(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の冷媒配管工法では、冷媒配管ユニットを工場で製造するため、工場から建設現場まで搬送する際、冷媒配管ユニットを揚重機によってトラックから立て起こす作業を行う必要がある。そのため、この立て起こし作業時に冷媒配管ユニットに作用する応力に耐え得る大きな補強鋼材を冷媒配管ユニットに予め取り付けておく必要がある。したがって、冷媒配管ユニットが重くなり、大型化し、建設現場での施工にも手間が掛かるという問題がある。
【0006】
また、冷媒配管ユニットを工場で製造するため早期に図面を確定しなければならないといった問題や、冷媒配管ユニットの製造状態を工場で検査及び確認する作業が必要になるといった問題や、大型トラックによる工場から建設現場まで搬送作業が必要になるといった問題などが生じている。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、補強鋼材を削減し、建設現場での施工を容易に行うことのでき
る冷媒配管工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、設置される建物の建設現場で組み立てられる冷媒配管ユニットであって、並設された複数本の冷媒縦配管と、前記各冷媒縦配管に対して直交する方向に設けられ、該各冷媒縦配管の上部を固定する第1支持部材と、前記第1支持部材より下方において該第1支持部材に対して平行に設けられ、前記各冷媒縦配管を振れ止め支持する第2支持部材と、前記各冷媒縦配管に対して平行に設けられ、前記第1支持部材と前記第2支持部材との間に渡設される捩れ防止部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る冷媒配管ユニットにおいて、前記第1支持部材及び前記第2支持部材はそれぞれ長尺状の鋼材により形成され、前記各冷媒縦配管は該第1支持部材の両側部に固定されると共に該第2支持部材の両側部に支持され、前記捩れ防止部材はそれぞれ長尺状の鋼材により形成され、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の各一方の端部側の各一方の側部にそれぞれ固定されると共に、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の各他方の端部側の各他方の側部にそれぞれ固定されてもよい。
【0010】
本発明に係る冷媒配管ユニットにおいて、前記各冷媒配管は、固定金具により前記第1支持部材に固定されると共に、結束バンドにより前記第2支持部材に振れ止め支持されてもよい。
【0011】
本発明に係る冷媒配管ユニットにおいて、前記捩れ防止部材は鋼管により形成され、該鋼管はUバンドにより前記第1支持部材及び第2支持部材に固定され、該鋼管と該Uバンドとは溶接で接合されていてもよい。
【0012】
本発明に係る冷媒配管ユニットにおいて、前記第1支持部材の両端部には、吊り穴を有する吊りプレートが固定されていてもよい。
【0013】
また、本発明は、上記したいずれかの特徴を備えた冷媒配管ユニットを建物の建設現場で組み立てた後に該建物に取り付ける冷媒配管工法であって、前記建設現場の仮設足場を使用して、立て起こした前記複数本の冷媒縦配管を前記第1支持部材に固定すると共に前記第2支持部材に振れ止め支持し、前記第1支持部材と前記第2支持部材との間に前記捩れ防止部材を固定することで、前記冷媒配管ユニットを組み立てる工程と、揚重機によって、前記第1支持部材を介して前記冷媒配管ユニットを揚重して、前記建物の配管設置スペースに移動させる工程と、前記冷媒配管ユニットを前記配管設置スペースの所定位置に固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る冷媒配管工法において、前記冷媒配管ユニットを組み立てる工程は、前記仮設足場に取り付けたブラケット架台で前記第1支持部材及び前記第2支持部材を支持しながら行ってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補強鋼材を削減し、建設現場での施工を容易に行うことができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1〜
