(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二腔式脱血カニューレは、前記第一脱血管の前記遠位端が患者の右心房内にあり、かつ、前記第二脱血管の前記遠位端が前記患者の肺動脈内にある前記患者の血管系を通して操作するのに適合している請求項1に記載のVA ECMOシステム。
【背景技術】
【0003】
伝統的な静動脈体外式膜型人工肺(VA ECMO)は、右心室不全や呼吸不全を経皮的に治療するために使用される現在の標準看護法である。VA ECMO法は、右心房から脱血し、ポンプにより加圧して人工肺を通し、大腿動脈を経由して動脈循環内に送血する。VA ECMOは、肺および心臓を完全に迂回し、動脈圧を上昇させ、酸素が供給されて二酸化炭素が減少した血液を動脈系内に返血する。この療法の結果として、心臓内に残った血液が左心室から送出するために高圧に加圧される必要が生じる。なぜなら、VA ECMOにより動脈圧が上昇するためである。送血に必要な圧力が高くなることは、左心室にかかる負荷が大きくなることを意味する。
【0004】
伝統的なVA ECMOシステムでは、第一のカニューレは脱血するために右心房に配置され、別個の第二カニューレは酸素が供給された(および二酸化炭素が除去された)血液を高圧で送血するために動脈に配置される。一部の血液が右心房の脱血カニューレを素通りすることは避けられず、いったん右心室内に流入した血液は、心臓弁の働きによりVA ECMOシステム内に排出されることができない。その代りに血液は左心室内に流入するので、左心室は、VA ECMOシステムより血圧が高められた動脈系に血液を送出しなければならない。これは、心臓に追加の負荷を与える。心筋が重度に衰弱した患者では、左心室は高圧の動脈系に送血することができず、左心室の拡張を誘発し緊急措置が必要になる。左心室が送血できる患者であっても、肺内に血液が滞留するおそれがある。どちらの場合にも一般的には手術が必要になり、(a)肺動脈内に第二脱血カニューレを挿入する手術、(b)ECMO回路と一緒に作動するポンプを移植する手術、または、(c)左心房内に経中隔カニューレを挿入する手術、が行われる。
【0005】
左心室が拡張される場合は、血液を排出して左心室が連続的に拡張するのを防止するために左心室内にカニューレを配置するための緊急措置が必要とされる。この緊急措置は、手術、または、追加の装置の使用、のいずれかであり、追加の費用や、出血や他の問題を伴う追加のアクセス部位が必要になる。過度の左心室拡張を伴わずに肺内で血液が滞留した場合は、費用のかかる、および/または、侵襲性の、治療を用いて治療されない限り、肺内の血液の滞留によって肺の損傷が引き起こされるおそれがある。手術、または、追加の装置の使用、とはすなわち、肺動脈内または左心系(左心房または左心室)内へのカニューレの挿入である。
【0006】
伝統的なVA ECMOシステムおよび方法の主要な欠点の一つは、それらが心臓の負荷を十分には取り除くわけではないこと、および、緊張した筋肉上の仕事量を減少させること、である。一つの既存のVA ECMOシステムでは、一本の脱血カニューレは右心房から脱血するように構成されており、別個の第二カニューレは肺動脈から脱血するように構成されている。肺動脈カニューレは、右心房の脱血カニューレを素通りした血液を排出する。また、左心房内の残留血液も排出し、それにより左心房内の血圧を下げ心臓にかかる追加の負荷を防止する。すなわち、左心室に負荷がかからないVA ECMOを実現する。血液は、両方のカニューレから抜き取られ、ポンプにより加圧されて人工肺を通り、別個の第三カニューレを介して大腿もしくは鎖骨下から動脈循環内へ送血される。
【0007】
伝統的なVA ECMOシステムおよび方法には、多数の欠点がある。VA ECMO法に使用される伝統的なカニューレは、単一の内腔を有し、複数の挿入部位で挿入される。複数の挿入部位は、出血、血管損傷および感染症のリスクを高めるとともに、患者に疼痛や不快感を与えるおそれがある。さらに、これらのカニューレは、短期間救急治療のために設計および構築される。当分野において多腔式カニューレは存在するが、そのようなカニューレは、一般に、二つの別個の部位から脱血するようには構成されていない。例えば二腔式カニューレを使用すると、一つの内腔を通じて右心房から脱血し、第二の内腔を通じて肺動脈に返血することによって、右心系の負荷を取り除くことができる。このような二腔式カニューレの例として、本明細書に全体として組み込まれる米国特許出願公開第2013/0158338号明細書に記載されているものが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記を考えると、多腔式脱血カニューレを備え、挿入点が一点のみであるVA ECMOシステムおよび方法が求められる。さらに言えば、アクセス部位が複数になることを避け、出血、血管損傷、および、感染症、を避けるとともに、患者の疼痛や不快感を与えない多腔式脱血カニューレを有するVA ECMOシステムおよび方法が求められる。さらに加えて、頸部もしくは鼠径部領域にアクセス部位を設けることで患者の歩行を可能にした、多腔式脱血カニューレを有するVA ECMOシステムおよび方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一つの態様によると、VA ECMOシステムは、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間で延びる側壁と、を有する第一脱血管と、前記第一脱血管と同軸上に配置されていて、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間で延びる側壁と、を有する第二脱血管と、を有する二腔式脱血カニューレ;ポンプ入口およびポンプ出口を有し、前記ポンプ出口は前記第一脱血管および第二脱血管と流体連通するように構成された血液ポンプ;人工肺入口および人工肺出口を有し、前記人工肺入口は前記ポンプ出口と流体連通するように構成された人工肺;および前記人工肺出口と流体連通するように構成された返血カニューレ、を備え、前記第一脱血管の遠位端は複数の第一脱血口を有し、前記第二脱血管の遠位端は複数の第二脱血口を有するように、構成することができる。
