(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明による半導体素子アレイの実施の形態1の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図2は、
図1に示す半導体素子アレイ1のA−B断面の概略断面図である。尚、
図1では、簡単のため、後述する層間絶縁膜層11及びパッシベーション層18を省略している。
【0011】
これ等の
図1、
図2に示すように、基板としての長板状の駆動回路基板10上には、層間絶縁膜層11(
図2)が形成され、その上に発光素子としてのLED20が、所定の間隔で駆動回路基板10の長手方向に沿って直線状に複数接合されている。駆動回路基板10上に形成された各LED20は、複数層からなり、
図2に示すように、下層から順に、バッファ層21、nコンタクト層22、下クラッド層23、活性層24、上クラッド層25、pコンタクト層26を積層して構成している。LED20の構成材料としては、例えば、n−GaAs、n−Al
xGa
(1−x)As、p−GaAs、p−Al
xGa
(1−x)AsなどのGaAs系半導体が適用される。
【0012】
LED20は、例えばフォトリソグラフィ技術やエッチング技術を用いてメサ形状に加工されており、最表面には、nコンタクト層22とpコンタクト層26が露出し、nコンタクト層22上には、例えば蒸着やスパッタを用いて電極としてのカソード電極13が形成されている。
【0013】
駆動回路基板10の表面には、その長手方向に配列された複数のLED20(以後、LED列と称す場合がある)に沿って、基板上配線17が4列平行に形成されている。同じく駆動回路基板10上において、基板上配線17のLED列とは反対側に、4つの個別電極パッド16が隣接して形成され、LED列の基板上配線17とは反対側に、4つのLED20毎にそれぞれ対応して配置された接続端子としての共通電極パッド15と、その両隣に外部接続用の接続ワイヤ40がボンディング接続される外部接続パッド14が隣接して一列に形成されている。このためワイヤ接続用のパッドとしての外部接続パッド14には、ボンディング部14aが形成される。
【0014】
駆動回路基板10は、LED列を駆動する駆動回路を備え、外部接続パッド14に駆動電源を入力し、マトリックス制御によりLED列を発光駆動するための駆動電流を、選択した共通電極パッド15と個別電極パッド16との間に供給する。
【0015】
層間絶縁膜層11は、駆動回路基板10上の、外部接続パッド14、共通電極パッド15、個別電極パッド16、及び基板上配線17の接続部に形成された開口部11a,11bを除く領域に形成されている。尚、
図1には、開口部11a,11bを点線で示す。
【0016】
各LED20には、配線としての共通電極配線32及び個別電極配線35が電気的に接続されるが、これらの配線を形成する前に、その下地層として絶縁膜12が形成される。絶縁膜12は、
図2の断面図に示すように、各LED20の層間に生じた段差を覆って緩和し、また基板上配線17と個別電極配線35の絶縁を確実にするために、各LED20の表面の所定箇所、即ちpコンタクト層26とカソード電極13とに形成される開口部を除く、LED列全体を覆う領域と各個別電極配線35の下層となる領域に形成される。
【0017】
各LED20のpコンタクト層26には、アノード電極を兼ねた共通電極配線32を電気的に接続するが、この共通電極配線32は、段差が緩和された絶縁膜12上に形成され、
図1に示すように、グループ化された隣接する4つのLED20のpコンタクト層26と、対応する1つの共通電極パッド15とを電気的接続している。
【0018】
この共通電極配線32は、絶縁膜12の、外部接続パッド14に対向して長手方向に延在する端部としての短手方向端部12aを覆うように形成された遮蔽接続部32bと、遮蔽接続部32bから各LED20のpコンタクト層26まで垂直に延在する電極部32aと、遮蔽接続部32bから対応する共通電極パッド15まで垂直に電極部32aとは反対方向に延在するパッド接続部32cとからなる。
【0019】
遮蔽接続部32bは、
図2に示すように、絶縁膜12の短手方向端部12aの上部及び端部をすっぽり覆うように形成され、また
図1に示すように、隣接する遮蔽接続部32b間には、絶縁が確保されるように僅かな隙間が形成されている。
【0020】
一方、各LED20のカソード電極13には、それぞれ個別電極配線35を電気的に接続するが、各個別電極配線35は、段差が緩和され且つ基板上配線17とは絶縁された絶縁膜12上に形成され、
