(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記雄ねじのねじ山を形成する前記第2端側の面と前記回転軸方向とのなす角の大きさは、前記雌ねじのねじ山を形成する前記第1端側の面と前記回転軸方向とのなす角の大きさよりも小さい
請求項1又は2に記載の流体供給装置。
前記回転部材は、前記雄ねじよりも前記回転部材の回転半径方向内側に、前記雄ねじのねじ山を形成する前記第2端側の面と前記雌ねじのねじ山を形成する前記第1端側の面とに挟まれた部位に連通する連通路を有している
請求項1から3のいずれか1項に記載の流体供給装置。
前記移動部材は、前記雌ねじよりも前記回転部材の回転半径方向外側に、前記雄ねじのねじ山を形成する前記第2端側の面と前記雌ねじのねじ山を形成する前記第1端側の面とに挟まれた部位に連通する連通路を有している
請求項1から4のいずれか1項に記載の流体供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に示す形態は本発明の実施の形態の一例であり、本発明は、以下に示す形態に限定されない。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る自動二輪車1の概略構成の一例を示す図である。
図2は、車高調整装置100の概略構成の一例を示す図である。
鞍乗型車両の一例としての自動二輪車1は、前側の車輪である前輪2と、後側の車輪である後輪3と、を備えている。また、自動二輪車1は、自動二輪車1の骨格をなす車体フレーム11と、ハンドル12と、ブレーキレバー13と、シート14とを有する車両本体10を備えている。以下の説明において、前輪2と後輪3とをまとめて「車輪」と称し、車両本体10を「車体」と称する場合もある。
【0010】
また、自動二輪車1は、前輪2と車両本体10とを連結する第1懸架装置であるフロントフォーク21を有している。また、自動二輪車1は、前輪2の左右それぞれに配置された2つのフロントフォーク21を保持する2つのブラケット15と、2つのブラケット15の間に配置されたシャフト16と、を備えている。シャフト16は、車体フレーム11に回転可能に支持されている。フロントフォーク21は、路面等から前輪2に加わった衝撃を吸収する懸架スプリング21sと、懸架スプリング21sの振動を減衰する減衰装置21dと、を備えている。
【0011】
また、自動二輪車1は、後輪3と車両本体10とを連結する第2懸架装置であるリヤサスペンション22を、後輪3の左側と右側にそれぞれ1つずつ有している。リヤサスペンション22は、路面等から後輪3に加わった衝撃を吸収するばねである懸架スプリング22sと、懸架スプリング22sの振動を減衰する減衰装置22dと、を備えている。
なお、以下の説明において、フロントフォーク21とリヤサスペンション22とをまとめて「懸架装置23」と称する場合もある。また、懸架スプリング21sと懸架スプリング22sとをまとめて「スプリング23s」と称する場合もある。
【0012】
また、自動二輪車1は、スプリング23sに付与する初期荷重(プリロード)を変更することにより、車両本体10の高さ、言い換えれば、車高を調整する調整部70を備えている。
また、自動二輪車1は、スプリング23sの初期荷重を制御する制御装置50を備えている。
【0013】
(調整部70)
調整部70は、懸架装置23に設けられて、スプリング23sの長さを調整するジャッキ部71と、ジャッキ部71のジャッキ室72にオイルを供給する流体供給装置の一例としての供給装置80と、を備えている。
ジャッキ部71は、
図2に示すように、スプリング23sの車体側の端部を支持する支持部材73と、支持部材73とともにジャッキ室72を形成する形成部材74とを有し、ジャッキ室72内のオイルの量に応じて支持部材73が移動することで、スプリング23sの長さを調整する。支持部材73、ジャッキ室72、形成部材74は、それぞれ、特許文献1に記載されたリヤサスペンション又はフロントフォークの支持部材、ジャッキ室、油圧ジャッキにて実現されることを例示することができる。
【0014】
また、ジャッキ部71は、支持部材73の移動量を検出する移動量センサ75を備えている。移動量センサ75が検出する支持部材73の移動量は、支持部材73が基準位置に位置するときの移動量を0とした場合の移動量である。基準位置は、ジャッキ室72内のオイルが0のときの支持部材73の位置である。移動量センサ75は、例えば、形成部材74の外周面にコイルを巻くとともに、支持部材73を磁性体とし、形成部材74に対する支持部材73の移動に応じて変化するコイルのインダクタンスを用いて支持部材73の移動量を検出するセンサであることを例示することができる。
