(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738483
(24)【登録日】2020年7月21日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】改質された表面を有するポリマー基質及びその表面の改質方法
(51)【国際特許分類】
C08J 7/00 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
C08J7/00 ACER
C08J7/00CEZ
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-509444(P2019-509444)
(86)(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公表番号】特表2019-515124(P2019-515124A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】KR2016004439
(87)【国際公開番号】WO2017188473
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】518381824
【氏名又は名称】コア バイオシステムズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】CORE BIOSYSTEMS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】アルトハウス、ジョン エス.
(72)【発明者】
【氏名】イ、ギョン フン
(72)【発明者】
【氏名】フォトウヒ、ガレス エム.
(72)【発明者】
【氏名】イノウエ シンノスケ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョン ハン
【審査官】
河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−051577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C71/04
C08J 7/00− 7/02
7/12− 7/18
B05D 1/00− 7/26
B01J20/00−20/281
20/30−20/34
B01D15/00−15/42
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親核性作用基または親電子性作用基を有したポリマー基質の少なくとも一面に下記構造式の芳香族アミン系化合物を表面改質剤として反応させ、ポリマー基質の表面を改質する構成において、改質された基質の表面にリンカー分子を利用して細胞、タンパク質、核酸または合成高分子を含む生化学的物質を固定させることを特徴とする、
改質された表面を有するポリマー基質。
ここで、R
1はH、NH
2、NH-acylのうちで一つが選択される。
【請求項2】
前記表面改質は、水溶液に前記芳香族アミン系化合物を投入し、前記水溶液で前記芳香族アミン系化合物が酸化されて前記ポリマー基質の親核性作用基と反応することで、基質表面が下記の構造に改質されることを特徴とする請求項1に記載の
改質された表面を有するポリマー基質。
ここで、R
1はH、NH
2、NH-acylのうちで一つが選択される。
【請求項3】
前記表面改質は、水溶液に前記芳香族アミン系化合物を投入し、前記水溶液から前記構造式に還元された前記芳香族アミン系化合物が前記ポリマー基質の親電子性作用基と反応することで、基質表面が下記構造に改質されることを特徴とする請求項1に記載の
改質された表面を有するポリマー基質。
ここで、R
1の少なくとも1つはNH
2であり、残りのR
1はH、NH
2、NH-acylのうちで一つが選択される。
【請求項4】
前記水溶液は、酸性溶液、中性溶液またはアルカリ溶液のうちで何れかひとつであることを特徴とする請求項2または3に記載の改質された表面を有するポリマー基質。
【請求項5】
前記改質された基質表面の芳香族アミン系化合物が他の芳香族アミン系化合物と重合反応で重合されて高分子化されることを特徴とする請求項2または3に記載の改質された表面を有するポリマー基質。
【請求項6】
前記ポリマー基質は、ビード(bead)、平板(plate)、チューブ(tube)または球形のうちで何れか一つでなされた固形体であることを特徴とする請求項1に記載の改質された表面を有するポリマー基質。
【請求項7】
下記構造式の芳香族アミン系化合物が酸化還元反応をするように水溶液に投入する段階と、
前記芳香族アミン系化合物が投入された水溶液を親核性作用基または親電子性作用基を有したポリマー基質の少なくとも一面と一定時間接触させて、前記芳香族アミン系化合物を表面改質剤にしてポリマー基質の表面を改質する段階と、
前記表面改質された基質を洗滌する段階と、及び
前記洗滌された基質を乾燥する段階と、
を有し、
前記表面改質された基質の表面にリンカー分子を利用して細胞、タンパク質、核酸または合成高分子を含む生化学的物質を固定させることを特徴とする
ポリマー基質の表面の改質方法。
ここでR
1はH、NH
2、NH-acylのうちで一つが選択される。
