(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738456
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】電磁適合性フィルタ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20200730BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/12 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-73940(P2019-73940)
(22)【出願日】2019年4月9日
(62)【分割の表示】特願2017-530264(P2017-530264)の分割
【原出願日】2015年12月8日
(65)【公開番号】特開2019-134676(P2019-134676A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】62/089,602
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】カーネ,アジト・ダブリュー
【審査官】
柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−174423(JP,A)
【文献】
特開2008−103716(JP,A)
【文献】
特開2001−238433(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01069673(EP,A1)
【文献】
特表2011−502457(JP,A)
【文献】
特開2004−312908(JP,A)
【文献】
特表2014−522226(JP,A)
【文献】
中国実用新案第202652053(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定AC入力電圧振幅および周波数で入力AC電力を受け取り、可変電圧および可変周波数で出力AC電力を提供するように構成される可変速駆動システムであって、可変速駆動部が、
入力AC電圧を提供するAC電源に結合されるように適合されるコンバータであって、入力AC電圧をDC電圧に変換するように構成されるコンバータと、
前記コンバータに接続されるDCリンクであって、前記DC電圧をフィルタリングして前記コンバータからのエネルギを格納するように構成されるDCリンクと、
前記DCリンクに接続されるインバータであって、前記DCリンクからの前記DC電圧を、前記可変電圧および前記可変周波数を有する前記出力AC電力へと変換するように構成されるインバータと、
3つの巻線を有する3相インダクタを備える入力フィルタであって、各巻線が、前記入力AC電力の位相に結合されるように適合される第1の端部、および前記コンバータに結合される第2の端部を有する、入力フィルタであって、
前記入力フィルタの前記3相インダクタが、ライン側インダクタと、負荷側インダクタに分割され、前記ライン側インダクタ及び負荷側インダクタが、インダクタタップ部によって互いに接続され、前記入力フィルタが更に、前記インダクタタップ部と第1のグランド点の間にWYE接続される、容量性フィルタ要素を備えるものと、
前記入力フィルタの巻線の前記第2の端部のうちの少なくとも1つと第2のグランド点(ground point)との間に抵抗器−コンデンサ回路を有する電磁適合性(electromagnetic
compatible)フィルタであって、前記電磁適合性フィルタが、前記可変速駆動システムの電流の全てを運ぶことを要求されず、前記コンバータ及び前記入力フィルタが、可変速駆動システムが150kHzから30000kHzの範囲の周波数範囲にわたってノイズの利得を大幅に減少させ、それによって、前記150kHzから30000kHzの範囲の前記ノイズが、前記コンバータから前記入力AC電圧を提供するAC電源へと通過することを防止するように構成される、電磁適合性フィルタと
を備える、可変速駆動システム。
【請求項2】
前記電磁適合性フィルタが、前記3相インダクタの前記3つの巻線の各巻線のそれぞれの第2の端部に接続される第1のフィルタ端部と、グランド点に接続される第2のフィルタ端部とをさらに備える、請求項1に記載の可変速駆動システム。
【請求項3】