【0011】
本開示の他の態様によると、VA ECMOシステムおよび方法は、以下の項の一つ以上を特徴としてもよい:
【0012】
第1項
静動脈体外式膜型人工肺(VA ECMO)システムであって:
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間で延びる側壁と、を有する第一脱血管と、
前記第一脱血管と同軸上に配置されていて、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間で延びる側壁と、を有する第二脱血管と、を有する二腔式脱血カニューレ;
ポンプ入口およびポンプ出口を有し、前記ポンプ出口は前記第一脱血管および第二脱血管と流体連通するように構成された血液ポンプ;
人工肺入口および人工肺出口を有し、前記人工肺入口は前記ポンプ出口と流体連通するように構成された人工肺;および
前記人工肺出口と流体連通するように構成された返血カニューレ、を備え、
前記第一脱血管の遠位端は複数の第一脱血口を有し、前記第二脱血管の遠位端は複数の第二脱血口を有するVA ECMOシステム。
【0013】
第2項
前記第一脱血管および前記第二脱血管は、前記第一脱血管が前記第二脱血管の内側に配設されるように同軸上に配置される第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0014】
第3項
前記第一脱血管は前記第二脱血管よりも長い第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0015】
第4項
前記第一脱血管および前記第二脱血管を前記ポンプ入口に接続するコネクタをさらに有する第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0016】
第5項
前記複数の第一脱血口は前記第一脱血管の外周の周囲に環状パターンで前記第一脱血管の前記側壁を通って延びる第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0017】
第6項
前記複数の第二脱血口は前記第二脱血管の外周の周囲に環状パターンで前記第二脱血管の前記側壁を通って延びる第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0018】
第7項
前記複数の第一脱血口は前記第一脱血管の長手軸に垂直な方向で前記第一脱血管の前記側壁を通って延びる第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0019】
第8項
前記複数の第二脱血口は前記第二脱血管の長手軸に垂直な方向で前記第二脱血管の前記側壁を通って延びる第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0020】
第9項
前記複数の第一脱血口は前記第一脱血管の長手軸に対して鋭角もしくは鈍角で前記第一脱血管の前記側壁を通って延びる第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0021】
第10項
前記複数の第二脱血口は前記第二脱血管の長手軸に対して鋭角もしくは鈍角で前記第二脱血管の前記側壁を通って延びる第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0022】
第11項
前記複数の第一脱血口は前記第一脱血管の長手軸に沿って前記複数の第二脱血口から所定の間隔だけ離れている第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0023】
第12項
前記所定の間隔は、患者の年齢、患者の体格、および、所望の流量の内の少なくとも一つに基づいて選択される第11項に記載のVA ECMOシステム。
【0024】
第13項
前記血液ポンプは、遠心ポンプ、軸流ポンプ、または、ローラ式ポンプである第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0025】
第14項
前記血液ポンプの作動を制御するためのコントローラをさらに含む第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0026】
第15項
記二腔式脱血カニューレは、前記第一脱血管の前記遠位端が患者の右心房内にあり、かつ、前記第二脱血管の前記遠位端が前記患者の肺動脈内にある前記患者の血管系を通して操作するのに適合している第1項に記載のVA ECMOシステム。
【0027】
多腔式脱血カニューレを有するVA ECMOシステム、部品の構造や組み合わせといった関連要素の動作や機能の方法、および、製造の経済性は、それらの全てが本明細書の一部を構成する添付の図面を参照しながら下記の説明および添付の特許請求項を考察することでより明白になるであろうが、このとき同様の参照番号は様々な図面において対応する部分を指定する。しかし、図面は具体的に例示および説明することだけを目的としていることを明確に理解すべきである。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するように、単数形「一つの(a、an)」および「その(the)」は、単数であることが明確に文脈から読み取れない限り、複数形を含む。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明のために、用語「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「横方向」、「長手方向」およびそれらの派生語は、図面において方向付けられているように本開示に関するものとする。シリンジに関連して使用される場合、用語「近位」は、カニューレを取り扱う医療従事者により近いカニューレの部分に関する。用語「遠位」は、カニューレを取り扱う医療従事者からより遠いカニューレの部分に関する。しかし本開示は、明示的に否定していない限りは、別の変形および工程の順序を想定することができる。さらに、添付の図面に例示し、下記の明細書に記載した特定の装置および方法は、本開示の単に典型的な態様であると理解すべきである。そこで、本明細書に開示した態様に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的であると見なすべきではない。