【請求項8】
前記水溶液は、酸性溶液、中性溶液またはアルカリ溶液のうちで何れかひとつであることを特徴とする請求項7に記載のポリマー基質の表面の改質方法。
【請求項9】
前記ポリマー基質は、ビード(bead)、平板(plate)、チューブ(tube)または球形のうちで何れか一つでなされた固形体であることを特徴とする請求項7に記載のポリマー基質の表面の改質方法。
【請求項10】
前記表面を改質する段階には、前記改質された基質表面の芳香族アミン系化合物が前記水溶液内の他の芳香族アミン系化合物と重合反応で重合されて高分子化されることを特徴とする請求項7に記載のポリマー基質の表面の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
改質された表面を有するポリマー基質及びその表面の改質方法に関するものであり、より詳細には、ベンゼンにアミンがふたつ以上置き換えされた
改質された表面を有するポリマー基質及びその表面の改質方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある基質の化学的改質(Chemical Modification)は化学、生物学または材料学、そして工学と応用技術分野で重要な成功要素である。そのような化学的改質に対する基本的な方法は、表面処理反応と異なる物理化学的技術を含むが、ここで望ましい化学的及び/または物理的特性らは、非機能的基質で作られる。主に、このような目的を遂行する分子種らは両端に化学的作用基を有するが、一側の端は基質に付着され、他側の端はは基質表面に化学的機能性を付与する。
【0003】
韓国公開特許公報第10-2003-0009732号は、多重アミノエチル分子層で表面をコーティングした有機高分子基質に関するものであり、親核性作用基を含んだ多様な有機高分子、あるいはオリゴマーでなされた基質をアジリジン 、あるいはその誘導体と反応させて基質の表面上に高密度高分子の多重アミノエチル分子層を形成することで基質表面の理化学的特性を変化させた有機高分子基質及びその製造方法を提示している。前記技術は、アジリジン化合物を有機高分子の基質と反応させることで基質の表面を改質する方法を提示している。
【0004】
前記技術のように通常的な表面改質反応のために活用することができる基質らは、非常に限定される。これは順番どおり基質の化学改質に対して次のような問題らの原因になる。(1)表面改質しようとする化学成分と基質との間の化学的特異性が要求される点と、(2)基質大きさ/形状がたびたび制限される点と、(3)器具使用がたびたび要求される点と、(4)低い成功率と信頼性の結果をもたらす多段階工程が要求されるという点である。
【0005】
このような問題点を解決するため、基質に独立的な表面改質技術が発明されたが、前記技術ではカテコールとアミン基すべてを含むドーパミンまたは、これと類似な化合物がアルカリ溶液下で使用される。前記方法は、自然的でありながら表面独立的な接着剤を作るためにい貝の生体模倣的メカニズムを適用する。い貝は実質的にすべてのタイプの無機、あるいは有機基質に接着することができるが、甚だしくはテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン:PTFEで知られている)のような反接着性物質でも接着可能である。このような技術を土台で、下のような多様な表面改質適用例らが作られて来た。
【0006】
アメリカ特許公報US8、541、060号は表面独立的に表面改質することができる多機能コーティング及びその適用に対するものとして、ドーパミンまたはドーパミンと類似な化合物を表面改質剤で利用してアルカリ溶液で基質と接触させて表面改質する
表面の改質方法を提示している。
【0007】
アメリカ特許公報US8、999、452号は、表面独立的に表面改質することができる多機能コーティング及びその適用に対するものとして、ドーパミンのような表面改質剤をアルカリ状態で基質と接触させて基質表面を改質する方法を提示している。
【0008】
しかし、ドーパミンに基礎した技術には次のような複数の技術的制限らがある。(1)前記技術はアルカリ条件下でばかり実行されることができる。大多数の実験らがトリスアミノメタン(trisaminomethane)緩衝溶液10mMpH8.5で遂行されるが、前記値はおおよそpH9程度であるドーパミンのpKa(解離定数)値に近い。それによって、必要による反応度を制御し難い。(2)ドーパミン化合物のヒドロキシル基とアミン基の二つの他の反応基らが表面機能性を一定に制御し難くする。(3)化学的構造のためアミン基がたくさん存在することができないし、それによってアミン構造の改質を基礎とする後続適用例らの性能が制限される。
【0009】
したがって、このような問題を解決するため、基質独立的な表面改質方法が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2003-0009732号
【特許文献2】アメリカ特許公報US8、541、060号
【特許文献3】アメリカ特許公報US8、999、452号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような問題点を解決するため、本発明はアミンが2以上で置き換えされた芳香族アミン系化合物を使って基質と関係なく固形基質の表面を化学的に改質することができる