図6を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る冷媒配管ユニットについて詳細に説明する。
図1はタイプAの冷媒配管ユニットを示す正面図、
図2は冷媒配管ユニットを示す平面図、
図3はタイプBの冷媒配管ユニットを示す正面図、
図4は冷媒配管ユニットの第1支持部材に冷媒縦配管を固定する時に使用する固定金具を示す斜視図、
図5は冷媒配管ユニットの第1支持部材に冷媒縦配管を固定する時に使用する固定金具を示す斜視図、
図6(a)は冷媒配管ユニットの第1支持部材の端部に固定する吊りプレートを示す平面図、
図6(b)は冷媒配管ユニットの第2支持部材の端部に固定する固定プレートを示す平面図である。
【0019】
図1〜
図3に示されているように、本発明の実施の形態に係る冷媒配管ユニット10は、建物の配管設置スペースであるシャフト70の下部に設置されるタイプAの冷媒配管ユニット10Aと、シャフト70の最上部に設置されるタイプBの冷媒配管ユニット10Bと、を備えており、タイプBの冷媒配管ユニット10BはタイプAの冷媒配管ユニット10Aの上端部に接続される。冷媒配管ユニット10(10A,10B)は、幅が1700mm、奥行きが270mm、高さが8000mmの外形寸法を有し、約300kgの重量を有している。
【0020】
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、タイプAの冷媒配管ユニット10Aについて説明する。タイプAの冷媒配管ユニット10Aは、並設された複数本の冷媒縦配管11と、各冷媒縦配管11の上部を固定する第1支持部材12と、第1支持部材12より下方において各冷媒縦配管11を振れ止め支持する第2支持部材13と、第1支持部材12と第2支持部材13との間に渡設される捩れ防止部材14と、を備えている。
【0021】
冷媒縦配管11は、銅管15に耐熱ポリエチレンフォーム製の保温材16が巻装されて構成されている。銅管15は、6.35mm〜38.1mmの外径を有し、複数の銅管15が、りん銅ロウによりロウ付け接合されて構成されている。銅管15は、細い液管15aと太いガス管15bとが一対で設けられ、1つの冷媒配管ユニット10に合計で44本設けられている。液管15aには10mmの厚さの保温材16aが巻装され、ガス管15bには20mmの厚さの保温材16bが巻装されている。
【0022】
第1支持部材12は、長尺状(長さ1700mm)の鋼材である溝形鋼(125×65×6t×8t)により構成されている。第1支持部材12は、溝部分を下方に向けた姿勢で各冷媒縦配管11に対して直交する水平方向に配設されており、1つの冷媒配管ユニット10Aに対して1個設けられている。各冷媒縦配管11は、固定金具17により第1支持部材12の両側部にそれぞれ22本ずつ固定されている。各冷媒縦配管11は、その上部が第1支持部材12から上方に800mm程度延出した姿勢で支持されている。
図4に示されているように、第1支持部材12の両端部には、溝形鋼の溝部分を閉塞するように端部プレート18が固定されている。端部プレート18には2個の丸穴19が横並びで形成されている。
【0023】
固定金具17は、
図4に示されている、第1支持部材12の上板部20に立設されるベース金具21、保温材16(
図2参照)を切除後に冷媒縦配管11に巻着されるパイプサポート22、および、
図5に示されている、冷媒縦配管11とベース金具21とを接続する固定バンド23、とを備えて構成されている。さらに、切除された保温材16の代わりに固定バンド23を被覆する側面視でT字状の保温カバー(図示省略)が用いられる。
【0024】
図4に示されているように、ベース金具21は、第1支持部材12の上板部20に六角ボルト24により固定される水平板25と、水平板25に対して上方に直角に形成される鉛直板26と、により構成されている。水平板25の端部27は下方に直角に屈曲しており、この端部27を上板部20の角部に係止することで、ベース金具21が上板部20に位置決めされるようになっている。鉛直板26には、2個の横長の長穴28が横並びで形成されている。
【0025】
パイプサポート22は、円柱体を軸方向に半割りにした形状の2枚の湾曲板30a,30bにより構成されている、パイプサポート22は、2枚の湾曲板30a,30bを冷媒縦配管11に被せることで円柱状に形成されて冷媒縦配管11に装着される。パイプサポート22の外面の軸方向中央部には、周方向に鍔部31が円環状に形成されている。
