【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明にしたがって、安全装置を監視する監視装置が、a.安全装置の入力側への接続のための入力端子に接続された第1の電気供給源と、b.安全装置の出力側への接続のための出力端子に接続された第1の出力側測定装置と、c.第1の出力側測定装置に接続されてその測定信号を受け取る評価装置とを含み、d.入力端子と評価装置とに接続された第1の入力側測定装置が設けられており、評価装置が、第1の入力側測定装置の測定信号を受け取り、かつ、この測定信号を評価するように構成されていることにより解決される。
【0009】
この場合、評価装置は特に、安全装置が開放もしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを識別するように構成可能である。安全装置の出力側にて測定信号が検出されるだけでなく、安全装置の入力端子での測定信号も検出されることにより、安全装置が開放されているかもしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを確実かつ迅速に識別することができる。特に、安全装置の開放の識別は、即時の一義的な信号状態により待ち時間が短くなるため、迅速に識別可能である。
【0010】
電気供給源が特に被制御の電流源として構成される場合、特別の利点が得られる。電流源は、所定の電流を、安全装置を介して流すことができる。当該電流は、好ましくは出力端子に接続された抵抗を介してアースへ導かれ、これにより、電流に依存して抵抗での電圧降下が生じる。安全装置が閉鎖されていれば、安全装置の入力側および出力側の双方で、すなわち、入力端子および出力端子の双方で、実質的に等しい電圧が測定される。安全装置が開放されていれば、安全装置の入力側には、安全装置の出力側の電圧より大きな電圧、特に電流源の供給電圧が生じる。このことが識別されると、監視装置により監視されているシステムが、安全状態、例えば遮断状態へ移行される。
【0011】
相互短絡の識別のために、出力端子にて測定可能な電気量を制御するための制御装置を設けることができる。この場合、制御装置は電気供給源へ組み込み可能である。特に、供給源は、制御可能電流源として構成可能である。供給源から出力される電流を変調することができる。特に、電流は、振幅変調可能または周波数変調可能である。例えば、当該電流は、設定されたパルスパターンのクロックで出力することができる。
【0012】
代替的に、制御装置は、抵抗と、この抵抗に対して並列に配置されてこの抵抗を橋絡可能である制御可能なスイッチとを含むことができる。スイッチの状態に応じて、抵抗で降下する電圧が、例えば所定のパルスパターンのクロックまたはスイッチを駆動する変調信号のクロックで変化される。安全装置の閉鎖時に相互短絡が生じていない場合、安全装置の入力側および出力側にて測定される電圧は、安全装置での電圧降下分だけ、すなわち、わずかしか異ならない。これに対して、1つの安全装置から同時に監視されている他の安全装置への相互短絡が生じると、監視装置によって監視されている防護装置を含む、監視されているシステムまたは機械の遮断のために利用可能な大きな電圧差が生じる。複数の安全装置が閉鎖されておりかつ相互短絡が生じている場合、予測電圧に対する電圧差が、測定部、特に出力端子に生じる。
【0013】
制御装置は、評価装置に接続され、この評価装置によって制御可能である。つまり、評価装置にとって、制御装置がどの信号制御を行っているか、特に被制御の電流源がどの電流を出力するかが既知であり、測定信号の評価の際にこれを考慮することができる。
【0014】
評価装置は、変調信号発生器を含むことができ、この変調信号発生器の変調信号により、制御装置、特に電気供給源または橋絡スイッチが駆動される。例えば、当該変調信号発生器は、供給源から出力される電流の周波数変調または振幅変調を生じさせる変調信号を形成することができる。(ディジタル)パルスパターンの設定は、本発明においては、電流信号の振幅変調であると理解される。特に、パルス化された電流を供給源によって出力可能であり、または、抵抗をスイッチによりパルス駆動で橋絡することができる。代替的に、所定の値範囲内で連続的に変化する電流を出力することもできる。
【0015】