表面の改質方法を提示することを目的とする。
【0012】
また、本発明はアミンがふたつ以上置き換えされた芳香族アミン系化合物
で表面を改質したポリマーを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために本発明は、親核性作用基または親電子性作用基を有したポリマー基質の少なくとも一面に下記構造式の芳香族アミン系化合物を表面改質剤で反応させ、ポリマー基質の表面を改質することを特徴とする
改質された表面を有するポリマー基質を提供する。
【0014】
ここでR
1はH、NH
2、NH-acylのうちで一つが選択される。
【0015】
本発明で表面改質は、水溶液に前記芳香族アミン系化合物を投入し、前記水溶液で前記芳香族アミン系化合物が酸化されて前記ポリマー基質の親核性作用基と反応することで、基質表面が下記の構造に改質されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明で表面改質は、水溶液に前記芳香族アミン系化合物を投入し、前記水溶液から前記構造式に還元された前記芳香族アミン系化合物が前記ポリマー基質の親電子性作用基と反応することで、基質表面が下記構造に改質されることを特徴とする。
【0017】
本発明の水溶液は、酸性溶液、中性溶液またはアルカリ溶液のうちで何れかひとつであることを特徴とする。
【0018】
本発明で改質された基質表面の芳香族アミン系化合物が他の芳香族アミン系化合物と重合反応で重合されて高分子化されることを特徴とする。
【0019】
本発明でポリマー基質は、ビード(bead)、平板(plate)、チューブ(tube)または球形のうちで何れか一つでなされた固形体であることを特徴とする。
【0020】
本発明で改質された基質の表面にリンカー分子を利用して細胞、タンパク質、核酸または合成高分子を含む生化学的物質を固定させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は下記構造式の芳香族アミン系化合物が酸化還元反応をするように水溶液に投入する段階と、前記芳香族アミン系化合物が投入された水溶液を親核性作用基または親電子性作用基を有したポリマー基質の少なくとも一面と一定時間接触させ、前記芳香族アミン系化合物を表面改質剤としてポリマー基質の表面を改質する段階と、前記表面改質された基質を洗滌する段階と、及び前記洗滌された基質を乾燥する段階と、でなされることを特徴とする
改質された表面を有するポリマー基質の
表面の改質方法を提供する。
【0022】
ここで、R
1はH、NH
2、NH-acylのうちで一つが選択される。
【0023】
本発明の水溶液は、酸性溶液、中性溶液またはアルカリ溶液のうちで何れかひとつであることを特徴とする。
【0024】
本発明でポリマー基質は、ビード(bead)、平板(plate)、チューブ(tube)または球形のうちで何れか一つでなされた固形体であることを特徴とする。
【0025】
本発明で表面を改質する段階には、改質された基質表面の芳香族アミン系化合物が水溶液内の他の芳香族アミン系化合物と重合反応で重合されて高分子化されることを特徴とする。
【0026】
本発明で表面改質された基質の表面にリンカー分子を利用して細胞、タンパク質、核酸または合成高分子を含む生化学的物質を固定させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、アミンが2以上に置き換えされた芳香族アミン系化合物を使って基質と関係なく固形基質の表面を化学的に改質することができるため大量生産が可能であるという長所がある。
【0028】
また、本発明はアミンが置き換えされて置き換えされたアミンの数によって生化学的物質を固定させることができるため生化学物質の分離収率及び信頼性が高いという効果を有する。
【0029】
また、本発明は酸性、中性またはアルカリ溶液どこでも反応が起きるため作業性がすぐれた長所を有する。
【0030】
また、本発明は反応性作用基であるアミン基を大量で有する構造であるため、生化学物質の分離による時間が画期的に短縮されるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は本発明による芳香族アミン系化合物の酸化還元反応を示した図面である。
【
図2】
図2は本発明による芳香族アミン系化合物と親核性基質との反応過程を示した図面である。
【
図3】
図3は本発明による親核性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合反応を示した図面である。
【
図4】
図4は本発明による親核性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合された状態を示した図面である。
【
図5】
図5は本発明による芳香族アミン系化合物と親電子性基質との反応過程を示した図面である。
【
図6】
図6は本発明による親電子性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合反応を示した図面である。
【
図7】
