通過した後にモノリシック触媒基板200を受け取る送出しシステム130を示している。送出しシステム130は、塗布装置および送込みシステム110から引き渡されたときにモノリシック触媒基板200の重量を支持する。
【0100】
様々な実施の形態では、送出しシステムは、送込みシステムによって基板に付与されたのと同じ水平方向速度で移動しており、基板を中断なく(例えば、加速または減速なしに)受け取る。
【0101】
1つまたは複数の実施の形態において、光源160および光センサ165は、塗布装置の高さを連続的に監視し、塗布装置が低すぎることが決定されるとアラームを提供してもよい。
【0102】
1つまたは複数の実施の形態において、送出しシステムは、スケール、ロボット、ステージング領域またはそれらの組合せなどの他の機能的ユニットに隣接していてもよい。
【0103】
様々な実施の形態において、基板が塗布装置上を通過するとき、基板の少なくとも一部が塗布装置120と接触しながら基板の重量が送込みシステムから送出しシステムへ引き渡される。送込みシステム、塗布装置および送出しシステム上での基板の移動は、滑らかで、水平で、基板速度または塗布装置に対する圧力の変化さえない。
【0104】
図5Aおよび図5Bは、時間とともに圧縮または摩耗されることがある、塗布装置120の毛羽121によって最初はブロックされる光ビームを示している。
【0105】
図5Aは、コア122に支持された、均一な厚さを有する吸収性圧縮性毛羽121を有する未使用の塗布装置120の断面図を示しており、コア122自体は軸128に取り付けられていてもよく、毛羽121はコア122の上方の初期高さに延びている。基板面と繰り返し接触することによって毛羽が圧縮および/または摩耗されるので、塗布装置がコーティング液を吸収する能力が低下し、これにより、基板の面に堆積される触媒材料の量を減じる。
【0106】
1つまたは複数の実施の形態において、送込みシステムの水平面の上方の基板に提供される塗布装置および毛羽の量を調節するために、塗布装置120の軸128は、リニアドライブモータアセンブリまたは液圧式シリンダアセンブリを含む高さ調節システム140と作動的に関連付けられてもよい。非制限的な例において、特に塗布装置の中央と触媒基板面の下面との間の距離を制御するために塗布装置高さが自動的に調節されるように、リニアモータ142および送りねじ144が、軸128に作動的に接続されている。
【0107】
図5Bは、塗布装置120の断面図を示しており、圧縮性毛羽は、使用および摩耗により初期高さ(点線で示されている)よりも減じられており、これにより、光源160からの光ビームがもはや毛羽によってブロックされず、塗布装置の反対側における光センサ165によって検出されてもよい。光源の鉛直方向配列を有する様々な実施の形態において、高さ減少の大きさは、時間の経過とともに追跡される。なぜならば、次第に低くなっていく光ビームが塗布装置の毛羽を横切って通過することができるからである。圧縮および/または摩耗による毛羽の高さの減少の結果、塗布装置によって吸収されるコーティング液が少なくなり、塗布装置とコーティングされる基板との間の接触および/または圧力が小さくなり、その結果、触媒基板の表面を横切ってコーティング液の不均一な分配が生じることがある。
【0108】
1つまたは複数の実施の形態において、光源および/または光センサは、光センサ信号を受信するように構成されたコンピュータに電気的に接続されていてもよいおよび/または光センサ信号を受信するように構成されたコンピュータと電子通信してもよい。1つまたは複数の実施の形態では、コンピュータは、塗布装置の毛羽の高さを決定し、コーティング液塗布装置の実際の高さと意図された高さとの差を計算し、塗布装置高さおよび/または容器高さを自動的に上昇させ、および/または、減じられた毛羽高さおよび/または吸収度を保証するためにコーティング液容器におけるコーティング溶液の高さまたは重量を増大させるように、構成されていてもよい。
【0109】
様々な実施の形態において、塗布装置高さの調節は、特定の光ビームがブロックされるまで塗布装置を上昇させるようにリニアドライブモータアセンブリまたは液圧式シリンダアセンブリのための制御装置に信号を送信することによって行われてもよい。
【0110】