評価装置が、測定信号を受け取ってこれを評価する第1のマイクロプロセッサを含む場合、特別な利点が得られる。マイクロプロセッサにより、特に簡単かつ迅速な手法により、測定信号の比較を行うことができ、この測定信号にしたがって評価することができる。よって、安全装置が開放されているかもしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを特に迅速に識別可能である。迅速性の最大の利点は、安全装置の開放につき、不確定状態において、次の問い合わせサイクルまたは次に読み出されるパルスパターンの復号化の後にようやくではなく、いわば即時に、エラー応動に利用可能な一義的なエラー信号が得られることにある。例えば1ms〜3ms以内に、開放された安全装置を識別することができる。有利には、マイクロプロセッサは変調信号発生器も含む。したがって、マイクロプロセッサには、障害のない動作の際にまたはエラーフリー状態でどの測定信号が予測されるかが既知である。
【0016】
評価装置は、測定信号を受け取ってこれを評価する第2のマイクロプロセッサを含むことができる。第2のマイクロプロセッサを使用することにより、冗長性が得られる。つまり、監視装置での個々のエラーが安全機能の損失をもたらさないことを保証可能である。特に、監視装置が、危険なレーザビームからオペレータを保護する安全カバーの監視に用いられる場合、2つのマイクロプロセッサを使用することにより、ISO13849の「Safety of machinery − safety-related parts of control systems」およびDINENISO13849−1の「Sicherheit von Maschinen - sicherheitsbezogene Teile von Steuerungen」の各規格が遵守されることを保証することができる。よって、いずれかのマイクロプロセッサの故障または配線のエラーが不確定状態をもたらすことはない。
【0017】
第1および第2のマイクロプロセッサは、データ技術的に、すなわち、特にバスシステムを介して相互に接続され、各マイクロプロセッサは、一方の測定装置の測定信号を測定装置から直接に受け取り、他方の測定信号をそれぞれ他方のマイクロプロセッサおよびデータ技術的な接続線路を介して間接的に受け取ることができる。つまり、各マイクロプロセッサに安全装置の入力側および出力側での測定信号を供給して、他方のマイクロプロセッサから独立に測定信号の比較を行い、安全装置の状態を推定することができる。
【0018】
監視されている安全装置に対応づけられた測定装置に直接に各マイクロプロセッサを接続するだけでなく、監視されている安全装置に対応づけられた他の測定装置の測定信号を他方のマイクロプロセッサを介して受け取ることにより、配線のコストを低減することができる。データ技術的な接続線路を介して、各マイクロプロセッサによって求められた比較結果を交換して比較することができる。データ技術的な接続線路として、特にCANバスを使用することができる。
【0019】
別の安全装置を接続するための少なくとも1つの別の入力端子と少なくとも1つの別の出力端子とが設けられる場合に特別な利点が得られ、ここで、少なくとも1つの別の入力端子は、第2の電気供給源と第2の入力側測定装置とに接続され、少なくとも1つの別の出力端子は、第2の出力側測定装置に接続される。よって、複数の安全装置を監視することができる。また、簡単な手法により相互短絡を識別可能である。
【0020】
相互短絡を識別するために、各制御装置が異なる変調信号によって駆動されると特に有利である。被制御の電流源が使用される場合、各電流源は別の電流を出力することができる。この場合、制御装置が第1のマイクロプロセッサによって駆動されるかまたは第2のマイクロプロセッサによって駆動されるかはさほど重要ではない。また、ある時点においては、マイクロプロセッサの一方が制御装置を駆動し、別の時点においては、他方が制御装置を駆動する構成も可能である。重要なのは、制御装置から出力された各信号、特に各電流を区別可能であることである。このため、マイクロプロセッサが全ての制御装置に対する変調信号を形成する権限を有すると有利である。
【0021】
