【文献】
“Chapter 31 SHIPBOARD SYSTEMS”,International Safety Guide for Inland Navigation Tank-barges and Terminals,CCNR/OCIMF,2010年,Edition 1,pp.439-468
【文献】
Maria-Celia Ximenes, Gautam J. Adhia, Akinori Abe,“Design and Construction of a Floating Storage and Offloading Vessel Escravos LPG FSO”,SNAME Transactions,Vol. 105,1997年,pp.455-489
【文献】
Eric Murdoch,“A MASTER'S GUIDE TO SHIPS' PIPING”,The Standard Club,2012年,2nd Edition
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カーゴタンクに貨物としてのLPGを貯留するLPG船では、貨物と燃料とを区別すべきとの要請から、カーゴタンクとは別にLPGを貯留する燃料タンクが船体に設置される場合がある。
【0005】
このようなLPG船の場合、カーゴタンクにLPGを積み込むラインとは別に、燃料タンクにLPGを積み込むラインを設ける必要がある。またこれに伴って、ルール上要求されている緊急遮断弁も、カーゴタンク用、燃料タンク用の各ラインに設置する必要があり、コストが増加してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、それぞれLPGを貯留する燃料タンクとカーゴタンクとを個別に設置しながら、コストの増加を抑えることができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用している。
即ち、本発明の一の態様に係る船舶は、船体と、該船体内に設けられた主機と、前記船体に設けられて、前記主機の燃料としてのLPGを貯留する燃料タンクと、前記船体に設けられて、貨物としてのLPGを貯留するカーゴタンクと、前記カーゴタンクに接続されるとともに前記船体の外部に接続される外部接続口を有するカーゴラインと、前記カーゴラインに設けられた緊急遮断弁と、前記カーゴラインにおける前記緊急遮断弁よりも前記カーゴタンク側で、該カーゴラインと前記燃料タンクとを接続する燃料ラインと、を備え
、前記カーゴラインは、前記カーゴタンクに接続されて前記外部接続口をそれぞれ有する高圧ライン及び低圧ラインを有し、前記緊急遮断弁は、前記高圧ラインに設けられており、前記燃料ラインは、前記高圧ラインにおける前記緊急遮断弁よりも前記カーゴタンク側で、該高圧ラインと前記燃料タンクとを接続している。
【0008】
上記態様の船舶によれば、カーゴタンクにLPGを積み込む際に用いられるカーゴラインに、燃料タンクに接続される燃料ラインが接続されている。そのため、カーゴラインに設けられている緊急遮断弁を、燃料ラインの緊急遮断弁としても用いることができる。即ち、カーゴラインと燃料ラインとの緊急遮断弁を共用化できるため、カーゴラインと燃料ラインとで緊急遮断弁を個別に設ける必要がない。
ここでLPGの貯蔵方法としては、LPGを高圧かつ常温(高圧常温状態)で貯蔵する場合と、LPGを常圧かつ低温(常圧低温状態)で貯蔵する場合がある。船外のLPG貯留施設がLPGを高圧常温状態で貯蔵している場合には、カーゴラインのうち高圧ラインを介してカーゴタンクにLPGが供給される。この場合であっても、カーゴタンクにLPGが導入される前段で、当該LPGの圧力を減少させておくことが好ましい。
本態様によれば、船外のLPG貯留施設がLPGを高圧常温状態で貯蔵している場合であっても、燃料ラインがカーゴラインのうち高圧ラインに接続されているため、これら高圧ライン、燃料ラインを介して燃料タンクにLPGを供給することができる。
【0011】
