(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738562
(24)【登録日】2020年7月22日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20200730BHJP
【FI】
A01C11/02 301Z
A01C11/02 303Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-230803(P2017-230803)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2019-97455(P2019-97455A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2019年11月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078031
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 皓一
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】大久保 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−289045(JP,A)
【文献】
特開2017−121218(JP,A)
【文献】
特開2009−178062(JP,A)
【文献】
特開2012−157327(JP,A)
【文献】
特開2008−220292(JP,A)
【文献】
特開2012−005391(JP,A)
【文献】
特開平10−191733(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2016−0009809(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/00−14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗箱送り装置(1a)と苗植付具(1b)とを備えて苗箱から苗株を順次植え付けつつ圃場を走行するとともに、補充用の苗を積載する苗枠(T)を備える苗移植機において、
前記苗枠を支持する左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)を設け、
これら左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)の間に前記苗枠(T)を支持した内側苗載台(3)と、
前記左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)の各機体外側に前記苗枠(T)を支持した左右の外側苗載台(4,4)とからなる予備苗積載装置(2)を備え、
前記左右の外側苗載台(4,4)と前記内側苗載台(3)は各々上下に複数段に構成し、前記内側苗載台(3)において、最下段に位置する苗載台(3a)のみを、その上方に位置する苗載台(3b)よりも機体前方及び後方に突出するように構成し、
走行車体の中央部に車体カバー(H)を配置し、前記車体カバー(H)によってエンジン及び燃料タンクを覆うとともに、前記車体カバー(H)に臨んで内側苗載台(3)を配置し、この内側苗載台(3)に孔部を形成して前記燃料タンクの燃料補給用のホースを支持可能に構成することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
センサローラ(11)と、前後に略平行に配置され、前記センサローラ(11)を支持する前アーム(13)および後アーム(14)と、前記前アーム(13)の高さ位置を検出することによってセンサローラの高さを検出可能に構成された角度センサ(13s)とを備え、
植付け油圧レバーに連結されたケーブル(12)の終端部(12t)を、前記前アーム(13)の支点(13a)後方に形成された溝部(13b)に係合させ、
植付け油圧レバーを用いて前記ケーブル(12)が引き操作されると、前記前アーム(13)の前記支点(13a)が、機体に形成された長穴(15)の範囲内でスライドされることによって、センサローラ(11)を引き上げ可能に構成し、
前記長穴(15)の範囲は、前記ケーブル(12)のストロークよりも短く形成され、前記ケーブル(12)の引き操作によって前記支点(13a)が前記長穴(15)の上端部(15e)に達した状態でさらに前記引き操作がされることによって、前記前アーム(13)が後方に回動し、前記センサローラ(11)を機体下方に収納可能に構成され、