【0026】
図5に示されているように、固定バンド23は、パイプサポート22を覆うように装着される円筒状部分32と、円筒状部分32の両周縁部からそれぞれ側方に延出する2枚の平板部分33と、により構成されている。円筒状部分32の軸方向中央部には、周方向にスリット穴34が形成されている。このスリット穴34にパイプサポート22の鍔部31が嵌合することで、固定バンド23がパイプサポート22に位置決めされるようになっている。2枚の平板部分33には、ベース金具21の長穴28に対応する位置に丸穴35が横並びで形成されている。2枚の平板部分33によってベース金具21の鉛直板26を挟持し、丸穴35及び長穴28を介して六角ボルト(図示省略)で締め付けることにより、冷媒縦配管11は固定バンド23を介して第1支持部材12に固定されるようになっている。
【0027】
図6(a)に示されているように、第1支持部材12の両端部の端部プレート18(
図4参照)には、吊りプレート36が固定されている。吊りプレート36の上端は湾曲した形状を有し、吊りプレート36の上端部には楕円形状の吊り穴37が形成されている。また、吊りプレート36には、中央部と下端部にそれぞれ2個ずつ、丸穴38,39が横並びで形成されている。中央部の丸穴38は端部プレート18の丸穴19に対応する位置に形成されている。これにより、各丸穴19,38を介してボルト(図示省略)で締結すると、吊りプレート36は、上端部を第1支持部材12から上方に突出させると共に下端部を第1支持部材12から下方に突出させた姿勢で、第1支持部材12の両端部に固定されるようになっている。
【0028】
再び、
図1を参照すると、第2支持部材13は、第1支持部材12から下方に4,000mmの位置の1箇所で、第1支持部材12に対して平行に設けられている。第2支持部材13は、第1支持部材12と同様に、長尺状(長さ1700mm)の鋼材である溝形鋼(125×65×6t×8t)により構成されている。第2支持部材13は、溝部分を下方に向けた姿勢で各冷媒縦配管11に対して直交する水平方向に配設されている。各冷媒縦配管11は、結束バンド41をビスで固定することにより第2支持部材13の両側部にそれぞれ22本ずつ振れ止め支持されている。各冷媒縦配管11は、その下部が第2支持部材13から下方に3200mm程度延出した姿勢で支持されている。第2支持部材13の両端部には、第1支持部材12の端部プレート18と同様に、溝形鋼の溝部を閉塞するように端部プレート(図示省略)が固定され、該端部プレートには2個の丸穴(図示省略)が横並びで形成されている。
【0029】
図6(b)に示されているように、第2支持部材13の両端部の前記端部プレートには、矩形状の固定プレート42が固定されている。固定プレート42には、上部と下部にそれぞれ2個ずつ、丸穴43,44が横並びで形成されている。上部の丸穴43は前記端部プレートの丸穴(図示省略)に対応する位置に形成されている。これにより、各丸穴43を介してボルト(図示省略)で締結することにより、固定プレート42は、下部を第2支持部材13から下方に突出させた姿勢で、第2支持部材13の両端部に固定されるようになっている。
【0030】
図1〜
図3に示されているように、捩れ防止部材14は、直径20mm〜50mmの鋼管により構成されている。捩れ防止部材14は、各冷媒縦配管11に対して平行に設けられ、1つの冷媒配管ユニット10Aに対して2本設けられている。捩れ防止部材14は第1支持部材12及び第2支持部材13の各一方の端部側(
図1及び
図2の左端部側)の各一方の側部(
図1の手前側部、
図2の下側部)にそれぞれ固定されると共に、第1支持部材12及び第2支持部材13の各他方の端部側(
図1及び
図2の右端部側)の各他方の側部(
図1の奥側部、
図2の上側部)にそれぞれ固定されている。捩れ防止部材14は、Uバンド45により第1支持部材12及び第2支持部材13に固定され、捩れ防止部材14とUバンド45とは溶接で接合されている。捩れ防止部材14の両端は、雨や埃の侵入を防止するため、キャップで閉塞されている。
【0031】
次に、
図2及び
図3を参照しつつ、タイプBの冷媒配管ユニット10Bについて説明する。なお、以下の説明において、上記したタイプAの冷媒配管ユニット10Aと同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