本発明の一の態様に係る船舶は、船体と、該船体内に設けられた主機と、前記船体に設けられて、前記主機の燃料としてのLPGを貯留する燃料タンクと、前記船体に設けられて、貨物としてのLPGを貯留するカーゴタンクと、前記カーゴタンクに接続されるとともに前記船体の外部に接続される外部接続口を有するカーゴラインと、前記カーゴラインに設けられた緊急遮断弁と、前記カーゴラインにおける前記緊急遮断弁よりも前記カーゴタンク側で、該カーゴラインと前記燃料タンクとを接続する燃料ラインと、を備え、前記カーゴラインは、前記カーゴタンクに接続されて前記外部接続口をそれぞれ有する高圧ライン及び低圧ラインを有し、前記緊急遮断弁は、前記低圧ラインに設けられており、前記燃料ラインは、前記低圧ラインにおける前記緊急遮断弁よりも前記カーゴタンク側で、該高圧ラインと前記燃料タンクとを接続していてもよい。
【0012】
船外のLPG貯留施設がLPGを常圧低温状態で貯蔵している場合には、カーゴラインのうち低圧ラインを介してカーゴタンクにLPGが供給される。
本態様によれば、船外のLPG貯留施設がLPGを常圧低温状態で貯蔵している場合であっても、燃料ラインがカーゴラインのうち低圧ラインに接続されているため、これら低圧ライン、燃料ラインを介して燃料タンクにLPGを供給することができる。
【0013】
上記態様では、前記燃料タンクは、前記LPGを高圧常温状態で貯留していてもよい。
【0014】
これにより、船外のLPG貯留施設から高圧常温状態のLPGが供給されれば、燃料タンクでは、LPGを高圧常温状態で貯留する。
一方、船体のLPG貯留施設から常圧低温状態のLPGが供給されれば、低温状態のLPGが常温の燃料タンクで加熱されることにより、燃料タンク内は高圧状態となり、最終的には燃料タンク内のLPGは高圧常温状態となる。したがって、この場合であってもLPGを高圧常温状態で貯留することができる。なお、この場合には、燃料タンクはLPGの低温に耐え得る低温用鋼で形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の船舶によれば、それぞれLPGを貯留する燃料タンクとカーゴタンクとを個別に設置しながら、コストの増加を抑えることができる船舶を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一実施形態に係る船舶100について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の船舶100は、液化ガスとして液化石油ガス(LPG;liquefied petroleum gas)を輸送する液化ガス運搬船である。
図1に示すように、船舶100は、船体10、居住区20、カーゴタンク30、主機40、燃料タンク50を備えている。
【0018】
船体10は、舷側11、船底12及び上甲板13を有している。舷側11は、左右舷側をそれぞれ構成する一対の舷側外板から構成されている。船底12は、これら左右の舷側11同士を下部で接続する船底外板から構成されている。
【0019】
上甲板13は、船底12よりも上方で左右一対の舷側11を接続している。上甲板13は、船首から船尾にわたって延びる全通甲板としての乾舷甲板である。上甲板13は、水平方向に延びている。
【0020】
船体10は、これら舷側11、船底12及び上甲板13によって、船首尾方向に直交する断面形状が、内部に空間を形成する略箱状に形成さている。該船体10内における船尾側の部分は、機関室14とされている。船体10内における機関室14よりも船首側の部分は、機関室14と隔壁によって区画されたカーゴホールド15とされている。
【0021】
居住区20は、船体10の上部から上方に向かって延びるように設けられている。居住区20は、船体10の上部における船尾側に設けられており、機関室14の上方に設けられている。居住区20は、複数階層をなしている。居住区20の上層には、船舶100を操縦するための操縦室21が設けられている。該操縦室21は、船舶100の前方を高所から見渡せるように構成されている。
【0022】
カーゴタンク30は、船体10のカーゴホールド15内に船首尾方向に複数(本実施形態では3つ)が配列されるように設けられている。隣り合うカーゴタンク30同士の間の部分は、各カーゴタンク30が収容される区画を隔てる隔壁が設けられている。
