特許第6738669号(P6738669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6738669
(24)【登録日】2020年7月22日
(45)【発行日】2020年8月12日
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20200730BHJP
   F24H 4/02 20060101ALI20200730BHJP
【FI】
   F24H1/00 G
   F24H4/02 S
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-124840(P2016-124840)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-227401(P2017-227401A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 武史
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−116935(JP,A)
【文献】 特開2009−139105(JP,A)
【文献】 特開2001−325683(JP,A)
【文献】 特開平06−050535(JP,A)
【文献】 特開2001−165761(JP,A)
【文献】 特開2007−255753(JP,A)
【文献】 特開2010−261672(JP,A)
【文献】 特開平06−314391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 4/02
F24H 1/18
F24H 9/20
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は空気をガス又は石油で加熱する燃焼加熱器と、
前記燃焼加熱器を制御するとともに、感震器を備える複数の他の装置から、前記感震器が所定の大きさ以上の揺れを検知したことを示す揺れ情報を受信した場合に前記燃焼加熱器の点火を禁止する制御器と、
水を蓄えるタンクと、
前記タンクの水を電力で加熱するヒートポンプと、
を備えており、
前記制御器は、複数の前記揺れ情報を受信した場合、前記ヒートポンプを使って前記タンクの水を所定温度まで高める沸き上げ運転を開始する、加熱装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記燃焼加熱器の点火を禁止した後、前記他の装置の少なくとも一つが自身の燃焼器の利用を許可したことを示す信号を受信した場合、前記燃焼加熱器の点火の禁止を解除する、請求項1に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の大きさ以上の揺れを検知すると、ガスの供給を止めるガスメータが知られている(例えば特許文献1)。また、水などを加熱するガス器具(加熱装置)自体が感震器を備えており、所定の大きさ以上の揺れを検知すると、ガス点火を禁止するガス器具も知られている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−156259号公報
【特許文献2】特開2006−242405号公報
【特許文献3】特開2013−19576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感震器付のガスメータは、家屋のガス供給元に取り付けられており、作動すると家屋の全てのガス器具へのガス供給が停止するため、ある程度大きな揺れで作動するように閾値(揺れの大きさの閾値)が定められる。一方、個々のガス器具で感震器の動作によりガス点火を禁止するガス器具は、作動してもそのガス器具のみが使用不可となるため、ガスメータの閾値よりも低い閾値を設定することができる。特に、電気式ヒートポンプと燃焼器の双方でタンクの水を加熱することのできる給湯器(加熱装置)は、燃焼器の点火を禁止しても電気で水を加熱することができるため、比較的に小さい揺れでも安全のために燃焼器の点火を禁止することができる。しかし、ガス器具に他の物体がぶつかったときなど、ガス器具の感震器が地震以外の振動を検知して誤って作動してしまう可能性がある。比較的に小さい揺れで燃焼器の点火を禁止できるといっても、頻繁に誤作動を起こすことは好ましくない。本明細書は、水又は空気をガス又は石油で加熱する燃焼器を備えており、一つの感震器の情報に頼らず、複数の他の装置の感震器の情報を総合し、より高い確度で揺れを判断して燃焼器の作動を禁止する加熱装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱装置は、水又は空気をガス又は石油で加熱する燃焼加熱器と、制御器を備えている。制御器は、燃焼加熱器を制御するとともに、感震器を備える複数の他の装置から、感震器が所定の大きさ以上の揺れを検知したことを示す揺れ情報を受信した場合に燃焼加熱器の点火を禁止する。