(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態に係る固体撮像装置およびその駆動方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものであり、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定するものではない。
【0016】
(実施の形態1)
[1−1.測距撮像装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る測距撮像装置1000の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように、測距撮像装置1000は、固体撮像装置100と、光源ドライバ200と、TOFプロセッサ300と、光学レンズ400と、光源部500とを備える。また、固体撮像装置100は、撮像部101と、AD変換部102と、タイミング生成部103と、シャッタドライバ104とを備える。
【0017】
タイミング生成部103は、対象物600への光照射を指示する発光信号を発生し光源ドライバ200を介して光源部500を駆動するとともに、対象物600からの反射光の露光を指示する露光信号を発生する。
【0018】
撮像部101は、対象物600を含む領域に対して、タイミング生成部103で発生する露光信号が示すタイミングに従って複数回の露光を行い、複数回の露光量の総和に対応した信号を得る。
【0019】
TOFプロセッサ300は、固体撮像装置100から受けた信号に基づいて、対象物600までの距離を演算する。
【0020】
図1に示すように、対象物600に対して、背景光のもと近赤外光が光源部500から照射される。対象物600からの反射光は、光学レンズ400を介して、撮像部101に入射される。撮像部101に入射された反射光は、結像され、当該結像された画像は電気信号に変換される。光源部500および固体撮像装置100の動作は、固体撮像装置100のタイミング生成部103によって制御される。固体撮像装置100の出力は、TOFプロセッサ300によって距離画像に変換され、用途によっては可視画像にも変換される。固体撮像装置100としては、いわゆる、CMOSイメージセンサが例示される。
【0021】
[1−2.画素回路構成]
図2は、実施の形態1に係る測距撮像装置1000の画素回路構成を示す図である。同図には、固体撮像装置100の撮像部101の撮像領域に設けられた画素50Aおよび画素50Bの回路構成が示されている。撮像部101の撮像領域には、画素50Aおよび画素50Bの組み合わせが2次元状に複数配列されているが、
図2では、撮像領域に配列された複数の画素50Aおよび画素50Bのうち、1組の画素50Aおよび画素50Bが示されている。画素50Aは、第1の画素グループに含まれる第1画素であり、画素50Bは第2の画素グループに含まれる第2画素である。
【0022】
画素50Aは、光電変換部1Aと、読出し部12A1および12A2と、電荷蓄積部2Aおよび4Aと、転送制御部9Aと、出力部11Aと、露光制御部6Aとを備える。また、画素50Bは、光電変換部1Bと、読出し部12B1および12B2と、電荷蓄積部3Bおよび5Bと、転送制御部9Bと、出力部11Bと、露光制御部7Bとを備える。また、画素50Aおよび50Bに共通して、フローティングディフュージョン(FD)10、増幅トランジスタ13、FD10をリセットするリセットトランジスタ14、選択トランジスタ15が配置されている。
【0023】
本実施の形態では、垂直方向に隣り合う2つの画素50Aおよび50Bで、FD10および増幅トランジスタ13を共有している。
【0024】
[1−3.駆動方法]
次に、
図2および
図3を参照しながら、本実施の形態に係る固体撮像装置100の露光時の駆動方法について説明する。
【0025】
図3は、実施の形態1に係る固体撮像装置100の露光時の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【0026】
図2の露光制御部6Aおよび7Bのゲートには、それぞれ、駆動パルス信号ODG1およびODG2が印加される。
図2の読出し部12A1、12A2、12B1および12B2のゲートには、それぞれ、駆動パルス信号TG1、TG3、TG2およびTG4が印加される。
図2の電荷蓄積部2A、4A、3Bおよび5Bのゲートには、それぞれ、駆動パルス信号VG1、VG3、VG2およびVG4が印加される。
【0027】
また、光源部500からは、一定周期でオン・オフを繰り返す照射光(PT)が繰り返し照射されている。
図3において、T0は、光源部500から照射された照射光(PT)のパルス幅である。対象物600から反射された反射光(PR)は、光源からの距離に応じてTdの遅延をもって撮像部101に到達し、光電変換部1Aおよび1Bにおいて信号電荷に変換される。
【0028】
図3には、測距レンジ1、測距レンジ2、および測距レンジ3とあるが、各々は反射光(PR)の遅延時間Tdによって分類されており、Tdが0〜T0の場合を測距レンジ1、TdがT0〜2T0の場合を測距レンジ2、Tdが2T0〜3T0の場合を測距レンジ3としている。また、時刻t1〜t5は、全て同一の時間間隔で並んでおり、その時間間隔は照射パルス幅T0に等しい。
【0029】
まず、測距レンジ1の場合について説明する。
【0030】
初期状態として、駆動パルス信号ODG1およびODG2はHigh状態であり、画素50Aの光電変換部1Aおよび画素50Bの光電変換部1Bで発生した電荷は、それぞれ、オーバーフロードレイン(VDD)に排出されている。また、駆動パルス信号TG1〜TG4はLow状態である。また、駆動パルス信号VG1〜VG4はHigh状態である。これにより、電荷蓄積部2Aおよび4Aは、光電変換部1Aと電気的に遮断され、電荷蓄積部3Bおよび5Bは、光電変換部1Bと電気的に遮断されている。この状態において、光電変換部1Aおよび1Bで生成した信号電荷は、それぞれ、露光制御部6Aおよび7Bを介してオーバーフロードレイン(VDD)に排出され、光電変換部1Aおよび1Bには蓄積されない。
【0031】
次に、照射光(PT)がオンとなる時刻t1に同期して、駆動パルス信号ODG1がLow状態となり、光電変換部1Aからオーバーフロードレイン(VDD)への電荷排出が停止される。このとき、駆動パルス信号TG1は、駆動パルス信号ODG1に対して(T0/2)だけ先行してLow状態からHigh状態に遷移しており、背景光を含んだ反射光(PR)の入射によって生成した信号電荷の、読出し部12A1(第1読み出し部)を介した電荷蓄積部2Aへの転送が開始される。