タイプBの冷媒配管ユニット10Bは、並設された複数本の冷媒縦配管11と、各冷媒縦配管11の上部を固定する第1支持部材12と、第1支持部材12より下方において各冷媒縦配管11を振れ止め支持する第2支持部材13と、第1支持部材12と第2支持部材13との間に渡設される捩れ防止部材14と、を備えている。
【0033】
冷媒縦配管11は、銅管15に耐熱ポリエチレンフォーム製の保温材16が巻装されて構成されている。銅管15は、細い液管15aと太いガス管15bとが一対で設けられ、1つの冷媒配管ユニット10に合計で44本設けられている。
【0034】
第1支持部材12は、長尺状(長さ1700mm)の鋼材である溝形鋼(125×65×6t×8t)により構成されている。第1支持部材12は、溝部分を下方に向けた姿勢で各冷媒縦配管11に対して直交する水平方向に配設され、1つの冷媒配管ユニット10Bに対して1個設けられている。各冷媒縦配管11は、固定金具17により第1支持部材12の両側部にそれぞれ22本ずつ固定されている。各冷媒縦配管11は、その上部が第1支持部材12から上方に250mm程度延出した姿勢で第1支持部材12に支持されている。第1支持部材12の両端部には、溝形鋼の溝部を閉塞するように端部プレート18(
図4参照)が固定され、端部プレート18に吊りプレート36(
図6(a)参照)が固定されている。
【0035】
第2支持部材13は、第1支持部材12から下方に650mmの位置及び第1支持部材12から下方に4650mmの位置の2箇所において、第1支持部材12に対して平行に設けられている。第2支持部材13は、第1支持部材12と同様に、長尺状(長さ1700mm)の鋼材である溝形鋼(125×65×6t×8t)により構成されている。各冷媒縦配管11は、結束バンド41により第2支持部材13の両側部にそれぞれ22本ずつ振れ止め支持されている。各冷媒縦配管11は、その下部が下側の第2支持部材13から下方に3100mm程度延出した姿勢で支持されている。第2支持部材13の両端部には、溝形鋼の溝部を閉塞するように端部プレート(図示省略)が固定され、該端部プレートに固定プレート42(
図6(b)参照)が固定されている。
【0036】
捩れ防止部材14は、直径20mm〜50mmの鋼管により構成されている。捩れ防止部材14は、各冷媒縦配管11に対して平行に設けられ、1つの冷媒配管ユニット10Bに対して2本設けられている。捩れ防止部材14は第1支持部材12及び2箇所の第2支持部材13の各一方の端部側(
図3左端部側)の各一方の側部(
図3の手前側部)にそれぞれ固定されると共に、第1支持部材12及び第2支持部材13の各他方の端部側(
図3の右端部側)の各他方の側部(
図3の奥側部)にそれぞれ固定されている。捩れ防止部材14は、Uバンド45により第1支持部材12及び2箇所の第2支持部材13に固定され、捩れ防止部材14とUバンド45とは溶接で接合されている。捩れ防止部材14の両端は、雨や埃の侵入を防止するため、キャップで閉塞されている。
【0037】
次に、
図1〜
図6に加えて
図7〜
図10を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る冷媒配管工法について詳細に説明する。
図7は冷媒配管ユニット10を組み立てる時に使用する仮設足場を示す平面図、
図8は冷媒配管ユニット10を組み立てる時に使用する仮設足場を示す側面図、
図9は冷媒配管ユニット10を組み立てる時に使用するブラケット架台を示す側面図、
図10は冷媒配管ユニット10を配管設置スペースの所定位置に固定する時に使用する門型支持架台を示す正面図である。
【0038】
本発明の実施の形態に係る冷媒配管ユニット10は、設置される建物の建設現場の加工組立て場50において、加工され、組み立てられる。
図7及び
図8に示されているように、加工組立て場50は、建築の外壁に設置される枠組み足場51の外側に設けられ、長さが7.2m、幅(奥行き)が1.3m、高さが13mのスペースを有している。加工組立て場50は、枠組み足場51に支持されるブラケット足場52により構成され、ブラケット足場52は上下2段に設けられている。
【0039】
加工組立て場50の中央部分には、2箇所に開口部53A,53Bが横並びで形成されており、各開口部53A,53Bは、それぞれ、長さが1.8m、幅(奥行き)が0.45mのスペースを有している。開口部53AはタイプAの冷媒配管ユニット10Aを組み立てるスペースとして使用され、開口部53BはタイプBの冷媒配管ユニット10Bを組み立てるスペースとして使用される。