本明細書が開示する加熱装置は、一つの感震器に頼るのではなく、複数の他の装置(即ち複数の感震器)から受信した複数の揺れ情報が所定の大きさ以上の揺れを示していた場合に、燃焼加熱器の点火を禁止する。この加熱装置は、複数の揺れ情報に基づいて燃焼加熱器の点火禁止を判断するので、誤作動(地震以外の揺れを検知して燃焼加熱器の点火を禁止してしまうこと)を低減することができる。なお、制御器は、複数の他の装置の夫々から直接に揺れ情報を取得してもよいし、複数の他の装置から情報を集める管理装置(例えば、複数の他の装置の状態をモニタする管理装置など)を介して複数の揺れ情報を取得してもよい。本明細書が開示する加熱装置は、さらに、水を蓄えるタンクと、タンクの水を加熱するヒートポンプを備えている。制御器は、燃焼加熱器とともにヒートポンプを制御する。そして燃焼加熱器は、タンクの水をガス又は石油で加熱する。そのような加熱装置は、電気式のヒートポンプでタンクの水を加熱することができるので、燃焼加熱器が使えずとも温水を供給することができる。
【0007】
制御器は、複数の揺れ情報を受信した場合、ヒートポンプを使ってタンクの水を所定温度まで高める沸き上げ運転を開始することが好ましい。所定の大きさの揺れ(地震)が生じた後に、さらに大きな揺れ(本震)が生じる虞がある。本震によって、電気の供給も停止する虞があるため、最初の所定の大きさの揺れを検知したときに、電気式のヒートポンプを使ってタンクの水を所定温度まで高めておくとよい。
【0008】
制御器は、燃焼加熱器の点火を禁止した後、所定の大きさ以上の揺れを示した揺れ情報を送信した他の装置の少なくとも一つが自身の燃焼器の利用を許可したことを示す信号を受信した場合、燃焼加熱器の点火の禁止を解除する。加熱装置に揺れ情報を送信する複数の他の装置のいくつかも燃焼器を備えている場合がある。燃焼器を備える他の装置の例は、ガスコンロや石油ファンヒータなどである。それらの他の装置の一つでも燃焼器の利用が許可されたら、加熱装置の制御器も燃焼加熱器の利用を許可する。これによって、ユーザが二次災害の虞が無いとして他の燃焼器を利用した場合、ユーザがわざわざ加熱装置の燃焼加熱器の燃焼禁止を解除する必要がなくなる。なお、「他の装置が自身の燃焼器の利用を許可したことを示す信号」とは、典型的には、他の装置で燃焼器が使われたことを示す信号でよい。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の給湯器2のブロック図である。
図2】揺れ検知時の処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例)図面を参照して実施例の加熱装置を説明する。実施例の加熱装置は、タンクに湯を蓄えて所定の箇所に温水を供給する給湯器2である。図1に、給湯器2のブロック図を示す。給湯器2は、建屋3に備えられている。建屋3には、給湯器2のほか、管理装置5、冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55、マイコンメータ70などが備えられている。図1に示した冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55は、建屋3に備えられた装置の例であり、建屋3には他にも様々な装置が備えられているがそれらの図示は省略した。
【0011】
給湯器2の説明の前に、建屋3の中の電力線51と通信線(LAN56)とガス管57について説明する。建屋3の各装置は、建屋外部の商用電源50から電力供給を受ける。建屋3においては、電力線51が、給湯器2のヒートポンプ10(後述)、給湯器コントローラ6(後述)、管理装置5、冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55に接続されており、電力線51を介して上記の装置群に電力が供給される。給湯器2の他の部品にも電力線が接続されているが、それらの図示は省略した。例えば、後述する蓄熱タンク20は内部の水の温度を計測するサーミスタを備えており、そのサーミスタも商用電源50から供給される電力で作動する。なお、実施例の石油ファンヒータ54とガスコンロ55は、電力で動作する部品も備えているため、電力供給を受ける。石油ファンヒータ54とガスコンロ55が備える電気部品の例は、感震器54a、55a、不図示の通信回路などである。冷蔵庫53も感震器53aを備えている。また、後述するマイコンメータ70にも電力が供給されている。
【0012】