図1に示すように、LED20のカソード電極13と、対応する所定の基板上配線17との間のみを、層間絶縁膜層11に形成された開口部11aを介して電気的に接続している。
【0021】
4つの個別電極パッド16には、それぞれ接続配線36を電気的に接続するが、各接続配線36は、層間絶縁膜層11上に形成され、層間絶縁膜層11に形成された開口部11bを介してそれぞれ対応する基板上配線17のみに接続するように構成されている。そして半導体素子アレイ1の上面には、ごみ等によるショートを防止するために、外部接続パッド14の表面を除いてパッシベーション層18(
図2)が形成されている。
【0022】
以上の構成により、所望のLED20の、アノード電極(共通電極配線32)からカソード電極13に電流を流すことによりその活性層24を発光することができる。
【0023】
次に、半導体素子アレイ1の製造方法について説明する。
【0024】
先ず、駆動回路を備え、表面に外部接続パッド14、共通電極パッド15、個別電極パッド16、及び基板上配線17を配設した駆動回路基板10上の、外部接続パッド14、共通電極パッド15、個別電極パッド16、及び基板上配線17の接続部に形成された開口部11a,11bを除く領域に層間絶縁膜層11を成膜し、その上の所定箇所にカソード電極13を備えた複数のLED20を接合配置する。
【0025】
そして各LED20の表面の所定箇所、即ちpコンタクト層26の配線接続部とnコンタクト層22上のカソード電極13の配線接続部を除く、LED列全体を覆う領域及び個別電極配線35の下地となる領域に絶縁膜12を成膜した後に、共通電極配線32、個別電極配線35、及び接続配線36を同じ工程で同時に形成し、その後に、外部接続パッド14の表面を除いてパッシベーション層18(
図2)を形成する。
【0026】
カソード電極13、共通電極配線32、個別電極配線35、及び接続配線36は、蒸着或いはスパッタで形成されており、材料としては、AlやTi,Auなどの金属を適用する。pコンタクト層26では、共通電極配線32がpコンタクト層26と直接コンタクトするよう形成されている。これは、pコンタクト層であるp−GaAsと配線金属とのコンタクト抵抗が低いためである。
【0027】
層間絶縁膜層11、絶縁膜12、及びパッシベーション層18は、短絡しないよう形成するため、材料には絶縁性の有機膜か無機膜を使用する。有機膜としてはポリイミド樹脂やアクリル樹脂などがあり、無機膜としては、窒化物や酸化物を適用する。有機絶縁膜の場合は、フォトリソグラフィ技術で目的のパターンを形成した後、高温処理で硬化を行う。無機絶縁膜の場合は、CVDやスパッタによって全面に膜を形成した後、リフトオフやフォトリソグラフィでマスク形成をした後エッチングを行い、パターン形成を行う。
【0028】
共通電極配線32、個別電極配線35、及び接続配線36の形成時に段差による断線を防ぐため、層間絶縁膜層11、絶縁膜12、パッシベーション層18は、短絡を防止できる範囲であれば、より薄膜である方が好ましい。また、絶縁膜12とパッシベーション層18は、LED20上に形成するため、活性層24から発生する光の波長において、透過率が高く外部への光取り出しを阻害しない材質が好ましい。
【0029】
以上のように構成された半導体素子アレイ1において、共通電極パッド15及び個別電極パッド16の内、選択された電極パッド間に駆動電流を流すことにより、指定されたLED20を発光することができる。この時、活性層24で発光した光は、半導体素子アレイ1の上面に照射されるが、
図3に矢印で示すように、一部が絶縁膜12内を伝搬し、絶縁膜12の短手方向端部12aの近傍に達する。
【0030】
しかしながら、導波された光は、この短手方向端部12aを覆うように形成された、共通電極配線32の遮蔽接続部32bによって遮光されるため、導波された光が短手方向端部12aの近傍からもれることがない。
【0031】
尚、本実施の形態では、絶縁膜12内を伝搬する光が、接続ワイヤ40等によって上方に反射するのを防止するため、絶縁膜12の短手方向端部12aのみを共通電極配線32によって覆うように構成したが、これに限定されるものではなく、更に絶縁膜12の長手方向の端部をも覆うように形成してもよい。
【0032】
また本実施の形態では、アノード電極を兼ねた共通電極配線32を直接pコンタクト層26に接続したが、pコンタクト層26にアノード電極を形成し、このアノード電極に共通電極配線32を接続するように構成してもよい。
【0033】