【0030】
図9から11を参照してVA ECMOシステムおよび方法の様々な態様について考察する。なお、同様の参照文字は、複数の図面を通して同様の部位を意味する。様々な態様では、本明細書で考察したVA ECMOシステムおよび方法は、多腔式脱血カニューレを利用する。一部の非限定的な態様では、同軸の二腔式脱血カニューレ10(以下では「脱血カニューレ10」と称する)が示されている。最初に
図1、2を参照すると、一つの態様による組立て脱血カニューレ10は、概して第一長さを有する第一脱血管12および第二長さを有する第二脱血管14を含む。一部の態様では、第一脱血管12の第一長さは第二脱血管14の第二長さより長い。
【0031】
第一脱血管12は、第二脱血管14の内側に、中心軸16を軸とする同軸上に配置されている。他の態様では、第一および第二脱血管12、14は、それらの長さ方向に沿う管12、14の軸芯との並列配列で配列することができる。第一脱血管12および第二脱血管14の各々は、第一内腔を規定する第一円周および第二内腔を規定する第二円周をそれぞれ有する。第一脱血管12の第一円周は、第一脱血管12を第二脱血管14の第二内腔内に配置できるように、第二脱血管14の第二円周より小さい。第一脱血管12および第二脱血管14の一方または両方は、例えばポリウレタンなどの医療用材料から製造することができる。または、第一脱血管12および第二脱血管14の一方または両方は、PVCまたはシリコーンから製造することができ、ディップ成形、押出成形、共成形することができ、または他の任意の好適な製造技術を使用して製造することができる。
【0032】
脱血カニューレ10は、患者の身体内に脱血カニューレ10を配置するのに適合する十分な空間的余裕を有する。脱血カニューレ10を患者の身体内に挿入する際には、脱血カニューレ10を案内するための挿入治具(図示していない)を使用することができる。
【0033】
望ましくは、カニューレの挿入部位は、患者の頸部領域上の内頸静脈または患者の鼠径部領域上の大腿静脈に設けられる。脱血カニューレ10は、肺動脈へのアクセス部位を備える右心房の上方または下方に配置するように取り付けられる。引き続き
図1、2を参照すると、脱血カニューレ10は、患者の心臓から直接脱血するように構成されている。抜き出された血液は、本明細書に記載したように人工肺において血液に酸素を供給したした後に返血カニューレを介して患者の心臓内に返血される。一部の態様では、第一脱血管12は肺動脈から脱血するように構成されており、第二脱血管14は右心房から脱血するように構成されている。
【0034】
複数の第一脱血口18は、第一脱血管12の遠位端に設けられている。一つの態様では、複数の第一脱血口18は、第一脱血管12の外周の周囲に延びる環状パターンで配列することができる。一部の態様では、複数の第一脱血口18は、第一脱血管12の長さ方向に沿った様々な部位に設けられた複数の群で配置することができる。同様に、第二脱血管14は、第二脱血管14の遠位端に設けられた複数の第二脱血口20を含む。一つの態様では、複数の第二脱血口20は、第二脱血管14の外周の周囲に延びる環状パターンで配列することができる。他の態様では、複数の第二脱血口20は、第二脱血管14の長さ方向に沿った様々な部位に設けられた群で配列することができる。第一脱血口18は、脱血カニューレ10の長さ方向に沿って軸方向に間隔Dだけ第二脱血口20から分離されている。脱血カニューレ10の様々な態様では、第一脱血口18の第二脱血口20からの軸方向の距離は、患者の肺動脈と右心房との間隔に基づく。この間隔は、患者の年齢および体格に基づいて変動する可能性がある。例えば、所望のパターンに沿って特定の全長および径ならびに第一脱血口18と第二脱血口20との間隔を有する脱血カニューレ10は、患者の年齢および/または体格に基づいて選択することができる。
【0035】
続けて
図1、2を参照すると、コネクタ22は、脱血カニューレ10の近位端に設けられている。コネクタ22は、本明細書に記載したように、
図1に示した矢印の方向に血液を第一脱血管12から血液ポンプに移すために第一脱血管12と流体連通している第一出口部分23を含む。コネクタ22の第一出口部分23は、また、本明細書に記載したように、
図1に示した矢印の方向に血液を第二脱血管14から血液ポンプへ移すために第二脱血管14とも流体連通している。第一出口部分23は、第一および第二出口部分24、26と流体連通している。第一および第二出口部分24、26は、第一および第二脱血管12、14からつながる流体経路が、コネクタ22の遠位端での同軸配列から、コネクタ22の近位端での軸がずれた配列へ遷移するように設計されている。コネクタ22は、溶血および滞留を回避するために血流路を流線形の一貫した流路に制限する。一部の態様では、第一および第二出口部分24、26は、血液ポンプへ導く追加の管路に接続するための有刺取付具を有することができる(
図9に示されている)。
【0036】
引き続き
図1、2を参照し、加えて
図3、4を参照すると、第一脱血管12が脱血カニューレ10と分離して例示されている。第一脱血管12は、実質的に円筒形を有し、第一脱血管12の第一近位端30から第一遠位端32に延びる第一の細長本体28を有する。第一細長本体28は、第一脱血管12の全長を通って延びる第一内腔29を含む。第一近位端30は、第一脱血管12をコネクタ22の第一出口部分23に結合するための第一コネクタ部分34を含む(