管理装置5は、通信回路を備えた電気製品、及び、燃焼器と通信回路を備えた装置を管理する。給湯器2の給湯器コントローラ6、冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55、マイコンメータ70などの装置は、LAN56(Local Area Network)で管理装置5と接続されており、各装置(給湯器コントローラ6、冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55、マイコンメータ70などの装置)の情報は全て管理装置5に送られる。管理装置5が収集する情報には、各装置の動作状態や消費電力などの情報が含まれる。また、冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55、マイコンメータ70は夫々感震器53a、54a、55a、71を備えており、各装置は、各感震器が検知した揺れの大きさを示す情報(揺れ情報)を管理装置5に送信する。管理装置5は、建屋3の外のインターネット60にも接続されている。管理装置5は、建屋3の内の各装置の情報や状態、及び、インターネット60を通じて得られる情報に基づいて、建屋3におけるエネルギ効率が高まるように、建屋3の装置を管理する。すなわち、管理装置5とそれに接続されている装置は、HEMS(Home Energy Management System)を構成する。
【0013】
給湯器2のガス加熱器47(後述)とガスコンロ55にはガス管57が接続されており、建屋3の外部からガスの供給を受ける。ガス管57の途中にマイコンメータ70が備えられている。
【0014】
マイコンメータ70について説明する。マイコンメータ70は、建屋3に供給されるガスの量を計測し、インターネット60を通じて計測値をガス供給会社に送信する。マイコンメータ70には、感震器71が備えられており、震度5以上の揺れを計測すると、ガス元栓72を閉じる。ガス元栓72が閉じられると、建屋3の内部の全てのガス利用機器へのガス供給が止まる。震度5以上の揺れの場合はマイコンメータ70の安全装置が作動するので、建屋3の内部でのガス漏れは生じない。後述するように、給湯器2は、震度5未満の揺れ(例えば、震度3以上5未満の揺れ)で、後述するガス加熱器47の点火を禁止する。給湯器2はガス加熱器47の点火を禁止してもヒートポンプ10により水を加熱できるので、給湯器2は安全性をより高めるべく、震度5未満の揺れでもガス加熱器47の利用を停止する。
【0015】
マイコンメータ70は、震度5以下の揺れを含め、揺れ情報を管理装置5に送信する。マイコンメータ70には、その他にもいくつかの安全装置が備えられている。例えば、マイコンメータ70は、ガスの供給量が所定の閾値を超えた場合、及び、ガス供給が所定時間以上継続すると、ガス元栓72を閉じる。
【0016】
ガス加熱器47などの燃焼器について説明する。ガス加熱器47とガスコンロ55は、燃焼器の一種である。石油ファンヒータ54も燃焼器の一種である。石油ファンヒータ54は、内部の石油タンクの燃料を燃やして発熱する。よって石油ファンヒータ54にはガス管57は接続されていない。ガスコンロ55と石油ファンヒータ54は、自身が動作しているか否か、即ち、ガスあるいは石油を燃焼しているか否かの情報も管理装置5へ送信する。
【0017】
給湯器2を説明する。給湯器2は、給湯器コントローラ6、ヒートポンプ10、蓄熱タンク20、ガス加熱器47を備えている。ヒートポンプ10は、不図示の電動ファンと電動圧縮機を備えており、それらを使って外気の熱で水を目標温度まで加熱して蓄熱タンク20に蓄える。即ち、電動ファンと電動圧縮機を備えているヒートポンプ10は、電気で蓄熱タンク20の水を加熱する電気加熱器の一種である。ユーザの要求温度が蓄熱タンク20の水温よりも高い場合には、蓄熱タンク20の水をガス加熱器47で再加熱して供給する。給湯器2は、水の加熱に電気とガスの両方を用いるいわゆるハイブリッド式である。
【0018】
蓄熱タンク20は、ヒートポンプ10によって加熱された水を蓄える。蓄熱タンク20は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。蓄熱タンク20には満水まで水が貯留されている。蓄熱タンク20の容量は例えば80Lである。蓄熱タンク20とヒートポンプ10はタンク循環路30で連結されている。タンク循環路30は、上流端が蓄熱タンク20の下部に接続されており、下流端が蓄熱タンク20の上部に接続されている。タンク循環路30には、循環ポンプ36が備えられている。循環ポンプ36は、タンク循環路30の中の水を上流側から下流側に送り出す。タンク循環路30は、ヒートポンプ10を通過している。循環ポンプ36とヒートポンプ10を運転すると、蓄熱タンク20の下部の水がヒートポンプ10で加熱され、加熱された水が蓄熱タンク20の上部に戻される。タンク循環路30には、ヒートポンプ10の入口側(即ち上流側)と出口側(即ち下流側)には、それぞれ、サーミスタ32、34が備えられている。サーミスタ32は、ヒートポンプ10によって加熱される前の水(すなわち蓄熱タンク20の底部の水)の温度を測定する。サーミスタ34は、ヒートポンプ10によって加熱された後の水の温度を測定する。給湯器コントローラ6は、サーミスタ32、34の計測温度を使って、蓄熱タンク20に所望の温度の水を蓄える。なお、蓄熱タンク20にサーミスタが設置されていてもよい。