【0015】
供給装置80は、
図2に示すように、オイルを貯留するハウジング81と、ハウジング81内を摺動する円柱状のピストン82と、を備えている。ハウジング81の内面、及び、ピストン82にて囲まれる空間に、オイルを貯留する貯留室83が形成される。
また、供給装置80は、モータ84と、モータ84の回転速度を減速させる減速機85と、減速機85の出力軸85aに連結されたスクリュー86とを備えている。
モータ84は、ブラシ付きの直流(DC)モータであることを例示することができる。モータ84の駆動は、制御装置50によって制御される。減速機85は、周知の遊星歯車機構を用いた遊星減速機であることを例示することができる。
スクリュー86は、それぞれ径が異なる3つの円柱状の部位である、第1部86a、第2部86b、第3部86cを、回転軸方向の第1端側(
図2では右側)から第2端側(
図2では左側)にかけて順に有する。第2部86bの外径は、第1部86aの外径及び第3部86cの外径よりも大きい。第1部86aの外周面に、雄ねじ86dが形成されている。第3部86cの半径方向(
図2の紙面上下方向)内側には、減速機85の出力軸85aが嵌め込まれている。これにより、スクリュー86は、減速機85の出力軸85aと一体的に回転する。スクリュー86は、雄ねじ86dが形成されて回転する回転部材の一例である。
【0016】
また、供給装置80は、スクリュー86の第1部86aに形成された雄ねじ86dと噛み合う雌ねじ87aが形成されているとともに、スクリュー86が回転することにより、回転軸方向に移動する移動部材の一例としてのナット87を有している。ナット87は、第2端側の端部にフランジ87bを有している。
また、供給装置80は、ナット87のフランジ87bと、ピストン82との間に介在する介在部材88と、介在部材88の内側であってナット87の外側に配置された円筒状のカラー89と、介在部材88の外側に配置された円筒状のカラー90とを有している。介在部材88は、弾性部材であり、オイルから力を受けたピストン82により加圧されることにより弾性変形した状態で、ピストン82とナット87のフランジ87bとの間に挟み込まれている。これにより、介在部材88は、スクリュー86の回転に従って、ナット87が回転することを抑制する。
【0017】
また、供給装置80は、スクリュー86を回転可能に支持するベアリング91と、ベアリング91を支持する支持部材92とを有している。ベアリング91は、支持部材92と、スクリュー86の第2部86bとの間に配置されている。
上述した、ピストン82、モータ84、減速機85、スクリュー86、ナット87、介在部材88、カラー89、カラー90、ベアリング91、及び、支持部材92は、ハウジング81内に収容されている。
そして、供給装置80は、ハウジング81に装着されるとともに、貯留室83と、ジャッキ部71のジャッキ室72との間に設けられて、貯留室83とジャッキ室72との間でオイルを流通させるホース93を備えている。
【0018】
以上のように構成された調整部70においては、供給装置80のモータ84の軸がその周方向である第1方向に回転することにより、スクリュー86が第1方向に回転し、ナット87が回転軸方向の第1端側に移動する。ナット87の移動に伴い、カラー89、カラー90及び介在部材88が、回転軸方向の第2端側から第1端側に向かう力を受け、ピストン82を第1端側に移動させる。これにより、ピストン82が貯留室83からオイルを排出する。そして、ホース93を介して、ジャッキ室72内にオイルが供給される。その結果、支持部材73が形成部材74に対して車輪側(
図2では右側)に移動し、言い換えれば、支持部材73の基準位置からの移動量が大きくなり、スプリング23sのバネ長が短くなる。
【0019】
スプリング23sのバネ長が短くなると、支持部材73が形成部材74に対して移動する前と比べてスプリング23sが支持部材73を押すバネ力が大きくなる。その結果、車体から車輪側へ力が作用したとしても、両者の相対位置を変化させない初期荷重が大きくなる。かかる場合、車体側から車輪側に同じ力が作用した場合には、懸架装置23の沈み込み量(車体と車輪との間の距離の変化)が小さくなる。それゆえ、支持部材73が形成部材74に対して移動することでスプリング23sのバネ長が短くなると、支持部材73が形成部材74に対して移動する前と比べて、車両本体10の高さが上昇する(車高が高くなる)。
【0020】