図1に示されている)。第一脱血管12の第一細長本体28は、第一細長本体28の周囲で円周方向に延びる第一側壁36によって規定された中空構造を有する。第一側壁36は、第一細長本体28の第一遠位端32で第一テーパ区間38を備えて、第一細長本体28の長さを通して実質的に一定の厚さを有する。第一細長本体28の第一近位端30では、第一コネクタ部分34内に移行する前に第一側壁36の厚さが徐々に増加し、血流路は溶血や滞留を回避するために流線形に加工される。第一遠位端32に位置する第一テーパ区間38はより薄い第一側壁36を有するが、第一脱血管12の内径は一定である。第一テーパ区間38は、患者の身体内への第一脱血管12のより容易な挿入を可能にする。
【0037】
図4を特に参照すると、第一脱血管12の第一遠位端32が示されている。複数の第一脱血口18は、第一脱血管12の第一遠位端32に設けられている。複数の第一脱血口18は、第一遠位端32の周囲で円周方向に延びる。第一脱血口18の各々は、例えば、約0.094±0.010インチの径を有する。複数の第一脱血口18は、第一脱血管12の円周の周囲に配列された軸をずらした配列による別のパターンによっても配列することができる。複数の第一脱血口18の各々は、第一側壁36の厚さを方向に延びる。一つの態様では、六つの第一脱血口18は、第一脱血管12上に設けることができる。
図3、4に例示した第一脱血口18は、第一細長本体28の長手軸に垂直な方向に第一側壁36を通って延びる。または、複数の第一脱血口18は、第一側壁36の厚さ方向に向けて、第一細長本体28の長手軸に対して傾斜するように延びることができる。例えば、複数の第一脱血口18は、第一脱血管12の横断平面に対して鋭角もしくは鈍角で配列することができ、第一細長本体28の長手軸に対して垂直に延びることができる。一つの態様では、一つ以上のセンサ(図示していない)を、第一脱血管12の第一遠位端32に設けることができる。センサは、例えば、局所血圧および/または酸素濃度を測定するために取り付けることができる。第一脱血管12の少なくとも一部分は、例えば、第一脱血管12とともに少なくとも部分的に包埋されたワイヤを用いて強化することができる。さらに、第一脱血管12の少なくとも一部分は、例えば、患者の血管系内の第一脱血管12の位置決めを支援するために、X線透視法もしくはシネアンギオグラフィ下で見ることのできるX線不透過性マーカなどの一つ以上の指標を有することができる。
【0038】
複数の第一脱血口18の総断面積は、第一内腔29の断面積とほぼ同等以上であることが好ましい。複数の第一脱血口18の総断面積が第一内腔29の断面積より小さい場合は、望ましくない血圧低下が発生する可能性がある。この血圧低下は第一内腔29内の血液処理量を低下させ、第一脱血管12の効率を損なう。複数の第一脱血口18の総断面積は、第一脱血口18の一つ以上が詰まった場合であっても残りの第一脱血口18の総断面積が第一内腔29の断面積と同等以上であるように、第一内腔29の断面積より大きいことが好ましい。この方法で、第一内腔29を通る血流量は、第一脱血口18の一つ以上が詰まった場合であっても最大化される。第一脱血管12は、第一脱血管12の第一遠位端32に設けられた複数の第一脱血口18が患者の心臓の右心房内に配置されるように、患者の血管系内に配置するように構成されている。
【0039】
引き続き
図1、2を参照し、加えて
図5、6を参照すると、第二脱血管14は脱血カニューレ10と分離して例示されている。第二脱血管14は、実質的に円筒形を有し、第二脱血管14の第二近位端42から第二遠位端44に延びる第二の細長本体40を有する。第二細長本体40は、第二脱血管14の全長を通って延びる第二内腔46を含む。第二近位端42は、第二脱血管14をコネクタ22の第一出口部分24に結合するための第二コネクタ部分47を含む(
図1に示されている)。第二脱血管14の第二細長本体40は、第二細長本体40の周囲で円周方向に延びる第二側壁48によって規定された中空構造を有する。第二側壁48は、第二細長本体40の第二遠位端44で第二テーパ区間50を備えて、第二細長本体40の長さを通して実質的に一定の厚さを有する。第二細長本体40の第二近位端42では、第二側壁48は、第二コネクタ部分47内に移行する前に厚さが徐々に増加する。第二遠位端44に位置する第二テーパ区間50は、より薄い第二側壁48を有するが、第二内腔46の内径は一定である。第二テーパ区間50は、患者の身体内への第二脱血管14のより容易な挿入を可能にする。
【0040】
図6を特に参照すると、第二脱血管14の第二遠位端44が示されている。複数の第二脱血口20は、第二脱血管14の第二遠位端44に設けられている。複数の第二脱血口20は、第二遠位端44の周囲で円周方向に延びる。第二脱血口20の各々は、例えば、約0.120インチ±0.010インチの径を有する。複数の第二脱血口20は、第二脱血管14の円周の周囲に配列された軸をずらした配列による別のパターンによっても配列することができる。複数の第二脱血口20の各々は、第二側壁48の厚さ方向に延びる。一つの態様では、十八の第二脱血口20は、第二脱血管14上に設けられる。
図5、6に例示した第二脱血口20は、第二細長本体40の長手軸に垂直な方向に第二側壁48を通って延びる。または、複数の第二脱血口20は、第二側壁48の厚さ方向に向けて、第二細長本体40の長手軸に対して傾斜するように延びることができる。例えば、複数の第二脱血口20は、第二脱血管14の横断平面に対して鋭角もしくは鈍角で配列することができ、第二細長本体40の長手軸に対して垂直に延びることができる。一つの態様では、一つ以上のセンサ(図示していない)を、第二脱血管14の第二遠位端44に設けることができる。センサは、例えば、局所血圧および/または酸素濃度を測定するために取り付けることができる。第二脱血管14の少なくとも一部分は、例えば、第二脱血管14とともに少なくとも部分的に包埋されたワイヤを用いて強化することができる。さらに、第二脱血管14の少なくとも一部分は、例えば、患者の血管系内の第二脱血管14の位置決めを支援するために、X線透視法もしくはシネアンギオグラフィ下で見ることのできるX線不透過性マーカなどの一つ以上の指標を有することができる。