【0023】
本実施形態のカーゴタンク30は、平板状の板部材を互いに接合することによって構成された方形タンクである。当該カーゴタンク30内には、貨物としてのLPGが常圧低温状態で貯蔵される。なお、「常圧低温状態」とは、LPGを加圧することなく低温とすることのみでLPGの液化状態が維持されている状態を意味する。LPGは、約−46℃以下とすることで、常圧で液化される。そのため、船舶100には、LPGを低温液化状態に維持するための図示しない蒸発ガス処理装置が設けられている。蒸発ガス処理装置としては、再液化装置が採用されている。
【0024】
再液化装置は、カーゴタンク30でLPGが外部の熱により気化することで排出された蒸発ガスを、カーゴタンク30の外部で冷却して再度液化させる。このように液化されたガスは、LPGとしてカーゴタンク30内に戻される。これによって、LPG内での低温状態(例えば−46℃以下の温度)が維持されている。
【0025】
主機40は、船体10内の機関室14に配置されている。本実施形態の主機40は、LPGを燃料として駆動される。ここで、主機40の燃料は、LPGに限られず、LPGと他の燃料との併用(バイフューエル)や、混合(デュアルフューエル)等であってもよい。主機40の駆動によって、船体10の船尾の下方に設けられたスクリュー41が回転する。
【0026】
燃料タンク50は、主機40の燃料となるLPGを貯留する。燃料タンク50は、上甲板13上に設けられている。本実施形態では、例えば船首尾方向に3つが配列されたカーゴタンク30のうち、中央のカーゴタンク30の上方の上甲板13上に設けられている。燃料タンク50は居住区20の操縦席からの船体10の前方の視界を妨げない位置に配置されている。
【0027】
燃料タンク50は、LPGを高圧常温状態で貯留可能とされている。そのため、燃料タンク50は耐圧容器によって構成されている。なお、「高圧常温状態」とは、LPGを冷却することなく加圧することのみでLPGの液化状態が維持されている状態を意味する。
【0028】
次に、カーゴタンク30に貨物としてのLPG、燃料タンク50に燃料としてのLPGをそれぞれ積荷可能とするとともに、カーゴタンク30から貨物としてのLPGを荷揚げ可能とするLPG流通系統110について、
図2を参照して説明する。LPG流通系統110は、カーゴライン120、緊急遮断弁150、燃料ライン160、接続ライン170、昇圧ポンプ171、ヒータ172を備えている。なお、
図2では、一のカーゴタンク30及び一の燃料タンク50にLPG流通系統110が接続されているが、複数のカーゴタンク30、複数の燃料タンク50にLPG流通系統110が接続されていてもよい。
【0029】
カーゴライン120は、カーゴタンク30に貨物としてのLPGを供給するラインである。カーゴライン120は、船舶100の外部と接続される外部接続口から導入されるLPGをカーゴタンク30に供給する。即ち、カーゴライン120は、船舶100の外部とカーゴタンク30とを接続する。本実施形態のカーゴライン120は、高圧ライン130、低圧ライン140の2つのラインから構成されている。
【0030】
高圧ライン130は、高圧常温状態のLPGをカーゴタンク30に積荷する際に用いられる配管系統である。本実施形態の高圧ライン130は、高圧主ライン131及び高圧分岐ライン133によって構成されている。
【0031】
高圧主ライン131は、左右の舷側11にわたって船幅方向に延びる配管である。高圧主ライン131の左右舷側の両端が、外部と接続される外部接続口としての高圧外部接続口132とされている。高圧外部接続口132は、船舶100の外部のLPG貯留施設に接続される。このLPG貯留施設は、LPGを高圧常温状態で貯留するLPG基地、LPG船等である。高圧外部接続口132を介して、高圧主ライン131に高圧常温状態のLPGが供給される。
【0032】
高圧分岐ライン133は、高圧主ライン131とカーゴタンク30とを接続する配管である。高圧分岐ライン133は、一端が高圧主ライン131における一対の高圧外部接続口132の間に接続されており、他端がカーゴタンク30に接続されている。高圧分岐ライン133のカーゴタンク30側の端部付近には、カーゴタンク30内のLPGを荷揚げするために用いられる荷揚げ用ポンプ(図示省略)が設けられている。荷揚げ用ポンプの駆動部は、カーゴタンク30の内部に配置されていてもよいし、カーゴタンク30の外部に配置されていてもよい。