一方、供給装置80のモータ84の軸が上記第1方向の逆方向である周方向の第2方向に回転することにより、スクリュー86が当該第2方向に回転する。すると、カラー89、カラー90及び介在部材88を介して、貯留室83のオイルの力を受けるピストン82からの力がナット87のフランジ87bに作用し、ナット87が回転軸方向の第2端側に移動する。ナット87の第2端側への移動に伴い、貯留室83の容積が大きくなる。これにより、支持部材73がジャッキ室72内のオイルを排出し、このオイルが貯留室83に供給される。その結果、支持部材73が形成部材74に対して車体側(
図2では左側)に移動し、言い換えれば、支持部材73の基準位置からの移動量が小さくなり、スプリング23sのバネ長が長くなる。
【0021】
スプリング23sのバネ長が長くなると、支持部材73が形成部材74に対して移動する前と比べてスプリング23sが支持部材73を押すバネ力が小さくなる。その結果、車体側から車輪側に同じ力が作用した場合には、懸架装置23の沈み込み量が大きくなる。それゆえ、支持部材73が形成部材74に対して移動することでスプリング23sのバネ長が長くなると、支持部材73が形成部材74に対して移動する前と比べて、車両本体10の高さが下降する(車高が低くなる)。
【0022】
以上のように構成された調整部70、及び、制御装置50等により自動二輪車1の車高を調整する車高調整装置100が構成される。
【0023】
(スクリュー86とナット87)
図3は、スクリュー86の雄ねじ86dとナット87の雌ねじ87aの形状例を説明する図である。
図3は、
図2のIII部の拡大図である。なお、後述するように、実際には、スクリュー86の第1面211とナット87の第2面312とは接触しているが、スクリュー86及びナット87の形状を理解しやすくするために、便宜上、
図3には、これらを接触させていない様子を示している。
スクリュー86の雄ねじ86d及びナット87の雌ねじ87aは、台形ねじである。また、雄ねじ86d及び雌ねじ87aは、右ねじである。
スクリュー86の雄ねじ86dは、複数のねじ山200を有している。ねじ山200は、頂面201と、底面202と、頂面201と底面202とを接続する面であるフランク210とを有している。1つのねじ山200を形成する2つのフランク210は、回転軸方向(以下、「軸方向」と称する場合がある。)の第1端側にある第1面211と、軸方向の第2端側にある第2面212と、により構成される。第1面211と回転軸方向とのなす角である第1角θ21の大きさと、第2面212と回転軸方向とのなす角である第2角θ22の大きさとは、同じである。なお、第1面211と第2面212とのなす角であるねじ山200の角θ20と、第1角θ21と、第2角θ22とを加算した角の大きさは180度である。
【0024】
ナット87の雌ねじ87aは、複数のねじ山300を有している。ねじ山300は、頂面301と、底面302と、頂面301と底面302とを接続する面であるフランク310とを有している。1つのねじ山300を形成する2つのフランク310は、軸方向の第1端側にある面の一例としての第1面311と、軸方向の第2端側にある面の一例としての第2面312と、により構成される。第1面311と回転軸方向とのなす角である第1角θ31の大きさと、第2面312と回転軸方向とのなす角である第2角θ32の大きさとは、同じである。なお、第1面311と第2面312とのなす角であるねじ山300の角θ30と、第1角θ31と、第2角θ32とを加算した角の大きさは180度である。
そして、角θ20の大きさと角θ30の大きさとは同一であるとともに、第1角θ21の大きさと、第2角θ22の大きさと、第1角θ31の大きさと、第2角θ32の大きさとは同一である。
【0025】
図4は、スクリュー86が回転していないときのねじ山200とねじ山300との状態の一例を示す図である。
ナット87には、貯留室83内のオイルの圧力(以下、「油圧」と称する場合がある。)により、軸方向の第1端側から第2端側に向かう力が常に作用する。それゆえ、例えば、スクリュー86が回転していないときには、スクリュー86の第1面211と、ナット87の第2面312とが接触し、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311とは接触しない。つまり、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311との間に、隙間S1が形成される。
【0026】
図5は、スクリュー86が周方向である第1方向に回転しているときのねじ山200とねじ山300との状態の一例を示す図である。