【0041】
複数の第二脱血口20の総断面積は、第二内腔46の断面積とほぼ同等以上であることが好ましい。複数の第二脱血口20の断面積が第二内腔46の断面積より小さい場合は、望ましくない血圧低下が発生する可能性がある。この血圧低下は第二内腔46内の血液処理量を低下させ、第二脱血管14の効率を損なう。複数の第二脱血口20の総断面積は、第二脱血口20の一つ以上が詰まった場合であっても残りの第二脱血口20の総断面積が第二内腔46の断面積と同等以上であるように、第二内腔46の断面積より大きいことが好ましい。この方法で、第二内腔46を通る血流量は、第二脱血口20の一つ以上が詰まった場合であっても最大化される。第二脱血管14は、第一脱血管12の第二遠位端44に設けられた複数の第二脱血口20が患者の心臓の肺動脈内に配置されるように、患者の血管系内に配置するように構成されている。
【0042】
図7を参照すると、
図1、2に示された脱血カニューレ10が断面形で例示されている。第二脱血管14の第二遠位端44は、
図8に示したように、第二テーパ区間50の長さ方向に沿って第一脱血管12に固定的に取り付けられている。第一脱血管12および第二脱血管14は、第一脱血管12および第二脱血管14が相互に接続されることなくコネクタ22の内側で交差するような方法で、コネクタ22に結合されている。
【0043】
図9を参照すると、脱血カニューレ10を有するVA ECMOシステムが一つの態様にしたがって例示されている。VA ECMOシステム60には、右心房64内に配置するように構成された第一脱血管12、および、患者の肺動脈62内に配置するように構成された第二脱血管14、を有する脱血カニューレ10が含まれる。第一および第二脱血管12、14は、血液が複数の第一および第二脱血口18、20の各々を通して第一および第二脱血管12、14の各内腔29、46(
図8に示されている)内に流入できるように、右心房64および肺動脈62内に各々配置される。
【0044】
脱血カニューレ10のコネクタ22は、血液をポンプ70の入口68に送達する入口導管66に接続することができる。一部の態様では、コネクタ22は、ポンプ70の入口68に直接的に接続することができる。ポンプ70は、システムを通る適正な流量を作り出すことができる任意の遠心ポンプ、軸流ポンプ、混合式ポンプ、または、ローラ式ポンプであってよい。このようなポンプとして、Cardiac Assist,Inc.製のTANDEMHEARTポンプ、Medtronic,Inc.製のBIOMEDICUSポンプ、Jostra Medizintechnik AG製のROTAFLOWポンプ、Levitronix,LLC製のCENTRIMAGポンプ、Terumo Cardiovascular Group製のSARNS DELPHINポンプ、Cobe Cardiovascular,Inc製のREVOLUTIONポンプなどが例示されるが、これらに限定されない。ポンプ70は、例えば、ストラップを用いて、またはポケット内にポンプ70を保持するホルスタ72を用いて患者に固定することができる。ホルスタ72は、患者の腹部、肩、または、脚の周囲に巻き付けることができる。コントローラ74は、ポンプ70の作動を制御するために設けることができる。コントローラ74は、ポンプ70内に組み込まれていてもよい。ポンプ70は、人工肺78に人工肺入口80で血液を送達するためのポンプ出口76をさらに有する。人工肺78は、ホルスタ72に固定することができる。ポンプ出口76は、人工肺入口80に直接的に接続することができる。一部の態様では、ポンプ出口76は、出口導管82によって人工肺入口80に接続することができる。
図12を参照すると、人工肺78は、人工肺入口80から人工肺出口86へ流動する血液に酸素を供給するための人工肺膜84または他の要素を含んでいる。酸素が供給された血液は、返血カニューレ88を通って患者の身体内の動脈に送達される(
図9に示されている)。
図9は患者の鎖骨下動脈90に接続された返血カニューレ88を例示しているが、他の態様では、返血カニューレ88は、患者の大腿動脈92(
図10に示されている)、鎖骨下動脈または患者の血管系の他の動脈に接続されていてもよい。
【0045】
脱血カニューレ10を使用する一つの利点は、脱血カニューレ10によって、右心房供血部位が静脈流の大半、例えば、(5(L/分)の典型的な全身血流のうち)4L/分を排出できることである。このとき肺動脈内腔には残りの1L/分が排出される。脱血カニューレ10を使用しない場合は、全5L/分の静脈流を完全に排出させるためには、肺動脈内の単一カニューレでは不十分であるため、二本の別個のカニューレが必要とされるであろう。脱血カニューレ10は、血液を肺動脈および右心房から左心房内の任意の残留血液に加えて排出させる。それにより左心房圧が低下し、心臓への負荷が増すことを防止する。すなわち、左心室に負荷を与えないVA ECMOを実現する。血液は、患者の心臓内の二つの部位から単一挿入部位を通って脱血され、人工肺に通してポンプ送血され、別個の返血カニューレ88を通って大腿動脈内、鎖骨下動脈内、または、他の動脈内から患者の動脈循環内に返血される。
【0046】
一部の態様によると、少なくとも二つの軸を異にする脱血口を有する単一内腔のカニューレ(図示していない)を使用すると、右心房および肺動脈からそれぞれ別個に血液を抜き出すことができ、これらは肺底を越える最小血圧低下を通してさらに左心房から排出させるであろう。脱血口間の血流を防止するために、少なくとも一つの膨張式バルーンを、脱血口間に設けることができる。
【0047】
脱血カニューレ10およびVA ECMOシステム60のいくつかの非限定的態様について記載してきたが、以下では、脱血カニューレ10を使用して患者の心臓の左心系および右心系から負荷を取り除くための典型的および非限定的方法について