【0032】
次に、時刻t2において、駆動パルス信号ODG1がHigh状態となり、光電変換部1Aで生成した信号電荷は、オーバーフロードレイン(VDD)に排出される。この動作により、背景光を含んだ反射パルス光の先行成分(A0)が電荷蓄積部2Aに保持される。同時に、駆動パルス信号ODG2がLow状態となり、光電変換部1Bからオーバーフロードレイン(VDD)への電荷排出が停止される。このとき、駆動パルス信号TG2は、駆動パルス信号ODG2に対して(T0/2)だけ先行してLow状態からHigh状態に遷移しており、背景光を含んだ反射光(PR)の入射によって生成した信号電荷の、読出し部12B1(第3読み出し部)を介した電荷蓄積部3Bへの転送が開始される。
【0033】
次に、時刻t3において、駆動パルス信号ODG2がHigh状態となり、光電変換部1Bで生成した信号電荷は、オーバーフロードレイン(VDD)に排出される。この動作により、背景光を含んだ反射パルス光の後行成分(A1)が電荷蓄積部3Bに保持される。同時に、駆動パルス信号ODG1がLow状態となり、光電変換部1Aからオーバーフロードレイン(VDD)への電荷排出が停止される。このとき、駆動パルス信号TG3は、駆動パルス信号ODG1に対して(T0/2)だけ先行してLow状態からHigh状態に遷移しており、背景光の入射によって生成した信号電荷の、読出し部12A2(第2読み出し部)を介した電荷蓄積部4Aへの転送が開始される。
【0034】
次に、時刻t4において、駆動パルス信号ODG1がHigh状態となり、光電変換部1Aで生成した信号電荷は、オーバーフロードレイン(VDD)に排出される。この動作により、背景光成分のみ(A2=BG)が電荷蓄積部4Aに保持される。同時に、駆動パルス信号ODG2がLow状態となり、光電変換部1Bからオーバーフロードレイン(VDD)への電荷排出が停止される。このとき、駆動パルス信号TG4は、駆動パルス信号ODG2に対して(T0/2)だけ先行してLow状態からHigh状態に遷移しており、背景光の入射によって生成した信号電荷の、読出し部12B2(第4読み出し部)を介した電荷蓄積部5Bへの転送が開始される。
【0035】
最後に、時刻t5において、駆動パルス信号ODG2がHigh状態となり、光電変換部1Bで生成した信号電荷は、オーバーフロードレイン(VDD)に排出される。この動作により、背景光成分のみ(A3=BG)が電荷蓄積部5Bに保持される。
【0036】
以上の動作により、電荷蓄積部2Aには背景光を含んだ反射パルス光の先行成分A0が蓄積され、電荷蓄積部4Aには背景光成分BGが蓄積され、電荷蓄積部3Bには背景光を含んだ反射パルス光の後行成分A1が蓄積され、電荷蓄積部5Bには背景光成分BGが蓄積されることになる。
【0037】
これらの信号を基に、反射パルス光の遅延量Td(=T0×((A1−BG)/(A0+A1−2×BG)))が求められる。測距レンジ1においては、A0>A2、A1>A3であり、対象物600までの距離Lは、下記の式1で算出される。なお、この場合、背景光の露光量であるBGは、A2、A3、及び(A2+A3)/2のいずれであってもよい。
【0039】
上記のように、信号電荷の蓄積開始および終了を決定するのは、駆動パルス信号ODG1およびODG2のみである。
【0040】
なお、一般的なTOF原理に適用する固体撮像装置においては、電荷読み出し用の駆動パルスXがLowからHighレベルに遷移するタイミングと、オーバーフロードレインのゲート駆動パルスYがHighからLowレベルに遷移する駆動タイミングは同じである。しかし、例えば、撮像領域の端部では両者の遅延差が少なくても、撮像領域の中央部ではゲート駆動パルスYで開始位置が決まり、駆動パルスXで終了位置が決まるといった場合が発生するため、タイミング調整だけでなく設計的な遅延の合わせこみが必要となる。
【0041】
これに対して、本実施の形態に係る測距撮像装置1000では、駆動パルス信号ODG1および2のみで蓄積開始および終了が決定されるため、遅延時間を高精度に調整することが可能となる。
【0042】
測距レンジ2および測距レンジ3についても、測距レンジ1と同様の駆動タイミングが用いられる。但し、反射光(PR)の遅延量が異なるため、各々の電荷蓄積部に保持される信号成分は異なり、具体的には、
図3の表に示すとおりとなる。
【0043】
測距レンジ2においては、A2>A0、A1>A3であり、距離Lは下記の式2で算出される。なお、この場合、背景光の露光量であるBGは、A0、A3及び(A0+A3)/2のいずれであってもよい。
【0045】
測距レンジ3においては、A2>A0、A3>A1であり、距離Lは下記の式3で算出される。なお、この場合、背景光の露光量であるBGは、A0、A1及び(A0+A1)/2のいずれであってもよい。
【0047】
上記測距レンジ1〜3のいずれの場合においても、適切な信号を選択することにより対象物600までの距離を算出することができる。
【0048】
上記測距撮像装置の構成および測距方法によれば、従来の測距撮像装置では、測距レンジがc×T0/2であったのに対して、本実施の形態に係る測距撮像装置では、距離精度を損なうことなく測距レンジを3c×T0/2へと拡大することが可能となる。
【0049】
次に、電荷蓄積部に蓄積された測距信号を出力する手順について、
図4および
図5を用いて説明する。
【0050】
図4は、実施の形態1に係る固体撮像装置100の測距信号出力タイミングを示すタイミングチャートである。
図4では、垂直方向に隣接する2画素50Aおよび50BでFD10を共有する構成において、画素50Aおよび50Bを含む2行をサフィックス2iで示し、当該2行に隣り合う下の2行をサフィックス2(i+1)で示している。なお、iは自然数である。詳細には、サフィックス2iで示される画素は、2i行と(2i+1)行の垂直方向に隣接する2画素を表し、サフィックス2(i+1)で示される画素は、(2i+2)行と(2i+3)行の垂直方向に隣接する2画素を表している。また、
図4において、RSはリセットトランジスタ14のゲートに印加される駆動パルス信号を示しており、SELは選択トランジスタ15のゲートに印加される駆動パルス信号を示している。
【0051】
また、