前記電磁適合性フィルタが、抵抗器−コンデンサフィルタバンクをさらに備え、前記3相インダクタの前記3つの巻線の各巻線の前記それぞれの第2の端部に接続される前記第1のフィルタ端部が、Y字構成を形成する、請求項2に記載の可変速駆動システム。
【請求項4】
前記コンバータ上のグランド点をさらに備える、請求項2に記載の可変速駆動システム。
【請求項5】
受動的フロントエンドを有するコンバータをさらに備える、請求項1に記載の可変速駆動システム。
【請求項6】
能動的フロントエンド(active front end)を有するコンバータをさらに備える、請求項1に記載の可変速駆動システム。
【請求項7】
可変速駆動部で使用するための電磁適合性フィルタであって、前記可変速駆動部が、入力AC電源に結合されるように適合される入力と、前記入力とコンバータとの間に結合される入力フィルタとを備え、前記入力フィルタが、インダクタタップ部によって互いに接続されたライン側インダクタ及び負荷側インダクタを備え、前記入力フィルタが、前記インダクタタップ部と第1のグランド点の間にWYE接続された容量性フィルタ要素を備え、
前記電磁適合性フィルタが、第1の端部において、前記入力フィルタと前記コンバータとの接合点に結合され、第2の端部において、第2のグランド点に結合され、前記電磁適合性フィルタ及び前記入力フィルタが前記コンバータ中で並列共振により引き起こされるノイズの利得を減衰し、それによって、前記ノイズが、コンバータから前記入力AC電源へと通過することを防止することが可能であり、
第1の回路と第2の回路が、並列共振回路を構成して、それによって、前記並列共振を生成し、
前記第1の回路が、寄生インダクタンスと直列に結合された寄生容量を備え、
前記寄生容量が、(i)DCリンクと前記グランド点の間の容量、(ii)前記コンバータのAC端子と前記グランド点の間の容量、及び、(iii)前記インバータのAC端子と前記グランド点の間の容量を備え、
前記寄生インダクタンスが、グランド接続(22)における寄生インダクタンスを有し、
前記第2の回路が、全てが直列に接続された、3相インダクタのインダクタンス、前記入力フィルタのダンピング抵抗、及び、前記可変速駆動部と前記グランド点の間のコモンモード容量、を備える、
電磁適合性フィルタ。
【請求項8】
前記第2の端部が結合される前記第2のグランド点をさらに備え、前記第2のグランド点が前記コンバータ上の第3のグランド点である、請求項7に記載の電磁適合性フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、一般的に、電磁適合性(EMC:electromagnetic compatibility)フィルタに関する。本出願は、より詳細には、可変速駆動部(VSD:variable speed drive)で使用するための電磁適合性フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]加熱、換気、空気調和および冷蔵(HVAC&R:heating, ventilation, air−conditioning and refrigeration)用途のための可変速駆動部(VSD)は、典型的には、整流器またはコンバータ、DCリンク、およびインバータを含む。力率補正および入力電流高調波の減少を実現するために能動コンバータ技術を取り入れるVSDは、従来型VSDと比較して、モータ固定子巻線に、著しく高いレベルのコモンモードRMSおよびピークツーピーク電圧をやはり生成する。
【0003】
[0003]VSDは、無線装置および送信との干渉を引き起こしうる、グランドに対するコモンモードノイズを生成する。VSDにより生成されるノイズを減少またはなくすために、コモンモードノイズにVSD内の循環経路を与えることによって、コモンモードノイズを抑制することが必要である。このフィルタは、コモンモードノイズにとって小さいループ面積を作り、それによって干渉を減少させる。
【0004】
[0004]典型的には、EMCフィルタは、VSDとともに使用されて、VSDと主電源との間の電磁ノイズの伝達を減少させる。EMCフィルタは、VSD入力と直列に接続される大きいインダクタを備える。そのようなEMCフィルタは、磁気損失に起因してVSDの全体的な効率を減少させ、VSDのコストおよびサイズをさらに増加させる。
【0005】