図9、10を参照して説明する。初めて使用する前に、脱血カニューレ10を含有するパッケージ(図示していない)について、損傷の有無および使用期限を検査する。損傷しておらず使用期限内であれば、無菌技術を使用して脱血カニューレ10を滅菌野に移す。
【0048】
使用時において、脱血カニューレ10は、ECMOシステムに接続する前に、経皮的手技で患者の血管系内に挿入する。最初に、患者の内頸静脈94(
図9、10)または大腿静脈96(
図11)にアクセスするために、経皮的エントリーニードル(図示していない)が用いられる。例えば最大径0.038インチ(0.965mm)および最小長さ170cmを有するガイドワイヤを血管系内に挿入する。一部の態様では、ガイドワイヤの位置決めは、適切な可視化技術を使用して検証する。次の工程では、患者の活性凝固時間を、およそ400秒間にわたりチェックする。
【0049】
次の工程では、患者の血管系内に挿入するために脱血カニューレ10を準備する。脱血カニューレ10は、最初に保護シース(図示していない)から止血キャップを備える挿入治具を取り外すことによって組み立てる。挿入治具の遠位先端が閉塞していないことを確認するために挿入治具を食塩用液でフラッシュ洗浄した後、止血キャップが第一コネクタ部分34上にしっかりと嵌まるまで第一脱血管12内に挿入治具を挿入する。次に止血キャップを第二脱血管14に固定する。一部の態様では、医療従事者が挿入治具および止血キャップを正確な脱血管内に挿入することを支援するために、例えば「遠位」および「近位」各々などの指標が第一および第二脱血管12、14に表示されていてもよい。次に、挿入治具/脱血カニューレ・アッセンブリは、患者の血管系内の所望の位置内にガイドワイヤに被せて誘導される。
【0050】
詳細には、挿入治具/脱血カニューレ・アッセンブリは、アッセンブリが所望の位置に到達するまでガイドワイヤに従って挿入される。一部の態様では、挿入治具/脱血カニューレ・アッセンブリは、第一脱血管12の第一遠位端32内に配置された例えばX線不透過性マーカなどの指標を使用して所望の位置内に誘導することができる。これらの指標は、蛍光透視法、経胸的心エコー法、または、シネアンギオグラフィの下で可視化されるものである。挿入治具/脱血カニューレ・アッセンブリの位置は、国際公開第2015/139031号明細書に記載された可視化システムによって誘導および検証することができる。一部の態様では、第一脱血管12上の第一脱血口18は右心房内に、第二脱血管14上の第二脱血口20は肺動脈内に、それぞれ配置することができる。脱血カニューレ10の位置に注目して記録した後、挿入治具を取り出すことができる。このとき、失血を最小限に抑えるために脱血カニューレ10上に止血キャップが残される。脱血カニューレ10は、挿入治具が取り出されるときに第一脱血管12の上に指示されたクランプゾーンでクランプすることができる。次に、第二脱血管14から止血キャップを取り外すことができる。
【0051】
脱血カニューレ10を血液ポンプ70に接続するために、ウェット・ツー・ウェット(wet−to−wet)接続、もしくは他のタイプの接続が脱血カニューレ10とポンプ70に接続されるチュービングとの間で行われる。脱血カニューレ10の両方の管は、コネクタ22とポンプ70の入口とに接続されなければならず、脱血カニューレ10はねじれさせてはならない。脱血カニューレ10の正確な位置決めおよび挿入深さを検証した後、脱血カニューレ10は、例えば縫合ウィングを用いて縫合することによって、患者に固定することができる。患者の血液をこのシステムに通して循環させるために血液ポンプ70のスイッチを入れる前に、およそ180〜220秒間にわたり患者の活性凝固時間をチェックする。使用中、血液ポンプ70は、血液に酸素を供給するために第一および第二脱血管12、14を通して抜き出された血液を人工肺78に通してポンプ送血し、血液は次に返血ライン86を介して患者に返血される。使用後、ポンプ70のスイッチを切り、ポンプ入口および出口をクランプ締めする。チューブを切断し、ポンプ70を取り外すことができる。患者に脱血カニューレ10を固定している縫合糸は全て取り外すことができ、脱血カニューレ10を患者から抜去する。次に穿刺部位を処置して手当てすることができる。
【0052】
本開示については現在最も実用的で好ましい態様であると考えられることに基づいて例示するために詳細に記載してきたが、このような詳細はその目的のためだけであり、本開示は開示した態様に限定されるものではなく、むしろ、改変された構成および同等の構成をカバーすることが意図されていると理解すべきである。例えば、本開示は、可能な限り、いずれかの態様の一つ以上の特徴はいずれかの他の態様の一つ以上の特徴と結び付けることができることを企図していると理解すべきである。
【0053】
〔その他の態様〕
本開示の一つの態様によると、VA ECMOシステムは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる側壁と、を備える第一脱血管を有する二腔式脱血カニューレを含むことができる。二腔式カニューレは、さらに、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる側壁と、を備える、第一脱血管と同軸上に配置された第二脱血管を有することができる。コネクタは、第一脱血管と第二脱血管とを流体連通するように構成することができる。VA ECMOシステムは、さらに、ポンプ入口およびポンプ出口を備える血液ポンプを有することができる。ポンプ出口は、コネクタと流体連通するように構成することができる。VA ECMOシステムは、さらに、人工肺入口および人工肺出口を備える人工肺を有することができる。人工肺入口はポンプ出口と流体連通するように、人工肺出口は返血カニューレと流体連通するように、構成することができる。
【0054】
