特許第6738350号(P6738350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6738350尿酸輸送体阻害剤のナトリウム塩およびその結晶形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738350
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】尿酸輸送体阻害剤のナトリウム塩およびその結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/36 20060101AFI20200730BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20200730BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20200730BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   C07D215/36CSP
   A61K31/47
   A61P19/06
   A61P43/00 111
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-555478(P2017-555478)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公表番号】特表2018-515454(P2018-515454A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】CN2016083423
(87)【国際公開番号】WO2016188444
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】201510280720.2
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100153394
【弁理士】
【氏名又は名称】謝 卓峰
(74)【代理人】
【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100145056
【弁理士】
【氏名又は名称】當別當 健司
(72)【発明者】
【氏名】ウ、グアイリ
(72)【発明者】
【氏名】チユ、ジェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】スー、ユンポン
(72)【発明者】
【氏名】ルウ、シー
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/183555(WO,A1)
【文献】 芦澤一英,塩・結晶形の最適化と結晶化技術,Pharm Tech Japan,日本,2002年,Vol.18, No.10,pp.81-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウム、
【化1】
【請求項2】
結晶が、Cu-Ka線を用いて得られ、2θ角と面間隔で表されて、約9.08 (9.73), 11.73 (7.54), 12.19 (7.26), 15.59 (5.68), 16.28 (5.44), 17.73 (5.00), 18.16 (4.88), 18.80 (4.72), 19.48 (4.55), 20.80 (4.27), 23.16 (3.84), 27.54 (3.24)および30.37 (2.94) に特徴的なピークがあるX線粉末回折スペクトルを有することを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムの結晶形I。
【請求項3】
結晶が、図1のX線粉末回折スペクトルを有することを特徴とする、請求項2に記載の結晶形I
【請求項4】
1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸を水酸化ナトリウムと反応させるステップを含む、請求項1に記載の式(I)の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムの製造方法。
【請求項5】
以下のステップ:
1)何らかの結晶形またはアモルファス形の固体の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムを適量の溶媒に加熱下に溶解し、次いで溶液を冷却して結晶を沈殿させ、該溶媒が水と3以下の炭素原子を有するアルコール類およびケトン類のいずれかとの混合溶媒であり;