前記長穴(15)の前記上端部(15e)に、ケーブル(12)の引き方向に対して略直角方向に延びる前記支点(13a)の逃げ部分を設けたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記苗枠支持フレーム(2a,2a)は、中段部で屈曲してその上下部を機体前後の一方側に傾斜し、この苗枠支持フレーム(2a,2a)の傾斜と対応して、前記外側苗載台(4,4)の中段部を基準に上下隣接段部を前記一方側にずらして配置することを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記車体カバー(H)の前側を迂回するように屈曲して予備苗積載装置(2)の前部を支持する前側支持フレーム(2b)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項5】
走行車体の前輪(1c)をトレッド変更可能に構成し、前記前側支持フレーム(2b)の左右幅は、前側支持フレーム(2b)の屈曲部より上方が前記車体カバーの左右幅より広く、また、前記屈曲部より下方が上方より狭く、かつ、前記前輪(1c)の最小トレッドの左右内側距離内に構成することを特徴とする請求項4に記載の苗移植機。
【請求項6】
最上段と最下段の内側苗載台(3)に、空になった苗箱を保持する苗箱クリップをそれぞれ設け、これら苗箱クリップは、下方に回動させると苗箱を抑え、上方に回動させると解除可能に構成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項7】
前記苗植付具(1b)は、左右のホッパ部材(31a、31a)と、前記左右のホッパ部材(31a、31a)に設けられ、前記左右のホッパ部材(31a、31a)に付着した土を落とす一組の土落とし体(32a、32b)を備え、
前記一組の土落とし体(32a、32b)は、左右一方のホッパ部材(31a)に基部を設け、他方のホッパ部材(31a)の土を落とすように、前記植付ホッパ部材(31a)の外側で互いに交差するとともに、交差部において、互いに接触しないように立体交差する形状をなしていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補充用の苗箱を積載する予備苗積載装置を備える、植付部で苗株を植え付けながら走行する苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行特許文献1に示す苗移植機は、左右移動する苗箱送り装置に苗箱を載置し、苗箱から取り出される苗を植付装置で圃場に植え付けるものであり、機体前側の車体カバーの上方には、補充用の苗箱を積載する予備苗積載装置が設けられている。
【0003】
また、先行特許文献2に記載の移植機は、機体の左右両側に、上下方向に複数の苗載台を設けることにより、多数の苗箱を積載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5831822号公報
【特許文献2】特許第5935486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行特許文献1の予備苗積載装置は、機体の左右幅と略同程度の左右幅であり、積載できる苗箱の数が少ないので、作業者は空になった苗箱を機外に降ろし、苗の入った苗箱を積み込む作業を頻繁に行わねばならず、作業能率が低下すると共に、作業者に余分な労力を費やさせる問題がある。
【0006】
また、先行特許文献2に記載の予備苗積載装置は、全て同じ前後位置に上下に多段配置されているので、最上段以外の予備苗積載装置への苗の積み込みや、苗の取り出し作業を行うときは、上段に位置する苗載台が苗箱移動の妨げとなることがあり、作業能率が悪くなる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、予備苗積載装置について、下段配置の苗載台の苗箱の操作性を損なうことなく、多数の苗箱積載を可能とする苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、苗箱送り装置(1a)と苗植付具(1b)とを備えて苗箱から苗株を順次植え付けつつ圃場を走行するとともに、補充用の苗を積載する苗枠(T)を備える苗移植機において、前記苗枠(T)を支持する左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)を設け、これら左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)の間に前記苗枠(T)を支持した内側苗載台(3)と、前記左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)の各機体外側に前記苗枠(T)を支持した左右の外側苗載台(4,4)とからなる予備苗積載装置(2)を備え
、前記左右の外側苗載台(4,4)と前記内側苗載台(3)は各々上下に複数段に構成し、前記内側苗載台(3)において、最下段に位置する苗載台(3a)のみを、その上方に位置する苗載台(3b)よりも機体前方及び後方に突出するように構成し、走行車体の中央部に車体カバー(H)を配置し、前記車体カバー(H)によってエンジン及び燃料タンクを覆うとともに、前記車体カバー(H)に臨んで内側苗載台(3)を配置し、この内側苗載台(3)に孔部を形成して前記燃料タンクの燃料補給用のホースを支持可能に構成することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