スクリュー86が第1方向に回転すると、スクリュー86の第1面211がナット87の第2面312に接触することで、ナット87に対して、軸方向の第2端側から第1端側に向かう力を作用する。つまり、スクリュー86が第1方向に回転しているときには、スクリュー86の第1面211と、ナット87の第2面312とが接触し、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311とは接触しない。すなわち、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311との間には隙間S1が形成される。
【0027】
図6は、スクリュー86が上記第1方向とは逆方向である周方向の第2方向に回転しているときのねじ山200とねじ山300との状態の一例を示す図である。
スクリュー86が第2方向に回転すると、スクリュー86の第1面211がナット87の第2面312に対して軸方向の第2端側に移動する。すると、ナット87には油圧が常に作用していることから、ナット87は、軸方向の第2端側に移動する。このとき、スクリュー86の第1面211と、ナット87の第2面312とが接触しながらナット87が第2端側に移動する一方、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311とは接触せず、第2面212と第1面311との間には隙間S1が形成される。
【0028】
このように、供給装置80は、常に、スクリュー86の第1面211と、ナット87の第2面312とが接触し、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311とは接触しない。すなわち、スクリュー86の第2面212と、ナット87の第1面311との間には隙間S1が形成される。
【0029】
スクリュー86が回転していないときには、油圧により、スクリュー86の第1面211とナット87の第2面312との間には接触圧力が生じる。さらに、スクリュー86が第1方向に回転しているときには、スクリュー86の回転によりナット87を第1端側に移動させることから、スクリュー86の第1面211とナット87の第2面312との間には大きな接触圧力が生じる。それゆえ、ねじ山200の頂面201における第1面211側の端部が摩耗するおそれがある。あるいは、ねじ山200の頂面201における第1面211側の端部が欠けるおそれがある。その結果、ねじ山200の頂面201における第1面211側の端部から、摩耗粉や破片が生じるおそれがある。
【0030】
図7は、比較例に係る台形ねじの雄ねじと雌ねじとの噛み合い部の一例を示す図である。
比較例に係る台形ねじは、雄ねじと雌ねじとが、互いに等級が同じである。それゆえ、雄ねじのねじ山のフランクと、雌ねじのねじ山のフランクとの間の隙間は0か、0ではなくても0.2(mm)以下となるように設定されている。かかる場合、
図7に示すように、摩耗粉又は破片が、雄ねじの第2端側のフランクと雌ねじの第1端側のフランクとの間に挟まり、雄ねじと雌ねじとの間に固着が発生したり、ねじ山に欠けが発生したりするおそれがある。
【0031】
これに対して、第1の実施形態に係るスクリュー86及びナット87においては、スクリュー86が回転していないとき及び回転しているときに、スクリュー86の第2面212とナット87の第1面311との間に形成される隙間S1の最小値が、比較例に係る隙間よりも大きくなるように設定されている。つまり、隙間S1の最小値は、0.2(mm)よりも大きく設定されている。また、隙間S1の最小値は、頂面201の軸方向の大きさの1割以上3割以下に設定されていることを例示することができる。これにより、摩耗粉又は破片が生じたとしても、隙間S1に摩耗粉又は破片が留まり易くなる。その結果、雄ねじ86dのねじ山200と雌ねじ87aのねじ山300との間に摩耗粉又は破片が挟まり難いので、雄ねじ86dと雌ねじ87aとの間に固着が発生したり、ねじ山200又はねじ山300に欠けが発生したりすることが抑制される。より好ましくは、隙間S1の最小値は、ねじ山200に生じると推定される摩耗粉又は破片の最大値よりも大きくなるように設定されていると良い。これにより、雄ねじ86dと雌ねじ87aとの間に固着が発生したり、ねじ山200又はねじ山300に欠けが発生したりすることがより確度高く抑制される。
【0032】
また、供給装置80は、摩耗粉又は破片が生じたとしても、ナット87が移動することにより、隙間S1や、ねじ山200の頂面201とねじ山300の底面302との間の隙間を通って、摩耗粉又は破片がナット87の外部に排出される。このことからも、雄ねじ86dと雌ねじ87aとの間に固着が発生したり、ねじ山200又はねじ山300に欠けが発生したりすることが抑制される。
【0033】