【0033】
高圧主ライン131における右舷側(
図2の下側)の高圧外部接続口132と高圧分岐ライン133の接続部との間には、右舷側の高圧開閉弁134が設けられている。高圧主ライン131における左舷側(
図2の上側)の高圧外部接続口132と高圧分岐ライン133の接続部との間には、左舷側の高圧開閉弁134が設けられている。また、高圧分岐ライン133にも、高圧開閉弁134が設けられている。
【0034】
ここで、高圧ライン130を構成する配管のうち高圧主ライン131は、高圧常温状態のLPGが流通可能なように、耐圧設計がなされている。即ち、通常の配管に比べて耐圧性を向上させるべく、配管の厚さが大きく設定されている。
また、高圧分岐ライン133のうち、高圧開閉弁134よりも高圧主ライン131側の部分は、上記高圧主ライン131同様の耐圧設計がなされている。高圧分岐ライン133のうち、高圧開閉弁134よりもカーゴタンク30側の部分は、上記高圧主ライン131よりも耐圧性が低く、即ち、配管の厚さが薄く形成されている。
【0035】
低圧ライン140は、常圧低温状態のLPGをカーゴタンク30に積荷する際に用いられる配管系統である。本実施形態の低圧ライン140は、低圧主ライン141及び低圧分岐ライン143によって構成されている。
【0036】
低圧主ライン141は、左右の舷側11にわたって船幅方向に延びる配管である。即ち、低圧主ライン141は、高圧主ライン131と平行に延びている。低圧主ライン141の左右舷側の両端が、外部と接続される外部接続口としての低圧外部接続口142とされている。低圧外部接続口142は、船舶100の外部のLPG貯留施設に接続される。このLPG貯留施設は、LPGを常圧低温状態で貯留するLPG基地、LPG船等である。低圧外部接続口142を介して、低圧主ライン141に常圧低温状態のLPGが供給される。
【0037】
低圧分岐ライン143は、低圧主ライン141とカーゴタンク30とを接続する配管である。低圧分岐ライン143は、一端が低圧主ライン141の両端の低圧外部接続口142の間に接続されており、他端が高圧分岐ライン133に接続されている。即ち、本実施形態では、低圧分岐ライン143は高圧分岐ライン133を介してカーゴタンク30に接続されている。低圧分岐ライン143が直接的にカーゴタンク30に接続されていてもよい。
【0038】
低圧主ライン141における右舷側の低圧外部接続口142と低圧分岐ライン143の接続部との間には、右舷側の低圧開閉弁144が設けられている。低圧主ライン141における左舷側の外部接続口と低圧分岐ライン143の接続部との間には、左舷側の低圧開閉弁144が設けられている。また、低圧分岐ライン143にも、低圧開閉弁144が設けられている。
【0039】
低圧ライン140の低圧主ライン141及び低圧分岐ライン143を構成する配管は、高圧ライン130の高圧主ライン131を構成する配管に比べて耐圧性が低く、即ち、配管の厚さが薄く形成されている。
【0040】
緊急遮断弁150は、カーゴライン120における外部接続口の近傍に設けられている。本実施形態では、高圧ライン130における高圧外部接続口132の近傍、低圧ライン140における低圧外部接続口142の近傍にそれぞれ設けられている。
【0041】
高圧ライン130の緊急遮断弁150は、高圧主ライン131における右舷側の高圧外部接続口132と右舷側の高圧開閉弁134との間、及び、高圧主ライン131における左舷側の高圧外部接続口132と左舷側の高圧開閉弁134との間に、それぞれ設けられている。
低圧ライン140の緊急遮断弁150は、低圧主ライン141における右舷側の低圧外部接続口142と右舷側の低圧開閉弁144との間、及び、低圧主ライン141における左舷側の低圧外部接続口142と左舷側の低圧開閉弁144との間に、それぞれ設けられている。
【0042】