【0019】
水道水導入路40は、上流端が水道水供給源42に接続されている。水道水導入路40の下流側は、第1導入路40aと第2導入路40bに分岐している。第1導入路40aの下流端は、蓄熱タンク20の下部に接続されている。第2導入路40bの下流端は、後述する供給路45の途中に接続されている。第2導入路40bの下流端と供給路45との接続部分には、混合弁44が設けられている。混合弁44は、ユーザが要求する水温が蓄熱タンク20の水温よりも低い場合、供給路45を流れる温水に第2導入路40b内の水を混合し、水温を調整する。蓄熱タンク20の温水が温水利用箇所へ供給される分だけ、第1導入路40aを通じて常温の水が蓄熱タンク20へ供給される。即ち、蓄熱タンク20は常に水で満たされている。
【0020】
供給路45は、上流端が蓄熱タンク20の上部に接続されている。前述したように、供給路45の途中には、水道水導入路40の第2導入路40bが接続されており、接続部分には混合弁44が設けられている。混合弁44より下流側の供給路45には、ガス加熱器47が備えられている。また、ガス加熱器47より下流側の供給路45には、サーミスタ46が備えられている。サーミスタ46は、温水利用箇所へ供給される温水の温度を測定する。
【0021】
ガス加熱器47は、ユーザが要求する水温が蓄熱タンク20の水温よりも高い場合、蓄熱タンク20の水を加熱して温水利用箇所へ供給する。具体的には、ガス加熱器47は、サーミスタ46が測定する水温が給湯設定温度(ユーザの要求温度)と一致するように、蓄熱タンク20の水が通る供給路45内の水を加熱する。供給路45の下流端は、温水利用箇所(給湯蛇口48や浴槽等)に接続されている。ガス加熱器47には、ガス管57が接続されており、外部からガスの供給を受ける。
【0022】
上述した通り、給湯器2は、ヒートポンプ10(電気加熱器)とガス加熱器47(燃焼加熱器)の少なくとも一方で水を加熱する装置である。所定の大きさ以上の揺れが発生した場合、念のため、ガス加熱器47は使用を禁止するのが望ましい。給湯器2は、管理装置5を通じて、感震器を備える複数の他の装置(冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55)から、感震器53a〜55aが検知した揺れの大きさを示す情報(揺れ情報)を取得する。そして、給湯器2は、取得した揺れ情報が予め定められた大きさ(例えば震度3相当の揺れ)以上の揺れを示していた場合に、ガス加熱器47の点火を禁止する。なお、先に述べたように、震度5以上の揺れが検知された場合には、マイコンメータ70がガス元栓72を閉じる。給湯器2は、より高い安全性を確保するため、マイコンメータ70がガス元栓72を閉じる程の揺れよりも小さい揺れでもガス加熱器47の点火を禁止する。
【0023】
感震器が揺れを検知したときに給湯器コントローラ6が実行する処理のフローチャートを図2に示す。なお、管理装置5は、感震器を備える装置(冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55)から揺れ情報が送られたらそれらの情報を給湯器コントローラ6へ転送するように予めプログラムされている。
【0024】
図2のフローチャートを説明する。給湯器コントローラ6は、管理装置5から揺れ情報を受信する(S2)。揺れ情報には、各装置(冷蔵庫53、石油ファンヒータ54、ガスコンロ55)の感震器が検知した揺れの大きさを示すデータが含まれている。給湯器コントローラ6は、受信したゆれ情報に、閾値(例えば震度3)以上の揺れを示す2以上の揺れ情報が含まれているか否かをチェックする(S3)。閾値以上の揺れを示す揺れ情報がゼロ又は1つのみの場合は、何もせずに処理を終了する(S3:NO)。
【0025】
一方、給湯器コントローラ6は、受信した揺れ情報に、閾値(例えば震度3)以上の揺れを示す2以上の揺れ情報が含まれていた場合、ガス加熱器47の点火を禁止する(S3:YES、S4)。別言すると、給湯器コントローラ6は、閾値以上の揺れを示す複数の揺れ情報を受信したら、ガス加熱器47の点火を禁止する。次に給湯器コントローラ6は、ヒートポンプ10を使い、蓄熱タンク20の水を所定の設定温度まで高める沸き上げ運転を開始する(S5)。設定温度は、例えば60[℃]である。
【0026】
給湯器コントローラ6がガス加熱器47の点火を禁止した場合、ユーザの要求する水温が蓄熱タンク20の水温よりも高くても、給湯器コントローラ6は、ガス加熱器47を点火することなく、蓄熱タンク20の中の水を温水利用箇所に供給する。
【0027】
実施例の給湯器2は、次の利点を有する。給湯器2は、感震器を備える複数の他の装置から所定の大きさ以上の揺れを示す揺れ情報を受信したらガス加熱器47の点火を禁止する。給湯器2は、複数の感震器の揺れ情報に基づいてガス加熱器47の点火禁止を判断する。複数の感震器の情報に基づくので、誤動作(例えば一つの感震器の誤動作)によってガス加熱器47の点火禁止が起こる可能性が小さい。