図5は、2i行および(2i+1)行における電荷蓄積部、転送制御部、出力部、およびFDのポテンシャル図である。ここで、転送制御部9Aおよび9Bのゲートに印加される駆動信号VB、出力部11Aおよび11Bのゲートに印加される駆動信号OGは、それぞれ、適切な直流電位を有する信号であり、High状態の電荷蓄積部に対してはポテンシャルバリア、Low状態の電荷蓄積部に対しては転送路となるように設定されている。また、電荷蓄積部には電荷転送を容易にする目的でポテンシャルの段差が設けられている。このポテンシャル段差は、電荷蓄積部の不純物濃度を一部変更することにより形成することができる。
【0052】
まず、初期状態である時刻t1では、露光動作が終了し電荷蓄積部2A、4A、3Bおよび5Bに、それぞれ信号電荷が蓄積された状態である。以下、測距レンジ1に対応させて、電荷蓄積部2Aに(A0+BG)が蓄積され、電荷蓄積部3Bに(A1+BG)が蓄積され、電荷蓄積部4Aおよび5BにBGが蓄積された状態を初期状態として説明を行う。
【0053】
次に、時刻t2において、駆動パルス信号VG3がLow状態に変化する。これにより電荷蓄積部4Aに保持された信号電荷BGが、駆動信号OGによりFD10に転送される。FD10では信号電荷が電圧に変換され、増幅トランジスタ13および選択トランジスタ15で構成されるソースフォロワ回路により外部に読み出される。
【0054】
次に、時刻t3において、リセットトランジスタ14にHighレベルの駆動パルス信号RSが入力され、FD10は電源電位にリセットされる。
【0055】
次に、時刻t4において、駆動パルス信号VG2がLow状態に変化する。これにより電荷蓄積部3Bに保持された信号電荷(A1+BG)が、駆動信号OGによりFD10に転送される。信号電荷の出力については前述の通りであるため、ここでの説明は省略する。
【0056】
次に、時刻t5において、駆動パルス信号VG3およびVG2がHigh状態に変化し、続いて駆動パルス信号VG1およびVG4がLow状態に変化する。これにより、電荷蓄積部2Aおよび電荷蓄積部5Bに保持された信号電荷(A0+BG)およびBGが、それぞれ、電荷蓄積部4Aおよび電荷蓄積部3Bに転送される(時刻t6)。
【0057】
さらに、時刻t7において、FD10がリセットされた後、時刻t8において、駆動パルス信号VG3がLow状態となることで信号電荷(A0+BG)がFD10に転送され、前述の通り出力される。
【0058】
次に、時刻t9において、FD10がリセットされ、続いて時刻t10において、駆動パルス信号VG2がLow状態となり信号電荷BGが出力される。
【0059】
以上の時刻t1〜t10の動作により、2i行および(2i+1)行の信号電荷出力を終了し、以降、上記の動作を2行単位で順次行うことで、フレーム出力を完了する。
【0060】
なお、
図4で示されたように、駆動パルス信号VG1およびVG4は、同一の動作をする。そのため、電荷蓄積部2Aおよび5Bのゲートに駆動パルス信号VG1およびVG4を伝達するゲート配線は、同一配線とすることが可能である。また、駆動信号VBが印加される転送制御部9Aおよび9Bと駆動信号OGが印加される出力部11Aおよび11Bとは、電荷蓄積部に対するバリア形成および転送路形成の観点から同一の役割を持つため、駆動信号VBおよび駆動信号OGを伝達するゲート配線に関しても、同一配線とすることが可能である。
【0061】
更には、これらのゲート電位を共通のGND電位とすることも可能である。この場合、転送制御部および出力部のゲート下電位をVG1、VG2、VG3、VG4がLowレベルでも転送できるように深くする必要が生じるため、電荷蓄積部に保持できる電子数は上述した駆動方法に比べ減少するが、電荷蓄積部のHighレベルを固体撮像装置内に設けた昇圧回路により上げることで電子数の減少を抑制することが可能である。
【0062】
これにより、画素内の配線の数を減らすことができ、開口面積の拡大に伴う高感度化を実現し、測距精度を向上させることができる。
【0063】
[1−4.画素レイアウト構成]
図6は、実施の形態1に係る固体撮像装置100の画素のレイアウト構成を示す概略平面図である。撮像部101の複数の画素は、半導体基板上の撮像領域に2次元状に配置され、第1の画素グループに含まれる画素50Aおよび第2の画素グループに含まれる画素50Bを、測距の最小単位である1つの画素ユニットとしている。
図6には、
図2に示された回路構成を有する画素50Aおよび50Bで構成される1つの画素ユニットのレイアウト構成が表されている。
【0064】
図6に示すように、画素50Aは、光電変換部1Aと、読出し部12A1および12A2と、電荷蓄積部2Aおよび4Aと、転送制御部9Aと、出力部11Aと、露光制御部6Aとを備える。また、画素50Bは、光電変換部1Bと、読出し部12B1および12B2と、電荷蓄積部3Bおよび5Bと、転送制御部9Bと、出力部11Bと、露光制御部7Bとを備える。また、画素50Aおよび50Bは、FD10およびオーバーフロードレイン8を共有している。
【0065】
光電変換部1Aおよび1Bは、対象物600からの反射光を受光し、光電変換により生成された信号電荷を蓄積する。
【0066】
電荷蓄積部2Aおよび4Aは、それぞれ、光電変換部1Aに蓄積された信号電荷を保持する第1の電荷蓄積部および第3の電荷蓄積部である。電荷蓄積部2Aおよび4Aは、光電変換部1Aが形成された領域の外周における同一の辺に設けられている。電荷蓄積部3Bおよび5Bは、それぞれ、光電変換部1Bに蓄積された信号電荷を保持する第2の電荷蓄積部および第4の電荷蓄積部である。電荷蓄積部3Bおよび5Bは、光電変換部1Bが形成された領域の外周における同一の辺に設けられている。
【0067】
読出し部12A1および12A2は、それぞれ、光電変換部1Aから電荷蓄積部2Aおよび4Aに信号電荷を読み出す読出し部である。読出し部12B1および12B2は、それぞれ、光電変換部1Bから電荷蓄積部3Bおよび5Bに信号電荷を読み出す。
【0068】
転送制御部9Aは、電荷蓄積部2Aと4Aとの間に設けられている。転送制御部9Bは、電荷蓄積部3Bと5Bとの間に設けられている。
【0069】
出力部11Aは、画素50A内の2つの電荷蓄積部の一方である電荷蓄積部4Aに隣接して設けられている。出力部11Bは、画素50B内の2つの電荷蓄積部の一方である電荷蓄積部3Bに隣接して設けられている。
【0070】
FD10は、電荷蓄積部4Aと出力部11Aを介して隣接し、また、電荷蓄積部3Bと出力部11Bを介して隣接し、信号電荷を電圧に変換する。
【0071】