[0005]他の特徴および利点は、本明細書から明らかとされるであろう。開示される教示は、それらが上述の必要性のうちの1つまたは複数を達成するかどうかにかかわらず、特許請求の範囲に入るそれらの実施形態にまで及ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の一実施例は、例えば、電磁適合性フィルタに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]一実施形態は、可変速駆動部のための新規の伝導電磁放射フィルタに関する。このフィルタは、受動的フロントエンドVSDまたは能動的フロントエンドVSD上に採用されうる。可変速駆動システムは、固定AC入力電圧振幅および周波数で入力AC電力を受け取り、可変電圧および可変周波数で出力AC電力を提供するように配置され、可変速駆動部が、入力AC電圧を提供するAC電源に接続されるコンバータステージであって、入力AC電圧をブーストされたDC電圧に変換するように構成されるコンバータステージと、コンバータステージに接続されるDCリンクであって、コンバータステージからのブーストされたDC電圧をフィルタリングして格納するように構成されるDCリンクと、DCリンクに接続されるインバータステージであって、DCリンクからのブーストされたDC電圧を、可変電圧および可変周波数を有する出力AC電力へと変換するように構成されるインバータステージと、コンバータ部の各入力位相についての位相−グランド回路からの直列RC回路を備え、各RC回路が、コンバータ部の各位相とグランドとの間に、コンデンサと直列に接続される抵抗器を含み、コンバータのライン側でコンバータに接続され、ライン側インダクタが、入力AC源とEMCフィルタとの間に接続される、電磁適合性(EMC)フィルタとを含む。
【0008】
[0007]別の実施形態は、VSDのためのEMCフィルタに関する。EMCフィルタは、コンバータ部の各入力位相についての位相−グランド回路からの直列RC回路を含み、各直列RC回路が、コンバータ部の各位相とグランドとの間に、コンデンサと直列に接続される抵抗器を含む。EMCフィルタは、コンバータのライン側でコンバータに接続され、ライン側インダクタは、入力AC源とEMCフィルタとの間に接続される。
【0009】
[0008]典型的には、EMCフィルタは、VSD入力と直列に接続されなければならない嵩張るインダクタを形成し、それによって、VSDのコストおよびサイズを増加させる。開示されるフィルタは、パワーエレクトロニクスデバイス入力とグランドとの間に接続される。これは、生成されるノイズにとって、非常に小さいループ面積を作る。フィルタは、フィルタを作るために、回路の、寄生インダクタおよび既存のフィルタインダクタをやはり利用する。それが、フィルタを小さく、非常に低コストにすることを可能にする。
【0010】
[0009]1つの利点は、VSDの動作の結果として、AC電力源に存在する、伝導電磁干渉および無線周波干渉に関連する、コモンモードおよび差動モード電流を減少させることである。
【0011】
[0010]代替的な例示の実施形態は、請求項中で一般的に記述されうるように、他の特徴および特徴の組合せに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0011]
図1Aは、例示的なシステム構成を図示する図である。
図1Bは、例示的なシステム構成を図示する図である。
【
図2】[0012]
図2Aは、VSDの異なる実施形態を図示する図である。
図2Bは、VSDの異なる実施形態を図示する図である。
【
図3】[0013]
図1Aおよび
図2Aのシステム構成およびVSDを使用する、冷蔵または冷却システムの一実施形態を一般的に図示する図である。
【
図4】[0014]入力フィルタの要素の概略図である。
【
図5】[0015]EMCフィルタを備える出力フィルタおよびコモンモード/差動モード入力フィルタ回路を有する可変速駆動部の実施形態を示す図である。
【
図6】[0016]受動コンバータを含む、VSDの例示的な実施形態を示す図である。
【
図7】[0017]EMCフィルタを含む、コモンモード等価回路を示す図である。
【
図8】[0018]EMCフィルタがある場合およびない場合の、VSDのコモンモードインピーダンスを示すグラフである。
【