1つまたは複数の実施の形態において、光ビームはほぼ塗布装置120の中間点を通過する。なぜならば、これは、圧縮および/または摩耗を最初に生じる毛羽の部分であるからである。光センサにおける光信号の検出は、塗布装置が交換を必要としていることを示してもよく、聴覚的および/または視覚的なアラームをトリガしてもよい。
【0111】
様々な実施の形態において、モノリシック触媒基板は、基板に堆積された触媒材料(例えばプラチナ)の量を決定するために、コーティングの前および後に計量されてもよい。
【0112】
非制限的な例において、0.0025g/in.2の表面濃度付加が、部分への2mmの浸透の最大深さでモノリシック触媒基板に提供された(=コーティングの2mmゾーンにおける54.8g/ft3の付加)。モノリシック触媒基板は、マントルオーバーハングを有さないセラミック基板であった。モノリシック触媒基板は、10.5インチ直径を有する円形であってもよい。
【0113】
本発明の原理および実施の形態は、触媒基板の1つまたは複数の面に触媒コーティングを塗布する方法にも関し、コーティングは、基板セルの内部へ2mmを超えて浸透することはない。
【0114】
1つの実施の形態において、触媒基板は、ステージング領域から得られてもよく、初期計量のために第1のスケールに配置されてもよく、スケールは、触媒基板のために得られた重量値を受け取りかつ記憶するように構成されたコンピュータおよび/またはメモリを有してもよく、または、スケールは、触媒基板のために得られた重量値を受け取りかつ記憶するように構成されたコンピュータおよび/またはメモリと電子通信してもよい。触媒基板は、生産自動化の技術分野において公知のように、ロボットによってステージング領域から取り出され、スケールに配置されてもよい。
【0115】
スケールは、0.1グラム刻みで40kgまで、または0.1グラム刻みで10kgまで測定することができる高ダイナミックレンジスケールであってもよい。
【0116】
1つまたは複数の実施の形態において、触媒基板は、スケールから面コーティングシステムの送込みシステムへ引き渡されてもよく、この引渡しは、スケールに基板を配置したロボットと同じまたは異なるロボットによって行われてもよい。基板は、送込みシステムによって、意図された水平方向速度まで加速されてもよく、その水平方向速度でコーティング液塗布装置を通過し、これにより、基板の面は、所定の時間にわたり塗布装置と接触してもよい。コーティング液塗布装置は、コーティング液によって濡らされてもよく、基板面が塗布装置と接触している時間にわたって基板の面にコーティング液を転移する。触媒基板は、基板が塗布装置上を通過したときに基板が移動していた速度と同じ水平方向速度で送出しシステムによって受け取られてもよい。
【0117】
1つまたは複数の実施の形態において、1つのロボットが、イン−ステージング領域、または自動化されたプロセスにおける前の処理ステーションから基板を取り上げ、意図された高さにおいて塗布装置を横切って基板を移動させ、および/または、塗布装置に対して意図された下向きの圧力を加え、コーティングされた基板をアウト−ステージング領域、自動化されたプロセスにおける後続の処理ステーション、または測定のための濡れ重量スケールに配置する。ロボットは、コンピュータ制御されてもよい、および/または、ロボットの動きおよび位置決めの自動化または半自動化された制御および調節のための制御装置および/またはコンピュータとインターフェースを介して接続されていてもよい。
【0118】
1つまたは複数の実施の形態において、触媒基板は、コーティング液塗布装置上を通過した後に中間重量または濡れ重量を得るために第2のスケールにおいて計量されてもよく、スケールは、触媒基板のために得られた重量値を受け取りかつ記憶するように構成されたコンピュータおよび/またはメモリを有してもよく、または、スケールは、触媒基板のために得られた重量値を受け取りかつ記憶するように構成されたコンピュータおよび/またはメモリと電子通信してもよい。触媒基板は、生産自動化の技術分野において公知のようにロボットによって送出しシステムから取り出され、第2のスケールに配置されてもよい。
【0119】
1つまたは複数の実施の形態において、基板の面へのコーティング液の塗布の前に触媒基板の乾燥重量を決定するために、スケールが送込みシステムと作動的に関連付けられていてもよい。
【0120】
1つまたは複数の実施の形態において、基板の面へのコーティング液の塗布の後に触媒基板の濡れ重量を決定するために、スケールが送出しシステムと作動的に関連付けられていてもよい。
【0121】