各マイクロプロセッサの出力信号は、マイクロプロセッサの一方のみが故障したかまたは相互短絡もしくは安全装置の開放を示唆する信号が送信された場合、監視されている機械が安全状態へ移行されるように切り替え可能である。測定信号の比較は、2つのマイクロプロセッサが相互に独立に実行可能である。2つのマイクロプロセッサは、それぞれ、一方のマイクロプロセッサに直接に接続された測定装置の電圧、他方のマイクロコントローラおよびデータ技術的な接続線路を介して受け取られる電圧と、予測電圧とを比較するか、またはこれらの電圧の差と設定値とを比較する。この場合、目標電圧は、例えば、供給源の変調電流と出力端子に接続された抵抗との積に相当する。
【0022】
本発明においては、さらに、安全装置を監視する方法が扱われる。本方法は、
a.安全装置の入力端子に電気供給信号を供給し
b.安全装置の入力端子の電気量を測定し、
c.安全装置の出力端子の電気量を測定し、
d.電気量もしくはこれに関連する量を予測量と比較し、および/または、出力端子にて測定された量もしくはこれに関連する量を予測量と比較し、
e.比較に基づいて、安全装置が開放もしくは閉鎖されているか、または、相互短絡が生じているかを判別する、
方法ステップを含む。
【0023】
本方法により、上述した利点を達成可能である。
【0024】
好ましい方法バリエーションによれば、安全装置の閉鎖時に、出力端子にて測定可能な電気量、特に供給信号が変調され、好ましくは振幅変調または周波数変調されるように構成可能である。これは特に、相互短絡が生じているかどうかが識別される場合に有利である。この場合、量、特に供給信号は、各安全装置に対して別々に変調すべきである。純粋な電圧パルスパターンでの相互短絡識別と比べた本発明の利点は、相互短絡の識別のための変調であるにもかかわらず、開放された安全装置の識別に際してデッドタイムが生じないことである。なぜなら、ゼロ信号がパルスパターンの一部であり、または、開放された安全装置に起因するものであり、待機しなくてよいからである。したがって、相互短絡識別のための変調は必然的に迅速に行われるが、同時に開放された安全装置も一義的な信号に基づいてきわめて迅速に識別可能である。
【0025】
供給信号は電流源によって形成可能であり、ここで、当該電流源は、電流が0Aより大きくなり、特に安全装置の閉鎖時の出力電圧が供給電圧を下回るように、駆動される。電流源から出力可能な最大電圧は、電流源の供給電圧である。当該供給電圧は、エラーの場合のみ、つまり安全装置が開放される場合にのみ、印加される。変調に際しては、好ましくは、通常時(安全装置の閉鎖時)に抵抗にて測定される電圧が供給電圧に対するノイズマージンを維持するよう、最大値が選択される。
【0026】
電気量として電圧が測定される場合、特に簡単な評価が達成される。
【0027】
安全装置の入力端子にて供給電圧が測定され、出力端子にて0Vの領域の電圧が測定される場合、安全装置が開放されていることを識別することができる。特に、出力端子にて、0Vの電圧を測定可能である。
【0028】
安全装置の入力端子にて測定される電圧と出力端子にて測定される電圧との差、特に変調された電圧の差が、設定された第1の値より小さい場合、安全装置が閉鎖されていることを識別することができる。特に、設定された第1の値は、予測される安全装置での電圧降下に一致し得る。設定された第1の値は、特に0Vの領域に設定可能である。
【0029】
安全装置の出力端子にて測定される量、特に変調された電圧が予測量から偏差する場合、相互短絡が生じたことを識別可能である。この場合、当該予測量は、それぞれ監視される安全装置に対応づけられた変調信号に基づいて求めることができる。
【0030】
方法ステップa〜eは、複数の安全装置について行うことができ、各安全装置に対して異なる変調信号が使用される。こうした手法により、相互短絡を特に確実に識別することができる。
【0031】
本発明の別の特徴および利点は、発明にとって重要な詳細を示した図面の各図に即した本発明の実施例の以下の詳細な説明および特許請求の範囲から得られる。図示の各特徴は、必ずしも縮尺通りと解されるべきでなく、本発明の各特徴を明確に可視化し得るように表示されている。種々の特徴は、本発明のバリエーションにおいて、それぞれ別個にもまたは任意の組み合わせにおいて複数にも実現可能である。
【0032】
本発明の実施例を概略図に図示し、以下の説明において詳細に説明する。