2)結晶をろ過し、次いでそれを洗浄して、乾燥する
を含む、請求項2または3に記載の結晶形Iの製造方法。
【請求項6】
ステップ1)における溶媒が、水/イソプロパノール、水/アセトン、アセトン/水/アセトン、またはアセトン/水/イソプロパノールであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムまたは請求項2または3に記載の結晶形I、および薬学的に許容される担体を含有する、医薬組成物。
【請求項8】
尿酸輸送体1(URAT1)に関連する疾患の治療薬の製造における請求項1に記載の式(I)の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウム、請求項2または3に記載の結晶形Iまたは請求項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
疾患が痛風である、請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウム、その結晶形I、製造方法および用途に関する。本発明の方法によって製造された式(I)の化合物は、痛風疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、痛風の有病率は年々増加していて、発症年齢は生活水準の改善により若年化の傾向を示している。男性と閉経期の女性は痛風になり易く、発生率のピークは40−50歳である。痛風の臨床的特徴は、高尿酸血症、痛風性急性関節炎の再発、痛風結節の沈着、特有の慢性関節炎および関節変形であり、腎臓は、一般に間質性腎炎および尿酸腎結石症の原因に関与している。痛風の必要条件は高尿酸血症であり、即ち、37℃での血清中の尿酸の飽和濃度が約420 umol/L (70 mg/L) であり、その尿酸濃度が前述の値より高いとき、人は高尿酸血症になる。しかしながら、高尿酸血症患者の一部のみが痛風になり、そのメカニズムは不明である。尿酸結晶の沈着、関節炎および/または腎臓疾患、腎臓結石等を有する高尿酸血症患者のみが痛風を患うと考えられている。それ故、高尿酸血症は痛風の重要な生化学的基礎指標であり、痛風の発症と密接に関係している。高尿酸血症は高血圧症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、肥満およびインスリン抵抗性の発症と密接に関係しており、ヒトの健康を脅かす重篤な代謝疾患になる。
【0003】
尿酸はヒトにおけるプリン代謝の最終生成物である。ウリカーゼは人間の進化中のウリカーゼの遺伝子変異のために存在せず、尿酸は、従って体内から除去するために可溶性のアラントインに代謝することができない。従って、高尿酸血症患者には過剰の血清濃度の尿酸がある。高尿酸血症の発症は、(1)例えば、プリンの豊富な食事を過剰に摂る、または生体内でより多くの尿酸がアミノ酸とヌクレオチドから合成される、および過剰の尿酸が核酸の異化反応から産生されるなど、痛風発症の15%〜20%を占める尿酸産生の増加;(2)約80%~85%を占める、尿酸排出の減少および尿酸再吸収の増加が高尿酸血症および痛風の主原因になる:ことによる。尿酸再吸収の約95%は、腎近位尿細管の上皮細胞にある尿酸輸送体1(URAT1)によって行われる。URAT1は、腎臓にある完全な膜タンパク質であり、溶質輸送体22(SLC22)ファミリーに属している。それは尿酸-アニオン交換を行って、血中の尿酸レベルの調整を担っている。それ故、URAT1阻害剤は、そのような再吸収を阻害することにより尿酸の排出を高める。
【0004】
中国の医薬品市場に抗痛風薬は殆んどなく、新規でより良い抗痛風薬も開発されていない。アロプリノールとベンズブロマロンが依然として主薬である。2009年にFDAにより承認されたフェブキソスタットは、キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害剤に属する。それは尿酸の産生を減らすことによって痛風を治療する。Ardea Biosciences Inc.によって開発されたRDEA-594(レシヌラド)は、尿酸輸送体1(URAT1)を阻害することにより尿酸の排出を高め、それにより血清中の尿酸濃度を減少させる目的を達成する。その効力は腎機能やアロプリノールの投与量によって影響されない。それは臨床投与量内で有機アニオン輸送体1/3(OAT1/OAT3)の輸送効果に影響しない。さらに、それは他の尿酸排泄促進薬に比べて標的により特異的であり、他の薬物との相互作用も少ない。