図9】[0019]EMCフィルタがVSD中に設置されたVSDの電圧応答を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0020]例示的な実施形態を詳細に図示する図を参照する前に、本出願が以下の記載に示される、または図に図示される詳細もしくは方法論に限定されないことを理解されたい。本明細書に採用される語法および用語は単に記載のためであり、限定するものであると理解するべきではないことも理解されたい。
【0014】
[0021]
図1Aおよび
図1Bは、システム構成を一般的に図示する。1つのモータ106(
図1A参照)または複数のモータ106(
図1B参照)に電力供給する可変速駆動部(VSD)104に、AC電源102が供給する。モータ106は、好ましくは、冷蔵または冷却器システムの対応する圧縮器を駆動するために使用される(
図3を全体的に参照)。AC電源102は、現場に存在する、AC電力網または分配システムからVSD104に、単相または多相(例えば、3相)、固定電圧、および固定周波数のAC電力を提供する。AC電源102は、好ましくは、対応するAC電力網に依存してVSD104に、200V、230V、380V、460V、または600VのAC電圧または線間電圧を50Hzまたは60Hzの線周波数で供給することができる。
【0015】
[0022]VSD104は、AC電源102から特定の固定線間電圧および固定線周波数を有するAC電力を受け取り、その両方が特定の要件を満足させるために変更されうる、所望の電圧および所望の周波数で、モータ106にAC電力を提供する。好ましくは、VSD104は、モータ106に、モータ106の定格電圧および周波数よりも高い電圧および周波数ならびに低い電圧および周波数を有するAC電力を提供することができる。別の実施形態では、VSD104は、モータ106の定格電圧および周波数よりも、高い周波数および低い周波数であるが、単に同じまたは低い電圧をやはり提供する場合がある。モータ106は、好ましくは、誘導モータであるが、可変速で動作されることが可能な、任意のタイプのモータを挙げることができる。誘導モータは、2極、4極、または6極を含む、任意の好適な極配置を有することができる。
【0016】
[0023]
図2Aおよび
図2Bは、VSD104の異なる実施形態を図示する。VSD104は、3つのステージ、すなわち、コンバータステージ202、DCリンクステージ204、および1つのインバータを有する出力ステージ206(
図2A参照)または複数のインバータを有する出力ステージ206(
図2B参照)を有することができる。コンバータ202は、AC電源102からの固定線周波数、固定線間電圧のAC電力をDC電力に変換する。DCリンク204は、コンバータ202からのDC電力をフィルタリングし、エネルギ格納構成要素を提供する。DCリンク204は、高い信頼度および非常に低い故障率を呈する受動デバイスである、コンデンサ、インダクタ、またはそれらの組合せからなることができる。最後に、
図2Aの実施形態では、インバータ206は、DCリンク204からのDC電力を、モータ106用の可変周波数、可変電圧AC電力に変換し、
図2Bの実施形態では、インバータ206は、DCリンク204に並列に接続され、各インバータ206は、DCリンク204からのDC電力を、対応するモータ106用の可変周波数、可変電圧AC電力に変換する。インバータ206は、ワイヤボンド技術で相互接続される、パワートランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)電力スイッチ、および逆ダイオードを含むことができる電力モジュールであってよい。さらに、VSD104のDCリンク204およびインバータ206がモータ106に適切な出力電圧および周波数を提供できる限り、VSD104のDCリンク204およびインバータ206は、上に議論されたものと異なる構成要素を組み込むことができることが理解されよう。
【0017】
[0024]
図1Bおよび