露光制御部6Aは、電荷蓄積部2Aおよび4Aが設けられた光電変換部1Aの辺に直交する2辺に設けられている。露光制御部7Bは、電荷蓄積部3Bおよび5Bが設けられた光電変換部1Bの辺に直交する2辺に設けられている。
【0072】
オーバーフロードレイン8は、露光制御部6Aまたは7Bを介して、光電変換部1Aと隣り合うように設けられ、光電変換部1Aまたは1Bに蓄積された信号電荷を、露光制御部6Aまたは7Bを介して排出する。
【0073】
また、電荷蓄積部2A、4A、3Bおよび5B、読出し部12A1、12A2、12B1および12B2、転送制御部9Aおよび9B、ならびに、出力部11Aおよび11Bは、それぞれ、半導体基板の上方にゲート絶縁膜およびゲート電極が積層されることにより形成されている。
【0074】
なお、オーバーフロードレイン8は、隣り合う画素間で共有することが望ましい。
【0075】
FD10は、ソースフォロワ回路に接続されており、電荷電圧変換された信号は増幅され出力されるが、通常のMOSイメージセンサと同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
第1画素(画素50A
)は、前記2つの読み出し部として、第1読み出し部と第2読み出し部とを有し、前記2つの露光制御部として、前記第1読み出し部および前記第2読み出し部のうち前記第1読み出し部と同じ側に配置された第1露光制御部と、前記第1読み出し部および前記第2読み出し部のうち前記第2読み出し部と同じ側に配置された第2露光制御部とを有し、前記第2画素
(画素50B)は、前記2つの読み出し部として、第3読み出し部と第4読み出し部とを有し、前記2つの露光制御部として、前記第3読み出し部および前記第4読み出し部のうち前記第3読み出し部と同じ側に配置された第3露光制御部と、前記第3読み出し部および前記第4読み出し部のうち前記第4読み出し部と同じ側に配置された第4露光制御部とを有する。
【0077】
ここで、読出し部12A1および12A2のゲート電極は、線対称に配置され、かつ、光電変換部1Aの受光領域の外周を構成する同一の辺上に配置されている。より具体的には、本実施の形態では、読出し部12A1および12A2のゲート電極は、半導体基板を平面視した場合、光電変換部1Aの受光領域の中心を通る中心線H
Aに対して互いに対称に配置され、かつ、当該受光領域の外周を構成する同一の辺上に配置されている。また、露光制御部6Aの2つのゲート電極は、線対称に配置され、かつ、光電変換部1Aの受光領域の外周を構成する同一の辺と直交する2辺に配置されている。露光制御部6Aの一方(第1露光制御部)のゲート電極は、読出し部12A1(第1読み出し部)および12A2(第2読み出し部)のうち読出し部12A1と同じ側に配置され、露光制御部6Aの他方(第2露光制御部)のゲート電極は、読出し部12A1および12A2のうち読出し部12A2と同じ側に配置されている。より具体的には、本実施の形態では、露光制御部6Aの2つのゲート電極は、上記平面視において、それぞれ、読出し部12A1および12A2と近接し、上記同一の辺と直交する2辺に配置され、かつ、中心線H
Aに対して互いに対称に配置されている。
【0078】
また、読出し部12B1および12B2のゲート電極は、線対称に配置され、かつ、光電変換部1Bの受光領域の外周を構成する同一の辺上に配置されている。より具体的には、本実施の形態では、読出し部12B1および12B2のゲート電極は、上記平面視において、光電変換部1Bの受光領域の中心を通る中心線H
Bに対して互いに対称に配置され、かつ、当該受光領域の外周を構成する同一の辺上に配置されている。また、露光制御部7Bの2つのゲート電極は、線対称に配置され、かつ、光電変換部1Bの受光領域の外周を構成する同一の辺と直交する2辺に配置されている。露光制御部7Bの一方(第3露光制御部)のゲート電極は、読出し部12B1(第3読み出し部)および12B2(第4読み出し部)のうち読出し部12B1と同じ側に配置され、露光制御部7Bの他方(第4露光制御部)のゲート電極は、読出し部12B1および12B2のうち読出し部12B2と同じ側に配置されている。より具体的には、本実施の形態では、露光制御部7Bの2つのゲート電極は、上記平面視において、それぞれ、読出し部12B1および12B2と近接し、上記同一の辺と直交する2辺に配置され、かつ、中心線H
Bに対して互いに対称に配置されている。この理由について、以下説明する。
【0079】
読み出し部のゲート電極が互いに対称に設けられていない場合には、背景光等により漏れ込み信号が発生した場合に均等に配分されず、異なる比率で読み出されることになる。これは、距離演算において背景光減算後の値に誤差を生じるため、測距精度を低下させる。この現象を抑制するために、読み出し部のゲートは互いに対称に配置し、背景光等による漏れ込み信号量を均等としている。
【0080】
図7は、実施の形態1に係る光電変換部およびその周辺におけるポテンシャルの分布を表す図である。
図7は、
図6のA−B断面におけるポテンシャルの分布を示している。本実施の形態では、露光制御部のゲートがHigh状態(
図7ではODG=on)であるときには、光入射によって生成される信号電荷は、全てオーバーフロードレイン8に排出されることが望ましい。しかしながら、ごく一部の電荷は光電変換領域内に形成されるポテンシャル分布の影響を受けて読出し部のゲート側へと移動する。このとき、読出し部のゲートがHigh状態(
図7ではTG=on、ODG=on:対策なし)であれば、不要な電荷が電荷蓄積部へ漏れ込み、本来の信号電荷に重畳されてしまい、測距精度を損なうこととなる。
【0081】
また、背景光によって漏れ込み信号が発生した場合、漏れ込み成分が背景光信号に重畳されるために高輝度の背景光環境下では耐光性が低下することとなる。なお、2つの読出し部12A1および12A2を介して異なる電荷蓄積部2Aおよび4Aに蓄積される漏れ込み信号に大きな差があっても測距精度を損なうこととなる。また、2つの読出し部12B1および12B2を介して異なる電荷蓄積部3Bおよび5Bに蓄積される漏れ込み信号に大きな差がある場合も同様である。
【0082】
これらの現象を抑制するために、読出し部12A1および12A2のゲート電極は、光電変換部1Aの水平方向の中心線H
Aに対して対称に設けられており、また、露光制御部6Aの2つのゲート電極は、それぞれ、読出し部12A1および12A2のゲート電極と近接して設けられている。
【0083】
これにより、
図7に示すように、露光制御部および読出し部がともにHigh状態となった場合(