様々な実施の形態において、スケールは、送込みシステムおよび送出しシステムのそれぞれと作動的に関連付けられていてもよく、送出しシステムと作動的に関連付けられたスケールは、面コーティング液の塗布後の触媒基板の重量を得てもよく、測定可能な量のコーティング液が触媒基板の面に塗布されたことを確認してもよい。面コーティング液の塗布後の触媒基板の付加的な重量の測定は、それぞれのスケールによって測定された送込み(乾燥)重量と送出し(湿り)重量との差によって計算されてもよい。
【0122】
様々な実施の形態において、計算を行い、正しい量のコーティング液が塗布されたかどうかを決定するために、重量値は、送込みシステムスケールおよび送出しシステムスケールから、関連したコンピュータへ通信されてもよい。
【0123】
様々な実施の形態において、前にコーティングされた面とは反対側の基板面が送込みシステムおよびコーティング液塗布装置に向けられるように、触媒基板は反転されてもよい。コーティング液によってコーティングされた反対側の面を有するために、生産自動化の技術分野において公知のように、反転された触媒基板は、ロボットによって、第2の面コーティングシステムのための第2の送込みシステムに配置されてもよいか、または、触媒基板は、再び同じ送込みシステムに配置されてもよい。
【0124】
1つまたは複数の実施の形態において、反転された基板は、送込みシステムによって、意図された水平方向速度まで加速されてもよく、その水平方向速度でコーティング液塗布装置を通過してもよく、これにより、基板の面は、所定の時間にわたり塗布装置と接触してもよい。コーティング液塗布装置は、コーティング液によって濡らされてもよく、基板面が塗布装置と接触している時間にわたって基板の面にコーティング液を転移してもよい。触媒基板は、基板が塗布装置上を通過したときに基板が移動していた速度と同じ水平方向速度で送出しシステムによって受け取られてもよい。触媒基板は、ロボットによって送出しシステムから取り出され、別のスケールに配置されてもよい。
【0125】
1つまたは複数の実施の形態において、触媒基板は、両面がコーティングされた最終的な重量を得るためにスケールに配置されてもよい。触媒基板は、コーティング液塗布装置上を通過した後に最終的な濡れ重量を得るために第2または第3のスケールにおいて計量されてもよく、スケールは、触媒基板のために得られた重量値を受け取りかつ記憶するように構成されたコンピュータおよび/またはメモリを有してもよく、または、スケールは、触媒基板のために得られた重量値を受け取りかつ記憶するように構成されたコンピュータおよび/またはメモリと電子通信してもよい。触媒基板は、スケールからステージング領域へ引き渡されてもよい。
【0126】
様々な実施の形態において、1つまたは複数の機能的ユニット(例えば、スケール、送込みシステム、送出しシステム、ステージング領域)の間の引渡しは、ロボットの代わりに人員によって行われてもよい。
【0127】
この明細書を通じて、「1つの実施の形態」、「ある実施の形態」、「1つまたは複数の実施の形態」、「様々な実施の形態」または「実施の形態」とは、その実施の形態に関して説明された特定の特徴、構造、材料または特性が、発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれているということを意味する。すなわち、本明細書を通じた様々な箇所における「1つまたは複数の実施の形態における」、「ある実施の形態における」、「1つの実施の形態における」または「実施の形態における」のような文言の出現は、必ずしも発明の同じ実施の形態を意味しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施の形態においてあらゆる適切な形式で組み合わされてもよい。
【0128】
本明細書における発明は、特定の実施の形態を参照して説明されているが、これらの実施の形態は、単に本発明の原理および適用を例示しているだけであることが理解されるべきである。発明の思想および範囲から逸脱することなく本発明の方法および装置に対して様々な改良および変更をなすことができることが当業者に明らかになるであろう。つまり、本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲にある改良および変更を含むことが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B