上記説明では、スクリュー86の雄ねじ86d及びナット87の雌ねじ87aが台形ねじである形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。回転部材の雄ねじ及び移動部材の雌ねじは、例えば三角ねじ等の他の形状であっても良い。ただし、ねじ山200の強度と、隙間S1の大きさの確保との両立を図り易い形態にする観点から、回転部材の雄ねじ及び移動部材の雌ねじは、台形ねじであることが好ましい。
また、供給装置80は、ジャッキ部71のジャッキ室72に、流体としてオイルを供給する装置であるが、オイルに限定されない。流体として、オイル以外の液体を用いても良いし、空気等の気体を用いても良い。
【0034】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係るスクリュー286の雄ねじ286dとナット87の雌ねじ87aの一例を示す図である。後述するように、実際には、スクリュー286の第1面411とナット87の第2面312とは接触しているが、スクリュー286及びナット87の形状を理解しやすくするために、便宜上、
図8には、これらを接触させていない様子を示している。
第2の実施形態に係るスクリュー286は、第1の実施形態に係るスクリュー86に対して、雄ねじ286dのねじ山400の形状が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0035】
ねじ山400は、頂面401と、底面402と、頂面401と底面402とを接続する面であるフランク410とを有している。1つのねじ山400を形成する2つのフランク410は、軸方向の第1端側にある第1面411と第2端側にある第2面412と、により構成される。そして、軸方向における底面402の長さは軸方向における底面202の幅と同一であり、軸方向における頂面401の長さが軸方向における頂面201の長さよりも小さくなるように設定されている。また、第2面412と回転軸方向とのなす角θ42の大きさが、第1面411と回転軸方向とのなす角θ41の大きさよりも小さくなるように設定されている。第1角θ41の大きさと、第1角θ31の大きさ及び第2角θ32の大きさとは同一である。第1面411と第2面412とのなす角であるねじ山400の角θ40と、第1角θ41と、第2角θ42とを加算した角の大きさは180度である。角θ40の大きさは、角θ20の大きさよりも小さい。
【0036】
以上のように構成された第2の実施形態に係るスクリュー286及びナット87を備える供給装置は、スクリュー286の第1面411とナット87の第2面312とが接触し、スクリュー286の第2面412とナット87の第1面311とが接触しないことにより形成される、第2面412と第1面311との間の隙間が、上記隙間S1よりも大きくなる。その結果、雄ねじ286dのねじ山400と雌ねじ87aのねじ山300との間に摩耗粉又は破片がさらに挟まり難くなるので、固着が発生したり、ねじ山400又はねじ山300に欠けが発生したりすることがさらに抑制される。
【0037】
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態に係るスクリュー386の雄ねじ86dと、ナット387の雌ねじ87aとの噛み合い部の一例を示す図である。
第3の実施形態に係るスクリュー386は、第1の実施形態に係るスクリュー86に対して、雄ねじ86dの回転半径方向内側に、回転半径方向に延びる凹部386rが形成されている点が異なる。また、第3の実施形態に係るナット387は、第1の実施形態に係るナット87に対して、雌ねじ87aの回転半径方向外側に、回転半径方向に延びる貫通孔387hが形成されている点が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第3の実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0038】
スクリュー386に形成された凹部386rは、雄ねじ86dが形成された第1部386aの外周面から回転半径方向、言い換えれば、軸方向に直交する方向に凹んでいる。例えば、凹部386rは、第1部386aの外周面から回転軸心まで凹んでいることを例示することができる。凹部386rの軸方向の位置は、各底面202の、軸方向における中央よりも第2面212に近い位置であると良い。より好ましくは、
図9に示すように、軸方向における凹部386rの位置は、スクリュー386の第2面212とナット387の第1面311との間に形成された隙間S1の軸方向の位置と、重なる位置であると良い。凹部386rは、円柱状であることを例示することができる。本実施形態において、凹部386rの直径は、例えば、軸方向における頂面201の長さの1割以上にすることができ、軸方向における隙間S1の幅以上であっても良い。スクリュー386の周方向における凹部386rの数は、特に限定されない。周方向における凹部386rの数は、1以上の任意の数にすることができる。