図7ではTG=on、ODG=on:対策あり)の光電変換部におけるポテンシャルの頂点を、読出し部側に偏在させることが可能となる。よって、読出し部側への電荷の漏れ込み成分を、同一画素内にある2つの読み出し部間で同等にしつつ、不要な電荷が電荷蓄積部へ漏れ込むことを抑制できる。
【0084】
また、同様の効果を得るために、露光制御部のゲート下ポテンシャル(駆動パルス信号ODG)を、読出し部のゲート下ポテンシャル(駆動パルス信号TG)よりも深く形成してもよい。
【0085】
図8は、実施の形態1の変形例に係る光電変換部およびその周辺におけるポテンシャルの分布を表す図である。これにより、駆動パルス信号TGおよびODGが、ともにHighレベルとなった場合の光電変換部におけるポテンシャルの頂点を、読出し部側に偏在させることができ、同様の効果を得ることができる。これを実現するための手段としては、露光制御部の不純物濃度を、読出し部の不純物濃度と異ならせる方法のほか、駆動パルス信号ODGにDCバイアスを重畳させる方法などが挙げられる。
【0086】
また本実施の形態では、光電変換部の水平方向にポテンシャルの勾配を形成している。
【0087】
図9は、実施の形態1に係る光電変換部およびその周辺における水平方向のポテンシャルの分布を表す図である。
図9は、
図6のC−D断面におけるポテンシャルの分布を示しており、実線が本実施の形態におけるポテンシャル分布を表し、点線が従来例におけるポテンシャル分布を表している。
図9の(a)に示すように、本実施の形態では、駆動パルス信号TGがLowレベルである場合、光電変換部のポテンシャルは、読出し部のゲート電極近傍に深い部分ができるよう勾配が形成されている。これにより、
図9の(b)に示すように、駆動パルス信号TGがHighレベルとなった場合、光電変換部から電荷蓄積部に至る滑らかなポテンシャル傾斜が得られ、光電変換部の電荷を短時間に完全転送することが可能となる。これにより、高速かつ完全に電荷を転送する必要がある測距用固体撮像装置において測距精度の向上を実現できる。
【0088】
次に、複数の画素の配置レイアウトについて説明する。
【0089】
図10Aは、市松配置された画素レイアウトを示す図であり、
図10Bはストライプ配置された画素レイアウトを示す図である。
図6で示した画素50A(第1画素)と画素50B(第2画素)とは、
図10Aおよび
図10Bに示すように、市松配置またはストライプ配置されてもよい。
【0090】
また、
図11Aは、市松配置された画素レイアウトにおける距離データの重心を示す図であり、
図11Bはストライプ配置された画素レイアウトにおける距離データの重心を示す図である。
図11Aおよび
図11Bでは、撮像領域内の距離データ算出の一例として、画素50Aおよび50Bで構成された画素ユニットから出力される距離演算用信号の演算範囲を点線で示し、また、それによって算出される距離データの重心を黒丸で示している。
【0091】
図10Bに示されたストライプ配置の場合、水平解像度のみ重視されるアプリケーションにおいて有用であるが、水平および垂直両方の解像度が必要な場合は、
図10Aに示された市松配置が望ましい。また、
図11Aに示すように、市松配置の場合には、距離演算後の距離データの重心位置が市松状になるため、市松配列の垂直および水平解像度は、画素ごとに距離データが存在する場合と同等となる。
【0092】
また、画素ごとに距離データを持つ場合であって本実施の形態と同様の距離範囲を確保するためには、従来では、1画素内の電荷蓄積部および読出し部の数は、それぞれ、4つ必要となる。更には4つの読み出し部を高速に駆動する必要があるため配線幅も広くなり、これを、同じ画素サイズで実現した場合には、開口率が低下する課題があり、開口率を維持し高感度を得るためには、画素サイズが大きくなり小型化が困難となる。また、読出し部を高速に駆動する必要があるため配線幅も広くドライバ回路の規模も大きくなる。更に、距離演算用の信号数が倍に増えフレームレートが低下する点を踏まえると、画素50Aおよび画素50Bに分けて、4つの距離演算用信号を取得する本実施の形態の構成は、極めて効率的な構成であると言える。
【0093】
なお、市松配置(
図10A)の場合におけるFD10の共有方法については、例えば、
図12に示すような共有配置としてもよい。
【0094】
図12は、市松配置の画素レイアウトにおけるFDの共有配置レイアウトを表す図である。同図に示すように、FD共有配置を距離演算範囲に合わせることにより、市松状の距離データに使用される距離演算用信号は、同一のFDアンプから出力される。このため、センス容量の画素間バラツキおよびアンプのゲインバラツキの影響を受けずに演算できる。よって、異なるFDアンプから出力された距離演算用信号によって距離を算出する場合に比べ、高い距離精度を得ることができる。
【0095】
図13は、実施の形態1に係る市松配置の場合を例とした露光制御部のゲート配線の構成図である。ここでは、図面の簡略化のために、画素50Aおよび50Bの構成を省略している。露光制御部のゲート配線には、駆動パルス信号ODG1およびODG2が印加されるため、当該ゲート配線上で遅延が生じた場合、演算後の距離が撮像面内で変化し精度が悪化する。また、駆動パルス信号ODG1およびODG2の立ち下がりおよび立ち上がりが遅いと、信号電荷の読み出しが困難になる。そのため、露光制御部のゲート配線は、撮像領域の短辺と平行となるよう配線されることが望ましく、更にゲート配線の両側から駆動パルス信号が給電されることが望ましい。
【0096】
また、本実施の形態において、露光時間を制御する露光制御部のゲートに印加される駆動パルス信号ODG1およびODG2に、DCバイアスを重畳させてもよい。この効果について、以下説明する。
【0097】
図14Aは、実施の形態1に係る駆動パルス信号ODGの撮像領域端部における遅延を表す図であり、
図14Bは、実施の形態1に係る駆動パルス信号ODGの撮像領域中央における遅延を表す図である。
【0098】
駆動パルス信号ODGのリセットレベルは、モバイル用途等では電源電圧が2.8Vであることから、低電圧であることが必要であるが、電源電圧近傍になる場合がある。このリセットレベルをVthとすると、
図14Aおよび
図14Bの左側(DCバイアス無)で示すように、Vthが高い場合、露光ON期間と露光OFF期間のDutyが異なり、かつ波形鈍りによって撮像領域端部と中央とでDutyがずれる。この状態では、2つの駆動パルス信号ODG1およびODG2で決定される2つの露光OFF期間において重なりが生じるため、同一の被写体距離であっても中央と端部とで演算後の算出値が異なる。また、補正するとしても、中央部の重なりを回避するために片方の露光パルスを遅延させた場合、端部では露光ON期間が離れてしまい、端部での距離演算が出来ない。
