(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738365
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】敷物及びその構成体
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
E04F15/02 102F
E04F15/02 102A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-52060(P2018-52060)
(22)【出願日】2018年3月20日
(65)【公開番号】特開2019-163635(P2019-163635A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】507358642
【氏名又は名称】株式会社ルービックJP
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】日野 淳一
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第029784(JP,Z1)
【文献】
特開2007−217868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の敷物構成体を水平方向に密接させた状態で並べて配置することで形成される敷物において、
敷物構成体は、外装体の内部に水平方向を被覆する外周壁体を設けるとともに、外周壁体の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体を水平方向に並べて収容し、
外周壁体を鉛直方向及び水平方向に伸縮可能としたことを特徴とする敷物。
【請求項2】
水平方向に密着させた状態で並べて配置されることで敷物を形成する敷物構成体において、
外装体の内部に水平方向を被覆する外周壁体を設けるとともに、外周壁体の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体を水平方向に並べて収容し、外周壁体を鉛直方向及び水平方向に伸縮可能としたことを特徴とする敷物構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の敷物構成体を水平方向に密接させた状態で並べて配置することで形成される敷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、畳に代表される敷物は、床上に複数の畳を水平方向に密着させた状態で並べて配置して使用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この畳は、畳床を畳表で被覆した構成となっており、藁を板状に束ねた畳床によってクッション性を持たせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−201122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の敷物(畳)にあっては、藁を束ねた畳床を用いているためにクッション性が低く、クッション性を増大させるためには畳床の厚みを増大する必要があり、それに伴って重量が重くなってしまうものであった。
【0006】
また、上記従来の敷物(畳)にあっては、藁を束ねた畳床でクッション性を持たせているために、長年の使用により畳床が経時劣化してしまい、耐久性にも問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、複数の敷物構成体を水平方向に密接させた状態で並べて配置することで形成される敷物において、敷物構成体は、外装体の内部に水平方向を被覆する外周壁体を設けるとともに、外周壁体の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体を水平方向に並べて収容
し、外周壁体を鉛直方向及び水平方向に伸縮可能とすることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、水平方向に密着させた状態で並べて配置されることで敷物を形成する敷物構成体において、外装体の内部に水平方向を被覆する外周壁体を設けるとともに、外周壁体の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体を水平方向に並べて収容
し、外周壁体を鉛直方向及び水平方向に伸縮可能とすることにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、敷物を形成する敷物構成体が、外装体の内部に水平方向を被覆する外周壁体を設けるとともに、外周壁体の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体を水平方向に並べて収容しているために、コイル体によってクッション性や耐久性を向上させることができるとともに軽量化を図ることができ、また、水平に密着させた状態で並べて配置されても外周壁体によって内側のコイル体に水平方向の外力がかかるのを防止することができてコイル体を良好に鉛直方向に伸縮させることができるので、より一層クッション性や耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施例1に係る敷物構成体を示す平面図(a)、側面断面図(b)。
【
図4】実施例2に係る敷物構成体を示す平面図(a)、側面断面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る敷物及びその構成体(敷物構成体)の具体的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[実施例1]
図1及び
図2に示すように、実施例1に係る敷物1は、矩形板状の畳からなる敷物構成体2を水平方向に密着させた状態で床3に並べて配置することで形成されている。なお、中央の敷物構成体2は、4辺(外周)全てにおいて他の敷物構成体2と密接している。
【0014】