本開示のまた別の態様によると、第一脱血管は、遠位端に設けられた少なくとも一つの第一脱血口を有することができる。第二脱血管は、遠位端に設けられた少なくとも一つの第二脱血口を有することができる。少なくとも一つの第一脱血口は、第一脱血管の側壁を通って延びることができる。少なくとも一つの第二脱血口は、第二脱血管の側壁を通って延びることができる。少なくとも一つの第一脱血口は、第一脱血管の長手軸に垂直な方向で第一脱血管の側壁を通って延びることができる。少なくとも一つの第二脱血口は、第二脱血管の長手軸に垂直な方向で第二脱血管の側壁を通って延びることができる。少なくとも一つの第一脱血口は、第一脱血管の長手軸に対して鋭角もしくは鈍角で第一脱血管の側壁を通って延びることができる。少なくとも一つの第二脱血口は、第二脱血管の長手軸に対して鋭角もしくは鈍角で第二脱血管の側壁を通って延びることができる。複数の第一脱血口は、第一脱血管の周囲に環状パターンで延びることができる。複数の第二脱血口は、第二脱血管の周囲に環状パターンで延びることができる。少なくとも一つの第一脱血口は、少なくとも一つの第二脱血口から第一脱血管の長手軸に沿った所定の間隔だけ離れていてよい。所定の間隔は、患者の年齢、患者の体格、および、所望の流量の内の少なくとも一つに基づいて選択することができる。二腔式カニューレは、第一脱血管の遠位端が実質的に患者の右心房内にあり、かつ、第二脱血管の遠位端が実質的に患者の肺動脈内にある患者の血管系を通じて、操作するのに適合させることができる。ポンプは、遠心ポンプ、軸流ポンプまたはローラ式ポンプであってよい。ポンプの作動を制御するために、コントローラを設けることができる。
【0055】
本開示のまた別の態様によると、二腔式脱血カニューレは、VA ECMOシステム内で使用するために構成することができる。二腔式脱血カニューレは、患者の右心房内に挿入するように構成された第一脱血管、および、患者の肺動脈内に挿入するように構成された第二脱血管、を有することができる。第一脱血管は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第一脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を備える本体を有することができる。少なくとも一つの第一脱血口は、第一脱血管の側壁を通って延びることができる。第二脱血管は、第一脱血管と同軸上に配置することができ、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第二脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を有することができる。少なくとも一つの第二脱血口は、第二脱血管の側壁を通って延びることができる。二腔式脱血カニューレは、第一脱血管と第二脱血管とを流体連通するように構成されたコネクタを有することができる。少なくとも一つの第一脱血口は、少なくとも一つの第二脱血口から第一脱血管の長手軸に沿った所定の間隔だけ離れていてよい。所定の間隔は、患者の年齢、患者の体格、および、所望の流量の内の少なくとも一つに基づいて選択することができる。
【0056】
本開示のまた別の態様によると、心臓のVA ECMOを提供する方法は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第一脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を備える本体を有する第一脱血管を備える二腔式脱血カニューレを提供する工程を含むことができる。少なくとも一つの第一脱血口は、第一脱血管の側壁を通って延びることができる。二腔式脱血カニューレは、さらに第一脱血管と同軸上に配置された第二脱血管を有することができ、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第二脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を有することができる。少なくとも一つの第二脱血口は、第二脱血管の側壁を通って延びることができる。二腔式脱血カニューレは、さらに第一脱血管と第二脱血管とを流体連通するために構成されたコネクタを有することができる。本方法はさらに、二腔式脱血カニューレを患者の血管系内の第一部位に挿入する工程と、二腔式脱血カニューレを第一返血管の第一遠位端が患者の右心房の少なくとも近位内にあるとともに、第二脱血管の第二遠位端が患者の肺動脈の少なくとも近位内にあるように患者の血管系を通して操作する工程と、血液ポンプを使用して第一および第二脱血管に通して脱血する工程と、二酸化炭素含量を低下させるために抜き出した血液を人工肺に通してポンプ送血する工程と、酸素が供給され二酸化炭素含量が低下した血液を患者の血管系内の第二部位に返血する工程と、を含むことができる。
【0057】
本開示の他の態様によると、VA ECMOシステムおよび方法は、以下の事項の一つ以上を特徴としてもよい。
【0058】
本発明は、VA ECMOシステムであって、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間で延びる側壁と、を有する第一脱血管、第一脱血管と同軸上に配置されていて、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間で延びる側壁と、を有する第二脱血管、および、第一脱血管および第二脱血管と流体連通するように構成されたコネクタ、を有する二腔式脱血カニューレと、ポンプ入口およびポンプ出口を有し、コネクタと流体連通するように構成された血液ポンプと、人工肺入口および人工肺出口を有し、人工肺入口はポンプ出口と流体連通するように構成された人工肺と、人工肺出口と流体連通するように構成された返血カニューレと、を備えるVA ECMOシステムでありうる。
【0059】
本発明に係るVA ECMOシステムは、一態様として、第一脱血管は自身の遠位端に設けられた少なくとも一つの第一脱血口を有しうる。