【化1】
【0005】
しかしながら、RDEA-594はHIV感染の治療薬の臨床試験で見いだされ、その尿酸輸送体URAT1に対する活性は高くなく、IC50は約7 uMである。しかも、臨床使用における投与量は比較的高い。従って、まだ標的の尿酸輸送体URAT1に対する多くの開発の余地がある。
【0006】
特許文献1は、尿酸輸送体URAT1に対してより高い阻害活性を持つ一連の化合物を開示している。これらの化合物は尿酸の再吸収を効果的に阻害し、体から尿酸を排泄することができ、それにより血中尿酸含量を持続的に減少させて痛風治療の目的を達成する。下記に示す化合物が含まれる。
【化2】
【0007】
この化合物の水中での溶解性を更に改善するために、出願人はそのナトリウム塩(式I)を開発した。水への溶解性は、殆んど不溶から0.14 mg/mLに増加した。一方、薬剤的に活性な成分の結晶構造は、しばしば薬物の化学的安定性に影響を与える。異なる結晶化条件や貯蔵条件は化合物の結晶構造の変化をもたらし、時々結晶形の他の形態の生成を伴う。一般に、アモルファスの薬物生成物は、規則正しい結晶構造を持たず、しばしば貧弱な製品安定性、より小さな粒子径、ろ過困難性、易凝集性、および乏しい流動性などの他の欠陥を有している。それ故、上記生成物の種々の特性を改善する必要がある。その新規な開発形態の発見に基づいて、高い純度と良い化学的安定性を持った新しい結晶形を探索する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2014183555
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、式(I)の化合物、即ち、1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムを提供することである。それは、医薬活性成分として用いられる、特許文献1に開示された化合物の望ましい特性を一定程度に改善している。
【化3】
【課題を解決するための手段】
【0010】
式(I)の化合物は、1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸を水酸化ナトリウムと反応させることによって得ることができる。
出願人は、種々の結晶化条件下で得られた式(I)の化合物の一連の結晶生成物を調べ、得られた結晶生成物についてX線回折および示差走査熱量(DSC)測定を行った。安定な結晶形は、結晶形Iと呼ぶが、特定の結晶化条件下で得られることが判った。本願の結晶形IのDSCスペクトルは300 °C以内では吸収を示さず、その融点が300 °C以上であることを示唆している。Cu-Ka線を用いて得られ、2θ角と面間隔(d値)で表したX線粉末回折スペクトルを図1に示すが、9.08 (9.73), 11.73 (7.54), 12.19 (7.26), 15.59 (5.68), 16.28 (5.44), 17.73 (5.00), 18.16 (4.88), 18.80 (4.72), 19.48 (4.55), 20.80 (4.27), 23.16 (3.84), 27.54 (3.24)および30.37 (2.94) に特徴的なピークがある。
【0011】
本発明は、また式(I)の化合物の結晶形Iの製造方法も提供する。具体的には、該方法は、以下のステップ:
(1)何らかの結晶形またはアモルファス形の固体の1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムを適量の溶媒に加熱下に溶解し、次いで溶液を冷却して結晶を沈殿させる;
(2)結晶をろ過し、次いでそれを洗浄して、乾燥する
を含む。
【0012】
ステップ(1)において、溶媒は水と3以下の炭素原子を有するアルコール類およびケトン類のいずれかの混合溶媒;より好ましくは水/イソプロパノール、水/アセトン、アセトン/水/アセトン、アセトン/水/イソプロパノールである。
【0013】
本発明の実施態様において、好ましい混合溶媒はアセトン/水/アセトンの混合溶媒であり、比率は特に限定されない。本発明の好ましい実施態様において、3つの容積比は1:1:5である。混合溶媒がアセトン/水/アセトンであるとき、それは1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸ナトリウムをアセトン/水の混合溶媒に溶液が透明になるまで溶解し、次いで別の更なるアセトンを加えて結晶を沈殿させることを意味する。アセトン/水/イソプロパノールも同様のことを意味する。