緊急遮断弁150は、通常時には開状態が維持されることで、配置されたラインのLPGの流通を許容する。一方で、緊急遮断弁150は、緊急時に開状態から閉状態に切り替わることで、該緊急遮断弁150が配置されたラインのLPGの流通を禁止する。緊急遮断弁150は、例えばオペレータから入力された緊急信号によって開状態から閉状態に切り替わる構成であってもよい。また、例えば通常時に供給されるエアが、火災時のヒューズの切断に伴って供給停止とされ、これによって開状態から閉状態に切り替わる構成であってもよい。規則によって、可燃性の液体が流通するラインに緊急遮断弁150を据え付けなければならないことが取り決められている。
【0043】
燃料ライン160は、カーゴライン120と燃料タンク50とを接続する系統である。即ち、燃料ライン160には、カーゴライン120を介してLPGが供給される。燃料ライン160は、カーゴライン120における緊急遮断弁150よりもカーゴタンク30側の部分と燃料タンク50とを接続する。即ち、燃料ライン160は、カーゴライン120に船体10の外部からLPGが供給される場合のカーゴライン120における緊急遮断弁150よりも下流側の部分と燃料タンク50とを接続する。燃料ライン160は、高圧ライン130同様の耐圧設計がなされている。
【0044】
燃料ライン160は、右舷側燃料ライン161と左舷側燃料ライン162とを有している。
右舷側燃料ライン161の一端は、高圧主ライン131における右舷側の緊急遮断弁150と右舷側の高圧開閉弁134との間に接続されている。右舷側燃料ライン161の他端は、燃料タンク50に接続されている。右舷側燃料ライン161には、燃料開閉弁163が設けられている。
【0045】
左舷側燃料ライン162の一端は、高圧主ライン131における左舷側の緊急遮断弁150と左舷側の高圧開閉弁134との間に接続されている。左舷側燃料ライン162の他端は、本実施形態では、右舷側燃料ライン161における燃料開閉弁163と燃料タンク50との間に接続されている。即ち、左舷側燃料ライン162は、右舷側燃料ライン161を介して燃料タンク50に接続されている。左舷側燃料ライン162が、右舷側燃料ライン161を介さずに直接的に燃料タンク50に接続されていてもよい。左舷側燃料ライン162にも、燃料開閉弁163が設けられている。
【0046】
接続ライン170は、高圧ライン130と低圧ライン140とを接続している。接続ライン170の一端は、低圧主ライン141における一対の低圧開閉弁144の間に接続されている。接続ライン170の他端は、高圧主ライン131における一対の高圧開閉弁134の間に接続されている。
【0047】
昇圧ポンプ171は、接続ライン170上に設けられている。昇圧ポンプ171は、接続ライン170の一端側、即ち、低圧ライン140側から導入されるLPGを昇圧して送り出す。即ち、昇圧ポンプ171は、常圧低温状態のLPGを高圧低温状態のLPGとして送り出す。接続ライン170における昇圧ポンプ171よりも高圧主ライン131側の部分は、耐圧設計がなされている。
【0048】
ヒータ172は、接続ライン170における昇圧ポンプ171よりも接続ライン170の他端側、即ち、高圧ライン130側に設けられている。ヒータ172は、昇圧ポンプ171から送り出される高圧状態のLPGを加熱して、高圧常温状態のLPGとする。ヒータ172は例えばLPGと海水とを熱交換することにより、LPGを加熱する。
【0049】
接続ライン170における昇圧ポンプ171と低圧主ライン141との間には、ポンプ側開閉弁173が設けられている。接続ライン170におけるヒータ172と高圧主ライン131との間には、ヒータ側開閉弁174が設けられている。
【0050】
次に第一実施形態の作用効果について説明する。
まず、カーゴタンク30へのLPGの積荷について説明する。LPGの積荷の際には、通常、船舶100の外部のLPG貯留施設から右舷、左舷の一方側からLPGが供給される。ここで、船舶100の右舷側のLPG貯留施設から高圧常温状態のLPGが供給される例について説明する。
【0051】