センサローラ(11)と、前後に略平行に配置され、前記センサローラ(11)を支持する前アーム(13)および後アーム(14)と、前記前アーム(13)の高さ位置を検出することによってセンサローラの高さを検出可能に構成された角度センサ(13s)とを備え、植付け油圧レバーに連結されたケーブル(12)の終端部(12t)を、前記前アーム(13)の支点(13a)後方に形成された溝部(13b)に係合させ、植付け油圧レバーを用いて前記ケーブル(12)が引き操作されると、前記前アーム(13)の前記支点(13a)が、機体に形成された長穴(15)の範囲内でスライドされることによって、センサローラ(11)を引き上げ可能に構成し、前記長穴(15)の範囲は、前記ケーブル(12)のストロークよりも短く形成され、前記ケーブル(12)の引き操作によって前記支点(13a)が前記長穴(15)の上端部(15e)に達した状態でさらに前記引き操作がされることによって、前記前アーム(13)が後方に回動し、前記センサローラ(11)を機体下方に収納可能に構成され、前記長穴(15)の前記上端部(15e)に、ケーブル(12)の引き方向に対して略直角方向に延びる前記支点(13a)の逃げ部分を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記苗枠支持フレーム(2a,2a)は、中段部で屈曲してその上下部を機体前後の一方側に傾斜し、この苗枠支持フレーム(2a,2a)の傾斜と対応して、前記外側苗載台(4,4)の中段部を基準に上下隣接段部を前記一方側にずらして配置することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、
前記車体カバー(H)の前側を迂回するように屈曲して予備苗積載装置(2)の前部を支持する前側支持フレーム(2b)を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項
4に記載の発明において、
走行車体の前輪(1c)をトレッド変更可能に構成し、前記前側支持フレーム(2b)の左右幅は、前側支持フレーム(2b)の屈曲部より上方が前記車体カバーの左右幅より広く、また、前記屈曲部より下方が上方より狭く、かつ、前記前輪(1c)の最小トレッドの左右内側距離内に構成することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項
1から5のいずれかに記載の発明において、
最上段と最下段の内側苗載台(3)に、空になった苗箱を保持する苗箱クリップをそれぞれ設け、これら苗箱クリップは、下方に回動させると苗箱を抑え、上方に回動させると解除可能に構成することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項
1から6のいずれかに記載の発明において、
前記苗植付具(1b)は、左右のホッパ部材(31a、31a)と、前記左右のホッパ部材(31a、31a)に設けられ、前記左右のホッパ部材(31a、31a)に付着した土を落とす一組の土落とし体(32a、32b)を備え、前記一組の土落とし体(32a、32b)は、左右一方のホッパ部材(31a)に基部を設け、他方のホッパ部材(31a)の土を落とすように、前記植付ホッパ部材(31a)の外側で互いに交差するとともに、交差部において、互いに接触しないように立体交差する形状をなしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明は、左右の苗枠支持フレーム(2a,2a)の左右間の内側苗載台(3)と、その両外側の左右の外側苗載台(4,4)とからなる予備苗積載装置(2)を設けることにより、苗箱の積載数を増やすことができ、また、走行車体の上方の空間部を利用して内側苗載台(3)を多段に構成できることから、補充用の多数の苗箱を積載することができる。
また、外側苗載台(4,4)と内側苗載台(3)は各々上下方向に複数段配置することにより、苗箱の積載数を増やすことができるので、苗箱の補充間隔が長くなり、作業中断時間が全体として短くなる。
さらに、燃料タンクを覆う車体カバー(H)に臨んで内側苗載台(3)を配置し、最下段に位置する苗載台(3a)のみを、その上方に位置する苗載台(3b)よりも機体前方及び後方に突出するように構成されているから、苗箱の投入や取り出しを行いやすくなり、作業能率が向上するとともに、苗箱の積載数も増加させることができる他、作業性の確保が可能となる。
また、車体カバー(H)に臨む内側苗載台(3)は、その孔部に燃料ホースを差し込んで支持することで車体カバー(H)内の燃料補給が可能となり、この時、補給燃料置き台として安定して保持できるので、補給中に燃料ホースが抜けて燃料が機体や圃場に漏れ出すことがなく、余分な燃料の消費や、燃料による汚染を防止して、燃料補給作業を能率よく行うことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の効果に加え、