図2Bに関して、インバータ206は制御システムにより一緒に制御され、そのため、各インバータ206は、インバータ206の各々に提供される共通の制御信号または制御命令に基づいて、対応するモータに、同じ所望の電圧および周波数でAC電力を提供する。別の実施形態では、インバータ206は、制御システムにより別個に制御され、各インバータ206に提供される別の制御信号または制御命令に基づいて、対応するモータ106に、異なる所望の電圧および周波数でAC電力を提供することを各インバータ206が可能にする。この能力は、他のインバータ206に接続される他のモータ106およびシステムの要求と独立に、より効果的にモータ106およびシステムの需要および負荷を満足させることを、VSD104のインバータ206が可能にする。例えば、1つのインバータ206は、モータ106に全電力を提供しつづけることができ、一方別のインバータ206は、別のモータ106に半分の電力を提供しつづける。両方の実施形態におけるインバータ206の制御は、制御パネルまたは他の好適な制御デバイスにより行われうる。
【0018】
[0025]VSD104により電力供給されるべき各モータ106について、VSD104の出力ステージに、対応するインバータ206がある。VSD104により電力供給されうるモータ106の数は、VSD104内へ組み込まれるインバータ206の数に依存する。一実施形態では、DCリンク204に並列に接続され、対応するモータ106に電力供給するために使用され、VSD104に組み込まれる、2つまたは3つのインバータ206があってよい。VSD104が2つと3つの間のインバータ206を有することができる一方で、DCリンク204がインバータ206の各々に適切なDC電圧を提供して維持することができる限り、4つ以上のインバータ206が使用されうることが理解されるべきである。
【0019】
[0026]
図3は、
図1Aおよび
図2Aのシステム構成およびVSD104を使用する、冷蔵または冷却器システムの一実施形態を一般的に図示する。
図3に示されるように、HVAC、冷蔵または液体冷却器システム300は、圧縮器302、凝縮器装置304、液体冷却器または蒸発器装置306、および制御パネル308を含む。圧縮器302は、VSD104により電力供給されるモータ106により駆動される。VSD104は、AC電源102から特定の固定線間電圧および固定線周波数を有するAC電力を受け取り、その両方が特定の要件を満足させるために変更されうる、所望の電圧および所望の周波数で、モータ106にAC電力を提供する。制御パネル308は、アナログデジタル(A/D)変換器、マイクロプロセッサ、不揮発性メモリ、およびインターフェースボードなどのさまざまな異なる構成要素を含み、冷蔵システム300の動作を制御することができる。制御パネル308は、VSD104およびモータ106の動作を制御するために使用されることもできる。
【0020】
[0027]圧縮器302は、冷媒蒸気を圧縮し、蒸気を放出ラインを通して凝縮器304に送達する。圧縮器302は、例えば、スクリュー圧縮器、遠心圧縮器、往復圧縮器、スクロール圧縮器など、任意の好適なタイプの圧縮器であってよい。圧縮器302によって凝縮器304に送達される冷媒蒸気は、例えば空気または水といった、流体との熱交換関係に入り、流体との熱交換関係の結果として、冷媒液への相変化を受ける。凝縮器304からの凝縮した液体冷媒は、膨張デバイス(図示せず)を通って蒸発器306に流れる。
【0021】
[0028]蒸発器306は、冷却負荷の供給ラインおよび戻りラインのための接続を含むことができる。例えば、水、エチレン、塩化カルシウムブラインまたは塩化ナトリウムブラインといった2次の液体が、戻りラインを介して蒸発器306に進み、供給ラインを介して蒸発器306を出る。蒸発器306内の液体冷媒は、2次の液体と熱交換関係に入り、2次の液体の温度を低下させる。蒸発器306内の冷媒液は、2次の液体との熱交換関係の結果として、冷媒蒸気への相変化を受ける。蒸発器306中の蒸気冷媒は、蒸発器306を出て、吸引ラインにより圧縮器302に戻り、サイクルを完成する。凝縮器304および蒸発器306中の冷媒の適切な相変化が得られることを条件として、凝縮器304および蒸発器306の任意の好適な構成がシステム300で使用されうることを理解されたい。
【0022】
[0029]HVAC、冷蔵または液体冷却器システム300は、
図3に示されない多くの他の特徴を含むことができる。これらの特徴は、説明しやすいように図面を簡略化するため、意図的に省略された。さらに、
図3は、HVAC、冷蔵または液体冷却器システム300を、単一の冷媒回路に接続される1つの圧縮器を有するものとして図示するが、システム300は、
図1Bおよび
図2Bに示されるような単一のVSD、または
図1Aおよび
図2Aに示される実施形態を全体的に参照して、1つまたは複数の冷媒回路の各々に接続される、複数のVSDによって電力供給される複数の圧縮器を有することができることを理解されたい。