高圧ライン130の右舷側の外部接続口がLPG貯留施設に接続される際には、高圧主ライン131における右舷側の高圧開閉弁134は開状態とされ、左舷側の高圧開閉弁134は閉状態とされる。また、高圧分岐ライン133の高圧開閉弁134は開状態とされる。低圧ライン140、燃料ライン160及び接続ライン170の全ての弁は閉状態とされる。この状態でLPG貯留施設から高圧常温状態のLPGが供給されると、当該LPGは、高圧主ライン131、高圧分岐ライン133を介してカーゴタンク30内に導入される。なお、高圧分岐ライン133の高圧開閉弁134までに、LPGの圧力はある程度低下していることが好ましい。カーゴタンク30内に導入されたLPGは、該カーゴタンク30内に常圧低温状態で貯留される。
【0052】
一方、燃料タンク50にLPGを導入する際には、例えば、高圧ライン130の全ての高圧開閉弁134を閉状態とし、右舷側燃料ライン161の燃料開閉弁163と開状態とし、さらに、左舷側燃料ライン162の燃料開閉弁163を閉状態とする。これにより、右舷側の高圧外部接続口132から導入される高圧常温状態のLPGが、燃料タンク50に導入される。燃料タンク50では、高圧常温状態のLPGをそのまま高圧常温状態のLPGとして貯留する。
【0053】
また、カーゴタンク30へのLPGの供給と、燃料タンク50へのLPGの供給を同時に行ってもよい。この場合、例えば、高圧主ライン131における右舷側の高圧開閉弁134を開状態とし、左舷側の高圧開閉弁134を閉状態とする。また、高圧分岐ライン133の高圧開閉弁134を開状態とする。そして、右舷側燃料ライン161の燃料開閉弁163を開状態とし、左舷側燃料ライン162の燃料開閉弁163を閉状態とする。これいよって、右舷側のLPG貯留設備からのLPGをカーゴタンク30及び燃料タンク50に同時に供給することができる。
【0054】
さらに、例えば右舷側の高圧外部接続口132から供給されるLPGをカーゴタンク30に供給しながら、左舷側の高圧外部接続口132から供給されるLPGを燃料タンク50に供給してもよい。
この場合、高圧主ライン131の右舷側の高圧開閉弁134を開状態とし、左舷側の高圧開閉弁134を閉状態とする。さらに、高圧分岐ライン133の高圧開閉弁134を開状態とする。一方、右舷側燃料ライン161の燃料開閉弁163は閉状態とし、左舷側燃料ライン162の燃料開閉弁163は開状態とする。これによって、例えば右舷側のLPG基地からカーゴタンク30内にLPGを供給しつつ、左舷側のLPG船から燃料タンク50内にLPGを供給することができる。
【0055】
次にカーゴタンク30のLPGの荷揚げについて説明する。例えば、LPGの荷揚げ先が常圧低温状態でLPGを貯留するLPG貯留施設の場合、高圧分岐ライン133の高圧開閉弁134を閉状態とし、低圧分岐ライン143の低圧開閉弁144を開状態とする。また、低圧主ライン141の右舷側の低圧開閉弁144を開状態として、左舷側の低圧開閉弁144を閉状態とする。さらに、接続ライン170における少なくともポンプ側開閉弁173を閉状態とする。これによって、カーゴタンク30からポンプによって圧送されるLPGは、高圧分岐ライン133、低圧分岐ライン143、低圧主ライン141を介して右舷側の低圧外部接続口142からLPG貯留施設へと導入される。
【0056】
一方、LPGの荷揚げ先が高圧常温状態でLPGを貯留するLPG貯留施設の場合、カーゴタンク30に常圧低温状態で貯留されたLPGを高圧常温状態にして当該LPG貯留施設に導入する必要がある。そのため、高圧分岐ライン133の高圧開閉弁134を閉状態とし、低圧分岐ライン143の低圧開閉弁144を開状態とする。また、低圧主ライン141の一対の低圧開閉弁144を閉状態として、接続ライン170のポンプ側開閉弁173、ヒータ側開閉弁174を開状態とする。さらに、高圧主ライン131の右舷側の高圧開閉弁134を開状態として左舷側の高圧開閉弁134を閉状態とする。
【0057】
これによって、カーゴタンク30からポンプによって圧送されるLPGは、高圧分岐ライン133、低圧分岐ライン143、低圧ライン140を介して接続ライン170に導入される。接続ライン170では、LPGが昇圧ポンプ171によって加圧され、ヒータ172によって加圧される。これによって高圧常温状態となったLPGは、高圧主ライン131を流通し、右舷側の高圧外部接続口132を介してLPG貯留施設に導入される。