【0014】
結晶化方法は、特に限定されず、慣用の結晶化方法により行うことができる。例えば、物質、即ち、式(I)の化合物を加熱下に有機溶媒に溶解し、次いで溶媒をゆっくりと冷却して撹拌下に結晶を沈殿させる。結晶化の完了後、望みの結晶をろ過および乾燥を経て得ることができる。特に、ろ過により得られた結晶は、通常、約30~100°C、好ましくは40~60°Cの加熱温度で減圧下に真空乾燥して結晶化溶媒を除去する。
【0015】
得られた結晶形は、示差走査熱量(DSC)およびX線回折スペクトルにより決定する。一方、得られた結晶中の残留溶媒も測定する。
【0016】
本発明の方法により調製した式(I)の化合物の結晶形は、残留溶媒を含まないか、または比較的低含量の残留溶媒のみを含み、薬物製品の残留溶媒の限度に関する中国薬局方の要件を満たしている。それ故、本発明の結晶は、医薬活性成分としての使用に適している。
【0017】
研究結果は、本発明により調製した式(I)の化合物の結晶形Iは、照明、高温および高湿度の条件下で安定であり、結晶形Iは、また粉砕、圧力および加熱の条件下でも安定であり、薬物製品の製造、輸送および貯蔵要件にも適合することを示している。その製造工程は、安定で、再現性があり、制御可能であって、工業生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】式(I)の化合物の結晶形IのX線粉末回折スペクトルを示す図である。
図2】式(I)の化合物の結晶形IのDSCスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。本発明の実施例は、単に発明の技術的解決を記載することのみを意図するものであって、本発明の範囲を限定すると考えてはならない。
【0020】
実験で使用した試験装置
1.DSCスペクトル
装置タイプ:Mettler Toledo DSC 1 Staree System
パージガス:窒素
加熱速度:10.0℃/分
温度範囲:40-300℃
2.X線回折スペクトル
装置タイプ:Bruker D8 Focus X線粉末回折計
光線:単色Cu-Kα線 (λ=1.5406)
スキャンモード:θ/2θ、スキャン範囲:2-40°
電圧:40KV、電流:40mA
【実施例1】
【0021】
1-((6-ブロモキノリン-4-イル)チオ)シクロブタン-1-カルボン酸(特許文献1に開示の方法に従って調製)(1.0 g, 2.96 mmol)を50 mLの三ツ口反応フラスコに25°Cで加え、次いで無水エタノール4.0 gを添加した。水酸化ナトリウム(118 mg, 2.96 mmol)の水溶液0.5mlを撹拌下に滴下し、次いで反応溶液を撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ過ケーキを無水エタノールで洗浄して、40°Cで真空乾燥した。850 mgの白色~淡黄色の粉末が84.0%の収率で得られた。結晶サンプルのX線粉末回折スペクトルを図1に示すが、約9.08 (9.73), 11.73 (7.54), 12.19 (7.26), 15.59 (5.68), 16.28 (5.44), 17.73 (5.00), 18.16 (4.88), 18.80 (4.72), 19.48 (4.55), 20.80 (4.27), 23.16 (3.84), 27.54 (3.24)および30.37 (2.94) に特徴的なピークがある。DSCスペクトルを図2に示すが、300 °C以内には吸収を示さず、その融点が300 °C以上であることを示している。結晶形は、結晶形Iであることが明らかになった。
【実施例2】
【0022】
式(I)の化合物(実施例1に従って調製)(1.0 g, 2.78 mmol)を250mLの一口フラスコに入れ、次いで水30 mLを加えた。混合液は、溶液が透明になるまで加熱してリフラックスし、次いで減圧下に約3 mLに濃縮した。150mLのイソプロパノールをゆっくりと加え、撹拌下に結晶を沈殿させた。翌日、混合液をろ過して乾燥し、689 mgの白色固体を収率68.9%で得た。結晶サンプルは、X線回折およびDSCスペクトルを検討、比較して、結晶形Iと同定された。
【実施例3】
【0023】
式(I)の化合物(実施例1に従って調製)(1.0 g, 2.78 mmol)を150mLの一口フラスコに入れ、次いで水30 mLを加えた。混合液は、溶液が透明になるまで加熱してリフラックスし、次いで減圧下に濃縮乾固した。30mLのイソプロパノールを直接加えて、撹拌下に結晶を沈殿させた。翌日、混合液をろ過して乾燥し、812 mgの白色固体を収率81.2%で得た。結晶サンプルは、X線回折およびDSCスペクトルを検討、比較して、結晶形Iと同定された。