【0099】
これに対して、
図14Aおよび
図14Bの中央(DCバイアス有)で示すように、駆動パルス信号ODG1およびODG2にDCバイアスを与え、Vthがパルス幅の振幅中央に配置されるようにする。これにより、撮像領域端部および中央の双方において、Dutyを1:1とすることができ、面内の測距精度を向上することができる。
【0100】
なお、
図14Aおよび
図14Bの右側(Vth調整)で示すように、露光制御部の不純物濃度を読出し部の不純物濃度と異ならせることで露光制御部のポテンシャルを読出し部のポテンシャルよりも高く設定し、DCバイアスと同じ効果を得ることもできる。その際、Vthは駆動パルス信号ODG1およびODG2振幅の50%とすることが望ましい。
【0101】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る固体撮像装置およびその駆動方法によれば、測距範囲の拡大、測距精度の高精度化および安定化を実現する測距信号を取得することが可能となる。
【0102】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る固体撮像装置およびその駆動方法について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0103】
図15は、実施の形態2に係る固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
図16は、実施の形態2に係る固体撮像装置において画素列ごとに異なる露光制御が実行されることを説明する撮像領域の概略平面図である。
【0104】
実施の形態1に係る固体撮像装置100では、露光制御部の駆動パルス信号ODGが、画素50A(第1の画素グループ)と画素50B(第2の画素グループ)とで異なるのみであった。近赤外光を用いたTOF方式の測距撮像装置においては、対象物600の反射率の影響を大きく受ける。反射率の低い対象物600では反射光が微弱であるため、光源パワーを上げる、あるいは露光期間を長くすることが必要になるが、被写体に反射率の高い対象物600が同時に存在する場合には、反射率の高い対象物600の信号を蓄積する電荷蓄積部が飽和してしまい、距離演算用の信号を精度よく算出できない。
【0105】
これに対して、実施の形態2では、幅広い対象物600の反射率に対応するために、露光制御部のゲートに印加する駆動パルス信号ODGの回数を列毎に変化させ、それによって反射率の高い対象物600においても電荷蓄積部が飽和しないように露光制御を行っている。具体的には、
図15に示すように、2j列および2j+1列の駆動パルス信号ODG1(2j)とODG1(2j+1)との露光回数を異ならせており、また、駆動パルス信号ODG2(2j)とODG2(2j+1)との露光回数を異ならせている。
図16では、露光制御部が短辺方向(図では垂直方向)に配線されている場合を示しており、この場合は列毎に露光回数の大小を変えている。
【0106】
図17は、実施の形態2の変形例に係る固体撮像装置の駆動方法を示すタイミングチャートである。
図17のタイミングチャートでは、駆動パルス信号ODG1およびODG2の露光回数は、撮像領域内で同じであるが、読出し部の駆動パルス信号TG1〜TG4の読み出し回数を制御してもよい。なお、実施の形態2では、読出し部のゲート配線を横方向としているため、行毎に実際に電荷蓄積部に読み出される信号量を調整することが可能である。
【0107】
なお、
図15および
図17に示すように、露光回数が少ない画素行または画素列は、露光期間全体にわたって均等に露光期間の間引きを行った方が、例えば露光開始前半に偏って露光を行う場合に比べて、同時性を維持できるため望ましい。
【0108】
以上、実施の形態2に係る固体撮像装置によれば、反射率の大きく異なる対象物600が混在する環境においても、距離画像を高精度に得ることが可能となる。
【0109】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る固体撮像装置およびその駆動方法について、実施の形態1および2との相違点を中心に説明する。
【0110】
図18は、実施の形態3に係る固体撮像装置の画素のレイアウト構成を示す概略平面図である。本実施の形態に係る固体撮像装置は、実施の形態1に係る固体撮像装置100と比較して、撮像領域に遮光膜20Aおよび20Bが形成されている点のみが異なる。本実施の形態に係る固体撮像装置は、遮光膜20Aが電荷蓄積部2Aおよび4A、ならびに転送制御部9Aを覆うように設けられ、遮光膜20Bが電荷蓄積部3Bおよび5B、ならびに転送制御部9Bを覆うように設けられている。
【0111】
通常のCMOSプロセスのようにメタルの配線層のみでは、上部配線で遮光しても、斜入射光が電荷蓄積部に入り、光電変換されてしまい、耐光性が劣化する、あるいは背景光成分の増大をまねき、精度が落ちる。
【0112】
これに対応すべく、本実施の形態に係る固体撮像装置では、電荷蓄積部および転送制御部のゲート電極を覆う形で遮光膜20Aおよび20Bが配置されている。一方、露光制御部のゲート電極上には遮光膜を選択的に配置していない。これにより、高速駆動が要求される露光制御部の寄生容量が増加するのを抑制できる。
【0113】
以上、実施の形態3に係る固体撮像装置によれば、電荷蓄積部および転送制御部の遮光性が改善するため、耐光性を向上でき、また背景光成分を抑制することで距離精度を向上できる。
【0114】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る固体撮像装置およびその駆動方法について、実施の形態1〜3との相違点を中心に説明する。
【0115】
図19は、実施の形態4に係る固体撮像装置の画素のレイアウト構成を示す概略平面図であり、
図20は、実施の形態4に係る固体撮像装置の露光時の動作を示す駆動タイミングチャートである。
【0116】
本実施の形態に係る固体撮像装置には、カラーフィルタが設けられ、
図19に示すように、RGB−IR配列を有し、カラー撮像とIR画素を用いた測距との両方を可能としている。本実施の形態に係る固体撮像装置は、実施の形態1に係る固体撮像装置100と異なり、IR受光用の画素50ir(第3画素)の光電変換部1IRの両側の読出し部12IR1〜12IR4を使用し、4つの距離演算用信号を取得する。