【0060】
本発明に係るVA ECMOシステムは、一態様として、第二脱血管は、自身の遠位端に設けられた少なくとも一つの第二脱血口を有しうる。
【0061】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の側壁を通って延びうる。
【0062】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第二脱血口は第二脱血管の側壁を通って延びうる。
【0063】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の長手軸に垂直な方向で第一脱血管の側壁を通って延びうる。
【0064】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第二脱血口は第二脱血管の長手軸に垂直な方向で第二脱血管の側壁を通って延びうる。
【0065】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の長手軸に対して鋭角もしくは鈍角で第一脱血管の側壁を通って延びうる。
【0066】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第二脱血口は第二脱血管の長手軸に対して鋭角もしくは鈍角で第二脱血管の側壁を通って延びうる。
【0067】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、複数の第一脱血口は第一脱血管の周囲に環状パターンで延びうる。
【0068】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、複数の第二脱血口は第二脱血管の周囲に環状パターンで延びうる。
【0069】
本発明に係るVA ECMOシステムは、一態様として、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の長手軸に沿って少なくとも一つの第二脱血口から所定の間隔だけ離れていてよい。
【0070】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、所定の間隔は患者の年齢、患者の体格、および、所望の流量の内の少なくとも一つに基づいて選択されうる。
【0071】
本発明に係るVA ECMOシステムは、一態様として、二腔式カニューレは、第一脱血管の遠位端が実質的に患者の右心房内にあり、かつ、第二脱血管の遠位端が実質的に患者の肺動脈内にある患者の血管系を通じて、操作するのに適合していてよい。
【0072】
本発明に係るVA ECMOシステムは、一態様として、ポンプは、遠心ポンプ、軸流ポンプ、または、ローラ式ポンプでありうる。
【0073】
本発明に係るVA ECMOシステムは、一態様として、ポンプの作動を制御するためのコントローラをさらに含みうる。
【0074】
本発明は、VA ECMOシステムにおいて使用するために構成された二腔式脱血カニューレであって、患者の右心房内に挿入するように構成された第一脱血管であって、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第一脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を備える本体を有し、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の側壁を通って延びる第一脱血管、患者の肺動脈内に挿入するように構成された第二脱血管であって、第一脱血管と同軸上に配置されていて、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第二脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を有し、少なくとも一つの第二脱血口は第二脱血管の側壁を通って延びる第二脱血管、および、第一脱血管と第二脱血管を流体連通するように構成されたコネクタ、を含む二腔式脱血カニューレでありうる。
【0075】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の長手軸に沿って少なくとも一つの第二脱血口から所定の間隔だけ離れていてよい。
【0076】
本発明に係るVA ECMOシステムにおいて、一態様として、所定の間隔は、患者の年齢、患者の体格、および、所望の流量の内の少なくとも一つに基づいて選択されうる。
【0077】
本発明は、心臓のVA ECMOを提供する方法であって、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第一脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を備える本体を有し、少なくとも一つの第一脱血口は第一脱血管の側壁を通って延びる第一脱血管、第一脱血管と同軸上に配置されていて、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端に設けられた少なくとも一つの第二脱血口を備える遠位端との間で延びる側壁と、を有し、少なくとも一つの第二脱血口は第二脱血管の側壁を通って延びる第二脱血管、および、第一脱血管および第二脱血管と流体連通するように構成されたコネクタ、を含む二腔式脱血カニューレを提供する工程、二腔式脱血カニューレを患者の血管系内の第一部位に挿入する工程、二腔式脱血カニューレを、第一返血管の第一遠位端が患者の右心房の少なくとも近位内にあり、かつ、第二脱血管の第二遠位端が患者の肺動脈の少なくとも近位内にある患者の血管系を通して操作する工程、血液ポンプを使用して第一および第二脱血管に通して脱血する工程と、二酸化炭素含量を低下させるために脱血した血液を人工肺に通してポンプ送血する工程、および、酸素が供給され二酸化炭素含量が低下した血液を患者の血管系内の第二部位に返血する工程、を含む方法でありうる。