【0040】
各開口部53A,53Bの上部には、揚重機としてベビーホイスト54が取り付けられ、各開口部53A,53Bの下部には、足場板55が取り付けられている。また、加工組立て場50には、枠組み足場51に支持されたブラケット架台56が設けられている。ブラケット架台56は平面視で各開口部53A,53Bを幅方向に横断するようにそれぞれ2箇所ずつ取り付けられ(
図7参照)、側面視で上下2段のブラケット足場52から所定の高さにそれぞれ設けられている(
図8参照)。
【0041】
図9に示されているように、ブラケット架台56は、アングル鋼(L−6×50)によって直角三角形状(幅400mm、高さ300mm)に形成されている。ブラケット架台56の鉛直部分57には、ブラケット架台56を枠組み足場51の単管にUボルトで固定するための固定部58が上下に取り付けられている。ブラケット架台56の水平部分59の中央部には、2個の丸穴60が横並びで形成されている。
【0042】
上記したように整備された加工組立て場50において、タイプAの冷媒配管ユニット10Aは開口部53Aを利用して加工され、組立てられる一方、タイプBの冷媒配管ユニット10Bは開口部53Bを利用して加工され、組立てられる。なお、タイプAの冷媒配管ユニット10AとタイプBの冷媒配管ユニット10Bの加工及び組立てる手順は同様であるため、以下の説明では、加工組立て場50の開口部53Aを利用して冷媒配管ユニット10Aを加工及び組立てる手順について説明する。
【0043】
まず、下段のブラケット足場52上の作業員は下側のブラケット架台56上に第1支持部材12を載置し、下側のブラケット架台56の丸穴60と吊りプレート36の下端部の丸穴39とをボルト(図示省略)で締結する。これにより、第1支持部材12をブラケット架台56に固定する。
【0044】
次に、地上の作業員は、冷媒縦配管11の所定箇所にパイプサポート22をロウ付けし、該冷媒縦配管11を立て起こす。下段のブラケット足場52上の作業員は、地上の作業員から前記冷媒縦配管11を受け取り、該冷媒縦配管11を固定金具17によって第1支持部材12に固定する。また、下段のブラケット足場52上の作業員は、捩れ防止部材14についても同様に地上の作業員から受け取り、該捩れ防止部材14をUバンド45によって第1支持部材12に固定する。
【0045】
次に、下段のブラケット足場52上の作業員は、第1支持部材12と下側のブラケット架台56との固定を解除した後、吊りプレート36の吊り穴37を利用して、第1支持部材12に固定された冷媒縦配管11及び捩れ防止部材14をベビーホイスト54によって上方に揚重する。上段のブラケット足場52上の作業員は、揚重された第1支持部材12を上側のブラケット架台56上に載置し、第1支持部材12を上側のブラケット架台56に固定する。
【0046】
また、下段のブラケット足場52上の作業員は、下側のブラケット架台56上に第2支持部材13を載置し、下側のブラケット架台56の丸穴60と固定プレート42の下部の丸穴44とをボルト(図示省略)で締結する。これにより、第2支持部材13をブラケット架台56に固定する。
【0047】
次に、下段のブラケット足場52上の作業員は、地上の作業員が所定箇所にパイプサポート22をロウ付けして立て起こした冷媒縦配管11を受け取り、結束バンド41をビスで取り付けることにより、該冷媒縦配管11を第2支持部材13に振れ止め支持する。この時、一対の液管15aとガス管15bを保温材16a,16bの上から結束バンド41でまとめて固定する。また、下段のブラケット足場52上の作業員は、捩れ防止部材14についても同様に地上の作業員から受け取り、該捩れ防止部材14をUバンド45によって第2支持部材13に固定する。
【0048】
次に、ブラケット足場52上の作業員は、系統毎に窒素置換しながら上下の冷媒縦配管11をロウ付け接続する。その後、冷媒縦配管11の外観検査を実施し、冷媒縦配管11の端部をキャップで養生する。
【0049】
上記したように加工組立て場50において加工及び組み立てられた冷媒配管ユニット10は、建物の配管設置スペースであるシャフト70内に設置される。
図10に示されているように、各シャフト70の床スラブ71には、冷媒配管ユニット10が貫通可能な細長い長方形状の開口72が形成されている。
【0050】