植付け油圧レバーを用いたケーブル(12)の引き操作によって、前アーム(13)が後方に回動され、センサローラ(11)を引き上げ、収納可能に構成されているので、邪魔にならずに操作できると同時に、前アーム(13)が角度センサ(13s)のストッパにもなり、構成をシンプルにすることができる。
さらに、長穴(15)の上端部(15e)に支点(13a)の逃げ部分が設けられているから、センサローラ(11)が畝に当たった場合の余裕とすることができると同時に、
支点(13a)の逃げ部分がケーブル(12)の引き方向に対して略直角方向に延びているから、ケーブル(12)の引き操作時に、長穴(15)の上端部(15e)で前アーム(13)を回動させることが可能である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、苗枠支持フレーム(2a,2a)を中段部から上下部を機体前側に傾斜し、最上段及び最下段に配置される外側苗載台(4,4)を最も機体前側に配置する場合は、苗箱を機体前側から積み込みやすくなり、作業能率が向上し、また、逆に、最上段及び最下段傾斜を機体後側とする場合は、苗箱を外側苗載台(4,4)から取り出しやすくなり、作業能率が向上する。
また、外側苗載台(4,4)が前後位置がズレて上下方向に複数配置されることにより、各外側苗載台(4,4)に苗箱を出し入れする際に他の外側苗載台(4,4)が邪魔になりにくく、作業能率が向上する。
【0020】
請求項
4に記載の発明は、請求項1から
3のいずれかに記載の発明の効果に加え、車体カバー(H)の前方を迂回して屈曲部を形成した前側支持フレーム(2b)により、走行障害物から車体カバー(H)を保護することができる。
また、前側支持フレーム(2b)は、屈曲部の上側の傾斜部によって予備苗積載装置(2)と直接連結することができ、部品数の削減が図られる。
【0021】
請求項
5に記載の発明は、請求項
4に記載の発明の効果に加え、前側支持フレーム(2b)の屈曲部より下方の左右幅を、前輪(1c)の最小トレッドの左右内側距離内することにより、走行輪の左右間隔の設定が自由に行えるので、畝幅が違っても植付作業を行える。
また、前側支持フレーム(2b)の屈曲部より上方の左右幅を、車体カバーの左右幅よりも広くすることにより、予備苗積載装置(2)を装着したまま車体カバーを着脱することができるので、メンテナンス作業時に余分な労力が不要になる。
【0023】
請求項
6に記載の発明は、請求項1から
5のいずれかに記載の発明の効果に加え、最上段と最下段の内側苗載台(3)に苗箱クリップを設けることにより、複数の空の苗箱を落下することなく保持できるので、空の苗箱を機体から降ろす作業回数が減少し、作業能率が向上する。
また、最下段の内側苗載台(3)に苗箱クリップを設けることにより、作業者が最上段の内側苗載台(3)に手が届きにくくても、最下段の内側苗載台(3)には空になった苗箱を楽に載置できるので、作業者の労力が軽減される。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明の効果に加え、苗植付具(1b)に設けられた一組の土落とし体(32a、32b)が、立体交差する形状をなしているから、左右のホッパ部材(31a、31a)の開閉動作時に互いに接触することなく、左右のホッパ部材(31a、31a)に付着した土を落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図8】苗植付ホッパ部の側面図(a)と要部背面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0025】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。なお、説明においては、苗移植機の前進方向を基準に、前後、左右と云う。
【0026】
(苗移植機)
本発明の苗移植機1は、その側面図と要部平面図を
図1、
図2に示すように、苗箱送り装置1aと苗植付具1bとを備えて苗箱の苗株を順次植え付けつつ走行部1c,1dによって圃場を走行可能に構成するとともに、補充苗箱を積載する予備苗積載装置2を備える。
【0027】
苗箱は、苗箱送り装置1aにセットすることによって順次移動され、取り出された苗株がくちばし状の苗植付具1bに渡され、その上下動作によって苗株が圃場に植付けられる。
【0028】
オペレータは、機体後部の歩行操縦部1eを操作するとともに、予備苗積載装置2から苗箱送り装置1aに苗箱を補充し、空になった苗箱を取外すことによって植付けを続行することができる。
【0029】
(予備苗積載装置)
予備苗積載装置2について詳細に説明すると、その側面図、平面図、正面図を順に
図3〜5に示すように、苗枠前部に左右の苗枠支持フレーム2b,2bを側面視で「く」の字状に構成してレンズフードの横直近位置でガードを兼ね、また、フレーム下部の左右幅を小さくして最小トレッド内に構成し、また、上部分は、レンズフードより広くして苗枠を付けたままでフードの取外しを可能とする。
【0030】