図7は本発明による親電子性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合された状態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するための最善の形態は、親核性作用基または親電子性作用基を有したポリマー基質の少なくとも一面に芳香族アミン系化合物を表面改質剤で反応させ、ポリマー基質の表面を改質することを特徴とする
改質された表面を有するポリマー基質である。
【0033】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施例に対する構成及び作用を詳しく説明すれば次のようである。
【0034】
図1は、本発明による芳香族アミン系化合物の酸化還元反応を示した図面であり、
図2は本発明による芳香族アミン系化合物と親核性基質との反応過程を示した図面であり、
図3は本発明による親核性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合反応を示した図面であり、
図4は本発明による親核性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合された状態を示した図面であり、
図5は本発明による芳香族アミン系化合物と親電子性基質との反応過程を示した図面であり、
図6は本発明による親電子性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合反応を示した図面で、
図7は本発明による親電子性基質と結合した芳香族アミン系化合物の重合された状態を示した図面である。
【0035】
図1に示されたように、本発明で使用される表面改質剤は、芳香族アミン系化合物である。
図1は、表面改質剤で使用されるベンゼンジアミン(1)とベンゼンジイミン(2)の酸化還元反応を示したものである。図面に示されたように、ベンゼンジアミン(1)が酸化されてベンゼンジイミン(2)になって、ベンゼンジイミン(2)が還元されてベンゼンジアミン(1)になる酸化還元反応を示している。ベンゼンジアミンの酸化反応はpKaが大きいほどよく起きる。したがって、ベンゼンジアミン(1)の酸化反応はアミンの化学的特性によって水溶液の状態が酸性からアルカリに行くほど酸化反応がよく起きるようになる。すなわち、イオン化度によってアミンが酸化される程度が異なるためイオン化度が低い酸性溶液でも酸化されることができるが、イオン化度が大きいアルカリ溶液でアミンの酸化反応は早めになることができる。表面改質剤であるベンゼンジアミン(1)またはベンゼンジイミン(2)のアルキル基(R
1)には水素(H)、アミン(NH
2)またはアシルイミン(NH-acyl)が置き換えされることができる。本発明で使用される基質は基質独立的と言えるが、前記基質は少なくとも親核性または親電子性の化学的結合が可能な作用基を有していなければならない。親核性作用基ではアミン基(-NH
2)、チオール基(-SH)、水酸基(-OH)などを挙げることができる。以下ではベンゼンジアミン(1)を表面改質単位体(monomer)で表現することにする。
【0036】
図2は、表面改質単位体1のアミンがイミンに酸化された状態2で基質10の親核性作用基と炭素原子が反応して非公有電子対と共有しながら、表面改質単位体1に還元されて基質に結合される過程を示している。このような過程は一つの表面改質単位体1に対するものであり、ポリマーの表面に複数の表面改質単位体1が複数の親核性基質と反応して結合する場合、ポリマーの表面は複数の表面改質単位体1によって反応基であるアミン基を有した基質に改質される。
【0037】
図3及び
図4は、表面改質単位体1が重合反応を通じて高分子化される過程を示している。図面に示されたように、基質に結合された表面改質単位体1の窒素原子は他の酸化された自由状態の表面改質単位体2の炭素原子と親核性反応をするようになって、それによって表面改質単位体2がお互いに重合されて高分子化され、
図4のような状態をなすようになる。それによって重合物3に作用基であるアミン基が濃縮形成されて生化学的物質と反応することができるようになるし、アミン基の数によって生化学的物質を固定または分離することができる収率が大幅で増加することができるようになる。よって、ポリマー表面に複数の表面改質単位体1または表面改質重合体3が形成され、それによって生化学的物質を分離及び抽出することができる時間は大幅で減るようになる。また、アルキル基(R
1)にアミン(-NH
2)またはアシルイミン(NH-acyl)が置き換えされている場合にはさらに多い作用基を有することができるから、生化学的物質の分離及び抽出機能は分離時間及び収率面でずっと向上することができる。
【0038】
図5は、親電子性基質10'と表面改質単位体1が反応することを示した図面である。図面に示されたように、親電子性基質10'の反応基(R
3)にはアミン基をなす窒素の非公有電子対が関与する。1番アミン基の窒素の非公有電子対は親電子性基質の反応基(R
3)と反応して電子を渡して親電子性基質10'と結合する。また、2番アミン基の窒素の非公有電子対も親電子性基質10'の反応基(R
3)と反応して電子を渡して親電子性基質10'と結合する。よって、親電子性基質10'に二つのアミン基が付着され、残りアルキル基(R
1)にアミン基が置き換えされて生化学的物質と反応して分離及び抽出することができるようになる。よって、親電子性基質10'に作用する表面改質単位体1には少なくとも三つのアミン基が置き換えされなければならない。よって、アルキル基(R