敷物構成体2は、矩形枠状のウレタン等からなる外周壁体4の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体5を水平方向(縦方向及び横方向)に並べて収容している。
【0015】
外周壁体4は、周囲を囲繞する無端状の所定の枠形状を保持しており、鉛直方向及び水平方向に伸縮可能ではあるが、鉛直方向にはコイル体5よりも伸縮しにくく、また、鉛直方向には水平方向よりも伸縮しやすくなっている。
【0016】
複数のコイル体5は、
図2に示すように複数個のポケットコイル同士を水平方向に連結したコイルシート6を用いているが、これに限定されるものではなく、個々のポケットコイルやスプリング等を独立して水平方向に並べたものでもよい。複数のコイル体5は、鉛直方向の伸縮を円滑に行わせるために水平方向に適度の隙間を設けて並べている。また、複数のコイル体5の外周部にも鉛直方向の伸縮を円滑に行わせるために外周壁体4との間に適度の隙間を設けて並べている。なお、複数のコイル体5は、
図2に示すように、縦横に並行して配列しているが、縦横に千鳥状にずらして配列してもよい。また、複数のコイル体5は、水平方向に隙間を設けずに密接させて配置してもよい。
【0017】
この敷物構成体2は、外周壁体4及び複数のコイル体5の上下にシート状の緩衝体7,8を水平に配置するとともに、全体を畳表からなる外装体9で被覆している。なお、外装体9は、外周壁体4よりも薄くし、周囲で外周壁体4に支持されて張設されており、外部から力がかかっても外装体9の張力によってコイル体5が完全に収縮(短縮)しないようになっており、左右縁部に畳縁10を設けている。また、緩衝体7,8は、一枚のシートでもよく複数枚のシートを重ねたものでもよく、上側の緩衝体7よりも下側の緩衝体8を厚くて重くしている。
【0018】
このように、実施例1に係る敷物1は、四角形板状の畳からなる複数の敷物構成体2で形成されており、敷物構成体2が、外装体9の内部に水平方向を被覆する外周壁体4を設けるとともに、外周壁体4の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体5を水平方向に並べて収容した構成となっている。
【0019】
そのため、上記構成の敷物構成体2では、コイル体5によってクッション性や耐久性を向上させることができるとともに軽量化を図ることができる。
【0020】
また、上記構成の敷物1では、複数の敷物構成体2を密着させて水平方向に並べて配置することで隣接する敷物構成体2からの水平方向の外力が作用しても、外周壁体4によって外力が緩和されてコイル体5に水平方向の外力が作用するのを防止することができるので、コイル体5を良好に鉛直方向に伸縮させることができ、敷物構成体2のクッション性や耐久性を向上させることができる。
【0021】
[実施例2]
図3及び
図4に示すように、実施例2に係る敷物11は、六角柱状のクッションからなる敷物構成体12を水平方向に密着させた状態で床13に並べて配置することで形成されている。なお、中央の敷物構成体12は、6辺(外周)全てにおいて他の敷物構成体12と密接している。
【0022】
敷物構成体12は、矩形枠状のウレタン等からなる外周壁体14の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体15を水平方向(縦方向及び横方向)に並べて収容している。
【0023】
外周壁体14は、周囲を囲繞する無端状の所定の枠形状を保持しており、鉛直方向及び水平方向に伸縮可能ではあるが、鉛直方向にはコイル体15よりも伸縮しにくく、また、鉛直方向には水平方向よりも伸縮しやすくなっている。
【0024】
コイル体15は、
図4に示すようにポケットコイルを用いているが、これに限定されるものではなく、スプリング単体でもよく、また、複数個のポケットコイル同士を水平方向に連結したコイルシートを用いてもよい。複数のコイル体15は、鉛直方向の伸縮を円滑に行わせるために水平方向に適度の隙間を設けて並べている。また、複数のコイル体15の外周部にも鉛直方向の伸縮を円滑に行わせるために外周壁体14との間に適度の隙間を設けて並べている。なお、複数のコイル体15は、
図4に示すように、縦横に千鳥状にずらして配列しているが、縦横に並行して配列してもよい。また、複数のコイル体15は、水平方向に隙間を設けずに密接させて配置してもよい。
【0025】
この敷物構成体12は、外周壁体14及び複数のコイル体15の上下にシート状の緩衝体17,18を水平に配置するとともに、全体を布からなる外装体19で被覆している。なお、外装体19は、外周壁体14よりも薄くし、周囲で外周壁体14に支持されて張設されており、外部から力がかかっても外装体19の張力によってコイル体15が完全に収縮(短縮)しないようになっている。また、緩衝体17,18は、一枚のシートでもよく複数枚のシートを重ねたものでもよく、上側の緩衝体17よりも下側の緩衝体18を厚くて重くしている。
【0026】
このように、実施例2に係る敷物11は、六角柱状のクッションからなる複数の敷物構成体12で形成されており、敷物構成体12が、外装体19の内部に水平方向を被覆する外周壁体14を設けるとともに、外周壁体14の内側に鉛直方向に伸縮する複数のコイル体15を水平方向に並べて収容した構成となっている。
【0027】
そのため、上記構成の敷物構成体12では、コイル体15によってクッション性や耐久性を向上させることができるとともに軽量化を図ることができる。
【0028】
また、上記構成の敷物11では、複数の敷物構成体12を密着させて水平方向に並べて配置することで隣接する敷物構成体12からの水平方向の外力が作用しても、外周壁体14によって外力が緩和されてコイル体15に水平方向の外力が作用するのを防止することができるので、コイル体15を良好に鉛直方向に伸縮させることができ、敷物構成体12のクッション性や耐久性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1,11 敷物 2,12 敷物構成体
3,13 床 4,14 外周壁体
5,15 コイル体 6 コイルシート
7,8,17,18 緩衝体 9,19 外装体
10 畳縁