更に本実施の形態では、駆動回路基板10がLEDの駆動回路を備えた構成として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば外部駆動回路から、選択した共通電極パッド15と個別電極パッド16間に直接駆動電流を流すように構成してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。
【0034】
以上のように、本実施の形態の半導体素子アレイ1によれば、絶縁膜12内を伝搬する光が、接続ワイヤ40等の反射構造体によって上方に反射することがないため、反射光によるノイズによってプリンタでの印字品質が低下するのを防止できる。また、共通電極配線32等の配線パターンの形状を考慮することによって、遮蔽接続部32bを形成して遮光するため、新たに遮光膜を形成する工程を設ける必要がないためコストアップを防ぐことができる。
【0035】
実施の形態2.
図4は、本発明による半導体素子アレイの実施の形態2の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図5は、
図4に示す半導体素子アレイ101のA−B断面の概略断面図である。尚、
図4では、簡単のため、層間絶縁膜層11及びパッシベーション層18を省略している。
【0036】
この半導体素子アレイ101が、
図1に示す実施の形態1の半導体素子アレイ1と主に異なる点は、共通電極配線132(実施の形態1では共通電極配線32)の形状が変わり、新たに遮光膜105が追加された点と、製造方法が異なる点である。従って、この半導体素子アレイ101が、前記した実施の形態1の半導体素子アレイ1と共通する部分には同符号を付して、異なる点を重点的に説明する。
【0037】
ここでの共通電極配線132は、絶縁膜12上でLED列の各pコンタクト層26に沿って延在する接続部132bと、接続部132bから各LED20のpコンタクト層26まで垂直に延在する電極部132aと、接続部132bから対応する共通電極パッド15まで垂直に電極部132aとは反対方向に延在するパッド接続部132cとからなる。
【0038】
ここでは、接続部132bは、絶縁膜12の短手方向端部12aを覆っておらず、代わりに新たに設けた遮光膜105が、絶縁膜12の短手方向端部12aの上部及び端部をすっぽり覆うように形成されている。
【0039】
次に、半導体素子アレイ101の製造方法について説明する。
【0040】
先ず、駆動回路を備え、表面に外部接続パッド14、共通電極パッド15、個別電極パッド16、及び基板上配線17を配設した駆動回路基板10上の、外部接続パッド14、共通電極パッド15、個別電極パッド16、及び基板上配線17の接続部に形成された開口部11a,11bを除く領域に層間絶縁膜層11を成膜し、その上の所定箇所にカソード電極13がまだ形成されていない複数のLED20を接合配置する。
【0041】
そして各LED20の表面の所定箇所、即ちpコンタクト層26の配線接続部とnコンタクト層22上のカソード電極13の配線接続部を除く、LED列全体を覆う領域及び個別電極配線35の下地となる領域に絶縁膜12を成膜する。そして、カソード電極13と遮光膜105とを同じ工程で、同一材料で形成した後、共通電極配線132、個別電極配線35、及び接続配線36を形成し、その後に、外部接続パッド14の表面を除いてパッシベーション層18(
図5)を形成する。
【0042】
以上のように構成された半導体素子アレイ101において、共通電極パッド15及び個別電極パッド16の内、選択された電極パッド間に駆動電流を流すことにより、指定されたLED20を発光することができる。その時、活性層24で発光した光は、半導体素子アレイ1の上面に照射されるが、一部が絶縁膜12内を伝搬し、絶縁膜12の短手方向端部12aの近傍に達する(
図3参照)。
【0043】
しかしながら、導波された光は、この短手方向端部12aを覆うように形成された、遮光膜105によって遮光されるため、導波された光が短手方向端部12aの近傍からもれることがない。
【0044】
以上のように、本実施の形態の半導体素子アレイ101によれば、絶縁膜12内を伝搬する光が、接続ワイヤ40等の反射構造体によって上方に反射することがないため、反射光によるノイズによってプリンタでの印字品質が低下するのを防止できる。また、遮光膜105をカソード電極13と同じ工程で同時に形成するため、新たに遮光膜を形成する工程を設ける必要がないためコストアップを防ぐことができる。
【0045】
実施の形態3.