図20に示すように、1照射光(PT)期間に、駆動パルス信号TG1〜TG4を順次Highレベルとすることにより、4つの距離演算用信号を取得することが可能であるという利点を有する。また、発光パルス数を削減できるため、消費電力を低減できるという利点をも有する。しかしながら、読出し部12IR1〜12IR4で露光を制御するため、高速な駆動パルス信号TG1〜TG4が4回必要となる。このため、配線幅を広くしなければならないと共に、固体撮像装置内に構成されるドライバの規模も大きくなる。
【0117】
なお、
図20においてODGがHighからLowになるタイミングで撮像面内にてODGの遅延が大きくなる箇所がある場合、駆動パルス信号TG1により読み出される信号の露光期間が短くなる懸念があるため、ODGがHighからLowになるタイミングをPTの発光開始タイミングより前にしても良い。これにより、TG1からTG4で読み出される信号の露光期間を一致させることが出来るが、遅延が殆どない撮像面内端部ではTG1で読み出される信号のみ背景光成分が大きくなる弊害もあり、本実施例では遅延を抑制した設計が必須となる。
【0118】
図21は、実施の形態4の変形例1に係る固体撮像装置の露光時の動作を示す駆動タイミングチャートである。本変形例に係る固体撮像装置の駆動方法は、1照射光(PT)期間に、駆動パルス信号TG1およびTG3、または、駆動パルス信号TG2およびTG4をHighレベルとすることにより、2つの距離演算用信号を取得する駆動方法である。読出し部12IR1〜12IR4は露光を制御せず、露光制御部7IRの駆動パルス信号ODGで制御された信号を読み出すのみである。なお、駆動パルス信号ODGは1つでよいが、露光シーケンスは2つに分かれている。つまり、第1の露光シーケンスでは、駆動パルス信号TG1およびTG3により距離演算用信号を読み出し、第2の露光シーケンスでは、駆動パルス信号ODGの露光タイミングを照射光(PT)のパルス幅分遅延させ、電荷蓄積状態に応じて駆動パルス信号TG2およびTG4により距離演算用信号を読み出す。照射パルスと同一のパルス幅の駆動パルス信号はODGのみであり、
図19、20に示す実施の形態に比べ、TG1〜TG4のパルス幅が倍であり、かつTGパルスが露光を制御しているわけではないため、許容される遅延量が大きい。従ってTG1〜TG4の配線幅を細くでき、またドライバの規模も小さくできる利点がある。全画素読み出し時には、読出し部12IR1、12IR3、12R1、12R2、12G1、12G2、12B1、および12B2を用いて信号を読み出す。本構造では全画素読出しにおいて露光期間が異なる2つの信号を取得するために2つの読出し部を用いた構造としているが、1つの信号しか取得しない場合には、RGB画素は読出し部12R1、12G1、12B1のみの構成でもよい。
【0119】
図22Aは、実施の形態4の変形例2に係る固体撮像装置の画素のレイアウト構成を示す概略平面図であり、
図22Bは、実施の形態4の変形例2に係る固体撮像装置の露光時の動作を示す駆動タイミングチャートである。
図22Aに示すような実施の形態1に係る測距撮像装置の画素のレイアウト構成と同様の構成にて、
図22Bに示すように、第1の露光シーケンスにA0およびA2を取得し、1フレーム読み出した後に、第2の露光シーケンスにてA1およびA3を取得してもよい。この場合、読出し部が少なくて済む利点があるが、第1および第2の露光シーケンスの間に1フレーム読み出し期間を挟むため、高速で移動する対象物600では誤差が生じる場合がある。
【0120】
図23は、実施の形態4に係る光電変換部およびその周辺における水平方向のポテンシャルの分布を表す図である。ただし、実施の形態4の変形例2は除く。
図23は、
図19のE−F断面におけるポテンシャルの分布を示しており、実線が本実施の形態におけるポテンシャル分布を表し、点線が従来例におけるポテンシャル分布を表している。実施の形態1の
図9において説明したものとは異なり、読出し部のゲート電極が光電変換部の両側に配置されるため、双方向への電荷転送が可能となるよう、両側のゲート電極近辺のポテンシャルは平坦となっている。これにより、
図23の(b)に示すように駆動パルス信号TG1がHighレベルとなった場合、および、
図23の(c)に示すように駆動パルス信号TG2がHighレベルとなった場合、光電変換部から電荷蓄積部に至る滑らかなポテンシャル傾斜が得られ、光電変換部の電荷を短時間に完全転送することが可能となる。これにより、高速かつ完全に電荷を転送する必要がある測距用固体撮像装置において測距精度の向上を実現できる。
【0121】
なお、本実施の形態では、FD10Aおよび10Bを、それぞれ、2つの画素50r(第5画素)および50ir(第3画素)、ならびに、2つの画素50g(第6画素)および50b(第4画素)で共有しているが、これら4つの画素で1つのFDを共有してもよい。この場合、異なる駆動パルス信号が印加される電荷蓄積部の数が2つ増えるが、センス容量のバラツキがないため、測距精度を向上できる。
【0122】
図24は、実施の形態4に係る固体撮像装置の画素レイアウトの変形例を示す図である。同図に示すような4×4のRGB−IR配列に対して、本実施の形態に係る画素回路の配置構成を適用することも可能である。このような4×4のRGB−IR配列とした場合には、IR画素が市松状に配置されるため、
図19に示すような2×2の配列と比較して水平、垂直方向ともに解像度が2倍になるという利点を有する。
【0123】
以上、実施の形態4に係る固体撮像装置によれば、RGB−IR配列においても、4つの電荷蓄積部を用いたTOF動作が可能であるため、測距範囲と測距精度とを両立し、かつRGB−IR画像も取得することが可能となる。
【0124】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る固体撮像装置およびその駆動方法について、実施の形態1〜4との相違点を中心に説明する。
【0125】
図25は、実施の形態5に係る固体撮像装置の露光時の動作を示す駆動タイミングチャートである。実施の形態1の
図3に示す駆動方法とは異なり、本実施の形態では、
図25に示すように、1回目の露光シーケンス後、一度信号電荷を1フレーム読み出し、その後2回目の露光シーケンスを行った後、1フレーム読み出し、最後に2フレーム分の信号を同一信号どうしで加算する。なお、本実施の形態に係る固体撮像装置の画素のレイアウト構成は、実施の形態1で示された