【実施例4】
【0024】
式(I)の化合物(実施例1に従って調製)(1.0 g, 2.78 mmol)を150mLの一口フラスコに入れ、次いで水30 mLを加えた。混合液は、溶液が透明になるまで加熱してリフラックスし、次いで減圧下に約3 mLに濃縮した。30mLのアセトンをゆっくりと加え、撹拌下に結晶を沈殿させた。翌日、混合液をろ過して乾燥し、918 mgの白色固体を収率91.8%で得た。結晶サンプルは、X線回折およびDSCスペクトルを検討、比較して、結晶形Iと同定された。
【実施例5】
【0025】
式(I)の化合物(実施例1に従って調製)(1.0 g, 2.78 mmol)を150mLの一口フラスコに入れ、次いで24 mLのアセトン/水(v/v=1:1)を加えた。混合液は、溶液が透明になるまで加熱してリフラックスし、次いで60mLのアセトンをゆっくりと加えた。混合液は、10分間継続してリフラックスし、加熱を止めた。次いで、混合液を撹拌して、結晶を沈殿させた。翌日、混合液をろ過して乾燥し、688 mgの白色固体を収率68.8%で得た。結晶サンプルは、X線回折およびDSCスペクトルを検討、比較して、結晶形Iと同定された。
【実施例6】
【0026】
式(I)の化合物(実施例1に従って調製)(1.0 g, 2.78 mmol)を150mLの一口フラスコに入れ、次いで24 mLのアセトン/水(v/v=1:1)を加えた。混合液は、溶液が透明になるまで加熱してリフラックスし、次いで60mLのイソプロパノールをゆっくりと加えた。混合液は、10分間継続してリフラックスし、加熱を止めた。次いで、混合液を撹拌して、結晶を沈殿させた。翌日、混合液をろ過して乾燥し、752 mgの白色固体を収率75.2%で得た。結晶サンプルは、X線回折およびDSCスペクトルを検討、比較して、結晶形Iと同定された。
【実施例7】
【0027】
式(I)の化合物(実施例1に従って調製)(1.0 g, 2.78 mmol)を500mLの一口フラスコに入れ、次いで水30 mLを加えた。混合液は、溶液が透明になるまで加熱してリフラックスし、次いで300mLのアセトンをゆっくりと加え、撹拌下に結晶を沈殿させた。翌日、混合液をろ過して乾燥し、728 mgの白色固体を収率72.8%で得た。結晶サンプルは、X線回折およびDSCスペクトルを検討、比較して、結晶形Iと同定された。
【実施例8】
【0028】
実施例1で調製した結晶形Iのサンプルを空気中で平らに広げて、照明(4500 Lux)、加熱(40 °C、60 °C)および高湿度(RH 75%、RH 90%)の条件下で、その安定性を試験した。サンプリングは、5日目と10日目に行った。HPLCで検出した純度を表1に示す。
安定性試験の結果は、結晶形Iのサンプルは、照明、高温および高湿度の条件下で空気中に平らに広げたとき、良い安定性を有することを示した。
【実施例9】
【0029】
実施例1の方法に従って調製した式(I)の化合物の結晶形Iを、粉砕し、加熱し、そして圧縮した。結果は、結晶形が安定であることを示した。詳細な試験データは、下記の表2に示す。
【実施例10】
【0030】
本発明の実施例1の化合物の薬物動態試験において、Sprague-Dawley (SD)ラットを試験動物として用いた。実施例1の化合物をラットに胃内および静脈内に投与し、次いで異なる時点で血漿中の薬物濃度をLC/MS/MS法により測定して薬物動態挙動を試験し、ラットにおける本発明化合物の薬物動態特性を評価した。本発明化合物の薬物動態パラメータを表3に示す。結果は:本発明化合物はよく吸収され、著しい経口吸収効果を有することを示している。AUC0-tの平均値により、ラットにおける3 mg/kgの単独胃内投与後の化合物の絶対バイオアベイラビリティは74.1%と計算された。
【実施例11】
【0031】
本発明の実施例1の化合物の薬物動態試験において、ビーグル犬を試験動物として用いた。実施例1の化合物をイヌに胃内および静脈内に投与し、次いで異なる時点で血漿中の薬物濃度をLC/MS/MS法により測定して薬物動態挙動を試験し、イヌにおける本発明化合物の薬物動態特性を評価した。本発明化合物の薬物動態パラメータを表4に示す。結果は:本発明化合物はよく吸収され、著しい経口吸収効果を有することを示している。AUC0-tの平均値により、イヌにおける3 mg/kgの単独胃内投与後の化合物の絶対バイオアベイラビリティは59.5%と計算された。







図1
図2