図6は、本発明による半導体素子アレイの実施の形態3の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図7は、
図6に示す半導体素子アレイ201のA−B断面の概略断面図であり、
図8は、
図6に示す半導体素子アレイ201のC−D断面の概略断面図である。尚、
図6では、簡単のため、層間絶縁膜層11及びパッシベーション層18を省略している。
【0046】
この半導体素子アレイ201が、
図1に示す実施の形態1の半導体素子アレイ1と主に異なる点は、共通電極配線232(実施の形態1では共通電極配線32)の形状が異なる点である。従って、この半導体素子アレイ201が、前記した実施の形態1の半導体素子アレイ1と共通する部分には同符号を付して、異なる点を重点的に説明する。
【0047】
ここでの共通電極配線232は、グループ化された隣接する4つのLED20毎に、各活性層24で発光した光が上方に向かうのを通過させるための4つの開口部232d及び4つのLED20の各カソード電極13に個別電極配線35を接続するための4つの切欠き部232eを除く絶縁膜12上に形成され、更に絶縁膜12の、外部接続パッド14に対向して長手方向に延在する端部としての短手方向端部12aを覆うように形成される。また共通電極配線232は、4つの開口部232dのそれぞれにおいて各縁から短手方向に延在し、対応するpコンタクト層26に電気的に接続する4つの電極部232aと、対応する共通電極パッド15まで延在するパッド接続部232cとを有する。
【0048】
製造方法については、実施の形態1で説明した通りであるが、ここでは、共通電極配線232(実施の形態1では共通電極配線32)を個別電極配線35、及び接続配線36と同じ工程で同時に形成する。
【0049】
以上のように構成された半導体素子アレイ201において、共通電極パッド15及び個別電極パッド16の内、選択された電極パッド間に駆動電流を流すことにより、指定されたLED20を発光することができる。その時、活性層24で発光した光は、開口部232dを介して半導体素子アレイ201の上方に照射されるが、一部が絶縁膜12内を伝搬し、開口部232d以外の絶縁膜12の外側面に達する(
図9参照)。
【0050】
しかしながら、導波された光は、絶縁膜12の外側面を覆うように形成された、共通電極配線232によって遮光されるため、導波された光が開口部232d以外からもれるのを抑制する。
【0051】
以上のように、本実施の形態の半導体素子アレイ201によれば、絶縁膜12内を伝搬する光が、開口部232d以外から外部にもれるのを抑制できるため、接続ワイヤ40等の反射構造体によって上方に反射することがなく、反射光によるノイズによってプリンタでの印字品質が低下するのを防止できる。また、共通電極配線232等の配線パターンの形状を考慮することによって、絶縁膜12の要部を覆って遮光するため、新たに遮光膜を形成する工程を設ける必要がないためコストアップを防ぐことができる。
【0052】
実施の形態4.