【0023】
[0030]
図4を次に参照すると、入力フィルタ10の要素の概略図が示される。能動コンバータ202により生成されるEMI/RFI源は、3相AC入力インダクタ16を位相毎にライン側インダクタ26と負荷側インダクタ28へと分割することによって、コンバータ202より先にフィルタリングされる。ライン側インダクタ26および負荷側インダクタ28は、インダクタタップ部18によって接続される。容量性3相フィルタ要素20が、インダクタタップ部18間にY字接続される。オプションの接地22は、Y字接続されるフィルタ要素20の共通点21に接続されうる。接地22は、代わりに、接地コンデンサ23を含みうる。ライン側インダクタ26および負荷側インダクタ28のそれぞれ、ならびに容量性フィルタ要素20は、EMI/RFI源、すなわち、コンバータ202によって伝導される入力電流の高周波数スイッチング構成要素のロールオフを実現するような、インダクタンス値および容量値で設計される。入力フィルタは、EMI/RFI源に対して、インダクタンス26および28の差動モード誘導性構成要素を介して高インピーダンスを実現し、3相Y字接続されるコンデンサ20を介して低インピーダンスを実現し、一方、電源電流の基本波成分、例えば60Hzを、最小インピーダンスを備えるネットワークを通して通過させる。4本または5本足(4/5)の入力インダクタ16を利用することにより、コモンモード誘導性構成要素が、インダクタンス26および28、ならびにオプションの接地22または接地コンデンサ23を介して形成され、フィルタ10の容量に対する増加が、コンバータ202により生成されるコモンモード電流が主電源102へと流れるのを防止するように働く。入力フィルタ10のY字接続点21は、直接接地され、または代わりに別個のコンデンサ23を通して接地されて、大地に対し高周波数電流のより大きい分流を提供しうる。一実施形態では、インダクタ16は、低い巻線間容量を備えうる。
【0024】
[0031]ライン側インダクタ26は、Y字接続されるコンデンサ20とAC電源102との間に、VSD104の所定のスイッチング周波数におけるインピーダンスを提供する。ライン側インダクタ26のインピーダンスは、入力AC主電源102とVSD104との間に有意のインピーダンスを備えないシステムよりも、Y字接続されるコンデンサ20がより効果的となることを可能にするように設計される。インダクタ26は、逆方向に高い周波数のインピーダンスをやはり提供し、コンバータ202からAC電源102への、高い周波数の電流の流れを制限する。こうして、インダクタ26は、高い周波数の放射がAC電源102へと反射して戻るのを制限または限定する。
【0025】
[0032]インダクタ28は、コンデンサ20とVSD104への入力との間に、インピーダンスを提供する。インダクタ28は、AC電源102とVSD104の能動コンバータ202の部分との間に、高いインピーダンスを提供する。これに代えて、VSD104が受動整流器コンバータを備える従来型VSDである場合、インダクタ28のインピーダンスは、VSD104を入力AC主電源102から分離し、VSD104から主電源102へと伝導される高い周波数の放射を減少させる。
【0026】
[0033]Y字接続されるコンデンサバンク20は、VSD104の少なくとも1つのスイッチング周波数のために、位相導体A、BおよびC間に低いインピーダンスを提供し、差動モード電流のために低いインピーダンスを提供する。Y字接続されるコンデンサバンク20は、コモンモード電流を減少させるために、大地グランド接続が設けられていると仮定すると、少なくとも1つのスイッチング周波数の流れのために、大地グランド接続22へと、低いインピーダンス経路をやはり提供する。
【0027】
[0034]
図5を次に参照すると、EMCフィルタを備える出力フィルタおよびオプションでコモンモード/差動モード入力フィルタ回路を有する可変速駆動部の実施形態が示される。上で、
図4に関して記載されたようなEMI/RFI入力フィルタが、コンバータ2