苗枠支持フレーム2b,2bは、上面視でフードの外側に位置することで、フードを上方に開けることができ、また、フック2c,2cを付けることで、トラック積載時に高いあおりがあっても、前側を安定固定することができる。
【0031】
両サイドには、それぞれ4段の苗載台4a…を設け、苗数が72株の苗箱と128株の苗箱を搭載可能とすることで、従来より多くの苗を載せることができる。
【0032】
苗載台の前側は、苗枠支持フレーム2b,2bを介して車体のバンパに支持することで、給油用タンク台としての剛性を確保することができる。
【0033】
苗載台は、側面視で「く」の字状に中段部を前側に突出することで、下段のトレイ後部に操作空間を確保して苗箱を上方に引き出し易くし、また、上段部を作業者に近付けて苗箱がとり易くなる。
【0034】
中央位置には、上段苗載台3b,3bに苗箱を各々1枚、下段苗載台3aに苗箱2枚を前後直列積載可能に前後に長い苗台を設けることで、低位置で前後端の突出部周りの操作空間により、積載数を増加しつつ、作業性の確保が可能となる。
【0035】
中央の下段苗載台3aは、さらに、苗箱を前後スライド可能に構成することで、前側の苗を後方から容易に取出すことができ、また、燃料タンクF(
図1参照)の上部に配置し、その給油口F1に臨んで燃料ホースのガイド穴(不図示)を形成する。
【0036】
上部と中央下段の後部側に空トレイ押さえを設けることで、高位置と低位置に空トレイを収容することができ、また、両サイドの苗載台のストッパをスプリングによって跳ね上げ側に傾斜付勢することで、下側の苗の取出しが容易となる。
【0037】
(天秤アーム)
次に、天秤アームは、往復2条植えで左右のトレッドが異なる場合に、右油圧ロッド側を長くして左右の分担荷重に合わせた長さにすることによって天秤が釣り合うことから、左右差によるローリングシリンダの負荷を小さく抑えることができる。
この場合において、天秤の回動中心を機体中心に合わせることにより、ローリングが動いても、植付け支持高さが一定できれいに揃えることができる。
【0038】
(フロントセンサ)
フロントセンサ11は、
図6の側面図(斜視図付帯)に示すように、不図示の植付け油圧レバーと連結するケーブル12でリフト可能に構成することで、油圧を固定するとセンサローラ11をリフトできるので、邪魔にならずに操作できる。
【0039】
詳細には、センサローラ11の支持アーム11aを前アーム13と後アーム14とによる前後配置の平行リンクで支持し、前アーム13の高さ位置を検出する角度センサ13sを設けて、センサローラ11の高さを検出可能に構成する。
【0040】
また、ケーブル12の終端12tを前アーム13の支点13aの後側の溝部13bに係合するとともに、前アーム13の支点13aを長穴15にガイドし、ケーブル12によって前アーム13を引き上げることでセンサローラ11を引き上げ可能に構成する。
【0041】
長穴
15は、ケーブル12のストロークより短く形成し、ケーブル12の引き操作により、前アーム13の支点13aが長穴15の範囲のスライドによってセンサローラ11を引上げ、長穴15の上端エンド15eに達した後は、前アーム13が後ろに回動してセンサローラ11が機体の下に収納され、前アーム13は角度センサ13sのストッパにもなり、シンプルに構成できる。
【0042】
長穴15はエンド15e部分で上に広く形成することにより、ケーブル12を引いて前アーム13の支点13aがエンド15e部分に来た状態でも、上方に逃げがあるため、センサローラ11が畝に当たった場合の余裕となる。
【0043】
また、ケーブル12の引き方向に対して直角方向の逃げを長穴15のエンド15e部分に形成することで、ケーブル12の操作でリフトした時に、エンド部分で前アーム13が回動する。
【0044】
(伝動部)
次に、クローラ仕様の伝動部について説明すると、
図7の伝動部の要部断面図に示すように、走行ミッション21とクローラ減速ミッション22の間に過負荷防止用クラッチ23を設ける。クラッチ爪は、形状を台形とすることで、正転・逆転の過負荷に対応することができる。
【0045】
(植付けホッパ)
苗植付具1bには、
図8の苗植付ホッパ部の側面図(a)と要部背面図(b)に示すように、左右のホッパ部材31a,31aの外側に付着した高粘度の土を落とす土落とし体32a,32bを設ける。
【0046】
土落とし体32a,32bは、左右のホッパ部材31a,31aの開閉時に作用する位置に金属材等の硬質部材によって構成し、一方のホッパ部材31aに基部を設け、他方のホッパ部材31aの土を落とすように、左右のホッパ部材31a,31aについて互いに交差するとともに、交差部において立体交差する交差回避形状に構成することで、左右のホッパ部材31a,31aの開閉動作に応じて、互いにぶつかることなく、土落としが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 苗移植機
1a 苗箱送り装置
1b 苗植付具
1c 前輪
2 予備苗積載装置
2a 苗枠支持フレーム
2b 前側支持フレーム
3 内側苗載台
4 外側苗載台
H 車体カバー
T 苗枠