図10は、本発明による半導体素子アレイの実施の形態4の要部構成を概略的に示す平面図であり、
図11は、
図10に示す半導体素子アレイ301のA−B断面の概略断面図であり、
図12は、
図10に示す半導体素子アレイ301のC−D断面の概略断面図である。尚、
図10では、簡単のため、層間絶縁膜層11及びパッシベーション層18を省略している。
【0053】
この半導体素子アレイ301が、
図4に示す実施の形態2の半導体素子アレイ101と主に異なる点は、遮光膜305(実施の形態1では遮光膜105)の形状が異なる点である。従って、この半導体素子アレイ301が、前記した実施の形態2の半導体素子アレイ101と共通する部分には同符号を付して、異なる点を重点的に説明する。
【0054】
ここでの遮光膜305は、各LED20の活性層24で発光した光が上方に向かうのを通過させるための領域、共通電極配線132を形成する領域、カソード電極13を形成する領域、及び個別電極配線35を形成する領域を除いて、絶縁膜12を覆うように形成されている。このため、複数の櫛歯状開口部305a及び切欠き部305bを有する。
【0055】
製造方法については、実施の形態2で説明した通りであるが、ここでは、遮光膜305(実施の形態2では遮光膜105)をカソード電極13と同じ工程で同時に形成する。
【0056】
以上のように構成された半導体素子アレイ301において、共通電極パッド15及び個別電極パッド16の内、選択された電極パッド間に駆動電流を流すことにより、指定されたLED20を発光することができる。その時、活性層24で発光した光は櫛歯状開口部305aを介して半導体素子アレイ201の上方に照射されるが、一部が絶縁膜12内を伝搬し、活性層24上方以外の絶縁膜12の外側面に達するが(
図9参考)、導波された光は、絶縁膜12の外側面を覆うように形成された、遮光膜305によって遮光されるため、導波された光が所定部以外からもれるのを抑制する。
【0057】
以上のように、本実施の形態の半導体素子アレイ301によれば、絶縁膜12内を伝搬する光が、所定部以外から外部にもれるのを抑制できるため、接続ワイヤ40等の反射構造体によって上方に反射することがなく、反射光によるノイズによってプリンタでの印字品質が低下するのを防止できる。また、遮光膜305をカソード電極13と同じ工程で同時に形成するため、新たに遮光膜を形成する工程を設ける必要がないためコストアップを防ぐことができる。
【0058】
実施の形態5.
図13は、本発明のLEDヘッドに基づく実施の形態5のLEDプリントヘッド1200を示す図である。
【0059】
同図に示すように、ベース部材1201上には、LEDユニット1202が搭載されている。このLEDユニット1202は、実施の形態1又は2の半導体素子アレイが実装基板上に搭載されたものである。
図14は、このLEDユニット1202の一構成例を示す平面配置図で、実装基板1202e上には、前記した各実施の形態で説明した半導体素子アレイが、発光部ユニット1202aとして長手方向に沿って複数配設されている。実装基板1202e上には、その他に、発光部ユニット1202aを駆動制御する電子部品が配置されて配線が形成されている、電子部品実装、配線及び接続のためのエリア1202b、1202c、及び外部から制御信号や電源などを供給するためのコネクタ1202d等が設けられている。
【0060】
発光部ユニット1202aの発光部の上方には、発光部から出射された光を集光する光学素子としてのロッドレンズアレイ1203が配設されている。このロッドレンズアレイ1203は、柱状の光学レンズを発光部ユニット1202aの直線状に配列された発光部(ここでは、
図1におけるLED20の配列)に沿って多数配列したもので、光学素子ホルダに相当するレンズホルダ1204によって所定位置に保持されている。
【0061】
このレンズホルダ1204は、同図に示すように、ベース部材1201及びLEDユニット1202を覆うように形成されている。そして、ベース部材1201、LEDユニット1202、及びレンズホルダ1204は、ベース部材1201及びレンズホルダ1204に形成された開口部1201a,1204aを介して配設されるクランパ1205によって一体的に挟持されている。従って、LEDユニット1202で発生した光は、ロッドレンズアレイ1203を通して所定の外部部材に照射される。このLEDプリントヘッド1200は、例えば電子写真プリンタや電子写真コピー装置等の露光装置として用いられる。
【0062】
以上のように、本実施の形態のLEDプリントヘッド1200によれば、発光部ユニット1202aとして、前記した実施形態1乃至4何れかの半導体素子アレイが使用されるため、光のノイズ発生を防止して、高精度のLEDプリントヘッド1200を提供することができる。
【0063】
実施の形態6.