【0039】
ナット387に形成された貫通孔387hは、ナット387の半径方向内側と、ナット387の外部とを連通するように形成されている。軸方向における貫通孔387hの位置は、各谷面302の、軸方向における中央よりも第1面311に近い位置であると良い。より好ましくは、
図9に示すように、軸方向における貫通孔387hの位置は、軸方向における隙間S1の位置と、重なる位置であると良い。貫通孔387hは、円柱状であることを例示することができる。本実施形態において、貫通孔387hの直径は、例えば、軸方向における頂面301の長さの1割以上にすることができ、軸方向における隙間S1の幅以上であっても良い。ナット387の周方向における貫通孔387hの数は、特に限定されない。周方向における貫通孔387hの数は、1以上の任意の数にすることができる。
【0040】
以上、説明したように、第3の実施形態に係るスクリュー386及びナット387を備える供給装置は、雄ねじ86dよりも回転半径方向内側に、雄ねじ86dのねじ山200を形成する第2面212と雌ねじ87aのねじ山300を形成する第1面311との間の部位(隙間S1)に連通する連通路の一例としての凹部386rを有している。それゆえ、雄ねじ86dのねじ山200の頂面201における第1面211側の端部から生じた摩耗粉又は破片が、スクリュー386の凹部386rに入り込む可能性がある。また、ナット387は、雌ねじ87aよりも半径方向外側に、雄ねじ86dのねじ山200を形成する第2面212と雌ねじ87aのねじ山300を形成する第1面311との間の部位(隙間S1)に連通する連通路の一例としての貫通孔387hを有している。それゆえ、摩耗粉又は破片が、貫通孔387hを介して、ナット387の外部に排出される可能性がある。その結果、摩耗粉又は破片が雄ねじ86dと雌ねじ87aとの間にさらに挟まり難くなるので、ねじ間に固着が発生したり、ねじ山200又はねじ山300に欠けが発生したりすることが抑制される。
【0041】
上記説明では、円柱状である凹部386r及び貫通孔387hを例示したが、凹部386r及び貫通孔387hの形状は、円柱状に限定されない。
また、上記説明では、回転半径方向に延びた凹部386r及び貫通孔387hを例示したが、凹部386r及び貫通孔387hは、回転半径方向に延びていなくても良い。凹部386r及び貫通孔387hは、軸方向に交差する方向に形成されていればよく、軸方向に対する角度は特に限定されない。
また、上記説明では、ナット387をその径方向に貫通している形態の貫通孔387hを例示したが、移動部材が連通路を有する場合、連通路は貫通孔でなくても良く、内周面から凹んだ凹部であっても良い。
また、上記説明では、各底面202に凹部386rが形成されている形態を例示したが、回転部材が連通路を有する場合、連通路はすべての底面202に形成されていなくても良く、複数の底面202から選択された1以上に形成されていれば良い。また、上記説明では、各底面302に貫通孔387hが形成されている形態を例示したが、移動部材が連通路を有する場合、連通路はすべての底面302に形成されていなくても良く、複数の底面302から選択された1以上に形成されていれば良い。
また、上記説明では、回転部材及び移動部材に連通路(凹部386r、貫通孔387h)を有する形態を例示したが、本実施形態は当該形態に限定されず、凹部386r及び貫通孔387hのいずれか一方を有する形態であっても良い。
【0042】
また、上記説明では、第1の実施形態の回転部材及び移動部材に連通路を設けた形態に相当する第3の実施形態を例示したが、第3の実施形態はこれに限定されない。回転部材や移動部材に連通孔を設ける場合には、上記第2の実施形態に係るスクリュー286の雄ねじ286dやナット87の雌ねじ87aに、上記凹部386rや貫通孔387hを適用しても良い。
雄ねじ86dが形成されて回転するスクリュー86と、雄ねじ86dと噛み合う雌ねじ87aが形成されているとともに、スクリュー86が周方向である第1方向に回転することにより、回転軸方向の第1端側に移動し、当該移動に起因して、貯留室を形成するピストンを移動させることにより、貯留室に貯められた流体を排出させるナット87と、を備え、少なくとも、流体を排出させる場合、及び、スクリュー86が回転していない場合において、雄ねじ86dのねじ山200を形成する第1面211と、雌ねじ87aのねじ山300を形成する第2面312とは接触し、雄ねじ86dのねじ山200を形成する第2面212と、雌ねじ87aのねじ山300を形成する第1面311とは接触しない。