図6の構成を想定している。
【0126】
さらに、2回目の露光シーケンスにおいては、1回目の露光シーケンスで読出し部12IR1のゲート電極に駆動パルス信号TG1が印加されていたタイミングで、読出し部12IR3のゲート電極に駆動パルス信号TG3を印加し、1回目の露光シーケンスで駆動パルス信号TG3が印加されていたタイミングで、駆動パルス信号TG1を印加する。また、2回目の露光シーケンスにおいては、1回目の露光シーケンスで読出し部12IR2のゲート電極に駆動パルス信号TG2が印加されていたタイミングで、読出し部12IR4のゲート電極に駆動パルス信号TG4を印加し、1回目の露光シーケンスで駆動パルス信号TG4が印加されていたタイミングで、駆動パルス信号TG2を印加する。
【0127】
本実施形態では、電荷蓄積部として、埋め込みチャネル容量結合素子を用いている。しかしながら、温度が高くなると露光期間中に暗電流が発生し、それらが各電荷蓄積部で異なる場合がある。特に暗電流が大きい電荷蓄積部があると、演算結果に影響が出るため、暗電流成分は演算で互いに減算し合うものどうしでは、同じにする必要がある。本駆動方法では、2回目の露光シーケンスで読み出し用の駆動パルス信号TGの印加タイミングを入れ換えることにより、この課題を解決できる。
【0128】
まず、
図25に示すように、第1の電荷蓄積部の暗電流をSD(A)、第3の電荷蓄積部の暗電流をSD(B)、第2の電荷蓄積部の暗電流をSD(C)、および第4の電荷蓄積部の暗電流をSD(D)とする。このとき、1回目の露光が完了した後に各電荷蓄積部に蓄積され読み出される信号は、それぞれ、A0+SD(A)、A2+SD(B)、A1+SD(C)、およびA3+SD(D)となる。次に、2回目の露光が完了した後に各電荷蓄積部に蓄積され読み出される信号は、それぞれ、A2+SD(A)、A0+SD(B)、A3+SD(C)、A1+SD(D)となる。これらを同じ距離算出用信号どうしで加算すると、以下のようになる。
(1)第1および第3の電荷蓄積部:2A0+SD(A)+SD(B)
(2)第3および第1の電荷蓄積部:2A2+SD(B)+SD(A)
(3)第2および第4の電荷蓄積部:2A1+SD(C)+SD(D)
(4)第4および第2の電荷蓄積部:2A3+SD(D)+SD(C)
【0129】
A0およびA2は、どちらかが距離情報を持った信号であるが、一方は背景光情報の信号(BG)であり、同様のことはA1とA3についても言える。この4信号を用いた距離の演算方法は、実施の形態1に示したとおりである。本実施の形態では、駆動パルス信号TGの印加タイミングを異なるフレームで変更し、加算することで、互いに距離情報をもった信号と、それに対応するBG信号との暗電流が一致するため、画素内の電荷蓄積部の暗電流が異なっても、それをキャンセルすることが可能である。また先行特許文献では2つのフレームを使う場合に、背景光の変化が課題になる場合があるが、本実施例では同一画素における異なる時間の背景光情報の信号、あるいは背景光情報と距離情報を含む信号を2フレームで加算しているため、背景光がフレーム間で異なったとしても加算された背景光情報の結果は、前者と後者で同じになり、減算にてキャンセルできる。
【0130】
なお、同じ効果を得る方法として、駆動パルス信号TG1〜TG4をローレベルに固定した状態で露光期間を変えないまま発光を停止し、TG1〜TG4および発光パルス以外の駆動パルスは
図3および
図4に示すシーケンスと同一とすることで電荷蓄積部の暗電流成分のみを読み出して距離信号との減算を行い、暗電流成分のキャンセルをすることも可能である。この方法は、光源が発光しないため消費電力を低減することができ、かつ、高速で移動する対象物においても測距精度を維持できるという利点を有する。また、2つのフレームを用いるが、先行特許文献で課題になっている背景光成分を減算することはないため、フレーム間で背景が変化しても問題はない。
【0131】
なお、実施の形態4で示したRGB−IR配列でのTOF動作においても、
図19に示されたように、読出し部12IR1と12IR3とが光電変換部1IRの同一辺に並んで配置され、読出し部12IR2と12IR4とが並んで配置された構成であれば、本実施の形態と同様に2フレームの加算により暗電流出力のキャンセルが可能である。
【0132】
以上、実施の形態に係る固体撮像装置およびその駆動方法によれば、高温時に電荷蓄積部で発生する暗電流出力に差が生じたとしても、その影響を抑制することができ、高温でも測距精度を向上することができる。
【0133】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の固体撮像装置およびその駆動方法について、上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示の固体撮像装置およびその駆動方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本開示の固体撮像装置を内蔵した測距撮像装置などの各種機器も本発明に含まれる。
【0134】
なお、本開示の固体撮像装置では、異なる画素を使用して測距信号を取得する。そのため、(1)オンチップレンズや開口寸法などの製造ばらつきに起因する感度電子数の画素間差、(2)センス容量差などに起因するアンプゲイン差、が測距誤差となる。これに対して、
図11Aおよび
図12の市松配置に示されるように、FD共有位置を距離演算範囲内に設ければ、上記(2)は解消できるが、上記(1)は残る。動画であればショットノイズによる測距ばらつきで目立たないが、複数のフレームを用いて平均化することによりショットノイズを抑制する手法を用いた場合は課題となる可能性がある。
【0135】
この解決手段として、事前に複数フレームを取得し、ショットノイズの影響をなくして感度を平均化し、距離演算範囲内における画素の感度比αを算出し、演算装置側に持たせておく(キャリブレーションを実施)。理想的に、A2>A0、A3>A1であれば、距離LはL∝(A3−A1)/(A2+A3−A0−A1)であるが、A1およびA3画素とA0およびA2画素との感度比が1:αの場合、L∝(A3−A1)/(αA2+A3−αA0−A1)となり、誤差が発生する。そのため、例えば、αを演算処理側に持たせておき、Lの算出前に、1/αをA0およびA2信号に乗じて補正すればよい。
【0136】
なお、当然のことながら、上記(1)および(2)ともに、プロセスおよび設計技術に依存するため問題にならない場合もある。