図15は、本発明の画像形成装置に基づく実施の形態6の画像形成装置1300の要部構成を模式的に示す要部構成図である。
【0064】
同図に示すように、画像形成装置1300内には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の画像を、各々に形成する四つのプロセスユニット1301〜1304が記録媒体1305の搬送経路1320に沿ってその上流側から順に配置されている。これらのプロセスユニット1301〜1304の内部構成は共通しているため、例えばシアンのプロセスユニット1303を例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0065】
プロセスユニット1303には、像担持体として感光体ドラム1303aが矢印方向に回転可能に配置され、この感光体ドラム1303aの周囲にはその回転方向上流側から順に、感光体ドラム1303aの表面に電気供給して帯電させる帯電装置1303b、帯電された感光体ドラム1303aの表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置1303cが配設される。更に、静電潜像が形成された感光体ドラム1303aの表面に、所定色(シアン)のトナーを付着させて顕像を発生させる現像装置1303d、及び感光体ドラム1303aの表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置1303eが配設される。尚、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源及びギアによって回転させられる。
【0066】
また、画像形成装置1300は、その下部に、紙等の記録媒体1305を重ねた状態で収納する用紙カセット1306を装着し、その上方には記録媒体1305を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ1307を配設している。更に、記録媒体1305の搬送方向における、このホッピングローラ1307の下流側には、ピンチローラ1308,1309と共に記録媒体1305を挟持することによって、記録媒体1305の斜行を修正し、プロセスユニット1301〜1304に搬送するレジストローラ1310,1311を配設している。これ等のホッピングローラ1307及びレジストローラ1310,1311は、図示しない駆動源及びギアによって連動回転する。
【0067】
プロセスユニット1301〜1304の各感光体ドラムに対向する位置には、それぞれ半導電性のゴム等によって形成された転写ローラ1312が配設されている。そして、感光体ドラム1301a〜1304a上のトナーを記録媒体1305に転写させるために、感光体ドラム1301a〜1304aの表面とこれらの各転写ローラ1312の表面との間に所定の電位差が生じるように構成されている。
【0068】
定着装置1313は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、記録媒体1305上に転写されたトナーを加圧、加熱することによって定着させる。また、排出ローラ1314,1315は、定着装置1313から排出された記録媒体1305を、排出部のピンチローラ1316,1317と共に挟持し、記録媒体スタッカ部1318に搬送する。尚、排出ローラ1314,1315は、図示されない駆動源及びギアによって連動回転する。ここで使用される露光装置1303cとしては、実施形態3で説明したLEDプリントヘッド1200が用いられる。
【0069】
次に、前記構成の画像形成装置の動作について説明する。
まず、用紙カセット1306に堆積した状態で収納されている記録媒体1305がホッピングローラ1307によって、上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて、この記録媒体1305は、レジストローラ1310,1311及びピンチローラ1308,1309に挟持されて、プロセスユニット1301の感光体ドラム1301a及び転写ローラ1312に搬送される。その後、記録媒体1305は、感光体ドラム1301a及び転写ローラ1312に挟持され、その記録画面にトナー画像が転写されると同時に感光体ドラム1301aの回転によって搬送される。
【0070】
同様にして、記録媒体1305は、順次プロセスユニット1302〜1304を通過し、その通過過程で、各露光装置1301c〜1304cにより形成された静電潜像を、現像装置1301d〜1304dによって現像した各色のトナー像がその記録画面に順次重ねて転写される。その後、定着装置1313によってトナー像が定着された記録媒体1305は、排出ローラ1314,1315及びピンチローラ1316,1317に挟持されて、画像形成装置1300の外部の記録媒体スタッカ部1318に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が記録媒体1305上に形成される。
【0071】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、前記した実施の形態3で説明したLEDプリントヘッド1200を採用するため、光によるノイズによって印字品質が低下するのを防止し、高品位の印刷が可能となる。
【0072】
また、前記した特許請求の範囲、及び実施の形態において、「上」、「下」と言った言葉を使用したが、これらは便宜上であって、各装置を配置する状態における絶対的な位置関係を限定するものではない。