1)のうちで何れか一つはアミン基(NH
2)に置き換えされなければならないし、残りは水素、アミンまたはアシルイミンのうちで何れか一つならば良い。
図6は、親電子性基質に表面改質単位体1が結合された後酸化された他の自由表面改質単位体2と重合反応を開始することを示している。図面に示されたように、表面改質単位体1のアミン基は酸化された他の自由表面改質単位体2の炭素と親核性反応を進行するようになって、それによって
図7のような重合物3'が得られるようになる。よって、作用基のアミン基が濃縮されて生化学物質の固定及び抽出を早い時間以内に処理することができるようになる。また、濃縮されたアミン基によってDNAなどの生化学的物質を抽出し出すことができる収率が大幅を増加するようになる。
【0039】
前記で説明されたように、本発明に使用される芳香族アミン系化合物は、主に1、2、4-ベンゼントリアミン(Bezene-Triamine)や1、2、4、5-ベンゼンテトラアミン(Bezene-Tetraamine:BTA)が主に使用される。1、2、4、5-ベンゼンテトラアミンは1、2、4、5-テトラアミンベンゼンとしても知られている。ベンゼントリアミンの場合はアミン基が三個の場合であるので、アルキル基(R
1)のうちで一つはアミン基に置き換えされて他の一つは水素の状態である。また、ベンゼンテトラアミンはアルキル基(R
1)がすべてアミン基に置き換えされた場合である。
【0040】
本発明によるポリマー基質に表面改質単位体をコーティングする方法を詳しく説明することにする。ポリマー基質は有機高分子化合物でなされたものであり、親核性作用基(R
2)または親電子性作用基(R
3)を有している固形体ポリマー基質でなければならない。先ず、水溶液に一定濃度の表面改質単位体1を投入してよく交ぜる。水溶液で親核性作用基(
R2)を有したポリマー基質とは表面改質単位体1がイミンに酸化されて反応し、親電子性作用基(R
3)を有したポリマー基質とは表面改質単位体1がアミンに還元されて反応するようになる。前記水溶液は酸性、中性、アルカリ溶液すべて可能である。但し、アルカリ溶液である場合イオン化度が大きいため早い反応が起きることができるが、これに限定されない。表面改質単位体1が酸化還元反応をする水溶液に固形体基質をつけるか、または固形体基質に表面改質単位体1が投入された水溶液を満たす。前記状態で一定時間を置いて固形体基質と反応するように放置する。結合を活性化するために加熱するか、または撹拌することができる。また、触媒を使用することができる場合には反応を促進させるための触媒を投入することもできる。一定時間経過後固溶体基質を洗滌して結合または重合されない表面改質単位体1や不純物を除去する。重合体コーティングの場合は親水性または疎水性特性を有した基質に付着されない物質を何回の洗滌段階を通して除去するようになる。基質に結合または重合されない単位体1や不純物が除去されれば乾燥し、乾燥が完了すれば真空包装をして製品の準備を完了する。前記の固形体ポリマー基質は、ビード(Bead)、平板(Plate)、チューブ(Tube)または球形など多様な形態が可能であり、これに限定されない。
【0041】
以下では、本発明による表面改質されたポリマー基質を利用してDNAなどの生化学的物質を固定して分離することを説明する。先ず、表面改質単位体1が複数結合したか、または重合物にコーティングされた固形体ポリマー基質に酸性溶液を投入する。酸性溶液下で基質表面のアミン基は陽性子を得るようになって陽電荷に帯電される。酸性溶液が投入された状態でDNAなどの生化学的物質が含まれたサンプルを投入する。陽電荷に帯電された固形体基質表面は与えられたサンプル混合物から電子に帯電されたDNAと結合するようになって、DNAなどの生化学的物質の選択的捕獲が可能になる。次に、DNAが捕獲された状態でサンプルの残りは除去する。次に、固形体基質にアルカリ溶液を投入する。アルカリ状態下で、ポリマー基質表面のアミンが陽性子を失うことで捕獲されたDNA分子がコーティングされた表面から離されるようになる。このような過程からサンプル混合物でDNAなどの選択的な精製が可能になる。
【0042】
また、アミンはリンカー分子を利用した標準リンカー反応を通じて改質化されて細胞、タンパク質、核酸と合成分子らのような多様な生物学的/化学的物質らを固定させることができる。結果的に特定ターゲット分解物質の精製、分離または感知のために適用されることができる。
【0043】
以上説明したように、本発明は上述した実施例に限定されなくて、請求範囲で請求される本発明の技術的思想に脱することなしに当該発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって自明な変形実施が可能であり、このような変形実施は本発明の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ベンゼンにアミンがふたつ以上置き換えされた
改質された表面を有するポリマー基質及びその表面の改質方法に関するものであり、アミンが置き換えされて置き換えされたアミンの数によって生化学的物質を固定させることができるため生化学物質の分離収率及び信頼性が高い産業上利用可能性が大きい発明である。