次に、冷媒配管ユニット10をシャフト70内に設置する手順について説明する。
まず、建物の建設現場に設置されている揚重機(クレーン)を使用して、加工組立て場50の開口部53AからタイプAの冷媒配管ユニット10Aを揚重する。タイプAの冷媒配管ユニット10Aは、吊りプレート36の吊り穴37を利用して上方に吊り上げられ、建物の屋上の開口からシャフト70の開口72を通って設置階のシャフト70に吊り下ろされる。
【0051】
設置階のシャフト70では、
図10に示されているように、各シャフト70内に、門型支持架台73が設置される。門型支持架台73は、シャフト70の開口72を幅方向(短辺方向)から跨ぐように床スラブ71上に支持される。門型支持架台73は、アングル鋼(L−50×50×6t)により門型に形成されている。門型支持架台73の水平部分74の中央部には、吊りプレート36の下端部の丸穴39及び固定プレート42の下部の丸穴44に対応する位置に、丸穴75が横並びで形成されている。したがって、丸穴39と丸穴75及び丸穴44と丸穴75を利用して水平部分74と吊りプレート36及び固定プレート42とをボルト(図示省略)で締結することにより、第1支持部材12及び第2支持部材13はそれぞれ門型支持架台73に固定される。
【0052】
次に、タイプBの冷媒配管ユニット10Bについても、上記した手順と同様の手順で、タイプAの冷媒配管ユニット10Aの上方のシャフト70内に吊り下ろされ、設置階の門型支持架台73に固定される。
【0053】
次に、タイプAの冷媒配管ユニット10Aの各冷媒縦配管11の上端部を拡幅加工した後、タイプBの冷媒配管ユニット10Bの固定金具17を取外す。これにより、冷媒配管ユニット10Bの各冷媒縦配管11はシャフト70内を降下し、冷媒配管ユニット10Bの各冷媒縦配管11の下端部は冷媒配管ユニット10Aの各冷媒縦配管11の上端部に挿し込まれる。そして、系統毎に窒素置換しながら挿し込まれた部分の冷媒縦配管11をロウ付け接続した後、冷媒縦配管11の気密試験を行う。なお、気密試験の手順は、従来の手順と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0054】
上記した本発明の実施の形態によれば、冷媒配管ユニット10を建物の建設現場で組み立てることにより、冷媒配管ユニット10の立て起こし作業が不要となるため、補強鋼材の重量を従来に比べて1/5程度に削減することができる(例えば、従来の場合が300kg必要であったのに対して、本発明の場合は65kgで済む)。
【0055】
また、補強鋼材は、冷媒配管ユニット10を揚重した時の捩れ防止だけのために設ければよいため、細くすることができ、軽量化が可能となる。したがって、建設現場での揚重時間の短縮化を図ることができ、揚重作業を簡単に行うことができる。
【0056】
また、建設現場の加工業者が冷媒配管ユニット10の加工及び組立て作業を行うことができるため、作業の平準化を図ることができる。
【0057】
また、冷媒縦配管11の据え付け作業を早期に行うことができるため、建築工程との調整作業を減少させることができる。
【0058】
また、冷媒配管ユニット10を工場で製造しないため、早期に図面を確定したり、冷媒配管ユニット10の製造状態を工場で検査及び確認したりする作業が不要となると共に、大型トラックによる工場から建設現場まで搬送作業が不要となる。
【0059】
なお、上記した本発明の実施の形態では、捩れ防止部材14に鋼管を使用しているが、長尺状の鋼材であれば、鋼管でなくてもよい。
【0060】
また、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る冷媒配管ユニット及び冷媒配管工法における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【解決手段】本発明は、設置される建物の建設現場で組み立てられる冷媒配管ユニット10であって、並設された複数本の冷媒縦配管11と、各冷媒縦配管11に対して直交する方向に設けられ、各冷媒縦配管11の上部を固定する第1支持部材12と、第1支持部材12より下方において第1支持部材12に対して平行に設けられ、各冷媒縦配管11を振れ止め支持する第2支持部材13と、各冷媒縦配管11に対して平行に設けられ、第1支持部材12と第2支持部材13との間に渡設される捩れ防止部材14と、を備えていることを特徴とする。