02の入力に接続され、上に記載されたのと同じフィルタリング機能を実施する。VSD104への入力にインダクタ16を備える入力フィルタを追加することが、AC主電源102とVSD104との間に、高インピーダンス回路を効果的に提供する。コモンモード電流のために低インピーダンス経路を設けるために、3つのコモンモードコンデンサ32を含む3相Y字接続されるコンデンサバンク30が、VSDのモータ接続端子38と大地グランド22との間に接続される。コンデンサバンク30は、高い周波数において、短絡回路と等価、すなわち低インピーダンスであり、3つのVSD出力端子34上に存在する、有害な高い周波数のAC成分を効果的に接地し、有害なAC成分が、モータまたはVSDに接続される他のタイプの負荷に到達するのを分流し、それによって、コモンモード電圧からもたらされる電流をフィルタ除去する。コンデンサバンク30は、高い周波数のAC成分が、モータの寄生容量性の接地要素をバイパスすることを可能にし、コモンモード電圧および電流によって引き起こされるダメージを負うことをなくす。
【0028】
[0035]EMCフィルタ50は、能動コンバータ部202の各入力位相A、BおよびCのための、位相−グランド回路からの直列RC回路を含む。一実施形態では、EMCフィルタ50は、各位相A、BおよびCとグランド22との間に、コンデンサ54と直列に接続される抵抗器52を含む、3つのRCフィルタ51を含む。
【0029】
[0036]
図6を次に参照すると、別の例示的な実施形態では、VSD104は、
図5に示された能動コンバータの代わりに、受動コンバータ201を含む。
図5に関して上に記載されたように、コンバータ201は、AC電源102からのライン電圧AC電力をDC電力に変換する。DCリンク204は、コンバータ202からのDC電力をフィルタリングし、エネルギ格納構成要素を提供する。インバータ206は、DCリンク204からのDC電力を、可変周波数、可変電圧AC電力に変換する。実施形態では、抵抗器52は、コンデンサ54と直列に接続され、VSDが、並列共振を生成してピークノイズ伝達を引き起こしうる周波数における利得を減少させる抵抗値を有しうる。RCフィルタは、抵抗器52およびコンデンサ54について異なる値を有し、150kHz〜30000kHzの範囲にありうるピークノイズ周波数における変動を調整しうる。
【0030】
[0037]EMCフィルタ50は、受動コンバータ部201の各入力位相A、BおよびCのための、位相−グランド回路からの直列RC回路を含む。一実施形態では、EMCフィルタ50は、各位相A、BおよびCとグランド22との間に、コンデンサ54と直列に接続される抵抗器52を含む、3つのRCフィルタ51を含む。EMCフィルタは、タップ18において、コンバータ201のライン側で受動コンバータ201に接続される。ライン側インダクタ26は、入力AC源102とEMCフィルタ50との間に接続される。
【0031】
[0038]
図7を参照すると、EMCフィルタ50を
除く、コモンモード等価回路が示される。Lrectifier/3は、VSD104の整流器側インダクタンスであり、Ccommon_modeは、VSDのコモンモード容量であり、Rdampは、入力フィルタのダンピング抵抗であり、Cparasiticは、DCリンク204およびコンバータ202/インバータ206のAC端子からグランドへの寄生容量であり、Lground_strapは、グランド接続22の寄生インダクタンスである。R
f(不図示)は抵抗器52であり、C
f(不図示)はコンデンサ54である。抵抗器52は、コンデンサ54および能動コンバータ部202を通るピーク電流を最小化し、コンデンサ54
(不図示)は、例えば、50/60kHzといった基本入力周波数の近くにおける抵抗器52中の電力損失を減少させる。抵抗器52の値は、並列共振周波数において、利得の十分な減少が得られるように選択されうる。コンバータが生成したノイズは、
図8の中のピーク802および
図9の中の902でそれぞれ見られるように、減衰される。
【0032】
[0039]本出願が以下の記載に示される、または図に図示される詳細もしくは方法論に限
定されないことを理解されたい。本明細書に採用される語法および用語は単に記載のためであり、限定するものであると理解するべきではないことも理解されたい。
【0033】
[0040]図に図示され本明細書に記載される例示的な実施形態は、現在好ましいが、それでもこれらの実施形態が単に例として提示されることを理解されたい。したがって、本出願は、特定の実施形態に限定されず、添付される請求項の範囲に入るさまざまな修正形態へと発展する。任意のプロセスまたは方法ステップの順序またはシーケンスは、代替実施形態にしたがって、変更または再シーケンス化されてよい。