【0028】
給湯器2は、前述したようにハイブリッド式である。それゆえ、ガス加熱器47の点火を禁止しても、温水を提供することができる。ヒートポンプ10(電気加熱器)は、ガス加熱器47ほどに短時間で水温を高めることはできないが、常温よりは高い温度の水を提供することができる。
【0029】
実施例の給湯器2は、ガス加熱器47の点火を禁止するとともに、ヒートポンプ10を使って蓄熱タンク20の水を所定温度まで上昇させる。即ち、ヒートポンプ10を使って蓄熱タンク20の熱エネルギを高める。所定の大きさ以上の揺れは、余震であって続いてより大きな本震が発生する可能性もある。より大きな本震が発生すると、電気の供給が停止してしまう虞がある。そこで、実施例の給湯器2は、本震に備えて蓄熱タンク20の熱エネルギを高める。万が一、所定の大きさ以上の揺れを検知した後にさらに大きい揺れが生じて電気の供給が止まったときに、多くの熱エネルギを確保しておくことができる。
【0030】
給湯器2の変形例を説明する。変形例では、給湯器コントローラ6は、ガス加熱器47の点火を禁止した後、閾値以上の揺れを示した揺れ情報を送信した他の装置の少なくとも一つが自身の燃焼器の利用を許可したことを示す信号を受信した場合、ガス加熱器47の点火の禁止を解除する。例えば、石油ファンヒータ54の感震器54aとガスコンロ55の感震器55aがともに震度3相当の揺れを示す揺れ情報を出力し、それらの揺れ情報に基づいて給湯器2がガス加熱器47の点火を禁止したとする。その後、ガスコンロ55が使用されたことを示す信号を、管理装置5を介して受信すると、給湯器コントローラ6は、ガス加熱器47の点火禁止を解除する。即ち、給湯器コントローラ6は、ガス加熱器47を利用可能にする。
【0031】
ガスコンロ55が使用されたことを示す信号がガスコンロ55から出力されたということは、ユーザが二次災害の危険性は低いと判断してガスコンロ55を使ったということである。給湯器2は、別の装置(ガスコンロ55)の燃焼器が使われたことをトリガとして、自身のガス加熱器47の点火禁止を解除する。この変形例によると、ガスコンロ55を使ったユーザが、わざわざ給湯器2のガス加熱器47を使えるようにリセットする必要がない。
【0032】
実施例の給湯器2に関する留意点を述べる。実施例のガス加熱器47が請求項の燃焼加熱器の一例に相当する。燃焼加熱器は、ガスを燃料とする装置のほか、石油を燃料とする装置であってもよい。また、燃焼加熱器は、空気を加熱するものであってもよい。実施例の給湯器コントローラ6が請求項の「制御器」の一例に相当する。実施例の蓄熱タンク20が請求項の「タンク」の一例に相当する。
【0033】
実施例において感震器を備える冷蔵庫53と石油ファンヒータ54とガスコンロ55とマイコンメータ70が請求項の「他の装置」の例に相当する。「他の装置」は上記した装置に限られない。実施例の冷蔵庫53と石油ファンヒータ54とガスコンロ55とマイコンメータ70と給湯器コントローラ6は、有線LANで管理装置5と接続されていた。「他の装置」は、無線LANで管理装置5や給湯器コントローラ6と通信可能に接続されていてもよい。「他の装置」には、スマートフォンやタブレット端末が含まれていてもよい。スマートフォンやタブレット端末は、加速度センサを備えているタイプが多く、感震器としても機能するからである。
【0034】
実施例の給湯器コントローラ6は、所定の大きさ以上の揺れを示す複数の揺れ情報を取得した場合、例えば60[℃]の設定温度で沸き上げ運転を開始する。給湯器コントローラ6は、所定の大きさ以上の揺れを示す複数の揺れ情報を取得した場合、それまで設定されていた設定温度よりも高い温度を設定して沸き上げ運転を開始することも好適である。所定の大きさ以上の揺れを示す複数の揺れ情報を取得した場合、その後の本震に備えて、できるだけ多くの熱エネルギを確保しておくのがよいからである。
【0035】
実施例の加熱装置は、タンクの温水を供給する給湯器2であった。本明細書が開示する技術は、給湯器に限らない。本明細書が開示する技術は、給湯器に限らず、水又は空気を石油又はガスで加熱する燃焼加熱器を備えた加熱装置に適用することができる。
【0036】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0037】
2:給湯器
3:建屋
5:管理装置
6:給湯器コントローラ
10:ヒートポンプ
20:蓄熱タンク
30:タンク循環路
32、34、46:サーミスタ
36:循環ポンプ
40:水道水導入路
42:水道水供給源
44:混合弁
45:供給路
47:ガス加熱器
48:給湯蛇口
50:商用電源
51:電力線
53:冷蔵庫
53a、54a、55a、71:感震器
54:石油ファンヒータ
55:ガスコンロ
57:ガス管
60:インターネット
70:マイコンメータ
72:ガス元栓
図1
図2