【0058】
このように本実施形態によれば、各種の弁を切り替えることでカーゴタンク30、燃料タンク50へのLPGの積荷、カーゴタンク30からのLPGの荷揚げを状況に応じて適切に行うことができる。
【0059】
ここで本実施形態では、カーゴタンク30にLPGを積み込む際に用いられるカーゴライン120に、燃料タンク50に接続される燃料ライン160が接続されている。そのため、カーゴライン120に設けられている緊急遮断弁150を、燃料ライン160の緊急遮断弁150としても用いることができる。
【0060】
仮にカーゴライン120と燃料ライン160とを独立して構成した場合には、それぞれに緊急遮断弁150を設ける必要があり、コストが大幅に上昇する。本実施形態では、カーゴライン120と燃料ライン160との緊急遮断弁150を共用化できるため、カーゴライン120と燃料ライン160とで緊急遮断弁150を個別に設ける必要がない。したがって、それぞれLPGを貯留するカーゴタンク30と燃料タンク50とを個別に設置しながら、コストを抑えることが可能となる。
【0061】
次に第二実施形態について
図3を参照して説明する。第二実施形態では第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第一実施形態の燃料ライン160が高圧ライン130と燃料タンク50とを接続していたのに対して、第二実施形態の燃料ライン180は、低圧ライン140と燃料タンク50とを接続している。
【0062】
第二実施形態の燃料ライン180は、右舷側燃料ライン181と左舷側燃料ライン182とを有している。
右舷側燃料ライン181の一端は、低圧主ライン141における右舷側の緊急遮断弁150と右舷側の低圧開閉弁144との間に接続されている。右舷側燃料ライン181の他端は、燃料タンク50に接続されている。右舷側燃料ライン181には、燃料開閉弁183が設けられている。
【0063】
左舷側燃料ライン182の一端は、低圧主ライン141における左舷側の緊急遮断弁150と左舷側の低圧開閉弁144との間に接続されている。左舷側燃料ライン182の他端は、本実施形態では、右舷側燃料ライン181における燃料開閉弁183と燃料タンク50との間に接続されている。即ち、左舷側燃料ライン182は、右舷側燃料ライン181を介して燃料タンク50に接続されている。左舷側燃料ライン182にも、燃料開閉弁183が設けられている。
【0064】
本実施形態の燃料タンク50は、第一実施形態同様に耐圧性を有する耐圧容器でありながら、例えば−40℃以下の温度に耐え得る低温用鋼で構成されていることが好ましい。
【0065】
本実施形態では、船体10の外部のLPG貯留施設としてのLPG基地、LPG船が常圧低温状態のLPGを貯留している場合に、当該LPGを燃料タンク50に導入することができる。例えば、右舷側にLPG貯留施設がある場合には、低圧主ライン141の右舷側の低圧開閉弁144を開状態とし、左舷側の低圧開閉弁144を閉状態とする。また、低圧分岐ライン143の低圧開閉弁144を閉状態とする。さらに、右舷側燃料ライン181の燃料開閉弁183を開状態、左舷側燃料ライン182の燃料開閉弁183を閉状態とする。
【0066】
これによって、低圧主ライン141の右舷側の低圧外部接続口142から導入される常圧低温状態のLPGを燃料タンク50に導入することができる。常圧低温状態のLPGは、燃料タンク50内に導入されることで該燃料タンク50自体によって加熱される。そのため、燃料タンク50内のLPGは次第に高圧常温状態となる。
本実施形態でも、第一実施形態同様、低圧ライン140の緊急遮断弁150を燃料ライン180の緊急遮断弁150として兼用できるため、コストの抑制を図ることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施形態で説明したLPG流通系統110は一例であって、同様の機能を得ることができる限り、適宜変更しても構わない。
また、実施形態では、カーゴライン120が、高圧ライン130と低圧ライン140の二系統を有する場合について説明したが、一系統のみであってもよい。